日曜日, 4月 2, 2023
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つくばワイン特区第1号のワイナリー稼働 進む醸造横目に土壌チェック

【相澤冬樹】農地所有適格法人株式会社の看板のあるヴィンヤード(Vineyard、ブドウ農園)で育ったブドウは10月、すべての収穫を終え、果実酒醸造免許の交付を受けて醸造所の看板を掲げたワイナリー(Winery)での初仕込みを済ませた。ほぼ一人で切り盛りするTsukuba Vineyard(つくばヴィンヤード、つくば市栗原)代表の高橋学さん(65)は息つく間もなく、枝葉の剪定(せんてい)と土づくりに取り掛かった。ワイン造りの正念場である。 11月中旬にも初出荷 「ワイン・フルーツ酒特区」に認定されたつくば市で第1号となるワイナリー。酒類の製造免許を申請する際の最低製造数量の基準が6000リットルから2000リットルに緩和され、「つくば産ワイン」と銘打って販売できる。(19年度産から販売を始めたカドヤカンパニーのワイナリーは特区制度に拠らない) 高橋さんが、栗原地区の再生された耕作放棄地約7000平方メートルを借りたのは2014年のこと。産業技術総合研究所(つくば市)で岩石や岩盤の力学試験などに携わっていたが、農地の土壌研究とは無縁、ことさらワイン党でもなかった。「定年後の生き方を探していた時、故郷の北海道を訪れ、ブドウ栽培とワイン醸造をしている農家を見学した」のがきっかけでワインづくりを学んだ。 最初は1000平方メートルの農地に「プティマンサン」という品種の苗150本を植え栽培をスタート、6年目のことしまでに約2.3ヘクタールに拡大した。15種類のブドウを栽培し、つくばの気候と土壌に合った品種を模索してきた。これまで醸造は筑西市の酒造会社に、販売はつくば市の地酒専門店に委託していたが、ようやく2000リットルの生産にめどが立ち、自前のワイナリー「栗原醸造所」を設置した。

無ろ過で元年デビュー果たす つくば産ワイン限定500本

【相澤冬樹】筑波山麓で今秋収穫されたブドウを使い、初めて現地醸造されたワインが15日、店頭デビューした。つくば市北条でワイン用ブドウを栽培してきたカドヤカンパニー(本社・小美玉市、岡崎正光社長)が製造・直売するもので、今回は無ろ過のロゼワインを「TSUKUBA PRIMO(ツクバプリモ)」と銘打ち、500本限定で売り出した。 無ろ過ワインは、製造時に混入する不純物を除去することなくそのまま販売するもので、「いわゆる澱(おり)が残っており、それが風味にも雑味にもなり、扱いが難しいワイン」(北村工マネージャー)だそう。当初は年明け以降、正規品での販売を予定していたが、引き合いが増え、無ろ過でも出来のいいワインに仕上がったことから、暮れの需要期に合わせ販売に踏み切った。 同社はこの秋、同所に醸造所と売店からなる施設、ワイナリーを開設して、つくば産ブドウ100%を使ったワイン製造を開始した。今秋収穫したブドウは15トン、720ミリリットル換算で1万5000本を製造・販売する計画だった。 発酵・熟成のためのタンク1基を開封し、500本の瓶詰めを終えた。封入はコルク栓でなく器械(気開)栓を用い、ワイナリー直売品らしさを打ち出している。帯ラベルには「日本ワイン」「材料/ブドウ(つくば産)」の表示が誇らしげに入っている。720ミリリットル入り2500円(税別)。 SNSなどで情報を伝え聞いたワイン党が早速ワイナリーに駆けつけ、2本、3本と買い求める姿があった。筑西市から来たという会社員(27)は「偶然通りがかったら売り出しているのを知った。お歳暮用に買い求め、自分用に買い足した」そうだ。 岡崎洋司専務は「この勢いだと限定500本は1週間とかからず売り切れそう。正規のワインは年明け以降、準備を本格化させ、2月には売り出せると思う。楽しみにしてほしい」という。 ➡つくば産ワインの過去記事はこちら

つくば産ワインの初仕込み 北条に醸造所がお目見え

【相澤冬樹】筑波山麓、つくば市北条でワイン用ブドウを栽培してきたカドヤカンパニー(本社・小美玉市、岡崎正光社長)が自社生産の体制を整え、今秋収穫のブドウでの仕込み作業を本格化させた。17日、現地のつくばワイナリーで岡崎洋司専務と北村工マネージャーが取材に応じた。 新設のワイナリーは、ワイン醸造所と売店からなる施設。加工場には摘み取ったブドウから軸や枝を取り払う除梗(じょこう)破砕機、実を絞るプレス機が並び、発酵・熟成のためのタンクが14基設置された。年間15トンのブドウを処理できる設備という。同社のブドウ園では9月に入り収穫が始まり、これまでに約10トンの処理を終えた。10月初頭まで収穫が続く。 栽培技術から醸造全般を担当する北村マネージャーによれば、15号台風の被害は最小限にとどまり、ブドウは収穫量も糖度も上々の出来だということだ。早ければ2月にも白ワインから出荷できる見通しで、750ミリリットル換算で1万5000本程度の製造を見込んでいる。 同社は一帯に約18ヘクタールの土地を取得、2012年にシャルドネやメルローなど、白と赤のワインになるブドウの栽培を開始した。これまでに約2ヘクタールに約8000本を植え、収穫は14年から始まったが、醸造は山梨県内のワイナリーに委託してきた。このため、「つくば産ワイン」の打ち出しが難しく、ブランドを「ツインピークス」(双峰)と銘打って、つくば市内で同社が経営する和菓子店で販売するなどしてきた。 「ツインピークス」は今秋からワイナリー併設の売店でも取り扱いを始めており、早速購買に訪れた同市在住、富田順子さんは「茨城はお肉もお魚もおいしいところだけど、それにぴったり合うワインが見つかった感じ」と高評価。岡崎専務によれば、現在仕込み中のワインもブランド名は引き継ぐことになりそう。周囲の広い土地を活用して、「体験型のワインのテーマパーク」化を目論んでおり、ハーブ園の整備やブドウ園付き住宅の分譲などの将来構想もあるという。 同市ではここ数年、筑波山麓周辺でワインづくりを意図したブドウ栽培が複数の事業者により始まっている。しかし、果実酒は年間6000リットル以上を継続して生産できないと税法上、醸造免許が下りなかった。このため市は、ハードルを同2000リットルに下げる「ワイン・フルーツ酒特区」の認定を取得するなど、新たな地場産業の創出にてこ入れを図ってきた。カドヤカンパニーのワイナリーは、年間6000リットルを大幅に超えるため、特区制度を利用することなく、「つくば産ワイン」として来春デビューすることになる。 ➡つくばワインの過去記事はこちら

【人が想い 街を育てる】1 つくばワイン育てる土壌つくりたい 地酒専門店スドウ酒店 須藤利明社長

【戸田さつき】つくば市内で栽培されたブドウを使った2018年産の「つくばワイン」が今月18日、市内の地酒専門店スドウ酒店など3店で発売された。同市栗原にあるブドウ畑「つくばヴィンヤード」(高橋学代表)の「プティ・マンサン」「Kurihara(クリハラ、赤)」「Kurihara(白)」の3種だ。 高橋代表は14年からワイン作りを目指してブドウ栽培を開始している。現在は県内の醸造所に依頼してワイン造りをしているが、17年、同市がつくばワイン・フルーツ酒特区に認定されたことを受け、ワイナリー(醸造所)開設を目指している。 こうしたつくばでつくられたワインを「つくばワイン」として普及させたいと、市内の地酒専門店スドウ酒店の須藤利明社長が、販売流通システムの構築と認知度向上に取り組んでいる。須藤社長に話を聞いた。 -つくばワインにおける社長の役割は何ですか? 現在、高橋代表のヴィンヤード(ワイン用のブドウ畑)は免許の都合上、自分たちで販売することができません。そこで当店で酒類の卸免許を取得し、代理で卸を行えるようにしました。他に広告やパンフレットを作成し、認知度向上の取り組みをしています。 -つくばワインにはどんな特徴がありますか? ワインは土地の気候や土壌を表現できます。高橋代表は産業技術総合研究所出身の研究者でつくばの土壌を研究してきました。その結果、国内でも栽培例の少ない品種「プティマンサン」の栽培を成功させました。いかにも「つくばらしい」と思います。今回発売されたワインは、さわやかな酸味と甘みのバランスがよく仕上がっています。高橋代表は一般的なテーブルワインをテーマにしていることもあり、手に取りやすい価格帯なのも喜ばれています。 また商業的に見ると、ワインはイベントに取り入れやすいのが特徴です。今、私の店では市内の日本酒の蔵を巡る酒蔵巡りツアーを開催していますが大変好評です。ヴィンヤードが今後ワイナリーになって、ワイン畑の見学ツアーやバーベキュー等の企画をすれば観光資源になるのではないかと考えています。特につくばは都心からのアクセスも良いので、魅力あるPRチャンスにもなるはず。 -他にどのような観光ができますか? お酒は宿泊施設との企画もしやすく滞在時間が伸びることで経済効果への波及も期待できます。 -酒販売店の目から見てつくばワインの評判は? とても好調。というのも、つくば市は商圏が広くこだわりがある商品を求める層が厚い。つくばヴィンヤードは昨年からワインの販売が始まり、今年で2年目。問い合わせも多いです。 -今後の展開は? 当店だけでなく、今後はつくば市内で手に取りやすいようにしたいと思います。昨年秋は、つくば市商工会観光部会の皆さんをヴィンヤードへ案内しました。すでに取引したいと言ってくれているお店もあるんですよ。 -一方で隣の牛久市では牛久シャトーの醸造所とレストランが閉鎖してしまいました。 日本最古のワイナリーが閉鎖と聞いて残念です。ワインを市民が手にし、飲みやすい仕組みを作る必要性を強く感じました。 -つくばワインは須藤社長にとって何ですか? ズバリ夢ですね。つくばでワインを作って、ビジネスとして成り立つよう酒屋として売りやすい体制を整えてあげたい。そういうことがワイナリーを目指す人が増えていく基盤になっていくはず。そして、ワイナリーが増え、ワインを求めにつくばを訪れる人が増え、市民が誇れるような名物になるまで育てていきたいと思っています。 ◆つくばヴィンヤードの18年産の販売量は「プティ・マンサン」422本、「Kurihara(赤)」975本、「Kurihara(白)」163本。3種いずれも720mlで1900円(税別)。市内には筑波山麓の同市沼田に「ビーズニーズヴィンヤーズ」(今村ことよ代表)もあり、18年産が近日中に入荷する予定。 ◆現在の取り扱い店 地酒専門店 スドウ酒店 つくば市谷田部2985-2 電話029-836-0079 地酒本舗美酒堂 研究学園店 つくば市研究学園4-2-9 電話029-875-8479 地酒本舗美酒堂 イーアスつくば店 つくば市研究学園5-19 イーアスつくば 1階 電話029-893-2479

《続・平熱日記》26 南フランスと牛久のワインシャトー

【コラム・斉藤裕之】フランスのスーパーには300円前後のワインが無数に並べられています。毎日違うワインを1年間飲み続けられるほど。そんな安いワインはいっぱい飲みましたが、特にワインについて造詣が深いわけでもありません。ただラベルを見て、高いワインかどうか少しだけわかります。 もちろん、見た目で印刷が凝っているラベルのものはそれなりの値段だったりしますが、ポイントはどこでビン詰めされたワインかということ。安いワインはある地域ごとに集められてワインにされますが、高いものはシャトーと呼ばれる醸造所ごとにつくられます。ラベルにはそのことが必ず書かれています。例えば「ボルドー地方で詰められたワインです」とか「〇〇シャトー詰めです」とか。 南仏のカマルグという辺りのシャトーを訪ねたことがあります。フランスでもこの辺りでは米作りが盛んで、湿地にいるピンクのフラミンゴの大群に驚いたことを覚えています。ヨーロッパのワインはキリスト教との関係もあって、私達が思っている以上に生活に密着した大切なものです。また、低く育てられたブドウの木の畑はフランスやイタリアの独特の風景をつくっています。 南仏の山あいのある小さな村。宿泊した宿のご主人の運転でロマネスク様式の教会を訪ねました。途中長女がぐずったのでしょう。車を停めたご主人は道端のブドウ畑からいくつかブドウをもぎ取り、長女の口に運んだことが思い出されます。 ショック! 牛久シャトーが営業中止 ところで、日本で最初にできたシャトー。そう牛久シャトーです。誰もが耳を疑いましたが、年内をもってレストランやお土産物売り場の営業をやめるということ。赤字が原因とかなんとか。これからどうする、なんとかならないの―SNS上では大きな話題に。なにせ牛久の目玉ですから。しかし同時に1企業ですから。 以前、牛久駅の西口を「かっぱ口」に、東口を「シャトー口」にしたい、そこで、シャトーの建物を駅の階段などにサインとして使いたいので、デザインしてもらえないか―と依頼されたことがあります。 そのとき問題となったのが、シャトーは1企業であって、それをパブリックなサインとして使うのはいかがなものかと。結局、それ以外の選択肢がないわけで、「シャトー口」のサインは駅の階段に使われています。また、友人がデザインした小型バイクのご当地ナンバーにも、1企業であるシャトーが描かれました。 というわけで、市としてもお困りと思いますが、重要文化財に指定され、ワイン醸造所として日本遺産登録を目指していたシャトー。森とんかつ、いずみニンニク、かこんぴら、まれ天ぷら…。静かに眠る牛久シャトーの復活を信じております。(画家)

ワインの真実探る 講義と試飲で堪能 筑波学院大

【鈴木萬里子】ワイン特区に認定されたつくば市で6月30日、「ワインの真実を探る—天才ワイン醸造家から学ぶワインの味」と題したワイン講座が開かれた。筑波学院大学(同市吾妻)の社会人講座の一つで、同大図書館を会場に、受講者は講義と試飲でワインの奥深さを堪能した。 講師は都内で輸入商社やレストランを経営する能勢壬紀子(みきこ)さん。能勢さんは20年前からドイツに通い、ワイン生産者と深い信頼関係を築いてきた。ドイツワインの真の価値を日本に伝えるワインセミナーの開催や講演活動に活発に取り組んでいる。同大のワイン講座は2014年に初めて開かれ今年度が3回目。全2回の講座で、30日は13人が受講した。 講義はドイツで唯一、醸造学を教えているガイゼンハイム大学のテキストを使って進められた。品質の良いワインの作り方、ドイツワインの代表的品種、ドイツの冷涼な気候からくる酸味と糖度の特徴、土壌と気候による味の違いなどを、能勢さんが図などを使って詳しく説明した。 講義の後、ワインの試飲が行われ、ドイツでトップクラスの醸造家2人のワインが提供された。受講者は、国際的コンクールで2018最優秀生産者となったホルスト・ザウワー醸造所の白ワインと、五ツ星トップ評価を獲得したダウテル醸造所の赤ワインを、一般的なワインと比較しながら試飲し、トップクラスの繊細な味との違いを感じていた。 夫婦で受講した同大卒業生で市内に住む橋本絵理子さん(42)は「この講座がきっかけでワインが好きになった。ワインは価格ではないということも分かった。母校のおかげ」と笑顔に。市内の60代女性は「図書館はワインと雰囲気が合って良い。試飲と聞いていたが量が多いのにびっくり、でもうれしい」と話していた。 能勢さんは「ドイツワインの輸入に携わり、現地のワイナリーを訪れ日本人に合うワインをセレクトしている。この講座では20年取材して知ったことを伝えられる。ワイン業者がいると本当の話は出来ないが、ここでは突っ込んだ話が出来てうれしい」と話した。 ◆同講座は全2回。次回は7月21日(土)午後3時~4時30分。数人であれば次回のみの参加も可(受講料は半額の1500円)。詳しくは同大ホームページ(https://www.tsukuba-g.ac.jp/action/coc/)問い合わせは(電話029-858-6341)。

つくば市がワイン特区に認定

つくば市が「つくばワイン・フルーツ酒特区」に認定された。小規模な施設でも醸造・販売ができるようになり、新たなワイナリーの建設が期待される。同特区の認定は県内で初めて。 筑波山周辺の花こう岩が風化した土壌はワイン栽培に適していること、民間による遊休農地を活用したワイン用ブドウ栽培が市内で2012年から始まっていることなどを生かして、新たな特産品をつくり、農業や観光業を活性化するのが狙い。 9月29日、国に申請し、12月26日付けで認定された。認定により酒類の製造免許を申請する際の最低製造数量の基準が、ワインの場合6000ℓから2000ℓに緩和される。 市内には現在ワイン用ブドウを栽培している農家が3件ある。そのうち規模が小さい「ビーズニーズヴィンヤーズ」(同市神郡、今村ことよさん栽培)と、「つくばヴィンヤード」(同市栗原、高橋学さん栽培)の2カ所が今回の規制緩和の対象になるという。 将来は県内一の栽培面積があるブルーベリーを活用したブルーベリー酒などの特産品開発も期待されるという。(鈴木宏子)

筑波山梅まつり開幕 4年ぶり通常に

第50回筑波山梅まつり(同実行委員会主催)が18日、筑波山中腹にある筑波山梅林(つくば市沼田)で開幕した。コロナ禍で2020年は会期途中で中断、21年は2週間遅らせて開幕、22年は中止となっており、通常通り開催するのは4年ぶり。 3月19日までの期間中、つくば観光大使の出迎えや、筑波山名物ガマの油売り口上の実演、観光ボランティアによる園内ガイド、梅を使用したメニューの提供などさまざまなイベントが展開される。 現在の開花状況は、1月は気温が低かったが2月から比較的暖かい日が続いたことからほぼ例年並みで、白梅は3分咲き、紅梅は終わりを迎えている。白梅の見頃は2月下旬から3月初旬と見込まれている。 この日、関係者約60人が参加して開園式が催され、つくば観光大使の宮崎絵美さん(39)、井上魅空さん(35)、吉沢綺音さん(22)の3人があでやかな着物姿で来園者を出迎えた。 同実行委員会の神谷大蔵委員長は「4年ぶりに開催できることは大変喜ばしい。筑波山観光振興のため、おもてなしをさらに充実させていきたい」と話し、五十嵐立青つくば市長、五頭泰誠市議会議長、国光あやの衆院議員らは「このイベントが日常を取り戻すさきがけになればよい」などとあいさつした。 今年は50回という節目の開催であるということから、皆で祝い、地酒で乾杯する「乾杯つくば」イベントが催される。3月4日に筑波山水系の酒蔵の地酒を新酒で楽しむ「新酒de筑波山地酒フェス」、同11日につくばワイン・フルーツ特区の認定を受けて醸造されたワインを味わう「つくばワインフェス」を、いずれも梅林内のおもてなし館前広場で開催する。

バス旅と食で地域の魅力発信 ホテル日航つくばが新プロジェクト

ホテルの中だけでなく、地域の魅力を知ってもらおうと、つくば駅前のホテル日航つくば(つくば市吾妻)が新規プロジェクト「つくたび」バスツアーを展開している。 ホテルの資源や周辺の地域資源を見直し、県南部の中心地にあるという立地を生かした新しい事業で、主旨に賛同した地域限定旅行業者「ラール・アワー」(同市大角豆)との協業で、昨年スタートした。 現在、第2弾として、筑波山梅まつりとつくばの地酒を楽しめるランチ付きの日帰りバスツアーを企画し、予約を受け付け中だ。開催日は3月8日。 バスツアーでは筑波山梅林を散策後、市内の酒蔵「浦里酒造店」(同市吉沼)で出来たての新酒や酒かすで作った甘酒などを味わう。いばらき地酒ソムリエS級の資格を持つ同ホテルのスタッフ林智一さんが同行し、魅力を解説しサポートする。ホテルに戻った後はホテル内のレストラン「日本料理つくば山水亭別亭」で同酒造の酒かすを使ったツアー限定のメニューを味わう。新しい日本酒の楽しみ方として、県産のドライフルーツ3種を使った「日本酒サングリア」を楽しむこともできる。参加費は1人1万9500円(税込み)。 林さんは主要銘柄「霧筑波」を造る浦里酒造について「つくばで開催されたG7科学技術大臣会合で提供されたり、新酒鑑評会で金賞を受賞したりと評価の高いお酒をかもす酒蔵」と解説する。「お酒が好きな人、地元の魅力を存分に味わいたい方たちにお薦め。出来立ての新酒の試飲やしぼりたての酒粕を使った手作りの甘酒など、普段は味わうことの出来ない特別な体験ができる」とツアーをアピールする。 いばらき地酒ソムリエの林智一さん=つくばワイナリー(同)

今村ことよさん 夏にワイナリーをオープン 筑波山麓

市内4カ所目、ツアーも準備 筑波山南麓のつくば市臼井(六所)で、ワイン用のブドウ畑(ヴィンヤーズ)を手掛けてきたビーズニーズヴィンヤーズ(つくば市神郡、今村ことよ代表)が今夏、ワイナリー(醸造所)をオープンさせる。市内4カ所目になる。 「ワイナリー設立はさらに良い品質のワインを作るための新たなスタート地点。訪れるお客様に、隣接するブドウ畑を見ながらワインを味わってもらうための場所として、ワイナリーツアーなどの準備をしっかりとやりたい」と今村さんは今年の抱負を語る。 約600平方メートルの敷地に、建築面積約150平方メートルのワイナリーを建設、販売所も併設する。これまで醸造は牛久市の「麦と葡萄牛久醸造場」で行っていたが、完成後は、栽培から醸造、販売までを一手に行う。 ワイン畑で作業をする今村ことよさん(今村さん提供)

お泊りは輪泊で 《ポタリング日記》11

【コラム・入沢弘子】目が覚めたら、愛車BROMOTON(ブロンプトン)がこちらを向いている。窓をのぞくと、真下を通過する常磐線。そうでした、昨夜は、自転車と一緒の部屋で過ごせる、JR土浦駅の星野リゾートBEB5土浦に泊まったのでした。 2020年秋、「ハマる輪泊」をキャッチフレーズに開業した同ホテル。自転車を部屋に持ち込んで宿泊することが可能です。開業当初から興味があったのですが、近いだけに泊まる機会がありませんでした。今回は、全国旅行支援適用期間ということもあり、自転車でポタリングして宿泊することにしたのです。 つくば市の自宅からは7キロ。いつも使う慣れた道を通ること20分。土浦市立図書館で本を借り、自転車を押したまま、駅ビルのプレイアトレ土浦のカフェに行き、コーヒーを片手に数ページ読む、というところまでは日常的なこと。今日は、その後にホテルのロビーへ。非日常の始まりです。 チェックインカウンターでの手続き後は、自転車を押したまま部屋に入ります。早速、壁のサイクルラックに自転車をディスプレイ。間接照明だけを点灯し、暗闇に浮かび上がる愛車の姿を堪能します。 掛け時計はチェーンホイールを組み合わせたデザイン。棚に設置されている自転車関連の本や、つくば霞ケ浦りんりんロードのマップを参考のために眺めてみます。かすかに聞こえる列車の警報音。ロールスクリーンを上げると、ホームにいる人と目が合いビックリ。線路が近いことを感じない静かな部屋で、行き交う人や電車を眺めているうち、夜のとばりが降りてきました。 壁にディスプレイした自転車を眺める 空腹を感じロビーに向かいます。このホテルはルームサービスがありませんが、24時間、カウンターで飲み物とスナック類を販売しています。落ち着いた照明のロビーにはテーブルやこたつ、本棚に隠れるように配置されたソファなどがあり、ちょっとした隠れ家のよう。 常陸野ネストビールと、土浦特産のレンコンを使用したスナックを注文。ワインを飲みながら、こたつでボードゲームに興じる女性グループ。ミキサー付き自転車をこいで、スムージーを作る家族連れ。この開放的でくつろいだ雰囲気は、グランピングのパブリックスペースに似ています。 部屋に戻り、今度はガラス張りの浴室でバスタブのお湯に浸りながら、壁にディスプレイした自転車を眺めます。明日はどこをポタリングしようか。この場所からは、つくば霞ケ浦りんりんロードで、霞ケ浦にも筑波山方面にも行くことが可能。常磐線で輪行した先を回るのもいいな。 でも、土浦市内の食べ歩きやお土産買い歩きも魅力的。あれこれ思いを巡らせ、ポタリング気分が盛り上がった一夜でした。(広報コンサルタント)

お泊りは輪泊で《ポタリング日記》11

【コラム・入沢弘子】目が覚めたら、愛車BROMOTON(ブロンプトン)がこちらを向いている。窓をのぞくと、真下を通過する常磐線。そうでした、昨夜は、自転車と一緒の部屋で過ごせる、JR土浦駅の星野リゾートBEB5土浦に泊まったのでした。 2020年秋、「ハマる輪泊」をキャッチフレーズに開業した同ホテル。自転車を部屋に持ち込んで宿泊することが可能です。開業当初から興味があったのですが、近いだけに泊まる機会がありませんでした。今回は、全国旅行支援適用期間ということもあり、自転車でポタリングして宿泊することにしたのです。 つくば市の自宅からは7キロ。いつも使う慣れた道を通ること20分。土浦市立図書館で本を借り、自転車を押したまま、駅ビルのプレイアトレ土浦のカフェに行き、コーヒーを片手に数ページ読む、というところまでは日常的なこと。今日は、その後にホテルのロビーへ。非日常の始まりです。 チェックインカウンターでの手続き後は、自転車を押したまま部屋に入ります。早速、壁のサイクルラックに自転車をディスプレイ。間接照明だけを点灯し、暗闇に浮かび上がる愛車の姿を堪能します。 掛け時計はチェーンホイールを組み合わせたデザイン。棚に設置されている自転車関連の本や、つくば霞ケ浦りんりんロードのマップを参考のために眺めてみます。かすかに聞こえる列車の警報音。ロールスクリーンを上げると、ホームにいる人と目が合いビックリ。線路が近いことを感じない静かな部屋で、行き交う人や電車を眺めているうち、夜のとばりが降りてきました。 壁にディスプレイした自転車を眺める

幼い頃の食べ物 《くずかごの唄》121

【コラム・奥井登美子】「いつ何があってもおかしくないです。無理をなさらないでくださいね」。大動脈が乖離(かいり)し、大出血。運よく命をとりとめ、退院する時に夫が医者から言われた言葉を、2人は噛(か)みしめながら生きてきた。 10年前、東京の本郷の画廊で「丸木位里さんを偲(しの)ぶ会」(7月3日付)の最後の日。製薬会社の昔の仲間たちがたくさん集まってくれた。「僕は大動脈の中膜(ちゅうまく)が乖離して、いつ死んでもおかしくない体だ。今日は生前の葬式だと思って、おおいに、笑って楽しく、飲んでください」 「葬式なのに、なぜ? 笑うんですか」 「生きていることがうれしいんだよ。丸木位里さんも俊さんも、原爆という人間の究極の悲劇を見た人だから、とても優しい人だった。私たちに命の楽しみ方を教えてくださった。君たちとの出会いもそうだよ」 私は食いしん坊なので、人との出会いが食べ物と結びついている。秋のある日、丸木先生の家にマツタケがたくさん送られてきて、「食べろ、食べろ、好きなだけ食べろ」と先生に言われ、マツタケをぜいたくに、おなかいっぱい食べた日のことを思い出していた。 ぬかみそ漬け、イワシの塩焼き… その頃から、私の頭の中は夫に何を食べさせようか、という課題でいっぱいだった。日仏薬学会の事務長だった夫は、ワインもフランス料理もくわしい。我が家はワイングラスがあふれていたのに、どうしたわけか、自分が幼い時に食べたものだけが食べ物で、ほかのものは食べなくなってしまっていた。 昭和初期の食べ物。ぬかみそ漬けの樽(たる)も大きくて、邪魔だけれど捨てるわけにいかない。かつお節をたくさん入れた千六本(せんろっぽん)ダイコンのみそ汁。ナスのぬかみそ漬け。味の濃い卵焼き。サンマやイワシの塩焼き。ダイコンおろし。しょうゆをたくさん入れた煮魚。 土浦はしょうゆの町。何にも、しょうゆを大量に使う。塩分は1日6.5グラムと医者に言われているのに、彼の言う通りにしていたら、15グラムは軽く超えてしまう。「今日は庭のギンナンをいれた茶碗蒸しが食べたいなあ。早く、早くしてくれよ」 食べたくなると、待つことができない。私は宇宙人につかえる魔法使いに変身するしかない。(随筆家、薬剤師)

幼い頃の食べ物 《くずかごの唄》121

【コラム・奥井登美子】「いつ何があってもおかしくないです。無理をなさらないでくださいね」。大動脈が乖離(かいり)し、大出血。運よく命をとりとめ、退院する時に夫が医者から言われた言葉を、2人は噛(か)みしめながら生きてきた。 10年前、東京の本郷の画廊で「丸木位里さんを偲(しの)ぶ会」(7月3日付)の最後の日。製薬会社の昔の仲間たちがたくさん集まってくれた。「僕は大動脈の中膜(ちゅうまく)が乖離して、いつ死んでもおかしくない体だ。今日は生前の葬式だと思って、おおいに、笑って楽しく、飲んでください」 「葬式なのに、なぜ? 笑うんですか」 「生きていることがうれしいんだよ。丸木位里さんも俊さんも、原爆という人間の究極の悲劇を見た人だから、とても優しい人だった。私たちに命の楽しみ方を教えてくださった。君たちとの出会いもそうだよ」 私は食いしん坊なので、人との出会いが食べ物と結びついている。秋のある日、丸木先生の家にマツタケがたくさん送られてきて、「食べろ、食べろ、好きなだけ食べろ」と先生に言われ、マツタケをぜいたくに、おなかいっぱい食べた日のことを思い出していた。

新治本店を復活させる 土浦駅ビル内の佐藤酒店4代目【キーパーソン】

土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」2階。書店、焼き芋店、どら焼き店、パン店が並ぶフロアーに、軽く飲食もできる酒類販売店がある。土浦市新治地区の商業施設にも出店していた佐藤酒店だ。29歳の4代目店主、佐藤栄介さんが、長く閉めていた本店(新治地区沢辺)を近くリニューアル開店させると知り、若い店主に酒屋への思いを聞いた。 「土浦小町」「土浦梅酒」が並ぶ アトレ店では、茨城県内で造られる日本酒、焼酎、クラフトビール、ワイン、リキュール、つまみ類だけを販売しており、全国ブランドの酒類は扱っていない。酒は売るだけでなく、レジを別にしたスタンドで飲めるようにしてある。JR常磐線利用者の「軽く一杯」には好都合で、書店や和菓子店などと同居する面白い空間だ。「もっと飲みたい」客には、駅周辺の店を紹介する。 「アトレ店を開いたのは2019年12月。駅ビルに星野リゾートBEB5土浦がプレオープンする半年前だ。星野を核にアトレをサイクリングリゾートの拠点にしようと企画するJR(アトレを経営)、茨城県(自転車観光を振興)、土浦市(駅周辺商業を振興)から『茨城の酒を売る店も入れたい』とオファーがあり、引き受けた。JR・県・市の狙いと、うちが大事にしている地元酒が合致したからだ」 プレイアトレ土浦内の佐藤酒店 左は酒類売店、右は飲酒コーナー

パイオニアは元養護教員【北条宿でコーヒーブレイク】1

つくば市内にいくつもある喫茶店は、老舗から新鋭まで様々な展開を見せている。古民家を活用した店もあり、研究学園地区の外側に店を構える例も増えている。 その中で、行政のくくりでいう筑波地区の「北条宿」(宿=しゅく=は街道の拠点となったところ。本稿ではあえてこの呼称を使う)には、この手の業種が存在しなかった。 補足するなら過去には存在しなかったといった方が適当だ。少なくとも地域の人々は「スナックはあったかもしれないが、喫茶店は聞いたことがない」「そもそもお茶は家で飲むもんだ」と答える。 2022年、現実には3件の喫茶店が存在する。喫茶店やカフェという業種が、いつの間にか北条の町なかに定着したことは、実は新鮮な風景なのだ。北条宿においてコーヒーを飲むことのできる喫茶店を訪ね歩く。 サイフォン式に憧れて

老人食のむずかしさ 《くずかごの唄》109

【コラム・奥井登美子】「今日のぬかみそはナスにしてくれ」。ナスのぬかみそ漬けくらい難しい漬物はない。色がすぐに変わってしまう。それなのにうちの亭主は、食べたくなって叫んだら、2~3分のうちに色のよいナスを出さないと怒る。 亭主が製薬会社の研究所に勤務していたころ、日仏薬学会の事務長をやっていた。フランスのシラク大統領が来日した時も握手してもらったらしい。 当時の日仏薬学会の会長は東京理科大・薬学教授の辰野高司先生。辰野先生は、おじい様が東京駅を設計した辰野金吾氏。父上は東大のフランス文学者・辰野隆先生で、フランスに対する思いがハンパな人ではなかった。 亭主は高司先生に、フランス人との付き合い方を手に取って教えていただいたおかげで、ワインの選び方、フランス料理に使うチーズの種類などにも詳しくて、私も彼に教わって、家でフランス料理風のニセ料理をせっせと作ったものだった。 仏壇はしょうゆつぎの隠し場所 そのフランス通が85歳を過ぎてから、自分が幼いころ食べていたものだけが食べ物だと思い込むようになってしまった(幼いころの食べ物だけが食べ物と思い込む老人は多いらしい)。味付けはしょうゆとみそ。昔の人がよく食べた、ぬかみそ漬けが大好きで、白いご飯に漬物、半熟の卵があればいいと言う。

老人食のむずかしさ 《くずかごの唄》109

【コラム・奥井登美子】「今日のぬかみそはナスにしてくれ」。ナスのぬかみそ漬けくらい難しい漬物はない。色がすぐに変わってしまう。それなのにうちの亭主は、食べたくなって叫んだら、2~3分のうちに色のよいナスを出さないと怒る。 亭主が製薬会社の研究所に勤務していたころ、日仏薬学会の事務長をやっていた。フランスのシラク大統領が来日した時も握手してもらったらしい。 当時の日仏薬学会の会長は東京理科大・薬学教授の辰野高司先生。辰野先生は、おじい様が東京駅を設計した辰野金吾氏。父上は東大のフランス文学者・辰野隆先生で、フランスに対する思いがハンパな人ではなかった。 亭主は高司先生に、フランス人との付き合い方を手に取って教えていただいたおかげで、ワインの選び方、フランス料理に使うチーズの種類などにも詳しくて、私も彼に教わって、家でフランス料理風のニセ料理をせっせと作ったものだった。 仏壇はしょうゆつぎの隠し場所 そのフランス通が85歳を過ぎてから、自分が幼いころ食べていたものだけが食べ物だと思い込むようになってしまった(幼いころの食べ物だけが食べ物と思い込む老人は多いらしい)。味付けはしょうゆとみそ。昔の人がよく食べた、ぬかみそ漬けが大好きで、白いご飯に漬物、半熟の卵があればいいと言う。 昔、あれほど好きだった牛肉のステーキも、食べてくれない。しょうゆを入れてすき焼き風にすれば少し食べてくれる。タンパク質を、どこでどうやって食べさせたらいいか、私は困ってしまった。幸い、霞ケ浦医療センター病院で栄養指導を受けることができた。 私が「塩分制限で塩分は1日6.5グラムですからね」と言うと怒ってしまう彼も、「栄養指導の時に、先生に言われたでしょう。1食2グラムなのよ」と言うと、怒らないで聞いてくれるので助かる。しかし、敵もさるもの。悪知恵を働かせて抵抗するので始末が悪い。 私がこの家に来た時に、近所に住む親戚のばあさんたちから、仏壇の掃除の仕方が悪いとよく叱られた。バラの花を供えた時も怒られた。私は今でも、仏壇の中だけはあまり見たくない場所になってしまった。 亭主は、私が見たくない仏壇の引き出しにしょうゆつぎを隠して、私が苦心して用意した減塩の料理にも、こっそりとしょうゆをかけていたらしい。(随筆家、薬剤師)

高性能ベーゴマに「剣」の筆文字 土浦の匠が世に問う新シリーズ

「メカベー」はメカニカルベーゴマ。スピニングトップ社(土浦市港町)代表取締役の高橋克己さん(65)が医療機器開発のスキルを活かし、最長10分間も回り続ける安定感とステンレス製の美しいボディーの高性能ベーゴマを作り上げた。11日には、筆文字のデザインを施した新シリーズ「剣(つるぎ)」の第1弾が発売される。 医療機器の製作スキル生かし 今回登場は、コマの天面に筆文字「剣」をあしらった「Japanese calligraphy(ジャパニーズカリグラフィー)シリーズ」の第1弾。書道家の江森葵鶯(きおう)さんの筆による。筆文字の背景色はシャンパンゴールド、マットシルバー、レーシンググリーン、ワインレッドの4種類がある。これまでにも「虎」や「深海」「一撃入魂」という漢字フォントでデザインした「メカベー」を発表して海外ファンの人気も高い。「剣」も発売前から問い合わせがきているという。 製作者の高橋さんは国内や外資系の医療機器メーカーで40年間医療機器開発、品質保証業務に従事した。日本人の体に合わせた人工心臓駆動装置や血管内の病変部を削る高速回転ドリルなど、高度な精密さが要求される医療機器の製作に携わった。手術室にも何度も入り、機器の改良を繰り返してきたという。培った技術を活かしたいと定年退職後の2017年に会社を起こし、超精密なベーゴマ「メカベー」を作り上げた。 高橋さんは「医療機器を作って病気の人を治そうという使命感で働いてきたが、ベーゴマにも人を元気にする力があると感じる。子どもの教育にも良く、お年寄りの方も健康にする力がある。作り続け、世界中にメカベーを広めたい」と話す。

カスミの新業態「BLANDE」つくば並木店オープン ウエルシアと売場融合

食品スーパーのカスミ(つくば市、山本慎一郎社長)が28日、つくば市並木4丁目に新業態のスーパーマーケット「BLANDE(ブランデ)つくば並木店」を開店した。ドラッグストア大手のウエルシア薬局と売り場、レジを一体化したのが特徴で、医薬品を除く化粧品や日用品などを食料品とまとめて決済することができる。「フード、ヘルス、ビューティー&ウエルネス」をコンセプトにし、より利便性の高い新しいスーパーマーケットの形を目指す。1号店は売場面積2353平方メートル、年商目標は16億円。 早速にぎわう果物売り場=BLANDE店内 食料品ではカスミのプライベートブランド「MiiL KASUMI(ミールカスミ)」でオリジナル商品を作り、地元ならではの品やこだわりの品をそろえる。総菜売り場ではアジアン、エスニックなどさまざまな国のメニューのデリカを用意。お酒売り場ではアプリを活用して好みのワインを探せたり、有料でワインテイスティングしたりできるコーナーも展開する。つくば市手代木のイタリアンレストラン「TRATTORIA E PIZZERIA AMICI(トラットリア・エ・ピッツェリア・アミーチ)」が監修した焼きたてピザも提供する。 レジを通らずに買い物できるスマートフォンアプリ「Scan&Go Ignica」を利用した会員制プログラム「BLANDE Prime」の導入も新しい試み。ブロンズ、シルバー、ゴールドと3つの会員グレードを用意し、有料会員はオンラインデリバリーの配送料無料やカスミの管理栄養士による健康相談、コーヒー1杯無料などのサービスが受けられる。 有料会員用の管理栄養士によるヘルスサポートコーナー=同

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開幕戦、男女共に勝利 つくばFC

つくば市を本拠地とするサッカークラブ、つくばFCの男女各トップチームが1日、ホームグラウンドのセキショウチャレンジスタジアム(つくば市山木)で今季開幕戦を迎えた。プレナスなでしこリーグ2部開幕戦の女子は1-0、関東リーグの男子は3-1でともに勝利を挙げ、幸先の良いスタートを切ることができた。 新加入の2人が決勝点 女子 2023プレナスなでしこリーグ2部第1節(4月1日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 1―0 ノルディーア北海道前半0-0後半1-0 つくばFCレディースは、昨季2戦2分と拮抗した勝負を繰り広げたノルディーア北海道(札幌市)に対し、前後半合わせて19本のシュートの雨を降らせ、被シュートはわずか2本に抑えるという圧倒的な試合を見せた。 「選手が走り続け、走りきるサッカーができた。開幕戦でみんな緊張しているので、トレーニングでやってきたことをやりきろうと声をかけた。一人一人のキャラクターを生かし、毎回違うヒロインが出てくるようなサッカーがしたい」と、白馬聡監督のコメント。

3年半ぶり完全開催 筑波山神社で御座替祭

筑波山神社(つくば市筑波、上野貞茂宮司)で1日、山頂の本殿と中腹の拝殿で神座が入れ替わるとされる春の御座替祭(おざがわりさい)が催され、祭りのメーンとなる、みこしをかついで中腹の集落を巡る神幸祭(じんこうさい)が3年半ぶりに行われた。新型コロナの影響で神幸祭は2020年の春から6回連続中止となっていた。 男体山と女体山山頂の本殿にある神衣(かんみそ)を新しい衣に取り替える「神衣祭」(かんみそさい)、中腹の拝殿で舞いを捧げる「奉幣祭(ほうべいさい)」と併せて、三つの祭りが2019年秋の御座替祭以来、3年半ぶりに完全開催された。 中腹の筑波山神社周辺ではソメイヨシノと山桜がほぼ同時に満開になり、花びらが春風に舞う様子が見られた。コロナ5類移行が間近に迫る中、マスクを外して見物する人の姿もあった。 神幸祭では黄色や赤、白など色とりどりの装束をまとった約150人の行列が、中腹の筑波山六丁目から筑波山神社拝殿まで、急な坂道や階段をみやびやかに登った。今回は稚児行列も最後に加わった。 御座替祭は毎年4月1日と11月1日の春と秋に催されており、観光資源としての役割も担っている。御座替祭の日に限り、3代将軍徳川家光が江戸時代初期に建造し県指定文化財になっている、神社境内入り口の神橋(しんきょう)を渡ることができる。この日は午前9時30分から午後4時まで特別開門が行われ、たくさんの観光客が橋を渡ったり、記念写真などを撮っていた。 神橋を渡るみこし

「強くしなやかに成長する4年間に」 筑波学院大で入学式

筑波学院大学(つくば市吾妻)で1日、2023年度の入学式が行われ、スーツに身を包んだ新入生たちが新生活のスタートを切った。教職員や理事、保護者らも参列し門出を祝った。中国やウクライナなど5カ国からの留学生7人を含む新入生51人が入学し、新入生代表の田井真央(たいまひろ)さんが「大学生活をよりよいものにし、不安定な社会で貢献できる人材になりたい」と宣誓した。 望月義人学長は式辞で「漫然と過ごす4年と、竹のように節目を付けながら強くしなやかに成長する4年との差は極めて大きい。教職員は皆さんを心から支え応援する」と述べた。また2学期制のカリキュラムを今年度から春、夏、秋の3学期制に、1コマ90分だった授業を105分にしてアクティブラーニング(能動的学習)の時間を増やし、論理的思考力、応用力を養っていくと話した。 式辞を述べる望月義人学長=同 橋本綱夫理事長は「4年間どういったことをやりたいか、探究、模索して見つけていってほしい」と激励し、同大のルーツとなる東京家政学院大学の創設者で家政学の先駆者だった大江スミの建学の精神を同大が現在も受け継いでいることを話した。 今年、同大は東京家政学院大学の創立から数えて100周年を迎える。また4月からは同校の運営法人名が日本国際学園大学に変更された。来年度より大学の名称も日本国際学園大学に変わる。

少子化対策は女性の過剰負担になる 《ひょうたんの眼》56

【コラム・高橋恵一】少子高齢化を「国難」と言った元首相がいたが、昨年の出生数が80万人を割り込んだ結果を受けて、少子化が大きな国政の課題とされている。 少子化が進めば、若い世代が減少し、高齢者を支える社会保障制度が維持できない。さらに、いずれ人口が減り、経済規模が縮小し国力も低下するとされ、少子化問題を説明するために、若者が数人で高齢者を持ち上げて支えているイラストを示し、将来、少子化で支える若者が減る一方で高齢者が増え、若者が支えきれないとして、世代間の確執をあおり、「高齢者の集団自決の薦め」まで登場している。 その論点を整理する必要がある。人口の年齢区分を、国連(WHO世界保健機構)は、年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、老年人口(65歳以上)に3区分している。前述イラストの若者が生産年齢人口、高齢者が老年人口である。また、国連は、年少人口と老年人口を足して、生産年齢に対して従属人口という区分も設定している。つまり、働き手人口全体で、子どもも老齢人口も支えているのだということである。 国連は、高齢化を7.0%からとし、日本の場合1970年に達し、その後も高齢化が急速に進行した。一方、日本の年少人口は、1970ごろまで40%弱あり、従属人口は、50%を下回っていた。このように生産年齢人口比率が高い時代を「人口のボーナス期」というが、大戦終結後の欧米や日本にほぼ同時期に現れ、世界的な高度成長期となった。イラストで言えば、支える若者数が、子どもと老齢者を上回っている時代である。 スウェーデンなどのヨーロッパ諸国は、この余力を、高齢社会に備えて堅実に生かし、1人当たりのGDPは、世界のトップ水準を維持している。日本は、この「余力」を生かすべき時代を、「ジャパンアズナンバーワン」などと浮かれ、社会保障費や医療、教育費などを軽視して、ヨーロッパ社会に後れを取った。 男性優位社会を根底から直せ