【コラム・山口京子】消費生活センターと関わるようになって3年近くたちます。ここは、消費生活全般についての問い合わせや苦情を扱う行政を支援する窓口です。消費者トラブルが起きた場合、事業者と消費者の情報や交渉力の格差を踏まえ、情報提供や交渉に当たって助言などを行います。
他にも、消費者教育、食品ロス削減、エコを意識した暮らし方など、消費者市民社会の構築に取り組んでいます。
消費者とは、生活のほぼ全般について、商品やサービスを購入する者というイメージでしょうか? 以前は「消費者」という言葉を意識することなく、そもそも商品を購入するとはどういうことかも、暮らしについても、しっかり考えたことがありませんでした。
しかし最近になって、「今の暮らし方、ライフスタイルを当たり前だととらえるのは危険かもしれない」と思うようになりました。今の便利な暮らしは、どういう仕組み・前提・条件で成り立っているのか? それらが変更されたり、機能しなくなったときにはどうなるのか? これからの変化は、どういったことが予想されそうか? … 心配性なので不安が募ります。
「根っこ」にある三つの依存症
そして、今の暮らしの「根っこ」には三つの依存症があると感じるようになりました。石油依存、お金依存、電化依存です。
石油に代表される化石燃料に依存して、簡単で便利な社会になったけれど、それらがもたらす副作用というか、外部不経済というか、環境汚染というか―生態系や人体にどう影響を及ぼすのでしょうか?
今はスイッチ一つで電気もガスも水道も至れり尽くせりですが、60年前はそうではありませんでした。自動車運転免許を取得してから、走行した距離と消費したガソリンと排出した二酸化炭素の量はどれくらいなのか? 車を1台作るのに、どのような資源とエネルギーと技術がいるのか? 思いを寄せたこともありませんでした。
これから晴耕雨読でいけたらと…
大半の消費者は働いてお金を得て、そのお金で商品を購入して、生活をやりくりします。実質賃金が下がっている状況で暮らしぶりが厳しくなり、投資やお金もうけの宣伝が目立ちます。経済の金融化が進行する中、製造業や農林水産業など、暮らしの足元を支える産業が危なくなっているのは、大きな問題だと思うのですが…。
暮らしを便利にする電気の力はすごいと感嘆するばかりです。道具が電気やコンピューターとつながって、自動の仕組みがハイスピードで広がり続けています。インターネットがない暮らしは想像できなくなっています。電化とテクノロジーの進化は何にをもたらすのでしょう。
自分のこれからの暮らしは、晴耕雨読でいけたらと願うのですが…。(消費生活アドバイザー)