土浦の専門職大学教授が企画
日本とモンゴルで障害者スポーツの普及を進めようと、モンゴルの政府関係者や研究者、パラリンピック選手らが22日から土浦に滞在し、2020東京オリンピック・パラリンピックでモンゴルのホストタウンだった行方市や桜川市などを訪れ、ホストタウンだった地域がレガシー(遺産)として国際交流をどのように推進しているかなどを調査した。
モンゴルの障害者スポーツの研究をしているアール医療専門職大学(土浦市湖北)の橋爪和夫教授(67)が企画し、科学研究費助成事業の助成を受けて今回の調査と、交流が実現した。
来日したのはモンゴル政府体育・スポーツ機関の委員チヨンドルジ・バザスレンさん、パラリンピック射撃選手のガンバ―タル・ザンドラ―さんら4人。モンゴル人留学生で筑波技術大学大学院2年生のエルデネサンブ・デルゲルバヤルさんが同行し通訳を務めた。
4人は22日から土浦市に滞在し、行方市の鈴木周也市長、桜川市の大塚秀喜市長などを表敬訪問。アール医療専門職大学、筑波大学、筑波技術大学の研究室も訪れて交流した。30日には土浦市内で2国間の国際会議を開いた。31日に帰国する。

30日の国際会議はモンゴルと日本の障害者スポーツの取り組み事例や、障害者を取り巻く現状、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーなどが議題になった。オンライン会議アプリを使ってモンゴルの国立大学の学生や研究者、政府関係者らにもライブ配信を行った。
国際会議で講演したのはモンゴルのパラリンピック選手ら4人と、筑波技術大学の香田泰子教授、日本モンゴル協会理事で茨城県ライフル射撃協会前理事の多田尚克さん、東京五輪組織委員会(昨年解散)元副事務総長の布村幸彦さん、行方市の鈴木市長ら。
鈴木行方市長は、同市が2020年の東京オリンピック・パラリンピックでモンゴルのホストタウンであったことや、同市の地域おこし協力隊と地域プロジェクトマネージャーにモンゴル人を登用していることを話し、「パラリンピックの選手も今後、招へいしたいと思っている。現状では施設や設備が足りないので、障害者だけでなく高齢者や災害避難者も使えるよう公共施設を整備していく」と語った。
今回来日したモンゴル国立医科大 生物医学学部講師のフルガル・ツレンワンダンさんは「日本とモンゴルがこれからの支援のアイデアを考えるために非常に意義深い会だった」と感想を話した。
企画した橋爪教授は、モンゴルは日本よりも障害者への支援が遅れているが、日本も充分ではないと話し、「東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンはコロナ禍で十分に交流ができなかった。施設の整備と人との交流がオリンピックのレガシーの両輪だと思う」とし、オリンピックのレガシーとして今後も交流を深め、両国が障害者支援をより充実させることに期待を寄せた。(田中めぐみ)