木曜日, 4月 25, 2024
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《つくば法律日記》13 お酒の法律で変わるマーケット

【コラム・堀越智也】昔から、お酒に関する法律がマーケットに大きな影響を与えてきました。特に、酒税はそれなりの税収になることもあり、酒税法が度々改正されるのですが、酒税法の改正で、僕らもよく知っているようなマーケットの変化が起きています。 つくば市や茨城県では、クラフトビールのイベントがよく開催されます。新型コロナ禍のため、今年はないのが残念ですが、つくばセンター広場でも、毎年クラフトビールのイベントがあります。 クラフトビールがはやり出したのは、酒税法が改正されて、地ビールが造りやすくなったからです。かつて、酒税法の改正で地ビールが盛んに造られ始め、さらにクラフトビールという名前に変えて、世間に広まりました。 発泡酒も第3のビールも、テレビのCMで聞くようになったのは最近です。1990年代に、サントリーが「ホップス」という発泡酒を販売してから、世間に広まり始めました。 酒税法上、ビール、発泡酒、第3のビールは、ざっくり言うと、麦芽の割合と副原料を使用しているか否かで区別されるのですが、発泡酒は、当時、酒税法上、税金が安かったため、安く販売されたのです。 ところが、後に酒税法が改正され、発泡酒とビールの金額の差が縮まります。すると、第3のビールが日本を席巻。そして先々月10月の改正で、ビールは値下げ、発泡酒は一部値下げ、第3のビールは値上げになります。こうして、マーケットは酒税法に動かされることになり、メーカーも大変です。 つくばのワインが面白い つくば市に影響しそうな酒の法律というと、通称ワイン法ではないかと思います。正式名は「果実酒等の製法品質表示基準」ですが、日本のワインを定義し、国産ワインの信用を高めることを目的に制定され、2018年10月から施行されています。 つくばで育てたブドウでなければ「つくばワイン」と名乗ることができません。逆に言うと、つくばでワイン用のブドウができれば、「つくばワイン」と名乗ることができ、地元の名産品に加わる可能性があるのです。 幸い、つくばにはいくつかワイナリーができました。地質的にワイン用ブドウに適した場所で栽培されているようで、それもつくばらしいです。追い風は、2017年につくば市がワイン特区に認定されたことです。 酒税法上、ワインを造るには、年間6,000リットルの製造量が条件になりますが、特区に認定されたことで2,000リットルに緩和されました。その結果、小さな施設もワインが造れます。 このワイン特区、いかに市民が利用するかにかかっていますが、つくばの経済にとって、ひとつの強い味方になると思います。(弁護士)

《つくば法律日記》13 お酒の法律で変わるマーケット

【コラム・堀越智也】昔から、お酒に関する法律がマーケットに大きな影響を与えてきました。特に、酒税はそれなりの税収になることもあり、酒税法が度々改正されるのですが、酒税法の改正で、僕らもよく知っているようなマーケットの変化が起きています。 つくば市や茨城県では、クラフトビールのイベントがよく開催されます。新型コロナ禍のため、今年はないのが残念ですが、つくばセンター広場でも、毎年クラフトビールのイベントがあります。 クラフトビールがはやり出したのは、酒税法が改正されて、地ビールが造りやすくなったからです。かつて、酒税法の改正で地ビールが盛んに造られ始め、さらにクラフトビールという名前に変えて、世間に広まりました。 発泡酒も第3のビールも、テレビのCMで聞くようになったのは最近です。1990年代に、サントリーが「ホップス」という発泡酒を販売してから、世間に広まり始めました。 酒税法上、ビール、発泡酒、第3のビールは、ざっくり言うと、麦芽の割合と副原料を使用しているか否かで区別されるのですが、発泡酒は、当時、酒税法上、税金が安かったため、安く販売されたのです。 ところが、後に酒税法が改正され、発泡酒とビールの金額の差が縮まります。すると、第3のビールが日本を席巻。そして先々月10月の改正で、ビールは値下げ、発泡酒は一部値下げ、第3のビールは値上げになります。こうして、マーケットは酒税法に動かされることになり、メーカーも大変です。 つくばのワインが面白い つくば市に影響しそうな酒の法律というと、通称ワイン法ではないかと思います。正式名は「果実酒等の製法品質表示基準」ですが、日本のワインを定義し、国産ワインの信用を高めることを目的に制定され、2018年10月から施行されています。 つくばで育てたブドウでなければ「つくばワイン」と名乗ることができません。逆に言うと、つくばでワイン用のブドウができれば、「つくばワイン」と名乗ることができ、地元の名産品に加わる可能性があるのです。 幸い、つくばにはいくつかワイナリーができました。地質的にワイン用ブドウに適した場所で栽培されているようで、それもつくばらしいです。追い風は、2017年につくば市がワイン特区に認定されたことです。 酒税法上、ワインを造るには、年間6,000リットルの製造量が条件になりますが、特区に認定されたことで2,000リットルに緩和されました。その結果、小さな施設もワインが造れます。 このワイン特区、いかに市民が利用するかにかかっていますが、つくばの経済にとって、ひとつの強い味方になると思います。(弁護士)

《くずかごの唄》71 コロナ時代のお別れ会

【コラム・奥井登美子】内山充氏は義兄奥井誠一が東北大教授のときに助教授だった人。当時学生だった人たちは奥井・内山コンビの授業が印象的だったという。誠一は現役の45歳で死亡。内山氏はその後、厚生労働省国立衛生試験所の所長として保健衛生に大きな働きをして昨年亡くなった。コロナ騒ぎの中で「内山充先生を偲(しの)ぶ会」が延び延びになっていたが、この間、やっと実現にこぎつけた。 50年たっても懐かしい学生時代の先生たちを偲んで、誠一先生の墓参りを済ませてから、偲ぶ会に出席したいという人が何人か出てきた。11時に土浦集合、墓参りして13時に東京へ向かうまで、2時間しかない。 誠一兄の親友で、東北大教授の、後に星薬科大学長になった亀谷哲治さん親子が設計した風変わりな家も見たいという。私は計画を聞いて困ってしまった。時間がない中、50年前に亡くなった懐かしい人を想い出してもらう作戦を考えなければならない。 ギンナン、クリ、レンコン、イチジク、ナス 兄が生まれたときに父が記念に植えたイチョウ。今は大木となって我が家の庭の真ん中を占領している。ギンナンは臭くて、ツラの皮の厚い人でないとかぶれてしまう。我が家には人一倍ツラの皮の厚い人がいるので、ギンナンを拾ってむいてみた。 クリの渋皮煮。クリを選ぶのが難しい。幸い、国際囲碁協会会長の合田健夫妻が八郷から大きなクリを届けて下さった。「全自動栗むき機」というあだ名の亭主が、学生時代に植物成分の分析で植物の皮むきをしたことを思い出しながら、徹夜して渋皮をむいてくれた。 霞ケ浦のレンコン。私の発明したレンコン料理。これは穴の中にぎゅうぎゅうとひき肉を詰め込んで、丸ごと煮る。冷めてから横に切ると、ひき肉が模様になってかわいい一皿になる。 兄が好きだったイチジクの木。木も3代目だが元気に実をつけてくれた。庭の甘柿は甘過ぎるのでサラダにする。 一番のごちそうは、ナスのぬかみそ漬。庭で育てた採りたてのナスを漬ける。あまりに手間と時間がかかるので、ぬかみその樽を捨ててしまいたい思ったこともある。姑(しゅうと)に相談したら怒られ、先祖からの菌床にぬかを足しながら100年近く使っている。 「内山充先生を偲ぶ会」の当日、4人の70歳の元学生を土浦に迎えて、亀谷先生、内山先生、奥井先生を偲びながら、ワインで乾杯することができた。(随筆家、薬剤師)

《くずかごの唄》71 コロナ時代のお別れ会

【コラム・奥井登美子】内山充氏は義兄奥井誠一が東北大教授のときに助教授だった人。当時学生だった人たちは奥井・内山コンビの授業が印象的だったという。誠一は現役の45歳で死亡。内山氏はその後、厚生労働省国立衛生試験所の所長として保健衛生に大きな働きをして昨年亡くなった。コロナ騒ぎの中で「内山充先生を偲(しの)ぶ会」が延び延びになっていたが、この間、やっと実現にこぎつけた。 50年たっても懐かしい学生時代の先生たちを偲んで、誠一先生の墓参りを済ませてから、偲ぶ会に出席したいという人が何人か出てきた。11時に土浦集合、墓参りして13時に東京へ向かうまで、2時間しかない。 誠一兄の親友で、東北大教授の、後に星薬科大学長になった亀谷哲治さん親子が設計した風変わりな家も見たいという。私は計画を聞いて困ってしまった。時間がない中、50年前に亡くなった懐かしい人を想い出してもらう作戦を考えなければならない。 ギンナン、クリ、レンコン、イチジク、ナス 兄が生まれたときに父が記念に植えたイチョウ。今は大木となって我が家の庭の真ん中を占領している。ギンナンは臭くて、ツラの皮の厚い人でないとかぶれてしまう。我が家には人一倍ツラの皮の厚い人がいるので、ギンナンを拾ってむいてみた。 クリの渋皮煮。クリを選ぶのが難しい。幸い、国際囲碁協会会長の合田健夫妻が八郷から大きなクリを届けて下さった。「全自動栗むき機」というあだ名の亭主が、学生時代に植物成分の分析で植物の皮むきをしたことを思い出しながら、徹夜して渋皮をむいてくれた。 霞ケ浦のレンコン。私の発明したレンコン料理。これは穴の中にぎゅうぎゅうとひき肉を詰め込んで、丸ごと煮る。冷めてから横に切ると、ひき肉が模様になってかわいい一皿になる。 兄が好きだったイチジクの木。木も3代目だが元気に実をつけてくれた。庭の甘柿は甘過ぎるのでサラダにする。 一番のごちそうは、ナスのぬかみそ漬。庭で育てた採りたてのナスを漬ける。あまりに手間と時間がかかるので、ぬかみその樽を捨ててしまいたい思ったこともある。姑(しゅうと)に相談したら怒られ、先祖からの菌床にぬかを足しながら100年近く使っている。 「内山充先生を偲ぶ会」の当日、4人の70歳の元学生を土浦に迎えて、亀谷先生、内山先生、奥井先生を偲びながら、ワインで乾杯することができた。(随筆家、薬剤師)

18日からライド&トリップ プレイアトレ土浦 県の推進事業に認定

【山崎実】コロナ禍で打撃を受けている県内観光地の活力を取り戻し、地域経済の活性化を図る県の「いばらき観光誘客推進事業」の対象に、土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」(運営・アトレ)が実施する大型イベント「WELCOME TSUCHIURA PROJECT~Ride&Trip~(ウエルカム・ツチウラ・プロジェクト~ライド&トリップ)」など2事業が認定された。2事業には県が各1億円の補助を行う。 プレイアトレ土浦は、9月18日から11月末まで、筑波山と霞ケ浦を結ぶ全長180キロの自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」周辺で、県内の観光資源や自然を生かしたサイクリング、キャンプ、アウトドアイベントなどを実施する。さらに周辺市町と連携し、バーチャルとリアルを融合させた、withコロナ期の新たな形のイベントを提案していると評価された。 認定事業のもう一つは、茨城放送が実施する「偕楽園チームラボデジタルアート&周辺イベント」。来年2月中旬から3月中旬に、日本三名園の一つ、偕楽園(水戸市)で、梅まつり時期の夜間に、県内初の大規模なチームラボによるデジタルアートを実施する。また偕楽園周辺でのキャンプイベントや朝マルシェ、弘道館、大手門ライトアップなど市内各地で関連イベントを行う。来年度以降の開催も期待できると評価された。 同事業の対象は、県内の観光資源を生かした新たな集客コンテンツとなる大型誘客イベントで、8月末までの応募期間で38件の申請があった。今回、そのうち2件が第1次認定として採択され、あと2件程度ある残り枠(2億円)についても、今月中の第2次認定が予定されている。 バーチャルサイクリングや合宿ライド プレイアトレ土浦が実施する「WELCOME TSUCHIURA PROJECT~Ride&Trip~」の主なイベントは以下の通り。 ▽バーチャルサイクリング チャレンジ=9月19日~11月30日、プレイアトレ土浦2階特設ブースで、世界中の人とりんりんロードを一緒に走るバーチャルライドをオンライン上で体験できるほか、自宅に居ながら茨城の魅力あるサイクリングコースをオンライン上で体験できる。 ▽オリンピアンと走る!上級者向けライドツアー=アテネ五輪出場の元プロロードレーサー田代恭崇さんを招き、3コースを走る。①10月10~11日・スキルアップ合宿ライド(星野リゾートBEB5土浦宿泊)②10月18日・筑波山ヒルクライムライド③10月25日・歴史探訪ライド ▽茨城の名所を巡る!ビギナー向けライドツアー=秋の紅葉シーズンに茨城ならではの酒蔵やグルメを楽しむ。3コースある。①11月6~7日・BEB5土浦に泊まる!宿泊ライド②11月8日・稲葉酒造酒造見学ライド③11月15日・秋のグルメライド ▽BIKE&CAMP FES(バイク&キャンプ・フェス)2020=10月31日と11月1日、つくば市のつくばワイナリーで開催する。自転車・アウトドアメーカーなどが多数出展し、アウトドアの新たな扉を開きたいキャンパーや自転車初心者も楽しめる。旅に特化した自転車本体、パーツ類、パニアバッグなどを展示・販売するほか、自転車への荷物の積み方、輪行の仕方、ギアの選び方、ワインセミナー、たき火のおこし方などのワークショップやトークショー、グルメブースなど盛りだくさん。キャンプサイトでの宿泊もできる。 ▽第2回つくば霞ケ浦りんりんサイクリング=初心者が週末に気軽に参加できるファンライドで、全長180キロのうちの一部約50キロをコースとして走る。初心者が不安に感じるサイクリングのハウツーをサポートするコンテンツを多数用意し、自転車イベントデビューを応援する。エイドステーションでは、地域ならではの味覚をご用意、秋の風景を感じながら、程よい運動とグルメを堪能できる。

《くずかごの唄》53 老人性うつ病にさせない試み 奥井サロン

【コラム・奧井登美子】亭主を老人性うつ病にさせないため、①本とのつきあい②好きな友達とのつきあい③好きな食べ物の提供―。とりあえず、この3つの試みだけを断固実行してみることにした。 彼の1月の楽しみは「奥井サロン」である。年に数回、山岳会の山男たちが我家に来て、しゃべったり飲んだり食べたりしてくれる。90才を過ぎた亭主は山岳会でも最高齢だが、もうほとんど山登りは出来ない。 それなのに皆と一緒に行きたいので、いつも小屋番で、時に手を引いてもらって、歩いたり、皆さんに迷惑をかけている。 そのお礼もかねて、サロンのときは、いつも、私の手料理を5品目作ることに決めてある。1月のメニューは、①肉じゃが②ローストビーフ③鶏のから揚げ④キウイとリンゴとレンコンのサラダ⑤キノコ飯―。 山男たちの新年会 ビールは少なめに 「サロンの人数は何人なの?」 「さあ、わからないなあ、13人くらいだろう」 13人の山男が来れば、大鍋一杯の肉ジャガでも足りないかも知れない。問題は飲み物である。ワインは好みがいろいろでうるさいし、焼酎は何で割るか多様なので、やめてもらった。そこで、ノンアルコール、ウーロン茶、日本酒、ビールのみ。 「日本酒は2升あれば足りると思うけれど、この前もビールがたりなかった。今度はビールを倍くらいにしてくれよ」 「ハイ、ハイ」 私は空返事で、ビールは増やさなかった。13人の男どもがビールをしこたま飲んだあとの、トイレのお掃除のことを考えると、増やす気になれなかったのである。亭主の楽しみを続けるには、私自身の健康が大事だと痛感した。(随筆家、薬剤師) ➡奥井登美子さんの過去のコラムはこちら

《くずかごの唄》52 老人性うつ病にさせない試み 幻の豪華弁当

【コラム・奥井登美子】亭主を老人性うつ病にさせないために、①本とのつきあい②好きな友達とのつきあい③好きな食べ物の提供―とりあえず、この3つの試みだけを断固実行してみることにした。 亭主も製薬会社の研究所勤務の時代は、辰野高司さんの下で日仏薬学会を設立し、この間亡くなったが、日本びいきのシラク大統領が来日した時には握手してもらったという。 当時、彼はフランス料理もワインも、フランス人と一緒に会食したりしても困らないだけの知識と体験を持っていたはずなのに、いつのまにかフランス料理どころか、どの料理も何もかもどこかへ「蒸発」してしまっていた。 茨城に住んでいると、すばらしい新鮮な野菜が手に入る。一生懸命に私が調理しても、なぜか気に入らない。醤油注ぎがどこかに隠してあるらしく、醤油をかけてしまうのである。幼いころに食べた料理だけが料理と思いこんでいる。 昭和一桁(けた)。戦争で食べ物の一番少ない時代に、英会話が大好きだけれど調理の大嫌いな母親に育てられたせいか、手の込んだ調理をすると、なぜか気に入らない。 風邪のおかげで老人食の個性を体験 この間、私は薬屋のくせに、不覚にもシツコイ風邪にかかってしまった。「ママは何もしなくていいからね」。娘が亭主の食事を運んでくれた。 昼の弁当、夜の食事。つくばの有名店とやらに注文したらしく、キラキラした器に入っていて、豪華で、見ただけでもびっくりする。今の若い人たちは、こんなに美しいものを食べているのだ。私も大いに勉強させてもらった。 しかし食べてみてびっくり。どれもこれも塩分が少し多すぎて、1食7グラムくらい。1日食べたら20グラムくらいになってしまう。亭主の塩分は1日3食で6.5グラムと決められていて、私はその中で今まで悪戦苦闘してきた。せっかくの豪華弁当も塩分の制限で私たちにとっては幻弁当になってしまった。 塩分も慣れてくると、彼は時々内緒で醤油をかけているらしいが、なんとかやりくりできるようになっていたのである。風邪のおかげで、老人の食事の個性を体験することができた。(随筆家、薬剤師) ➡奥井登美子さんの過去のコラムはこちら

《土着通信部》36 復活のバランスシート 牛久シャトー

【コラム・相澤冬樹】下戸のくせして、僕はしばしばお酒の取材に駆り出される。つくば産ワインの初蔵出しの記事を手配中、牛久市議会の全員協議会で牛久シャトー(同市中央)の「復活プロジェクト」の説明があったと聞かされて、ワインがらみの取材がハシゴになった。 牛久はNEWSつくばのカバーエリアから外れるものの、コラム「続・平熱日記」で斉藤裕之さんがシャトーについて書いていたので、直後の動きを続報の形で伝えようと思った。シラフの記者の方が適任だろうと、市役所に赴いたのだった。 牛久シャトーは、日本初の本格的ワイン醸造場とされる。国指定の重要文化財となっている建物もあり、お花見や飲食の場として市民に愛された施設だったが、レストランや物販店舗の業績悪化のため、2018年12月28日をもって閉鎖となった。直後、市には再開を願う310団体からの嘆願書、2万2800人余の署名が寄せられたそうだ。 これを受ける形で、市はシャトーを所有する持ち株会社、オエノンホールディングス(東京)と交渉を続けてきた。7月には根本洋治市長がオエノンHDの西永裕司社長と面会して基本合意が成立した。内容は、①市が旧醸造施設などや駐車場、ぶどう畑などを含むシャトー全体(約6.5ヘクタール)の賃借契約を締結②重文施設の保存・活用を先行し、市の文化財担当グループをシャトー内の事務所に置く―など。 賃借契約は今月1日に締結・発効となった。市が借り上げるのは、駐車場を含む同施設の土地と敷地内の全建物(オエノンミュージアムと倉庫を除く)。賃料は月額462万円(税込み)で、契約期間は2039年11月30日までの20年間。 新年に三セクの運営会社立ち上げ 借り上げ後の施設は第三セクター「牛久シャトー株式会社」により運営する。資本金9512万円のうち9500万円を市が出資する。設立は来年1月の予定で、社長には合同酒精元社員、川口孝太郎さん(59)の就任が決まっている。合同酒精は同HDのグループ会社、川口さんはシャトーの事業運営に関わり、昨年まで営業推進部長兼物販部長を務めていた。 すなわち、市は新会社に9500万円を出資したうえで、同HDに年間5544万円もの賃料を支払う。これらは新会社の事業展開で回収を図るわけだが、その指揮を執るのが昨年までの運営担当という図式には、左党ならずともちょっとカラミたくなる。実際、議会の同意を得るまで相当に紛糾したそうだ。 全協にはその川口さん自らが出席し、「復活プロジェクト」を説明した。「歴史的な文化財の積極的な活用はじめワイン文化による都市間交流、生活交流の機能を生かし運営していきたい」というのが骨子だった。 店舗の営業などは桜の花見客を狙い、3月下旬から4月上旬に再開させたい意向。ワイン醸造については新たに免許を取り直す必要があり、現在のブドウ栽培の規模から特区による取得となるため、新会社設立後の検討項目としている。 ➡相澤冬樹の過去のコラムはこちら

《続・平熱日記》51 絵描きの絵空事? 牛久シャトーパリ化計画

【コラム・斉藤裕之】晩秋とはいえ、陽の下では半袖になって汗ばむ日もあったイルミネーションの設置作業。トランプさんも一緒に作業すれば、よもやパリ協定を離脱するなんて考えるはずがないのではと思いながら、気が付けばようやく霜の降りる朝に。駅前のイルミネーションのオブジェ制作を頼まれて数年。歳を追うごとに溜(た)まっていく疲労と筋肉痛と闘いながら、ふと思いついたこと。 パリの公園や広場にはぽつんとメリーゴーラウンドがあって、お金のない私たちにも百円そこらで子供に夢を見させてあげられる場所でした。アコーディオンの軽快な音楽。そして、キラキラとした光に包まれてグルグル回るだけのローテクな乗り物。子供たちが周回ごとに手を振り、それを見守るお母さん。どことなくもののあわれを感じさせるメリーゴーラウンド。 そうだ、駅前に飾り付けているイルミネーションを牛久シャトーのメイン会場にすれば人気のスポットになるはず。それからシャトーの中庭にはメリーゴーラウンドを常設すべし。西洋風の中庭にはとてもよく似合うし、話題になること間違いなし。 私の住む街にある牛久シャトー。突然の営業中止から、はや1年が経とうとしています。市は何とかして再開にこぎつけたいようですが、文化遺産としての価値を保ちつつ、新たに商業的な価値を生み出していくのは容易ではなさそうです。そこで採算の取れる現実的な大人な話がなされるわけですが、どうもピンとこない。 メリーゴーラウンド、人形劇場、子供馬車… 絵空事とはよく言ったもので、絵描きさんは「そんな夢みたいなこと」を真面目に描いている人です。そんな私の頭の中には「シャトーにメリーゴーラウンド」に続いて、「シャトーにギニョール(人形劇場)」、ロバの引く子供馬車、養蜂場やおいしいアイスクリーム屋、もちろんワインにビール、カフェなど。アンティーク市なんかもいい。次々とイメージが思い浮かび、これはもはや「牛久シャトーパリ化計画」。 それから、既存のレストラン施設は地元の野菜や食材を使用した市民食堂に。つまり「市民給食センター」。隣に市役所もあるので、平日は職員のいわば社食ならぬ「市食」。これで平日の集客に気をもむ必要はありません。メニューは日替わりで。 ついでに、持込可のピクニック場や夏はキャンプなんかどうですかね。肝試しの名所としてワイン蔵あたりは最高。それからセルフ結婚式場ね。場所や施設を安価に提供し、手作りの式場として貸し出すプラン。言うは易(やす)しか? さて、点灯式を待つのみとなったイルミネーション。「わー、きれい!」って歓声で苦労も報われますが、来年は本当にシャトーで作業をしているかも。その前に、来春にはシャトーでお花見がしたいものですね。もちろん正々堂々「桜を見る会」と銘打って。(画家) ➡斉藤裕之さんの過去のコラムはこちら  

《くずかごの唄》51 老人性うつ病にさせないための試み

【コラム・奥井登美子】亭主を老人性うつ病にさせないために、 ① 本とのつきあい ② 好きな友達とのつきあい ③ 好きな食べ物の提供 ―とりあえず、この3つの試みだけは断固実行してみることにした。 亭主も、自分が最近極度に忘れっぽいのを承知しているらしい。それが怖いのか、言われたことをすぐやらないと、モーレツに怒る。 「暗黒物質とブラックホールの本、読みたい。すぐ買ってきてくれ」。若いときは専門の合成化学の本ばかり読んでいた。それが、おやおや、いつのまにか宇宙の本になってしまった。 そうだ、私は宇宙人と付き合っていると思えばいいのだ。急に言い出す無理難題も、相手が宇宙人ならば、「地球のこと知らないんだから仕方ない」と、思えばよろしい。 しかし、本探しは困る。本屋さんがみな閉店、近くに本屋がなくなってしまった。図書館へ行って、ブラックホールの本を4冊借りてきてごまかした。 保険証、お薬手帳、薬を持って 「11月の日仏薬学会には行く」 「何やるの? 加藤登紀子さんは終わったのよ」 「明治の薬学者下山順一郎の紹介をフランス人がする。お酒に強い人、弱い人の遺伝子検査も面白そうじゃあないか」 彼は日本山岳会と日仏薬学会へ行って、昔の友達に会うのが何よりの楽しみなのだ。1人で東京に行くのはチト難しくなってしまっているのに、1人で行きたい所があると行ってしまう。だから、行くと言い出したら大変で、私が彼の保険証とお薬手帳と3日分の薬を持って、ついて行くしかない。 学術的な難しい話が終わったあと、全員ワインで乾杯するのが、この学会のしきたりになっている。付き添い役の私の目的はこの乾杯なのだ。 さて、好きな食べ物、これが一番問題なのだ。(随筆家、薬剤師) ➡奥井登美子さんの過去のコラムはこちら

新たに9品をブランド認定 筑波山地域ジオパーク

【鈴木宏子】筑波山や霞ケ浦、関東平野などで構成される「筑波山地域ジオパーク」をPRする同ジオブランド認定商品として29日、ワインやクッキー、しょうゆなど7事業者の9商品が新たに認定された。 いずれも同ジオパーク地域内で採れた食材を使ったり、地域内で製造された食品で、食を通じて同ジオパークを発信することが期待されている。認定は昨年度に続き2回目。昨年度の認定商品11事業者13商品と併せ、認定商品は計22商品となった。 今年4月から6月まで公募し、応募があった8事業者10商品の中から選ばれた。29日、つくば市役所で認定証授与式が催され、同ジオパーク推進協議会会長の五十嵐立青つくば市長から7事業者に認定証が手渡された。 同ジオブランド審査委員会の田中牧子委員長は「各ゾーンのお土産がだいたいそろった。今後はグルメツアーを考えたり、販売方法を検討したい」と語り、五十嵐市長は「おいしいものがジオパークにつながっていることを知っていただく機会になる。各地で商品を宣伝していきたい」と述べた。 今回認定を受けたジャムファクトリー代表の大類由美子さんは「梅畑の隅に受粉木として植えられている小梅を使ってジャムを作った。認定をきっかけに、さらにいろいろな人に知ってもらえたら」と話していた。 認定商品は、筑波山ジオパークの公式ロゴマークを商品に付けて販売できる。各店の店頭やジオパーク関連イベントなどで購入できるが、現在、認定商品を一堂に展示・販売している店舗はないという。 新たに認定された7事業者の9商品は、▽筑波山麓のワイン畑、ビーズニーズヴィンヤーズ(つくば市)の赤ワイン「オーバードライブ」(750ミリリットル、4000円~4200円)と白ワイン「スパイラル」(同、3800円)▽久月総本舗(土浦市)の帆引き船をイメージした洋菓子アーモンドチュイル「帆引れんこん物語」(10枚入り、1425円)と、県産食材を使ったケーキ「常陸のスフレ」(8個入り、1857円)▽茨城産大豆を2年発酵熟成させた鈴木醸造(桜川市)の丸大豆しょうゆ「筑波山」(150ミリリットル、356円)▽霞ケ浦産のワカサギとエビの佃煮を使用した高月堂(土浦市)のクッキー「霞浦の恵み」(10本入り、2480円)▽小梅を使ったジャムファクトリー(つくば市)のフルーツソース「筑波山麓果実 小梅のフルーツソース」(140グラム、800円)▽北条米と筑波山地域で収獲された野菜と肉を使用した吉屋(つくば市)のつくば道弁当(1000円)▽石岡産甘柿の上品な味を凝縮させた三宝園(石岡市)のドライフルーツ(5袋入り、1500円)。価格はいずれも消費税込み。

つくばの5社に県が計1500万円補助 宇宙ビジネス

【山崎実】宇宙ビジネスの成長産業化を促進するため各種支援事業(補助金)を実施している茨城県は、今年度の第3回として5社5件への補助金交付を決めた。5社はいずれもつくば市内で、補助金の合計額は約1556万円。今後のビジネス展開を後押しする。 採択された5社5件は、▽有人宇宙システム(交付決定額342万円)=衛星データと地上データを活用したスマート農業向けアプリケーションの開発▽スペースキュービクス(393万円)=JAXA発ベンチャー、放射線の強い宇宙環境で発生する機器の誤作動などに対応する不具合検知・復旧機能を持つソフトウェアの開発▽ビーヤ(新規参入、20万円)=少量生産システム方式で生産される宇宙機用集積回路の販路開拓▽スペースシフト(400万円)=検知が難しかった衛星データの変化をAI(人工知能)を用いて高精度で自動検知するソフトウェアの開発▽クロスステージ(起業予定の個人、400万円)=衛星データや地表・天候などのビッグデータを用いて、人、物の流れを予測し、マーケティング効果の最大化を行うソフトウェアの開発。 20日秋葉原でサミット いばらき宇宙ビジネスは、起業、関連企業の誘致、進出から独自の成長産業化を目指し、テイクオフ(離陸)の段階に入ろうとしているという。県は事業採択を契機に、茨城発宇宙ビジネスを国内外に展開する方針で、20日、東京・秋葉原UDXで「いばらき宇宙ビジネスサミット2019 in TOKYO」を開催する。昨年12月、今年8月に続く3回目のサミットで、宇宙ビジネスへの参入促進の気運醸成を図る。 20日は、日本発民間初の宇宙ビジネスカンファレンス、佐藤将史さんと、新事業開発のスペシャリスト、尾崎典明さんによるトークセッション「新時代の宇宙ビジネスに期待すること」のほか、県が立ち上げた「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を活用した新たな事業展開のプレゼンテーションも行われる。 具体的には、アストロオーシャンの森琢磨さんが「小型ロケット洋上打ち上げ実証プロジェクト」、サグリの社長、坪井俊輔さんが「衛星を活用した耕作放棄地検出とワイン用ブドウの適地選定実証」、ワープスペースのCEO、常間地悟さんが「超小型衛星による世界初の衛星間通信ネットワークの実現」、Yスペース共同代表の田中克明さんが「つくば宇宙観光プロジェクト構想」―などについて、それぞれ開発事業内容や構想を披歴する。 問い合わせは県科学技術振興課特区・宇宙プロジェクト推進室(電話029-301-2515)。

県内の日本酒5種類を堪能 知事迎えつくば酒朋会

おいしい日本酒を飲みながら交流する「第35回つくば酒朋会(しゅほうかい)」(塚本一也会長)が18日、つくば市小野崎、ホテルグランド東雲で催された。県南地域の日本酒愛好者約80人が参加し、全国新酒鑑評会で金賞を受賞した県内の地酒5種類を、日本酒に合う料理に舌鼓を打ちながら堪能した。大井川和彦知事も初めて参加した。 大井川知事は「前任者(橋本昌元知事)がワイン(通)だったので私は日本酒でいく」と会場を笑わせ、7月2日から5日間、フランスのエソンヌ県とパリを訪問し茨城の日本酒など県産品をPRした成果を報告した。その上で「日本酒はフランス料理でもブームになっており、ソムリエがフランス料理に合った日本酒を勧めたりする。茨城の日本酒をプロモーションするのが私の役割」などとあいさつした。 この日は、地元つくば市の稲葉酒造と浦里酒造のほか、古河市の青木酒造、常陸大宮市の根本酒造、石岡市の府中誉から大吟醸など5種類が出された。 同会は筑波研究学園専門学校(土浦市上高津)元理事長で郷土史研究家の故・西谷隆義氏の呼び掛けで22年前に始まり、東雲を会場に年3回開かれてきた。スタート時から毎回参加し皆勤賞という学校法人専務理事の志賀宏さんは「この会は会社や役職などに関係なく、ただ日本酒が好きな人たちの緩やかなつながりの会。料理も一度として同じメニューが出たことがなく、雰囲気がすばらしい。日本酒を楽しみたいという、ただそれだけで出ている」と話す。 今回、日本酒を提供した稲葉酒造蔵元の稲葉伸子さんは「つくばの地酒、茨城の地酒を喜んでもらえるだけでうれしく、お酒を造ってよかったと思える」と話す。 塚本会長は「西谷さんの遺言として、この会を長く継続してほしいということと、この会の代表にふさわしい人間になれということを言われた。県南の紳士、淑女の社交の場、交流の場として長く継続できるようにしたい」と話している。

《邑から日本を見る》41 私の学び舎が消えていく

【コラム・先﨑千尋】環境自治体会議(代表幹事・山田修東海村長)が今年度で事実上幕を閉じる。先月、東京で開いた総会で、来年に環境首都創造ネットワークと一緒になり、新組織を立ち上げることを決めた。現在の会員は東海村、那珂市、ひたちなか市、古河市、行方市など30自治体。 同会議は、国連がブラジルのリオデジャネイロで環境開発会議(地球サミット)を開いた1992年5月に、ワインで有名な北海道池田町でスタートした。私はその時に、同町、沖縄県読谷村と共に開催の呼びかけ人になった。 環境自治体とは、「自治体のすべての政策分野で環境優先の考え方を取り入れ、地域において環境の視点に立ってまちづくりを推進し、同時に自らの活動において環境配慮を実現しようとする自治体」を言う。そして環境自治体会議とは、「自治体の首長が中心となって環境自治体づくりをめざしていくネットワーク組織」のことである。 地球サミットでは、21世紀に向けて持続可能な開発を実現するための行動計画「アジェンダ21」を採択した。これには世界が直面する環境と開発に関するあらゆる問題領域が含まれており、課題ごとに行動の基礎、目標、行動および実施手段を示して、誰が何をどのような手段でいつまでに実施するのかを明確にした、目標達成型の行動計画である。環境自治体のメンバーは、「ローカルアジェンダを策定し、市民の生活や地域社会をエコロジカルに変える」運動の先頭に立つことが求められる。 環境自治体会議 先進的事例も報告 会議では毎年1回、会員自治体の市町村で全国集会を開いてきた。参加者は、個性あるまちづくりや環境運動を展開している自治体の首長や議員、職員、研究者、市民運動家などで、首長も司会や報告者、助言者などを担当し、参加者は皆同列で議論した。意見がぶつかり合うこともしばしばだった。私は、第4回の大分県湯布院会議まで全体会の司会を担当した。 県内では古河市、東海村、行方市で開かれ、生ごみの減量やリサイクル、地域農業、霞ケ浦、水、地域交通、原子力、環境教育など環境に関するあらゆる問題をテーマとしてきた。その地域特有の課題やテーマもあるが、多くは先進的事例が報告され、学ぶことが多かった。ごみ一つとっても、水俣市の23分類などは現場まで見に行き、参考になった。 わが国の行政運営は、明治以降長いこと国が中心で、都道府県、市町村と縦系列だった。首長や職員、議員は隣の町でどんなことが行われているかを知らなくともよかった。環境自治体会議はそのような支配構造ではなく、横に手を結ぶ、隣の町の良いことをわが市にも採り入れる。そこに出かけて行き、学んでくる。 私が印象に残っているのは、北海道池田町、沖縄県読谷村、新潟県安塚町、大分県湯布院町、北海道斜里町、熊本県水俣市、秋田県二ツ井町など早い時期に開かれた全国大会で、参加する首長にエネルギーが満ちていた。会議だけでなく、夜の交流会で出される郷土料理や地酒も忘れられない。 自治体は4年に一度選挙があり、首長が代わると前のことを引き継がないことが多い。70以上あった加盟自治体が半数以下になってしまった。環境問題がこれからますます重要になってくるが、30年で一区切りということなのだろうか。私の学び舎が消えていく。(元瓜連町長) ➡先崎千尋さんの過去のコラムはこちら

【つくば市長会見】12月6日 スタートアップ戦略を策定 24施策で起業を応援

つくば市、五十嵐立青市長の定例会見が6日、同市役所で開かれた。五十嵐市長は、新たなビジネスモデルを開拓し急成長を目指す会社を、設立から事業化まで一貫して支援する「市スタートアップ戦略」を策定したと発表した。 同戦略は①交流拠点として市産業振興センター(同市吾妻)をリニューアルし、ワーキングスペース、ミーティングルーム、セミナールームなどを整備する②市内研究機関の機材をスムーズに利用できる仕組みをつくる③開発された製品やサービスの実証実験を市が積極的に実施する④市独自の中小企業技術革新研究プログラム(つくば版SBIR)をつくり補助金を助成する—など24の施策を展開するという。 特につくば版SBIRが目玉事業となるが「市単独では予算に限界があり国等の予算が使えないか調整している」(毛塚幹人副市長)として「(現段階では補助金の規模などは)まだ固まってない」としている。 20日午後1時から、市主催のイベント「つくばスタートアップデイ」をつくば国際会議場(同市竹園)で開催し、同戦略の概要などを報告する。 ほかに「市スポーツ推進計画中間年度見直し版」案、「保育の質ガイドライン」案、「市文化財保存活用計画」案の3件について、いずれも7日から来年1月7日までパブリックコメント(意見募集)を実施することなどが報告された。 来年、ボルドーの専門家から助言 記者会見では11月6~14日に実施したヨーロッパ海外視察と、19~24日のモロッコ出張について記者から感想を求められた。 五十嵐市長は、ヨーロッパ視察について、個性を伸ばす教育として注目される「イエナプラン教育」を実践している学校をオランダで視察したことを報告し「市教育大綱策定の大きな方向性のヒントになった」などと話した。 続いて訪れたフランスのボルドーでは、ワイン特区になったつくば市がワイン産業をどう進めていくか専門家と協議したという。世界中のワイン産業を支援しているボルドーの専門家に来年1週間、つくばに来てもらって、気候や土壌について助言をもらうという。 モロッコでは全アフリカ市町村長会議に出席した。「世界がアフリカに注目しているゆえんを、交流を通して肌感覚で学ぶことができた」などと話した。 ヨーロッパ視察は9日間で、オランダ、フランスのボルドーのほか、つくば市の姉妹都市、フランスのグルノーブル市を訪れ、科学技術都市の研究機関、大学、企業などの要人が一堂に会する国際会議「ハイレベルフォーラム」に参加した。毛塚副市長や門脇厚司教育長も一部の行程に同行した。旅費・宿泊費は随行職員分も含め計約640万円。 全アフリカ市町村長会議は招待のため、旅費や宿泊費はかからなかったという。(ラヂオつくば特約記者)

農業テーマパーク、芸術活動拠点など提案 筑波地区の廃校利活用 つくば市

【鈴木宏子】廃校になったつくば市筑波地区の小中学校跡地10校の利活用について、地域住民と市担当課の意見交換会が14日から18日まで同地区9カ所で開かれている。具体的な利活用案について市側から、旧筑波東中学校(北条)跡地にファーマーズビレッジの誘致とジオパーク拠点施設設置、旧田水山小(水守)跡地に文化芸術活動拠点施設整備、旧小田小(小田)跡地を文化財収蔵施設として利用する案などの提案があった。 10校のうち9校は今年4月、7小学校と2中学校が統廃合され、市立秀峰筑波義務教育学校(同市北条)が開校したのに伴って廃校となった。すでに2013年3月に廃校となった1校を含め計10校の利活用について今年度から市の検討が始まっている。今回は市役所内の各課と市民、民間事業者から要望や意見を集め、実現可能性などを検討した結果について、地域住民に示された。 旧東中のファーマーズビレッジは、民間事業者を誘致して、イノシシなど野生動物の食肉や地場産物を食材にしたレストラン、スイーツやワインを提供するカフェ、農産物加工施設、体験型施設などつくり、農業のテーマパークにしようという構想。併せて教室棟の一部を利用し、筑波山地域ジオパークに関する情報を提供して各ジオサイト巡りの拠点となるジオパーク拠点施設を設置する案が示された。 旧田水山小の文化芸術活動拠点施設は、教室や体育館、グラウンドなど廃校全体を活用して、アトリエ、スタジオなどをつくり、作家と市民が芸術活動に親しむ拠点にしようという構想。芸術家が滞在しながら創作活動をしたり、プロを目指す芸術家の卵を応援したり、市の収蔵作品を展示したり、芸術文化に関する講座を開くなどを計画しているという。 旧小田小の文化財収蔵施設は、現在、市内各所に分散して収蔵されている、市内で出土した土器片などの埋蔵文化財や、寄贈された民具などの民俗文化財を集約して収蔵しようという構想。 14、15日に5カ所で実施された意見交換会では、住民から「地域には公民館が無い。公民館や交流センター的な利用と避難所とするのが一番いい」「自然や歴史、農業体験ができる場にしてほしい」「高齢者が健康づくりを施設にしてほしい」などさまざまな意見が出た。市の提案と地域のニーズとに隔たりがある地区もあった。 市の方針として、廃校を地域の集会所にすることについては「区会等に補助金を出して整備することになっているため新たな集会施設は必要ない」「学校の財産区分を今後、教育財産から普通財産に変更すると、使用料が有料になる場合がある」などの説明があり、住民からは不満の声が出た。廃校になってから現在も、各校とも警備や保安、草刈りなどに年間各300万円程度の維持管理費が掛かっているという。 一方、校舎や体育館などが耐震基準を満たしていないため使用を続けられない廃校があったり、市から目立った利活用提案がない廃校もあった。 民間事業者からは、広域通信制高校、消防車など特殊車両組立工場、ペット終末期ケアセンター、日本語学校兼寄宿舎、イチゴ工場、インターナショナルスクール、ベンチャー企業立地支援施設などを整備する提案があったことなども紹介された。 市は引き続き地域住民と協議を重ね、半年とか、地区によっては数年掛けて方向性を決めたいとしている。利用者の優先順位としては、まず市の方針を優先し、さらに地域の要望を取り入れ、市も地域も利用提案がない場合は民間の利活用を検討するという。 ◆筑波地区学校跡地の利活用提案に関する意見交換会の日程は以下の通り。 14日(水)▽午前10時~筑波小学校(会場は同小校舎)▽同午後2時~菅間小(同校舎)▽同6時30分~小田小(同校舎) 15日(木)▽午前10時~田水山小(同校舎)▽午後2時~山口小(同校舎) 16日(金)▽午前10時~田井小(同校舎)▽午後2時~作岡小(同校舎)▽午後6時30分~北条小(同校舎) 18日(日)▽午前10時~全校対象(筑波交流センター2階多目的室) 筑波地区廃校跡地10校の主な利活用提案 市の提案 地域の提案 筑波東中 民間事業者によるファーマーズビレッジの誘致/教室棟の一部にジオパーク拠点施設/体育館・武道場は市民に貸し出し/グラウンドは秀峰筑波義務教育学校のイベント時駐車場として利用など 北条小 プール用地に北条保育所の職員駐車場整備/敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 北条まちづくり振興会が生活芸術体感施設として活用(文化・芸術に関するギャラリー、ネット販売を主とした店舗、創作活動のアトリエ、カルチャースクール、イベントの利用)など 小田小 教室棟の一部を文化財収蔵施設として利用 まちづくり勉強会を通して今後、利活用策を検討 山口小 高齢者の体操教室開催など区会が地域交流の場として利用中/一般財団法人が2教室を会議室として利用要望 田井小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 地域住民が運営する放課後児童の居場所「里山わんぱく館」の整備(体育館、グラウンドと隣接する民有地の里山の一角を借りて冒険遊び場「プレイパーク」を整備するほか、子連れの親子や高齢者の居場所を併設し相互交流する地域拠点として整備 筑波小 筑波西中 体育館・柔剣道場を一般市民に貸し出しなど 田水山小 文化芸術活動拠点施設など 菅間小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 作岡小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など ※ほかに場所は未定だが、市が1校に教室を利用した認知症カフェを月1回程度設置など

【ひと】心地良い空間で地域を元気に パブオーナー 松島壮志さん

【鈴木康平】つくば市天久保のリッチモンド2番街にあるパブ「フィンラガン」は、連日深夜まで多くの客でにぎわう。 オーナー、松島壮志さん(46)は筑波大学体育学群入学後、アルバイトでバーテンダーの世界に足を踏み入れた。同大学近くのバーの副店長を任され、カウンターの内側で多くの時間を過ごす学生生活だった。「一流の世界を見たい」と都内の店にも頻繁に足を運び、技術を学んだ。「興味の先へ突き進んでいく性格」と自身を分析する。 大学を卒業後、アルバイト先の店舗にプロのバーテンダーとして職を得た。当時ウイスキーの虜(とりこ)になっていた松島さんは「ビンテージや価格帯、豊富なバリエーションなど奥深い世界を好きになった」と話す。バー仲間から言われた「一度、本場を見なくてはだめだよ」に背中を押され、26歳の時ウイスキーの本場スコットランドへ単身旅立った。 同国各地に点在する蒸留所を巡った旅。しかし、当初は松島さんが思っていたのとは違うものだったという。「日本で飲んでいないものは無いくらい飲んでいたから、初めはたいしたことないと感じていた」。しかし旅が進むにつれて、「パブ」という街の酒場に心引かれてゆく。 「バーの世界は酒に対して真摯に向き合う、緊張感のある世界」と旅立つ前の環境を回想する松島さん。一方、パブはパブリックスペースの略語で誰の管理下でもない、自由でリラックスした雰囲気を大切にする。「時には何も飲み食いせず、話すだけで帰る人もいた」ことに衝撃を受けた。この出合いが、後の「フィンラガン」の原点につながる。 帰国後、29歳の時に独立してオープンした同店。スコットランドで出合ったパブを再現するため、松島さんの思いが形になった店内は、立ち飲みを想定した背丈の高いカウンターやテーブルが並ぶ。15種類のクラフトビールに自然派ワインやモルトウイスキーなどお酒と料理の会計は、「好きな時に出入りして欲しい」と、受け取る際に料金を前払いするキャッシュオン制を採用している。 クラフトビールの仕入れは「実際に飲んで、作り手に会って話す」過程を大切にする。原料のホップが収穫される時期には農園に出向いて手伝い、作り手との関係を深めた。客に提供する時も、「思いが詰まったビールを最高の形で出したい」と機材から注ぎ方まで細部に渡ってこだわってきた。 同店は今年で17年目。松島さんが掲げるのは「元気」というキーワードだ。「今までは良いお酒や料理など『モノ』を売ってきたが、今後は元気を出す『場作り』もしていきたい」。4月からは毎週水曜日に、市内に住む外国人との交流を目的としたイベント「TGIフィンラガン」を開催。今後も自身の趣味であるランニングとビールを活かした「Run for BEER(ラン・フォー・ビア)」など、新たな場作りに力を入れる。 日の暮れた頃、大学や仕事帰りに杯を片手に明日への元気を充電するお客さんを迎えるため、松島さんは今日もカウンターに立つ。 ◆ブラッセリー&バー「フィンラガン」はつくば市天久保2-9-2、リッチモンド2番街B-203。営業時間は月~土曜の午後6時30分~午前3時。日曜は午後3時~午後11時。電話029-852-0244。 ブログhttps://blogs.yahoo.co.jp/finlaggan0220 twitter https://twitter.com/barfinlaggan?lang=ja

地域を元気にする「学芸員」育成 筑波学院大

【鈴木宏子】ふるさとの宝物を探し、人が集まるミュージアムをつくって、地域を元気にする人材を育てる「地域デザイン学芸員」養成講座が7月24日から筑波学院大学(つくば市吾妻)で始まる。 社会人や学生を対象にした文科省の職業力実践育成プログラムの一つで、地域の文化や資源を掘り起こし、磨き上げて商品やサービスを開発し、さらに美術館や図書館、街なかの空き店舗などで発表などする。 日本地域資源学会会長の塚原正彦教授のほか、商業施設のデザインを手掛ける建築家、ミュージアムプランナー、訪日外国人の誘客事業などを担当する観光事業者が講師を務める。 学芸員との違いを塚原教授は「文化を守るだけでなく、デザインや経営学を学んで、文化に価値や魅力を付け、来館者を楽しませたり、普及させる人材を育てる」と話す。 具体的な授業は、牛久市を舞台に実施する。受講者は市内を実際に歩き、話を聞くなどして、ホームページや冊子、絵本などにして発信する方法を学ぶ。さらにミュージアムカフェやブックカフェをつくる方法を学び、ワインや落花生などの特産品を味わうことができるカフェ「おいしいミュージアム」を牛久の街なかにつくることにも挑戦する。空き店舗となっている牛久駅前商業施設の再生なども考えるという。 授業は7月24日から来年2月までの半年間で計9科目19単位。各科目それぞれ3日間で集中して授業を実施し、忙しい社会人向けに一部だけでも学べるようにする。受講した単位は5つの段階に分けて、それぞれ学び終えたという証明書を発行する。 同大では、養成講座の開講に先立って昨年度、2、3年生が授業で地域資源を地域活性化に役立てる方法を学び、同大附属図書館に図書館カフェ「おいしいミュージアム」をオープンさせた実績がある。図書館を市民に開放して今年2、3月の約2週間、県産の焼き芋、イチゴ、レンコンなどの食材を使ったスイーツと、コーヒー、ワインなどの飲み物を、地元笠間焼の器で提供した。 今年度は養成講座が本格的にスタートする。現在、地域おこしに取り組む市民や、観光雑誌で働くトラベルジャーナリストなどからすでに受講の申し込みがあるという。塚原教授は「暮らしの足元にある、かけがえのない宝物が見つかるはず」と話している。 ◆募集期間は30日まで。定員50人。学費は1科目3万円、全科目30万円。60歳以上はシニア割引がある。詳しくは同大ホームページ(https://www.tsukuba-g.ac.jp/whats_new/chiikidezaingakugeiin_bosyu/)。問い合わせは℡029・858・4811(同大)

図書館カフェ「おいしいミュージアム」オープン 筑波学院大

【鈴木宏子】筑波学院大学(つくば市吾妻)の学生が21日、同大附属図書館1階に図書館カフェ「おいしいミュージアム」をオープンした。県産の焼き芋、イチゴ、レンコンなどの食材を使ったスイーツと、コーヒー、ワインなどの飲み物を、地元笠間焼の器で提供する。 塚原正彦教授の起業入門講座「人が集まる”おいしいプロジェクト”をデザインしよう!」で学んだ2、3年生17人が、県の地方創生推進交付金を活用して「みんなのミュージアムカンパニー」を起業し、運営する。学生らは昨年11月から、食に関わる新しいビジネスを展開する地元起業家を授業に招き、計15回にわたって起業の志や仕事への思い、商品の提供の仕方や見せ方などを学んできた。 同大では今年4月から、地域資源を地域活性化に役立てる文科省の職業実践力育成プログラム「地域デザイン学芸員」の育成に取り組むことから、新しい学芸員に向けた訓練でもあるという。 図書館に設けられたカフェは、中央に大きなテーブルが配置され、学生たちが選んだ食や旅などの本が並べられている。ヨーロッパでカフェが生まれた17、18世紀は、カフェの中央に大きなテーブルがあり、文化や思想について議論が交わされ、情報交換の場となったことから配置したという。 スイーツのメニュー作りや、食材を紹介する絵本作りを担当した情報経営学部ビジネスデザインコース3年の村木奈緒子さん(21)は「県内の食材や器を通して、茨城の大地の力を知ってもらい、食べて楽しんで、本を読んで知識を付けてくれれば」と話している。 スイーツ食材の焼き芋を提供した「ポテトかいつか」(かすみがうら市)の貝塚みゆき社長は「地域の多様な企業とコラボして地域の食を発信しており、大変おもしろい試み」と感想を話し、指導した塚原教授は「ここにしかないワクワクする空間のミュージアムができたのではないか」と語っていた。 ◆図書館カフェは3月10日までの2週間のみ開店する。開店時間は午前11時30分~午後4時。日曜休館。メニューは▽天使の魔法(焼き芋「紅天使」とコーヒー)500円▽ムセイオンの夢(イチゴ、サツマイモ、レンコンを組み合わせたスイーツ)880円▽大地のチカラ(専門家が選んだイタリア産ワイン)1杯500円など。

《吾妻カガミ》23 洋風居酒屋で若い先生と議論

【コラム・坂本栄】きょう29日で今年度の大学の授業が終わる。もっとも期末試験日だから90分×2時限=3時間の講義はない。問題は採点。基本「述べよ」の出題をしているので150人分に目を通すとなると時間がかかる。経済部デスクになったとき下手くそな原稿に辟易したが(自分も新人時代はそう思われていたのだろうが)、似たような時間が待っている。 担当している授業は、1年生向けの必須課目と全学年を対象とした選択科目。必須科目の授業形式がなかなか面白い。半期15回を3人の先生がそれぞれ5回担当するという「オムニバス」方式。3人の担当分野は、政治、経営、法律。私は政治を受け持っている。 ユニークなのは私も含めて先生は「兼任講師」。つまり本業は別に持っており大学は兼務というわけだ。私は経済ジャーナリスト兼NPO理事長(兼ばかりだが…)。経営担当はパリパリの税理士。法律担当は公務員塾の主宰者。2人ともアラウンド40と私よりも30も若い。同じオムニバスの別グループにはアラウンド50の元市長もいる。 この3人とは期末試験終了後、JR大みか駅近くの洋風居酒屋で反省会を開く。ワインと海の幸を楽しみながら(近くに魚市場もあるそうだ)、今起きている諸々の問題について議論する。これは実に楽しい。 リアルポリティクス 担当する政治分野を授業計画から抜粋すると、1回:国政の基本構造 戦後72年で生じた問題、2回:政治と経済の関係 経済政策の効果、3回:国内政治と国際政治 安全保障、4回:国政と地方 国と都道府県の関係、5回:国と地方 国と市町村の関係。 各回ともメディアで取り上げられている問題から入り、各回のテーマに拡げるようにしている。憲法改正(1回)、アベノミックス(2回)、集団安保(3回)、地方創生(4回)、市町村消滅(5回)といった具合だ。分かりやすくと大学から話があったとき、この形式を提案した。 今春からも基本的には同じ構成にするつもりだ。しかし新年度は憲法改正が最大の政治課題になるから、1~5回全部が同テーマになるかも知れない。大学生は有権者であり、多分現在進行形になる憲法問題に強い関心を持たせたい。 授業ではバランスを心がけているが、①現憲法は敗戦直後の米占領時代に成立した②朝鮮戦争に続く米ソ冷戦で非武装の前提が崩れた③この20年の間に中国のパワー、韓国と北朝鮮の立ち位置が激変した④米国も相対的に力が低下、これまでとは違った付き合い方が必要になる―と指摘している。これが政治のリアリズムだと。(大学兼任講師)

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