カフェやレストランなどを使って音楽家が発表する場をつくりたいと、つくば市内で飲食店を経営する飯泉智弥さん(49)が音頭をとり、同市竹園の商業施設、ヨークベニマルタウン内のエヌズ カフェ(N’s Café)で20日、家族連れや関係者を招いたミニコンサートが開かれた。
飯泉さんは2017年に、小学1年生から大学生までの「筑波ジュニアオーケストラ」の立ち上げに尽力した(2017年10月27日)。21年にはつくば駅前の商業施設トナリエつくばスクエア・クレオに地元の音楽愛好家たちのためストリートピアノ「つくぴあ」を設置した。
その後、ストリートピアノの利用者たちの間から、定期的な音楽会をやってみようという声が上がったという。
飯泉さんは、どんな形で開催できるか、まずは試しにやってみようと、自らがオーナーとなっているカフェをプレ・イベントの開催会場とした。
店内のどの場所で演奏するか探りながら、当日はカフェの中央にステージを作った。来店客は、テーブルに座って食事をしながら音楽を聞く形になった。
演奏したのは昨年結成されたばかりの地元音楽家による「トリオ・キュイキュイ(Trio CUICUI)」で、オーボエ奏者の川澄萌野さん、クラリネットの中根瞳さん、ファゴットの田部井梓穂さんの3人。川澄さんが進行役を務め、クラシックとしては短い曲のモーツァルト「5つのディヴェルティメント第4番より第5楽章」など5曲を演奏し、初心者にも分かる形で楽器などを紹介した。演奏後、投げ銭箱が各テーブルを回った。
飯泉さんは「つくばにはたくさんの音楽家がいる。彼らはつながりがなく発表の場がないと聞く。街づくりと音楽家を支援するという意味からも、今回のプロジェクトを推進していきたい。まだ始めたばかりで、いろんな音楽ジャンルにも挑戦していきたい」と話す。
演奏者に会場を提供していくという立場で進めていくとし「こちらから出演料を払う予定はないが、店舗を貸し切りにして、店舗の会計とは別にチケットを販売する等、自由にしたい。カンパという形式もあるが今は検討中。その他、方法は模索中だが、定期的に、例えば金曜日の夜という形で実施していき、音楽によってさらに交流が深まることを期待している」と語った。
今回演奏したトリオ・キュイキュイの3人は「メンバーを集めて結成したのは昨年だったが、さまざまな事情で集まれず、今月11日に初めて練習を開始し、20日が初めての本番となった。クラシックから演歌まで、幅広くなんでもやってみたい。コロナ禍で生演奏を聴く機会、演奏する機会が共に減っていて寂しかったが、これからいろいろやっていきたい。生の響きは違うので生演奏をもっと聴いてほしい。つくばの方々に気軽に聴きに出掛けられるような、身近な存在でありたい」と話した。(榎田智司)