日曜日, 10月 6, 2024

《地方再生を考える》17 中小企業再編論と忍び寄るリスク

【コラム・中尾隆友】菅政権が日本の生産性を引き上げるために中小企業再編論を掲げている。ただし問題なのは、その手段にある。菅政権は最低賃金の大幅な引き上げを通じて、中小・零細企業を次々と淘汰していく考えを持っているからだ。実際に菅首相は最低賃金の引き上げについて、ことあるごとに「5%程度を目指す必要がある」と述べている。 最低賃金が低いから経営が成り立っているような中小零細企業は淘汰されるべきだ。中小・零細企業の淘汰が進めば、日本の生産性は上がるはずだ。菅政権の中小企業再編論は、そういった論理で成り立っている。 これは少し考えればわかることだが、この考え方では「中小零細企業の経営者がやる気を出せば生産性を高められる」と言っているのと何ら変わりがない。精神論の類に近いといわざるをえず、論理的に破綻している。 たとえば、最低賃金を毎年5%ずつ引き上げていくと、5年で1.28倍に、10年で1.63倍になる。ということは、現在の最低賃金(全国平均902円)は3年後に1000円を突破し、5年目に1100円、10年目に1400円を超える。 その帰結として、地方でアルバイトやパートで成り立っている零細企業の大半は、雇用を保って赤字経営が慢性化するか、雇用を削って縮小均衡を図るか、倒産・廃業をするか―主に3つの選択を迫られることになる。 大半の零細企業は淘汰される可能性が高い。そのときに真っ先に失業に追い込まれるのは、低賃金だからこそ仕事にありつける、特別なスキルを持たない人々だ。最低賃金の無理な引き上げは、最も社会が助けなければならない人々をさらなる窮地に陥らせてしまうわけだ。 つぶれなくてもいい企業までつぶれてしまう そもそも最低賃金が低いから成り立っているような企業に対して、生産性が低いゾンビ企業と一律にみなすのは、非常に浅はかな考えだ。低賃金の労働に支えられる企業のなかには、デジタル化や自動化が難しいうえに、私たちの生活に欠かせないサービスを提供するものも多いのだ。 そういったサービスが最低賃金の大幅な引き上げによって失われるようなことになれば、それは経済的にも社会的にも大きな損失だ。企業が淘汰されるか否かは、消費者の動向が決めるべきであり、政府が最低賃金の大幅な引き上げによって基準を決めるというのは正しいといえないのではないか。 さらに付け加えれば、最低賃金を上げ過ぎると、つぶれなくてもいい企業までもがつぶれてしまうという弊害がある。競争力のある健全な企業までもが、淘汰の波に巻き込まれてしまうというのは、由々しき問題だ。 中小零細企業が多い地方にとって、菅政権の中小企業再編の動きは目が離せない。(経営アドバイザー)

会計検査院指摘の2200万円を返還 つくば市障害者給付負担金

2019年度の会計検査院検査報告で、つくば市が18年度に国から過大な負担金交付を受けていたと指摘された障害者自立支援給付費負担金について、同市は10日、約2200万円を国と県に返還すると発表した。12月補正予算案に計上し議会に提案する予定という。 市障害福祉課によると、過大に交付を受けていたのは、障害者の生活支援事業所や通所支援施設、入所施設などが、障害者の日常生活を支援するのに要した事業費のうちの国や県からの負担金の一部。18年度に実施された事業費約21億9000万円(延べ約2万3000人分)のうち、国から1472万円、県から736万円の負担金計約2200万円を過大に受け取っていた。 国や県の負担金を計算する計算式の掛け率について、同市は財政力指数1以上の掛け率を使わなければならなかったにもかかわらず、同1未満の掛け率を掛けて計算してしまったことが原因という。 会計検査院から19年度に過大交付の指摘を受けた後、国や県と事務処理方法について協議し、今回、返還金額が確定した。サービス事業者に対しては過大な支払いはないとしている。 市は「今後は実績報告書の審査や確認を徹底し、関係機関とより緊密に連携して再発防止に努めます」としている。

子どもたちに聖夜のサプライズ つくば版 サンタの訪問プレゼント

【車谷郁実】NPO法人チャリティーサンタ(東京都千代田区)のつくば支部が、クリスマスイブに向け「サンタ活動」に取り組んでいる。毎年12月24日にサンタクロースに扮したボランティアが、子どもたちにプレゼントを手渡す活動だ。訪問した家庭や施設からチャリティー金3000円を募り、貧困家庭や被災地の支援にも役立てている。サンタを呼ぶには事前の申し込みが必要で、12月13日まで募集している。 チャリティーサンタは「子どもたちが笑顔になれる社会づくり」をモットーに、サンタ訪問や子どもとの交流会、国内外の貧困家庭や被災地の支援活動を行っている。2008年に始まり、現在は27都道府県で活動している。つくば支部は3年前に発足した。 経済的に余裕のない家庭などを対象に無料のサンタ訪問も行っており、依頼先の子どもたちに絵本をプレゼントしている。支部では昨年、14人のサンタが11家庭を訪れ(うち2家庭は無料訪問)、今年は30家庭への訪問を目標にしている。 活動でサンタが各家庭に滞在できるのは10分ほど。その短い時間を一生の思い出にするために同法人は工夫を凝らしている。特に大切にしているのは、サンタが子どもたちとコミュニケーションをとることだ。申し込み時に子どもの性格や普段頑張っていること、どのくらいサンタを信じているかなどを記入してもらう。それをもとに「いつも弟のお世話を頑張ってくれているね。すごいね」「嫌いなニンジンをもっと食べてくれたらうれしいな」など一人ひとりに合った言葉をかける。 つくば支部代表で、これまでに2回サンタになって家庭を訪問した会沢和敏さん(56)は「話しかけることで子どもたちがサンタを受け入れてくれる。子どもたちのサンタを見つめる目がとても印象的」と話す。うれしさのあまり部屋中を駆け回ったり、目を輝かせながらじっとサンタを見つめたり、子どもたちの多種多様な反応が見られたそうだ。 「コロナの年ではなく、サンタに会えた年に」 コロナ禍の今年は、サンタ活動にもソーシャルディスタンスが求められた。サンタと子どもたちが十分にコミュニケーションをとれないという懸念もあり、準備が始まった6月頃は開催自体を断念すべきという意見もあった。だが、利用者から「子どもたちがサンタを待っている」という声があがり、開催が決まった。サンタはマスクや手袋をするなど、感染対策を徹底してプレゼントを届ける予定だ。 スタッフの一人、文教大学3年生の猪瀬千夏さん(21)はコロナ禍でのサンタ活動に特別な思いを寄せる。猪瀬さんは今年6月にスタッフになった。きっかけはバイト先の放課後児童クラブで接した子どもたちの様子だった。感染対策で、しんと静まりかえった教室でご飯を寂しそうに食べる子どもたち、学校行事が縮小されて落ち込む子どもたちを見て、何かできることはないかと思ったという。猪瀬さんは「子どもたちは今年、色々なことを我慢してきたと思う。だから子どもたちに何か明るい思い出を残したい。暗いコロナの年ではなく、サンタに会えた年にできれば」と話す。 サンタを呼びたい家庭、サンタになりたい人は、チャリティーサンタのホームページから申し込みできる。無料のサンタ訪問の申し込みは11月13日まで、すでに昨年の4倍の8家庭から依頼がきている。サンタになりたい人の申し込みは12月11日まで受け付けている。 ◆NPO法人チャリティーサンタ「サンタを呼ぶ/サンタになる」の特設ページはこちら

《続・平熱日記》73 冬が来る前に薪ストーブをゲット!

【コラム・斉藤裕之】その日は水栽培用のヒヤシンスの球根を求めてホームセンターに向かった。特に用もないが木材売り場の辺りをうろついていると、目新しい薪ストーブが目に留まった。1桁違う値段が付いていて量販店では以前には見なかった知る人ぞ知る代物だ。 「これいいんだよね!」と言ってみたものの、色のいい返事は期待していない。ところがカミさん、「煙が少ないのはいいね。中古がネットで出てたりしないの?」と、まんざらでもなさそうな返事だ。しかしオークションサイトではほとんど見かけたことがない。 試しにネットオークションを見てみるとなんと、出品されたばかりの「NEW」のマークとともに、同社製の上位機種の薪(まき)ストーブを発見。これは何かの縁。久しぶりに物欲というかリビドーってヤツか、アドレナリンが沸いてくる。 「こんなん出ました!」とカミさんに見せる。しかし引き取り限定。しかも新潟県。おまけにオークションの経験もないので、ここは一息置いて熟考。交通費や手間を考えると、ホームセンターで新品を買ってもいいのか? 結局タイムリミットを迎えたのだが、翌朝もう一度ネットをのぞくと、入札がなかったらしく「即決価格」に変わっている。起きてきたカミさんを待って相談の上、「ポチリ」。めでたく落札と相成った。 今年の冬はこれで万全! 世の中、「ゴートゥー〇〇」で高価なホテルがお安いだの、ランチがお徳だの、金持ちが多いのか、全く別の世界のように感じてしまうのは、多分私がズレているからだろう。 というか、そもそも何万円もする部屋に泊まって、テーブルいっぱいに並べられた料理を食べることになんの興味もない私は、ひとり「サイトゥーキャンペーン」と称して、この冬を楽しく過ごすために新潟行きを決意。ちなみにカミさんは高速道路が嫌いという理由で自宅待機。 出発は朝5時。カミさんの軽自動車で圏央道から関越道へ。朝日に映える赤城山、榛名山を通過して、紅葉美しい谷川岳は晴天。しかしトンネルを抜けると、そこは雨。越後妻有 (えちごつまり)トリエンナーレの名残を車窓に、現地に着くころはすっかりまた晴れていた。 恐らく、もう1カ月もすれば、雪景色となる日本有数の豪雪地帯。基礎の高さや屋根のつくりから冬の厳しさが想像できる。小旅行気分を味わいながら、グーグル先生に導かれて無事現地に到着後、ストーブをゲット。帰りに魚沼産の新米を買って2時過ぎには帰宅。思いの外疲れなかった。 さて、ここからは百戦錬磨の夫婦の技の見せどころ。培った知恵となけなしの体力で100キロの代物を何とか家に運び入れ、夕方には煙突も着け終えて火入れ式。 「かーちゃん、よく頑張った! これで今年の冬はこれで万全! 今日は回転ずしだ!」。「割引クーポンでもあるの? 都民割? 何割?」。そうさなあ、あえて言えば、このストーブの暖かさは「じんわり 」。それからあるとすれば「薪割り」かな。(画家)

勝手につくば大使に当選無効申し立て 「名前でなく事業体名」

【鈴木宏子】10月25日投開票が行われたつくば市議選で、通称の「勝手につくば大使」が認められ、初当選した小村政文さんについて、「『勝手に…』は名前ではなく事業体名であり、通称として認められるものではない」などとして、同市の横井美喜代さん(71)ら5人が9日、同市選挙管理委員会に当選無効を申し立てた。同選管は同日、受理した。 異議申立書によると、小村さんは勝手につくば大使のホームページで、「勝手に…」について「つくば市の魅力を伝える活動」であり、現在2人で活動し、自身については「コム」(小村さんの愛称)だと自己紹介している。さらに2017年にクラウドファンディングを実施した際は、「勝手に…」を「地域密着型メディア」だと説明している、などとしている。 その上で、「勝手につくば大使」はメンバー2人による「ブログやフリーペーパーを使った媒体名」であり、「活動のチーム名、グループ名であるので、氏名ではなく事業体名だ」とした。 さらに「今後のつくば市の選挙で『勝手につくば市長』『勝手につくば市議』など、奇をてらった、面白そうな名前が通称として認められてしまう恐れがある」などとしている。横井さんは「選挙はだれにとっても公正でなければならないが、奇をてらった名前が(選管に)認められてしまえば公正ではなくなると思う」と話す。 通称の使用は、本名以外の呼称が本名に代わるものとして広く通用している場合、選管に申請し認められれば使用することができる。 市選管は、「勝手につくば大使」を通称として認めた理由について、本人からフリーペーパーや郵便物が提出され、当該名義で幅広く活動していることから認定したとしている。 一方、小村さんは「事実確認を先にしたい」としている。 市選管の裁決は後日、出される。 【10日午後7時45分追加】市選管は10日、裁決の期限について、申し立てから30日以内の12月8日までに、当選の効力について判断すると発表した。 【18日訂正】上記【10日…追加】の記事中「選挙の効力」を「当選の効力」に訂正しました。

コロナ禍乗り越え「夏の夜の夢」 劇団創造市場、土浦市文化祭に参加

【伊藤悦子】土浦市を拠点に活動する劇団創造市場(同市西真鍋町、稜地一週代表)が15日、市制施行80周年記念の同市文化祭でシェイクスピアの喜劇「夏の夜の夢」を公演する。同劇団は今年結成50周年、節目の年となるはずが、新型コロナウイルスの影響から無観客公演や公演中止に見舞われ、苦境をようやく乗り越えての文化祭参加となった。 公演の延期や中止、稽古はオンライン 毎年3月に公演していた入場無料のアトリエ公演は中止。緊急事態宣言が発令され、稽古場に集まることができなくなった団員たちは、LINEを使いオンラインで週3、4回、2時間の稽古を続けたという。5月に緊急事態宣言が解除され、ようやく公演にこぎつけたが感染防止のために無観客だった。 6月には市制施行80周年と市民会館リニューアルを記念した「シンデレラ」公演が予定されていたが、中止になった。有料の公演がなくなったことで劇団の収入は途絶え、稽古場の家賃支払いなどで預金も底をついたという。 県などからの補助金により、9月にはリニューアルした市民会館小ホールで「そして誰もいなくなった」公演に漕ぎつけることができた。密を避けるため客席288席のうち120席しか使えず、公演を通常の2回から4回に増やした。 感染予防のため作業も増えた。客の入場時には検温とアルコール消毒を行い、名前と住所を登録してもらった。公演が終わるたび、出番が終わった役者も加わりスタッフ全員で席をすべて消毒。結果的に、観客にもスタッフにも1人の感染者を出さなかった。 「感染しないという信頼を」 集まって稽古ができるようになっても、環境は以前と一変した。全員がマスクを着用し、アルコールで手を消毒、検温を行う。稽古中もマスクかフェースシールドを必ず着用する。演技に夢中になり、役者同士の距離が近づきすぎると「近すぎる」「離れて」と注意する声が飛び交う。稽古場のドアは開け放ち、扇風機2台を回し、換気を続けている。 「団員には人を見たら新型コロナだと思え、自分もかかっていると思え。そのぐらい強い気持ちで感染予防をしている」と稜地さん。「公演を見に行っても感染しないという信頼を積み重ね、見に行っても大丈夫だということを浸透させたい」と語った。 役者同士が近づくシーンを入れない、近づいてもすぐ離れるようにするなど演出にも感染予防を取り入れた。「そういった意味からは100%の演出ではなく80%かもしれないが、お客さんに喜んでもらえるものを作ることができた」と話す。 「夏の夜の夢」は、50周年の同劇団がたびたび上演してきた演目だ。8月に入団し、今回初めて出演する塚本沙世さん(27)は、ガの妖精を演じる。「シェイクスピア劇はセリフが難しいが楽しい。夏の夜の夢は喜劇なので、お客さんにたくさんわらってほしい。新型コロナでたまったうっぷんを晴らしてもらえれば」と来場を呼びかけた。 当日の感染対策は、手洗い消毒、マスク着用。入場時に検温を行い、名前と連絡先を記入する。劇場内では、1席ずつ空けて着席する。22日には小美玉市で茨城県芸術祭公演の予定もある。 ◆劇団創造市場「夏の夜の夢」 15日(日)午後3時と午後6時30分の2回、クラフトシビックホール土浦(土浦市民会館)大ホール▽チケットは前売(一般)2000円(高校生以下)1700円、当日券(一般)2200円(高校生以下)1900円▽問い合わせは劇団創造市場(電話029-821-9405)

《邑から日本を見る》75 この国は独裁国家なのか

【コラム・先﨑千尋】「オレの言うことを聞かないヤツはみんなクビだ!」。この国は、将軍や大名が支配していたころに戻ってしまっているようだ。「総理大臣になれば、自分の考えや思っていることは何でもできる」。日本学術会議をめぐるこの1カ月余りの動きを見ていての感想だ。 「はじめにおわりがある。抵抗するなら最初に抵抗せよ」。私が師と仰ぐジャーナリスト、むのたけじの言葉だ。 ナチスドイツの時代の牧師マルティン・ニーメラーの言葉も引く。「ナチスが共産主義者を攻撃しはじめたとき、私は声を上げなかった。私は共産主義者ではなかったから。次に社会民主主義者が投獄されたとき、私はやはり抗議しなかった。私は社会民主主義者ではなかったから。労働組合員が攻撃されたときも私は沈黙していた。そして彼らが私を攻撃したとき、私のために声を上げる人は1人もいなかった」。 私はしがない田舎の一農夫。だがやはり今、「菅さん、独裁者づらするな。この国は一応民主主義の国ですよ」と声を上げよう。この国の未来のために。 発端は周知の通り、先月9日の菅首相の次の発言。「日本学術会議が提出した会員推薦者名簿は見ていない。決裁直前に6人が除外された99人分の名簿を見ただけだ」。しかし、その後の首相や加藤官房長官らの説明や答弁はめまぐるしく変わり続ける。 政府の言い分は支離滅裂 最初は「総合的、俯瞰(ふかん)的に決めた」と意味がわからないことを言い、「任命すると公務員になるので政府として関与し、責任を取る必要がある。人事のことだから、具体的な説明はしない」と居直り、いまだに6人を除外した理由を明らかにしていない。除外したのは政権の政策を批判していたから、とは口が裂けても言えないだろう。 10月26日のNHKの番組では「説明できることとできないことがある」と本音をもらした。これも恐ろしい言葉だ。私たち国民に説明できないことを、総理が自分の判断でやってしまう。やりたい放題、なんでもできるということだ。 菅首相は最初に、6人を除外したことは知らなかったと言った。しかしその後の発言で、6人を標的にして意図的に外したことがだんだんわかってきた。2日の衆議院予算委員会では、学術会議は「閉鎖的で、既得権益のようになっている。前例踏襲はやめ、民間人や若い人が増えたらいいと私が判断した」と答弁している。 本会議での代表質問に対しても「(学術会議は)専門分野にとらわれない広い視野に立って、バランスのとれた活動を行い、国民に理解される存在であるべき。出身や大学にも偏りが見られる。多様性を念頭に私が判断した」と言っている。6人を外したことには答えず、組織のあり方をやり玉にあげているのだ。論理のすり替えでしかない。 これらのことから、最初の学術会議からの提出名簿を見ていないという発言はウソだったことがわかる。名簿を見ていないのに、どうして判断したのかを説明できない。2日の予算委員会でも菅総理は、加藤陽子氏以外は知らなかったと答弁した。著作も論文も読まないで、どうして5人を排除したのか。 加藤氏については、素晴らしい業績を知っていたが、政府に楯突いたから外した、と言っている。語るに落ちるとはこのことを言う。6人の中には、学術会議の会員がいない私大の研究者も含まれている。政府の言い分は支離滅裂だ。(元瓜連町長)

グランドオープンに代わるおひろめ会 つくば・小田小交流プラザ

【相澤冬樹】廃校になったつくば市立小田小の跡地に整備された「小田小交流プラザ」のおひろめ会が8日、現地で行われた。施設を運営する小田地域まちづくり振興会(鈴木真人会長)が主催した。 おひろめ会は、グランドオープンを予定していた5月の開所式の代替開催。地元の区長や民生委員、各種団体の関係者を招いた。教室を改造した施設を見て回り、昼食バーベキューで交流する機会として設けられた。 会場入りした五十嵐立青つくば市長は「いわゆるR8の周辺市街地で、地域住民によるまちづくりが活発化しているが、なかでも小田地区は先行しており、モデルと言ってもいい。これをプレッシャーにぜひ取り組みを推進してほしい」と励ました。 同プラザは、2018年3月末で廃校になった旧小田小に設けられた。増築校舎と呼ばれた鉄筋コンクリート造3階建て棟の1階部分の教室と運動場を活用している。宝篋山の麓にある小田の市街地と、サイクリングロードが通る小田城跡歴史ひろばの中間部にあることから、訪れる人と地域住民の活動が交流する結節点(ハブ)として位置づけられた。 市がエアコンの取り付けや、児童用だったトイレを大人も使える形に改造する工事などを行った上、光熱費などを負担して貸し出し、同振興会がサポーター組織などを整えて自主運営する。当初は5月のグランドオープンを予定していた。 新型コロナの影響で、「集客施設なのに集客してはいけないといわれる辛い立ち上がり」(同振興会)となり、ようやく仮オープンできたのは9月になってから。週末の金・土・日曜日に教室の貸し出し利用を開始したところ、10月の来館者数はのべ1519人、団体利用数は12回を数えた。 地元の小学生らの集まり、小田っ子クラブ(参加16人)の自主企画「こどお化け屋敷」の開催をはじめ、研究学園都市地区の子供たちが団体でやってきては「スポーツ鬼ごっこ」に興じる利用もあった。 玄関ラウンジと元の家庭科室はフリースペースになっていて、1人でふらり訪れても自由に滞在できる。教室には清涼飲料をストックした冷蔵庫や電子レンジなどがあるほか、洗濯機もあって「泥んこになっても大丈夫」と利用を呼び掛けた。 このほか貸切利用でも可能。団体利用には1登録あたり1000円の初回登録料が必要。1教室は半分スペースからの利用ができ、1時間500円~、市外同1000円~、運動場は半日2000円~3000円の利用者負担金がかかる。いずれも税込み。 問い合わせは同プラザ(電話029-811-6154)http://www.odashou.com/

茗渓学園が9大会連続優勝 高校ラグビー県決勝

【池田充雄】第100回全国高校ラグビー県代表決定戦が7日、水戸市のケーズデンキスタジアム水戸で開かれ、茗渓学園(つくば市)が88-0で日立一高(日立市)に勝利し、9大会連続26回目の優勝を決めた。茗渓は12月27日から東大阪市花園ラグビー場で開催される全国大会への出場権を獲得した。  茗渓学園 88-0 日立一前半 47-0後半 41-0 茗渓学園は前後半とも7トライずつを挙げ、守備では零封で日立一を圧倒した。フルバックの大田浩平(3年)は俊足を生かしてこの日3トライ、またキッカーとしても7本のコンバージョンキックを決めた。「これだけ観客がいる大舞台は久しぶりで、緊張がありうまく入れなかったが、最初のトライを取って自分たちのペースにできた」と話した。 川尻圭人主将(3年)は「ゲームプラン通り進められ、試合内容は良かったが、花園に向けてはまだまだ満足ではない」とし「密集での押し込みはしっかりやろうと練習してきた部分で、うまく対応できた。しかし攻撃でちょっとしたミスが出たり、反則を取られたりして、うまく前へ進めることができなかった」と振り返った。 高橋健監督は「全国レベルの相手では、相手の圧力に負けて反則してしまうと失点につながる。特に密集での反則は要注意。今日も強引に体をねじ込むプレーが見られたが、ああいうのは全国では通用せず、反則をとられる」と、花園を視野に入れる。 今年はコロナ禍で練習期間がとれず、夏合宿も例年の半分ほどになった。だがそれを補うように、走り込みやタックルなどのコンタクトフィットネスでは強度の高いトレーニングを積んできた。練習試合でも全国上位クラスの学校と良い勝負ができており、花園では一昨年のベスト8や昨年のベスト16を上回る戦績に期待がかかる。 全国大会まで残り1カ月、チームは攻撃のさらなる強化を目指す。川尻主将は「強いプレッシャーの中でどれだけ展開できるか。ウイングとフルバックに足が速い選手がいるので良いボールを供給したい。今年1年間の成果を花園で出せるよう全員で、全力で取り組んでいく」と誓う。 敗れた日立一にも花園出場の可能性は残されており、関東6県の2位チーム同士によるブロック大会に優勝すれば全国大会へ進むことができる。

小春日和に季節外れのシバザクラ つくば市小田の登山口

【相澤冬樹】小春日和にシバザクラの花がほころんだ。つくば市小田の宝篋山登山口(小田城コース)の花壇ではシバザクラが時期外れの花をつけて、登山客らの目を楽しませている。 シバザクラは通常、4月から5月にかけて、ピンク色などの花を咲かせる。ところがポカポカ陽気の7日、色づく紅葉に多くの登山客を集めた宝篋山では 、シバザクラの咲きそろう花壇が足を止めるスポットになっていた。  筑波実験植物園の前園長、岩科司さんに聞くと、今の時期の開花は「狂い咲き」といっていいという。「コスモスなど秋の花は日照時間に合わせて花を咲かすが、桜やツツジなど春の花は温度に反応するので、寒い日が続いた後に気温が上がったりすると間違って咲いてしまうことがある」そうだ。今年は7月の長雨、日照不足などの影響から、いくつかの植物に変調がみられるようだ。 シバザクラは小田地域まちづくり振興会が中心となる「小田山を芝桜でキレイに飾ろうプロジェクト!」によって植えられた。つくばR8地域活性化プランコンペティション2019に採択プランされ、ちょうど1年前の10月末に住民参加で植栽イベントが行われた。 125号国道脇の登山口、それまでの耕作放棄地を整備した花壇は約300平方メートルの広さがある。植栽から半年たった4月から5月にかけ、一斉に花をつけたものの、新型コロナの感染拡大の影響から集客イベントは行えず、関係者を残念がらせた。 同振興会では、さらに花が増える「2年目こそ」と期待をこめて花壇の手入れにいそしんでいる。岩科さんによれば「シバザクラは細かい芽をたくさん持っているので、狂い咲きしたといっても来春に影響を残すことはない」ということだった。

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