月曜日, 4月 6, 2026

TX県内延伸「早くどう建設するか議論を」 政財界交流団体 つくばで会合

つくばエクスプレス(TX)の県内延伸について意見交換する県内政財界の交流団体「TX県内延伸の議論を活性化する集い」(代表世話人・塚田陽威塚田陶管社長)の会合が7日夕、つくば市内で開かれた。塚田代表世話人は「TXの勢いをつくばで止めておかないで、土浦、石岡、茨城空港、水戸に延ばすことが最大の政治の仕事だろうと思っている。来年3月31日までに(4方面のうちのいずれかのルートが)決まってから、いつまでに建設するのか、それが一番大事なこと。早くどうつくるか、いろいろな話ができれば」とあいさつした。 集いには安藤真理子土浦市長、小田川浩つくばみらい市長のほか、つくば市区選出の星田弘司、塚本一也県議、つくばみらい市区の山野井浩県議、石岡市区の大和田寛樹県議、小美玉市の中村均企画財政部長らが約30人が参加した。 口々に「県民、市民が望む延伸」と 土浦市の安藤市長は「TXを土浦に延ばしたいというのは(長年の)悲願。駅前で街頭演説をすると、高校生が振り返って、戻ってきて『本当ですか』と話してくる。(今年6月の)署名活動でも駅前で高校生が署名用紙を受け取って学校で書いて、次の日に持ってきてくれる。若い人たちと一緒に夢をかなえたい。土浦市議会も9月に特別委員会をつくった。活動はまだまだ続く。私たちの熱い気持ちをぜひ知事にご理解いただきたい」などと話した。 つくばみらい市の小田川市長は「みらい平駅ができてTXのお陰で人がたくさん来てくれ、税収も増え、工業団地ができて、TXの恩恵を受けている。(TXを運行する首都圏新都市鉄道に対して)沿線市が集まって、東京延伸、8両編成化のほか、TXは(JRと比べ)運賃が高いので学生だけでも下げてほしい、とつくばみらい市から発信して学生の定期券割引拡大を要望している。県内延伸は県民が望むことであり応援しなければいけないと思っている。TXは170%くらい乗車率があり8両化しようとホームの工事に着手したところ、コロナで乗客が激減し赤字が出ていると聞いている。まずはコロナ前の乗客に近づくようになればと思う」と述べた。 星田県議は「きのう(6日)自民党本部に国土強靭(きょうじん)化議員連盟の要望活動をして、地域で計画を進めるには財源等、かなりのハードルがあると伺った。クリアしなくてはいけないことがまだまだあるが、知事が調査を実施するというのは第一歩を踏み出していただいたということ。県民の多くがTX延伸を望んでいる。財源の確保と熱意が必要。皆さんと機運を盛り上げていきたい」とした。 塚本県議は「自治体によって温度差がある。東京延伸と北への延伸の双方向を考え、本来つくば市がビジョンを持たないとだめ。(快速列車など)だんだん千葉から東京への通勤に便利な電車になっている。つくばエクスプレスという名前なのに利便性を持っていかれるのは残念。JRとのコラボも双方向で考え、皆と議論したい」など、それぞれ話した。

信州の山《続・平熱日記》119

【コラム・斉藤裕之】初めて信州の山並みを見た時の感動を今も覚えている。生まれ育ったところの丘のような山とは全く違う。その手の届かないような高さや鋭角な形、色。それが幾重にも連なっている様(さま)は、「畏怖(いふ)」とか「崇高」とか普段あまり使わない言葉を想起させる。 信州上田に大学の後輩が住んでいる。作家でもあり、コーディネーターとしても活躍している彼が、上田のとあるパン屋さんで展覧会をやるから信州の山絵を描いてよこせ、と言う。題して「信州山景クラッシック」。なるほど。30年近く前に私の冗談から始まった、「富士山景クラッシック」という富士山をテーマにした展覧会の信州版ということか。 天気予報は晴れ。朝起きて信州行きを決める。5時出発。予定では3時間余で上田に着く。関東平野の終わりに妙義山が見えてくる。長いトンネルをいくつかくぐると、いよいよ信州。知識がないので何という山か知らないが、遠くに蒼(あお)い稜線(りょうせん)が見える。 「待てよ、このまま長野まで行ってみよう」ということで、朝早くに善光寺に参った。実は、初めて訪れた長野市と善光寺。短い時間だったが、山門の上に登って長野の街を眺める。 それから国道を通って上田に。実は娘の義理のお母さんのご実家は上田。かねがね、ゆっくりと訪ねてみたいと思っていたのだが、今回は時間の制限もあるので、とりあえずそのパン屋さんに向かう。店は歴史を感じる旧街道筋の一軒。知る人ぞ知る名店らしい。けれども、実に素直な造りで押しつけがましさがない。 食事のできる2階の窓から烏帽子岳が見えると聞いていたので、階段を上らせてもらうと、畳の上にご主人とおぼしき方がごろりと寝ておられる。なるほど、この風貌にこの店構えに納得。窓越しに山を見ようとするが、山頂に大きな雲がある。黙ってこっそりと引き上げようと思っていたのだけれど、体を起こされたので、「○○さんの友人で山を描きに来まして…」と事情を説明。 上田の空気が頭にあるうちに 折角なので、これぞ店名のルヴァン(酵母)そのもののクロワッサンとコーヒーをいただいていると、雲が取れてきて烏帽子が見えてきた。 しかし、簡単に山を描けると思ったら大きな間違い。まして数時間麓でうろうろしたところで、大した絵が描けるはずがない。それはわかっているのだが…。風景とはよく言ったもので、信州の風、空気を記憶するしかない。 「松本あたりに行くと、アルプスが見えていいけどねえ…」とご主人。脳裏にその風景が浮かぶ。地図を見ると、ここからそう遠くないが、残念ながらタイムリミット。 帰り道、高速道路沿いの満開の葛(くず)の花が気になってしょうがない。昨年はこの花をあまり見かけなかったので、今年こそ絵を描こうと思っていたからだ。大きな葉に隠れるように咲いているからだろうか。とても鮮やかな花なのにあまり人目につかない。 帰宅して、まだ頭の中に上田の空気が残っているうちに絵筆をとることにした。(画家)

ごみ焼却発電を市役所など41施設に供給 県内初「自己託送」つくば市

電気料金が値上がりする中、つくば市は、市のごみ焼却施設、つくばサステナスクエア(同市水守)で発電した電力の一部を、市役所本庁舎など41施設に供給する「自己託送」と呼ばれる事業を10月1日から開始したと発表した。自己託送は東京都八王子市や千葉県船橋市などで実施されているが、県内市町村では初めてという。 年に電力料金6890万円削減 導入により、41施設の電力料金が年約6890万円削減でき、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を年約1900トン減らすことができるという。41施設は市役所のほか、交流センター、市立保育所、老人福祉センター、体育館など。 自己託送は、自家発電設備で発電した電力を、電力会社の送電網を使って、遠隔地にある自己所有の施設に送電し供給する事業。2013年に制度が始まったが、電力需要の計画値と実績値にずれがあるとペナルティーを科されるなどのためなかなか普及しなかった。 同市のごみ焼却施設では年約2600万キロワット時を発電している。約1000万キロワット時を自家消費し、残り約1600万キロワット時は売電し、年約1億7890万円の売電収入があった。 売電していた約1600万キロワット時のうち、41施設の必要電力量の7割にあたる420万キロワット時をごみ焼却施設から供給する。7割にとどめるのはペナルティーを避けるため。残り3割は新電力のアーバンエナジー(横浜市)から、廃棄物発電や木質バイオマス発電、太陽光発電などの電力を購入する。ごみ焼却発電の残り約1180万キロワット時は引き続き売電する。 自己託送により、売電収入はこれまでよ4110万円減り約1億260万円となるが、41施設の電力料金が年約2億2570円から約1億1570円に減るため、差し引き6890万円の節約になる見込み。 41施設の導入期間は10月1日から2025年9月末までの3年間。市の他の施設も電力の契約更新時期に合わせ、電気料金の変動動向を見ながら、順次、自己託送に切り替えていくとしている。

魔女のフェスタ4回目は「秋の収穫祭」 11月12日に旧筑波小跡

インターナショナルスクール計画が浮上した旧筑波小学校跡(つくば市国松)で、11月12日に「魔女のフェスタ・秋の収穫祭」が開かれる。同小跡でのフェスタ開催は4回目、主催者のいしざき緑子(魔女の学校主宰者)さんは今回のテーマに「星の子どもたち・土とおとなたち」を掲げた。 いしざきさんは、コロナ禍で加速したオンライン授業をはじめとするIT化で、子供たちの個性を発揮する場が損なわれつつある、と危機感を抱く。「星の子どもたち」は、一人ひとりの輝く星をいっぱいに輝かせてあげたいとの願いを込めての企画だそう。子供たちの自由なお店屋さんごっこ用に1教室を充てる「子魔女商店街」をメーンに、手作りのゲームやアート作品、マント作りなどユニークな店舗が軒を並べる。子供たちが一日中遊べたり、お母さんたちが交流出来るような場を用意する。 「土と大人たち」は、足元の大地と繋がりながら様々な人々が自然と共鳴し合おうと呼びかける。ジャンベやディジュリジュなど様々な民族楽器の演奏、踊り、パレードなどで来場者と一緒に盛り上げる。ステージでは群馬県館林市の常楽寺から池田元用住職を迎えてのフリートーク式お悩み相談、デザイナーのルウさんによる「ファッションは生き方」テーマのトークショー、ミュージシャンの奈良大介さんによる野外ライブなどが予定されている。 祭りは、校庭に飲食店のキッチンカーや模擬店が並び、3階建ての校舎にはアクセサリー、フラワーアレンジメントなどの手作り品、占いやアロマセラピー、ハーブを利用した癒し療法の店が出来る。3階の音楽教室ではライブイベントが行われ、ベリーダンスのパフォーマンスもある。魔女の学校関係者、近隣の人たちが一緒になって祭りを盛り上げる。 魔女のフェスタは回を重ねるごとに盛況になり、参加者も広範になった。ことし5月の開催では2000人を超える入場者があり、学校前の狭い市道には車があふれ、警察車両が出動する騒ぎもあった。いしざきさんらは新たな駐車場確保など、地元との連携に腐心する。 いしざきさんによれば、魔女のフェスタの趣旨は「魔法のように見せられているものを追い求め消費することよりも、一人ひとりが自分のなかにある魔法に気づき、自らの手で生み出した魔法で誰かを少しだけ幸せにする、その魔法が多様であればあるほど、魔法が豊かな化学反応となり、コミュニティーに循環していくという社会実験の場」なのだそうだ。「ぜひ、会場に足を運んで誰かの魔法にかかりにきてほしい。魔法を外に求めるのではなく自分のなかに眠る魔法に目覚めてもらえたら」と語る。 旧筑波小学校は2018年に閉校。跡地利用は決まらずにいたが、茨城県の誘致したグローバル・スクールス・ファウンデーション(GSF)によるインターナショナルスクールとしての利活用構想が浮上した。9月中、地元との二度の意見交換会(9月27日付)が開かれている。(榎田智司)

大動脈解離 医療と運 《くずかごの唄》117

【コラム・奥井登美子】夫が76歳のときだった。元気でジョギングが大好き。「東京で会議があるので、皇居のまわりを3周してから行く」といって出かけていった。 「モシモシ。奥井清さんのお宅ですか?」「ハイ」「こちら東京医科歯科大学病院の救急医のHと申します。奥井さんが救急搬送されました。検査をしたいのですが、家族のサインが必要です。15分以内に病院に来てもらいたいと思います」「意識はありますか?」「意識はありません。早くしないと呼吸が止まる可能性もあります」 病院は御茶ノ水駅の近くだ。空を飛んでいきたいが、それでも土浦から15分は無理。どうしよう。医者の兄は千葉で、1時間近くかかる。娘は世田谷。タクシーで30分はかかる。困った。 呼吸が止まるかもしれないと言われた。いったぃどうしたのだろう。タケちゃんしかいない。私は祈るような気持ちで、文京区白山の弟の加藤尚武に電話してみた。 「10分以内に行けるよ。大丈夫すぐ行く」 手早い技術と処置が命を救ってくれた 外科医の兄が次の日、動脈乖離(かいり)の国際的専門医、増田政久先生を千葉から連れてきてくれた。 「運がよかったですね。救急車がこの病院へ連れてきてくれたこと。血胸(けっきょう)を抜く技術が格段に優れています。家族がすぐに来てくれたこと。どうやら、動脈の中膜(ちゅうまく)が乖離して、肺にたまって、呼吸困難になり、まだわかりませんが、脳へ行く血管も保護されたようです」 大動脈の37センチ解離だった。肺にたまった血液が呼吸を止める寸前に、ドレーンを使って血胸を抜いてくれた。この病院ならではの、手早い技術と処置が命を救ってくれた。脳へ行く血管の1センチ下から乖離したおかげで、脳の機能も保存された。 人間の死と生が運で決まることもあるのだ。(随筆家、薬剤師)

「後援会長だから」は事実と異なる 名誉市民選定でつくば市長釈明

つくば市9月議会最終日の6日、本会議が開かれ、五十嵐立青市長は、同市の名誉市民に、井坂敦實さんと沼尻博さんの2人を選定することを求める議案を提案した。 井坂さんは元筑波町長、沼尻さんは五十嵐市長の政治団体の前後援会長。本会議に先立って開かれた議会運営委員会(小野泰宏委員長)では沼尻さんに対し、小森谷さやか市議(市民ネット)から「市長の後援会長だから、という指摘が市民から出ることが予想される」などの質問が出て、五十嵐市長は「『後援会長だから』は事実と異なる」などと釈明した。 本会議の審議では、人事案件のため質疑や討論は実施されず、共産党の2人が議場を退席し、全会一致で可決された。 ノーベル賞と五輪最多金メダルの3人だけ つくば市の名誉市民は条例で、社会の発展に著しい功績があり、市民の誇りとして等しく尊敬される者に贈る称号とされる。これまで選定された名誉市民は、いずれもノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈さんと小林誠さん、オリンピックで国内最多の金メダル8つを獲得した体操選手の加藤澤男さんの世界的に活躍した3人のみ。 市は昨年5月、名誉市民候補者選定検討会議(座長・松本玲子副市長)を開き「これまで雲の上の方々が選ばれてきたが、地域で頑張っている方を積極的に選定していきたい」などとして、条例は改正せず、選定基準を変更した。変更後、最初の名誉市民として井坂さんと沼尻さんが選定された。 沼尻さんについて五十嵐市長は、議会運営委員会で「(後援会長だからという)ご指摘は確かにあると考えたが、プロセスは、各担当課から推薦があり、選定会議で決定され、議会に上程される」とし「私自身も名前を見たとき、後援会長であることはどうだろうなと思ったが、一方で沼尻会長のこれまでの実績が評価されるものなので、後援会長だから名誉市民になってはいけないというのは逆にそれはそれで行政をゆがめてしまうと考えた」と話した。 一方で「事実は違うが、後援会長だから選任されたという声が出る可能性があると考えたので、(今年8月の)選定会議で選定された後に、私自身が沼尻会長のところに行き『実は今、名誉市民の候補者に上がりました』という話をした。併せて『もし名誉市民となれば、私の後援会というのではなくて、市民全体の名誉市民なので、後援会長はご退任いただくのがいい』という話をして、『分かった』という話をいただいたので、先月末に後援会の理事会を開催し、正式に後援会長を勇退いただき、後援会の会員でもなくなっていただいた」と釈明した。6日時点で後援会長は空席のままという。 同委員会ではさらに塚本洋二市議(自民党政清クラブ)から「昨年5月の候補者選定検討会議で、業界からの推薦がふさわしいという話が出ているが、今回、どういった団体から推薦がきていたのか」、鈴木富士雄市議(同)からは「(2人を候補者として選定した)今年8月の会議録が非公開になっている。情報公開を希望する人には公開してはどうか」などの質問が出て、篠塚英司総務部長は団体推薦について「今回は業界からの推薦はなかった。団体ではなく(市役所内の)各部局からの推薦。井坂さんは教育局、沼尻さんは経済部からの推薦」だったとし、会議禄の公開については「候補者の個人情報を扱うため、会議そのものを非公開で開催している」とした。 委員会での市の説明によると、名誉市民の選定理由はそれぞれ、井坂さんは元筑波町文化財保護審議会委員、元市文化財保護指導員及び郷土史家として長年にわたり各種文化財の調査、保護、普及に従事し、市の学術や文化の振興に寄与したこと、沼尻さんは、市谷田部商工会長、市商工会長、県商工会連合会会長を務め、地域経済の発展に寄与したことなど。11月30日のつくば市民の日に表彰する。今後、毎年、何人を名誉市民として選定するかは未定という。 五十嵐市長は議会で可決後、自身のSNSで「つくばの政治のこれまでを考えれば『後援会長だから選ばれた』という事実と異なる話が出ると思い、沼尻氏に後援会長についてご勇退いただくことにした。元より沼尻氏からすれば、私の後援会長などという役職は人生晩年のおまけのような話なので、その圧倒的な功績とは切り離されるものと考えている」などとする見解を発信した。(鈴木宏子)

山本美和市議が県議選立候補へ つくば市区

つくば市9月議会最終日の6日、山本美和氏(52)=公明=が市議を辞職した。任期満了に伴い12月2日告示、11日投開票で行われる県議選つくば市区(定数5)に同党公認で立候補する。県議を4期16年務める同党の田村けい子氏の後任候補となる。 山本氏は「教育や福祉など基礎自治体の現場でいろいろなことを進めていくためには、県議会や県の取り組みや支えが大きい。市議の経験を生かして県議会に挑戦していきたい」などと話す。 教員を目指し教育学部で学んだ経験から、教育の大切さを強調し、不登校や発達障害などのほか、教員のなり手不足など教育現場の課題に対し「県という単位で、教育の根本に向き合い、できる限りのことをやっていきたい」と語る。 公約として①いじめ、虐待、ひきこもり、ヤングケアラー、産後うつ、一人暮らし高齢者、外国人などの孤独、孤立対策のための居場所づくり②国際会議等の誘致を図り、つくばの自然観光の魅力度アップ③県立高校対策、教員不足対策、特別支援教育、多様な学びの場など適正な教育環境の整備ーなどを掲げる。 山本氏は東京都練馬区出身、創価大学教育学部卒、同大学職員を経て、市議を4期14年務め、副議長などを歴任した。ほかに県立土浦一高PTA会長を務めた。現在、党県本部女性局次長。 県議選つくば市区をめぐっては、現職5人のうち星田弘司氏=自民=、鈴木将氏=同=、山中たい子氏=共産=、塚本一也氏=自民=の4人が再選を目指しているほか、新人で元つくば市議の宇野信子氏(57)=つくば・市民ネットワーク=が立候補を表明している。ほかに複数の名前が挙がっている。

「おみたまヨーグルト」 《日本一の湖のほとりにある街の話》4

【コラム・若田部哲】夏。小美玉市の畑では「おみたまピラミッド」と呼ばれる、緑色の巨大な堤防のようなものが築かれます。その正体は、酪農家が育てた高さ4メートルにもなるトウモロコシを、刈り取り破砕して、ショベルカーやブルドーザーなどの重機でうず高く積み上げたもの。まるで土木工事のようですが、これを乳酸発酵させることで、乳牛のための良質な飼料となるのだそうです。 茨城県No.1の生乳生産地であり、2018年には「第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉」が開催され、2日間で約4万人を動員した酪農王国・小美玉市。今回は、同市で30年以上にわたり、良質な乳製品を作り続けてきた「小美玉ふるさと食品公社」の木村工場長に、同社のヨーグルトのおいしさの秘密について伺いました。 おいしさの下地として、まず木村さんが挙げたのが、同社の前身である堅倉(かたくら)村畜牛組合が掲げた「土づくり・草づくり・牛づくり・人づくり」というモットー。冒頭で紹介した「おみたまピラミッド」は、まさにその言葉の象徴となる風景なのです。 そして次の秘密が、小美玉市の酪農家の密度の高さ。「酪農」といえば、多くの方はまず北海道を連想するかと思いますが、北海道は広大なため、各酪農家の距離が離れています。それに対し、小美玉は日本一酪農家の密度が高いため、生乳を速やかに酪農家から加工場である公社まで運搬することが可能です。 ヨーグルトは生乳の鮮度が命 ヨーグルトの原料となる生乳は鮮度が命のため、このスピード感は製品の品質向上のための大きなメリット。毎朝新鮮な生乳を酪農家から集め、少しでも鮮度が落ちないうちに加工するという基本に忠実な作り方が、同社のヨーグルトのおいしさの何よりのポイントなのだそうです。 さらに、乳酸菌がいかに心地よく乳製品にしてくれるか、温度・時間の管理がキモであり、酸味・甘味・なめらかさ・もっちり感、そのどれを最大限引き出すかが腕の見せどころとのこと。同社はその確かな加工技術により、看板商品「おみたまヨーグルト」のほか、同市産のフルーツを用いた季節ごとの小ロット多品種展開を行っています。 酪農には、観光牧場的方向性と生産品質向上の方向性があるなかで、あくまで品質での勝負・食品加工での認知向上を図っていきたいとの木村さんのお話でした。 6月には、パッケージにもこだわった新商品「OMIYOG CRAFT」も発売され、さらに展開が拡大していく小美玉のヨーグルト。全国随一の酪農環境が生み出す味わいを、ぜひお楽しみください。(土浦市職員)

文章を磨き上げる速記者の腕 つくば 竹島由美子さん【ひと】

つくば市松代の竹島由美子さん(74)は51年にわたり、速記者という仕事に一筋に向き合ってきた。現在は都内の速記事務所から委託を受け、自宅に届く講演会やインタビューの録音をパソコンで文字に起こす仕事を続けている。現場に出向く仕事はほとんどなくなり、速記の符号に出番はないが、培った技術を生かし仕事に磨きをかけている。 速記は、簡単な線や点でできた符号などを使って、人が話す言葉をその場ですぐさま書きとり、それを解読して文章に書き直すまでの作業を指す。 竹島さんは「符号の出番がなくなってきたことは寂しいが、技術の進歩に助けられて仕事を続けてこられた」と話す。コロナ禍で仕事がキャンセルになったことがあったが、仕事が物心両面で支えになっているという。時代とともに新たな言葉が生まれたり、流行したりする。これからも毎日2紙の全国紙に目を通して話題や言葉にアンテナを張り、レベルアップを図っていきたいという。 アナログ録音機で独学 東京生まれ。中学生の頃から作文や感想文を書くのが好きで、子ども向けの雑誌に載っていた「速記文字を使えば人の話が書ける」という速記専門学校の宣伝文句にひかれたのが始まり。当時は速記学校の募集広告が多く見られ、「就職したら速記を勉強しよう」と決めたという。 高校卒業後、比較的休みの多い学校の事務職員なら速記を勉強するのに都合が良いと考え、明治大学の採用試験を受けて職員に採用された。 大学から帰宅すると速記に独学で取り組んだ。アイウエオの五十音の符号を覚えてつなげるだけでは話すスピードに追いつけず、さまざまな略字が用いられる。それらの符号を覚え、自分でアナログの音声録音機(オープンリールデッキ)に吹き込んだ朗読を再生し、速記符号で書く作業を繰り返した。「言葉を聞いて自然に手が動くまで、根気よく練習した」と振り返る。 もっと速記の腕を上げようと週末に速記学校に通い、大学職員になって3年目に日本速記協会が実施する技能検定試験を受けて3級に合格した。 合格から2年後に大学を退職し、速記事務所に就職して速記者の道を歩むことにした。「速記の仕事は私に合っていました。会議やインタビューで未知の人や有名人に会えて、録音した話はためになった上にお金がもらえる」 この頃、大学の教職員組合の文化祭で知り合った男性と交際していたが、新たな船出の時期、彼は会社の仕事で海外にいた。帰国を待って報告すると、安定した職場を辞めたことを叱責され恋は終わった。 速記者として充実した毎日を送りながら、猛勉強して技能検定2級に合格した。2級検定は分速280字のスピードと文章の正確性が求められ、合格率はおおよそ20%と狭き門だ。 フリーの速記者を経て32歳で東京速記士会(東京・品川)に入会し、先輩の速記士、竹島茂さん(1925-2012)に会った。東京大学文学部卒の竹島さんは速記の仲間たちから一目置かれる存在だった。 5年後の1985年、竹島さんがつくばに創業した地域出版社「STEP」の社員となり、活動の場を東京からつくばに移した。「つくばの個性を生かしたまちづくりに向けた出版活動」という考えに共感したことが大きかった。 社長の竹島さんの片腕となり、月刊オピニオン誌『筑波の友』の発刊や、筑波山や霞ケ浦に関する書籍、研究者の研究成果などの出版に奔走した。53歳で竹島さんと結婚。10年前に夫竹島さんを見送り、会社は廃業(2016年)したが今も現役の速記者としてパソコンに向き合っている。 速記を取らないデジタル環境 50年経って速記者の環境は大きく変わった。仕事を始めた頃は重いアナログ録音機とコード、マイクを提げて現場に行き、全ての発言を録音することに集中した。その後録音した音声を聞きながら速記し、万年筆で原稿用紙に書き直した。 今は手書きの速記を取らず、小型のICレコーダーなどで録音した音声をパソコンに移し、音声を聞きながら直接パソコンに入力する方式が一般的になった。議会の議事録などありのままを記録することが求められるケースもあるが、「講演会やインタビューなどは誰もが読みやすい文章にするのが速記者の仕事」という竹島さん。 「意味が分かりづらい話し言葉や重複している表現を整文するなど、文章を磨きあげるのは速記者の腕にかかっている」と現役の速記者としての意気込みを語る。(橋立多美)

素人になり切れない世界の片隅で 《ことばのおはなし》50

【コラム・山口絹記】ファインダー視野率、ダイナミックレンジ、開放描写、色収差。これらの単語、何の用語かわかるだろうか。 カメラとそのレンズに関するマニアックな専門用語である。あえてマニアックと書いたのは、こんな用語知らなくても写真は撮れるからだ。あえて言い切ってしまおうか。こんな用語知らなくていい。知らなくていい、のだけど、知らないでいる、ただそれだけのことが、私たちの生きるこの世界では、もはや難しくなってしまった。 例えばカメラが欲しいと思った時、まず何をするだろう。身近に写真をやっている知り合いがいなければ、きっとおすすめのカメラを見つけるためにネットで検索をするだろう。 おびただしい数のおすすめカメラが提示され、使用するレンズの大切さを一から教示してくれるはずだ。ついでにプロレベルの撮影技術から、あらゆる専門用語にまみれたレビュー情報を摂取できる。これらの知識を雑誌や専門書で手に入れようとしたら、なかなかの金額がかかるはずだ。しかし、ネットで閲覧している限り、全部無料である。ああ素晴らしい新世界。 とはいえ、ある程度の前提知識があればありがたい情報も、これから何かを始めようとしている者には過度な情報の激流に違いない。無料でいくらでも情報が手に入るこの世界線で手に入らないモノ。それは情報に対する適切なフィルターなのだ。 「いちいちうるせぇな」「これでいいのだ」 数多のサイトを巡礼して、やっと決めたカメラとレンズ。通販サイトの購入ページに進めばおのずと目に入るのはどこかの誰かが書き残したレビューだ。そこには「開放付近の軸上色収差が酷(ひど)くて使い物にならないレンズ。売りました」なんて書かれていたりする。まことに余計なお世話である。 そう、どんなものにも欠点はある。当然だ。だって完璧なものがあったら、世の中に同じような性能のカメラやレンズがこんなにたくさんあふれることはないのだから。その欠点を許容できるかどうかは、まずは自分で試してみない限り、わからない。 とはいえ、人様の意見というのはどうにも気になって仕方ないものだ。そんな時のためのとっておきの呪文がある。 「いちいちうるせぇな」「これでいいのだ」。私はいつもこう唱えて、一歩踏み出すことにしている。 なんて偉そうなことを書いているのだけど、実は最近、私自身、食わず嫌いで手を出していなかったモノに手をだして大きな発見があった。それについては次回の記事で書こうと思う。(言語研究者)

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