日曜日, 4月 5, 2026

小春日和は「小野の里山」散歩 《ポタリング日記》3

【コラム・入沢弘子】畑の小道に自転車を止めて山の稜線(りょうせん)を眺めていると、パラグライダーの鮮やかなキャノピーが降りてきました。黄金色に輝くイチョウの大木。枯れ葉色の田畑でひときわ鮮やかな枝に残る柿の朱色。時間の流れがゆっくりと感じられます。土浦市小野地区は、小野小町伝説の残る地域。なだらかな山に囲まれた日本の原風景のような眺めです。 車は観光施設「小町の館」に止め、トランクから愛車「BROMPTOM(ブロンプトン)」を取り出します。館でいただいた周辺案内マップを片手に出発です。まずは先ほど見えた大イチョウを目指しましょう。 大きな水車の横の道をハイキング姿の方々に混ざって進みます。木の下にはたくさんの石碑がありました。文字や仏像が彫られたものが並んでいます。高い石に記されたのは十九夜塔の文字。道に戻り、腰掛石・朝日峠展望公園の看板に沿って進みます。木道で沢を渡ると石が現れました。小野小町が山越えの途中でひと休みしたと言われる腰掛石。三段の階段状の平坦な石は座り心地がよさそうです。 一気に坂を下り集落沿いの道を進むと、また石碑が目につきました。二十三夜塔と記されています。道の奥に見える拝殿に近づくと、日枝(ひえ)神社でした。どうやら裏口から入ってしまったようです。以前に流鏑馬(やぶさめ)を見に来たことを思い出しました。日枝神社の流鏑馬は長い参道で行われます。満開の桜の下、鮮やかな衣装で白馬に跨る射手。走りながらではなく、立ち止まって射る姿も印象的でした。 そば焼酎「土浦小町」を購入 次は坂東三十三観音第26番札所の清瀧寺(きよたきじ)を目指します。県道199号を筑波山方面に渡り、分かれ道を清滝寺の看板方向へ行くと大きな石碑が現れました。大きくカーブする道の右側に石碑群。文字を刻んだものに加え、仏像も見られます。風化して丸みを帯びて優しい表情。薄暗い坂を上っていくと、重厚感のある山門が見えてきました。 自転車を止め石段を上ります。静寂の中で本堂に参拝。大師堂の弘法大師石像は浸食もなく、はっきりとしたお顔立ちです。戻る途中に見つけた、翠巌山向上庵(すいがんさんこうじょうあん)の石碑方向に細い坂道を行くと古い石段が出現。檀家以外の入山は遠慮くださいとの貼り紙があり、引き返します。 小町の館に戻り、そば焼酎「土浦小町」を購入。今年初めて土浦市産の常陸秋そばで醸造され、新そばの時期に発売になったばかりだそうです。石仏が気になったので調べてみたら、「土浦の石仏-新治地区編-」の図録が市立博物館と考古資料館で販売されていることが分かり、帰りがけに入手しました。 2014年発行の図録によると、小野を含む新治地区には682基の石仏が確認されたそうです。石仏の所在がわかる地区別の地図や形状の説明や写真も掲載されています。来年は、新治の里の石仏を訪ねるポタリングもいいかもしれません。 焼酎のお湯割りのグラスからは、ふくよかな香りが立ちのぼっています。仏像の穏やかなお顔が思い出され、ふわっと、温かい気持ちになってきました。(広報コンサルタント)

牛のげっぷから世界を救う 胃内細菌に新種を発見 農研機構

丑(うし)年もいよいよ師走。牛のげっぷには温室効果ガスであるメタンが大量に含まれることが知られるが、メタンの生成を抑える効果の期待される新種の細菌が、農研機構畜産研究部門(つくば市池の台、高橋清也所長)の乳牛の胃の中から発見された。乳牛精密管理研究領域、真貝拓三主任研究員らが取り組んだ研究成果だ。 牛などの反すう動物のげっぷには、消化管内での発酵により生じるメタンが含まれている。牛1頭からは1日あたり200~600リットルのメタンが放出されるという。メタンは、1個の炭素原子に4個の水素原子が結合する炭化水素で、地球温暖化の原因のひとつと考えられている。世界中の反すう家畜のげっぷに由来するメタンは、二酸化炭素換算で年間約20億トンと推定され、全世界で発生している温室効果ガスの約4%を占める。 牛には胃が4つあり、そのうちの第一胃と第二胃には内容液1リットルあたり10兆個以上の微生物(細菌など)が生息する。特に第一胃内には古細菌が高密度に生息し、発酵をさかんに行いメタンを生成する。発酵で生じる水素がメタンになり、げっぷとして排出されるのだが、細菌は本来えさを分解し、消化により牛に栄養を与える役割を担う。酢酸など短鎖脂肪酸をつくり、胃壁などから吸収される。 プロピオン酸前駆物質を多く生成 研究では、第一胃内の代謝産物、プロピオン酸に注目した。第一胃内で生成される短鎖脂肪酸のうち、プロピオン酸の割合は15~20%程度にとどまるが、多くつくられると、メタンの生成が抑制されることが知られていた。 第一胃内の細菌は約2400種あるという。特殊な栄養環境であるため、培養可能なものは2割程度で、機能の分かっていない細菌が未だ多いのが現状というなか、農研機構が保有する牛から、胃液中のプロピオン酸濃度の高い乳用牛を選び、第一胃内微生物の核酸配列を元に、微生物群集構造を網羅的に解析した。 胃液中のプロピオン酸濃度の高い牛に特徴的な細菌を見出し、これをターゲットに分離すると、プレボテラ属細菌の一種と見られる新規の嫌気性細菌が見つかった。この細菌はグルコース(ブドウ糖)などを代謝し、コハク酸、乳酸、リンゴ酸を生成する。コハク酸などは、他の第一胃内微生物によって主にプロピオン酸に変換される。「プロピオン酸前駆物質」と呼ばれるものだ。 プレボテラ属細菌はヒトの口や腸内にも多く存在する嫌気性細菌だが、見つかった細菌は、既知のプレボテラ属とは保有する遺伝子や生理特性が異なる新種だった。既知の細菌よりもプロピオン酸前駆物質を多く生成する特徴があったという。 今後、新種菌による飼料分解や発酵機能、第一胃内での増殖促進条件を明らかにすることで、乳用牛をはじめとした反すう家畜からのメタン削減に活用が期待される。真貝主任研究員によれば、「反すう動物にとってメタンを大気中に放出することは、飼料として摂取したエネルギーの2~15%を失うことになる。そのため、家畜からのメタン産生量の削減は、地球温暖化の緩和ばかりでなく、家畜の生産性向上の面からも期待される」としている。(相澤冬樹)

外国語を学ぶコツ⑥ 《ことばのおはなし》40

【コラム・山口絹記】「ところで、前回予告した通り、今回は発話における言語的な正しさ、なんてものについて話すていくンですが。まずはぢめに、あんた、この記事読んでンじゃん、今。それ、日本語を使用すること、可能ってことっしょ。ま、ネイティブなンだから全然すごいもなーんともないですネ」 コラム記事としては不適切な文章を書いてみたのだが、いかがだろう。国語学や日本語学の知識を動員するまでもない。おかしな日本語だ。文法的におかしい、語彙(ごい)の使い方が誤っている。TPOを考慮すればありえない言葉遣いだ。しかし、大まかな意味と意図は伝わってしまっているのではないだろうか。 さて、前置きが長くなったが本題に入る。 私を含めた多くの言語学習者にとって、正しい文法、正しい発音、というあいまいな概念は、発話する勇気をそぐ大きな要因になっている。しかし、上にも書いた通り、かなりおかしな言葉遣いでも相手に大まかな意味と意図を伝えるのには十分であることが多い。 今回の連載における目標はあくまで英語の上達だ。だからあえて言い切ろう。言語における「正しさ」という基準がもしも存在するとしたら、それは唯一「意図が伝わるかどうか」だけだ。 念のため断っておくが、「意味」が伝われば何でもよい、ということではない。先に書いた「意図」には、表面上の「意味」だけでなく、仲良くなりたい、理解しあいたい、などの意思も含まれるととらえていただきたい。 相手に敬意を示すためには、どうすれば失礼な物言いができるかを知っておいた方がよいし、好意を示したければ、敵意を示す方法を知っておいた方が身のためだ。さらに難解なことに、人間というのは、お互いの理解や親睦を深めるために、あえてナンセンスで誤った情報や常識を、誤ったものとして共有することを求める性質を持つ。いわゆる、冗談、ジョークというものだ。 意図を伝えるために最善を尽くす こういったことを一番効率よく学ぶ方法こそが、今までの連載でも述べてきた、英単語の多義性や歴史、文化などを学ぶことなのだが、どちらかと言えば、机上でいくら学習しても十分でないと知ることの方がよほど大切だ。 正しいと言われる表現さえしていれば問題が起こらないなら、誰だって苦労はしない。売り言葉に買い言葉をしたことのない者はいないだろう。そのいさかいの原因は、果たして文法上の問題だっただろうか。違うだろう。母語ですらしょせんその程度なのだから、外国語を特別扱いする必要などないことは自明である。 何より大切なのは、「意図を伝えるために、どこまでも最善を尽くす」ということに他ならない。一言で伝わらなければ、時間をかけて、場合によっては一生すら賭して、辛抱強くことばを重ねる。これは母語でも同じである。いかがだろう。私の意図は伝わっているだろうか。 四の五の言わずに話し始めよう。ということだ。(言語研究者)

売却の目安は68億5000万円 つくば市旧総合運動公園用地

一括民間売却方針案が示されたつくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂)約46ヘクタールについて、五十嵐立青市長は1日の定例記者会見で、売却する場合の価格の目安について約68億5000万円になるとする考えを示した。取得価格約66億円(簿価)に利息約2億5000万円などを合計した金額という。 価格の根拠について市公有地利活用推進課は、公有地拡大推進法の逐条解説と、市土地開発公社の内部規定である業務方法書で、処分価格は原則として、土地の購入価格と借入金の利息、管理経費とされているためだとした。 一方、2019年に市が一括民間売却方針を打ち出した際は40億円以上だったことについて同課は、40億円は当時、提案事業者が示した用地取得予定価格であり、市がそれで(40億円)売ろうとしたということではないとしている。 一方、今回、なぜ一括民間売却とするのかについて五十嵐市長は、今年4、5月のサウンディング型市場調査(民間企業などの意向調査)で具体的な施設が示され事業者から一括購入の意向があったこと、今年2月に市が示した約13ヘクタールに防災拠点を整備する案は約28億円かかることから過大な公共投資を抑えるため、さらに今年6月、市議会高エネ研南側未利用地調査等別委員会(浜中勝美委員長)から提言書が出されたことを挙げ、特に市議会から提言書が出されたことが大きいとした。 2019年に一括売却方針を出した際、五十嵐市長は、利子負担を減らすためと説明し(19年10月10日付)、今年2月に防災拠点の整備を表明した際は、議会から公的利用を求める声が多かった、市財政に大きな負担とならない、市役所内から防災備蓄倉庫などの提案があった(21年2月20日付)とそれぞれ説明し、民間売却の理由や目的が変化していることに対しては「場当たり的ではない」と否定した。(鈴木宏子)

吾妻鑑に見る常陸守護、八田知家 《ひょうたんの眼》43

【コラム・高橋恵一】都道府県魅力度最下位・茨城県の地元ひいきの立場からすると、鎌倉時代から戦国末期まで、筑波地方を支配した小田氏の祖、八田知家(はった・ともいえ)の知名度を上げる必要があると思う。 知家の茨城での評価は、出自不明で旧来の支配者、大掾多気(だいじょうたけ)氏をだまして領地を奪ったなどとする評価がつきまとっている。知家の親は、宇都宮座主(ざす)の八田宗綱(むねつな)で、領域南端の五行川と小貝川が合流する手前(旧下館市)の「八田」に居館(きょかん)を置き本拠の地としていた。 源義朝(みなもとのよしとも)が下野守(しもつけのかみ)であったこともあり、八田宗綱や小山政光(おやま・まさみつ)と源義朝とのつながりは深く、小山政光の妻(寒河尼=さむかわのあま=八田知家の姉)は、頼朝の乳母になっており、知家は、保元の乱で源義朝に従って少年武者として戦闘に参加している。頼朝(よりとも)の挙兵に、小山一族や宇都宮一族がいち早く駆け付け、頼朝から信頼される御家人となった。宇都宮・八田氏一族と小山氏一族は連携して、鎌倉幕府を支える強力な勢力を保った。 頼朝は、富士川の戦いに勝利すると、まず、関東を抑えることを優先した。当時、常陸国は平氏の知行国であり、大掾多気氏を本宗(ほんそう)とする常陸平氏一族と那珂川以北を治める佐竹氏は、平家の家人として頼朝追討の指示を受けており、反頼朝あるいは日和見の立場にあった。 頼朝は、常陸国の国府まで出向いて、佐竹氏を降伏させ、鎌倉への帰途に「八田館」に立ち寄った。吾妻鑑(あずまかがみ)には、「小栗重成(おぐり・しげなり)の小栗御厨(おぐりのみくりや)の八田の館」とあるが、御厨の荘官が小栗氏であり、御厨エリアの中にある八田氏の舘を指していると読むのではないか。小栗氏は小栗に館を持っており、極めて近い八田に別の舘を持たないであろう。源頼朝が立ち寄ったのは信頼度の高い八田氏の居館とするのが自然だろう。 奥州攻めの東海道大将軍に 佐竹攻めの3カ月後に志田義広(しだ・よしひろ)の乱がおこり、小山一族が主体となり、八田知家も戦功を挙げた。志田義広の旧領の内、知家は、信太荘(しだのしょう)、南野荘を与えられ、国府を挟んだ南郡の地は、下河辺氏(小山朝政=おやま・ともまさ=の弟)に与えられた。 南野荘西端に小田があり、知家は、ここに居館を構えた。常陸平氏は、奥州藤原氏とのつながりも深かったので、下河辺(益戸=ますど)氏が国府を望む志築に居館を構えたことと併せ、頼朝政権が常陸国府、鹿島社と下野国府、小山一族の拠点、旧常陸平氏の本拠地をつなぐ交通路の拠点を抑えたということであろう。 知家は、奥州攻めの東海道大将軍となり、大掾多気氏を含む常陸の武士を率いて参戦した。また、知家は常陸の国の守護職にもなっているが、大掾多気氏との関係は、緊張が続いていた。有名な曽我兄弟の仇討の時、頼朝警護の動員がかかり、多気義幹(たけ・よしもと)は、うその動員と思い込んで参陣せず、謀反を疑われて没落した。知家の陰謀とされるが、事態の日数からすると、多気義幹の失態と考えられる。 鎌倉幕府が確立する過程で、知家の京の作法に通じた見識は、頼朝に頼られる存在であり、軍事面だけでなく、大江広元(おおえのひろもと)や三善康信(みよしのやすのぶ)などと共に幕政の中枢に存在した。知家の後も嫡子知重(ともしげ)、養子中條家長(ちゅうじょう・いえなが)、小山政光の子、結城朝光(ゆうき・ともみつ)などが幕政に参画し、主要な御家人が、北条氏などとの確執で滅ぼされた中で、政権の中枢にあり続けたのだ。(地図好きの土浦人)

絶滅危機と観測継続に立ち向かう 国立環境研 寄付金専用サイト立ち上げ

国立環境研究所(つくば市小野川)は30日、寄付金受け入れのための専用サイトをリニューアル公開、特に「絶滅の危機にひんする野生生物の遺伝資源保全」と「全国の調査員を募集して行う生物季節モニタリング」の2つのプロジェクトに注力する。研究力強化、社会貢献、環境人材の育成などを目的に、8月に寄付金制度を改正、研究テーマなどから使途をあらかじめ特定し、一般に支援を呼び掛ける募集特定寄付金が設けられたことから、先行する2プロジェクトで活用を図った。 このうち生物季節モニタリングは、日本全国に市民調査員を募集し、気象庁が行ってきた生物季節観測を継承しつつ、現代的な形で発展させるネットワーク構築を目指している。モニタリング調査員の募集は、8月から始まっており、すでに392人が応募している。寄付金は、調査道具や旅費の支給など多くの調査員に参加してもらえるような体制つくりや自動観測技術の開発に役立てる考えでいる。 生物季節観測は、季節の遅れ進み、気候の違い・変化を的確に捉えることを目的に、観測方法を統一して気象庁が1953年に開始し、全国の気象台・測候所58地点で57種の動植物を対象に開花や初鳴きなどを観測してきた。しかし、近年は気象台・測候所周辺の生物の生態環境の変化から、標本木の確保や対象種を見つけることが困難となるなどして、2021年以降、植物6種目9現象だけを残してその他の観測が廃止された。継続しての調査は各方面から望まれたことから、国立環境研究所は気象庁、環境省と連携して、新たな「生物季節モニタリング」を立ち上げた。 環境研気候変動適応センターの辻本翔平特別研究員は「一度は無くなってしまった全国規模での観測体制をぜひ再構築して次の世代につなげたい。気候変動から継続が難しくなったものだが、気候変動だからこそ観測し続ける意義がある」と研究所の動画チャンネルに出演して寄付を呼び掛けている。 もう1つの「野生生物の遺伝資源保存」は絶滅危惧種の細胞(体細胞や生殖細胞)を生きている状態で凍結保存するプロジェクト。これによって絶滅危惧種の生理機能や遺伝情報を安定的な状態で将来に残すことを目指している。 これまでに約120種約4000個体の試料を凍結保存したが、カバーしたい種の3分の1程度の水準に留まっている。凍結保存は液体窒素で冷却したタンク中で行われるが、寄付金はこの液体窒素の補充などに用いたい考えで1000万円以上を目標にしている。(相澤冬樹) 寄付はオンラインで申し込め、オンライン決済、銀行振込のいずれかで行える。寄付者には返礼の特典が用意されている。詳細は寄付金専用サイトまで。

長大など4社グループに決定 つくば・洞峰公園の整備運営事業者

パークPFI制度(公募設置管理制度)を活用して洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)を整備・運営する事業者を公募していた茨城県(8月15日付)は、2022年度からの整備運営事業者を、大手総合建設コンサルタント会社、長大(東京都中央区)を代表法人とする「洞峰わくわく創造グループ」に決定した。 構成法人は▽イベント企画運営会社「TSP太陽」(東京都目黒区)▽会員制総合スポーツクラブ運営会社「東京アスレティッククラブ」(東京都中野区)▽現在、指定管理者として洞峰公園を管理・運営している「筑波都市整備」(つくば市)の計4社。 選定委員会(委員長・町田誠公園財団常務理事)が10月25日、最終決定した。募集のコンセプトである「研究学園都市にふさわしい総合公園として、自然樹林や洞峰沼を生かしつつ、スポーツや様々なレクリエーション活動が楽しめる拠点」にふさわしい提案だと評価された。応募は、わくわく創造グループのみだった。 事業期間は来年4月1日から最長20年間。10年間で更新する。 ドッグラン、BBQ、グランピングも 創造グループの事業コンセプトは「新たな洞峰公園ライフの創出~すべての講演利用者がわくわくできる公園づくり」。これまでの豊かな自然や美しい景観など既存ユーザーに愛され続ける公園づくりに加え、にぎわい創出による新たな利用者層を誘致できる公園づくりに取り組む。 愛され続ける公園づくりでは、研究学園都市のシンボル的な公園として「水と緑の広場」「多目的フィールド」「プロムナード」「洞峰沼」など、聖域エリアの維持管理を継続する。 新たな利用者層の誘致では、つくば市周辺では若い子育て世代が増加していることから、ファミリー層など幅広い利用者層が増える公園に変化させる。コロナ禍で見直されている散歩やジョギングのほか、SNS映えするスポットづくり、アウトドアブームに対応した公園づくりなど、新しい過ごし方を積極的に取り入れるとしている。 具体的には、ドッグラン、カフェ、グランピング、BBQガーデン、トレーニングジム、インクルーシブ遊具などを新たに設置する。さらにテニスコートを増設し、スポーツ・カルチャー教室を拡充、レストランをリニューアルし、駐車場を拡張する。 また地元に根差した運営を目指し、隣接する飲食店とも連携するほか、運営スタッフの地元採用、各種備品や消耗品の調達や食材は地元購入を基本とするとしている。 今後のスケジュールは11月下旬に「基本協定」を締結し、来年4月1日から整備運営を開始する。4月以降に新規施設の建設に入る。(山崎実)

黄色いイチョウ、翡翠色のぎんなん 《土着通信部》47

【コラム・相澤冬樹】銀杏を「いちょう」と読めば街路樹、「ぎんなん」と読めば農作物になる。前者はほぼ雄(オス)の木が並木を作り、後者は雌(メス)の木が畑に植わっている。雌雄異種といい、公園や社寺の古木は雌雄入り乱れる(?)形だ。イチョウ栽培歴30年、農事組合法人、つくば銀杏生産組合(石岡市半田)代表の櫻井和伯さん(66)にウンチクを含め語ってもらった。 組合名にある銀杏は「ぎんなん」。櫻井さんが土浦、石岡の圃(ほ)場で栽培しているのは久寿、喜平などの接種済銀杏樹木(接ぎ木で繁殖した雌木)で、販売もしている。これまでに県内外に1万本近くを植えてきた。かたや自宅わきの加工場で生産しているのは「実」の方、食用の部分は種子の中にあり、厳密に言えば「胚乳」という。9月半ばになると櫻井さんの植えた銀杏畑から、栽培農家が果肉を削いだ銀杏の種子を持ち込んでくるので、蒸して殻を割り「実」を取り出した上で選果する。 加工後の色合いが特徴的。「翡翠銀杏(ひすいぎんなん)」と呼んで商標登録している。最上級ランクの「特選翡翠」は鮮やかなグリーンをしている。黄味が加わるほどに「翡翠(ライトグリーン)」「シャトルルーズイエロー」と並ぶラインアップ。分かりやすいたとえでいうと「枝豆から大豆への色合いの変化に似ている」、味は未熟感に好みが分かれるが「まろやかさ」が身上という。 鮮やかなグリーンや未熟感にはわけがある。ぎんなんは実が青いうちに、落果を待たずに収穫してしまうのだ。機械で一気に実を落とす。今年の場合で9月18日ごろから摘み取りが始まり、特選翡翠は最初の10日間が勝負、次の10日間だとライトグリーンになってしまう。手早く収穫し、蒸す加工で黄化にストップをかけ、冷凍保管して出荷を待つ形だ。 市場出荷はしておらず、スーパーや小売店では購入できない。櫻井さんによれば「固有名称は勘弁してほしいが、高級ホテル、レストランを中心に取り引きしている」そうだ。翡翠銀杏は素揚げや天ぷら料理などで提供されているという。高級食材だ。 時代が昭和から平成に切り替わる1990年頃、櫻井さんは公園の植栽や街路樹用にイチョウの苗木を栽培して販売する事業から始め、農事組合法人は2002年ごろに立ち上げた。雄木から雌木への転換で、2008年いち早くぎんなん生産のJGAP認証を取り付け、総合衛生管理のHACCP(ハサップ)実施施設認定や県の6次産業化(総合化事業計画)認定も取得してきた。 ぎんなんは近年、栽培面積、生産量とも頭打ち(全国の栽培面積662ヘクタール、収穫量835トン、出荷量632トン=2018年特産果樹生産動態等調査)。中国産の輸入量が増えて価格も低迷している。そのなかで生産組合は独自路線を貫く。今季、県内30数件の栽培農家から実が持ち込まれ、約15トンが生産できたそう。「ぎんなんは年ごとの収量の差があまりなく、豊作の年は実が小さく、不作の年は実の大きさがカバーする。今年は前者だった」 櫻井さんは最近、栃木県内にも銀杏の木を植えている。イチョウに黄葉前線があるようにぎんなんも結実時期が北上するから、茨城県産の後に収穫時期を迎える栃木県産が入ってくる形をとれば、翡翠銀杏の生産期間が延びる。「次は新潟県だな」、さらなる生産拡大を狙っている。

農業用ロボットに大賞 県イノベーションアワード 第2回もつくば発

茨城県内の企業などによる先端技術を活かした新製品・新サービスから、特に優れたものを表彰する「第2回いばらきイノベーションアワード」で、県は29日、大賞(賞金 100 万円)にDoog(ドーグ、つくば市吾妻、大島章社長)社の農業用クローラーロボット「メカロン」を選んだと発表した。優秀賞3件もつくば市所在の企業・個人が独占した。 概ね3年以内に発売された先端技術を活用した新製品・新サービスのうち、特に優れたものを表彰する。一層の製品化や地域経済を支える新産業の成長を促すのを目的にしている。県内に本社・工場・研究所などの主な事業所を有する企業と個人の応募から審査して選んでおり、今回は20件の応募があった。 高齢化や人手不足の課題に貢献 大賞に選ばれたのは、Doog社の農業用クローラーロボット「メカロン」。農業現場をターゲットにした運搬ロボットで、自動追従機能やメモリートレース(走行させたいルートを一度走らせるだけでロボットが経路を記憶して自動走行できる機能)を搭載している。他社の自動追従機能は追従対象に電波式のビーコンや位置特定のためのマーカーを設置するが、「メカロン」はビーコンやマーカーを必要とせずに任意の物体を追従できる。自動走行の走行経路の構築は、作業者が歩くだけで構築可能という。 不整地や傾斜地での走行も可能で、噴霧器を載せての消毒作業や草刈り機のバッテリーを運ぶなど、収穫時期だけでなく年間を通して活用できる汎用性・市場性も持っている。 審査では特に、農業従事者の高齢化や人手不足の課題に貢献できる製品であり、革新的な技術であるにも関わらず直感的に使うことができる点が高く評価された。 同社では10月から、マーケティング機の発売を開始。複数のスマート農業プロジェクトや自治体からの引き合いがあり、県内のナシ農家からも関心を寄せられているそうだ。この先、全国の農家への販売体制を準備中という。受賞について「茨城県の取り組みの中で、農業ロボットの開発・実用化を模索してきた。農業県である茨城県において賞をいただけたことを大変うれしく思っている」とコメントしている。 優秀賞には、▽物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点(つくば市並木)電子機能高分子グループリーダー、樋口昌芳さんのメタロ超分子ポリマー「Poly(Fe-btpyb)Purple」(金属イオンと有機モジュールの錯形成により合成されたエレクトロクロミック特性をもつポリマー材料。調光ガラスの材料となる)▽エアメンブレン(つくば市千現、古賀義紀社長)の「2層グラフェン TEM グリッド」(クライオ電子顕微鏡向けに独自開発合成により生産した革新的試料支持膜。高強度、高清浄度、高電気伝導性、高熱伝導性を有している)▽PLIMES(つくば市天王台、鈴木健嗣CEO)のウェアラブル嚥下(えんげ)計/摂食嚥下モニタリング解析サービス「GOKURI」(ウェアラブルデバイスにより、嚥下に関わる医療・福祉をデジタル化し、患者のマネジメントを包括的に支援するサービス)-の3件が選ばれた。 同賞は第1回の昨年、医療相談アプリのLEBER(リーバー、つくば市、伊藤俊一郎社長)社が大賞を受賞した。県科学技術振興課は「つくば市が独占した格好になったが、あくまで結果。県内各地に優れた技術が育っている」としている。表彰式は後日行われる。(相澤冬樹)

つくば市、1億円を損害賠償請求へ 事業ごみ不正積み替え問題

つくば市谷田部の廃棄物運搬業者、江原工業所が、事業系ごみの一部を家庭ごみに不正に積み替えて、市のごみ焼却施設に搬出していた問題で(2020年9月1日付、18日付)、つくば市は、同社などを相手取って、本来得られたはずの事業系ごみの処理手数料など約1億円を損害賠償請求する方針だ。30日開会の12月議会に提案し、裁判所に訴えを起こす。 16年4月から20年1月まで3年10カ月間に本来得られたはずの損害金約1億85万円と、弁護士費用約1008万円、遅延賠償金などの支払いを求める。不正の期間や積み替えた量、算定方法などの根拠について市環境衛生課は、これから裁判になることなので「差し控えたい」としている。 市によると、訴えに先立って、9月22日に損害金の支払いを求める通知を出したが、支払い期限の10月22日までに支払いに応じなかった。 不正積み替え問題は2020年3月、元従業員が市に内部告発し発覚した。同年8月には「NHKから国民を守る党」(当時)が、不正積み替えを内部告発動画で配信し、市に抗議などが寄せられた。 江原工業所は当時、飲食店や事務所などから出る事業系ごみを収集・運搬する許可を市から受けていたほか、市の委託を受け、谷田部地区の一部で家庭ごみを収集していた。 事業系ごみは、廃棄物運搬業者が、ごみを出した事業所から収集運搬料を受け取り、市に10キロ190円(19年9月までは185円)の処理手数費を払って、市のごみ焼却施設に搬出する。一方、家庭ごみは無料で市のごみ焼却施設に搬出できる。 江原工業所は、収集した事業系ごみの一部を、処理手数量が無料の家庭ごみ収集車に移し替え、市に処理手数料を支払わす、ごみ焼却施設に搬出していたとされる。 市は2020年9月、不正な積み替えがあったとして、つくば警察署に被害届を出したほか、江原工業所に委託していた家庭ごみ収集委託契約を解除し、違約金約850万円を請求した。違約金は期限までに支払われた。一方、被害届は不起訴になったという。(鈴木宏子)

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