水曜日, 5月 8, 2024

無料塾が資金集めバザー 市内に2カ所目の開設目指す つくば

【崎山勝功】つくば市内で学童保育と低所得・ひとり親家庭向けの無料塾を運営するNPO法人「居場所サポートクラブROBE(ロベ)」が14日、チャリティーバザーを同市上横場のつくばショッピングセンターアッセで開いた。収益を、無料塾の運営費用と同市内に2カ所目の無料塾開設費用に充てようと開催した。 会場には、同クラブに寄付された衣類、運動靴、羽毛ふとんなどの生活用品や、ランドセル、ピアニカなどの学用品が出品された。値段は一律1点100円以上、買い物をする側が値段を決めるというルールで、来場者たちが品定めをして購入していった。 バザーを主催した同クラブの森美智子理事長によると、今年の夏ごろをめどに同市吾妻地区に2カ所目を開設する予定という。同クラブでは2016年7月から同市谷田部地区で無料塾を開設している。運営する中で、他地区の子どもたちを受け入れる場をつくる必要性が出てきたという。「(つくば駅に近い)吾妻地区はバスなどの公共交通機関で通えるし学習指導ボランティアの筑波大生も来やすい」と話す。 現在、谷田部地区の無料塾には、約30人の小中学生が通っており、週2回「おにぎりボランティア」がおにぎりなどを差し入れし、学習と食育の両面で支えている。開始当初は「つくば市は税収が高い地域だから、そんなに困窮した世帯がいるのか」との声もあったという。開始当初は7人だった生徒がわずか1年半で約30人に増加。無料塾の開講で潜在化していた貧困が可視化された現実がある。 バザーは、2月12日と3月ごろにも同ショッピングセンターで開く予定。

ロウバイが見頃 筑波山梅林

【谷島英里子】筑波山中腹(つくば市沼田)にある筑波山梅林で、ロウバイが見頃を迎えている。斜面に数十本が植えられ、ろう細工のような黄色い花を咲かせて、甘い香りを漂わせている。訪れた人たちは、顔を近づけて香りをかいだり、写真撮影で青空とのコントラストを楽しんだりしていた。 同市観光コンベンション協会によると現在5分咲き。暖冬だった昨シーズンと比べ今年の冬は寒い日が続いているが、開花状況はほぼ平年並みという。園内では、開花が始まったばかりの早咲きの紅梅もちらほら見られた。 筑波山神社に夫婦で参拝に来たついでに梅林に立ち寄ったという筑西市の会社員女性(32)は「ロウバイは初めて見ました。一つ一つの花が小さくてかわいいですね」と話していた。 標高約250m付近にある梅林は広さ約4.5ha。白梅、紅梅、緑がく梅など約30種約1000本が植えられ、中腹からの眺望と筑波山の巨岩、梅とのコントラストが独特の景観をつくっている。今年の筑波山梅まつりは2月14日開幕する。

小田地区でどんど焼き つくば 「伝統残したい」

【鈴木萬里子】第30回小田地区どんど焼き(小田二十日会主催)が14日、つくば市小田、小田城跡歴史ひろばで催された。午後4時、日枝神社(土浦市澤辺)神主のお祓いの後、やぐらに火が放たれると、グォ~というものすごい音と同時に天まで届くかのような火柱が立ち、観客から大きな歓声が上がった。火の勢いが少し収まると参加者らが餅を刺した竹の棒を一斉に火にかざす姿が見られた。 どんど焼きは小正月(1月15日前後)に正月の松飾り、しめ縄、書き初めなどを長い竹やわら、茅(かや)で作られたやぐらに積み上げて燃やし、無病息災や五穀豊穣を祈る行事。この火にあたると若返る、焼いた餅を食べると病気をしない、燃やした書き初めの紙が高く舞い上がると習字が上手になり勉強もできるなどいわれている。 小田地区では30年前に地元の商人や事業主が中心となり同二十日会を結成、その会員らが立ち上げた。当初は12人ほどいた会員も現在は結束幸男さん(71)、小林宏さん(71)、河合満雄さん(67)ら3人になった。14日は友人、知人ら20数人がボランティアで参加し、クレーンを使い、高さ10mのやぐら作りや、豚汁作りなどに取り組んだ。 昨年から「小田城冬の陣」(つくば市教育委員会など主催)が同時開催され、和楽器演奏などのイベントも行われた。好評の豚汁は1日3回500食以上を無料配布した。火の回りではつくば市消防本部の職員が多数待機し、飛び火の消火に当たっていた。 ■「分別徹底し土浦も再開して」 伝統行事のどんど焼きだが、最近は担い手不足や、プラスチックなどを燃やすことなどから減少傾向にあるという。土浦市もプラスチックの分別が難しいことから今年から廃止となった(NEWSつくば1月12日配信参照)。 つくば市中心部から来場した30代の夫妻は「是非残してもらいたい。分別は個人の意識の問題、行政の徹底した周知が必要だと思う」と話した。近所の60代の男性は「周りが何もないところなので気にしない」ときっぱり。やぐら作りをした男性は「伝統を残していきたい。(プラスチックの分別の問題は)これから考えていかなければならないが」と話した。土浦から孫2人と来た60代の女性は「毎年土浦のどんど焼きを楽しみにしていたのに廃止になって残念。市民も分別を徹底して再開してほしい」と語尾を強めた。

県南5市町の司書が対決 土浦図書館で書評合戦 1位は―

【谷島英里子】本を紹介し合い、どの本が一番読みたくなるかを投票で競う書評合戦「ビブリオバトル」が13日、土浦駅前の市立図書館(同市大和町)で開催された。県南5市町の司書5人がそれぞれ本の魅力をアピールした。 本に親しんでもらおうと、開館記念イベントの一つとして土浦市立図書館が主催した。土浦のほか、かすみがうら、石岡、牛久市、阿見町の司書が出場し、読みたいと思った本を参加者約100人が投票で決めた。 第3次世界大戦後の未来を描いたフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」や、奈良時代の史実をもとにした久保田香里の青春ストーリー「駅鈴(はゆまのすず)」などが紹介され、司書が5分の持ち時間で面白さを解説した。 発表後、参加者から「何年前に発行された本ですか」、「ネタばれにならない程度に、一番怖いところはどこですか」などの質問が出ていた。 投票の結果、阿見町立図書館の司書、山下裕美子さんが紹介したウィリアム・グリルの児童書「シャクルトンの大漂流」が1位のチャンプ本に選ばれた。20世紀初頭、南極をめざして出航した乗組員たちの実話にもとづく冒険物語だ。山下さんは「うれしいです。本のすばらしさが(皆さんの)心に残ったのだと思います」と話していた。  

「労苦の記憶」60点 阿見予科練記念館でシベリア抑留者展

【鈴木宏子】第2次世界大戦後、シベリアなどに抑留された体験者が、当時の労働や生活の様子を描いた絵画や、身に着けていた防寒着など計約60点を展示した企画展「シベリア強制抑留関係展示会~労苦の記憶」が阿見町廻戸、予科練平和祈念館で開かれている。 約5万5000人が死亡したとされる抑留者のうち、旧ソ連政府から1991年に日本に引き渡された全9冊の死亡者名簿なども展示され、5735人の氏名、生年月日、軍人階級、死亡年月日が記されている。モンゴルの首都ウランバートルで道路舗装作業に従事する抑留者の様子を描いた当時のビデオなども上映されている。 同館が全国強制抑留者協会(東京都千代田区)に協力を依頼し開催した。同館でシベリア抑留者展を開催するのは初めて。 奈良県大和高田市出身の吉田勇さんが引き揚げ後に描いた、雪の中で樹木の伐採をする作業の様子や、日々の生活の様子を描いたパネル絵のほか、当時、伐採作業で使用されたのこぎり、おの、抑留者が作業の合間に手作りした木製のマージャンパイなども展示されている。 同館の豊崎尚也学芸員は「一般には1945年8月15日の玉音放送で太平洋戦争は終わりを迎えたといわれているが、それ以降も、戦争が続いていた抑留者の方々がいたことを知ってくれたら」と話している。 3月18日まで。月曜休館。同企画展のみは入場無料。常設展の入場は一般500円。問い合わせは電話029・891・3344(同館)

国保改革めぐり、つくばの乱 議会が意見書可決 「他市町村分も負担」

【鈴木宏子】国民健康保険(国保)の運営が今年4月、市町村から県に移行する制度改革をめぐって、県が昨年11月に市町村に示した保険料などの仮算定の数値が波紋を広げている。「(県が示した数値は)到底市民の理解が得られない」などとして、つくば市議会は11日、見直しを求める意見書を全会一致で可決した。 仮算定でつくば市は、2018年度に必要な保険料総額(国保の全体事業費)が一人当たりに換算して3117円増加し、一人当たりの年間額が県内一高い13万191円になるという数値が示されたことを受けた動きだ。 意見書は市議会文教福祉委員会の橋本佳子委員長が提案した。市民が払う国保税を現行のままと推計した場合、一般会計からの繰り入れの著しい増加が見込まれるなどとして、県に対し、積算根拠を明確に説明すること、保険税の引き上げとならないよう財政措置を講じることなどを求めている。議会では「つくば市が他市町村分を負担している」などと仮算定を批判する意見も出た。市も議会と足並みをそろえ、見直しを求める要望書を共に15日に県に提出するという。 一方、市民が実際に支払う国保税がいくらになるかはまだ決まっておらず市は3月議会に提案するとしている。 新制度への移行に向けて、県は昨年3月、県国民健康保険制度移行準備委員会(委員長・兪和茨城大教授)を設置し、市町村代表も加わって、保険料や運営をどうするかについて検討を続けてきた。保険料は県内統一でなく市町村ごとに算定していくことが決まり、昨年11月28日の第4回会合で各市町村の保険料を仮算定した数値が示された。 2018年度に必要な保険料総額が17年度より増加する市町村はつくばのほか龍ケ崎、常陸太田、那珂、牛久の5市で、39市町村は減少する。一方、一人当たりに換算すると保険料が増加するのが33市町村、減少するのは11市町村となる。つくば市は保険料増加額も県内で最も大きい約9632万円となる。 ただしあくまでも仮算定で、今後、1月下旬までに本算定が示され、各市町村は一般会計からいくら繰り入れるかを決めて国保税を算出する。 2018年度国民健康保険料総額の仮算定の数値 市町村 一人当たりの必要保険料総額(円) 前年度と比較した18年度の増減額(円) 1 つくば 130,191 3,117 2 八千代 130,005 ▲4,074 3 守谷 128,813 ▲3,885 4 境町 128,570 2,110 5 かすみがうら 126,011 ▲1,291 6 坂東 125,508 3,005 7 稲敷 124,694 ▲14,049 8 大洗 124,339 2,977 9 行方 122,994 ▲6,841 10 神栖 121,989 1,495 11 筑西 121,636 2,912 12 美浦 121,397 ▲6,107 13 古河 121,075 2,899 14 下妻 120,572 2,887 15 鉾田 120,062 356 16 茨城 119,515 2,861 17 東海 119,429 2,859 18 小美玉 119,008 ▲4,510 19 水戸 118,977 2,849 20 常総 118,605 2,839 21 土浦 117,540 2,814 22 桜川 117,523 2,814 23 五霞 117,509 2,813 24 ひたちなか 116,841 2,798 25 那珂 116,371 2,786 26 結城 113,885 2,726 27 北茨城 113,401 ▲1,861 28 鹿嶋 112,733 1,354 29 笠間 111,682 1,649 30 石岡 111,278 2,664 31 日立 111,262 ▲28 32 常陸大宮 111,171 559 33 つくばみらい 110,143 2,637 34 潮来 109,948 2,632 35 阿見 109,128 2,612 36 高萩 108,574 2,600 37 河内 108,186 ▲21,369 38 常陸太田 107,175 2,566 39 大子 106,596 ▲11,536 40 龍ケ崎 106,002 2,538 41 利根 101,519 2,430 42 取手 99,263 2,377 43 牛久 98,851 2,366 44 城里 97,311 2,330 県平均 116,719 1,304 ※激変緩和措置実施済み ※第4回茨城県国民健康保険制度移行準備委員会資料より作成

どんど焼き、今年から廃止 土浦 「プラスチックすべて分別できない」

【谷島英里子】毎年、1月上旬に土浦市の桜川河川敷、学園大橋下で行われてきた正月飾りを燃やす伝統行事「どんど焼き」が今年から廃止される。土浦市立博物館は、正月飾りにプラスチックなど屋外で燃やせない素材が多く使われるようになり、すべてを分別して燃やすことが困難になってきたためとしている。 小正月に正月飾りを燃やし、餅を焼いて食べ、1年の無病息災を祈る行事。「とりおい」「ワーホイ」などとも呼ばれ、かつては農村部を中心に市内各地で行われた。高度経済成長期に都市化の進展とともに徐々に消えていったが、1980年に市郷土資料館(現・市立博物館)が中心となって復活させた。 昨年は1月14日に催され、500~600人の市民が訪れた。先着200人に紅白餅が配られ、正月飾りを燃やした火で餅を焼いて食べ無病息災を祈った。伝統行事とあって写真愛好家も毎年撮影に訪れる風物詩でもあった。 同館によると、正月飾りはプラスチック素材を多用した製品が多く、ダイオキシンなどの有害物質が発生する危険性が避けられないという。市民が持ち寄った正月飾りを受け付る際、職員がペンチやハサミを使ってプラスチックを分別してきたが、接着剤で固定されていたり、塗料が塗ってある飾りも多く分別が困難な状況だったという。 どんど焼きは近隣では、取手市の利根川河川敷で13日、つくば市小田で14日に催される。今年で48回目となる「どんどまつり」を開催する取手市産業振興課は「市民に呼び掛けてプラスチックを分別してもらっている」としている。 土浦市のどんど焼き廃止はすでに、市広報紙や市のホームページ(HP)などで市民に周知しているという。正月飾りの処分について同館は、市の分別方法を確認して、各自で対応してほしいとし、「神様の依り代(よりしろ)となったので塩を振り清めてから紙などにくるんで大きなものは小さく切るなどして出しましょう」と呼び掛ける神社本庁のHPの一部なども紹介している。

「復興に役立ちたい」 福島出身の橋本航太さん 自衛隊霞ケ浦駐屯地で成人式

【崎山勝功】中学1年生のとき東日本大震災で被災した福島県三春町出身の橋本航太さん(20)が10日、陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地(土浦市右籾)で成人式に臨んだ。橋本さんは3等陸曹。「災害派遣や訓練で辛い状況に置かれても屈しない強さを持った自衛官になりたい」と抱負を語った。きょう11日は震災から6年10カ月目。 震災直後、被災者の救護支援活動に従事する自衛隊員を目の当たりにし「身近に姿を見て憧れた」。中学卒業後に陸上自衛隊高等工科学校(神奈川県横須賀市)に迷わず入校し、卒業後、正式に入隊を果たした。 「環境が変わり最初は慣れるのに時間が掛かって、訓練が大変だったけど、2年間ここ(霞ケ浦駐屯地)にいて慣れてきた」と語り、「将来的には地元(福島県内の駐屯地)に帰って親を支えられたらと思う」と抱負を述べた。福島県の復興に役立ちたいという。 霞ケ浦駐屯地では今年、自衛官と事務官計47人が成人の仲間入りをした。式典には任務などによる欠席者を除く38人が出席し、1人ずつマイクスタンドの前に出て「成人としての自覚と自信を持ち業務に励んでいきます」などと抱負を述べた。 同駐屯地司令の山内大輔陸将は「心身ともに健康で明るく、楽しく、地域から信頼される自衛隊員として、一日一日を大切に生き、輝かしい明日を期待して日々精進することを期待する」などと訓示。新成人者代表の澁山虎留(たける)3等陸曹(20)は「いついかなる任務が与えられようとも、完遂できる隊員となれるよう使命を自覚し、若さとあくなき情熱を持ってまい進する覚悟」と答辞を述べた。

オオヒシクイの行動に異変 越冬地の稲敷から日中、鹿島灘へ

【鈴木宏子】稲敷市の稲波干拓地で越冬する国の天然記念物オオヒシクイ=メモ=の行動に異変が起きている。日中、干拓地を飛び立ち姿が見えない日が多くなった。保護活動に取り組む「稲敷雁の郷友の会」(坂本勝己会長)が追跡調査したところ、約30㎞離れた鹿島灘の海上で過ごしていることが分かった。 今シーズンは昨年11月10日に初飛来し、現在124羽が干拓地に広がる田んぼで越冬している。2010年ごろまでは現在の半数ほどしかいなかったが、その後数が増え、15年には記録がある中で最多の135羽が飛来した。 同会によると、異変が目立つようになったのは数が増えた15年ごろから。昨シーズンは越冬日数148日間のうち4分の3の114回、干拓地の外に飛び去り、夕方や翌朝などにえさを食べに戻ってきた。 関東唯一の越冬地のため昨年は首都圏などから1000人以上が訪れたが、姿を見られない見学者も多かった。 ■飛び立つ行動を学習か 昨シーズンの調査によると、飛来した当初の11月は、上空や周辺を通過するヘリコプターやセスナ機などに敏感に反応して飛び立つことが多かったが、1月以降はきっかけがなくても午前中に干拓地を飛び立ち、戻ってくる日がほぼ毎日続いた。 2006年までは干拓地隣りを流れる小野川河口をねぐらにし、警戒して飛び立った際もよく小野川に避難していた。昨シーズンは小野川を利用することは一切なかったという。 同会の武藤隆一事務局長(73)は「(警戒する出来事が)たびたび起こったので、ある時間になると飛び出すということを学習したのではないか」と話し「(飛び立つ)原因は分からず専門家にアドバイスをもらっているが、越冬数が倍近くに増えたことで、以前と違う行動に変わったのではないか」と語る。 同干拓地では米価の低迷などから水田をハス田に転換する農家が目立つようになった。昨シーズンはオオヒシクイがよくえさを採る田んぼの近くでレンコン掘り作業が行われた影響もあったという。 オオヒシクイが飛んで行く先は、飛ぶ方角や飛行時間、目撃情報などを元に2年越しで調査を重ね、昨年、鉾田市の沖合1~4㎞の海面に浮かんで過ごしていることを突き止めた。 干拓地で過ごしていたこれまでは、日中、稲の二番穂をついばんだり、眠ったりして過ごしていたが、海上では何も食べていないことも分かった。 今シーズンも状況は変わらず、昨年12月下旬ごろから飛び立つようになり、日中は姿が見えない日が多くなっている。1月7日は、早朝、鹿島灘から稲波干拓地に戻り、えさをとっていたが、約3時間後の午前10時過ぎ、干拓地上空をセスナ機が通過したことをきっかけに再び飛び立ち、姿を消した。 ■環境改善へ取り組み始まる 調査結果を受けて同会は昨年から市や県と対策を協議。行政の協力を得て、オオヒシクイがえさを採る田んぼ近くのレンコン生産者に協力を呼び掛けたところ、今シーズンは10月末までにレンコン掘りを終え、越冬期間は農作業を行わないなどの協力を得た。 セスナ機などが離着陸する周辺の竜ケ崎飛行場(龍ケ崎市)や大利根飛行場(河内町)にも協力を呼び掛けているほか、小野川でバス釣りをするレジャーボートにも上流から川に入らないようにしてもらっている。 一方、オオヒシクイが安心して過ごせる代替地はないかと利根川下流に広がる水田地帯を探し回ったという。しかし稲波干拓地のような約230haにわたって家や電柱が一切なく見通しがきく場所は他になく、かけがえのない場所であることを再認識した。 武藤事務局長は「自然はいったん変わってしまうと元に戻すのは大変だが、長く保護活動をやっていきたい」と話す。 ※メモ 【オオヒシクイ】ガンの一種の渡り鳥。体長約90㎝、羽を広げると約180㎝ほどの大きさがあるが、警戒心がとても強い。ロシアのカムチャッカ半島で繁殖し、毎年11月ごろ稲波干拓地に飛来して越冬し3月初めに繁殖地に帰る。

「はれのひ」つくば店も閉鎖 「着物だけでも返して」母訴え 消費センターや警察に相談増える

【大志万容子】成人式の振り袖販売やレンタルなどを手がける「はれのひ」(本社・横浜市)が8日、突如連絡がとれなくなった問題で、つくば駅前の商業施設キュート(つくば市吾妻)にある同つくば店も8日から休業状態となっている。 9日、キュート2階にある同店は天井近くまで白いついたてで覆われ、店内が見えない状態になっていた。ついたてなどには「都合により休業致します」と書かれた紙が張られていた。店頭には、報道でトラブルを知った利用者が訪れ、商業施設を運営する筑波都市整備の職員が警備員と店頭に立ち、対応に追われていた。 長女(18)の来年の成人式に向け、昨年2月に振り袖一式を約36万円で購入した鉾田市在住の女性(38)は「買った着物だけでも返してほしい」と訴えた。 女性は昨年2月24日に家族で来店。「最初は軽い気持ちで見に来たが、半日がかりで5着ぐらい着物を着せてもらううちに娘が気に入った着物があった」。レンタルか購入か迷ったが「(兄と弟はいるが)女の子は1人だけだから」という夫の言葉が背中を押した。「取り置きはできない」と店側に言われ、同月27日までに振り袖や草履バック、写真撮影、当日着付けなど一式約36万円を支払った。 8日のLINE(ライン)のニュースを見て「まさか」と驚いた。そろそろ前撮り撮影をしようと考えていた矢先で、その際、振り袖などを引き渡してもらうことになっていたからだ。「つくば店は大丈夫だろうとHPを見たら休業になっていた」。今手元にあるのは、最初に店を訪問したときに持ち帰った草履、バッグ、髪飾り、着付けの小物(4万3800円相当)だけという。 女性のスマートフォンの中には、黒地にピンクの牡丹柄の振り袖を来た長女が、晴れやかな笑顔で写った写真がある。この後、夫とともに警察に相談に行くという女性は「(会社がどういう状態であっても)買ったのだから着物だけでも返してほしい」と辛い胸の内を訴えた。 筑波都市整備クレオスクエア運営部の須毛原伸夫部長によると、つくば市などで成人式が行われた7日は、同店で約60人の着付けの予約があったが、当日はスタッフの手が足りず、同都市整備の職員約10人が受け付けなどを手伝ったという。しかし午前中行われたつくば市の成人式に間に合わない人も出た。8日は、休業状態となった同店に30~40人がレンタルした着物を返却に来たが、預かる人がいないので、持ち帰ってもらったという。 9日午前もニュースで問題を知った客が店舗を訪れ、涙ぐむ姿も見られた。須毛原部長は「お客様にきちんと説明して安心させてあげたいが、直接の当事者ではないので、ストレートな解決方法を示せないのがもどかしい」と困惑する。 つくば市消費生活センターには、9日までに「前撮りした写真が届かない」など数多くの相談が寄せられている。現在、状況の把握に努めているといい「新しい情報が分かり次第、提供していきたい」という。同センターは電話029・861・1333。 つくば中央警察署にも8日に問題が発覚してから一気に相談の電話が寄せられてるといい、総合相談係で対応している。同署は電話029・851・0110。(同署の相談時間は月~金曜日の午前8時30分~午後5時15分)。

Most Read