木曜日, 5月 15, 2025
ホームつくばホテル日航つくば社長の石田奈緒子さん【キーパーソン】

ホテル日航つくば社長の石田奈緒子さん【キーパーソン】

今回は、茨城県の部長やTX(つくばエクスプレス)の常務などを歴任し、10カ月前に「ホテル日航つくば」の社長になった石田奈緒子さんに登場してもらった。学園都市を代表するホテルの経営者として、いろいろな営業企画を考え、宿泊客を呼び込もうとする話は面白い。

昔は「第一…」「オークラ…

TXつくば駅から徒歩2分のところにあるホテル(商号は株式会社筑波学園ホテル)は、つくば科学万博(1985年)直前の1983年、「筑波第一ホテル」としてオープン。2001年に「オークラフロンティアホテルつくば」に改称され、2020年から現在の「ホテル日航つくば」という名前になった(国際会議場近くの「ホテルJALシティつくば」も併営)。日本のホテル業界を代表する「ホテルオークラ」の100%子会社。

科学万博のころから市内に住む人は今でも「第一ホテル」と呼び、20年前から隣接市に住むようになった私は今でも「オークラホテル」と言っている。「ホテル日航」という名称がなかなか出てこない。

全国どこの伝統ホテルも同じだが、宿泊+宴会+結婚式を基本とするホテル経営は苦労が多い。会社などの節約志向で宴会が減り、若い人の結婚式も簡素になっているからだ。こういった流れを乗り切るには、著名ホテルのブランドを生かして宿泊客を増やすことが求められる。

ホテル日航つくばのセンター広場側入口

体験を組み込んだ宿泊プラン

「ホテルを楽しく使ってもらおうと、『つくたびプロジェクト』と称して旅とセットにしたプランを提供している。筑波山麓のワイン醸造所を見学した後にホテルで食事・宿泊してもらうプラン、市内の農園でサツマイモを掘ってホテル内でスイーツ作りを体験してもらうプラン、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の元職員を講師にペットボトルでロケットを作り飛行実験をする宿泊プラン、などなど」

「つくたびプロジェクト」はコロナ禍にホテルが始めたものだが、TX在職中もコロナ禍で利用客が激減する中、その対応にあたった。「TX駅周辺の魅力を発信し、TXを利用する観光客を増やした」。ワープステーション江戸でのコスプレイベント(つくばみらい市)、アサヒビールとのコラボ企画(守谷市)、慶應義塾幼稚舎の先生の監修を受けた子供向け研究機関紹介パンフ作成(つくば市)などだ。

TXへの茨城県の出資額は東京都に次いで2番目。経営企画担当として、経営戦略・財務・広報・沿線事業を担当していた。インタビューのついでに、TX駅ホーム拡張(混雑対策、6両停車→8両停車)の進行状況を聞くと、完了したのはまだ6駅にとどまり、全20駅の拡張が終わるのは2030年代になるという。

北茨城市で7年間も副市長

下の経歴欄からは省いたが、石田さんは2009~16年の7年間、北茨城市に副市長として勤務している。県職員が市町村に「副」で出る期間は2~3年が普通なのに、なぜ7年にもなったのか聞くと、「東日本大震災で市も被災。それでも4年ぐらいで帰ろうと思っていたら、市立病院の移転などの仕事が入って7年になっていた」

県とのパイプ役、市復興の仕事人として、北茨城市に必要な人材になってしまったらしい。県職員には珍しい発想力と企画力が豊田稔市長に買われたようだ。

「地球にやさしい」ホテル

県幹部のキャリアはホテル経営にも生かされている。今春には、ホテルのSDGs活動が「地球にやさしい企業」として県から表彰された。①食品ロス削減運動②廃食用油回収③使用済み歯ブラシ再資源化④屋上でのミツバチ飼育⑤ペットボトルによる巨大アートづくり―などの取り組みが評価されたそうだ。

この取り組みを県表彰で終わらせず、ホテル内での集客イベントにも活用している。6月8日(日)には、「地域・お客様と連携したSDGs体験会『ホテル日航つくばサステナブルフェス2025』」を開く。環境専門家の講演のほか、持続可能メニューの試食会、子ども向けペーパークラフト講座、天然染料を使った染色体験などをパートナー企業と共に準備していると言う。

【いしだ・なおこ】1984年、茨城大学人文学部卒。NHK水戸放送局FM番組アシスタントを経て、86年、茨城県入庁。総務部地域支援局市町村課副参事、保健福祉部次長、国体・障害者スポーツ大会局長、営業戦略部長などを経て、2021年に定年退職。21~24年、首都圏新都市鉄道株式会社(TXの運営会社)常務取締役。24年6月からホテル日航つくば代表取締役社長。64歳。笠間市出身、同市在住。

【インタビュー後記】筑波学園ホテル社長は県部長クラスのポスト(石田さんは6人目)。TX常務も同クラスのポスト(石田さんは6人目)。ホテルの歴代社長とは随分付き合ってきたが、TX役員経由の方は初めて。知事は、今年開通20年のTXと学園都市の老舗ホテルのつながりを重視した?(坂本栄、経済ジャーナリスト)

◆「ホテル日航つくばサステナブルフェス2025」は6月8日(日)午前11時~午後3時、つくば市吾妻1-1364-1 同ホテル本館3階ジュピターで開催。2021年から同ホテルが進めているSDGsの取り組みを紹介し、日ごろから連携している企業や団体の展示ブースや体験コーナーを設ける。3回目の開催で、環境カウンセラーの中上冨之さんによる特別講演のほか、フードロス削減プロジェクトによるサスティナブルメニューのグランプリを投票で決定する試食イベント、規格外のコーヒー豆で行うブレンド体験、子供向けペーパークラフトワークショップ、天然染料を使った染色体験などを実施する。会場では、航空機の燃料となる家庭の廃食用油を回収する。詳しくはこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

5 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

5 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

つくばの県立高4校が魅力を紹介 18日、市民団体が「高校進学を考える集い」

学校選択テーマ 人口増加が続くつくば市で県立高校が不足している問題を県などに訴えてきた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が18日、同市役所コミュニティ棟で「第6回つくばの高校進学を考える市民の集い」を開催する。今回は学校選択をテーマに、市内の県立高校4校の校長が各校の魅力をそれぞれ紹介するほか、片岡代表が今春の入試問題をもとに県立中学や県立高校入試にどう構えたらいいかなどを話す。 これまでの市民の集いとは趣向を変える。これまで年1回開催してきた集いは、県立高校の募集定員不足問題を考える場とし、参加者から出された意見などをもとに県教育庁に要望活動をしてきた。県議や市などと連携し牛久栄進高の学級増やつくばサイエンス高の普通科新設などを少しずつ実現してきた。一方生徒や保護者からは、募集定員不足の問題にとどまらず、「実際の高校の話を聞きたい」「中学受験をどう考えればいいのか」「通学の費用が大変」など幅広い声が出ているなどから、今回は学校選択を考える。 集いは2部構成で、第1部は高校進学説明会を開催する。筑波高、つくばサイエンス高、竹園高、茎崎高の市内4校の校長が一堂に会し、各校の魅力をぞれぞれ説明するほか、牛久栄進高が資料を配布する。 第2部は、伝統校が中高一貫校になり中学受験の波が押し寄せていることから、入試への構えのほか、伝統校の中高一貫校化によって学校選択に波紋の広がり、特に土浦一高の定数削減で受験生に何が起きているのかなどについて、元高校教員でもある片岡代表が話す。 片岡代表は「県立高校が不足しているところに土浦一高の定員削減という状況が起こり、(同校の)定員削減1年目に土浦二高と竹園高に、2年目に牛久栄進高に受験生の波が向かった。3年目の来年の入試でどこに向かうのが心配」だとし「つくばサイエンス高と筑波高校の魅力アップは地域の発展にとっても重要」とする。さらに「県は2019年の県立高校改革プランでつくばエリアの10校を26年までに2学級増やすと発表したが、実際は県立中が増えただけ。県平均の県立高校収容率で試算するとつくばエリアには30年までに12学級増が必要になり、いろいろな人の意見を出してもらって県と対話したい」と話し参加を呼び掛ける。 ◆つくば市の小中学生の高校進学を考える会は18日(日)午前10~12時、つくば市研究学園1-1-1、つくば市役所コミュニティ棟1階会議室1・2で開催。資料代300円。詳しくは電話029-852-4118(新日本婦人の会つくば支部内)へ。

20年前と20年後の舞踏会《映画探偵団》88

【コラム・冠木新市】中学1年生の時、シナリオに関する本で「舞踏会の手帖」なるフランス映画の名作があることを知った。夫を亡くした貴婦人が、昔踊った男性たちの名前の書かれた手帖を見つけ、男たちを訪ねる旅に出るお話である。監督は名匠ジュリアン・デュヴィヴィエ。だが私が作品を見たのは、50年以上の歳月が過ぎてからである。確かテレビ放映で見たと思うのだが、記憶は定かでない。でも内容ははっきり覚えていて想像を超える名画であった。 製作は1937年。日本での公開は1938(昭和13)年。昭和恐慌で農村は疲弊し、満洲への移民政策が本格化し、淡谷のり子の「別れのブルース」「雨のブルース」に兵士たちが熱狂していた時代だ。この年、「舞踏会の手帖」はキネマ旬報の外国映画の第1位に輝く(チャップリンの「モダン・タイムス」が第4位)。しかし、後に軍部から退廃的とされ、上映禁止となる。 作品は、クリスティ一ヌ(マリ一・ベル)が、16歳の時に踊った8人の男性を20年ぶりに訪ねるという、オムニバス構成の物語である。 1人目のジョルジュは、失恋で自殺し写真のみの登場。2人目のピエールは、元弁護士で今は犯罪に手を染めるキャバレーの支配人。3人目のアランは、元作曲家で今では子どもたちに合唱を教える神父。4人目のエリックは、元詩人で今では山岳ガイド。5人目のフランソワは、国の政治家を目指す野心家だったが、今は田舎の町長で不良の養子に悩まされている。6人目のティエリ一は、堕胎で稼ぐ闇医師。7人目のファビアンは、昔と変わらぬ美容師。そして、8人目のジェラールはつい最近亡くなり、クリスティ一ヌは父親そっくりな息子と出会い養子にする。 なぜか、最後の8人目のエピソードがあっさりと終わる。私の見た版は2時間11分。オリジナル版は2時間24分。13分短いので、そこがもっと描かれていたのではなかろうか。だがそれでも、衝撃的な仕上がりであった。 二つの時代が同時に押し寄せる 普通のオムニバスだと7つのエピソードのどこかに乱れがあるものだが、それがなく密度が濃く7本の映画を見ている感じである。クリスティ一ヌと男たちの20年前の出来事の記憶と20年後の現実の物語。この二つの時代の話が同時に押し寄せて来て、観客は人の変貌という時の残酷さを体験することとなる。これは若い世代には重すぎる内容かもしれない。だから、50年過ぎて見たのが正解だったと思う。 ある婦人たちの話では、昔の男性に訪ねて来られるのは女性にとっては迷惑だと一致しているようだ。とすると、映画のクリスティ一ヌは男性の思いを表現しており、8人の男性とは、実は女性たちなのかもしれない。女性の物語に見せかけた男性の物語ではないのか。 クリスティ一ヌは、昔踊った舞踏会場を訪ねた時、狭苦しく野暮(やぼ)ったく見え、20年前に感じた華やかで光輝く舞踏会とは、16歳の時に見た幻想の現実であると気づく場面は切ない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

「当たり前」を問い直す 哲学カフェ 土浦一高生が市民と開催

一つのテーマをめぐり参加者らが意見を出し合い、考えを深める「哲学カフェ」を、土浦一高哲学部の生徒が市内の交流スペースで、一般市民を交えて開いている。イベントの企画、運営、進行は生徒自身が行う。子どもから高齢者まで参加できる開かれた場所で世の中の「当たり前」を問い直そうと、活発な対話が繰り広げられている。 自由って何? 「そもそも『自由』ってどんなこと?」「好きなことをするのが『自由』なの?」「選択肢が多いことが『自由』じゃないかな?」「でも本当に自分が『自由』な選択をしているのかわからないことがある」― 4月27日、土浦市中央のイベントスペース「がばんクリエイティブルーム」2階の和室では、高校生や社会人15人ほどが車座になり意見を出し合った。開かれたのは、土浦一高哲学部の生徒が市民と開く2回目の「市民哲学カフェ」だ。午前10時から始まり午後3時半まで、2部制で行われた。 午前中のテーマは「『自由』とはなにか?」。午前・午後を通じたテーマである「我々は『自由』に生きることを求めているのか?」を話し合う前に、まずは参加者各自が思う「自由」について確認し合った。持ち寄られたお菓子や飲み物を口にしながら、自己紹介をしつつ和やかに進んでいく。高校生の孫を持つという市内在住の女性は、「チラシを見て興味を持った。孫がどんなことを考えながら暮らしているのか想像できればと思った」と、参加の動機を話した。 4月に大学生になったばかりだという男性が「大学に入って自由な時間が多くできたが、何をすればいいか悩んだ。大学では自発的に決めなければいけないことが多い」と思いを吐露すると、社会人の男性は「浪人時代に一番自由を感じた」と、自身の経験を語った。年齢も属性もさまざまな初対面の参加者同士が胸の内にある思いを語っていく。 40代の記者も午前中の第1部に参加した。昔の自分を思い出しながら、「大学を中退すると周りの目が気になった。その後、初めて旅した海外で感じた『自由』が今も忘れられない」と述べた。中年の自分が若者を前に自分語りをする気恥ずかしさを感じたが、揶揄(やゆ)する人はいなかった。 参加者にはいくつかのルールが課せられる。「専門用語を使わず、わかりやすく話す」「わからないことがあればその場で質問する」「人の話を最後まで聞く」「自分の意見や信条を押し付けない」「秘密は守る」などだ。人の話に耳を傾けるだけでもいい。誰もが対話の輪の中にいられるよう、工夫が凝らされる。 フランスで始まった哲学カフェ 哲学カフェは、フランスの哲学者マルク・ソーテが1992年にパリで開いたのが始まりとされる。96年にソーテの著書「ソクラテスのカフェ」の邦訳が日本で出版されると、国内の大学や高校、市民グループなどに活動が広がり、全国各地で哲学カフェが開かれるようになった。 土浦一高の哲学部ではこれまで、部員同士やOB・OGが参加する「哲学カフェ」を学内で開いてきた。学外で行う市民参加型の催しを企画したのは昨年12月が初めて。現在、部員でつくる市民哲学カフェチームのリーダーを務める3年の神谷和奏さん(17)が、会場の関係者と出会ったのがきっかけになった。 同哲学部顧問の飯島一也教諭(57)は「土浦一高の哲学カフェで大切にしたいのが、生徒自身がイベントを運営し、議論を進めるファシリテーターを務めること」だと話す。「教員を介した高校生と市民の交流会ではなく、生徒が直接市民と向き合い、高校生も一人の市民として、多様な参加者のいる対話の場に参加させたかった」と思いを語る。 議論中も、生徒自身が工夫を凝らす。第1部でファシリテーターを務めたのは部長の大野耀大さん(17)。参加者間で議論が白熱し始めると、質問を挟むなどして話し合いのペースを調整する。抽象的な言葉が行き交い始めた際は、チームのサブリーダーで2年の小関凌輔さん(16)が、図やイラストをホワイトボードに描いて議論を整理する場面もあった。議論からこぼれ落ちる人が出ないよう、生徒自身が対話を成り立たせていた。 チームリーダーの神谷さんは「異なる考えを受け入れ合えるのが『哲学カフェ』。私自身、他の人と違う考え方をしても受け止めてもらえることがうれしい。自分が帰属できる居場所だと感じている」とし、一般市民も参加することについては「子どもの私たちに対して、初対面の大人たちが自分の人生観や経験をもとに対等に話をしてくれる。新しい世界の広がりを感じられる」と思いを話す。 市民哲学カフェ運営スタッフで2年の三浦由宇さん(16)は「哲学カフェでは何でも議題にしていい」のが魅力だという。「『当たり前』だと感じていたことを真剣にみんなで議論できる。『これって疑問に思っていいんだ』と感じられる」。2年の小関さんは「参加する人の職業、年代、経験もさまざま。自分だけでは気づけない考え方に出合える」とし、この日のカフェでは「『浪人生時代が一番自由』という話題が衝撃的だった。勉強しなければいけない浪人生こそ一番縛られていると思っていた。参加して良かった」と感想を話した。 勝ち負けではない。 「哲学カフェで大切なことは『対話』。勝ち負けではない」と顧問の飯島教諭はいう。「対話を通じて同じ考え方を紡ぎ出していくプロセスを大切にすることが重要」だとし、「『対話』という形は人間関係のモデルになる」と考える。「社会的な分断が起きている現代社会の中で、多様性を認め合い、共通の言葉を使いながら思索を共にする経験は貴重。土浦一高の哲学部として社会的な意義を見つけることができたら」と話し、「哲学部としてどんな活動ができるのか。部員の中からアイデアがあれば今後も積極的に実現していきたい。他校で哲学をテーマにして活動する部活動があれば情報交換していきたいし、哲学カフェをする他校の生徒たちと交流することができれば」と、今後の活動への思いを語る。 次回の市民哲学カフェは、8月の開催を予定している。(柴田大輔)

JICA筑波内のレストラン「NERICA」《ご飯は世界を救う》67

【コラム・川浪せつ子】我が家の近くにJICA(国際協力機構)筑波センター(つくば市高野台)があります。今回はそこにあるレストラン「NERICA」(ネリカ)を紹介します。JICA は開発途上国の開発を支援する日本の国際協力機関です。こういった仕事をODA(政府開発援助)と言い、現在では150以上の国や地域を支援しているそうです。 レストランの名称「NERICA」は、アフリカの食糧事情を改善するために開発された稲の品種の総称です。変な名前ですが、この稲がアフリカの食糧事情を大幅に改善したそうです。日本でのお米づくりは主に水田ですが、「NERICA」は畑のような場所に植え付ける陸稲だそうです。 世界でお米を主食にしているのはほぼアジア。アフリカには収穫量が少ないお米しかなかったそうですが、日本人が開発・育成した「NERICA」によって米食が普及しました。 ご飯は人々の心も救う JICAは青年海外協力隊なども運営しており、開発途上国の経済支援に貢献しています。日本には、筑波センターを含めて17の関連施設があるそうです。4月には、筑波センターで施設紹介のイベントがありました。そのとき、一般人もレストランを利用できると知り、大ファンに。 メニューにはいろいろなエスニック料理があり、とてもおいしいです。「おいしい」は、世界中一緒ですね。今回、NERICA開発の話を読み、粘り強い新種の稲開発に感動しました。NERICAの開発普及を通して、アフリカの食糧事情が豊かになったことも知りました。 手前みそですが、「ご飯は世界を救う」っていうことですね! この新種開発、その普及活動を通して、8組の方々が人生のパートナーを得たそうです。まさに「ご飯は人々の心も救う」ですね。(イラストレーター)