土浦駅に決定 TX県内延伸先 県
つくばエクスプレス(TX)の県内延伸先を検討してきた県は23日、第3者委員会からの提言(3月31日付)と5月に実施したパブリックコメント(意見募集)の結果を踏まえ、延伸先を土浦方面に決定したと発表した。
JR常磐線と接続する駅は土浦駅とし、今後は県内延伸構想の具体化に向けた検討を進める。さらに土浦駅延伸が実現後、自衛隊との共用空港である茨城空港の着陸制限の緩和など空港を取り巻く状況が変化した場合、改めて茨城空港延伸について議論するとした。
5月1~30日に実施したパブリックコメントは個人と団体計283人(団体)から意見が寄せられ、県内延伸に賛成は82%、反対は12%だった。
延伸先については土浦方面が最も多く全体の44%で、理由としては「4方面の中で費用がかからず実現可能性が高い」「事故・災害時の代替交通の確保につながる」などの意見があった。
延伸先を茨城空港方面とする意見も全体の25%あったほか、水戸方面は7%、筑波山方面は5%あった。反対意見の中には「採算性に乏しく赤字となる延伸は必要ない」などの意見があった。
意見を寄せた283人(団体)の内訳は、土浦市在住者が25%と最も多く、次いで小美玉市が22%、つくば市が17%の順。年代別は50代が20%と最も多く、次いで40代が18%、60代が17%の順。
「採算性の懸念共有している」
意見募集の結果について県は、土浦や茨城空港も含めて、延伸に賛成する意見が圧倒的に多く大きな期待が確認できたとした。土浦と決定した理由について大井川和彦知事は23日の記者会見で「実現可能性のある延伸先であることがまず最も重要」だとした。
一方で大井川知事は「反対の主な理由が採算性に対する懸念で、延伸したはいいが、赤字をずっと出し続けるのであれば最終的には県財政の負担につながるだけ、というような趣旨だった。我々も懸念は共有している」と述べ、「今後、単なる運賃収入だけじゃなくて、周辺開発なども含め事業採算性をいかに向上させていくかの方策を練ることが、反対意見の不安を払拭する最大の答えになる」と述べた。
県は3月に、土浦駅に延伸する場合の概算事業費や需要予測について、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人と見込まれ、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測される、鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しを示している。
東京延伸と同時、28年の答申目指す
今後の進め方については第1段階として、土浦駅であっても赤字であることから、沿線開発なども含めてどうやって採算性を確保していくかを調査検討し、県としての叩き台(素案)をつくっていく。
第2段階として素案をもとに、国や、TX出資者の東京都、埼玉、千葉県、TXを運行する首都圏新都市鉄道などの事業者と調整をし、2028年の国の交通政策審議会の答申に位置付けていくことが大きなステップになるとした。最終の第3段階では路線計画、建設計画、事業資金などを決めていく。
大井川知事は事業費1400億円の負担について「県内延伸は茨城県が全部やれ、という竹内知事時代の覚書があって(20年12月22日付)、それを1回チャラにしてもらって、各都県に協力もいただいた上で、県内延伸と東京延伸を同時にやりましょうという構図に持っていきたい。マイナスですけれどもお願いします、は多分通らない。是が非でも知恵を絞らなきゃいけない」と述べた。
事業費負担の理解を得る見通しについては「一にも二にも採算性。採算性がマイナスの時点で周辺近隣都県に理解を求めることは非常に難しい。これからの検討において、いかに採算の見込みを向上させていくかということが次の鍵になる」と強調した。理解を得る鍵として「(土浦延伸により)首都圏を中心とした経済圏をバックアップする後背地が大きく広がることの経済的メリットと、首都直下型地震などの大きな災害時に、常磐線とTXがつながることによって交通の代替性が確保されること」の二つを挙げた。
雑草の不思議 蒲の穂《くずかごの唄》129
【コラム・奥井登美子】コロナで休んでいた「河童(かっぱ)サロン」の復活。笛の名人・相崎伸子さんが「わらべ歌」を皆で歌おうと提案してくれた。歌いながら、みんなで手の指、足の指を動かして、外反母趾(ぼし)の予防運動にもなる。伸子さんの発明した楽しい遊びである。
伸子さんのご主人、相崎守弘先生の同僚だった島根大元教授の森忠洋先生も参加してくださった。森先生は「やってみませんか 家庭でできる生ごみの処理 生ごみ堆肥化・分解大作戦」という分かりやすく、面白い本を書いた人である。
「わらべ歌」も奥が深い。昔の歴史を知らないと理解しにくいわらべ歌もある。大黒様の唄(明治38年 石原和三郎作詞)。
♫ 大きな袋を肩にかけ、大黒様が来かかると、ここにいなばの白兎(うさぎ)、皮を剥(む)かれて赤裸、大黒様は哀れがり、「綺麗(きれい)な水に身を洗い、蒲(がま)の穂綿(ほわた)にくるまれ」とよくよく教えてやりました。大黒様のいうとおり、綺麗な水に身を洗い、蒲の穂綿にくるまれば、兎はもとの白兎 ♫
ガマのホワタとホオウの関係は?
「ガマのホワタって、いったいどのようなものなの?」
「聞かれたら、困ると思って、原っぱを探して、蒲の実を持ってきたわよ」
伸子さんは真茶色の、膨らんだ細長いダンゴのような蒲の草の実を、採ってきてくれて見せてくれた。赤裸の兎が、たちまち元の白い毛の生えた兎に戻ってしまう不思議さ。私は穂をごしごしとこすってみた。中からたくさん出てきたのは鮮やか過ぎるほど鮮やかな真黄色の粉末だ。
漢方薬「蒲黄(ホオウ)」という名で薬用の止血剤に使った粉らしい。「白くてふわふわしたものかと思ったら、違うのね」。わらべ歌に出て来る「ガマのホワタ」と「ホオウ」の関係は何なのだろう。
「ねっ、牧野富太郎先生教えてください」(随筆家、薬剤師)
中長期の施設修繕費6億円 つくば市負担 縮減し年1億8600万円に 洞峰公園
無償譲渡を受けることが望ましいとして、つくば市が県と協議を進めている県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について、五十嵐立青市長は23日、体育館・プール棟や新都市記念館など園内施設の中長期的な修繕費用は計約6億970万円かかり、年平均で3500万円程度になるとの見通しを示した。毎年の維持管理費約1億5100万円と合わせて市の費用負担は年約1億8600万円になる。
6月議会最終日の23日開かれた市議会全員協議会で説明した。無償譲渡に向けた協議の中で県から資料提供を受けるなどして市が算出した。
今年2月の議会への説明(2月14日付)では施設の修繕費用は、県が2023年度から27年度までに計画した大規模修繕費用と同額の年平均約7800万円かかり、年間維持管理費約1億5000万円と合わせて年約2億2800万円かかるとしていたが、2月の試算より年約4200万円縮減される。
園内施設の中長期的な修繕費用は、県がすでに実施した工事費や、目標使用年数を80年として県が策定した長寿命化計画の策定資料などから市が試算した。計約6億970万円の内訳は、体育館・プール棟が約4億6000万円、新都市記念館が約6900万円、トイレなどがあるフィールドハウスが約5600万円、運動用具倉庫やトイレ、井戸ポンプ、管理棟などが約2300万円。
算出にあたって市は5月、建築士に依頼し、体育館・プール棟、新都市記念館、フィールドハウスの3施設について、壁や天井など53カ所の調査を実施した。判定を「早急な修繕が必要な箇所」「近いうちに修繕が必要な箇所」「現状のままで使用可能な箇所(経過観察)」の3段階に分け、「早急に修繕が必要な箇所」12カ所については県と協議し、県が修繕を検討することになった。
さらに洞峰公園の指定管理者から施設や設備の状態を確認し、温水プールの室内暖房の故障など現時点で修繕が必要な12カ所についても、県が修繕を検討する。
県が27年度までに計画した年平均約7800万円の大規模修繕については、例えば県はフィールドハウスについて約1億4600万円で建て替えを計画していたが、市が実施した建築士の調査で「建て替えを行うほどの劣化は見られない」との判定が出たなどから、修繕内容を一部見直すほか、現時点で不具合がある設備については県が修繕を検討する。
県都市整備課は取材に対し「現時点で、故障などにより公園利用者に不具合がある設備については、修繕してから市に移管したい」としている。
市民説明会を実施へ
今後のスケジュールは、市が無償譲渡を受ける時期については、県による修繕が終わった後となり現時点で未定という。園内の洞峰沼は国有地であることから国との協議も今後必要になるとした。
一方、五十嵐市長は7月中に市民説明会を開くと話し、洞峰公園体育館で週末と平日に開催するほか、市北部と南部でも開くとした。合わせて市民アンケートも行いたいと述べた。
無償譲渡を受けた後の運営方法については「地域住民や公園利用者、有識者による協議の場をつくることを考えている」と述べるにとどまった。現在、スポーツ教室や文化教室などが開催されており、利用者サービスを低下させない維持管理方法を協議するため、当初、維持管理方法が定まるまでは、現在の事業者と業務委託などにより管理を行うことも検討しているという。
全協では議員から「洞峰公園を普段利用しない市民から反対の声が上がっている。1億5000万円の支出は市全体にとってメリットがあることを示すべき」「中長期の修繕計画にテニスコートや遊具が入ってないので計画を出してほしい」「樹木や洞峰沼の状況も県と情報共有し調査してほしい」「市として無償譲渡は決定していることか」「2023年度に市の公園にかかる予算は11億円強。洞峰公園の1.5億円は11億円の14%弱で決して少なくない。費用削減をしっかり考えてほしい」などの意見が出た。
市全体のメリットについて五十嵐市長は「遠方の方から『そこ(その地区)ばかり』という声が上がるのは当然。100%満足は難しい。各地区の公園を早急に前倒ししてきちんと修繕したい」などと答えていた。(鈴木宏子)
旧矢中家住宅が国の重要文化財に つくば市北条
NPOが保存、活用
国の文化審議会は23日、つくば市北条にある昭和初期の近代和風建築、旧矢中家住宅を、新たに国の重要文化財に指定するよう文科相に答申した。官報に告示後、正式に指定される。
約2500平方メートルの敷地に本館(居住棟)と別館(迎賓棟)の2棟が建ち、庭園が広がる。建材研究家でセメント防水剤を発明し、大正時代に油脂化工社を創業した北条出身の実業家、矢中龍次郎(1878-1965)が、1938年から53年にかけて自宅として建築した。
「理想というべき木造のモデル住宅」を目指し龍次郎自ら設計した実験的な住宅で、木造建築を基本としながら石造やコンクリート造などを取り入れている。木造では珍しい平らな「陸屋根」を設け、自身が発明した防火板など近代的な材料を使用している。建物の各所には換気や通風など通気性向上の工夫がされていることなども大きな特徴となっている。
内部は、近代の上流階級の間で流行した和洋折衷の様式で、色鮮やかな杉戸絵やふすま絵、水墨画などが室内を飾り、要所でサクラやケヤキ、スギなどの銘木が使用されている。周辺住民から「矢中御殿」と呼ばれるような豪華絢爛なつくりで、上流階級の邸宅として意匠的に優れた特徴がある。調度品や設備なども当時のまま残っている。
貴重な歴史的建築として2011年7月に登録有形文化財に登録された。今回、実験的住宅としての学術的な意義や、意匠的に優れていることなどが改めて評価された。
国重要文化財に指定されるのは本館と別館の2棟。住居として建てられた本館は木造平屋建て、建築面積約197平方メートルで、1942年建築。陸屋根、大谷石造の地下室があり、建具は部屋ごとに異なる。別館は「皇族のような上流階級の人々を迎賓できるように」と建てられた。2階建てで、1階は鉄筋コンクリート造、2階は木造、建築面積は約90平方メートルで、1949年建築。敷地内の石塀、石積、擁壁、横井戸も併せて指定される。
つくば市の国指定文化財は8件目、建造物としては2件目となる。
没後40年空き家に
龍次郎は1965年に死去するまで北条の住宅で過ごしたが、没後、約40年間にわたって空き家に近い状態となっていた。2008年、現在の所有者である森氏に所有が移り、保存活用活動が始まった。
当時、荒れた状態になっていた住宅や庭園を、学生、地域住民、後にNPOを構成するメンバーも加わり、掃除したり手入れしたりして公開できる状態に整えた。住宅と敷地を合わせた空間を新旧の所有者にちなみ「矢中の杜」と名付けた。現在はNPO法人 "矢中の杜”の守り人のメンバーがボランティアで日常的な管理をし、定期的に一般公開している。
同NPOの井上美菜子理事長は「国の重要文化財に指定されたことは大変栄誉あることで喜ばしい。空き家の状態から、国登録有形文化財の登録と続き、東日本大震災(2011)、北条の竜巻(2012)と二つの大災害、さらにはコロナ禍を乗り越え保存活用に努めてきたので、これほどうれしいことはない。今まで関わってきた人に感謝したい。しかし矢中の杜を後世に残していくには、大規模な修繕工事など困難な課題がある。これを契機に興味を持ってくれた人に、ご支援、ご協力をお願いしたい」とコメントした。
つくば市の五十嵐立青市長は「この建物を、北条地区のシンボルであり市を代表する文化遺産として未来へと継承していけるよう今後も所有者やNPOと協力し支援していく」などとするコメントを発表した。(榎田智司)
◆旧矢中住宅はつくば市北条古城94-1。NPO法人 "矢中の杜”の守り人が毎週土曜日午前11時から午後4時まで一般公開し、午前11時からと午後2時からの2回、ガイドツアーを実施している。料金は住宅の維持修繕協力金として一般500円、中学生以下無料。
「花火の原理がわかる手持ち花火」販売 火薬研究の第一人者が開発
発光の原理学び興味持って
火薬研究の第一人者で、つくば市在住の松永猛裕さん(62)が、手持ち花火と分光シートをセットにした「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ 色火剤(いろびざい)」を開発した。分光シートをスマートフォンのカメラに貼り撮影することで、花火がどのような光を発しているか分解して観察できる。夏休みの自由研究や科学実験での活用を想定しているという。7月1日から販売を開始する。
松永さんは産業技術総合研究所の元研究者で、現在も招聘(しょうへい)研究員として研究を続けている。2011年1月に花火研究のベンチャー企業「グリーン・パイロラント」をつくば市東の産総研内に設立した。火薬研究の第一人者としての知見を生かし、同社ではテーマパークで用いる安全性の高い花火の受注開発や、火薬を扱うメーカーでの事故の現象解明などを手掛けてきた。コロナ禍でテーマパークからの注文が減ったことから、一般向けの手持ち花火の開発を始めた。分光シートと花火を組み合わせて観察できるようにした商品は他になく、特許庁に実用新案登録を受けている。
「手持ち花火Ⅰ 色火剤」は、黄、赤、緑、青、紫、ピンクの6色と炎色反応がある元素を入れない花火を加えた7本組が2セット(合計14本)と、分光シート、解説書が入っている。色火剤は、火炎に色を付ける金属化合物のこと。花火には基本的にナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、銅(Cu)が使われ、それらが炎色反応によって黄、赤、緑、青の4色に発光する。他の色はこの4色を混ぜ合わせて作り出している。
分光シートで観察すると、ナトリウムを使った黄色の花火は一つの波長の光しか出ない。ストロンチウムやバリウム、銅の炎色反応では複数の光が観測され、すべての花火でナトリウムに由来する黄色の波長が観測される。いろいろな物質の中にナトリウムが微量に混入しているためだという。
火薬の研究、危険と敬遠
現在は、ナトリウムと、ストロンチウムやバリウム、銅の炎色反応の原理の違いについて、大学院レベルでも学ぶことがなく、知る人が少なくなっていると松永さんは話す。研究者も火薬の研究は危険と敬遠しがちで、知識を持つ人が少なくなっている現状があるという。「高校生くらいの方に使ってほしい。花火にはいろんな原理が詰め込まれている。原理を知って花火を見ると、見る目が変わってくる。ワクワク感を大切にしてほしい」と松永さん。手持ち花火で発光の原理を学び、興味を持ってほしいと、教育現場での活用も見込んでいる。
今回発売するのはシリーズ第1弾で、商品名を「手持ち花火Ⅰ」とした。第2弾、第3弾の構想もある。第2弾は花火の輝きを観察するセットで、中に入れる金属粉をアルミ、チタンなど変化させ、その違いを見る。第3弾は酸化剤を変えた花火でどのくらい見え方が変わるか観察するセットだという。
松永さんは1960年、静岡県浜松市生まれ。中学生の頃、東京の大気汚染を目の当たりにし、光化学スモッグの研究をしたいと志を立て、東京大学工学部の反応化学科に入った。しかし、当時研究室に入った3人のうち、光化学スモッグについて研究できるのは1人だけ。1枠を賭けてじゃんけんをしたところ負けてしまい、火薬の研究をすることになった。この研究室は伝統ある火薬研究室で、教えを受けながら爆発性物質の研究を続け、1988年に通産省工業技術院化学技術研究所(現在の産総研)に入所した。高校時代に化学を教わった恩師が旧日本軍の研究所で火薬と毒ガス弾の研究をしており、2000年頃には、毒ガス弾の安全な処理方法の開発研究にも携わったことから、火薬や爆発の研究は導かれた天命と思うようになったという。火薬などの安全研究に携わる国内で数少ない専門家で、著書に『火薬のはなし』(講談社ブルーバックス)などがある。
◆「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ 色火剤(いろびざい)」はインターネットで販売。価格は2980円(消費税込)。グリーン・パイロラントの公式オンラインストアはこちら。
オカルティズムが似合う街《遊民通信》67
【コラム・田口哲郎】
前略
生まれてこのかた新興住宅地に住んできました。東京、大阪、宮城、茨城の中の新しくつくられた街にしか住んだことがありません。もちろんほかの地域には古い街があり、そこでは古来の風習が残ったりしているわけですが、私はそういうものとは無縁に育ってきました。住んだことのあるところは、どこでも身の回りには、古い寺社仏閣がありませんでした。
新しい街はきれいですが、伝統がありません。寺社仏閣が担う伝統がないのです。あるのは、家、公園、スーパーマーケット、ホームセンターや家電量販店ばかりです。ですから、土浦の中心部のような古い城下町に憧れたりするわけですが、それも憧れで終わるわけです。
そこに住んでらっしゃる方々の生活にも憧れます。いわゆる年間行事があり、伝統的なしきたりに従ってすることも多いのだろう、なんて思いをはせるのです。こうした行事の多くは宗教的なものだと思います。街に伝統があるということは、宗教的な色彩が強いということかもしれません。しかし新興住宅地には、そういった色合いもないわけです。
新しい街にはオカルティズムが妙に合う
ひたち野うしく駅は、関東の駅百選に選ばれるほどの造形美がある銀色の近代的な建物です。その周りには整然と並ぶ新しく美しい家々が広がっています。所々にマンションが建ち、広い道路には今どきの自動車がスイスイと通っています。こうした街並みを見ながら、ふと「ここにはオカルティズムが似合うなあ」と思いました。
オカルティズムは前に書きましたが、19世紀ヨーロッパで誕生した新しいスピリチュアリティです。キリスト教の支配から解放された社会に出現した、新しい霊性ともいえます。
世の中が変わっても、人間自身は変わらないと言われます。宗教の束縛を受けなくても、科学や理性を信じていれば、豊かに安全に暮らせるようになった人間は、自由です。でも、新興住宅地に住みながら伝統的な街の暮らしに憧れる者がいるように、自由な生活の中で、旧来の霊性というものに憧れる者もいるでしょう。この近代的な街にあって、生活している者が持つのは、そう簡単には変わらない人の心です。
自由ゆえの不安がわいてきても、逃げ込む神社やお寺、教会も近くにはない。さて、それではタロット占い、水晶占い、星座占いをしてみようかと思うこともあるでしょう。
実際、私はエリファス・レヴィの影響で、タロットを勉強しています。そして、変わりばえのない整った街を歩きながら、さきほど出たタロット・カードの絵柄を思い浮かべながら、自らの来し方と今のうつつと、ゆく末に想いをはせたりするのです。その感覚が風景に妙にマッチすることは、発見でした。街の風景とタロットの絶妙な調和などについて書いてゆきたいと思います。ごきげんよう。
草々
(散歩好きの文明批評家)
89チームの対戦カード決まる 高校野球茨城大会 7月8日開幕
7月8日に開幕する第105回全国高校野球選手権茨城大会の組み合わせ抽選会が21日、水戸市のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開かれ、出場する96校89チームの対戦カードが決まった。
昨秋と今春の大会結果により16校がシード校となり、今春の県大会で優勝し関東大会でベスト4の成績を残した常総学院と、昨秋に県大会で優勝し今春準優勝した土浦日大、霞ケ浦はAシードで、2回戦から出場する。
6年ぶりの優勝を狙う常総学院の澤田一徹主将は「去年の夏は悔しい思いをしたので夏の大会で力を出す。どんな相手がきても一戦必勝で戦う」と力強く語った。昨年夏に決勝で明秀日立にサヨナラ負けをして惜しくも甲子園出場を果たせなかった土浦日大の塚原歩生真主将は「結束力をスローガンに甲子園に向けてプレッシャーを感じることなくいつも通り自分たちの力を出す」と決意を述べた。
Bシードから大会初優勝を狙うつくば秀英の池内航主将は「大会に向けて投手、野手含めて全体的に順調に仕上がってきている。昨年はベスト8だったが常に甲子園を意識して力を発揮出来るようにしっかり準備していきたい」と話す。
開会式直後の開幕1試合目に下館一高との対戦が決まったつくば工科(つくばサイエンス)の橫嶋翔太主将は「開幕1試合目から熱い試合をしていきたい。3年生は自分だけで若いチームなので勢いに乗って戦っていきたい。最後まで全力プレーで頑張っていきたい」と意気込みを語った。
4年ぶり開会式、声出し応援可能に
3年続いた新型コロナウイルス感染症が5類になったことから、4年ぶりに全チームが参加して開会式が催され、観客は声を出して応援ができるようになる。
昨年同様に入場制限はない。入場料金は一般、学生800円、高校生は学生証の提示があれば無料、中学生以下は無料。試合会場はノーブルホーム水戸、ひたちなか市民球場、J:COMスタジアム土浦、笠間市民球場、日立市民球場の5会場で行なわれ、決勝は26日ノーブルホーム水戸で行われる。(高橋浩一)
23年度売上1.6倍増目指す まちづくり会社が決算報告 つくば市議会
つくば市議会つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会(塩田尚委員長)が20日開かれた。市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が、2022年度3月期(22年4月-23年3月)決算と23年度の目標などについて報告した。23年度については、つくば駅周辺のロボット配送の運営などコンサルタント受託事業費が増えるなどから、22年度売上実績約8790万円の1.6倍の1億4000万円の売り上げを目指すとした。
設立2年目の22年度決算は、約8790万円の売り上げに対し約9775万円の経費(販売費及び一般管理費)がかかり約985万円の赤字(営業損失)となった。支払利息などの営業外損失を加えると当期損失は約2163万円(税引前)となり、これにより22年度末の負債残高は、社債などを含め約3億3226万円になった。
同社は第3セクターとして21年4月に設立された。市と民間企業3社による出資金1億2100万円のほか、社債を発行してファンド(投資信託)から3億1600万円の資金を調達して始動した。市が区分所有するつくばセンタービル1階を改修し、22年5月から「働く人を支援する場」として、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどがあるco-en(コーエン)を運営する。今年4月からは新たに市の指定管理者としてつくばセンター広場を管理、運営する。調達資金の元本の返済は24年度から始まる。
22年度決算は、co-en全体の売り上げが目標5637万円に対し81%の約4571万円で、経費などを差し引いた営業損益は、開業に伴う初期費用などから約1694万円の赤字となった。売り上げの内訳は、貸しオフィスが昨年8月に満床になり売り上げ目標3027万円に対し95%の約2900万円。23年度は2700万円の売り上げを目指す。コワーキングスペースは3月末の会員数が個人・法人合わせて39者(目標43者)で、売り上げ実績は目標2490万円に対し47%の約1171万円にとどまった。23年度は3000万円を目指す。カフェ(ビア&カフェエンギとシェアキッチン)からの収入は120万円の目標に対し4倍超の500万円、23年度の目標は120万円。23年度はco-en全体で前年度の1.27倍の5820万円の売り上げを目指す。
co-en以外の事業として、地下駐車場の売り上げが約1213万円、利益が約438万円、つくばエキスポセンター内のカフェからの収入が約80万円、ロボット配送などのコンサル受託費が2000万円超など計約4219万円の売り上げがあったとした。
23年度の売り上げ目標は、地下駐車場が1300万円強、エキスポセンターのカフェからの収入が200万円、ロボット配送の運営受託費などコンサル受託事業が5400万円のほか、つくばセンター広場の管理運営収入が市からの指定管理費と利用料金収入合わせて1000万円など、co-en以外の売り上げを22年度実績の1.9倍の8180万円にするとした。
議会特別委では、23年度の売上目標の内訳や、当初co-en内に計画されていた「子連れで働ける場」がいまだに開設されてない問題、つくばエキスポセンター内の「ほしまるカフェ」撤退後、今年4月オープンしたサンドイッチ専門店の業者選定の経緯、つくばセンタービル4階の吾妻交流センターをオフィスに改修する計画などについて議員から質問が出た。
吾妻交流センターについては、現在、市が改修工事を進めている市民活動拠点がつくばセンタービル南側に完成し吾妻交流センターが移転した後の来年6月以降に工事に着手する計画で、内山社長は、工事費用の約5000万円は、現在、手元にある現金及び預金3295万円と消費税の還付金約2500円でまかなえるとした。昨年6月の決算報告では改修費用をまかなうため増資を検討するとしていた(22年6月9日付)。
子連れで働ける場について内山社長は「(まちなかデザインの)持ち出しが出続ける事業は経営的に難しい。家賃は取れなくても自走していただける経営者を検討している」とし、吾妻交流センター跡の第2期工事の中で子育て支援拠点なども含め幅広く検討していくとした。吾妻交流センター跡は当初、貸しオフィスの増床が計画されていた。(鈴木宏子)
マジョリティとしての特権 《電動車いすから見た景色》43
【コラム・川端舞】マジョリティと呼ばれる人々は多くの場合、特権を持っている。入り口に段差があるかどうかを気にせずに、飲食店やホテルを選べるのは、車椅子やベビーカーが必要ない人の特権。音声による説明がなくても、インターネット上の写真・グラフなどから情報を得られるのは、目が見える人の特権。店員から商品の説明を口頭でしてもらって買い物ができるのは、耳が聞こえる人の特権。
婚姻届により、血縁関係のない2人が家族として認められるのは、戸籍上の異性同士で愛し合った人だけの特権。どんなに2人が愛し合っていても、戸籍上の性別が同じであれば、現行の法律では婚姻届は出せない。
日本の難民認定手続きがどう変わっても、日本を追い出される心配をしなくていいのは、日本国籍を持つ人たちの特権。日本国籍を持つ私には、日本を追い出される恐怖など想像すらできない。
奪った権利をマイノリティに返すだけ
マジョリティとは誰のことだろう。私は車椅子がないとどこにも行けない点ではマイノリティだが、視覚的な図で表された情報でも、音声だけの情報でも困らずに利用できる点ではマジョリティだ。入管難民法がニュースとして話題になるまで、自分が日本国籍という特権を持っている自覚すらなかった。
また、私は誰に身分証明書の性別欄を確認されても、何も困らない。これもマジョリティの特権なのだが、出生時に割り当てられた性と性自認が一致しない「トランスジェンダー」に対し、自分のように生まれた時の性と性自認が一致する多数派は「シスジェンダー」と呼ぶことさえ最近まで知らなかった。
しかし、シスジェンダーとしての自覚を持つと、今の社会がトランスジェンダーの権利を犠牲にし、シスジェンダーが生活しやすいようにつくられていることが見えてくる。例えば、学校の制服を男女で分ける仕組みは、自分らしい性を表現したいトランスジェンダーの生徒を犠牲にしている。
そして、自分もそのような社会をつくっている一員だと思うと、シスジェンダーである私たちこそ社会を変えていかなければならないことに気づく。
マイノリティの人権問題は、マジョリティ側が自分たちの持っている特権に気づき、その特権をマイノリティ側にいかに還元するかの問題でもある。決してマイノリティに特別な権利を与えることではなく、マイノリティから奪ってきた人間としての基本的な権利を、彼らに返すだけだ。(障害当事者)
土浦博物館の郷土史論争拒否で議論沸騰 《吾妻カガミ》160
【コラム・坂本栄】今回も土浦市立博物館と地元郷土史家の歴史論争問題です。1回目は158「…博物館が…論争を拒絶」(5月29日掲載)、2回目は159「…論争拒否、土浦市法務が助言」(6月5日掲載)。コメント欄への投稿に加え、コラム《ひょうたんの眼》(6月14日掲載)や市議会も論争に参入。議論が沸騰してきました。
苦情と歴史論争は次元が違う
「博物館の仕事は、城郭(研究の砦)に籠(こも)って研究するだけではなく、その成果を市民に知ってもらうことにある。この論争を見ていると、博物館は市民とのコンタクトが薄いような気がする。本堂さんとの対話を面倒くさいと断つようでは、市立博物館とは言えない。博物館は学術と市民の間に立って、学問の成果を市民につなぐのが本来の仕事」(土浦の歴史好き)
「郷土史家との対話拒否は行政の下手なリスク管理の見本。歴史論争の回答書にあんな文言(コラム158で引用)を入れたらメディアに叩かれるのは当然。博物館が論争を打ち切るのはその存在を否定するようなもの。それを市の法務担当が指導したというのは論外。一般行政への市民のクレームと市民の博物館との論争は区別しなければいけない。次元が違うものだから」(リスク管理人)
議会も博物館の対応に疑問符
コメントの中には、本堂氏が博物館に11回も通ったことに注目し、博物館の論争拒否通告を支持するコメントもありました。
しかし、博物館の面談記録(各回60~90分、糸賀館長か担当学芸員が対応)によると、2020年12月1回、2021年2月2回、同3月1回、同9月1回、2022年6月1回、同7月1回、同9月1回、同10月1回、同11月1回、同12月1回だったそうですから、論争の間隔としてはむしろ控えめなぐらいです。
この問題は市議会教育厚生委員会(矢口勝雄委員長)の会合でも話し合われました。関係市議によると、博物館が面談拒否の理由を「11回も来られ困った」と説明したとの報告について、委員からは▼本堂氏はクレーマー扱いされて戸惑っている▼市の弁護士が間に入り拒否を通告させたのは問題ではないか▼微妙な問題であり博物館は冷静に対応すべきだ―などの発言があり、博物館の対応に疑問符が付いたそうです。
自分の立ち位置から語る歴史
コメントにはクールな意見もありました。「歴史とは自分の立ち位置から過去を描写する作業。郷土史家も館長も自分の史観に都合いいように解釈している」(歴史論争嫌い)。話が脱線しますが、私の旧友、門跡寺院(もんぜきじいん=皇族や公家の寺)の門主(もんす=住職)さんの史観はその極致でした。自分事なのです。
寺は天台宗ですから総本山比叡山を焼き払った織田信長は極悪人。寺に手水(ちょうず)石を寄贈してくれた豊臣秀吉は偉い。寺領の一部を奪い他寺に与えた徳川家康は小悪人。雄藩に担がれて権力に復帰した明治天皇は期待の星。天皇制と華族制(彼もその家柄)を廃止したマッカーサー元帥は「けしからん」と。(経済ジャーナリスト)
