金曜日, 4月 19, 2024
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《土着通信部》12 「アカンサスの学舎」復元 土浦一高旧本館

【コラム・相沢冬樹】洋風建築で、屋根の棟や尖塔の頂上に設置する飾りをフィニアルと呼ぶ。これにアカンサス(ハアザミ)の花を配した県立土浦一高(土浦市真鍋4丁目、杉田幸雄校長)の国指定重要文化財、旧土浦中学校本館(旧本館)は「アカンサスの学舎」の別名がある。しかし、その花が咲くのは正面両翼端の切妻屋根の上のみで、中心にある正面玄関の頭頂部のフィニアルは長い間、武骨な四角錐の飾りに置き換えられていた。 同校出身の建築史家、一色史彦氏は「玄関の三角屋根を見上げるたびに、私は気が滅入ってしまう。この頂きにはかつて見事に大きなアカンサスの花が開いていたことを想うのである。これを設計した人にとっては耐えられない姿であろう」(住宅建築、1994)と書いた。創建当時の古写真から、玄関の切妻屋根の上にもアカンサスのフィニアルが掲げられていたことが確認できる。 同校は明治30年(1897)の創立、旧本館が現在地に建設されたのは明治37年(1904)のことだった。設計は創建当時茨城県技師だった気鋭の建築家、駒杵勤治(1877 – 1919)による。1974年の夏、一色氏は旧本館の屋根裏に分け入って、1つの棟札を探し当てた。「上棟式大頭梁茨城県技師工学士駒杵勤治」と墨書されていた。この発見によって1976年、旧制中学校校舎としては全国で初めて、国の重要文化財指定を受けることになった。 天井高が約5mもあり、採光のため縦長の上げ下げ窓のついた教室は、冬場の寒さが厳しかった。80年代以降授業には使われなくなり、創立90周年を機に資料展示室や復元教室として整備された。展示品は、上棟の棟札をはじめ、校舎模型、旧制中学校校旗、卒業生の永瀬義郎氏(版画家)や高田保氏(作家)の関連資料など。復元教室はNHKドラマや映画の撮影にも用いられ、毎月第2土曜日に一般公開されていた。 しかし、2011年東日本大震災で被災したため閉鎖され、2016年から耐震補強工事に合わせ全面的な改修に取り組むことになった。同校の創立120年記念事業として創建時の姿に復元をめざすもので、外壁のカラーリングから更新される。断面観察等の結果、これまでに7回の塗り替えが確認され、創建当時の塗色は暗紫色と淡褐色であったことが判明したためだ。また人造スレートになっていた屋根材を創建当時の天然スレートに葺き替えるため、同質の石を産するカナダのケベック州から石盤を輸入するなどした。 この復元のシンボルとなったのが正面玄関の屋根飾りだった。建物部分の改修工事は3月までに終わり、左右対称のゴシック様式で統一を図った校舎の中央、切妻破風屋根の尖端にアカンサスの4弁の花を模したフィニアルが戻ってきた。改修は現在外構工事に移っており、展示物の搬入などを待って、8月ごろに竣工式、10月から月1回の開館日を再開する予定でいる。(ブロガー) ▼旧本館建築の見どころと改修の詳細は、土浦一高ホームページ「ぶらり旧本館ご案内」(第33代校長・横島義昭氏執筆)に詳しい。 URL:http://www.tsuchiura1-h.ibk.ed.jp/index.php?action=pages_view_main&&block_id=1671#_1671

春のリーグ戦に向け意気込み 土浦一高出身、宮本直輝投手 東大野球部15年ぶり勝ち点1に貢献

【伊達康】東京大学教養学部文科三類2年に在籍する宮本直輝は土浦一高出身の右腕投手だ。その宮本が昨秋、東京六大学野球で歴史的な勝利を挙げた。4月に開幕する六大学春のリーグ戦に向けて「一つでも上の順位に入れるよう、ピッチングで貢献したい」と意欲をみなぎらせる。 昨年10月8日、エース左腕・宮台康平(日本ハムから7位指名)の完投により東大の先勝で迎えた法政大2回戦。宮本は2点差と迫られた2回表一死一、三塁のピンチからリリーフ登板すると、最速139㎞のストレートと落差の大きいカーブを武器に3回2/3を1失点でしのいだ。さらに4回裏には9番打者として、法政大の同郷左腕・鈴木昭汰(1年、土浦四中-常総学院)からレフトスタンドへ本塁打を放ちチームを勢いづけた。6回からはエース・宮台にマウンドを託し1点差に詰め寄られながらも逃げ切った。 宮本が殊勲の勝利投手となり東大が2002年秋以来15年ぶりに悲願の「勝ち点1」を得た。この時の心境を「勝ち点がかかった試合でなかなか勝つことができなかったので嬉しかったです」と笑顔で振り返る。 ■夏のベスト16入りに貢献 中学時代は谷田部東中で軟式野球部に所属し県選抜チーム「オール茨城」に選出されるなど、軟式球界では好投手として「知られた存在」だった。 高校は私立校からの誘いもあったが土浦一高を選択。1年秋からエースを任されると2年夏には全4試合35イニングを完投してベスト16進出に貢献した。 新チームになってからは山口裕和との右腕2枚看板を武器に、その年の秋季県大会で優勝することになる霞ケ浦を2対0で撃破して県南選抜大会(県南地区新人戦)優勝を果たした。投打の主軸が残り前年以上の結果を期待されて迎えた3年夏は第8シードの水戸桜ノ牧に2回戦で敗れて高校野球を終えた。 ■先輩の話に憧れ 「もともと中学時代から東京六大学野球に憧れがありました」。高校入学時に漠然と考えていた希望進路はある出会いをきっかけに東大一本に絞られる。転機は高校1年の時だ。当時、東大野球部に在籍していた山越徹氏が母校である土浦一高に教育実習で赴任し野球部にも顔を出した。後輩達を前に東大野球部の魅力や歴史、伝統を熱く語る先輩・山越。宮本は次第に話に引き込まれ東大野球部に憧れを抱くようになる。山越がかけてくれた「お前も東大でやらないか」という言葉が背中を押した。「絶対に東大で野球をやる」そう決心した宮本は、高校野球引退後に1年の浪人生活を経て晴れて東大に合格する。 ■ダイナミックなフォームに 東大野球部では1年秋の法政大1回戦でリーグ戦デビューを果たしたが、「高校野球とは次元が違う大学野球のスピードとパワーに面食らった」と言う。この経験が宮本の向上心に火を付けた。それまではオーソドックスなフォームだったが「体の使い方を試行錯誤する中で、足を高く上げることで下半身をしっかり使える感覚があったので試してみた」と語るとおり、「ライアン小川(ヤクルト)」のように左足を大きく上げるダイナミックな投球フォームにたどり着いた。 新フォームで臨んだ2年秋のリーグ戦では主にセットアッパーとして7試合14イニングに登板し前述の1勝を挙げた。ちなみに東大の3勝のうち残り2勝はプロ入りした宮台がマークしたものだ。 ■「エース宮台」後の期待背負う エース・宮台が抜け今後は主戦投手の一角として活躍が期待される。教育学部3年として迎える春のリーグ戦に向けて、現状の課題を「ボールのキレや制球などのレベルアップ」と分析。履修を工夫して野球にかける時間を捻出しながら、この冬は体づくりに重点を置いたトレーニングに励んでいる。 野球と学業に精一杯で「就職や教育実習など、将来のことはまだ具体的に決まってはいない」という。 大きな1勝を挙げた宮本が、残る4シーズンでさらなる勝ち星を挙げられるか、今後の飛躍に期待したい。

「筑波山、桜川は原風景」 角川短歌賞受賞の渡辺新月さん

つくば市長を表敬訪問 短歌界の新人賞にあたる角川短歌賞を昨年11月に受賞したつくば市出身の東大生、渡辺新月さん(21)が26日、つくば市の五十嵐立青市長を表敬訪問した。渡辺さんは「子どもの時に見ていた筑波山や、高校時代に自転車で橋の上から眺めていた桜川は、今も強く心に残る原風景」だと話し、今後は「大学院への進学を目指し、創作活動と共に和歌の歴史を学び、和歌を切り口とした一本の線で日本の文学史を研究していきたい」と語る。五十嵐市長は「地元出身の渡辺さんを応援したい」と声を掛けた。 渡辺さんは母親の実家のある青森県八戸市で生まれて間もなく、つくば市谷田部に移り高校までを過ごした。土浦一高を卒業後、東京大学に進学し4月から4年生になる。都内に暮らしながら学生短歌会「東京大学Q短歌会」に所属し創作活動に打ち込んでいる。 百人一首が小学生の頃から好きだった。中学生のときに夏休みの宿題をきっかけに短歌に興味を持ち始めた。以来独学で創作活動を始めると、土浦一高在学中の2018年に第64回角川短歌賞で佳作を受賞。20年には第2回笹井宏之賞野口あや子賞、21年に第3回超然文学賞短歌部門最優秀賞を受賞した。22年、再び角川短歌賞佳作を受賞し、昨年6回目の同賞挑戦で最高位の短歌賞を受賞した。過去最多の870篇の応募があった。 小、中学時代は地元の谷田部交流センター図書室や中央図書館に何度も通いながら古い文献を読むことに夢中になっていたという。中学、高校時代は毎晩5首から10首の短歌を作り、日記と共に毎日手書きでの創作を現在まで続けている。「書くことが面白い。日記は事象だが短歌には感情を乗せることができる」と語ると、「自分が作った短歌を後から読み返すと、その時、自分がどんなことを感じていたかを思い出せる。短歌にはその時の感情を残すことができると気がついた時に、最初の驚きを感じた」と創作に打ち込み初めた当時の気持ちを思い返す。 「古い言葉に興味がある。古い言葉を使って新しいことを歌うことが短歌の醍醐味。大学に入ってからは能に興味をもつようになり、自分でも習うようになった」という。 自身での創作と共に、歴史上の人物や他の作家の作品にも関心を持つ。その訳を「他者の作品を読むことでその人の感情を『解凍』できる」とし、「歴史上の人物の感情を自分に引き寄せて感じることができるのも短歌の魅力」だと語る。(柴田大輔)

今年の高校入試 土浦一受験者が大幅減《竹林亭日乗》14

【コラム・片岡英明】県立高校入試が2月28日にあり、発表は3月12日である。今年は、土浦一高が4学級に募集減、牛久栄進高が1学級増、筑波高が進学コースを設置―などがあり、注目している。 報道によると、土浦一高は募集160人に対して受験が208人で、倍率が1.3倍と高くなった。昨年は募集240人に対して受験283人と1.18倍だったので、倍率は上がった。しかし、受験者は昨年より75人減っている。今回はこの受験者減について考えたい。 土浦一高に附属中学が設置される前の2020年は、320人の募集に対し受験したのは417人だから、今年の受験者は20年の半分である。募集が半分だから受験者減は当然で、その分、競合校の受験が増えたとの見方もある。 そこで、昨年のつくば在住生徒の県立高進学数を見ると、多い順に、竹園高200人、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人だった。ちなみに、この6年間のこれら4校への総志願者数は以下の通りだ。 <定員> ▽2020年まで: 4校とも定員320人           合計1280人 ▽2021年:土浦一が中学設置で1学級減280人      合計1240人 ▽2022年・23年:土浦一がさらに1学級減240人    合計1200人 ▽2024年:土浦一が2学級減160人、牛久栄進が40人増 合計1160人 最近4年で、つくばからの進学者の多い県立4校の定員が120人削減されたことになる。これら定員削減に伴って総受験者数も減少している。 <4校の総受験者数> ▽2019年:募集1280人 受験者1653人 倍率1.29倍 ▽2020年:   1280     1671    1.31 ▽2021年:   1240     1512    1.22 ▽2022年:   1200     1549    1.29 ▽2023年:   1200     1496    1.25 ▽2024年:   1160     1483    1.28 4校の平均倍率は毎年1.2~1.3倍とほぼ一定で、人気校といえる。そういった高校の定員削減によって、受験者が1600人台から1400人台に減少していることがわかる。 志願先変更数からのメッセージ この受験減から、高倍率の人気校を避けざるをえない受験生の苦労を読み取ってほしい。それは、いったん出願した後の志願先変更にも表れている。 今年の4校の当初志願者数と志願先変更後の差は、竹園16人減、牛久栄進2人減、土浦二12人減(昨年1人)、土浦一14人減(昨年8人)である。 竹園は320人募集に、昨年の395人から40人増加し435人、志願先変更で16人減の419人。牛久栄進は募集が320人から360人に増加したが、受験者が449人から440人に減少。志願先変更では2名減の438人と倍率が低下し、定員増の効果が出ている。 一方、土浦一は募集が240人から160人に削減され、受験者が283人から222人と61名減少。志願先変更でさらに14名減の208人となった。土浦二は320人募集に昨年369人から430人と61人増加したが、志願先変更で12名減少し、418人。土浦一・土浦二の志願先変更数の多さから受験生の声を読み取りたい。 定員削減のために発生した高倍率を避ける動きが竹園・土浦二・土浦一で生まれ、結果として志願先変更で4校の受験者は44人減少した。土浦一には、門を狭めずに地域の伝統校として多くの受験者が集まる魅力ある学校になってほしい。 県には、人気校の定員削減が、全体として今回取り上げた4校の総受験者数の減少につながっていることを理解してほしい。また、受験生がいったん志願した高校を変更するときの心情を受けとめてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

今年の高校入試 土浦一受験者が大幅減《竹林亭日乗》14

【コラム・片岡英明】県立高校入試が2月28日にあり、発表は3月12日である。今年は、土浦一高が4学級に募集減、牛久栄進高が1学級増、筑波高が進学コースを設置―などがあり、注目している。 報道によると、土浦一高は募集160人に対して受験が208人で、倍率が1.3倍と高くなった。昨年は募集240人に対して受験283人と1.18倍だったので、倍率は上がった。しかし、受験者は昨年より75人減っている。今回はこの受験者減について考えたい。 土浦一高に附属中学が設置される前の2020年は、320人の募集に対し受験したのは417人だから、今年の受験者は20年の半分である。募集が半分だから受験者減は当然で、その分、競合校の受験が増えたとの見方もある。 そこで、昨年のつくば市在住生徒の県立高進学数を見ると、多い順に、竹園高200人、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人だった。ちなみに、この6年間のこれら4校への総志願者数は以下の通りだ。 <定員>▽2020年まで: 4校とも定員320人           合計1280人▽2021年:土浦一が中学設置で1学級減280人      合計1240人▽2022年・23年:土浦一がさらに1学級減240人    合計1200人▽2024年:土浦一が2学級減160人、牛久栄進が40人増 合計1160人 最近4年で、つくばからの進学者の多い県立4校の定員が120人削減されたことになる。これら定員削減に伴って総受験者数も減少している。 <4校の総受験者数>▽2019年:募集1280人 受験者1653人 倍率1.29倍▽2020年:   1280人    1671人   1.31倍▽2021年:   1240人    1512人   1.22倍▽2022年:   1200人    1549人   1.29倍▽2023年:   1200人    1496人   1.25倍▽2024年:   1160人    1483人   1.28倍 4校の平均倍率は毎年1.2~1.3倍とほぼ一定で、人気校といえる。そういった高校の定員削減によって、受験者が1600人台から1400人台に減少していることがわかる。 志願先変更数からのメッセージ この受験減から、高倍率の人気校を避けざるをえない受験生の苦労を読み取ってほしい。それは、いったん出願した後の志願先変更にも表れている。 今年の4校の当初志願者数と志願先変更後の差は、竹園16人減、牛久栄進2人減、土浦二12人減(昨年1人)、土浦一14人減(昨年8人)である。 竹園は320人募集に、昨年の395人から40人増加し435人、志願先変更で16人減の419人。牛久栄進は募集が320人から360人に増加したが、受験者が449人から440人に減少。志願先変更では2名減の438人と倍率が低下し、定員増の効果が出ている。 一方、土浦一は募集が240人から160人に削減され、受験者が283人から222人と61名減少。志願先変更でさらに14名減の208人となった。土浦二は320人募集に昨年369人から430人と61人増加したが、志願先変更で12名減少し、418人。土浦一・土浦二の志願先変更数の多さから受験生の声を読み取りたい。 定員削減のために発生した高倍率を避ける動きが竹園・土浦二・土浦一で生まれ、結果として志願先変更で4校の受験者は44人減少した。土浦一には、門を狭めずに地域の伝統校として多くの受験者が集まる魅力ある学校になってほしい。 県には、人気校の定員削減が、全体として今回取り上げた4校の総受験者数の減少につながっていることを理解してほしい。また、受験生がいったん志願した高校を変更するときの心情を受けとめてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

現職の五十嵐氏、3期目へ立候補を表明 つくば市長選

任期満了に伴って今年秋に実施されるつくば市長選について、現職の五十嵐立青市長(45)は27日開かれた市議会3月定例会本会議で、3期目に向け立候補することを表明した。五十嵐氏は「変化の動きを止めることなく世界のあしたが見えるまちへさらに前進するために、3期目も引き続きつくば市長として市政運営を担っていくべく強い決意を持っている」と述べた。27日開かれた黒田健祐市議(つくば自民党・創生クラブ)の会派代表質問に答えた。 同市では秋に市長選・市議選の同日選挙が予定されており、3月1日開かれる市選挙管理員会で選挙日程が決まる見通し。市長選については現時点で、現職の五十嵐氏以外に表立った動きはみられない。4年前の市長選は3人が立候補し、現職の五十嵐氏が再選を果たした。 27日の議会で五十嵐氏は、スーパーシティ特区の指定、脱炭素先行地域の選定、転入超過数が一般市で全国1位、常住人口25万人突破、人口増加率全国1位など、ここ数年の市の動きを挙げ「つくば市が選ばれるまちとなっていることが数字にも表れている。さまざまな取り組みが評価され、私自身、昨年、経済協力開発機構によるチャンピオンメイヤーに選出された。世界の先進都市からもつくばの取り組みが評価され、役割の重要性が増していることを実感している」などと強調した。 3期目に向けた課題などについては記者団の質問に答え「いろいろなことに取り組んで種をまいて形になっているものもあれば、まだこれからということもある。今つくば市で進めているそれぞれの分野をしっかりと前進させていくことが必要だと思う」とし「いろいろな事業に取り組んできて対外的に評価をいただき、多くの皆さんがつくばに注目している。人口増加という客観的な数字として、つくばを選んでいただいている。一方で、継続した課題はたくさんあるので、そういった取り組みを前進させるためには私がもう一度やるということがひじょうに重要だと思う」などと話した。 五十嵐氏は土浦一高、筑波大卒、同大学院修了。つくば市議2期を経て、2016年、2度目の挑戦で市長に初当選し現在2期目。(鈴木宏子)

歌碑ひっそりたたずむ 幻の歌「霞ケ浦周航歌」を探して(上)

霞ケ浦を望む歩崎公園にひっそりとたたずむ「霞ケ浦周航歌」の歌碑―。霞ケ浦の名所を叙情豊かに歌い上げている。土浦で育った禅の研究家が「霞ケ浦を浄化し、誇りにして宝にしたい」と作詞し、1997年に完成したが広まらなかった。歌を作ったのは一体どのような人で、どうして幻の歌となってしまったのか。 歌碑には楽譜と歌詞が刻み込まれているが、その曲を知る人はほとんどいない。歌碑を目にしたサイクリストも「聞いたことがない。ネットで検索しても何も出てこない」と話す。歌碑には「作詞 赤根祥道、作曲 安田優」とある。 霞ケ浦を一周 「筑波の嶺をあとにして 花の筏(いかだ)の桜川 亀城の櫓(やぐら) 壁白く めざすは霞浦(かほ)の湖ぞ」という歌詞から始まるこの歌は、1番から9番まである。楽譜を見ると8分の6拍子の曲で、歌詞には、土浦、江戸崎、浮島、潮来、鹿島、麻生、玉造、石岡、歩崎と霞ケ浦を反時計回りに一周する地名を詠み込んでいる。それぞれの地の歴史、文化に触れる内容になっており、その歌詞からは郷土への愛が伝わってくる。 作詞は赤根祥道さん 作詞をした赤根祥道さんは1930年、中国・大連市生まれ。2001年に亡くなっている。土浦一高を卒業し、東北大学と駒澤大学大学院で哲学と禅を、青山学院大学大学院で経営学を学んだ禅の研究家だった。1990年から亡くなる2001年まで、山城経営研究所(東京都千代田区)が主催するビジネス禅の研修会「赤根塾」で講師を務めていた。 「赤根塾」では、禅語の書物「碧巌録(へきがんろく)」などを用いて、全国の有名企業、中小企業の社長や重役などに禅の知恵を解き、経営の心を教えていた。禅に関する多数の著作があり、1998年には土浦市立図書館に「赤根祥道文庫」として著書約200冊と視聴覚資料を寄贈している。 歌はアマチュア作曲家の安田優さんが曲を付けて1997年に完成し、同年に開かれた「泳げる霞ケ浦市民フェスティバル」で披露された。安田さんの詳細は不明。歌のCDは地域の中学校などにも寄贈されたという。しかしその後広まらず、幻の楽曲となってしまった。(田中めぐみ) 続く

守谷の視点から県立高問題を考える 《竹林亭日乗》12

【コラム・片岡英明】1月6日に県立中学入試、1月9日には私立高校の推薦入試が始まった。今年も、受験生と保護者・教職員を応援する立場で、高校入試問題を考えたい。 進学志向が強い守谷市民 前回コラム(23年12月12日付)では、TX沿線から水海道一高への入学者が増え、地元常総市からの入学者が減っていることを紹介した。具体的には、2023年の水海道一高への入学者が常総市37人、守谷市78人だったことから、つくばエリアとTX沿線の県立高整備の必要性を指摘した。 23年の守谷市内中学卒業生642人の進学先は、水海道一高78、守谷高校69、伊奈高校55、竹園高校40、藤代高校35、取手一高30、牛久栄進高24、下妻一高19、竜ケ崎一高16、取手二高14、水海道二高13、土浦一高7―となっており、進学先が幅広いことが分かる。 市内守谷高への進学者は11%にとどまっており、県立高不足のために市内県立高入学が15%のつくば市よりも低い。 守谷の中学生の進学状況を見ると、常総線、TX、常磐線などを利用し、各方面の県立高を受験している。受験生、保護者、教師にとっては、対象地域が広く、学校数は多いことから、受験先選定の苦労が多いと推測される。受験県立高の偏差値分布は複雑に重なり合っており、「〇高に届かないから、〇高にするか」といった目標定めが大変そうだ。 こういった受験の不安を解消するには、TX沿線に県立高を新設して、選択肢を増やすとともに、受験高校を安心して選べる高校ランキングの「一本の太い筋」が必要である。 守谷高に進学コース2学級増設を ところで、TX沿線の県立高問題を取り上げると、この地域は千葉や東京への視線が熱く、茨城は意識してないとの批判を受ける。そうだろうか? 守谷の中学生の県内県立高への進学率は65%で、残りは私学や県外に進学している。これは、同じつくばエリアの常総市(74%)、つくばみらい市(72%)よりは低いが、つくば市(58%)、土浦市(61%)、取手市(64%)、牛久市(64%)より高い。 つまり、守谷の中学生は、TXを利用し千葉や都内への進学も考えるが、全体としては県内県立高への期待が高いことがわかる。そうなると、TX沿線の県立高への期待と現在の高校不足のズレが問題になる。そこで、TX沿線の魅力をさらに向上させ、県の発展にもつながる提案を3つ示したい。 1.TX沿線に県立高を新設して入学枠を増やし、上位校から中堅校までの流れを太くする。 2.守谷の高い進学志向を踏まえ、守谷高(現在6学級)に2学級の進学コースを増設する。 3.県と守谷市が協力して、守谷高の通学利便性を高める。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

守谷の視点から県立高問題を考える《竹林亭日乗》12

【コラム・片岡英明】1月6日に県立中学入試、1月9日には私立高校の推薦入試が始まった。今年も、受験生と保護者・教職員を応援する立場で、高校入試問題を考えたい。 進学志向が強い守谷市民 前回コラム(23年12月12日付)では、TX沿線から水海道一高への入学者が増え、地元常総市からの入学者が減っていることを紹介した。具体的には、2023年の水海道一高への入学者が常総市37人、守谷市78人だったことから、つくばエリアとTX沿線の県立高整備の必要性を指摘した。 23年の守谷市内中学卒業生642人の進学先は、水海道一高78、守谷高校69、伊奈高校55、竹園高校40、藤代高校35、取手一高30、牛久栄進高24、下妻一高19、竜ケ崎一高16、取手二高14、水海道二高13、土浦一高7ーとなっており、進学先が幅広いことが分かる。 市内守谷高への進学者は11%にとどまっており、県立高不足のために市内県立高入学が15%のつくば市よりも低い。 守谷の中学生の進学状況を見ると、常総線、TX、常磐線などを利用し、各方面の県立高を受験している。受験生、保護者、教師にとっては、対象地域が広く、学校数は多いことから、受験先選定の苦労が多いと推測される。受験県立高の偏差値分布は複雑に重なり合っており、「〇高に届かないから、〇高にするか」といった目標定めが大変そうだ。 こういった受験の不安を解消するには、TX沿線に県立高を新設して、選択肢を増やすとともに、受験高校を安心して選べる高校ランキングの「一本の太い筋」が必要である。 守谷高に進学コース2学級増設を ところで、TX沿線の県立高問題を取り上げると、この地域は千葉や東京への視線が熱く、茨城は意識してないとの批判を受ける。そうだろうか? 守谷の中学生の県内県立高への進学率は65%で、残りは私学や県外に進学している。これは、同じつくばエリアの常総市(74%)、つくばみらい市(72%)よりは低いが、つくば市(58%)、土浦市(61%)、取手市(64%)、牛久市(64%)より高い。 つまり、守谷の中学生は、TXを利用し千葉や都内への進学も考えるが、全体としては県内県立高への期待が高いことがわかる。そうなると、TX沿線の県立高への期待と現在の高校不足のズレが問題になる。そこで、TX沿線の魅力をさらに向上させ、県の発展にもつながる提案を3つ示したい。 1.TX沿線に県立高を新設して入学枠を増やし、上位校から中堅校までの流れを太くする。 2.守谷の高い進学志向を踏まえ、守谷高(現在6学級)に2学級の進学コースを増設する。 3.県と守谷市が協力して、守谷高の通学利便性を高める。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

学級増「志願状況みて個別対応」 つくばの県立高校不足問題 

市民団体要望に県教育庁 9校でシミュレーションも 人口増が続くつくば市に県立高校が少ない問題で、県教育庁高校教育改革推進室の増子靖啓室長は27日、2025年度以降のつくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総、牛久市の一部)の県立高校の学級数をどうするかについては、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期(24~26年度までの3年間)に反映させ位置付けるのではなく、「直近の志願状況などを見極めた上で(学級増を検討するなど)個別に対応したい」と述べるにとどまった。 一方、県は今年度、つくばエリアにある全日制県立高校9校(牛久栄進、筑波、竹園、つくばサイエンス、石下紫峰、水海道一、水海道二、守谷、伊奈高校)を対象に、①学級増をするとしたら現状で教室が足りるのか②教室がない場合、敷地内に増築するスペースはあるのか➂増築するとしたら概算でいくらかかるのかなどのシミュレーションを実施したことを明らかにした。結果については内部調査であることから公表する予定はないとしている。 つくばエリアや周辺では2023年度につくばサイエンス高の定員が2学級(80人)増、24年度は牛久栄進高が1学級(40人)増、筑波高に進学対応コースが新設されるなど、対応が始まっている。一方で土浦一高や水海道一高に中高一貫クラスが導入されたことから、つくば市の市立中学卒業者の県立高校受験は事実上、より厳しくなっている。 エリア間の入試格差解消を 市民団体「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が同日、森作宜民県教育長宛てに要望書を提出したのに対し、増子室長が回答した。要望書は、11月に同会が開いた教育フォーラム(11月12日付)で協議された意見などをもとに提出された。 要望書は、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期につくばエリアの実情を反映させ、つくばエリアの募集枠に対する全日制県立高校の定員(現在は47.5%)を県平均レベル(69.3%)まで引き上げることなど、県内エリア間の高校入試の募集枠の格差解消を求めた。具体的には県平均と同レベルにするには現状で15学級、7年後の2030年にはさらに10学級増が必要だと指摘し、竹園高校を2学級増やす、牛久栄進、土浦一、土浦二高の10学級化を目指す、つくばサイエンスに普通科を設置する、土浦一や水海道一など伝統校の県立中学の設置に伴う高校定員削減を止めることなどを要望した。 ほかに、学科を新設する場合は生徒や保護者にアンケートをとること、遠距離通学者への補助やスクールバス費用の軽減などを要望した。 要望書を受け取った県教育庁の増子室長は、県立高校改革プラン実施プランⅡ期について「つくば地域以外は中学校卒業者の数がどんどん減っており、実施プランⅡ期のメーンは(県北地域などの)小規模校への対応の検討になる」などと答えた。 同考える会の県要望は5回目、今年度は3回目の要望活動になる。(鈴木宏子)

4年ぶり ビジネス交流商談会 筑波銀行

筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)の「2023ビジネス交流商談会」が8日、つくば市竹園、つくばカピオで4年ぶりに催された。県内のほか北関東の128の企業や団体の出展ブースが設けられ、自社の技術や商品をPRした。約2000人が来場し、オンラインを含め約350件の商談が行われた。 共催として栃木銀行(本店宇都宮市)、東和銀行(本店前橋市)、茨城県信用保証協会が加わり、県の枠をこえた開催内容となった。 今年度のテーマを、同商談会プラスSDGsー新たなつながりで創るビジネス機会とサステナブルな地域社会ーとした。ビジネス交流の創出に加え、SDGs(持続可能な開発目標)に関する課題解決の提案を通じて企業価値の向上をサポートし、サステナブル(持続可能)な地域社会の実現に貢献することを目的にしたという。 筑波銀行自身も「地域のため、未来のために」という企業理念の実現に向けて、2019年4月に「SDGs宣言」を策定し、22年4月から、新たなSDGs推進プロジェクト「あゆみ」をスタートさせている。 参加したのは、一般企業、行政、教育機関、メディアなど。前回に引き続き高校生も参加した。筑波銀行、栃木銀行、東和銀行それぞれの頭取がそろって県立常陸大宮高校のブースを訪れ、担当した高校生から出店した特産物の説明を熱心に聞いていた。 県立土浦一高もSDGsチャレンジプロジェクトで参加した。担当した鮏川大樹さん(2年)は「『頭の良い経路案内』というプログラムを開発している、まだ試作段階だが、バリアフリーという視点で対応するなど、世の中の役に立ちたい」と話した。 つくば市から参加したA.swith(アズウィッチ)は、3Dプリンターで工場の生産設備の部品などを受託製造している。ブース担当の石井賢治さんは「特殊な技術を多くの人に知ってもらいたいということでこの交流商談会に参加した。商談につながればうれしい」と語った。(榎田智司)

あす投開票 土浦市長選

任期満了に伴う土浦市長選は22日午前7時から午後6時まで市内50カ所で投票が行われ、同日午後7時から同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育会館)で即日開票される。大勢判明は午後8時ごろの見込み。 立候補しているのは、現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=と、新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=の2人。期日前投票は16日から市内6カ所で行われ、20日までの投票率は8.22%。有権者数は11万8644人(14日現在)。 安藤氏は市内130団体以上の推薦を得て盤石の布陣で臨む。選挙期間中は片山さつき参院議員など自民党国会議員の応援を得て毎日市内2~4カ所で応援演説をする。小野氏は市内を車で回り、選挙ポスターを張りながら、人が集まるところで街頭演説をする。 安藤真理子 62 市長 無現①  【略歴】土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部卒。会社勤めの後、介護福祉会社を経営、市議2期、県議2期、市長1期。大町【公約】①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現 小野勉 61 家庭教師 無新 【略歴】土浦出身、土浦一高、明治大学政治経済学部政治学科卒。俳優や会社員などを務めた。【公約】①一律の給付金支給、減税、水道の基本料金ゼロなど、市民の経済的負担軽減②費用対効果を考えた実効性のある施策を実現するための役所改革③市長賞与・退職金の返上

現職と新人が立候補 土浦市長選告示

任期満了に伴う土浦市長選が15日告示され、現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=と、新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=の2氏が立候補を届け出た。14日現在の有権者数は11万8644人。投票は22日、市内50カ所で行われ、同日午後7時から同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育会館)で即日開票される。 安藤氏は商工、農業団体など130団体以上の推薦を得る。選挙期間中、片山さつき、進藤金日子参院議員らが街頭演説の応援に駆け付ける予定だ。小野氏は、市内を車で回り、選挙掲示板にポスターを張りながら、人が集まっているところで街頭演説したいとしている。 土浦に誇りがもてるまちをつくる 安藤真理子 62 市長 無現① 【略歴】土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部卒。会社勤めの後、介護福祉会社を経営、市議2期、県議2期。同市大町【公約】①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現 【安藤氏出陣式】午前10時から同市大畑の新治ショッピングセンターさん・あぴお駐車場で出陣式。雨が降る中、後援会によると支持者ら約1000人が足を運んだ。冒頭の挨拶に立った島岡宏明市議会議長は「今日は全市議24人が応援に来た」とし、「TX延伸など、土浦は百年に一度のチャンスにある。百年先の土浦のために、党派、会派を超えて土浦が一体となり、圧倒的な勝利をもって安藤氏を土浦市にお迎えしよう」と訴えた。安藤氏は「コロナがあり、命を守り抜くために闘ってきた3年間だった。ピンチをチャンスに変えるため様々なことに着手してきた。土浦に誇りをもち、みなさんに素晴らしいところだと思ってもらえるまちづくりをしていきたい」と述べた。出陣式には市議らのほか、地元選出の国光あやの、青山大人ら国会議員、同市区選出の伊沢勝徳、八島功男県議ら、「満場一致で安藤氏を支持する」とした県市長会から、会長の高橋靖水戸市長ら市長村長約30人ら多数が駆け付けた。 土浦を大改革し自由で楽しいまちを 小野勉 61 家庭教師 無新 【略歴】土浦出身、土浦一高、明治大学政治経済学部政治学科卒。演劇プロダクション所属俳優や会社員などを務めた。同市小岩田。【公約】①一律の給付金支給、減税、水道の基本料金ゼロなど市民の経済的負担軽減②費用対効果を考えた実効性のある施策を実現するための役所改革③市長賞与・退職金の返上 【小野氏第一声】午前10時から、同市大和町、市役所前で第一声。小野氏は「4年に1度の土浦を変えるチャンスが来た。現市長の市政が4年間続いていいのか。今の市長になってから本当に何か良くなったことがあるのか、私にはちっとも伝わってこない」と批判した。さらに「私の公約は、土浦大改革と、自由で楽しいまちをつくる」ことだとし、公約について「困っている人がたくさんいる。給付金、減税、水道基本料金をゼロにし、助けが必要な人に助けを届ける」と述べた。市役所改革については「今の市役所に公平さがあるのか、一部の人ばかりが得している」などと批判。市長の賞与・退職金ゼロについて「市長は公務員特別職、ボーナスもらうとか、退職金もらうとか、おかしい」と話した。その上で「夢を互いに応援しながら、自由で楽しいまちをつくろう」などと訴え支持を求めた。(鈴木宏子、柴田大輔)

あす告示 土浦市長選

任期満了に伴う土浦市長選が15日告示される。立候補を表明しているのは現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=。ほかに新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=が立候補の意向を示している。 4年前は市を二分する選挙戦が繰り広げられたが、今回は現職の安藤氏が市内各団体の支持を固めている。投票は22日行われ、即日開票される。9月1日現在の有権者数は11万8572人で4年前より約1700人増えている。 安藤氏は「土浦で生まれ、土浦で育った若い人たちが、地元土浦を誇りに思ってもらえるということが私の大きな原点。1期目の公約はすべて着手し、できたものもあるし、これから続けていくものもある。種をまいたものが実を付けて、市民の皆さんが1日も早くその実を食べられるようにしたい」と話す。 公約として①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実、1人親世帯の自立支援など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現などを掲げる。 安藤氏は土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部を卒業。会社員などを務めた後、介護福祉会社を創業。市議2期、県議2期を務めた。 小野氏は「4年間の成果が市民に見えない。現職の市政がこのまま続くのであれば納得できない」と現職を批判、「自由で楽しい土浦をつくりたい」と話す。 公約として①一律の給付金支給、減税、水道の基本料金ゼロなど、市民の経済的負担軽減②費用対効果を考えた実効性のある施策を実現するための役所改革③市長賞与・退職金の返上などを掲げる。 小野氏は土浦出身、土浦一高、明治大学政治経済学部政治学科卒。演劇プロダクションに所属し俳優となった後、会社員などを務めた。2019年と今年4月の同市議選と、20年の守谷市長選に出馬したがいずれも及ばなかった。

竹園・牛久栄進・土浦一・土浦二を10学級体制に《竹林亭日乗》8

【コラム・片岡英明】前回のコラム(8月10日付)で、来年度は牛久栄進高の1学級増でも、土浦一高の高校生募集が6→4の2学級減では、高校入試は逆に厳しくなる―と書いた。今回はこの解消策を考えたい。 つくばの市立中学卒業生2183人(今年)のうち、市内の竹園高には200人入っているが、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人と、市外の県立高へ流出している。一方、土浦の卒業生1095人の入学先は、土浦湖北高120人、土浦三高97人、土浦二高86人、土浦工業高81人、石岡一高50人、土浦一高37人、石岡二高36人である。 土浦一高は6学級に対して、土浦37人(15.4%)、つくば88人(36.7%)。土浦二高は8学級に対して、土浦86人(26.9%)、つくば113人(35.3%)。つくばから土浦の伝統校への流入が増え、土浦の生徒の地元伝統高への入学が抑えられ、石岡地区に流れているようだ。 こういった状態で、2024年土浦一高の高校募集を2学級減らしてよいのだろうか? 土浦一高の学級減の影響は、多くの受験生と学校に波及する。このままでは、つくばと土浦の受験生の悩みはさらに深くなるのではないか。 募集数は1987年比65%減 町村合併でつくば市が誕生した1987年、市内には全日制県立高が6校41学級(募集1927人)あった。その後、1989年をピークに第2次ベビーブーム世代が去り、子ども減が起きたが、つくば市の場合は2005年(TX開通年)を底に中学3年生は増加に転じた。 ところが2008年以降、県は市内の全日制高を減らし、現在は3校17学級(募集680人)。募集削減率は65%にもなる。つくば市内の県立高校不足問題の構造的原因はここにある。つくば市の現在の小学1年生は1989年の中学3年生のピーク2574人を越え、2686人(2023年)で、早急な対策が必要だ。 つくばエリアの人口・子ども増は県の発展にもプラスである。この地域の小中学生のために、県の平均的水準まで全日制県立高の入学枠を増やしてほしい。そのためには、現時点で15学級増、2030年までにさらに10学級増が必要と考える。 10学級体制へのシナリオ 学級増の具体策については、以下のような年次シナリオを提案したい。 ▼2024年:牛久栄進高1学級増に加え、土浦一高の2学級削減を止めて、6学級維持。 ▼2025年:牛久栄進高を9学級→10学級に。竹園高を8学級→10学級に。 ▼2026年:土浦二高を8学級→10学級に。土浦一高を付属中からの2学級に加え、高校入学を6学級→8学級に戻す。 つまり、4県立高校を10学級体制にし、高校入学枠を計8学級増やしてはどうか。並行して、県とつくば市が共同で2030年までのエリアの生徒数を正確に推計し、現時点の必要学級数と今後の必要学級数を算出する。 その上で、算出した必要学級数が既存の全日制県立高の学級増で賄えるのか、それとも学級増の一つの形態としての高校新設も必要なのか―を見極めてはどうか。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表) <ご参考>8月30日、電子書籍「若手教師の勘ドコロ―基礎力を磨く授業づくり・HRづくり、教えます」(22世紀アート社)を出版しました。アマゾンkindle版をご覧ください。

竹園・牛久栄進・土浦一・土浦二を10学級体制に《竹林亭日乗》8

【コラム・片岡英明】前回のコラム(8月10日付)で、来年度は牛久栄進高の1学級増でも、土浦一高の高校生募集が6→4の2学級減では、高校入試は逆に厳しくなる―と書いた。今回はこの解消策を考えたい。 つくばの市立中学卒業生2183人(今年)のうち、市内の竹園高には200人入っているが、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人と、市外の県立高へ流出している。一方、土浦の卒業生1095人の入学先は、土浦湖北高120人、土浦三高97人、土浦二高86人、土浦工業高81人、石岡一高50人、土浦一高37人、石岡二高36人である。 土浦一高は6学級に対して、土浦37人(15.4%)、つくば88人(36.7%)。土浦二高は8学級に対して、土浦86人(26.9%)、つくば113人(35.3%)。つくばから土浦の伝統校への流入が増え、土浦の生徒の地元伝統高への入学が抑えられ、石岡地区に流れているようだ。 こういった状態で、2024年土浦一高の高校募集を2学級減らしてよいのだろうか? 土浦一高の学級減の影響は、多くの受験生と学校に波及する。このままでは、つくばと土浦の受験生の悩みはさらに深くなるのではないか。 募集数は1987年比65%減 町村合併でつくば市が誕生した1987年、市内には全日制県立高が6校41学級(募集1927人)あった。その後、1989年をピークに第2次ベビーブーム世代が去り、子ども減が起きたが、つくば市の場合は2005年(TX開通年)を底に中学3年生は増加に転じた。 ところが2008年以降、県は市内の全日制高を減らし、現在は3校17学級(募集680人)。募集削減率は65%にもなる。つくば市内の県立高校不足問題の構造的原因はここにある。つくば市の現在の小学1年生は1989年の中学3年生のピーク2574人を越え、2686人(2023年)で、早急な対策が必要だ。 つくばエリアの人口・子ども増は県の発展にもプラスである。この地域の小中学生のために、県の平均的水準まで全日制県立高の入学枠を増やしてほしい。そのためには、現時点で15学級増、2030年までにさらに10学級増が必要と考える。 10学級体制へのシナリオ 学級増の具体策については、以下のような年次シナリオを提案したい。 ▼2024年:牛久栄進高1学級増に加え、土浦一高の2学級削減を止めて、6学級維持。 ▼2025年:牛久栄進高を9学級→10学級に。竹園高を8学級→10学級に。 ▼2026年:土浦二高を8学級→10学級に。土浦一高を付属中からの2学級に加え、高校入学を6学級→8学級に戻す。 つまり、4県立高校を10学級体制にし、高校入学枠を計8学級増やしてはどうか。並行して、県とつくば市が共同で2030年までのエリアの生徒数を正確に推計し、現時点の必要学級数と今後の必要学級数を算出する。 その上で、算出した必要学級数が既存の全日制県立高の学級増で賄えるのか、それとも学級増の一つの形態としての高校新設も必要なのか―を見極めてはどうか。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表) <ご参考>8月30日、電子書籍「若手教師の勘ドコロ―基礎力を磨く授業づくり・HRづくり、教えます」(22世紀アート社)を出版しました。アマゾンkindle版をご覧ください。

牛久栄進1学級増でも山積する地域の課題 《竹林亭日乗》7

【コラム・片岡英明】茨城県の森作宜民教育長は7月26日、2024年度から、牛久栄進高校を1学級増の9学級にし、筑波高校が募集する3学級の中に国・数・英を強化した「進学アドバンストコース」1学級設置する―と発表した。 私たちの会の最初の要望書(2年前)への回答が「学級増は困難」だったことを考えると、来年度の学級増と進学コース設置は小さいが大きな一歩である。県教育庁の担当者をはじめ市議・県議など多くの方々に感謝する。 筑波高を訪れ、定員には満たないものの「つくばね学」を学び、大学進学希望者がいるのに、教員が少ないために十分な指導や指導ができないとの話を聞き、進学指導の充実を県にお願いしてきた。これからも同校を見守り、応援していきたい。 ただ、現在の受験事情を見ると、まだまだ課題が残る。私たちの計算では、「つくばエリア」の県立高校は、県平均よりも現時点で15学級不足し、2030年までを展望すると、さらに10学級不足する。そこで今年4月には、毎年2~4学級の学級増か、学級増の一形態として高校新設を要望したが、牛久栄進が2学級増でなく1学級増にととどまった。 県には「学級増には既存教室で対応し、新校舎は建てない」という縛りがあるようだ。その条件を付けると「つくばエリア」には牛久栄進の次に学級増ができる高校はないから、中学生のために、この縛りを解いて「校舎を建て学級を増やすこと」をお願いしたい。 土浦一高では来年度、付属中の1期生が高校に入る。それに伴い、元々8学級で現在6学級の高校の募集が、来春には4学級になる。「付属中をつくっても総学級数は維持する」との縛りがあるからだ。そのため、来年度、牛久栄進が1学級増えても、土浦一が2学級減り、地域全体の高校入試は厳しくなる。付属中の分を高校で減らすのには疑問がある。 公募校長に求められる高い倫理観 県は7月31日、教員免許不問の民間人を含む校長を採用するため、7名を新規に公募することを発表した。公募校長(来年校長予定の副校長を含む)は現在8名(水戸一高、土浦一高、龍ケ崎一高、下妻一高、水海道一高、鉾田一高、勝田中等、つくばサイエンス高)いるが、日立一高、太田一高、鹿島高、下館一高、並木中等、古河中等、IT未来高に配置するためだ。 高校問題の学習会を開くと、魅力のある高校への期待とともに、民間出身の公募校長に対する疑問の声を多く聞く。県には「民間校長なら県立高校の改革が進む」という固定観念があるのだろうか。 生徒=人間を指導する学校と利益を追求する民間企業では、組織運営の形が異なる。県の学校改革も、校長への信頼があってこそできるものだ。新たな選考要項には、「求める人物像」に「高い倫理観」が加わったようだが、公募採用校長の不祥事が報道され、選考の視点に問題があることに気づいたようだ。 この際、新規の校長公募をいったん立ち止まり、現8校長の学校運営状況を検証してみてはどうだろうか。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

牛久栄進1学級増でも山積する地域の課題 《竹林亭日乗》7

【コラム・片岡英明】茨城県の森作宜民教育長は7月26日、2024年度から、牛久栄進高校を1学級増の9学級にし、筑波高校が募集する3学級の中に国・数・英を強化した「進学アドバンストコース」1学級設置する―と発表した。 私たちの会の最初の要望書(2年前)への回答が「学級増は困難」だったことを考えると、来年度の学級増と進学コース設置は小さいが大きな一歩である。県教育庁の担当者をはじめ市議・県議など多くの方々に感謝する。 筑波高を訪れ、定員には満たないものの「つくばね学」を学び、大学進学希望者がいるのに、教員が少ないために十分な指導や指導ができないとの話を聞き、進学指導の充実を県にお願いしてきた。これからも同校を見守り、応援していきたい。 ただ、現在の受験事情を見ると、まだまだ課題が残る。私たちの計算では、「つくばエリア」の県立高校は、県平均よりも現時点で15学級不足し、2030年までを展望すると、さらに10学級不足する。そこで今年4月には、毎年2~4学級の学級増か、学級増の一形態として高校新設を要望したが、牛久栄進が2学級増でなく1学級増にととどまった。 県には「学級増には既存教室で対応し、新校舎は建てない」という縛りがあるようだ。その条件を付けると「つくばエリア」には牛久栄進の次に学級増ができる高校はないから、中学生のために、この縛りを解いて「校舎を建て学級を増やすこと」をお願いしたい。 土浦一高では来年度、付属中の1期生が高校に入る。それに伴い、元々8学級で現在6学級の高校の募集が、来春には4学級になる。「付属中をつくっても総学級数は維持する」との縛りがあるからだ。そのため、来年度、牛久栄進が1学級増えても、土浦一が2学級減り、地域全体の高校入試は厳しくなる。付属中の分を高校で減らすのには疑問がある。 公募校長に求められる高い倫理観 県は7月31日、教員免許不問の民間人を含む校長を採用するため、7名を新規に公募することを発表した。公募校長(来年校長予定の副校長を含む)は現在8名(水戸一高、土浦一高、龍ケ崎一高、下妻一高、水海道一高、鉾田一高、勝田中等、つくばサイエンス高)いるが、日立一高、太田一高、鹿島高、下館一高、並木中等、古河中等、IT未来高に配置するためだ。 高校問題の学習会を開くと、魅力のある高校への期待とともに、民間出身の公募校長に対する疑問の声を多く聞く。県には「民間校長なら県立高校の改革が進む」という固定観念があるのだろうか。 生徒=人間を指導する学校と利益を追求する民間企業では、組織運営の形が異なる。県の学校改革も、校長への信頼があってこそできるものだ。新たな選考要項には、「求める人物像」に「高い倫理観」が加わったようだが、公募採用校長の不祥事が報道され、選考の視点に問題があることに気づいたようだ。 この際、新規の校長公募をいったん立ち止まり、現8校長の学校運営状況を検証してみてはどうだろうか。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

なぜ、このコラム・タイトルなのか? 《訪問医は見た!》1

【コラム・平野国美】お初にお目にかかる方も多いかと思います。コラムの担当することになった平野国美(くによし)と申します。「NEWSつくば」の前身である日刊紙「常陽新聞」や無料紙「常陽リビング」でもコラムを書いていましたから、常陽紙を引き継ぐ本ニュースサイトへの執筆は「10年ぶりの復帰」とも言えます。 確か、日刊紙常陽への寄稿が始まったのは、拙著「看取りの医者」(2009年)がテレビドラマ化されたことが契機になったと記憶しています。その後10年、何もしていなかったわけではないのです。医療介護の業界誌やら週刊誌などのメディアで書き続けていました。検索していただくと、ネットで読めるものもあります。 現在は、つくば市内に医院を設け、主に訪問診療を行っています。開業は2002年春ですから、ずいぶん月日も経ちました。生まれは龍ケ崎市、家業は自転車の卸業でした。コラムのタイトルにもつながるのですが、父のトラックの助手席に座り、配達を手伝っていたエリアと、いま診療で回っているエリアは重なっています。 物心が着いたころから50年以上、茨城県南の姿を見てきたことになります。私が高校を卒業する年、当時「軍艦」と呼ばれていた土浦駅が取り壊され、現駅の工事が始まりました。一浪して、筑波大学にたどり着いたのが1985年。つくば市はまだ誕生前で、桜村と呼ばれていたころです。 日本で初めて「村」にオープンした百貨店が筑波西武。つくば科学万博(EXPO85)が開催され、その後の風景の移り変わりを定点観測のように眺めてきました。つまり、《訪問医は見た!》のです。 医療だけでなくサブカルの話も そして東北大震災前の2010年、拙著「看取りの医者」が大竹しのぶさん主演でテレビドラマ化される打ち合わせの席で、三流原作者の平野は「訪問診療をしていると、各家庭には経済的な問題や家族間の問題が必ずあることがわかる。市原悦子さん主演のドラマ『家政婦は見た』の中で、市原さんが家政婦をしている時間はほとんどありません。ドアの隙間からのぞいている時間がほとんどです」とあいさつしました。 ここで《訪問医は見た!》が成立するのです。そこで聞く話は、私が生まれる前の土浦やつくばの風景もありますし、患者さんの生き様や死に様を見せつけられることもあります。「訪問医に魅せられた」のです。 私は休日には旅に出ます。ピカピカの観光地ではなく、昭和・大正の雰囲気が残る地方都市に向かいます。そこで新たな話を聞くことで、自分の生まれ育った街の伝統・習慣に気付かされるのです。 医療の話だけでなく(むしろこちらは少なめにして)、民俗性やサブカルチャーについても書ければと思っています。自由度を求めて、タイトルを《訪問医は見た!》にしました。また、いつ消えるかわかりませんが、ご愛読よろしくお願いします。(現役訪問診療医師) 【ひらの・くによし】土浦一高卒。1992年、筑波大学医学専門学群卒後、地域医療に携わる。2002年、同大博士課程を修了、訪問診療専門クリニック「ホームオン・クリニックつくば」を開業。著書「看取りの医者」(2009年、小学館)は大竹しのぶ主演でドラマ化。新刊は『70歳からの正しいわがまま』(2023年4月、サンマーク出版)。医療関係業界誌などでもコラム執筆。1964年、龍ケ崎市生まれ。つくば市在住。

なぜ、このコラム・タイトルなのか? 《訪問医は見た!》1

著者近影 【コラム・平野国美】お初にお目にかかる方も多いかと思います。コラムの担当することになった平野国美(くによし)と申します。「NEWSつくば」の前身である日刊紙「常陽新聞」や無料紙「常陽リビング」でもコラムを書いていましたから、常陽紙を引き継ぐ本ニュースサイトへの執筆は「10年ぶりの復帰」とも言えます。 確か、日刊紙常陽への寄稿が始まったのは、拙著「看取りの医者」(2009年)がテレビドラマ化されたことが契機になったと記憶しています。その後10年、何もしていなかったわけではないのです。医療介護の業界誌やら週刊誌などのメディアで書き続けていました。検索していただくと、ネットで読めるものもあります。 現在は、つくば市内に医院を設け、主に訪問診療を行っています。開業は2002年春ですから、ずいぶん月日も経ちました。生まれは龍ケ崎市、家業は自転車の卸業でした。コラムのタイトルにもつながるのですが、父のトラックの助手席に座り、配達を手伝っていたエリアと、いま診療で回っているエリアは重なっています。 物心が着いたころから50年以上、茨城県南の姿を見てきたことになります。私が高校を卒業する年、当時「軍艦」と呼ばれていた土浦駅が取り壊され、現駅の工事が始まりました。一浪して、筑波大学にたどり着いたのが1985年。つくば市はまだ誕生前で、桜村と呼ばれていたころです。 日本で初めて「村」にオープンした百貨店が筑波西武。つくば科学万博(EXPO85)が開催され、その後の風景の移り変わりを定点観測のように眺めてきました。つまり、《訪問医は見た!》のです。 医療だけでなくサブカルの話も そして東北大震災前の2010年、拙著「看取りの医者」が大竹しのぶさん主演でテレビドラマ化される打ち合わせの席で、三流原作者の平野は「訪問診療をしていると、各家庭には経済的な問題や家族間の問題が必ずあることがわかる。市原悦子さん主演のドラマ『家政婦は見た』の中で、市原さんが家政婦をしている時間はほとんどありません。ドアの隙間からのぞいている時間がほとんどです」とあいさつしました。 ここで《訪問医は見た!》が成立するのです。そこで聞く話は、私が生まれる前の土浦やつくばの風景もありますし、患者さんの生き様や死に様を見せつけられることもあります。「訪問医に魅せられた」のです。 私は休日には旅に出ます。ピカピカの観光地ではなく、昭和・大正の雰囲気が残る地方都市に向かいます。そこで新たな話を聞くことで、自分の生まれ育った街の伝統・習慣に気付かされるのです。 医療の話だけでなく(むしろこちらは少なめにして)、民俗性やサブカルチャーについても書ければと思っています。自由度を求めて、タイトルを《訪問医は見た!》にしました。また、いつ消えるかわかりませんが、ご愛読よろしくお願いします。(現役訪問診療医師) 【ひらの・くによし】土浦一高卒。1992年、筑波大学医学専門学群卒後、地域医療に携わる。2002年、同大博士課程を修了、訪問診療専門クリニック「ホームオン・クリニックつくば」を開業。著書「看取りの医者」(2009年、小学館)は大竹しのぶ主演でドラマ化。新刊は『70歳からの正しいわがまま』(2023年4月、サンマーク出版)。医療関係業界誌などでもコラム執筆。1964年、龍ケ崎市生まれ。つくば市在住。

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