火曜日, 10月 6, 2026
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ゴミ処理の戦略 水戸とつくばの違い《水戸っぽの眼》6

【コラム・沼田誠】2年前に初めてシンガポールを訪れたとき、不思議に感じたことが3つあった。「エネルギー」「水」、そして最も不思議だったのが「ゴミ処理」だ。入店したファストフード店ではゴミ箱での分別がなく、すべてのゴミが一緒に捨てられているのを見て驚いた。

シンガポールは東京23区ほどの面積しかない。清掃工場のようなNIMBY(Not In My Back Yard=必要性は理解しても自分の近くには建てたくない)施設をつくる余地は限られているはず。調べてみると、最終処分場の残余容量が逼迫(ひっぱく)し、ゴミ減量化とリサイクル率向上が国家的課題になっていた。

新清掃工場:市民参加型

つくば市と水戸市のリサイクル率はどうだろう。環境省の調査によると、つくばは26.6%(2023年度)、水戸は26.3%(2022年度)。数字上はほぼ互角だ。しかし、この「似た数字」の裏側には、両市のまったく異なる戦略がある。

水戸のリサイクル率は、2018年度18.3%から20年度以降に25%超へと急伸した。その背景にあるのが、20年稼働した新清掃工場「えこみっと」だ。ゴミ焼却施設の処理能力は330トン/日。最新の設備だけあって、最大発電能力9550kW、発電効率20%超を誇る。年間約6万MWhを発電し、一部を売電して年間約8億円の収入を得ている。

特筆すべきは、焼却灰(主灰)の再資源化。従来は埋め立て処分していた燃え殻をセメント原料や建材に再利用し、最終処分量を大幅に削減した。排ガス処理も最新式で、白煙防止装置や無放流の排水循環システムを導入。環境負荷の低い「高効率・高環境性能」型プラントとなっている。

一方、つくばは、1997年に稼働したクリーンセンター(焼却施設)を基幹改良しながら使い続けている。処理能力は375トン/日。改修で省エネ化を図り、発電効率を約16%まで高めた。発電電力の一部は市内41施設へ自己託送され、年間約6900万円の電力コスト削減とCO2排出1900トン削減を実現している。

リサイクルの要は、2019年に稼働したリサイクルセンターだ。粗大・不燃ごみの破砕選別(26トン/5h)に加え、びん・缶・ペット・プラスチック容器包装など資源ごみの処理能力34トン/5hを持つ。家庭系プラごみの分別収集を2019年から開始し、啓発を重ねて2023年度にはリサイクル率26.6%に到達。家具の再生・展示コーナーも設け、市民参加による「リユースの文化」を根づかせている。

つくばで特徴的なのは、分別データを可視化して市民にフィードバックするしくみだ。「どんなごみが多いのか」「資源化できるものがどれほど混ざっているか」を分析し、広報紙やウェブで共有している(筆者は「もっと知りたいつくば市かわら版」で「雑がみ」という区分の存在を初めて知り、以降分別を行うようになった)。その結果、2016年以降、リサイクル率は着実に上昇している。

技術優先型:リサイクル重視

簡単に言ってしまえば、水戸の26%は技術で押し上げた数字、つくばの26%は市民の分別行動で積み上げた数字だ。どちらも循環型社会を目指すために必要なアプローチであり、互いの課題も補完関係にある。技術でリサイクル率を押し上げた水戸は市民に対するリサイクルの啓発と市民協働を今後より一層進める必要がある。

一方、つくばは市民協働を基盤にしつつも、技術の更新などを踏まえながら、今後生じる清掃工場の更新を見据えていく必要がある。つくば市戦略プラン第3期(2025~29年度)」ではリサイクル率目標を30.7%とし、「市民・事業者の行動変容が十分でない」と課題を挙げている。しかし、さらにリサイクル率の向上を図るためには、市民の努力だけに依存しない取り組みにも着手することが必要だろう。

シンガポールでは、最終処分場延命のためにリサイクル率70%を目標にしている。最終処分場を持たないつくばでは、さらなる発想転換が求められるだろう。資源循環の次の段階を目指すために、「スーパーサイエンスシティ」に関する議論の中に、技術なアプローチによってリサイクル率向上を目指す取り組みを含めてはどうだろうか。(元水戸市みとの魅力発信課長)

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