【山崎実】県議会の論戦で、魅力ある高校づくりが取り上げられ、現実的課題解決に取り組む努力に対する評価を求める声が上がっている。
県立筑波高校(つくば市北条)の支援策に、県は「学校支援プロジェクト」を立ち上げ、大学進学のための指導を強化するため、進学対応コースを編成した。今年度は総合選抜で国立大学への合格者が出ているという。
さらに現在の高校2年生からは進学対応コースをアカデミックコースの文系と理系に変更し、個人の学力に応じたきめ細かな対応に努めていくとしている。
また、地域の「人財」として社会性を育むため、学校が独自に「つくばね学」を設け、筑波山麓の製麺所などで1年間にわたる実習を行い「人間力」の向上にチャレンジしている。
2018年度には、筑波学院大学と協定を締結し、「地域デザイン」や「ビジネスマネジメント」など大学で学んだ内容を高校の単位に認定するなど、「高大連携」にも積極的に取り組んでいる。
今後は、「学校と一体となって地域との連携・協働体制の充実に向け、コミュニティ・スクールに導入などについて検討し、地域の声をこれまで以上に反映できる体制づくりに努めていく」(県教育庁)と答弁している。
市外流出400人 神栖
地域との連携で苦悩しているのが、鹿島臨海工業地域の高校。例えば、神栖市には県立高校が3校あるが、県外、市外流出生徒は400人程度にも達するという。
地域での意見交換会などで出てくるのは、大学進学への対応といい、拡大する私学助成は、生徒の流出に拍車をかけるのではないかと、強い危機感を示している。
県は中高一貫校、学科編成、医学コースの設置など、新規施策は積極的にPRするが、地域で苦悩する既存の高校が課題解決に取り組む努力に対する評価は乏しい。
その意味で、筑波高校の地元との協働による魅力ある学校づくりへの挑戦は、地域で様々な問題を抱える県立高校の羅針盤にもなり、今後、県にはよりきめ細かな指導体制の確立が求められることになる。