日曜日, 4月 5, 2026

私学の学費補助590万円の崖《竹林亭日乗》6

【コラム・片岡英明】昨年11月の茨城県議会で、県の森作宜民教育長は「中学生の進路選択に影響がないよう学級増の計画を示す」と答弁し、中学生徒に期待を持たせた。そして3月の県議会で、星田弘司県議がその計画を示すように求めた。 すると教育長は、つくば市の中学生がエリア内外の県立高校のほか、「私立学校などを含めた多様な選択肢の中から学校を選んで通学している」と、県立高学級増の計画を示さず、足踏みの答弁をした。 生徒の声に応え、つくばエリア県立高の入学枠を県平均水準まで引き上げる決断を示す場面なのに、後ろ向きであった。まるで、①定員割れの県立高に行って②交通費がかかるエリア外の高校も考えて③授業料は高いが私学もある―と聞こえる。 県が焦点をずらしているので、私たちの学習も、県立高の魅力アップ、通学やスクールバス問題、さらに私学の学費問題へと広がった。そこで、今回は私学の学費補助について考える。 私立高への学費補助の現状 私学振興助成法が1975年に成立し、私学への経常費助成が始まった。主な私学助成は、①学校運営のための経常費助成②生徒への授業料補助③生徒への入学金補助―の3つから成る。 <経常費助成> 茨城の2023年度の経常費助成(私立高校生1人当たり)は、国からの35万4027円に県の2万3505円を加えて、37万7532円である。 公立高校は生徒1人当たり約120万円の経費がかかると言う。その運営経費と私学経常費助成の差が保護者負担となり、私学の高学費を生んでいる。 昨年の茨城の私立高校初年度納入金は平均81万9691円である(内訳:授業料38万4875円、入学金18万3958円、施設費25万0858円=文科省学校基本調査)。 <授業料補助> 国は2010年度からの年収910万円未満の世帯に11万8000円支給することを始めた。さらに2020年度から、私立高校生に対する就学支援策を拡充させ、授業料部分について、年収590万円未満世帯には39万6000円の学費補助を開始した。 <入学金補助> 国と連動して各県も入学金補助を始め、茨城の場合は2017年度から年収350万円未満の世帯には9万6000円、同590万円未満の世帯には4万8000円の入学金補助を開始した。 私学もあると言うなら「崖」の解消を 国の授業料補助が年収590万円を境に低下することから、「590万円の崖」が発生、保護者負担が急増する。そのため各県は国の支援策充実に合わせ、それまで独自に行っていた授業料助成の仕組みを変え、年収基準緩和、補助額アップなどにより、崖の解消に努めた。 関東都県を見ると(独自加算分は県内在住のみ)、▽東京:年収910万まで46万9000円、▽埼玉:同500万まで59万6000円、同700万まで38万7000円、▽千葉:同590万まで52万2000円、同800万まで24万1000円、▽神奈川:同590万まで45万6000円、同700万まで19万3000円、▽群馬:同590~910万まで16万5120円。 茨城は、それまでの県独自の加算を都・他県のように授業料補助アップに切り替えず、県加算をやめた。そのため、私学の授業料補助は国の就学支援のみとなり、都・他県と比べ「590万の崖」は急になった。 高校進学前の中学生に「私学もある」と言うのなら、県は「590万の崖」を全力で解消してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

民間フリースクールに補助 つくば市が募集開始 不登校支援

つくば市は、不登校児童生徒の学習を支援したり居場所を提供する市内の民間フリースクールに、運営経費の2分の1などを支援する補助事業をスタートさせる。3日に補助金交付要綱を公表し申請受付を開始した。 家庭の経済的負担を減らし、民間フリースクールの経営を支えることで、不登校児童生徒の社会的自立を支援することが目的。特例として8月3日までに申請すると今年4月にさかのぼって補助金適用とする。 同市は、2021年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、22年度に不登校支援のあり方について検討し、支援策の一つとして、民間事業者と利用者に支援する方針を決めた。 昨年、市内の小中学生が利用している民間施設8カ所を調査し、小中学生100人弱が利用している実態があったことなどから、今年3月、23年度当初予算として、民間への補助金4850万円と利用者への交付金2400万円の計7250万円を計上した。利用者100人程度への支援を想定している。昨年市内の小中学生の利用がなかった施設も含め、市内にある既存の民間10施設と、市に相談があった5施設に補助金交付について情報提供するとしている。 補助対象となるフリースクールは①月曜から金曜まで週3日以上開所する②午前8時から午後5時までの間に4時間以上開所し学習支援または居場所を提供する③不登校児童生徒の相談や指導に関して深い理解と知識、経験がある④学校との間に連携協力体制を構築できる⑤必要な施設及び設備がある、または準備できる⑥家庭と連携協力関係を構築できるーの6つの要件を満たすことなどが必要。 一方、フリースクール運営の実績や、スタッフの資格の有無や経験年数、施設の広さや設備など明確な基準は示されていない。これについて市教育局学び推進課は「フリースクールは発展途上で経験値はなく数字で推し量れない」とし、「(民間事業者は)手探りで多様な学習の機会を提供しようと活動されており、増加傾向にある不登校の児童生徒たちの居場所を広げていきたい」とする。 補助額には教員免許所有者の配置やカウンセラー配置、研修受講費などが加算される。施設の広さや設備については申請書に十分目を通して、確認の上で判断するとしている。 申請から2、3週間で補助金の交付が決まり、申請者に通知される。ホームページなどで公表はしない。一方、民間フリースクール利用者への補助事業は交付要綱を準備中で、まとまり次第、ホームページで公表するとしている。 21年度末の同市の不登校児童生徒数は592人で増加傾向にある。市内には民間フリースクールが10カ所程度あり、ほとんどが利用者の月謝や寄付金、助成金などで運営されている。昨年、市が8施設を対象に実施した調査によると、利用者が10人未満の施設が多く、利用料は1回1500円~2000円、月額は1万5000円~3万円が多かった。(橋立多美) ◆つくば市の民間フリースクールに対する補助事業の内容は市ホームページへ。

「翻訳」に必要なもの 《ことばのおはなし》59

【コラム・山口絹記】前回の記事では、翻訳について考えるために、通訳と翻訳の考え方の違いについて書いた。今回は翻訳(英語から日本語)の難しい部分について、実例を交えながら書いてみようと思う。 さっそくだが、 "prom(プロム)"ということばをご存じだろうか。 これはアメリカのハイスクールの伝統的なダンスパーティーを指す単語なのだが、プロムを経験したことのある日本人は当然ながら少ない。今、私はニュースサイトのコラム記事を書いているわけで、"プロム"という文化について長々と連載記事を書いてもよいわけだが(記事としての価値があるかは別)、小説の翻訳となるとそうはいかないだろう。これは、文化の違いによる翻訳の難しさだ。 また、安易な引用は避けるが、宗教的なイディオム、テキストの引用、習慣や儀式を背景に持つ文脈の翻訳が難しいのは想像できるだろう。キリスト教圏においてどれだけの割合が聖書を読んでいるかはわからないが、日本人のそれよりも多いことは間違いない。これは「宗教の違い」による難しさ、ととらえてもよいのだが、もっとわかりやすく言うと「常識」の違いだ。 「常識」ということばの扱いもまた難しいのだが、例えば一般的に『桃太郎』のおおまかなストーリーを知らない日本人はかなり希少と言っていいだろう。普段から意識することはあまりないだろうが、日本に生まれ育った者であれば、『桃太郎』という単語一つでかなり多くの文脈を共有できる。"どんぶらこ"でも"鬼退治"でも"きびだんご"でもよい。ちょっとした単語から、私たちは多くの共通したイメージを共有できる。これって実はすごいことだとは思わないだろうか? 「英語力」ではない部分が試される では翻って、このコラムを読んでいる方の中に、『トム・ソーヤーの冒険』を読んだことがある方はどれだけいるだろう? 『ハックルベリー・フィンの冒険』は? その中に登場する文脈、センテンスが引用されたり、少しもじられたりしたら、どれだけの日本人が理解できるだろうか。これが誤解を恐れずに言ってしまえば「常識」の強さであり、その「常識」が共有できなかった場合は、相互理解のうえでおおきな足かせになることは想像に難くない。 実のところ私自身、海外小説を原文で読んでいると、いまいち何のことだかわからないことがままあるのだ。文脈から察するに、こういう場面が描かれているのだろうな、というのはわかるのだが、本当に理解しようとすると、いわゆる「英語力」ではない部分が試される場面が非常に多い。そしてこれは、海外の論文やニュースなどを読んでいる時より、児童文学を読んでいるときの方が多かったりするのだ。 あらゆる文化の違いを乗り越えて文章を理解するための知識と経験と想像力、そして、それを他者に伝えるための文章力が翻訳という行為に必要な最低限の資質だと私は考えている。次回は、ここからさらに一歩進んだ難しさについて書いていこうと思う。(言語研究者)

市民説明会 22、28日に4回開催 洞峰公園問題でつくば市 無償譲渡受ける方針など説明

無償譲渡を受けることが望ましいとして、つくば市が県と協議を進めている県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について、市は22日と28日の2日間、洞峰公園と、市北部の大穂交流センター、市南部のふれあいプラザの3カ所で計4回、市民説明会を開くと市ホームページで発表した。 市公園・施設課によると説明会では、①県のパークPFI事業などこれまでの経緯②市民からこれまでに寄せられた声③無償譲渡を受ける市の方針と、④今後市が負担する維持管理費用や大規模修繕費用⑤公園の管理・運営について協議する協議会についてや、⑥今後のスケジュールなどを市が説明した上で、参加者の意見を聞いたり質問を受ける。 時間は各会場とも、市の説明と参加者の質疑を含めて2時間ほどを予定している。市民アンケートを実施するか否かは現時点で未定としている。 洞峰公園の無償譲渡をめぐっては、大井川和彦知事が昨年12月の知事定例会見で「つくば市が自ら公園を管理するのであれば、県としては洞峰公園を無償で市に移管したい」と発言したのを受けて、五十嵐立青市長は今年2月「無償譲渡が市全体にとって望ましい」として県に無償譲渡に向けた協議を要請、県と市の協議が始まった。市は6月23日に開いた市議会全員協議会で、毎年の維持管理費が約1億5100万円かかるほか、体育館・プール棟や新都市記念館など園内施設の中長期的な修繕費用に年平均3500万円かかり、年間費用負担は年約1億8600万円になるとする見通しを示した。議会からは「洞峰公園を普段利用しない市民から反対の声が上がっている」などとして市民説明会を開催するよう求める声が出ていた。 市民説明会の日程は、▽22日(土)午前10時~大穂交流センター(筑穂1-10-4)▽22日(土)午後2時~洞峰公園アリーナ棟(二の宮2-20)▽22日(土)午後6時30分~ふれあいプラザ(下岩崎2164-1)▽28日(金)午後6時30分~洞峰公園筑波新都市記念館(二の宮2-20)

常陸利根川沿い香取市 佐原の大祭《日本一の湖のほとりにある街の話》13

【コラム・若田部哲】小江戸三市の一つとして知られる、千葉県香取市佐原。江戸時代、江戸を洪水から守るため利根川の東遷(とうせん)が行われたことから、利根川の水運と陸路の結節点として栄えた商業都市です。本コラムは「周長日本一の湖」霞ケ浦の周りの様々な営みをご紹介する連載。香取市って霞ケ浦に接していないのでは?とお思いの方もおられるかと思います。 ですが、古代、霞ケ浦は「香取海(かとりのうみ)」という広大な内海であり、堆積や干拓などの結果、現在の霞ケ浦(西浦)、北浦、常陸利根川へと姿を変えました。広義の霞ケ浦とはこの3つの水系の総体であり、香取市は北側でこのうちの常陸利根川に接しているのです。 この香取市を代表する「佐原の大祭」は300年以上の伝統を持ち、国の重要無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産にも登録され、その文化的価値が非常に高く評価されているお祭り。今回は、千葉県唯一の重要伝統建造物群保存地区である佐原の町並みの中で開催される、この祭礼についてのご紹介です。 歴史的な町並みを山車が進む 祭りの間、町に響く「佐原囃子(はやし)」は日本三大囃子にも数えられており、このお囃子にのせて、歴史的な建物が建ち並ぶ佐原の町並みの中を、山車が家々の軒先すれすれに進みます。その様は迫力・風情とも圧巻の一言、関東三大山車祭りの一つに数えられるのもさもありなんというものです。 大祭は、7月の「八坂神社祇園祭」と、10月の「諏訪神社秋祭り」の2つのお祭りに分かれており、夏は小野川の東側に10台の山車が、秋は小野川の西側に14台の山車が登場。この山車、町内ごとにそれぞれとても個性豊かで、いずれも総欅(ひのき)造りの本体に重厚な彫刻が施され、上部には江戸・明治期に制作された、高さ4メートルにも及ぶ大人形が飾られています。 人形は「イザナギ」「スサノオノミコト」など日本神話にちなむものや、「神武天皇」「源頼義」などの歴史上の人物など様々。ちょっとユーモラスなものとして、「浦島太郎」や「鯉」などのものもあります。 若頭の打つ拍子木に合わせ、小野川沿いを曳き回される様はもちろん、狭い道路で山車がすれ違う場面も迫力満点。豪快な山車の引き回しと伝統的な町並みが織りなす風情を求め、35万人もの観光客が訪れるそう。まだご覧になっていない方は必見、江戸情緒あふれる素晴らしいお祭りです!(土浦市職員) <注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。 これまで紹介した場所はこちら

武蔵美卒業生らが茨城支部展 つくばで20回目

県内在住の武蔵野美術大学卒業生らによる美術展「武蔵野美術大学校友会茨城支部展」が4日、県つくば美術館(同市吾妻)で開幕した。20回目を迎えた今年は、30人の作家が絵画や手芸など103作品を展示している。 沼尻正芳さん(73)は、卒業生らが集まる校友会の茨城支部を25年前に立ち上げた。当初3年ほどは展覧会を開くことができなかったが、仲間が集まり、夢だった支部展を2002年につくば市二の宮のスタジオ‘S(関彰商事つくば本社1階)で初めて開催した。以来、スタジオ‘Sから市民ギャラリー(つくば市吾妻)、県つくば美術館へと場所を移し、コロナ禍で中止した2020年を除き、毎年開催している。 沼尻さんは冬の筑波山を描いた80号の油彩画「雪景色」など8点の作品を展示する。武蔵美大工業デザイン学科でテキスタイルデザインを専攻。学生の頃から油彩画が好きで描き続けている。秋の筑波山を描いた「収穫の頃」は5年前から描き始めたモチーフで、同じ構図で描くのはこれが3枚目になる。1枚目は売れ、2枚目は校長を務めていたつくばみらい市立伊奈東中学校に寄贈した。「筑波山はみんなが日々見ているものなので、適当に描けない」と話す。筑波山の木々の緑のグラデーションや、山に落ちる雲の影など、色を丁寧に重ねて描き上げる。 NEWSつくばコラムニストでもある川浪せつ子さん(67)は、沼尻さんと同じ工業デザイン学科テキスタイルデザイン専攻出身。10年前から描きためた160枚のイラスト「おいしい時間」と小品5点を展示する。「おいしい時間」はNEWSつくばのコラムにも掲載しているもので、県南地域の飲食店のメニューを水性顔料のサインペンで描き、透明水彩で鮮やかに着色した作品。絵に描くメニューはあらかじめ決めてからお店に向かうという。「毎回新しい描き方を試している。色が濁らないように気を付けて描いている」と話す。 冨澤和男さんは、武蔵美大通信課程の修了生で、卒業制作だった100号の作品「大地の恵み—冬―」や、つくば市手代木の風景を描いた「ユリノキ並木の大通り」など8点を展示する。「ユリノキ並木の大通り」は元々通勤路で、前から絵にしたいと考えており、去年の秋に描いた。冨澤さんのモチーフは野菜や果物、風景、動物が主だが、今回は人物画にも挑戦し、女性を描いた「黄色い衣装のひと」を展示する。「和綴(わとじ)製本」も制作。5種類の綴じ方で作った本7冊を展示している。 開幕初日は、来場した女性が作品の前で足を止め、作家らに画材や描き方について熱心に尋ねる姿が見られた。沼尻さんは「中央公園を散歩がてらふらっと入ってほしい。無料なので、アートに興味のない方にも見てもらえたら」と来場を呼び掛ける。(田中めぐみ) ◆「武蔵野美術大学校友会茨城支部展」は9日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。期間中の8日(土)午後1~3時は、野澤寿子さんによるワークショップ「SDGsなタッセル作り」が開かれ、古布や織物の残り糸を有効活用し、糸などを束ねた房飾り「タッセル」作りが体験できる。ワークショップは定員20人、参加費無料。参加申し込みはmsb.ibaraki@gmail.comへ。

4年ぶりにゴロが戻ってきた【桜川と共に】5

6月下旬、桜川漁業協同組合の2023年度総会がつくば市栗原、栗原交流センターで開かれ、29人の組合員が出席した。組合員の平均年齢はおよそ80歳で、最年少は49歳だ。総会では5月24日に起こったハクレン大量死の経緯や(5月27日付、6月2日付)、今年が10年に1度の漁業権の申請の年となることが報告され、今年度の予算や漁業権行使の規則などについても審議された。 昨年6月の正組合員数は108人だったが、高齢化による脱退で今年5月末には89人と減少。鈴木清次組合長は総会で「組合員や遊漁者を増やす努力が必要。そのためには魅力をつくらないといけない」と話した。外来魚を含む桜川の水産資源の活用について考えることが喫緊の課題となっている。 投網ができること必須 専業はおらず、自分や家族で食べる分だけを捕る組合員が多い。組合員になるには投網ができることが必須で、代々、親や先輩から投網を学んできた。投網を完全に修得するには10年かかるという。 今年、漁業権を申請する漁業の種類は、「こい漁業」、「ふな漁業」、「わかさぎ漁業」、「えび漁業」、「にごい漁業」、「おいかわ漁業」、「はぜ漁業」の7種類。「す建(すだて)」という竹や木を建てて網に誘導する漁法や、刺し網、巻き網などの漁法が許可されている。「す建」は5カ所、竹で十字に組んだ骨組みに網を付けてすくいとる「四手網(よつであみ)」での漁法は5カ所までなどと制限がある。「す建」は最近はやる人がおらず、「四手網」は1カ所のみで操業している。 四手網は全国最大級 桜川に1カ所ある「四手網」は1辺の長さが三間半(約6.36メートル)。川に設置してあるものとしては全国でも最大級ではないかと組合員らはいう。組合員らが知る限り、少なくとも80年ほど桜川で四手網漁法が続いている。「四手網」は竹で毎年作り直すが、作り方は現在、鈴木組合長一人しか分からない。継承しなければ四手網漁は絶えてしまう。 漁協には、「筌(うけ)」と呼ばれる筒状の伝統漁具など、昔から桜川で使われてきた竹材の道具も保存されている。これらも昔は手作りで作っていたが、今は市販のプラスチックのものが使われることが多くなった。 ゴロの遡上に歓喜 組合員の塙雅夫さん(81)は、投網や「長ぶくろ」と呼ばれる網を使った漁法で小魚やエビを捕っている。7月2日、塙さんが4日前に仕掛けた「長ぶくろ」を見に行こうとしていたところ、ゴロと呼ばれるハゼ科の小魚が桜川を帯状になって遡上してくるのを見つけ、知人に電話した。 「急いで網持って来てくんねえか」。電話を受けた知人が小さな四手網を持ってきた。胴長を着た塙さんが四手網を持って川へ入ると、ゴロがどんどん入ってくる。「すごい、すごい」。昼過ぎから3時間ほどで4キロほどのゴロが捕れた。 鈴木組合長もやってきた。「組合長、すごいよ」。「4年ぶりくらいに上がってきた」と鈴木組合長。塙さんの仕掛けた「長ぶくろ」の方にはテナガエビがかかっていた。ゴロと合わせて大漁だ。ゴロは佃煮にしたり、天ぷらにしたりするとおいしいという。集まった鈴木組合長や組合理事の松田七郎さんらは「どんどん入るね。(魚群の帯が)まだまだ来るよ、切れないよ」。「何が原因か分からないけど久しぶり。いいことだね。うれしいね」と話し、顔をほころばせた。(田中めぐみ) https://www.youtube.com/watch?v=jUkDN5QXz9I

防衛予算・財源の見通し《雑記録》49

【コラム・瀧田薫】6月16日、参院本会議で「防衛財源確保法」が可決され、成立した。衆議院のホームページ「立法情報」によれば、法案時の名称は「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」とあり、議案の種類としては「閣法」(内閣提出法案)とされている。 条文を一読した感想を率直に述べれば、自民党・防衛族議員を核として集合した利害関係者(与党議員、防衛省官僚と制服組、防衛関連企業とそのエージェント、金融機関その他)、その間で複雑に絡み合う思惑や利害得失、それに伴う権力闘争など、そこに生じた軋轢(あつれき)や混沌(こんとん)の様(さま)が透けて見える法案となっている。 特に財源確保の方法について、問題の先送りが目立ち、近い将来、こうした欠陥の修正が必要になると思わせる内容だ。 たとえば、増税をさけるために、「歳出改革」「決算剰余金」「国有財産の売却」「建設国債の防衛費転用」など、税金以外の収入を複数年にわたって確保することとして、一般会計に「防衛力強化資金」を創設することになったが、どれをとっても安定財源とは言えない代物だ。「歳出改革」は民主党政権時代の「事業仕分け」を思い出させる。 「決算剰余金」はもともと補正予算の財源に充てられてきたものであり、これを防衛費に転用してしまえば、コロナ禍後に膨張した補正予算の財源として赤字国債のさらなる増発が必要になるだろう。「国有財産の売却」は複数年度にわたって確保できるはずもない。 建設国債の軍事転用は戦争の教訓により、戦後長く「禁じ手」とされてきた。建設国債の使い道は公共事業(橋や道路)であり、この場合は資産として国富増につながるが、防衛費に転用すれば、その効用は失われる。建設国債の防衛費転用は増税の幅を少しでも小さくするための苦肉の策であろう。 国力は軍事力だけでなく総合力 結局、防衛費の財源は、赤字国債か増税の二者択一あるいは併用のどちらかに求めるしかないと思われる。いずれにしても、この先、国民にとって厳しい状況が待っている。インフレが続き、金利が1%上昇すれば、国債償還のために年間約3兆円強のお金が新たに必要になる。そうなれば、防衛費増など絵に描いた餅になる。 金利がさらに上昇すれば、財政破綻の可能性すらある。大増税となれば、消費が低迷し日本経済の地盤沈下が加速しかねない。 1940年代、大日本帝国の指導者は「日米開戦やむなし」として、勝算のない国家総力戦に乗り出した。現在、「防衛費増額やむなし」として、そこで思考停止してしまえば、この国の将来に明るい展望が持てなくなる。つまり、今回成立した「防衛財源確保法」については、この国の安全保障を考えるための一つのたたき台でしかないとの認識に立つべきなのである。 本来、国力というものは軍事力だけでなく、外交力、経済力、技術開発力、情報力そして教育も加わってはじめて更新される総合的な力であることを忘れてはなるまい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

土浦市議会の珍事 少数派連合が議長選出《吾妻カガミ》161

【コラム・坂本栄】4月の土浦市議選挙で当選した議員による初議会が6月に開かれました。その初仕事ともいえる議長選びで、最大会派から議長を出すという慣例が破られ、複数小会派と無所属の議員が語り合って小会派の代表を議長に選出するという珍事が起こりました。これまで比較的平穏に運営されてきた市議会、これからは一波乱あるかもしれません。 公明党が独自候補→最大会派が敗北 今春の市議選のあと、市議会(定数24)の会派(議員グループ)色分けは、郁政会8、新勇会4、公明党4、共産党2、政新会2、社民党1、無所属3になりました。 議長選びは長い間、郁政会(選挙前は11)から内々候補を出し、公明党が内々支持して選出するというパターンが続いてきました。ところが今回は、新勇会4+共産党2+政新会2+社民党1+無所属2=11が島岡宏明氏(新勇会)を担ぐことで内々合意。公明党4が慣例を破って自会派の吉田千鶴子氏を内々立てたことから、郁政会8+無所属1=9が内々推す勝田達也氏(郁政会)が島岡氏に敗れました。 簡単に言えば、異なった政治理念を持つ小会派と無所属の議員が連合し、公明党が自前の候補を擁立して事実上の中立姿勢を貫いた結果、これまで議長を輩出してきた最大会派が敗北するという図式です。土浦市議会で一体何が起きているのでしょうか? 市長選前哨戦と反郁政会工作の場に 歴代議長(現職では海老原一郎氏→篠塚昌毅氏→小坂博氏。その前の内田卓氏→矢口清氏は今春引退)が属する郁政会の複数議員に何があったのか聞き出しました。 「春の市議選直後に郁政会を抜けて新勇会を立ち上げた島岡氏が多数派工作に動いた。安藤真理子市長は水面下で島岡氏を応援した」「前回市長選で郁政会は4期市長をやった中川清氏を推しており、今秋の市長選で2期目を狙う安藤市長としては郁政会の影響力を弱めたかった」「島岡氏の議長就任によって新勇会を核とする小会派が親安藤市長グループを形成することになる」 要するに、議長選出の場が市長選前哨戦と反郁政会工作の場にもなったということです。ドラマチックな展開であり、土浦市議会も面白くなってきました。 「若い新議員の声を反映させたい」 上記の解説については島岡議長と安藤市長に、郁政会にも小会派連合にも距離を置いた公明党の動きについては平石勝司代表に、聞いてみました。 「若い議員と新しい議員の声を議会に反映させたいと考えていた。議長選に挑んだのはその一環。若手や新人と勉強しながら(郁政会に多いベテラン議員から)若い議員にバトンをつないでいきたい。郁政会を出たのは重要教育関係事案で会派の他議員と考え方が違ったこともある」(島岡議長)。「いろいろな動きがあることは知っていたが、議会がやることに市長は関与してはいけないし、現に関与していない」(安藤市長)。 「他の2議長候補(いずれも3期目)に比べ市議歴が長く人物的にも優れた自会派の吉田議員(6期目)を立てた。議会に出される議案については是々非々(賛成も反対もする)で対応していく」(平石代表)。 いずれにしても、16年続いた中川時代の議会秩序が安藤市政下で崩れつつあるのは確かです。今回の議長選びを機に郁政会が反市長に傾き、議長選出では同調したものの理念が違う少数会派連合がばらけると、独自の立ち位置を保つ公明党が「キャスティングボート」を握ることになります。(経済ジャーナリスト)

県の発表受け「祝賀集会」 TX土浦延伸を実現する会

茨城県がつくばエクスプレス(TX)の県内延伸先を土浦方向に絞り込み、JR常磐線と土浦駅で交差させる構想を決定したことを受け、TX土浦延伸を実現する会(会長=安藤真理子土浦市長)は2日、クラフトシビックホール土浦(市民会館)で活動報告会を開いた。集会には、多くの市民のほか、土浦を選挙区に持つ国会・県会議員も参加、土浦駅接続に向けて活動を続けることを確認した。 大井川和彦知事は6月23日の記者会見で、学者らで構成される第3者グループの提言と、提言に対するパブリックコメント(意見公募)を踏まえ、昨年示した4候補(筑波山、水戸、土浦、茨城空港)から延伸先を土浦駅に絞り込んだと発表した。土浦延伸を実現する会の報告会はこの決定を受けたもので、あいさつ者からは土浦延伸のメリットと実現に向けての課題について発言があった。 「TXのTを土浦と読み替えたら」 安藤市長は「土浦延伸決定は私たちの熱く強い思いが実を結んだもので喜ばしい。皆さまが描いた夢が現実へと大きく動いたものと実感している。ただ、今やっとスタートラインに立ったということだ」と述べ、クリアーしなければならない課題が多い延伸に向けて気を引き締めた。 出席議員からは「つくば市から国会へTXで通っているが、TXで街が変わることを実感している。土浦にとってこの素晴らしい恵みの実現に向けサポートしていく」(国光あやの衆院議員)、「今、私が属する委員会では国土形成計画を審議しているが、これが終わったら広域地方計画をまとめる。この中にTX土浦延伸を盛り込みたい」(青山大和衆院議員)、「集会の名称『活動報告会』は控えめであり、『お祝い会』ではないか。この際、TXのTを土浦と読み替えたらよい」(八島功男県議)などの発言があった。 つくば―土浦に2~3の駅を整備? 最後に土浦商工会議所の中川喜久治会頭がこの日採択する宣言内容を説明。「実現する会のこれまでのスローガンは『TXを土浦へ』だったが、これからは『TXが土浦に』になる」とし、「常磐線とTXの接続により、筑波山・霞ケ浦などの県南観光地のみならず、茨城空港や県内全域の観光地へのアクセス向上が図られる」と、観光ビジネスの活性化に期待を示した。 報告会に先立ち、土浦延伸を実現する会の技術アドバイザーに就任した塚本一也氏(元JR東職員、元県議、大曽根タクシー社長)が講演。土浦方面決定の論点、現TX成功の原因、延伸ルートの決め方、新たな沿線開発―などを説明する中で、「総延長54キロの現TXには駅が20あり、単純に割ると2.8キロに一つ。TXつくば駅とJR土浦駅の間は約10キロだから、2~3の新駅が造られると予想される」と述べた。 さらに、土浦延伸実現に向けての課題として、①新たな利用者の確保②これまでの沿線開発を補完する都市機能の整備③JR常磐線と共存できる接続プラン④1都2県(千葉、埼玉)の理解を得られる延伸計画―などを挙げた。(岩田大志)

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