月曜日, 9月 7, 2026
ホームつくばホテル日航つくば社長の石田奈緒子さん【キーパーソン】

ホテル日航つくば社長の石田奈緒子さん【キーパーソン】

今回は、茨城県の部長やTX(つくばエクスプレス)の常務などを歴任し、10カ月前に「ホテル日航つくば」の社長になった石田奈緒子さんに登場してもらった。学園都市を代表するホテルの経営者として、いろいろな営業企画を考え、宿泊客を呼び込もうとする話は面白い。

昔は「第一…」「オークラ…

TXつくば駅から徒歩2分のところにあるホテル(商号は株式会社筑波学園ホテル)は、つくば科学万博(1985年)直前の1983年、「筑波第一ホテル」としてオープン。2001年に「オークラフロンティアホテルつくば」に改称され、2020年から現在の「ホテル日航つくば」という名前になった(国際会議場近くの「ホテルJALシティつくば」も併営)。日本のホテル業界を代表する「ホテルオークラ」の100%子会社。

科学万博のころから市内に住む人は今でも「第一ホテル」と呼び、20年前から隣接市に住むようになった私は今でも「オークラホテル」と言っている。「ホテル日航」という名称がなかなか出てこない。

全国どこの伝統ホテルも同じだが、宿泊+宴会+結婚式を基本とするホテル経営は苦労が多い。会社などの節約志向で宴会が減り、若い人の結婚式も簡素になっているからだ。こういった流れを乗り切るには、著名ホテルのブランドを生かして宿泊客を増やすことが求められる。

ホテル日航つくばのセンター広場側入口

体験を組み込んだ宿泊プラン

「ホテルを楽しく使ってもらおうと、『つくたびプロジェクト』と称して旅とセットにしたプランを提供している。筑波山麓のワイン醸造所を見学した後にホテルで食事・宿泊してもらうプラン、市内の農園でサツマイモを掘ってホテル内でスイーツ作りを体験してもらうプラン、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の元職員を講師にペットボトルでロケットを作り飛行実験をする宿泊プラン、などなど」

「つくたびプロジェクト」はコロナ禍にホテルが始めたものだが、TX在職中もコロナ禍で利用客が激減する中、その対応にあたった。「TX駅周辺の魅力を発信し、TXを利用する観光客を増やした」。ワープステーション江戸でのコスプレイベント(つくばみらい市)、アサヒビールとのコラボ企画(守谷市)、慶應義塾幼稚舎の先生の監修を受けた子供向け研究機関紹介パンフ作成(つくば市)などだ。

TXへの茨城県の出資額は東京都に次いで2番目。経営企画担当として、経営戦略・財務・広報・沿線事業を担当していた。インタビューのついでに、TX駅ホーム拡張(混雑対策、6両停車→8両停車)の進行状況を聞くと、完了したのはまだ6駅にとどまり、全20駅の拡張が終わるのは2030年代になるという。

北茨城市で7年間も副市長

下の経歴欄からは省いたが、石田さんは2009~16年の7年間、北茨城市に副市長として勤務している。県職員が市町村に「副」で出る期間は2~3年が普通なのに、なぜ7年にもなったのか聞くと、「東日本大震災で市も被災。それでも4年ぐらいで帰ろうと思っていたら、市立病院の移転などの仕事が入って7年になっていた」

県とのパイプ役、市復興の仕事人として、北茨城市に必要な人材になってしまったらしい。県職員には珍しい発想力と企画力が豊田稔市長に買われたようだ。

「地球にやさしい」ホテル

県幹部のキャリアはホテル経営にも生かされている。今春には、ホテルのSDGs活動が「地球にやさしい企業」として県から表彰された。①食品ロス削減運動②廃食用油回収③使用済み歯ブラシ再資源化④屋上でのミツバチ飼育⑤ペットボトルによる巨大アートづくり―などの取り組みが評価されたそうだ。

この取り組みを県表彰で終わらせず、ホテル内での集客イベントにも活用している。6月8日(日)には、「地域・お客様と連携したSDGs体験会『ホテル日航つくばサステナブルフェス2025』」を開く。環境専門家の講演のほか、持続可能メニューの試食会、子ども向けペーパークラフト講座、天然染料を使った染色体験などをパートナー企業と共に準備していると言う。

【いしだ・なおこ】1984年、茨城大学人文学部卒。NHK水戸放送局FM番組アシスタントを経て、86年、茨城県入庁。総務部地域支援局市町村課副参事、保健福祉部次長、国体・障害者スポーツ大会局長、営業戦略部長などを経て、2021年に定年退職。21~24年、首都圏新都市鉄道株式会社(TXの運営会社)常務取締役。24年6月からホテル日航つくば代表取締役社長。64歳。笠間市出身、同市在住。

【インタビュー後記】筑波学園ホテル社長は県部長クラスのポスト(石田さんは6人目)。TX常務も同クラスのポスト(石田さんは6人目)。ホテルの歴代社長とは随分付き合ってきたが、TX役員経由の方は初めて。知事は、今年開通20年のTXと学園都市の老舗ホテルのつながりを重視した?(坂本栄、経済ジャーナリスト)

◆「ホテル日航つくばサステナブルフェス2025」は6月8日(日)午前11時~午後3時、つくば市吾妻1-1364-1 同ホテル本館3階ジュピターで開催。2021年から同ホテルが進めているSDGsの取り組みを紹介し、日ごろから連携している企業や団体の展示ブースや体験コーナーを設ける。3回目の開催で、環境カウンセラーの中上冨之さんによる特別講演のほか、フードロス削減プロジェクトによるサスティナブルメニューのグランプリを投票で決定する試食イベント、規格外のコーヒー豆で行うブレンド体験、子供向けペーパークラフトワークショップ、天然染料を使った染色体験などを実施する。会場では、航空機の燃料となる家庭の廃食用油を回収する。詳しくはこちら

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