2020年に休館となった「水の科学館」の大規模改修に取り組んでいる霞ケ浦ふれあいランド(行方市玉造甲、笹尾昌社長)が今月31日、「霞ケ浦 どうぶつとみんなのいえ」をリニューアルオープンする。
アニマルカフェや猫カフェなどの事業を全国展開しているMOFF(石岡市鹿の子、矢口宗平社長)が、行方市との官民連携事業(PFI)を進めるため、特別目的会社(SPC)の霞ケ浦ふれあいランド社を設立し、22年4月から屋内型動物園への改修工事が進められていた。
施設としての霞ケ浦ふれあいランドはシンボルタワーの「虹の塔」や「玉のミュージアム」を含む親水公園、道の駅「たまつくり」、観光物産館「こいこい」などからなり、全体敷地面積は約5万6700平方メートル、これらの管理運営を霞ケ浦ふれあいランド社が請け負っている。
中核施設だった旧水の科学館は建築面積2475平方メートルあり、一部解体の上、鉄筋コンクリート造建築面積約1800平方メートルのエントランス棟と歩廊を増設した。階段を上って入館する形になっていた従来の導入口を場所を移して改良、外周部にスロープ状に動線を配置した。入館料を払わずとも散歩がてら施設内部を見物できるようにもしている。
キリンのお披露目は秋以降に
同社によれば、動物園は観光交流と地域住民のための場としての機能に加え、水辺という立地環境を生かした体験や学びもでき、動物と触れ合うことができる。キリンをはじめ、アルパカ、カピバラ、ケープペンギンなどを展示する予定。無料で動物と触れ合える屋外エリアも開設する。
このうちキリンは動物愛護法で定められた特定動物で無許可飼育が禁じられているため、日本動物園水族館協会(JAZA)との協議手続きが必要になる。複数頭の搬入を予定しているが、特殊車両での陸路輸送を計画するため、現状では暑さ対策から、移送が難しくなった。31日のオープンには間に合わず、登場は秋以降の涼しい時期にずれ込みそうな見通しになった。

1992年開館した水の科学館は独立行政法人水資源機構、茨城県、旧玉造町(現行方市)の3者で共同実施された事業。最大で年間20万人を超える入館者があったが、2011年度に水機構と茨城県から事業撤退の意向が示され、20年に休館。同年3月に霞ケ浦ふれあいランド再生基本計画が策定され、同市は36年度までの維持管理・運営費や施設改修費など総額約18億9500万円の契約を締結。同社が再整備を進めていた。
動物園は22年4月に着工したものの、新型コロナの感染拡大や資材の不足・高騰などの影響を受け、オープン時期が2度にわたって延期された。
動物園の園長となる笹尾昌社長は石岡市の「ダチョウ王国」で長く国王(園長)を務めてきた動物飼育の専門家。スタッフは専門教育を受けた人材を採用し、開園に備えている。
笹尾園長は「動物や自然や地球の環境を守りたい。そのためにはどうしたら良いのだろうかーとの命題の、さらにその先を考えられる人が一人でも増えるように、という思いで今回の開業を迎えたい」と語っている。
◆霞ケ浦 どうぶつとみんなのいえ(行方市玉造甲1234、電話0299-55-3927)は入館料:大人1650円、子供1100円(小学生以下)=税込み、3歳以下無料。虹の塔入場料は別料金。ウェブサイトはこちら。