土曜日, 5月 4, 2024

「宝篋山」地理院の地図に表記を ジオパーク推進協が署名運動

【鈴木宏子】つくば市小田と土浦市東城寺の境界に位置する宝篋山(ほうきょうさん)は、国土地理院の地図に山の名前の表記がない。筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が、名前を地図に表記する運動を展開することを検討している。13日、つくば市役所で開かれた同推進協臨時総会で明らかにされた。 標高461mの里山、宝篋山は、つくば市小田の住民らが荒れた山を整備し登山道を切り開いて以降、気軽に登れる山として人気が高まり、関東近郊から多くの人が訪れるようになった。宝篋山と周辺の平沢地区はジオサイトの一つにも指定されている。 同推進協によると、市内の登山愛好者から最近「ジオサイトに指定されているのであれば地図に地名が掲載された方がよい」などの意見が事務局に寄せられた。地名を表記するための必要手続きを国土地理院に尋ねたところ、宝篋山を管理するつくば市と土浦市の両市長から書面で申請があれば可能という回答があったという。 一方、宝篋山はほかに宝鏡山、豊凶山、峯鏡山、小田山、大形山などと表記されたり呼ばれたりしていることから、まず地域住民の理解を十分得た上で表記を宝篋山に統一したいとしている。さらに市民に地域資源としての宝篋山の価値や同ジオパークの取り組みを広く知ってもらう機会とするため、麓の小田休憩所などで署名活動を展開することを検討しているという。 臨時総会ではほかに「第5回日本ジオパーク関東大会」が2019年2月2日~3日、筑波山地域で開催されることが発表された。関東10地域のジオパークなどが一堂に介し、つくば国際会議場やつくばカピオなどを会場に、ジオガイド養成の課題や関東全体のジオストーリーの構築などについて話し合うという。約120人が参加予定で、筑波山地域のジオツアーなども開催する予定という。

「土浦ブランド」認定へ 自慢の一品を募集

【谷島英里子】土浦市の農林水産物や加工品を活用して市内外に魅力をもっとPRしようと、同市は新たに「土浦ブランド」を創設する。土浦ならではのこだわりのある農林水産物、加工品、料理、レシピなどを認定する。3月2日まで、自慢の一品を募集している。 国の地方創生推進交付金を活用した土浦ブランドアッププロジェクト推進事業の一環で取り組む。①土づくりにこだわっていたり、地域の伝統を守っているなど、自慢できる市産の農林水産物や加工品②ここだけの料理や地元ならではの調理法など、市産の農林水産物を使った料理やレシピ③土浦の歴史の中で生まれた食文化や伝統食品、多くの市民に愛されている和菓子や洋菓子など、歴史や物語がある食品—の三つの分類で認定する。 土浦ならではの素材や技法で生産されているか、アイデアやこだわりがあるか、土浦にちなんだ伝承、物語、エピソードがあるか、市のブランド力を向上させることができるか、高い品質があり、安全・安心で環境に配慮して生産されているかなどを審査する。 認定品は「土浦ブランドシンボルマーク」を使用でき自社商品の宣伝などに活用できるほか、市のふるさと納税の返礼品やシティプロモーション(市の広報活動)などでも優先的に活用される。認定期間は2年間。 第1回目として市は、土浦ブランドの申請を3月2日まで募集している。市農林水産課によると、5~10件程度の認定を想定しているという。 ▽応募資格は、市内に事業所があり、生産、製造、加工、販売などを行う個人や法人で、市内での購入か飲食が可能なもの▽応募方法は所定の認定申請書に必要事項を記入の上、市農林水産課に持参か郵送、ファクス、または電子メールで申請する。ただし1申請者1件に限る。 問い合わせは市農林水産課内の土浦ブランドアッププロジェクト推進協議会事務局(電話029・826・1111)まで。

食品を福祉施設に カーブスがフードドライブ展開 15日まで

【崎山勝功】家庭にある食品を募り、食料を必要としている福祉施設の子供たちや女性などに寄付するフードドライブ=メモ=を、女性専門のフィットネスクラブ「カーブスジャパン」(本社東京)が、15日まで実施している。つくばなど県内38店舗を含む全国約1800店舗で、常温保存食品の寄付を受け付けている。同キャンペーンは2007年から毎年行われ今年で11回目。 このうち、カーブスつくば大角豆店(つくば市大角豆)には、会員から乾麺や調味料などの食料品が集まっている。「9年間ほぼ毎回寄付している」という、同店会員でつくば市の主婦(73)は「ささやかな気持ちから寄付している。何かの助けになればいい」と話す。 同店の坂本春香店長(31)は同キャンペーンが会員の間で定着していると語る。西村夏海サブマネージャー(29)は「人が集まる場所でないと食料品を集めるのは難しいので、少しでも広まれば」と、フードドライブ運動の広まりを訴える。 同店では集まった食料品を福祉施設などに寄付した際、会員に向けて贈呈時の写真を貼りだして報告しており、つくば市の主婦は「報告を見て『役に立ってよかった』と思う。ほかのグループや施設でも取り組んでもらえれば」と話した。 同社広報室によると、17年実施の同キャンペーンでは県内の会員など約5000人(16年は約4650人)が参加。県内の店舗で計約8t(16年は約8.2t)の食料品が集まった。会員からの寄付に加え、報道などで一般市民が同キャンペーンを知り、同社店舗を訪れて食料品を寄付した例もあったという。 県内各店舗で集められた食品は、昨年はつくばなどの県内17カ所(16年は12カ所)の児童養護施設や母子生活支援施設などに寄付され、施設数はこれまでで過去最多となった。 受け付ける食品は、賞味期限が18年5月1日以降まである缶詰やレトルト食品、コメなど常温保存可能な未開封の食料品で、生ものや冷凍食品は対象外。同店は女性専用のため男性は店舗入口での受付となる。問い合わせ先はカーブス本社(フリーダイヤル0120・441・029)。 ◆メモ・フードドライブ 家庭にある食品を募り、食料を必要としている子どもたちや女性、高齢者に寄付する運動。1960年代に米国アリゾナ州フェニックスで始まり、現在では全米各地の学校、企業、地域で一般的に行なわれている。同様の活動として「フードバンク」があり、県内ではフードバンク茨城(本部牛久市)が活動している。

「見た目に楽しい」が人気 バレンタインデー商戦大詰め

【崎山勝功】14日のバレンタインデーに向けて、スーパーなどの小売店や洋菓子店でバレンタインデー商戦が大詰めを迎えている。これまでは女性が男性に向けてチョコレートを贈るのが一般的だったが、近年では女性の友人同士でチョコを贈りあう「友チョコ」や、購入者本人が食べるために購入する「ごほうびチョコ」など贈り方が多様化しているという。 大手スーパーのイオンつくば店(つくば市稲岡)では、1階催事場に特設コーナーを設けて販売に力を入れる。「LOVE(ラブ)!をばらまこう!」を今年のコンセプトに据え、チョコレートを「みんなで贈り合う文化」を推進している。同社の広報担当者は「いろいろな贈り方が増えているので『好き』という気持ちだけでなく、感謝の気持ちを込めてバレンタインチョコを贈り合えれば」と説明する。 同店のチョコ売り場には最大約1000品目をそろえており、化石や化粧品の形をした個性的なチョコレートをはじめ、自分で作る人向けに原材料の板チョコや調理器具などを販売。中には男性への「チョコと抱き合わせの贈り物」として、男性用下着も販売している。同社では「贈り方も多様化しているので、いろいろなニーズに合わせた商品を用意している」という。 今年の売れ行き傾向として、広報担当者は「見た目にも楽しいチョコが人気。女性から見て楽しめるチョコが選ばれる傾向にある」と分析する。 売り場を訪れた龍ケ崎市の会社員女性(38)は「会社の友だちに10個ぐらい贈る予定。上司には友だちよりちょっと上のものを贈る」と、チョコレートの品定めをしていた。

理工系の書籍充実 リブロ クレオから移転、11日キュートに再オープン

【崎山勝功】つくばエクスプレス(TX)つくば駅近くの大型商業施設クレオ2階(つくば市吾妻)で営業していた書店「リブロ」(本部東京都豊島区)が、クレオの閉鎖に伴い、隣接のキュート2階に移転して11日から営業を再開した。新店名はリブロつくばキュート店。 「文化の発信拠点」を担う書店が全国的に減少傾向にある中、稲葉順店長は「(つくばは)30年来付き合いのある土地なので、つくばの本屋を守る」と意気込みを示した。その上で「ネット通販もあるけど、実際に見て、触れ、判断する手助けをしたい。書籍の中身を見て自分の感覚に合うかはネット通販では分からない」と、本と触れ合うことの重要性を説く。 同店は広さ約191㎡、取り扱い冊数は約4万冊。市内のショッピングモール内にある大型書店と差異化を図るため、理工系新書「講談社ブルーバックス」専用の本棚を2つ設置するなど理工系図書を充実する。主な客層として筑波大の学生や市内在住の研究者らを想定しており「車を使わなくても行ける書店」「コンパクトで幅広く」をコンセプトに据える。 同店を訪れた東京理科大薬学部5年の女子学生(23)=同市在住=は「理系を専攻しているので、勉強に役立ちそう。電車で通学しているので、駅の近くに書店があるとありがたい」と話した。 同店は1985年のクレオ開業以来、西武筑波店5階で約30年にわたり営業していたが、2017年2月末の西武撤退に伴いクレオ2階に移転。今年1月末のイオンつくば駅前店の撤退で、キュートに再移転した。

5cm四方の“世界” 渡辺のり子さん、土浦で個展

【谷島英里子】5cm四方の箱に小物を入れて“世界”を作る、つくば市のアーティスト渡辺のり子さん(29)の個展「長い旅行の断面図」が土浦市中央1丁目のギャラリー「がばん クリエイティブルーム」で開かれている。 発砲スチロール製の箱の中に、おもちゃ、クギ、綿、ロウソク、キーホルダーなどの小物を入れて、一つの世界を作っている。 作品のひとつ「夜の噴水公園」は、鳥のブローチと石とくぎを組み合わせた。紺色に塗られた箱の中に、外灯に見立てたくぎが立てられ、2羽の鳥が池に浮かんでいる。 渡辺さんは筑波大学芸術専門学群卒。学生のころ、箱のアーティストとして知られる米国のジョゼフ・コーネルの作品と出合い、2009年ごろから箱に小物を入れた作品の制作を始めた。11年から土浦市内にある劇団「百景社」で舞台美術を担当しながら、現在までに計300箱を制作した。今年度で退団し、アーティスト活動に専念する。劇団員として最後の個展だ。 渡辺さんは「一箱一箱まったく中身の違う作品を見ることによって、見る人を小さな世界への旅へと導いてくれると思う」と話している。 展示期間は11日と16~25日。開館時間は午前10時~午後6時まで。入場無料。 ◆ワークショップ「掌(てのひら)サイズの世界作り」を17日開催する。時間は午後1~4時まで。予約不要。参加費500円。箱に入れたい小物を持参して作ることもできる。問い合わせは百景社の根岸さん(電話029・896・3099)まで。

一人暮らしする障害者、高齢者を応援 福祉アパート「あんしん荘」

【鈴木宏子】一人暮らしをする障害者や高齢者を応援する福祉アパート「あんしん荘」が土浦市真鍋と阿見町岡崎にある。大家で、土浦市の会社員、鈴木一也さん(35)が夫婦で運営する。 保証人がいなくても入居でき、敷金、礼金は不要。冷蔵庫、洗濯機、IH(電磁加熱)調理器、エアコン、照明などの家電付きだ。バリアフリーではないが、玄関やトイレなどに、入居者に合った高さに無料で手すりを付けてくれる。 入居時に、行政や民間の福祉・介護関係者、大家の鈴木さんと3者で面談する。介護や家事、緊急時の対応、経済面など、その人に合った在宅支援体制を3者で考え、週3、4日だれかが部屋を訪ねてくる体制をつくる。 土浦と阿見に1棟ずつある福祉アパートはいずれも2階建てで、各部屋の間取りは1DK、家賃は月3万4000円から3万7000円。2カ所とも車がなくても歩いて行ける場所にスーパーやコンビニがあり、バス停が近い。 土浦は築30年、阿見は築25年。日本政策金融公庫から事業用融資を受けて鈴木さんが購入し、改修して2016年から福祉アパートとして運営を始めた。現在、健常者も含め40歳代から70歳代が入居している。購入時、いずれも半分以上が空き室だったが、10室ある阿見は満室、8室の土浦は7室が埋まり2月中に満室になる。 ■150カ所訪ね構想話す 不動産会社も大家も、高齢者や障害者の入居に消極的であることに疑問をもったことがきっかけになった。 九州地方で高齢者を積極的に受け入れていた大家から福祉アパートの経営を勉強。人口減少社会となり、地域によってはアパートに空室が目立っていること、一方でこれまで不動産業界があまり目を向けていなかった高齢者や障害者がアパートで自立生活を送りたいと望んでいることなどを知った。 福祉アパートの運営構想を自分なりに作り、2015年6月から、仕事が休みの土日曜などに、土浦、つくば周辺の福祉施設などを1カ所ずつ訪ねて回り、自身の構想を話し、需要があるかを探った。訪ねた施設は1年間で150カ所以上になる。 ■リスクを一つひとつ除去 不動産賃貸業界では高齢者や障害者の入居に対して、室内での転倒によるけが、火災、犯罪被害、家賃滞納、孤独死などのリスクが懸念されている。 鈴木さんはリスクを一つひとつ検討し対応策を考えた。 室内で転んでけがをしないように必要な場所に手すりをつける▽段差がある場所に蛍光シールを張る▽ガラスが割れてけがをしないように飛散防止フィルムを張る▽火災が起きないようガスコンロや石油ストーブでなくIH調理器やエアコンをあらかじめ設置する▽玄関の閉め忘れがないよう鍵はオートロックとする―などだ。 さらに3者面談で支援体制をつくるにあたっては、鈴木さんが独自に考案した用紙に健康状態や介護サービスの利用状況、経済状況、緊急時の連絡先などを記入してもらう。「仮に孤独死が発生したとしても保証会社の保険を活用できる」と鈴木さん。「リスクが誇張され過ぎている。介護・福祉事業者の支援や保険でかなり軽減できることを大家さん自身がもっと知るべき」と話す。一方で「不動産業界と無縁だったからこそ挑戦できた」ともいう。 鈴木さんは「支援者と連携することで障害者や高齢者が一人暮らしできるまちをつくることは、住みやすいまちをつくることになり、まちおこしにもなっていくと思う。空き家に悩んでいる大家さんはたくさんいる。福祉アパート運営のノウハウをつくって、必要な人に必要な情報を届けられたら」と話す。 問い合わせは鈴木一也さん(電話090・8330・4545、Eメール;ea10679@gmail.com)

子育て、福祉―「きめ細かい市民ニーズに応えた」 つくば市新年度予算案

【鈴木宏子】つくば市の五十嵐立青市長は7日、2018年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初と比べ2.3%減の856億1700万円となる。過去最大だった前年度に次いで2番目の規模。五十嵐市長は「子育て、教育、出産、中心市街地(の問題)など、やらなければいけながったがこれまで手が付けられなかったきめ細かい市民ニーズに応えた」とし「子供の貧困対策に力を入れた」と強調している。 特別会計などを合わせた総額は1391億6700万円で同比1.6%減。つくばエクスプレス(TX)沿線の二つの義務教育学校の建設が終了したことからマイナスとなる。 歳入は、人口増加などから市税が同比2.7%増えると見込む。借金に当たる市債は二つの義務教育学校の建設終了により同比22・5%減少する。ただし市債と、将来発生する支払い見込額である債務負担行為を合わせた残高は前年度より増えて708億円になる見込み。旧茎崎町との合併算定替えの特例期間が終了し18年度から不交付団体となるという。 新年度の主な事業は、子どもの貧困対策として、ひとり親家庭の児童などに支給する福祉金を児童1人当たり年3万円増額し1億2700万円を計上する。子どもの学習支援として、新たにNPOや社会福祉協議会などが取り組む無料学習塾4カ所に計850万円を補助する。 子育て支援は新規事業として、産婦人科を新たに開設したり、病床を増やしたり、医療機器を購入する産婦人科施設に費用の半額を助成する(5000万円)。出産後、体調不良や育児不安がある母親が、赤ちゃんと一緒に診療所や助産院に宿泊しながら育児相談を受けたり心身のケアを受ける産後ケア(525万円)にも新たに取り組む。 教育は、統廃合により4月に開校する秀峰義務教育学校のスクールバス運行に1億8400万円を計上。小学校に続き市立中学校11校の普通教室すべてにエアコンを設置する(4億1800万円)。 つくば駅前の商業施設クレオから西武筑波店に続いてイオンつくば駅前店が撤退するなど空洞化が課題の中心市街地対策は、クレオ跡地の利活用を調査する委託費などに648万円を計上。中央公園(吾妻)の池の水をきれいにして子どもたちが水遊びできるようにするなど、たまり場や遊び場をつくる実証実験をする中心市街地プレイスメイキング事業に1000万円を計上する。 ほかに、高齢者や障害者の外出を自家用車で移送支援しているNPOなどの福祉有償運送事業に計160万円を補助する▽市役所(研究学園)敷地内に、市民が交流スペースとしても利用可能な分庁舎を建設するため、9億4600万円(15年間)の債務負担行為を設定する▽産業振興センター(吾妻)を1億2300万円で再整備し1階に共有オフィスとなるコワーキングスペースなどをつくる▽中央図書館は、土日曜の開館時間を2時間延長し、無料駐車時間を1時間延長する(計915万円)。 民間保育所の保育士の給与に月額3万円を上乗せする保育士処遇改善助成金は、17年度に引き続き実施し2億2100万円を計上する。事業を凍結した竹園3丁目地区の地域拠点再構築事業は18年度も凍結のままという。

本庁経験生かし多方面で改革 筑波山神社 岩佐弘史宮司

【鈴木萬里子】2015年に筑波山神社(つくば市筑波)宮司となった岩佐弘史さん(54)が多方面の改革に取り組んでいる。神社本庁出向先の「神社新報」記者時代に、全国各地の神社を取材し、そこで得た経験から数々のアイディアを実践している。 同神社は元旦祭に始まり、春と秋の例大祭(御座替祭)など行事が多い。毎年2月10、11日は2日間にわたって節分にあたる年越祭(としこしさい)が催される。 まず取り組んだのが正月の境内の混雑緩和だ。拝殿正面の柱間に白布をかけた大賽銭(さいせん)箱を設けた。次に参拝者が歩く参道の石畳を拡げ、動線を確保した。通常の賽銭箱の約5倍となり、並ばずに参拝できる。祈祷は、名前での呼び出しから色別のプレートを渡しての放送案内で、従来に比べてよりスピーディになった。 車の渋滞対策も課題の一つだ。神社境内には1時間無料の駐車場が100台分ある。筑波山山頂は関東で一番、日の出が早い。そのため山頂で初日の出を拝む登山者が多く、元旦は未明から境内駐車場がいっぱいになる。ゴールデンウイークから紅葉までのシーズン中の週末も同様だ。登山者は長時間駐車するため車の入れ替えが出来ないことが渋滞の一因となってしまうという。 岩佐さんは「渋滞は車社会の弊害。境内を整備して駐車スペースを更に確保したい。利便性を考えスマホで渋滞状況が見えるようにもしたい」と次なる改革を目指している。 地元沼田の区長を長く務め同神社責任総代の渡邊一雄さんは「神社の行事がある日は朝8時に渋滞が始まり筑波山麓まで車列が出来る。山道なので拡幅するのは難しい。現在、歩行者の安全を図るため側溝にふたをする工事をしていて7~8割完成している。新しい道を他に作るしかないのではないか」と話し、岩佐宮司と共に新たな改革を模索している。

薪ストーブ静かなブーム 愛好者が里山整備に一役

【橋立多美】環境にやさしい薪(まき)ストーブが静かなブームになっている。里山を整備しながら薪ストーブを楽しむ「つくば薪クラブ」(芳賀開一代表)のメンバーが4日、龍ケ崎市塗戸の約1haの雑木林の伐採に取りかかった。 力強いチェーンソーのエンジン音が冷たい空気を震わせ、大きく枝を伸ばしたエノキが次々に切り倒されていく。木の重心を判断し、狙った方向に倒すのは勘と経験を必要とするそうだ。 雑木林は千葉県流山市在住の金子保広さんの所有地。長年放置したことで400本ほどの雑木とササが生い茂った。一念発起して整備することにしたが孤軍奮闘しても歯が立たなかった。 同クラブは里山保全活動を実践しているNPO法人「つくば環境フォーラム」(田中ひとみ代表=つくば市要)の会員の中で、薪ストーブ愛好家たちが森林整備で出る木材の有効活用を図るために2008年に結成した。現在は「つくば薪クラブ」として独立し、下草刈りなど里山林の整備をしながら薪材の伐採や運搬、薪割り、乾燥など一連の薪作りを行っている。薪は活動に応じて会員に配分されている。 手慣れた様子でチェーンソーを操る同クラブの小林茂樹さん(59)=龍ケ崎市在住。「斜面での下草刈りや薪割りは体力を消耗するが、きれいな空気の下で仲間と交流しながらの作業はジムに通うより楽しい」と話す。 暖房器具として、インテリアとしても人気の高い薪ストーブの良さはどんなところにあるのか。「体の芯から暖まる心地良さとガラスの窓から見える炎に癒される」と、薪ストーブ使用歴20年の小林さんはいう。難点は薪の入手で、市販は一束700円前後と高額になるため、薪を確保するルートを持つことが必要になると話した。 所有林の伐採を依頼した金子さんは「手を入れなかったことで雑木が自生し、ササやツタが繁茂して陽が入らない暗い林になった。還暦を過ぎて『終活』として林をきれいにしなければと思った。だが遅々として進まず、つくば薪クラブのお陰で先が見えてきた」と安堵の表情を見せた。 同クラブは一緒に活動する仲間を募集している。問い合わせは「つくば環境フォーラム」にメール(tef298@lime.ocn.ne.jp)で。  

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