【コラム・坂本栄】今回はつくば市政の注目案件、総合運動公園用地処理とセンター地区再生会社を取り上げます。それぞれ、4月初めにある動きがあり、何か変だな~と思ったからです。市政モニターを売りにするこのコラム、ネタが尽きることはありません。

「防災倉庫」案はまだ生きている?

市は4月1日、運動公園計画用地をどう使ったらよいかアイデアを出してくださいと、民間の業者さんに呼び掛けました。市は「サウンディング」と言っていますが、市には知恵がないので活用法を教えてくださいと、業者さんにお願いしたということでしょうか。入札の一つの形である「プロポーザル」(案件に対する企画提案)ではなく、あくまでもご意見拝聴です。

詳しいことは、本サイトの記事「民間へ、また市場調査開始」(4月1日掲載)をご覧ください。見出しに「また…」とあるように、市長2期目の五十嵐さんは1期中にも同じようなことをしていますから、この案件では2度目のサウンディングになります。

何か変だなと思ったのは、アイデア募集要領に「敷地全体の一体的活用法、または分割しての利活用法などをお示しください」と書かれていた点です。運動公園用地については、2月19日、敷地の3分の1ぐらいを防災倉庫とヘリポートに活用する市案が議会に提出されており(「市長の手法に異議相次ぐ」=2月20日掲載)、この構想は一体どうなったのでしょうか?

五十嵐さんに確認したところ、防災施設案はまだ生きているそうです。そうであればそうと募集要領に書いておかないと、業者さんは防災施設案をどう扱うべきか迷ってしまいます。それとも、「防災倉庫+ヘリポート」案はあまり評判がよくないので、無視しても構わないと暗に言っているのでしょうか。

センター地区再生会社社長のお仕事

もう一つの注目案件、センター地区再生会社も4月1日に動き出しました。市が筆頭株主になった再生会社の概要については、「まちづくり会社社長に内山博文氏」(3月4日掲載)と「まちづくり会社 1日設立」(4月1日掲載)をご覧ください。

こちらの「何か変」は、社長に選任された内山氏のことです。上のリンク記事にもあるように、同氏はTXつくば駅前ビル「クレオ」(主テナントは撤退した西武百貨店)の再生計画を市の委託で策定した方です。ところが五十嵐さんは、その計画では議会の賛意が得られないと読み、関連予算案の議会上程を見送りました。

つまり、内山氏は「ボツ」になった計画の策定者です。それなのに、クレオを含むセンター地区再生を使命とする新会社の責任者に起用されるとは、実に不思議なことです。

しかも、先の記事によれば、内山氏は「つくば市には最低限、週1回は来て、指揮を執る」という仕事のスタイルのようですから、社長というより顧問に近い役回りではないでしょうか。業務を切り盛りする事実上のトップは、市から派遣された小林遼平専務と考えた方がよさそうです。お疲れさまです。(経済ジャーナリスト)