土曜日, 1月 28, 2023
ホーム コラム 《邑から日本を見る》75 この国は独裁国家なのか

《邑から日本を見る》75 この国は独裁国家なのか

【コラム・先﨑千尋】「オレの言うことを聞かないヤツはみんなクビだ!」。この国は、将軍や大名が支配していたころに戻ってしまっているようだ。「総理大臣になれば、自分の考えや思っていることは何でもできる」。日本学術会議をめぐるこの1カ月余りの動きを見ていての感想だ。

「はじめにおわりがある。抵抗するなら最初に抵抗せよ」。私が師と仰ぐジャーナリスト、むのたけじの言葉だ。

ナチスドイツの時代の牧師マルティン・ニーメラーの言葉も引く。「ナチスが共産主義者を攻撃しはじめたとき、私は声を上げなかった。私は共産主義者ではなかったから。次に社会民主主義者が投獄されたとき、私はやはり抗議しなかった。私は社会民主主義者ではなかったから。労働組合員が攻撃されたときも私は沈黙していた。そして彼らが私を攻撃したとき、私のために声を上げる人は1人もいなかった」。

私はしがない田舎の一農夫。だがやはり今、「菅さん、独裁者づらするな。この国は一応民主主義の国ですよ」と声を上げよう。この国の未来のために。

発端は周知の通り、先月9日の菅首相の次の発言。「日本学術会議が提出した会員推薦者名簿は見ていない。決裁直前に6人が除外された99人分の名簿を見ただけだ」。しかし、その後の首相や加藤官房長官らの説明や答弁はめまぐるしく変わり続ける。

政府の言い分は支離滅裂

最初は「総合的、俯瞰(ふかん)的に決めた」と意味がわからないことを言い、「任命すると公務員になるので政府として関与し、責任を取る必要がある。人事のことだから、具体的な説明はしない」と居直り、いまだに6人を除外した理由を明らかにしていない。除外したのは政権の政策を批判していたから、とは口が裂けても言えないだろう。

10月26日のNHKの番組では「説明できることとできないことがある」と本音をもらした。これも恐ろしい言葉だ。私たち国民に説明できないことを、総理が自分の判断でやってしまう。やりたい放題、なんでもできるということだ。

菅首相は最初に、6人を除外したことは知らなかったと言った。しかしその後の発言で、6人を標的にして意図的に外したことがだんだんわかってきた。2日の衆議院予算委員会では、学術会議は「閉鎖的で、既得権益のようになっている。前例踏襲はやめ、民間人や若い人が増えたらいいと私が判断した」と答弁している。

本会議での代表質問に対しても「(学術会議は)専門分野にとらわれない広い視野に立って、バランスのとれた活動を行い、国民に理解される存在であるべき。出身や大学にも偏りが見られる。多様性を念頭に私が判断した」と言っている。6人を外したことには答えず、組織のあり方をやり玉にあげているのだ。論理のすり替えでしかない。

これらのことから、最初の学術会議からの提出名簿を見ていないという発言はウソだったことがわかる。名簿を見ていないのに、どうして判断したのかを説明できない。2日の予算委員会でも菅総理は、加藤陽子氏以外は知らなかったと答弁した。著作も論文も読まないで、どうして5人を排除したのか。

加藤氏については、素晴らしい業績を知っていたが、政府に楯突いたから外した、と言っている。語るに落ちるとはこのことを言う。6人の中には、学術会議の会員がいない私大の研究者も含まれている。政府の言い分は支離滅裂だ。(元瓜連町長)

1コメント

名誉棄損、業務妨害、差別助長等の恐れがあると判断したコメントは削除します。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

最優秀賞に山口栄司さん 土浦の写真コンテスト表彰式

第17回「土浦の写真コンテスト」の表彰式が28日、土浦市大岩田の国民宿舎水郷「霞浦の湯」2階会議室で開かれた。主催は同市観光協会(中川喜久治会長)。最優秀賞(茨城県知事賞)に選ばれた、つくば市在住の山口栄司さん(80)ら13人が出席し、表彰を受けた。 市内の景観・催事などをとらえた、おおむね3年以内に本人が撮影した作品という条件で、昨年秋に募集され、県内外から68人、248点の応募があった。審査の結果、8月の「キララまつり」を撮った山口さんの「彩り鮮やか」のほか、宮本尚男さん(阿見町在)の「ちびっ子ライダー」、糸賀一典さん(千葉県柏市)「レンコン収穫」、仲沢彩さん(土浦市)の「茨城クロス・決戦は土浦で!!」の優秀賞3作品、入選16作品が選ばれた。 表彰を受ける山口さん(左) 最優秀賞受賞の山口さんは「趣味で催事の写真を撮っているが、このような素晴らしい賞をいただけてうれしい。今後も技術を磨き応募していきたい」と語った。 審査員のオダギ秀さん(75)(日本写真家協会会員・土浦写真家協会会長)は「昔は撮るぞーっと構えている写真が多かったが、最近は気楽に撮っている人が多くなった。土浦の良さが自然に伝わってきて、好感が持てる。今後も幸せを感じた瞬間を撮り続けて欲しい」と感想を述べた。(榎田智司) ◆展示会は29日から3月3日まで土浦まちかど蔵「野村」(土浦市中央)で、同4日から31日まで小町の館(土浦市小野)で開催。入選作品は土浦市観光協会のホームページに掲載されている。

ナラ枯れ対策 子どもたちの活躍《宍塚の里山》97

【コラム・小礒慶子】みなさま、ナラ枯れという言葉を聞いたことがありますか? どんぐりの木が夏に急に枯れてしまう病気です。全国的にも問題になっており、茨城県内では2020年につくば市で被害を確認し、3年間で被害が急拡大しています。これは体長5ミリほどの甲虫カシノナガキクイムシ(カシナガ)が原因です。 私たちの会でナラ枯れ対策ボランティア活動をしている小学生とその保護者5家族が「カシナガバスターズ」です。活動場所は土浦市にある宍塚大池周辺の里山です。 カシナガは一生のほとんどを木の中で過ごし、5~10月に成虫になり木から出て、健全なナラ類の木へ飛来します。カシナガは樹幹に爪ようじ程の小さな穴をあけ穿入(せんにゅう)し、ナラ枯れの原因となるナラ菌を持ち込みます。カシナガの繁殖力は強く、1ペアが木に入り込むと翌年には数百匹に増えてしまうので、この期間にできるだけ多く捕獲するのが重要になります。 捕獲するために、A4クリアファイルを使ったトラップを作り、狙われている木に設置します。トラップにかかったカシナガが逃げ出しにくいように、捕虫部分に水を入れる構造ですが、カシナガ以外の虫も入ってしまい、水死していました。一昨年この問題を解決するため、小学生の兄弟が、大きな虫が入らないようにネットをつけ、トラップを改良してくれたおかげで、昨年はたくさんの虫を救済することができました。 被害木は、21年は13本、22年は56本と拡大をしたので、トラップの設置数も増えました。真夏の暑さと蚊やスズメバチが飛び交う中での水替え・回収作業は大変でした。そこで作業時間を短縮するために、トラップの代わりにレジャーシートやラップなどを幹に巻く実験も行いました。そのほか、情報の共有化のため、被害木に番地をつけ、マップを作りました。

近代化の主役、鉄道を楽しむ乗りテツ 《遊民通信》57

【コラム・田口哲郎】前略 2022年は鉄道開業150年、日本初の鉄道が新橋―横浜間で営業を開始した記念すべき年でした。鉄道が150周年ということは、日本の近代化も150周年ということになります。もちろん、どのタイミングを近代化のはじまりとするかは、いろいろ意見があると思います。しかし、人びとの生活を実質的に大きく変えたという意味で、鉄道は近代化の象徴と言えるでしょう。 開業以来、鉄道は人びとの生活に影響を与え続けてきました。いや、支配し続けてきました。コロナ禍の前まで、鉄道の特権的地位は揺るぎないものでした。自動車や飛行機があるではないか、と言われるかもしれませんが、車や飛行機の普及は鉄道よりもずっと後です。近代化を先頭切って突き進んだのは鉄道です。 鉄道は人の移動と物流を激増させ、中央集権的な社会をつくりあげました。江戸時代は人びとの社会単位は村でした。今よりずっと小さい村が無数にあり、それを藩がまとめていました。その限られたテリトリーを鉄道はうちこわして、大きな単位でも人びとが生活していける経済圏を成り立たせたのです。 さらに、鉄道は人びとの時間の感覚を近代化しました。むかしは徒歩や馬の速さでまわっていた時が、鉄道の速さで流れます。定時運行とスピードが、人びとの生活を仕切るようになったのです。ようするに、のんびりがセカセカになりました。資本主義経済が人びとの欲望を刺激して、もっと豊かに、よりはやく、より安く、がよしとされる社会の誕生です。 コロナ禍で人間の物理的移動が広い範囲で制限されてはじめて、鉄道の存在意義が問われることになりました。自動車、飛行機だって人や物を乗せて移動するので、電子情報だけをのせる通信網に速さではかないません。

大河人気やまず、常時販売へ 「常陸の不死鳥」小田氏居城の御城印

何度負けても再起する。その生き様が「常陸の不死鳥」とも称される戦国武将、小田氏政とその居城小田城をあしらった御城印の常時販売が28日から、小田城歴史ひろば案内所(つくば市小田)で始まる。小田氏の始祖、八田知家がNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のなかで取り上げられた昨年、同所で期間限定で販売されていた。県内外から訪れる「大河ファン」の声も販売再開を後押しした。 近年、神社や寺院による「御朱印」がブームとなる中で、土浦城などでも販売される「御城印」が人気を博している。小田城跡への来場者から多数寄せたれた「御朱印販売」の要望の声からつくば市は、昨年10月15日から11月20日にかけて日曜、祝日などに御城印を試験的に販売した。その後も各地から問い合わせが相次いだ。 小田の魅力知る機会に 案内所入り口には、来館時に撮影された俳優・市原隼人さんの写真が置かれている 御城印が販売されるのは、1987年まで土浦と岩瀬をむすんだ旧筑波鉄道小田駅跡にできた「小田城歴史ひろば案内所」。サイクリングコース「つくば霞ケ浦りんりんロード」の休憩所にもなっている。田園風景の中に残されたかつてのプラットフォームに、筑波山に向かう観光客や土地の産物、花崗(かこう)岩などを運び賑わった往時の面影が浮かぶ。

記事データベースで過去の記事を見る