火曜日, 7月 8, 2025

春のリーグ戦に向け意気込み 土浦一高出身、宮本直輝投手 東大野球部15年ぶり勝ち点1に貢献

【伊達康】東京大学教養学部文科三類2年に在籍する宮本直輝は土浦一高出身の右腕投手だ。その宮本が昨秋、東京六大学野球で歴史的な勝利を挙げた。4月に開幕する六大学春のリーグ戦に向けて「一つでも上の順位に入れるよう、ピッチングで貢献したい」と意欲をみなぎらせる。 昨年10月8日、エース左腕・宮台康平(日本ハムから7位指名)の完投により東大の先勝で迎えた法政大2回戦。宮本は2点差と迫られた2回表一死一、三塁のピンチからリリーフ登板すると、最速139㎞のストレートと落差の大きいカーブを武器に3回2/3を1失点でしのいだ。さらに4回裏には9番打者として、法政大の同郷左腕・鈴木昭汰(1年、土浦四中-常総学院)からレフトスタンドへ本塁打を放ちチームを勢いづけた。6回からはエース・宮台にマウンドを託し1点差に詰め寄られながらも逃げ切った。 宮本が殊勲の勝利投手となり東大が2002年秋以来15年ぶりに悲願の「勝ち点1」を得た。この時の心境を「勝ち点がかかった試合でなかなか勝つことができなかったので嬉しかったです」と笑顔で振り返る。 ■夏のベスト16入りに貢献 中学時代は谷田部東中で軟式野球部に所属し県選抜チーム「オール茨城」に選出されるなど、軟式球界では好投手として「知られた存在」だった。 高校は私立校からの誘いもあったが土浦一高を選択。1年秋からエースを任されると2年夏には全4試合35イニングを完投してベスト16進出に貢献した。 新チームになってからは山口裕和との右腕2枚看板を武器に、その年の秋季県大会で優勝することになる霞ケ浦を2対0で撃破して県南選抜大会(県南地区新人戦)優勝を果たした。投打の主軸が残り前年以上の結果を期待されて迎えた3年夏は第8シードの水戸桜ノ牧に2回戦で敗れて高校野球を終えた。 ■先輩の話に憧れ 「もともと中学時代から東京六大学野球に憧れがありました」。高校入学時に漠然と考えていた希望進路はある出会いをきっかけに東大一本に絞られる。転機は高校1年の時だ。当時、東大野球部に在籍していた山越徹氏が母校である土浦一高に教育実習で赴任し野球部にも顔を出した。後輩達を前に東大野球部の魅力や歴史、伝統を熱く語る先輩・山越。宮本は次第に話に引き込まれ東大野球部に憧れを抱くようになる。山越がかけてくれた「お前も東大でやらないか」という言葉が背中を押した。「絶対に東大で野球をやる」そう決心した宮本は、高校野球引退後に1年の浪人生活を経て晴れて東大に合格する。 ■ダイナミックなフォームに 東大野球部では1年秋の法政大1回戦でリーグ戦デビューを果たしたが、「高校野球とは次元が違う大学野球のスピードとパワーに面食らった」と言う。この経験が宮本の向上心に火を付けた。それまではオーソドックスなフォームだったが「体の使い方を試行錯誤する中で、足を高く上げることで下半身をしっかり使える感覚があったので試してみた」と語るとおり、「ライアン小川(ヤクルト)」のように左足を大きく上げるダイナミックな投球フォームにたどり着いた。 新フォームで臨んだ2年秋のリーグ戦では主にセットアッパーとして7試合14イニングに登板し前述の1勝を挙げた。ちなみに東大の3勝のうち残り2勝はプロ入りした宮台がマークしたものだ。 ■「エース宮台」後の期待背負う エース・宮台が抜け今後は主戦投手の一角として活躍が期待される。教育学部3年として迎える春のリーグ戦に向けて、現状の課題を「ボールのキレや制球などのレベルアップ」と分析。履修を工夫して野球にかける時間を捻出しながら、この冬は体づくりに重点を置いたトレーニングに励んでいる。 野球と学業に精一杯で「就職や教育実習など、将来のことはまだ具体的に決まってはいない」という。 大きな1勝を挙げた宮本が、残る4シーズンでさらなる勝ち星を挙げられるか、今後の飛躍に期待したい。

つくばの子育て、共に考えよう 24日キックオフイベント 支援者ら呼び掛け

【大志万容子】子育て支援者や親が共につくばの子育てを考える「つくば子育てコミュニティーワーク キックオフ・イベント」(同実行委員会主催)が24日、同市吾妻のつくばイノベーションプラザ大会議室で開かれる。「個の活動では難しいことも、つながることで解決できることがきっとある」と、メンバーは参加を呼びかける。 主催するのは、同市の子育て支援者や助産院院長、市議、大学准教授ら10人。きっかけは一昨年の県の子育てフォーラムで「NPO法人せたがや子育てネット」(東京都)代表の松田妙子さんの事例報告を聞いたこと。世田谷区では区民と行政が共に議論する場をつくり、子育て施策の策定につなげていることを知った。共感したメンバーが「つくばでも同様の取り組みを立ち上げたい」と有志に声をかけ、昨年夏に実行委員会を立ち上げた。 メンバーの1人で、子育て支援団体「ままとーん」代表の中井聖さん(46)は「以前から子育て支援者同士が集まると、隠れた貧困や発達課題のある子どもへの対応など、現場で今直面する課題が話題になった。きめ細かく対応できる子育て支援のネットワークが必要と思うようになった」と話す。 一方で「行政がすべての支援メニューを用意できる時代ではない。さまざまな人や団体がつながり、議論できる場を自分たちの手で作ることが大切」と強調する。イベント名のコミュニティーワークとは「自分だけではできないことを、地域で力を出し合って解決すること」といい、「例えば支援者同士がつながることで、個の活動では対応が難しい人も、より適切な支援につなげることができる」と狙いを話す。 当日は2部構成。第1部は「世田谷区のコミュニティーワークが育んだもの」と題して松田さんが講演する。第2部はつくばの子育てについて、参加者同士がグループディスカッションを行う予定。 中井さんは「日々の活動で手一杯になりがちな人も、他の支援者らとの交流で新たな視点を持ち帰り、その目で自分の場を眺めれば、きっと違ったものが見えるはず」と期待を込める。 ◆同イベントは午後2~5時。参加料500円。対象はつくば市在住・在勤者。参加の申し込みは、フォーム https://goo.gl/ZtN4CTから。問い合わせは、kosodate.hughug@gmail.com、FAX029・859・0736。

ハーバリウムで生活に潤いを 美浦で講習会

【斉藤茂】ガラスの小瓶にドライフラワーを入れてインテリアとして楽しむハーバリウムの講習会が10日、美浦村で開かれ、参加した主婦らが可憐なフラワーアートの世界を楽しんだ。 ハーバリウムは本来、植物標本という意味合いを持つが、近年は趣味で製作する人が増え、その作品を玄関や居間に飾るなど、インテリアとして活用されている。 地元で栽培される花の消費拡大につなげるのが目的。阿見町の女性グループ農産物加工研究会と稲敷地域農業改良普及センターが主催した。 会場の「みほふれ愛プラザ」で午前と午後の2回、普及センターの一家伴安課長が講師となり、約30人の受講生にハーバリウムの作り方を指導した。エントランスでは、加工研究会会員による手作りの焼き菓子やドライフルーツ、和菓子などが展示販売された。 材料に使われたのはラグラスやヘリクリサム、センニチコウ、スターチスなど。まず小瓶の中に専用のオイルを半分ほど入れ、この後好みの花をビンに入れて竹串で形を整える。種類によってはオイルの上に浮かんでしまい、一家さんの手を借りる人も。形が決まればオイルを足し、蓋をして完成となる。照明用の台座も用意され、受講生らはビンの底から放つ幻想的な光に歓声を上げていた。 趣味で草花を栽培しているという30代の主婦は「これまでは切り花を花瓶に挿すぐらいだったが、これを機会にドライフラワーのアレンジメントやハーバリウムにも挑戦してみたい」と、自分の作品に満足げな表情をみせていた。

「宝篋山」地理院の地図に表記を ジオパーク推進協が署名運動

【鈴木宏子】つくば市小田と土浦市東城寺の境界に位置する宝篋山(ほうきょうさん)は、国土地理院の地図に山の名前の表記がない。筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が、名前を地図に表記する運動を展開することを検討している。13日、つくば市役所で開かれた同推進協臨時総会で明らかにされた。 標高461mの里山、宝篋山は、つくば市小田の住民らが荒れた山を整備し登山道を切り開いて以降、気軽に登れる山として人気が高まり、関東近郊から多くの人が訪れるようになった。宝篋山と周辺の平沢地区はジオサイトの一つにも指定されている。 同推進協によると、市内の登山愛好者から最近「ジオサイトに指定されているのであれば地図に地名が掲載された方がよい」などの意見が事務局に寄せられた。地名を表記するための必要手続きを国土地理院に尋ねたところ、宝篋山を管理するつくば市と土浦市の両市長から書面で申請があれば可能という回答があったという。 一方、宝篋山はほかに宝鏡山、豊凶山、峯鏡山、小田山、大形山などと表記されたり呼ばれたりしていることから、まず地域住民の理解を十分得た上で表記を宝篋山に統一したいとしている。さらに市民に地域資源としての宝篋山の価値や同ジオパークの取り組みを広く知ってもらう機会とするため、麓の小田休憩所などで署名活動を展開することを検討しているという。 臨時総会ではほかに「第5回日本ジオパーク関東大会」が2019年2月2日~3日、筑波山地域で開催されることが発表された。関東10地域のジオパークなどが一堂に介し、つくば国際会議場やつくばカピオなどを会場に、ジオガイド養成の課題や関東全体のジオストーリーの構築などについて話し合うという。約120人が参加予定で、筑波山地域のジオツアーなども開催する予定という。

「土浦ブランド」認定へ 自慢の一品を募集

【谷島英里子】土浦市の農林水産物や加工品を活用して市内外に魅力をもっとPRしようと、同市は新たに「土浦ブランド」を創設する。土浦ならではのこだわりのある農林水産物、加工品、料理、レシピなどを認定する。3月2日まで、自慢の一品を募集している。 国の地方創生推進交付金を活用した土浦ブランドアッププロジェクト推進事業の一環で取り組む。①土づくりにこだわっていたり、地域の伝統を守っているなど、自慢できる市産の農林水産物や加工品②ここだけの料理や地元ならではの調理法など、市産の農林水産物を使った料理やレシピ③土浦の歴史の中で生まれた食文化や伝統食品、多くの市民に愛されている和菓子や洋菓子など、歴史や物語がある食品—の三つの分類で認定する。 土浦ならではの素材や技法で生産されているか、アイデアやこだわりがあるか、土浦にちなんだ伝承、物語、エピソードがあるか、市のブランド力を向上させることができるか、高い品質があり、安全・安心で環境に配慮して生産されているかなどを審査する。 認定品は「土浦ブランドシンボルマーク」を使用でき自社商品の宣伝などに活用できるほか、市のふるさと納税の返礼品やシティプロモーション(市の広報活動)などでも優先的に活用される。認定期間は2年間。 第1回目として市は、土浦ブランドの申請を3月2日まで募集している。市農林水産課によると、5~10件程度の認定を想定しているという。 ▽応募資格は、市内に事業所があり、生産、製造、加工、販売などを行う個人や法人で、市内での購入か飲食が可能なもの▽応募方法は所定の認定申請書に必要事項を記入の上、市農林水産課に持参か郵送、ファクス、または電子メールで申請する。ただし1申請者1件に限る。 問い合わせは市農林水産課内の土浦ブランドアッププロジェクト推進協議会事務局(電話029・826・1111)まで。

食品を福祉施設に カーブスがフードドライブ展開 15日まで

【崎山勝功】家庭にある食品を募り、食料を必要としている福祉施設の子供たちや女性などに寄付するフードドライブ=メモ=を、女性専門のフィットネスクラブ「カーブスジャパン」(本社東京)が、15日まで実施している。つくばなど県内38店舗を含む全国約1800店舗で、常温保存食品の寄付を受け付けている。同キャンペーンは2007年から毎年行われ今年で11回目。 このうち、カーブスつくば大角豆店(つくば市大角豆)には、会員から乾麺や調味料などの食料品が集まっている。「9年間ほぼ毎回寄付している」という、同店会員でつくば市の主婦(73)は「ささやかな気持ちから寄付している。何かの助けになればいい」と話す。 同店の坂本春香店長(31)は同キャンペーンが会員の間で定着していると語る。西村夏海サブマネージャー(29)は「人が集まる場所でないと食料品を集めるのは難しいので、少しでも広まれば」と、フードドライブ運動の広まりを訴える。 同店では集まった食料品を福祉施設などに寄付した際、会員に向けて贈呈時の写真を貼りだして報告しており、つくば市の主婦は「報告を見て『役に立ってよかった』と思う。ほかのグループや施設でも取り組んでもらえれば」と話した。 同社広報室によると、17年実施の同キャンペーンでは県内の会員など約5000人(16年は約4650人)が参加。県内の店舗で計約8t(16年は約8.2t)の食料品が集まった。会員からの寄付に加え、報道などで一般市民が同キャンペーンを知り、同社店舗を訪れて食料品を寄付した例もあったという。 県内各店舗で集められた食品は、昨年はつくばなどの県内17カ所(16年は12カ所)の児童養護施設や母子生活支援施設などに寄付され、施設数はこれまでで過去最多となった。 受け付ける食品は、賞味期限が18年5月1日以降まである缶詰やレトルト食品、コメなど常温保存可能な未開封の食料品で、生ものや冷凍食品は対象外。同店は女性専用のため男性は店舗入口での受付となる。問い合わせ先はカーブス本社(フリーダイヤル0120・441・029)。 ◆メモ・フードドライブ 家庭にある食品を募り、食料を必要としている子どもたちや女性、高齢者に寄付する運動。1960年代に米国アリゾナ州フェニックスで始まり、現在では全米各地の学校、企業、地域で一般的に行なわれている。同様の活動として「フードバンク」があり、県内ではフードバンク茨城(本部牛久市)が活動している。

「見た目に楽しい」が人気 バレンタインデー商戦大詰め

【崎山勝功】14日のバレンタインデーに向けて、スーパーなどの小売店や洋菓子店でバレンタインデー商戦が大詰めを迎えている。これまでは女性が男性に向けてチョコレートを贈るのが一般的だったが、近年では女性の友人同士でチョコを贈りあう「友チョコ」や、購入者本人が食べるために購入する「ごほうびチョコ」など贈り方が多様化しているという。 大手スーパーのイオンつくば店(つくば市稲岡)では、1階催事場に特設コーナーを設けて販売に力を入れる。「LOVE(ラブ)!をばらまこう!」を今年のコンセプトに据え、チョコレートを「みんなで贈り合う文化」を推進している。同社の広報担当者は「いろいろな贈り方が増えているので『好き』という気持ちだけでなく、感謝の気持ちを込めてバレンタインチョコを贈り合えれば」と説明する。 同店のチョコ売り場には最大約1000品目をそろえており、化石や化粧品の形をした個性的なチョコレートをはじめ、自分で作る人向けに原材料の板チョコや調理器具などを販売。中には男性への「チョコと抱き合わせの贈り物」として、男性用下着も販売している。同社では「贈り方も多様化しているので、いろいろなニーズに合わせた商品を用意している」という。 今年の売れ行き傾向として、広報担当者は「見た目にも楽しいチョコが人気。女性から見て楽しめるチョコが選ばれる傾向にある」と分析する。 売り場を訪れた龍ケ崎市の会社員女性(38)は「会社の友だちに10個ぐらい贈る予定。上司には友だちよりちょっと上のものを贈る」と、チョコレートの品定めをしていた。

理工系の書籍充実 リブロ クレオから移転、11日キュートに再オープン

【崎山勝功】つくばエクスプレス(TX)つくば駅近くの大型商業施設クレオ2階(つくば市吾妻)で営業していた書店「リブロ」(本部東京都豊島区)が、クレオの閉鎖に伴い、隣接のキュート2階に移転して11日から営業を再開した。新店名はリブロつくばキュート店。 「文化の発信拠点」を担う書店が全国的に減少傾向にある中、稲葉順店長は「(つくばは)30年来付き合いのある土地なので、つくばの本屋を守る」と意気込みを示した。その上で「ネット通販もあるけど、実際に見て、触れ、判断する手助けをしたい。書籍の中身を見て自分の感覚に合うかはネット通販では分からない」と、本と触れ合うことの重要性を説く。 同店は広さ約191㎡、取り扱い冊数は約4万冊。市内のショッピングモール内にある大型書店と差異化を図るため、理工系新書「講談社ブルーバックス」専用の本棚を2つ設置するなど理工系図書を充実する。主な客層として筑波大の学生や市内在住の研究者らを想定しており「車を使わなくても行ける書店」「コンパクトで幅広く」をコンセプトに据える。 同店を訪れた東京理科大薬学部5年の女子学生(23)=同市在住=は「理系を専攻しているので、勉強に役立ちそう。電車で通学しているので、駅の近くに書店があるとありがたい」と話した。 同店は1985年のクレオ開業以来、西武筑波店5階で約30年にわたり営業していたが、2017年2月末の西武撤退に伴いクレオ2階に移転。今年1月末のイオンつくば駅前店の撤退で、キュートに再移転した。

5cm四方の“世界” 渡辺のり子さん、土浦で個展

【谷島英里子】5cm四方の箱に小物を入れて“世界”を作る、つくば市のアーティスト渡辺のり子さん(29)の個展「長い旅行の断面図」が土浦市中央1丁目のギャラリー「がばん クリエイティブルーム」で開かれている。 発砲スチロール製の箱の中に、おもちゃ、クギ、綿、ロウソク、キーホルダーなどの小物を入れて、一つの世界を作っている。 作品のひとつ「夜の噴水公園」は、鳥のブローチと石とくぎを組み合わせた。紺色に塗られた箱の中に、外灯に見立てたくぎが立てられ、2羽の鳥が池に浮かんでいる。 渡辺さんは筑波大学芸術専門学群卒。学生のころ、箱のアーティストとして知られる米国のジョゼフ・コーネルの作品と出合い、2009年ごろから箱に小物を入れた作品の制作を始めた。11年から土浦市内にある劇団「百景社」で舞台美術を担当しながら、現在までに計300箱を制作した。今年度で退団し、アーティスト活動に専念する。劇団員として最後の個展だ。 渡辺さんは「一箱一箱まったく中身の違う作品を見ることによって、見る人を小さな世界への旅へと導いてくれると思う」と話している。 展示期間は11日と16~25日。開館時間は午前10時~午後6時まで。入場無料。 ◆ワークショップ「掌(てのひら)サイズの世界作り」を17日開催する。時間は午後1~4時まで。予約不要。参加費500円。箱に入れたい小物を持参して作ることもできる。問い合わせは百景社の根岸さん(電話029・896・3099)まで。

一人暮らしする障害者、高齢者を応援 福祉アパート「あんしん荘」

【鈴木宏子】一人暮らしをする障害者や高齢者を応援する福祉アパート「あんしん荘」が土浦市真鍋と阿見町岡崎にある。大家で、土浦市の会社員、鈴木一也さん(35)が夫婦で運営する。 保証人がいなくても入居でき、敷金、礼金は不要。冷蔵庫、洗濯機、IH(電磁加熱)調理器、エアコン、照明などの家電付きだ。バリアフリーではないが、玄関やトイレなどに、入居者に合った高さに無料で手すりを付けてくれる。 入居時に、行政や民間の福祉・介護関係者、大家の鈴木さんと3者で面談する。介護や家事、緊急時の対応、経済面など、その人に合った在宅支援体制を3者で考え、週3、4日だれかが部屋を訪ねてくる体制をつくる。 土浦と阿見に1棟ずつある福祉アパートはいずれも2階建てで、各部屋の間取りは1DK、家賃は月3万4000円から3万7000円。2カ所とも車がなくても歩いて行ける場所にスーパーやコンビニがあり、バス停が近い。 土浦は築30年、阿見は築25年。日本政策金融公庫から事業用融資を受けて鈴木さんが購入し、改修して2016年から福祉アパートとして運営を始めた。現在、健常者も含め40歳代から70歳代が入居している。購入時、いずれも半分以上が空き室だったが、10室ある阿見は満室、8室の土浦は7室が埋まり2月中に満室になる。 ■150カ所訪ね構想話す 不動産会社も大家も、高齢者や障害者の入居に消極的であることに疑問をもったことがきっかけになった。 九州地方で高齢者を積極的に受け入れていた大家から福祉アパートの経営を勉強。人口減少社会となり、地域によってはアパートに空室が目立っていること、一方でこれまで不動産業界があまり目を向けていなかった高齢者や障害者がアパートで自立生活を送りたいと望んでいることなどを知った。 福祉アパートの運営構想を自分なりに作り、2015年6月から、仕事が休みの土日曜などに、土浦、つくば周辺の福祉施設などを1カ所ずつ訪ねて回り、自身の構想を話し、需要があるかを探った。訪ねた施設は1年間で150カ所以上になる。 ■リスクを一つひとつ除去 不動産賃貸業界では高齢者や障害者の入居に対して、室内での転倒によるけが、火災、犯罪被害、家賃滞納、孤独死などのリスクが懸念されている。 鈴木さんはリスクを一つひとつ検討し対応策を考えた。 室内で転んでけがをしないように必要な場所に手すりをつける▽段差がある場所に蛍光シールを張る▽ガラスが割れてけがをしないように飛散防止フィルムを張る▽火災が起きないようガスコンロや石油ストーブでなくIH調理器やエアコンをあらかじめ設置する▽玄関の閉め忘れがないよう鍵はオートロックとする―などだ。 さらに3者面談で支援体制をつくるにあたっては、鈴木さんが独自に考案した用紙に健康状態や介護サービスの利用状況、経済状況、緊急時の連絡先などを記入してもらう。「仮に孤独死が発生したとしても保証会社の保険を活用できる」と鈴木さん。「リスクが誇張され過ぎている。介護・福祉事業者の支援や保険でかなり軽減できることを大家さん自身がもっと知るべき」と話す。一方で「不動産業界と無縁だったからこそ挑戦できた」ともいう。 鈴木さんは「支援者と連携することで障害者や高齢者が一人暮らしできるまちをつくることは、住みやすいまちをつくることになり、まちおこしにもなっていくと思う。空き家に悩んでいる大家さんはたくさんいる。福祉アパート運営のノウハウをつくって、必要な人に必要な情報を届けられたら」と話す。 問い合わせは鈴木一也さん(電話090・8330・4545、Eメール;ea10679@gmail.com)

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