木曜日, 4月 25, 2024

【桜花爛漫】 2000本が春の山に彩り 雪入

【鈴木萬里子】雪入地区はかすみがうら市西部に位置し、雪入山、浅間山を中心とした山地に自然豊かな林が広がる。ここに2000本を超える山桜が点在し、春の山に彩りを添える。雪入山南側の成沢には山桜の自生林があり「茨城の自然百選」に選ばれている。 「山桜がこんなにあるのに注目されてこなかった。たくさんの人に知ってほしい。豊かな自然と山桜をPRしたい」と雪入山麓にあるふれあいの里公園ネイチャーセンター所長の川崎慎二さんは話す。 例年の満開はソメイヨシノより1週間ほど遅い4月10日頃だが、今年は早足に春がやってきているという。訪れるなら早めがお薦め。同センターや三ツ石森林公園もりの小屋で、公園内マップの入手やトイレ使用も可能だ。 山桜は日本に自生する野生種の1種。花は白色や淡紅色が多いが、白色に淡紅色が混じったものなども見られる。葉は最初は赤く、徐々に緑色になっていくが、最初から緑色の葉もある。 自然交配により生まれ、鳥や虫の糞から排出された種が地に落ち芽を出す。交配した条件、根付いた土壌、育った環境により開花時期、花の色や新芽の色など様々な違いが出るのだという。 平均寿命は100~400年。中には500年を超える山桜もあるそうで、寿命60年とされるソメイヨシノの比ではない。山中で芽吹き、たくましく育った山桜に「生命力の強さを感じる」という人の多いのもうなずける。ハイカーの60代女性は「凛(りん)と咲き誇る姿が孤高の人のようでひかれる」と話した。 4月7日に山桜ウォーク 4月7日(土)に開催される今年で6回目となる春の一大イベント。毎回500人もの参加者が桜を愛でながら山里を歩く。山全体の桜を下から眺める「里コース」(5㎞)と、尾根から満開の山桜を眺める「尾根コース」(10㎞)がある。コース途中の三ツ石森林公園で幹回り1mの山桜約200本が迎えてくれる。「眺望大桜」「天空桜」「美肌桜」など、命名木に出合うのもウォーキングの楽しみになっている。 申し込みは▽里コース=定員200人、℡0299-59-7000(雪入ふれあいの里公園)▽尾根コース=定員300人、℡029-862-3500(県立中央青年の家) =【桜花爛漫】終わり

【桜花爛漫】SNSで拡散、科学の街に新名所 東光台研究団地

【橋立多美】開花した桜花がライトアップされ、幻想的な光景が繰り広げられている―。ここはつくば市東光台研究団地のウシオライティング(本社東京都中央区)つくば事業所で、科学の街らしい夜桜見物の新名所だ。 主に舞台やコンサート会場の演出照明を手がける同社エンタテインメント事業部が、専門技術を生かしてソメイヨシノ8本を美しく染め上げた。最新の高出力LED照明機器をセットした2階の窓から光が放たれ、15秒程度の間隔で鮮やかなピンクやオレンジ、緑、白色、黄、青、紫へと変わっていく。 ライトアップのきっかけは同事業所センター長の細居秀人さんら3人。竣工後に植樹された樹齢27年のソメイヨシノを見上げながら「我々だけで花を楽しむのはもったいない。ライトアップして地域の人たちにも楽しんでもらったらどうだろう」と意見がまとまった。 照明機材の扱いは慣れているが、照明をセットする建物と8本の桜の位置が平行でないため光を当てるのに苦労したそうだ。培った技術を駆使してライトアップに成功したのが2013年春だった。「地域社会との調和」を基本方針にしている同社は細居さんらの提案を受け入れ、翌年春から本格的にライトアップがスタートした。 8本の桜は、社員がレクリエーションで使う広さ約1650㎡の芝生に植えられている。今年もライトアップが始まると、家族連れや、三脚をセットしてシャッターチャンスをうかがう人たちでにぎわい始めた。 稲敷市の50代の夫婦は「初めて来たが見事の一言。桜の季節の楽しみができた」。つくば在住で1歳の子どもを連れてきた30代の夫婦は「今年で2回目。夜桜は昼間見る桜と違って味わい深い」と話した。3世代で阿見町から訪れた女性は「ここで撮る写真は家族のいい記念になりそう」とスマートフォンを手に顔をほころばせた。 ライトアップの時間帯は同事業所敷地内の駐車場が開放され、多くの車が出入りする。細居さんは「SNSが普及して一気に来場者が増えた。群馬や千葉、横浜のナンバープレートを付けた車もある」という。 桜の開花時期は年度末。会社は多忙を極めるときだが、来場者から元気をもらっているという。「朝出社して芝生周辺を見回るが、これまでごみ一つ落ちていたことがない。『楽しんだよ』の気持ちが伝わってきてうれしいし、続けていく元気の源になっている」と細居さんは話してくれた。 ライトアップは4月2日(月)までの午後6時~同10時。開花状況により日程変更あり。いろいろな角度から見るのがお薦め。つくば事業所は東光台5-2-4(東光台研究団地内の幹線道路沿い) https://youtu.be/CIitYRvUg9w

【桜花爛漫】貴族の衣まとい淡緑色 森林総合研究所

【富永みくに】森林総合研究所(つくば市松の里)には、限られた場所でしか見られない桜がある。その一つが「桜はピンク色」という常識を覆す淡緑色のギョイコウ(御衣黄)だ。今つぼみがふくらみ始めている。 ギョイコウの栽培は江戸時代から始まり、名前は貴族の衣服の萌黄(もえぎ)色に近いことに由来する。花は大輪八重咲。濃い緑と淡い黄色が混ざった花弁が特徴的だが、満開を過ぎると花弁の中心部から徐々に赤く染まる。 遺伝子的にはヤマザクラとオオシマザクラの雑種系統で、花期はソメイヨシノより遅く、今年の見頃は4月中旬ごろまで。同研究所の吉丸博志研究員は「一般的にはソメイヨシノが咲く頃が桜の季節とされるが、ソメイヨシノよりも後に満開を迎える栽培品種の方が種類は多い。後から咲く花も含めて長く桜の季節を楽しんでほしい」と語る。 同研究所に植えられている樹木は約640種類。そのうち桜は野生種が7種、栽培品種が15種ある。ギョイコウのほかにも、京都市左京区の盆地、市原にゆかりがあり、開花した枝が虎の尾のように見える「市原虎の尾」などの珍しい桜がある。 敷地内には研究材料として利用するための樹木園が二つあり、このうち自由に見学可能な第1樹木園(面積3.28ha)にはヨウキヒ(楊貴妃)、イチヨウ(一葉)、カンザン(関山)など、さまざまな品種の桜が植樹されたサクラコーナーが設けられている。花見客でにぎわう場所が多い中、ゆったりと樹木の中を散策しながら多彩な桜を鑑賞できる貴重なスポットだ。 桜は当日正門守衛室で受付すればだれでも見学できる。見学可能日時は平日午前9時~午後5時。科学技術週間の4月20日に開催される「春の一般公開」では、研究者のガイド付きで樹木園内が見学できる。 見学に関する問い合わせは、同研究所ホームページ(https://www.ffpri.affrc.go.jp/facilities/jumokuen/)へ。敷地内のサクラの開花状況については「サクラ開花ビジュアルマッピング」(http://www.ffpri-tmk.affrc.go.jp/sakurazensen/2018/)で確認できる。

ひたちなか市と原発広域避難協定締結 土浦市など14市町村

【鈴木宏子】土浦市など県南と鹿行地域の14市町村は29日、ひたちなか市と原子力災害広域避難協定を締結した。東海第2原発(東海村)で過酷な原子力災害が発生した場合、14市町村はそれぞれ避難所を設置し、ひたちなか市民を受け入れる。 ひたちなか市は、東海村に隣接する一部地区が直ちに避難をする5㎞圏内(PAZ)、市全域が段階的に避難を実施する30㎞圏内(UPZ)となっている。東海第2原発で過酷事故が発生した場合、住民15万7000人全員が市外に避難することを余儀なくされる。このうち14万3000人は居住地区ごとにそれぞれ土浦市など14市町村に避難し、1万4000人は千葉県内の10市村に避難するという。 同日、土浦市役所で協定締結式が催され、土浦市の中川清市長ら14市町村長らが参加。ひたちなか市の本間源基市長と一人ひとり協定書を取り交わした。 本間市長は「ひたちなか市民を受け入れていただくことに感謝し、万が一のときは皆様にご協力いただきたい」と述べた上で、「前例のない、15万7000人全員の避難がいかに困難を極めるものであるかを感じている。寝たきりの人もいるし、施設に入っている人もいる。果たして市民が間違いなく避難先に到達できるのか、どういうルートで避難するのか、地震による道路や橋の被害も想定しないといけない。5㎞圏内から順番に避難しなくてはいけないが、(30㎞圏内の)住民感情からすると一刻も早く、という気持ちになると思う」と広域避難の課題の大きさを指摘した。 その上で、東海第2原発の再稼働問題について周辺6市町村で安全協定見直しを求めていることについて触れ「あと一歩というところ。福島をみると5㎞、10㎞に避難が限られることはなく帰宅困難区域もある。(原発立地の東海村以外も)再稼働に関し意見を申し述べられる権利があるのは当然」と強調した。 中川市長は「万が一のときは住民の命を最優先に考え、ひたちなか市からの避難者に最大限の支援をしていきたい。14市町村も連携を図り、互いの防災力向上を図っていきたい」などと応じた。 ひたちなか市の避難者を受け入れる14市町村は、土浦、石岡、龍ケ崎、牛久、鹿嶋、稲敷、かすみがうら、神栖、行方、小美玉市、美浦村、阿見、河内、利根町。 土浦市の場合、1万6600人を受け入れるという。市内の小中高校など34カ所に避難所を設置し物資を提供、ひたちなか市職員が到着次第、避難所の運営を引き継ぐ。避難所開設期間は1カ月間程度。一方、地震と原子力災害が同時に発生し、土浦市民も避難所生活を余儀なくされ避難所が満杯になった場合はどうするかなど、課題が多く残っているという。

【桜花爛漫】 かつてのため池に580本 乙戸沼公園

【大志万容子】土浦とつくばを結ぶ学園東大通り沿いの乙戸沼公園(土浦市中村西根)では、例年より早めの桜が見頃を迎えている。暖かな陽気に包まれた週初めの26日から、次々に花が開いた。訪れた人たちは、沼を囲むように植えられた桜にスマートフォンを向けて撮影するなど、春の到来を楽しんでいる。 敷地面積約13haの園内には、樹齢40年から60年のカンヒザクラやソメイヨシノ、ヤエザクラなど約580本の桜があり、亀城公園や新川堤などと並ぶ土浦の花見の名所になっている。昨年は3月25日から4月上旬の16日間に約1万人の人出があった。遅咲きのヤエザクラがあるため、例年4月の第3週頃まで花見を楽しめる。 乙戸沼はかつて水田に安定して用水を供給するためのため池だった。つくば市二の宮、洞峰公園事務所の樹木医、芹沢誠さんによると、筑波研究学園都市を南北に縦貫する東大通りを造成するために湿地帯を埋めたて、土盛りをして桜が植樹されたという。乙戸に住む長老は「車が通る大通りの所も沼だった。水がきれいでジュンサイがとれたんだ」と聞かせてくれた。この話を裏付けるのが乙戸沼に近い土浦市立第三中学校(1947年創立)の校歌だ。一番で「乙戸の沼の水ひろく じゅんさいの花におい咲く」と歌われている。 春の陽気に包まれた27日、水面に近い場所の桜にはまだつぼみが多い枝も見られたが、日当たりのよい場所では満開に近いところも。見物客が薄桃色の花びらを見上げたり、家族連れやグループがシートを広げて弁当を味わうなど、思い思いに春を堪能していた。 市観光協会によると、今年は気温が高いこともあり、花の開花は例年より一週間ほど早かったといい、今見頃を迎えている。咲いたソメイヨシノは4月1日(日)まで楽しめそうだ。

「逆転の発想」が原点 土浦駅ビル 29日、サイクリング拠点オープン

【鈴木宏子】JR土浦駅ビル(同市有明町)に29日、サイクリングを楽しむ拠点施設「りんりんスクエア土浦」がオープンする。中心市街地の衰退に悩む土浦で、何が始まろうとしているのか。 同拠点施設は県と土浦市が1階と地下1階に設置した。同駅ビルを運営するJR東日本の子会社、アトレ(東京都渋谷区)が指定管理者として管理運営する。駅ビルもペルチからPLAYatre TSUCHIURA(プレイ・アトレ・ツチウラ)に名称変更する。 シャワー、コインロッカー、レンタサイクル、サイクルショップ、カフェなどがあり、自転車で乗り入れできる。館内で組み立て、修理、洗車などもできる。サイクリングコンシェルジュが常駐し、地域の観光スポットを案内したり、街の楽しみ方の情報を提供などする。 従来のショッピングを中心にした「モノを売る」駅ビルから脱却し、「コトを売る(体験を提供)ことにまじめにチャレンジする」と、アトレ土浦店プロジェクトリーダーの藤本沢子課長は狙いを話す。 7分の1に落ち込み 土浦駅ビルは1983年にオープンし35年の歴史がある。藤本課長によると、売り上げのピークはバブル期の1991年で、年間約112億円の売り上げがあった。 その後、つくばエクスプレス(TX)が開通し沿線に多くの商業施設が建設されたこと、土浦駅を利用するのは車を運転しない学生やシニアが中心になったことなどから、駅ビルの売り上げが低迷し、2016年度の売り上げはピーク時の7分の1の約16億円まで落ち込んだ。 「モノが売れない、地元のお客様に駅ビルにお越しいただけない、お店を入れ替えてリニューアルしても解消されない中、駅ビルをどのように存在させるか。それならば足元の商圏に頼らず、東京や全国からお客様を呼ぼうという逆転の発想」だという。 「世の中の消費は、モノを買うより体験することにお金を使う体験型にシフトしている。モノを売ることにこだわらないというのが原点」と藤本課長。新しい価値をつくり出し、コトを売ることにチャレンジするチャンスだと捉えた。 同じ時期、土浦では、県が中心になり、霞ケ浦や筑波山を巡る全長180㎞のサイクリングコース「つくば霞ケ浦りんりんロード」の環境整備が進んでいた。PRが功を奏し、同コースを利用する自転車愛好者は2015年が約3万9000人だったのに対し、16年度は約4万8000人、17年度は約6万人を超えると推測されるなど年々増加している。 米ポートランドをイメージ サイクリングのまちづくりで、藤本課長がイメージしたのが自転車の街として知られる米国西海岸のポートランドだという。 ポートランドには全長480㎞を超える自転車優先道路や自転車専用レーンが整備され、多くの市民が通勤・通学に自転車を利用している。自転車のイベントも数多く開催され、自転車を利用した観光も盛んで、グルメスポット、公園、下町、ビール醸造所など街中を巡るガイド付きツアーや、少し離れたブドウ畑、渓谷まで足を延ばすツアーなどが用意され、自転車は一大産業となっている。 「土浦、霞ケ浦は日本有数の観光拠点になる。そこから始める」と藤本課長はいう。 専用列車を運行 とはいえ、首都圏や全国からどうやって自転車愛好者を集めるのか。アトレでは、土浦駅前で自転車フェスティバルを開いたり、親会社のJR東日本や旅行会社と連携しサイクリスト向けの専用列車を運行して誘客に努める予定だ。 最初のフェスティバルはオープン後、最初の土・日曜となる31日と4月1日に駅前特設ステージで開催する。最新モデルのスポーツ自転車が集結し、試乗会やツアーなどを実施したり、キッズスクールなども開催するという。 オープン後、初めてとなるサイクリスト専用列車は4月22日に運行する。「つくば山桜ライド」と題して、上野発、15両編成の臨時列車が土浦にやってくる。参加者は折りたたみ自転車をたずさえて列車に乗車。土浦駅を出発し、山桜やご当地グルメを堪能しながら真壁休憩所まで片道30㎞を往復する。JTBが参加者を募集しており、28日までに130人の参加申し込みがあるという。 ホテルは90室前後 土浦駅ビルは今年11月、第2弾として2階と3階に、学びや体験を充実させたカフェ、レストラン、クッキングスタジオがオープン。第3弾として来年5月、2階南側に茨城の地ビールや日本酒、パン、スイーツなど地元の人気店を集めたフードマーケットがオープンする。最終段階の第4弾は来年秋以降、3~5階に、サイクリングを気軽に楽しむ人のためのカジュアルなホテルが誕生する。 ホテルはすでに運営会社が決定。客室は90室前後となり、1人1万円以下で宿泊できる施設になるという。「サイクリストはもちろん、観光客、ビジネス客も気軽にカジュアルに利用できるホテル」と藤本課長。さらに「霞ケ浦の景観が一番の魅力。きれいな霞ケ浦であってほしい」と願う。

もし公演中に火災が起きたら… 観客参加し避難訓練 つくばカピオ

【谷島英里子】コンサートの最中に火災が発生したことを想定した避難訓練が27日、つくば市竹園のつくばカピオで行われた。カピオを管理するつくば文化振興財団が職員と観客の防災意識向上を目的に初めて企画した。公募の176人が参加し、同市消防音楽隊が出演協力した。 医務室からの出火を想定した。訓練ではコンサート中盤に火災報知器が作動し、職員がその場で待機するよう指示を出しつつ、ほかの職員らが館内の状況を確認。「1階で火災が発生しました」と状況を説明してから、出口ドア付近に立って屋外に誘導。残っている人がいないことを確認して訓練が終わった。観客はスタッフの指示に従って終始落ち着いた様子だった。 市消防本部予防広報課の苅部明夫課長は「観客はステージを見るために前を向いているので避難場所は分からない。スタッフの誘導が大切になるので、避難や誘導を呼び掛ける声は大きくしっかり出してほしい」と話した。山田和穂館長は「観客を入れた訓練は初めてだったので緊張感があった。改めて人が集まったときの動きを確認して今後につなげたい」と話した。 訓練通し考えるきっかけに 【富永みくに】消防音楽隊による3曲目の演奏が終わった直後、けたたましく非常ベルが鳴り、火災が発生したことが放送で告げられた。訓練だと分かっていたこともあり、会場内は落ち着き払っていた。「これってうその火事でしょ?」そんな子どもたちの声が場内に響く。その後もパニック状態に陥ることなく、参加者全員がスムーズに屋外に移動した。 このようなエピソードを語ると「避難訓練は意味がない」と思われるかも知れない。しかし、参加者の声を聞いてみると「楽しい行事の時に災害が起きたらどう行動すれば良いか考えるきっかけになった」「子どもたちは学校で避難訓練があるが、私たち(主婦)にはないので良い経験になった」との声が多数聞かれた。 普段の生活の中で「もしも今、災害が起きたら…」と、考える習慣を持たせるのが避難訓練の最大の意義である。コンサート会場や映画館などで、まず席についた時、天井を見上げて「もしもこれが落ちてきたらどうするか」、周囲を見渡して「火事になったらどこから逃げるか」と、1分でも2分でもいいから考える。こうするだけでも、実際に災害が起きた時の初動は違ってくるのではないだろうか。 「どこが出火場所なのかの説明がなかった」「ステージ上の消防隊員が誘導してくれなかった」などの声も聞かれ、確かに気になる点は多々あった。しかし、参加者の多くが「災害対応」という良い習慣を手土産として持ち帰った、貴重な訓練になったと思う。改善すべき点は改善しつつ、こうした訓練が今後も継続されることを願っている。  

【桜花爛漫】157公園に植樹 樹齢40年、樹勢に衰え

【橋立多美】桜のつぼみがほころび、満開間近。約300本の桜が咲き誇る北条大池を始め、つくば市内には、桜が植樹された157カ所の都市公園がある。農村部では、社寺の参道や田畑の中に点在する桜が開花し、春一色に彩られる。桜の代表格ソメイヨシノの満開の景色を楽しむスポットが多いが、近年は樹勢が衰えているという。 都市公園の整備や維持管理をしている市建設部公園・施設課によると、市内の桜は樹齢40年余のソメイヨシノが多い。1960年代末に幹線道路が造成され、その後、街路樹や公園の植樹が行われたことによるという。 ソメイヨシノは、江戸時代にエドヒガンとオオシマザクラの雑種を交配させた品種で、戦後、都市開発や公園整備に伴って全国各地に広まった。同市も例外ではない。 近年、日本全域でソメイヨシノの衰弱が目立つようになり、「寿命60年説」がささやかれる。樹木医=メモ=で国交省国土技術政策総合研究所(同市旭)の研究員、飯塚康雄さんは、寿命というより生育環境による影響が大きいと話す。 「ソメイヨシノは高く広く枝を伸ばす品種。植栽間隔が狭いと互いに枝を交差させながら成長するが、40歳を過ぎると交差した枝が日照不足で枯れ始めて樹勢の衰退が始まる」と話す。「市内のペデストリアンデッキ(歩行者と自転車のための専用道路)に植樹されたソメイヨシノは衰退が見られるが、土浦市立真鍋小学校のソメイヨシノは樹齢100年でも樹勢は衰えず、力強く咲いている」とも。 同市二の宮、洞峰公園事務所で行われている「植物なんでも相談」の相談員を担当している樹木医の芹沢誠さんは、「樹齢40年ともなると花見客が訪れ、養水分を吸収している根元を踏まれるのも寿命を縮める一因」と語る。踏みつけられて根が浮き出たり、枝を傷つけられると腐朽菌が侵入するそうだ。美しい桜並木を次世代に引き継ぐために枝を折らない、飲み残しを捨てないなどのマナーを呼びかける。 一方、芹沢さんはソメイヨシノだけが桜として取り上げられる状態を憂慮する。「桜は約400種類ある。多彩な桜に出合ってほしい」とした上で、乙戸沼と森林総合研究所、雪入の山桜を挙げてくれた。連載で紹介する。 メモ 【樹木医】樹木の保護と生育に関する知識の普及と指導を行う専門家。日本緑化センターが実施する資格審査に合格して登録される。活動は県単位で、日本樹木医会茨城県支部(阿部豊支部長)は59人で組織されている。

2カ国語の消防車出動 つくば、全国初

【谷島英里子】つくば市消防本部は、火災や災害などの情報を日本語と英語で広報する消防車を全国で初めて導入した。火災、大雨、竜巻、地震警報や注意報などあらかじめ収録された10種類の音声を2カ国語で繰り返し放送することができる。 市内には外国籍の住民が多く、国際会議も数多く開かれているなどから、ポンプ車と救助工作車の2台に導入した。昨年12月から実際の活動に使われていて、今月16日に一般公開した。 警報や注意報などが発令された際、パトロールしたり、火災や災害発生時に出動して広報するほか、春と秋の火災予防運動に役立てる。現在、中央消防署が管轄する中心地区や研究学園地区、豊里地区と、茎崎分署が管轄する茎崎地区などをパトロールしているという。 市消防本部警防課の鈴木康司救助係長は「つくばには外国人が多いので情報難民を出さないようにと消防士らで考えた。2020年には東京オリンピック・パラリンピックもあるので、ほかの消防本部にも広がれば」と話していた。 ▼音声の一部は 「こちらは消防本部です。ただ今、火災警報が発令中です。火の取り扱いには十分注意してください」 「This is an announcement from Tsukuba Fire Department. "Fire Alret"has been announced,please be careful when using the fire」

TX沿線に初めて開校 2義務教育学校を公開 つくば

【鈴木宏子】つくば市のつくばエクスプレス(TX)沿線開発区域内に初めて開校する学園の森義務教育学校(研究学園地区、同市学園の森)とみどりの学園義務教育学校(みどりの地区、同市みどりの中央)が25日、報道関係者や区長などに公開された。 両校とも校舎の外観は白が基調で、窓ガラスが大きく、教室と廊下もガラス戸で仕切られるなど開放的な造り。校舎は北側と南側と中央にエの字型に配置され、1階中央には板張りの中庭(そとの教室)を囲んで屋根付きの回廊がめぐり、図書メディア室や人工芝のイベント広場、体育館などが配置されているのが特徴だ。 両校いずれも、北側と南側の校舎は鉄筋コンクリート造3階建て、中央は鉄骨造1階建て、教室は全室に冷暖房設備がある。3階建て校舎には給食搬入用のエレベーターが設置され、車いすなどの児童・生徒も利用できるという。エレベーター近くのトイレには各階に車いすが利用できる多目的トイレが設置されている。 校庭は両校とも、野球場と1周200㍍のトラック、テニスコートなどが整備され、プールは体育館脇に配置されている。児童クラブも併設されている。 学園の森は、敷地面積5.1haで市内の小中学校や義務教育学校の中で最も広い。校舎、体育館など建物の延べ床面積は約1万4500㎡。1年生(小1)から9年生(中3)まで約1146人が入学予定で、普通教室は37クラスとなる。春日学園義務教育学校から分かれて入学することから、1年生は8学級なのに対し9年生は1学級のみとピラミット型の学級構成となる。一方、研究学園地区は市内で最も住宅や商業施設などの建設が進んでいることから、今後教室が足りなくなり、増築が必要になる可能性もあるという。 みどりのは、敷地面積4.5ha、延べ床面積約1万3400㎡。谷田部小や谷田部南小、谷田部中などから分かれて約710人が入学する予定で、普通教室は9学年で24クラスという。こちらも1年生(小1)は5クラスなのに対し9年生(中3)は1クラスのみとピラミッド型の学級構成という。 市内では、筑波地区の2中学校と7小学校を統廃合して開校する秀峰筑波義務教育学校と合わせて、4月に3校が開校する。

Most Read