つくば市土地開発公社が外資系デベロッパー、グッドマンジャパンつくば特定目的会社に売却した同市大穂の約46ヘクタールの森林(旧総合運動公園用地、高エネ研南未利用地)で7日までに樹木の伐採が始まった。
同用地は、住民投票で総合運動公園計画が白紙撤回となった後、住民投票の勢いに乗り、一つの争点に的を絞ったシングルイシューといわれる選挙戦を展開して「(元の持ち主の)URと返還交渉する」ことを最大公約に掲げて初当選した五十嵐立青市長が、2期目当選直後に民間への売却を決めた。グッドマンジャパンが110億円で購入、倉庫やデータセンターの建設が計画されている。
7日午後3時過ぎ、隣接する高エネ研敷地に面する出入口には、重機が出入りするための鉄板が敷かれ、すでに広い面積の樹木が伐採されていた。さらに敷地周囲を囲っていた杭が抜かれ、境界付近の草が刈られていた。
今回の伐採面積や1期工事の内容、工事スケジュール、住民説明会開催の有無などについて事業者のグッドマンジャパンは「現在メディア等の取材対応は行っておりません」などとしている。伐採面積などは不明だが、高エネ研に近い東大通りに接する倉庫区画(7工区E区画、約6.1 ヘクタール)付近で伐採が始まったとみられる。
事業者は現在、つくば市に対し、都市計画法に基づく開発行為の許可申請を出しているとみられるが、8日時点で市はまだ開発許可を出してないとみられる。さらに、市開発許可の手引きでは「開発区域の周辺おおむね100m以内の住民と土地所有者に対し住民説明会を開催する」とあるが、事業者は近隣にちらしを配布し、対面での住民説明会は開かれていない。
伐採や住民説明会などについては8日開かれた同市12月議会一般質問で取り上げられ、飯岡宏之市議の質問に対し、市は「(樹木の地上部分の)伐採は(土地の区画形質の変更ではないため)開発行為に当たらない。(木の根っこを抜き取る)伐根は開発行為の許可を得て実施する」などと答弁した。
住民説明会の開催について市開発指導課は「開発行為にあたって必要な説明会は書面開催の方法で周知し、(住民説明会は)なされたと事業者から報告を受けている」としている。一方、一般質問した飯岡市議は、周辺住民からは住民説明会開催を要望する動きがあるとしている。
事業者が10月に近隣住民に配布した資料によると、全体計画は、東大通り沿いの東側に倉庫3区画、西側にデータセンター4区画を建設する。南側の約4.5ヘクタールには防災多目的利活用広場を建設する予定で、防災拠点の整備は市が掲げた売却目的の一つだが、市と事業者との具体的協議はまだ行われていない。(鈴木宏子)