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《シルバー団地の挑戦》3 自治会と学校の新たな共助㊤ 登下校の見守り

【橋立多美】つくば市南部の森の里団地(約1300戸)は高齢化が顕著だが、体力と気力、そして現役を引退したことで時間のあるシルバーたちが、安心して子育てできる環境を守り、学校を支援する活動を続けている。その活動ぶりを上下2回で紹介する。 団地に隣接する、市立茎崎第三小学校に通学する119人の児童を見守る森の里防災・防犯自警団「かわせみパトロール隊」。不審者情報に注意を払いながら、子どもたちを危険から遠ざけている。 「おはよう」「行ってらっしゃい」。午前7時半すぎ、同校正門に近いバス通りの横断歩道や住宅の角で、緑色の帽子とベスト姿の十数人が、登校する児童に笑顔で声をかける。同小2年の女児の母親は「いつも子どもたちを見守ってくれる心強い存在。ありがたい」と話す。 同自警団は、地域ぐるみの活動で団地内の安全力を高めようと2010年12月に発足した。団員はシルバー世代の男女66人。全員に「防犯パトロール」の文字が入ったベストが貸与、帽子は配布され、パトロールには必ず着用する。倉本茂樹団長(75)は「団地の中をパトロールの服装をした人がいつも歩いていることが、犯罪の抑止力になる」。 活動は定時パトロール(午前8時、午後2時30分、午後5時)と犬の散歩などを兼ねた任意時刻のパトロールに分かれる。同小児童の登下校の見守りに重点が置かれ、午前8時のパトロール前に登校する児童を見守り、低学年の下校時間に当たる午後2時半からのパトロールは、往来が少ない通学路に目を光らせる。 登校時の見守りを担当する副団長の藤田広次さん(71)は「子どもたちと顔見知りになって元気をもらう。眼鏡を忘れたら『おじさん、きょう眼鏡は?』って。見守りは社会への恩返しで、雨風が強い日でも通学路に立つよ」。山田秀子さんは「森の里は安心して子育てできると言われたい」。 愛犬の散歩を兼ねて日に3回パトロールする工藤哲也さん(72)は「住民と顔なじみになったから見慣れない人はすぐ分かる。空き家や雑草が生い茂る区画には注意を払うようにしている」と話す。 110番の家 3分の1に 倉本団長の気がかりは、子どもが不審者に遭遇した際に助けを求める「110番の家」だ。かつて団地内には個人商店など善意の家が20カ所あったが、閉店や転居などで6カ所になった。児童委員などの職を離れた家に今も看板が掲げられており「早急に整理したい」と話す。また18日朝、大阪府北部を襲った地震で見守りの80歳の男性が亡くなったことに「身につまされる。団員の安全も大切な事」と気を引き締める。 県内で見守り活動が強化されたのは、2005年に栃木県今市市(現日光市)で下校途中の小1女児が殺害された事件だった。つくば市の自警団は4月1日現在、中央警察署管内に104団体、北警察署管内には11団体ある。ただメンバーの高齢化が課題となっており、主力メンバーを失って継続が危ぶまれている自警団もあるという。

入居拒まない住宅を普及へ つくばに住居確保支援団体 県内初

【鈴木宏子】入居を拒まれがちな一人暮らしの高齢者や障害者がアパートなどに入居できるよう支援し、併せて入居者が地域で自立生活を送れるよう支援のネットワークをつくろうと、つくば市で、住まい確保を支援する団体の設立準備が進められている。 一般社団法人「LANS(ライフ・アシスト・ネットワーク・サービス」(つくば市二の宮)で、引きこもりの若者の自立支援をしているつくば市のNPO若年者社会参加支援普及協会アストリンク理事長、浅井和幸さん(46)▽土浦市真鍋や阿見町岡崎で福祉アパートを経営する土浦市の会社員、鈴木一也さん(36)▽つくば市の県議、田村佳子さん(64)の3人が準備を進める。7月初めに法人として設立見込みで、浅井さんが理事長に就任する予定だ。 高齢者や障害者のほか、住宅確保が難しい低所得者、母子家庭、DV(配偶者や恋人からの暴力)被害者、児童養護施設退所者などを支援する。空き家や空き室を活用して、入居を拒まない住宅を登録する住宅セーフティネット法が昨年10月に改正されたのを受けて、県内初の「住宅確保要配慮者居住支援法人」を目指すという。 今年2月、浅井さんが主催する福祉勉強会で、鈴木さんが、自ら経営する福祉アパートの取り組みを報告したのがきっかけ。鈴木さんは独自に経営方法を学び、高齢の入居者が転倒しないよう室内に手すりを取り付けたり、火事を起こさないよう直火を使わないIHコンロやエアコンなどの家電品をあらかじめ備え付けたりしている。さらに介護や医療、行政の支援が必要な入居者には、関係者と共に支援のネットワークをつくっている。 LANSでは、長く福祉相談に携わってきた浅井さん、福祉アパート経営のノウハウがある鈴木さん、行政や関係機関へのネットワークがある田村さんの経験をもとに、住まいに関する生活相談窓口を開いたり、不動産会社や福祉・医療団体、行政などと情報交換会を開いたり、国や自治体の補助制度を勉強などする。さらに関係機関の調整役となって、入居希望者の住まい探しを手伝ったり、見守りをしたり、不動産会社などに入居を拒まない住宅確保を働き掛けるなどしていくという。 ほかに、つくば市内の空き家だった一戸建て住宅を借りてシェアハウスとして運営し、緊急の住まいや、一時的避難所などとして利用してもらう。 浅井さんは「住宅確保が困難な人と何が必要か相談し、サービスをくっつけて、一人ひとりに合わせた支援のネットワークをつくっていきたい」と述べ、鈴木さんは「(入居者の要望に合わせ)ひと手間かけて入居してもらう大家さんを増やしたい」と話している。 ◆住まいの生活相談窓口は月2回、2カ所で開催①毎週第3水曜午前10時~12時=つくば市研究学園、筑波銀行つくば副都心支店セミナールーム②毎月第3土曜午後1時30分~4時=かすみがうら市下稲吉、地域福祉センターやまゆり館▽シェアハウスの家賃は月額約2万5000円など▽問い合わせは電話080・1018・7670(浅井さん)、メールasai-kazu@sinri-soudan.com

【ひと】つくばで国際交流しよう 芝田圭子さん

【田中めぐみ】「つくばで国際交流しよう」ー。通称「SWiT(Small World in Tsukuba)」というボランティアサークルを立ち上げ、これまで多くのイベントを企画、主催してきたつくば市の芝田圭子さん(44歳)。今年度の「第26回『わたしの企画』応援します!」(カスミ主催)に芝田さんの新たな企画が採択された。11月18日、カスミつくばセンター(つくば市西大橋)で「小さな地球~国際文化博覧会」と題して、世界各地の文化を体験するパフォーマンス鑑賞とワークショップを開催する。 「小さな地球」は、会場を小さな地球に見立て、世界各地の文化を見て感じて楽しんでもらう体験型イベントだ。伝統文化やパフォーマンスを楽しみながら相互理解を深めるきっかけになればと考えているという。つくばで身近にある異文化が体験できる。 親切を返したい 芝田さんが国際交流に興味を持ち始めたのは、学生時代に行った中国での語学研修がきっかけだった。友人の日本人学生がタクシーに乗った時、中国人の運転手がメーターを倒さずに回ってくれようとした。運転手は「私は昔、日本人の社長の下で働いていてとても良くしてもらったから、日本人からお金を取ることができない」と語ったという。 芝田さんは、かつて誰かが届けた善意が自分たちに返ってきていると感じ、自分も中国で受けた親切を返したいと思うようになった。 対等に文化の交換 帰国後、芝田さんは日本に来ている外国人に日本を楽しんでもらいたいと思うようになった。対等な関係で文化の交換はできないか、日本人が気軽に参加でき1回だけでも楽しめるイベントがあればと思うようになり、2012年から本格的に活動を始めた。15年につくばボランティアセンターに団体登録をした。 定期的に開催しているイベントがいくつかある。一つは着物の着付けで、同市の春日交流センターや二の宮交流センターで開催している。外国人だけではなく、日本人も生徒になって着付けを学べる。1日だけの体験で着られ、写真も撮ることができるのでとても人気だという。 ダンスイベントは主に並木交流センターで開催しており、ストリートダンスやワルツ、ベリーダンスなどをつくば市在住の講師から学ぶことができる。 毎年、初夏には土浦市農林水産課と共同で田植えとそば打ち体験を開催している。11月には稲刈りも行うため苗から稲への成長が楽しめ、体験後にはコシヒカリのご飯とそばを味わってもらう。書道や工作イベントも不定期で開催している。いずれも1回だけの参加歓迎で、FacebookやLINEなどで告知している。 茨城の魅力を再発見 芝田さんの目標は「平等、平和で差別のない世界を実現すること」だという。つくばで草の根の活動を通して、国籍・年齢・性別に関係なくみんなで仲良くして、この地で得た親切や楽しさを周りにも広めてほしい、帰国する人は国に持って帰ってほしいという。 SWiTの理念は、国籍・年齢・性別にこだわらないことと、茨城の知られざる魅力を発掘することだ。 芝田さん自身、つくばに住みながら、茨城の良いところをあまり知らなかった。SWiTの活動を通して外国人を案内するうち、日本人スタッフも茨城の魅力を再発見するという。イベントを通じて外国人だけでなく日本人にも、日本の魅力、茨城の魅力を伝えていきたいと考えている。                    

透き通った色彩 つくばの川浪せつ子さん 南イタリアをスケッチ

【鈴木萬里子】つくば市在住の水彩画家でイラストレーター、川浪せつ子さんの「南イタリアスケッチ展」が、土浦市のJR荒川沖駅西口前のカフェ・ド・コトブキで開かれている。昨年5月にスケッチツアーで南イタリアを訪れた際に描いた下絵を水彩画に仕上げ、そのうち40点を展示している。 透明水彩絵の具を使って描いており、どの作品も透き通った色彩で細部を丁寧に描き込んでいるのが特徴だ。川浪さん(62)は「作品は水彩画というより水彩イラストで、イラストに近い描き方」と解説。家に飾ってなごむ絵、生活の中にある水彩画を中心に描いている。 イタリア旅行は今回が2回目、有名な観光地を巡った前回に比べ、今回は南部地方の小さな町や村を訪れた。南部の有名な観光地アルベロベッロから北東の、アドリア海に面した小さな港町モノポリを一日中1人で歩いた。観光地化されていないモノポリの風景の美しさや、人々の暮らしを丹念に見て回り、数点の作品に仕上げている。 川浪さんは建築の完成予想図を描く仕事に長く携わってきた。昨年3月に休刊した常陽新聞にも長く作品を発表していた。淡い色合いに定評があり、ファンが多かったことでも知られる。つくば市内を描いた絵はポストカードになり、TXつくば駅構内の「つくばの良い品」で販売されている。 来場した赤木裕子さん(65)と平島かよ子さん(68)は熱心に絵を鑑賞し「一般の水彩画とは違って、建築をやっているので建物が丁寧に描かれている。色合いが柔らかくてすてき」「写真とは違い、描き込んでいるのが良く分かる、すてきな作品ばかり」と話した。 ◆会期は7月10日(火)まで、正午~午後4時30分。会場は土浦市中荒川沖町1-1カフェ・ド・コトブキ、日曜日休み。問い合わせは川浪さん(電話080・5524・8678)。

レストラン街から飲食店すべて撤退 つくばセンタービル

【鈴木宏子】つくば駅近くのつくばセンタービル(同市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールから22日、飲食店がすべて撤退した。同日、最後に残ったそば店「一成(いちなる)」が閉店。閉店を惜しむ馴染み客らが最後のそばをすする姿が見られた。 同ビルでは今年5月20日、1983年の同ビル開業と同時に開店したピザチェーン店「シェーキーズ」が閉店、続いて同月末、スペイン料理店「ボンド」が閉店し、「一成」が最後に残っていた。 同ビルを運営する筑波都市整備(同市竹園)によると、現時点で新たに入居を予定している店舗や事務所などはないという。同市では、中心市街地の求心力の低下が問題になっていることから、今年度、市が同センタービルの在り方を検討する調査を実施する。同都市整備は「その中で、どうあるべきか考えたい」と話す。 かつて「どの店も行列」 閉店について、一成を運営する一成フードサービスの成山正樹社長(53)は「さびしい限り」と語る。同店は24年前の1994年にオープンした。当時センタービルに空き店舗はなく、どの店も行列ができていた。当時、成山社長は20代で、厨房に入ってそばを打ち、現在の味を完成させた原点が同店だったという。人通りが少なくなった原因については「隣接した場所にたくさんあった駐車場がマンションや商業施設、業務ビルになり、アクセスが悪くなってしまったのも一因ではないか」と話す。 近くに勤務し昼食を食べに来たという牛久市の男性会社員(57)は「月1回必ずセンタービルに来てシェーキーズに立ち寄っていた。一成も今日で閉店になると知ってびっくりした」と述べ、職場の同僚3人で来た男性は「無くなると困ります」と話していた。 新たな在り方 市が調査 同センタービルは日本を代表する建築家、磯崎新氏の設計により建築された。同都市整備の小林睦営業部長は「建てられた当初はつくばの中心の中の中心だったが2009年に常陽銀行、10年に筑波銀行が撤退したころから役割が変わってきた。つくばエクスプレスが開通し、新しい商業施設ができ、人の流れが変わってきた」とし「つくば市から、センタービルの役割を見直してはどうかと言われている。私たちもそうだろうと思うので、その中でこれから何が必要か考えていきたい」とする。 市は中心市街地の活性化を検討する一つとして、同ビルの在り方を検討する調査を7月から来年3月まで約470万円かけて実施する。センタービルの施設や設備の現状、周辺の公共施設との関連、市場性などの基礎調査を実施。同市学園地区市街地振興室は、調査結果をもとに今後の在り方を改めて検討したいとしている。

障害ある子もない子もアート身近に 24日つくばでダンスと音楽ライブ

【大志万容子】障害のある子もない子も共にアートを体感することを目的に、「アートはボーダレス!」と題したダンスと音楽のセッションライブが24日午後1時から、つくば市吾妻のつくばセンター広場で開かれる。 同市を拠点に芸術を通して市民の交流活動を行うNPO法人つくばアートセンター(篠原光子代表)が主催。舞踏カンパニー「山海塾」の舞踏家・松岡大さんや土浦市の画家・小林ゆきさん、音楽集団「サンドラム」らプロのアーティストが講師となり、つくばカピオで16日から開いている親子ワークショップの成果を発表する。入場無料。 ライブでは、子どもたちが竹やダンボールで作った楽器をアーティストと共に演奏したり、即興でダンスをしたりする。 篠原代表は「子どもたちが障害のあるなしにかかわらず、アートを敷居の高いものではなく身近なものとして感じてほしいと企画した。ライブでは、観客も手を叩いたり、体でリズムをとったりしながら一緒に楽しんでほしい」と話している。 3つのワークショップ 参加者を募集中 ▷コンテンポラリーダンスワークショップ=23、24日午前10時~正午、つくばカピオリハーサル室。参加費2000円 ▷楽器作りワークショップ=24日10時~午後4時。つくばカピオホールリハーサル室。参加費700円 ▷映像体験ワークショップ=7月28、29日午前10時~午後4時、つくば市民ギャラリー。参加費1000円 申し込み・問い合わせはいずれもつくばアートセンター:メール:hearth.art981@gmail.com、HP:https://www.tsukuba-art-center.com/

大粒のサクランボ販売 土浦で23、24日天童フェア

【谷島英里子】土浦市と観光友好都市の山形県天童市は23、24日に土浦市内で「天童フェア」を開き、生産日本一のサクランボ「佐藤錦」を販売する。赤い宝石とも呼ばれ、さわやかな酸味と甘みが絶妙だ。 天童フェアは毎年恒例で自分用や贈答用にと販売開始から長い行列ができる。サクランボのほか、漬物、玉こんにゃく、一部の会場では芋煮カレー、サクランボシロップのふわふわ氷のかき氷を販売する。今年のサクランボの出来は例年並みで、1000円から4000円ほどで購入できるという。 天童市によると、江戸時代末期に市内の8村が旧土浦藩領だったことなどが縁で、土浦市と相互交流協定を結んだ。問い合わせは土浦市観光協会(電話029・824・2810)まで。 天童フェアの日時と場所は次の通り。 ◆土浦まちかど蔵=23日(土)午前10時~午後5時、24日(日)10時~午後2時 サクランボ、漬物、山形の玉こんにゃく実演販売 ◆小町の館=23日(土)午前10時~午後3時、24日(日)午前10時~午後2時 サクランボ、漬物、山形の玉こんにゃく実演販売(23日のみ) ◆J:COMスタジアム土浦 24日(日)午前10時~午後3時 芋煮カレー、山形の玉こんにゃく実演販売、サクランボシロップのふわふわ氷のかき氷(天候不良の場合中止の場合あり)

高齢者の健康づくりへ 土浦市社協がスポーツ用具無料貸し出し

【谷島英里子】高齢者の健康づくりや仲間づくりにつなげてもらおうと、土浦市社会福祉協議会は、ニュースポーツの一つ「シャフルボード」用具の無料貸し出しを6月から始めた。年齢や障害の有無にかかわらず誰もが楽しめる。 シャフルボードは、縦長コートの反対側にある得点エリアに、ディスク(円盤)を細い棒(キュー)で押し出すように滑らせて得点を競うスポーツ。ディスクは1人4枚ずつを交互に滑らせる。相手のディスクに押し出されると0点になってしまうなどカーリングに似ている。 11日、同市小松地区の小松長寿会に初めて貸し出された。同会では毎年6月に軽度なスポーツや食事を楽しむ「ふれあい運動会」を開催してきた。会長の今井健也さん(76)は「毎年同じ種目だとマンネリになる」と、今年はシャフルボードを取り入れた。 参加したのは26人。初めはディスクを滑らせる微妙な力加減にやや苦戦している姿が見られたが、慣れると「行けー」と声を上げたり、相手のディスクをはじくための方向を考えたりと大いに楽しんでいた。 同市社協職員は「どんどん活用していただき、健康づくりに役立ててもらいたい」としている。 貸し出し対象は市内の高齢者団体やサークル、グループなど。期間は使用日から5日以内。問い合わせは社協福祉のまちづくり係(電話029・821・5995)まで。

TX堅調 20年3月に新型車両導入

【鈴木宏子】つくばエクスプレス(TX)が堅調だ。2017年度の営業実績は09年度から9期連続で経常黒字を達成し、開業以前からの累積損失を解消した。今後も乗客数の伸びが続き、東京オリンピックが開催される2020年度は現在より8%増加すると見込む。輸送力を増強させるため同年3月に新型車両TX-3000系を導入する計画だ。 TXを運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、柚木浩一社長)が発表した18年度から3年間の中期経営計画によると、沿線自治体の人口は引き続き増加し、20年の1日平均乗客数は17年度の37万人から40万人に達すると見込む。 20年に運行予定の新型車両は30両編成で、現在の車両を基本に先鋭感を強調したデザインになる。車両は走行時の消費電力を約13%削減。車内は車いすやベビーカー利用者が利用しやすいよう各車両にフリースペースを設置などする。 輸送力増強の取り組みとしてほかに20年春から、最混雑区間で朝のラッシュ1時間の最大運行本数を現在の22本から25本に増やす。 安全性の向上では近年、乗客数の急増を背景に、ドアに荷物が挟まるなどの事故が発生していることを受けて、20年度までに八潮駅など8駅のホームドアにドアの挟みを検知する3次元センサーを設置する。ほかに混雑の激しい秋葉原駅のホームを延伸する。 東京オリンピックをきっかけに外国人観光客が増えると見込まれることから、同五輪バリアフリー指針を踏まえて、全20駅のトイレの便座を温水洗浄便座に改修するほか、全駅の窓口に翻訳サービス端末を配備する。 駅ナカや高架下の空間活用として、子育て支援施設の整備に積極的に協力。20年4月には八潮駅高架下に学童保育施設が開設される予定という。 同中期経営計画の設備投資額として計約300億円を予定している。 開業以来初の利益剰余金計上 一方、2017年度の営業実績によると、1日当たりの平均乗車人員は16年度と比べ1万6000人(4.5%)増の37万人、経常利益は22.7%増の61億4800万円となり、9期連続の黒字となった。当期純利益は24.3%増の46億100万円となり、前期末に22億2000万円あった累積損失が解消し、開業以来初めて利益剰余金23億8100万円を計上した。一方、TX建設に要した鉄道・運輸機構に対する債務が6000億円近く残っているとしている。 施設・設備は17年度までに、総合基地(つくばみらい市)入出庫線複線化、守谷駅追越設備新設、車体更新場新設の守谷3事業が完了し、基盤が整った。 TX一日平均乗車人員(人) 駅 2017年度 2016年度 つくば 18,606 18,425 研究学園 7,148 6,821 万博記念公園 2,974 2,705 みどりの 4,326 3,952 みらい平 5,094 4,835 守谷 24,959 24,516 柏たなか 4,909 4,434 柏の葉キャンパス 16,431 15,451 流山おおたかの森 36,491 34,702 流山セントラルパーク 4,707 4,346 南流山 35,913 34,619 三郷中央 14,069 13,164 八潮 22,414 20,613 六町 14,462 13,902 青井 6,651 6,440 北千住 48,741 46,556 南千住 5,159 4,989 浅草 10,803 10,536 新御徒町 20,310 19,389 秋葉原 66,070 63,849

記者が体験 ヨガでストレス軽減を実感 筑波大

【田中めぐみ】筑波大学(つくば市天王台)は、人間の身体活動能力を最大化するための次世代健康スポーツ科学を推進している。その効果的な方策の一つとして、2015年から同大学院の共通科目にヨガコースが開講した。院生たちは自分の研究テーマに向かい合い、さまざまなプレッシャーと戦っているが、生活にヨガを取り入れることでストレスが軽減しているという。6月3日と11日に同大武道館で開かれた社会人向けヨガ講座を記者が体験した。この講座は、同大のスポーツ・オリンピック学専門プログラム「つくば国際スポーツアカデミー(TIAS)」が社会貢献事業の一環として開催している。 ヨガはストレスやプレッシャーを切り抜け、平常心を取り戻すための心身技法だ。担当教員の一人である農学博士ランディープ・ラクワール教授によると、毎年ヨガコースの受講希望者は定員を超えキャンセル待ちの状態。教室は学生でいっぱいになり、ニーズの高さを感じているという。 研究成果を地域に還元 同大では、研究で得られた成果を広く社会に還元することを目指している。ランディープ教授は学生たちのヨガへの関心の高さを知り、16年から一般の参加者も受講できる「みんなのヨーガ」クラスを開講した。講師は長年ヨガや呼吸法指導、ヨガの科学的研究に携わってきた高橋玄朴講師。講座は深遠なヨガの思想について解説する講義とヨガの実技合わせて各回3時間ほどで、今年度は7月15日まで開講している。 講義のテーマは毎回異なっている。3日の講義は「東洋心身思想の特徴とその広がり」。高橋講師によると、座禅や気功、武道とヨガには共通する特徴があり、それは姿勢を整える(調身)、呼吸を整える(調息)、心を整える(調心)ということだ。日本の「道」(蹴鞠、能・狂言、武道、茶道など)にも共通する心身技法があるという。 ラクワール教授は「大学発の講座である以上、アカデミックな内容であることを重視している」と言う。専門的で難解な部分もあるが、講義後には高橋講師やラクワール教授に自由に質問することもできる。 寝不足でこわばり 脱力体操でほぐれる 講義は1時間ほどで終わり、短い休憩の後いよいよ実技だ。高橋講師の指示に従いながら、まずは体をほぐす脱力体操から始める。前の週に忙しかったこともあり、1週間まとまった運動をしていない。前夜は寝不足気味で少しだるさがあった。しかし、力を入れては抜くという運動をじっくり繰り返しているうちに首のこわばりや肩の緊張が取れてきた感じがする。 外は緑いっぱいで気持ちの良い快晴。静かな中、武道場で試合する人たちの掛け声や鳥の声、葉擦れの音が遠く聞こえる。ゆったり流れる時間が心地よい。時間をかけて体を伸ばし呼吸を続けるうちに、浅かった呼吸がだんだん深くなり、たくさん息を吸い込めるようになってきた。その分吐く息も長くなる。もともと体が硬く、先生のようにはできないポーズも多いが、気にせずに体が心地よく伸びるのを味わう。 雑念ばかり 10まで数えられない! 実技前の講義で、仏教の行のやり方である「数息観(すうそくかん)」について習った。1から10まで数を数えながら呼吸をし、最後までいったらまた1に戻る、間違えたらまた1から数え直すというものだ。高橋講師の指示で始めるが、これがなかなかうまくいかない。数を数えていても仕事の事ばかり頭に浮かんでは消え、何度やっても10まで数えられない。「あっ、また雑念だ」と思ってやり直すのだが、無心になることがこれほど難しいとは。日ごろどれだけ雑念ばかりで生活しているのかを思い知った。 その後指示で、自分にだけ聞こえるように「んー」と言いながら瞑想をする。「無字観(むじかん)」という技法だ。すると、自分の声の響きに集中するせいだろうか。雑念が減った。不思議な感覚だ。しばらく「んー」と言い続けることだけに集中し、その後先生の指示で止めると、なんとも言いようのない穏やかな静寂が広がる。明鏡止水の心境。とても気持ちの良い感覚だ。 不安消え目の前シンプルに 初心者にも取り組みやすく手順を踏んだ瞑想のやり方は、高橋講師が大学院の学生のために考案したものだという。静かな心の状態をゆっくりと味わった後、仰向けのポーズになってゆったり呼吸し、伸びをして起き上がる。 ヨガをやる前に感じていた「あれもこれもやらなくては」という焦燥感や漠然とした不安感が消え、目の前の仕事がシンプルに映り、やるべきことの優先順位が明確になった感じがする。本来各々が持っている力を最大限発揮できるようにするというヨガの効果を記者も実感することができた。

調整池 樹木伸び放題 福島原発事故影響 土浦市が伐採、土砂搬出検討

【鈴木宏子】福島第1原発事故による放射能の影響により土浦市内で調整池の浚渫(しゅんせつ)が行き届かず、場所によって樹木が伸び放題になっている。同市6月議会一般質問で指摘があった。市は調整池の機能を確保するため、今後、放射線量を測定した上で、樹木の伐採や草刈りなどを実施し、土砂の搬出を検討するとしている。久松猛市議(共産)が指摘した。 調整池は雨水を一時的にためて冠水や浸水被害を起こさないようにする施設で、市内には宅地造成や土地区画整理事業でつくられた調整池が58カ所あるという。規模は100㎡未満の小規模なものから4万㎡以上の大規模なものまでさまざまで、市が管理している。 久松市議の地元、同市木田余東台の住宅団地調整池は現在、樹木が生い茂っている。震災前からほとんど手入れされてなかったと久松市議はいう。数年前、区長が市に浚渫を要望。市は調整池内に重機を入れて浚渫を実施したが、土砂は調整池敷地内に寄せ集められただけだった。当時は住民に対し放射能の影響で持ち出せないなどの説明はなかったという。震災から7年が経過し、現在、樹木はさらに伸び、底に泥がたまっていて水たまりがあるため周辺住民は蚊の発生に困っていると久松市議は話す。 市によると各調整池の管理は、2011年の東日本大震災前は排水口と周辺の土砂のしゅんせつ、草刈り、清掃を随時実施していた。 震災後は調整池に堆積している土砂は放射線量が高く受け入れ先がないことから搬出できず、市は清掃して出た排出口付近の土砂を、調整池内に一時保管などしている。震災後も定期的に清掃している調整池がある一方、排出口以外の部分は土砂が堆積して草が生え、木が茂っている調整池もあるという。 市は、震災から7年が経過し状態も変わっているとして、今後、調整池内に堆積した土砂について放射線量や放射能濃度、堆積した土砂の調査を実施する。放射線量によっては受け入れが可能な処分先もあるとして処分を検討するとした。 規模の大きな調整池については、調整池の機能を確保するため、草刈りや樹木の伐採、配水口周辺の清掃などを優先的に行いたいとしている。 土砂の搬出の検討に対し、東日本大震災が発生した2011年から3年間にわたって市内の放射能汚染の実態を独自に測定し調査してきた市民団体「土浦まちづくり市民の会」代表の長坂慎一郎・山形大学元教授は「最近、市内の調整池の土砂の測定を実施したが高さ1mで0.5㍃シーベルトあり、除染の目安の0.23㍃シーベルトを超えていた。たまった土砂を浚渫しないと本来の調整池の機能を果たさないということだと思うが、調整池には集水域から放射性物質がたまるので、土砂を搬出する前に測定をする必要がある」などと話している。

【シルバー団地の挑戦】2 文化部が医療講話

【橋立多美】つくば市茎崎地区の大規模住宅団地、森の里自治会公会堂で15日、文化部主催の講話「自分と家族を守るための地域医療の知識」が開催された。60代や70代の前期高齢者を中心に約70人の団地住民が梅雨寒の中を集まった。 同団地の世帯数は約1300戸で高齢化率は5月1日現在49%(市市民活動課調べ)。これまで自治会文化部は、住民の融和を目的にしたコンサートや文化祭などの行事を継続してきたが、今年度から超高齢社会に対応した行事を盛り込むことになった。講話はその一環で初の試み。 講師は同市倉掛で内科医院を開業し、長年高齢者への訪問医療を実践していた室生勝さん(82)。医院を閉じた後も、高齢者のための講演や相談などの活動を続けている。NEWSつくばのコラムニストでもある。 室生さんは自己健康管理法や病院の種類と役割、かかりつけ医の見つけ方などを分かりやすく説いた。また、疾患を持ち医療を受ける側も、病気の治療や生活の質を向上させるための知識を得ることが必要だと話した。患者の心得として勧めたのが「健康手帳」。血圧の数値と体調の変化を記載し、受診時に持参すれば診断に役立つと述べた。 講話を聞いた古谷とよ子さん(70)は「相性の良い医師をかかりつけ医にという話があったが、私よりパソコンの画面を見ている医者が多くて決められず、切実な問題。暮らしに直結した医療や介護の話をまた聞きたい」と話していた。 文化部部長の中村栄子さん(69)は「医療は聞きなれない専門用語が付きものですが、1人も退席することなく最後まで真剣に聞いてくれた。関心が高いことが分かったので医療や介護に関する行事を続けていきたい」と語った。  

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《映画探偵団》33 つくばセンタービル 磯崎新の設計思想

【コラム・冠木新市】東京ディズニーランドのシンボル、シンデレラ城が新型コロナウイルスで休園中に改修された。シンデレラ城は、ドイツのバイエルン国王ルードウィッヒⅡ世によって創られたノイシュバンシュタイン城をモデルにしたものである。東京ディズニーランドと同じく1983年に完成した「つくばセンタービル」も、実はノイシュバンシュタイン城の影響を受けて創られている。 「狂王ルードウィッヒが純粋に快楽のために建設したこの折衷主義のあだ花、キッチュの権化ともいうべきノイシュバンシュタインは、いまでは確実にポピュリズムの核心にある。《つくばセンタービル》の複合体が独自の象徴作用をなすためには、私はキッチュ的な要素の使用も辞すまい、と考えたことも事実である」「私はノイシュバンシュタイン的なものへ接近する道を歩んでいたのかもしれない」(磯崎新編著『建築のパフオーマンス』PARCO出版局) 「こんな面白いところが、入場料もとらずに開放されているなんて、信じられない」と言った人がいた。私も30年ほど前から、毎日のようにセンタービルを眺めてきたが、見飽きないし、少しも古びないのは驚きである。晴れた日には、3棟のビルの表面がきらきら輝き、美しいかぎりだ。さらに、1000人以上入るホールがあるのに、巨大さを感じさせないのはなぜだろうか。 なかでも中央の楕円形の広場、いや、庭は実に刺激的だ。何もない空間だからである。だが、東洋的なこの庭は、西洋的な3棟の建物を際立たせている。しかし、権力、財力、名誉を求める人にとっては、廃墟をイメージするような空間は腹立たしさを覚えるのに違いない。力を暗示するシンボルが存在しないからである。 霞ケ浦を模した階段から流れる水は、つくば市の位置に相応する中央へと流れ落ちる。センタービルの空っぽの庭は、創造性を触発する器であり、水が主役なのである。私などは、崩れかけたような岩山に大魔神が埋め込まれているのではないかと、つい想像してしまう。 大映の『大魔神』ドーム屋根案を踏み壊す?

新品種導入も推奨 イネ縞葉枯病対策で県

【山崎実】つくば市や筑西市など県南、県西の一部地域で発生が多くみられるイネ縞葉枯(しまはがれ)病対策として茨城県は、従来からの薬剤散布などによる防除対策に加え、水稲新品種の「にじのきらめき」や「ふくまるSL」などの抵抗性品種の導入を進めていく。 イネ縞葉枯病は、体長3~4ミリの害虫ヒメトビウンカに媒介されるウイルス病で、発病すると生育不良となり、イネが実らなくなって減収となる。 県は保毒虫率(ウイルスを持った虫の割合)5%以上を薬剤防除の目安にしている。県南、県西地域のつくば市や筑西市などで行った調査では、一部地域でいずれも5%を超え、次作でも多発可能性が高いことから、抜本的な対策が必要とされていた。 この問題は県議会第2回定例会でも議論に上り、県は①育苗期や生育期間中の薬剤散布②収穫後の田起こしや畝(うね)の雑草除去③抵抗性品種への転換ーの具体策を提示した。今後は防除対策が地域全体の取り組みとして行われるよう、薬剤散布や田起こし、雑草除去など複数の対策を組み合わせて行う従来の方法と、抵抗性品種への転換の2つの方法について効果を検証し、多発地域を指導していく考えを明らかにした。 特に抵抗性品種の導入は、栃木県や埼玉県で効果があったとされ、県も有効な被害軽減策と位置付けている。 農研機構が育成した「にじのきらめき」は「コシヒカリ」よりやや遅い収穫期の品種で、倒れにくく、収量も多い。縞葉枯病に抵抗性で、高温でもよく実り、コメの外観品質が良く「コシヒカリ」と同等のおいしさ。ブランド米に並ぶ食味と安定多収性で、外食・中食用途への利用が期待されている。

筑波山・霞ケ浦を稼げる観光地へ 遊べる旅行企画など募集

【山崎実】茨城県は、筑波山・霞ケ浦広域エリア観光連携促進事業を2018年度から3カ年計画で進めている。現在、両地域の観光資源を生かした「土産品・グルメ」「アクティビティーコンテンツ」の新商品開発プランを募集している。 観光連携の新たな魅力創出と、稼げる観光地域づくり促進が狙いで、選定されたプランには補助金の交付、販売支援などが行われる。 募集は▽新たな定番商品の開発▽アクティビティー(遊べる)ツアープログラム企画の開発ーの2部門。定番商品の開発では、観光目的の大きな要因である「食(グルメ)」、地域を代表する新たな「土産品」を募集する。既存商品の味やデザイン、パッケージなどに工夫・改良を加えたものも応募可能とする。採択は4件程度を予定し最大補助額は75万円。 アクティビティー・ツアープログラム企画開発部門は、アウトドア層を対象に、地域の観光資源を活用した新たな「ツアープログラム」を募集する。採択は2件程度で最大補助額は50万円。 応募資格は新商品の企画・開発をめざす個人、法人、グループなど。「土産品・グルメ」提案部門は県内に事業所をもっていることが条件だが、アウトドア層向けの企画開発の提案は、事業所の所在地は問わない。 応募締め切りは8月21日。同月下旬に書類審査、9月にプレゼンテーション審査を行い、商品開発を実施。来年2月に成果報告会を予定している。

《雑記録》13 アメリカ大統領選挙・雑感

【コラム・瀧田薫】2013年1月、再選されたオバマ大統領は2度目の就任式に臨み、リンカーン大統領と公民権運動の指導者キング牧師が愛用した聖書に手を置いて就任の宣誓をした。このパフォーマンスにこめられた政治的意図は、アメリカ建国以来の宿痾(しゅくあ)である人種差別を解消し、分断された社会に調和と協調をもたらすことにあった。しかし、不幸なことに、アメリカ初の黒人大統領の願いは実らず、トランプ大統領の登場以降、アメリカ社会の分断はむしろ拡大の一途を辿(たど)っている。 今年11月、トランプ大統領は再選をめざして民主党候補バイデン氏とたたかう。現時点(7月2日)で、大方の専門家の予想はバイデン氏有利としているが、前回選挙同様、予断を許さない。それはさておき、ここまでの選挙運動を通じて目立った動きは、オバマ氏が前職大統領としては異例なほどにバイデン氏に肩入れし、支援する姿勢を見せていることだ。トランプ氏が再選されれば、アメリカ建国以来の理想(自由、民主主義、人権など)の崩壊につながるとの危機感が彼の背中を押しているに違いない。 2020年5月25日、米中西部ミネソタ州ミネアポリスで、白人警官が黒人男性の首を膝で押さえ続けて死亡させる事件が起きた。この映像がネットを通じて拡散されると、全米各地で人種差別に抗議するデモが発生し、時間の経過とともに、デモは人種差別に対する抗議の域を超えて、米国社会に残る「構造的な差別」の根絶を訴える運動へと展開しつつある。黒人奴隷制度と先住民からの収奪のうえに繁栄を遂げた米国の歴史そのものを見つめ直す議論も始まっている。 南北戦争のトラウマが大統領選に影響 一例をあげれば、南部ミシシッピ州議会(上下院ともに共和党が多数を占める)は、南北戦争(1861年)で南軍が使用した旗をあしらった州旗を廃止する法案を圧倒的な多数で可決した。アメリカの全州の旗から南軍旗のデザインは消え去ることになる。アメリカで、何かが動き始めたようだ。 筆者は、過去何回かの米国大統領選挙について、毎回同じ仮説上に立って分析を試みてきた。すなわち、「南北戦争」(同じ国民同士が殺し合った記憶)のトラウマが大統領選挙の結果に影響を及ぼすのだが、その影響の出方(強弱)は選挙ごとに異なるという仮説である。例えば、オバマ氏の選挙の時よりもトランプ氏の選挙の時に「分断国家」のトラウマはより強く出た。分析の手法としては実に単純で、南軍に参加した州と北軍に参加した州それぞれにおける投票行動(誰に投票したか)を比較する。