障害のある人に水上スポーツへの関心を高めてもらいたい-と障害者カヌーの体験イベント「パラカヌー体験会」が、12日、霞ケ浦畔のラクスマリーナ(土浦市川口)で開かれた。体験会は「パラカヌーサポーター講習会」と合わせて2日間行うもので、日本障害者カヌー協会が昨年度から始めた。今年度は東京都や佐賀県、県内のかすみがうら市など全国5カ所での開催を予定しているという。
体験会には8人が参加し、15人のスタッフのサポートで思い思いにパラカヌーを楽しんだ。県障害者カヌー協会代表でパラカヌー選手の朝日省一さんがパドルの使い方などを教えた。参加者らはサポートスタッフの手伝いでカヌーに乗り込み、順番に出艇。初体験の参加者もすぐに慣れ、1時間ほどパドルの操縦を楽しんだ。
ラクスマリーナは障害者が使いやすい多目的トイレはじめ、スロープの通路などの設備が整うパラスポーツのバリアフリー拠点となっている。
都内から友人と一緒に参加した女性は「1人で乗って自分で漕いで、どこでも自由に行けるのが楽しかった。バランス感覚が身に付くと思う。2人乗りも違った楽しさがあり、朝日さんが後ろに乗ってくれて2人乗りした時は、いろいろとレクチャーしてくれて練習になった」という。
インストラクターを務めた朝日さんは「家に閉じこもって外に出ない障害者がまだまだ多い。表に出てパラカヌーというスポーツがあると知ってもらえたら。自分もパラカヌーの選手になるまでは霞ケ浦でカヌーができる場所があるということを知らなかった。ここでカヌーに乗れるということを知ってほしい」と話す。
サポートスタッフとして参加したつくば国際大学4年の加藤綾花さんは、理学療法士を目指している。「昨日講習を受けてサポートスタッフとして登録し、今日初めて参加している。講習でも練習したが、今日実際にサポートした方が難しく感じた。理学療法学科で学んでいるが、コロナ禍で実技の勉強がほとんどできなかった。この体験会で勉強し、学んだスキルを就職した時に活かしたいと思っている」

日本障害者カヌー協会は、水の上に出ようと「Let‘s out on the water!!」を掲げる。とにかく日常生活と違うことにチャレンジしようがテーマ。事務局長の上岡央子さんは「まずは水の上に出て水上の世界を知ってもらいたい」と話した。さらに、遊びながらSDGs(持続可能な開発目標)にも関心を持ってほしい、として環境への取り組みも忘れない。集まった参加者らはカヌー講習の前に、ビニール袋と清掃用トングを持って湖岸のゴミ拾いにも汗を流した。(田中めぐみ)