水曜日, 6月 25, 2025
ホームスポーツ土浦日大 甲子園初戦敗退 9回ソロ本塁打で意地見せる

土浦日大 甲子園初戦敗退 9回ソロ本塁打で意地見せる

【池田充雄】第100回全国高等学校野球選手権大会は5日目の9日、第4試合に本県代表の土浦日大高校が出場。沖縄県代表の興南高校と対戦し2-6で敗れ、昨年に続いての1回戦敗退となった。

土浦市本庁舎(同市大和町)1階の市民ラウンジで開かれたパブリックビューイング(=PV。応援観戦)では、常設のテーブル席や特設のベンチ席に大勢の市民が集まり、通勤帰りや買い物帰りの人なども足を止め、大型スクリーンに見入った。会場には土浦日大のメガホンやTシャツ、野球帽などの応援グッズも用意され、選手の一投一打にたくさんの拍手や歓声、ため息が出た。

試合は土浦日大の富田卓、興南の藤木琉悠、両エースの投げ合いで幕を開けた。土浦日大は藤木のカットボールなどに芯を捉えられず、興南は富田の低めへのスライダーに詰まらされ、4回を共に無得点で終える。

だが5回裏、先頭からの2連打とバントで無死満塁とされると、犠牲フライとヒットで興南に2点を先制される。土浦日大は6回表に敵失2つと盗塁で1死二・三塁とし、三番・小菅康太の内野ゴロで1点を返すが、6回裏に1死三塁から1点を追加され、1-3とリードを広げられる。

試合は終盤に入り、両投手とも疲れが見え始める。7回表、土浦日大は2連打と死球で2死満塁の好機を作り、ここで一番・鈴木健太主将を迎えるが、相手の逃げるスライダーで三振に取られる。逆に7回裏には2死満塁のピンチを作るが、ここは富田が踏ん張って内野ゴロに打ち取った。

次の回は投手交代で差が開いた。8回表に土浦日大が無死満塁のチャンスを作ると、興南は宮城大弥をマウンドへ送り、三振とダブルプレーで火消しに成功。8回裏は2安打と1犠打で2点を失い、ここで土浦日大は清水樹が救援に向かうが、さらに2連打で1点を失う。9回表、土浦日大は代打・磯貝郁人が左翼席へのソロ本塁打で意地を見せるが、追撃もここまで。2-6でゲームセットを迎えることとなった。

土浦日大の誤算は、相手投手が予想していた宮城ではなく藤木だったこと。その変化球にタイミングが合ってきて、ここからというところで宮城にスイッチし、速球でねじ伏せられた。富田は6回ごろから制球に乱れが見え始め、甘いスライダーを捉えられた。また頼りの鈴木が5打席無安打に終わるなど、打線も投手陣を助けられなかった。

泣きじゃくる富田選手に「いい試合見せてくれた」

PVの観戦者の一人で「娘が富田投手の姉と仲良し」という廣瀬譲治さん(54)は、「(相手の15安打の猛攻に)富田選手を中心によく守り、最終回にはホームランで意地を見せてくれた。力はつけているので来年に期待したい」と感想を述べた。

譲治さんの母の寛子さん(80)は、画面の向こうで泣きじゃくる富田選手を見ながら「富田くんも頑張ってくれたが、向こうがちょっと上だった。これも野球でしょうか。いい試合を見せてくれた」と語ってくれた。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

コメの需給と値段は安定させられるか?《文京町便り》41

【コラム・原田博夫】2024年秋からコメの値段が上昇し始めた。最初、新米(2024年産米)が出回ればそのうち値段は下がる、と江藤拓農水相(当時)は説明していた。ところが、2025年になっても下がるどころか値上がり傾向が顕著になり、備蓄の古米(2023年産米)を競争入札で放出した。 しかし、消費者の支払う値段は下がらないどころか、値上がりする一方だった。そのうち、備蓄倉庫から小売店に並んで消費者の手元に届くには数カ月かかる、という説明も追加されるに至った。事ここに至って、石破茂首相は農水相を小泉進次郎氏に交代させた。本人もコメ担当相を自認して、備蓄米を随意契約で放出すると明言した。小泉農相の登場以来、コメをめぐる政策・値段・在庫状況は日々変動している。 農産物・畜産品の需給・価格に関しては、経済学に有名な理論がある。定期的に(2年サイクルで)上下変動する豚肉価格と産出量の関係から抽出されたホッグ・サイクル(豚の循環)だ。年次ごとの需給量と価格の変動状況をトレースしたグラフがクモの巣状のことから、「クモの巣理論」とも言われている。 要するに、農産物・畜産品の産出・供給は、前期の価格に反応して増産するけれども、今期はその結果、(相対的に)過剰供給になり、価格は下がる。しかし次期は、再び供給が抑制され、(相対的に)供給不足になり、価格が上昇する-というサイクルである。 この仮説には前提が少なくとも2つある。⑴価格変動に対応して供給量を調整するには少なくとも2期程度の準備期間が必要である、⑵この農産物は備蓄・保存が難しく収穫・出荷から販売まで時間差を置けない-という想定である。 安定的価格の実現を阻む要因 しかし、「令和のコメ騒動」で判明したことは、コメには、新米だけでなく、古米(2023年産)、古古米(2022年産)、古古古米(2021年産)、古古古古米(2020年産)…がある。要するに、保存・備蓄が制度的に認められていて、それを可能にしているのは近年の長期保管・冷蔵の技術でもある。したがって、在庫・備蓄はある。しかし、供給を安定的に維持するには難点が目白押しである。 難点1:保管米を消費者に渡すには、実は、数段階を経なくてはならない。収穫米あるいは備蓄米は、そもそも玄米(籾殻付き)である。それを消費者が食するには、精米が必要だが、これを集中的・大規模に行える精米・保管業者は実は限られている。急な需給調整には対応が難しい。 難点2:コメの生産者から消費者に渡るまでには、集荷業者(大手は当然JA)もいるが、従来は数次の卸業者がスポット取引で(入札制下では)需給調整を行い、流通ルートを確立していた。随意契約はこうした取引実態を超越している。 難点3:コメは、国民が主食として消費しているだけではなく、飼料用米や酒米もある。 難点4:日本のコメの産出量は、(事実上の)減反政策や転作奨励策のゆえに、最大可能量以下に抑えられている。 難点5:農業人口は減退傾向で、60歳以上のコメ農家が9割を占めている。 要するに、コメの生産・販売・流通を取り巻く現行制度は、安定的なコメ価格の実現を阻む要因で満ちあふれているのである。くれぐれも小泉農相には、短期的な事態鎮静化ではなく、農政と国民生活の中長期的な安定化のための対策に取り組んでもらいたい。(専修大学名誉教授)

新たに1人、免許失効したまま公用車など運転 つくば市 全職員を調査

つくば市の教育局職員が約7カ月間にわたって運転免許証の有効期限が切れ、免許証を失効したまま公用車や自家用車を運転していた問題(6月9日付)を受けて、同市が全職員約4000人を対象に運転免許証の原本の有効期限を確認したところ、新たにこども部の職員1人が運転免許証を失効していたことが分かった。23日、同市が発表した。 市人事課によると、こども部の職員の運転免許証は昨年2月29日までが有効期限だったが、今年6月17日に失効が発覚するまで約1年4カ月間にわたって、自家用車で通勤していたほか、公用車を2回運転していた。 今月13日から20日まで、各部局の所属長が、非正規の会計年度職員などを含む全職員の運転免許証の原本の有効期限を確認して判明した。失効が分かった職員は直ちに運転免許証再取得の手続きをとるという。 再発防止策として市は、各部局の所属長が今後、半年に1回、定期的に職員の運転免許証原本の有効期限を確認するほか、公用車使用時に作成する運転記録表に新たに運転免許証の有効期限を記載する欄を設けるなど運転前の再確認を徹底するとしている。

暗やみ坂《短いお話し》40

【ノベル・伊東葎花】 家の近くに、暗やみ坂と呼ばれる坂があった。鬱蒼(うっそう)とした樹木が空を隠し、昼でも真っ暗だ。「暗やみ坂は、一気に駆け上がれ。途中で止まれば闇に取り込まれてしまう」そんな言い伝えがあった。体力があり余った小学生の僕にとっては何でもないことだ。毎日一気に駆け上がった。暗闇などまるで怖くなかった。 ある日、転校生がやってきた。青白い顔の痩せた女の子で、梢子という名前だった。方向が一緒だったので、何となく一緒に帰ることになった。いつものように暗やみ坂を通ろうとしたら、梢子が立ち止まった。 「真っ暗で怖い」 「大丈夫。短い坂だし、一気に駆け上がろう」 僕は、梢子の腕をつかんで走った。僕にとっては易しい坂だけど、梢子は半分の辺りで立ち止まった。 「吉田君、待って。苦しい。走れない」 「だめだ。止まったらだめなんだ」 僕は梢子の手を放して、一気に駆け上がった。しばらく経っても、梢子は上がってこない。おーいと呼んでも返事はない。きっと怖くて下りたんだ。少し心配だったけど、僕はそのまま家に帰った。翌日、梢子は何でもないように登校した。 「きのう大丈夫だった?」 「全然平気よ」 梢子は笑った。昨日よりもずいぶん元気だ。そして驚いたことに、あれほど怖がっていた暗やみ坂を、止まらず一気に駆け上がった。 「吉田君、競争しよう」 梢子は活発な女の子に変わり、僕たちは毎日一緒に帰った。最高の友達になった。 その後、暗やみ坂は閉鎖された。隣に整備された道が出来て誰も通らなくなり「通行止め」の看板が立てられた。僕は高校生になっていた。 「あれ、吉田君?」 駅で、女子高に通う梢子に声をかけられた。久しぶりの再会だった。 「暗やみ坂を通って帰ろうよ」と梢子が言った。 「あそこは通行止めだろ」 「平気よ。看板があるだけで、何も変わってないわ。私、たまに通るのよ」 梢子は躊躇(ちゅうちょ)なく暗やみ坂に入って行き「競争だよ」と、走り出した。僕も走った。久し振りの暗やみ坂は、不気味だった。途中で、飛び出した木の枝に足を取られた。しまった。動けない。 「待って」 梢子は構わず駆け上がる。あの日の僕みたいに。僕の体は、何かに引きずられてどんどん林の奥に入っていく。声も出せない。深い闇の中に、僕の体は放り込まれた。 ふと、柔らかいものに触れた。小さな子供の手だ。 「やっと来てくれたね。吉田君」 青白い顔の子供は、幼いころの梢子だった。あの日僕が置き去りにした梢子だ。 「どうして? 梢子はずっと一緒にいたじゃないか」 「あれはニセモノだよ。これからは、吉田君のニセモノが代わりに学校へ行くの。だから大丈夫。何も変わらない」 闇が僕を呑み込んでいく。もう動けない。「おーい、吉田君」 ニセモノの梢子が、僕の名を呼んでいる。本物の僕と、本物の梢子が、闇の中でそれを聞いていた。 (作家)

不適正額7件で4741万円に つくば市生活保護行政

原因「その時々の管理職の不適切な判断」 生活保護などを担当するつくば市社会福祉課で昨年5月から、不適正な行政事務が相次いで発覚している問題で、市福祉部は23日、実態を調査し改善状況などをまとめた報告書を発表した。これまでに明らかになっている職員に対する残業代未払い、障害者加算の誤認定、県の監査に対する虚偽報告など7つの事案について、不適正な行政事務によって生じた合計額は計4741万2647円になった。不適正な事務を指示した管理職などについては今後、処分を検討するとしているが、何人になるかは23日時点で「数えてない」としている。 不適正事務が発生した原因や背景について根本祥代福祉部長は「(組織の)体質とは考えていない。その時その時の管理職等の不適切な判断が要因になった。職員から指摘があった時に是正できなかった管理職に問題があった」などと説明し、構造的な問題があったのではなく、管理職個人の問題だと話した。 7件の合計額の内訳は①社会福祉課職員に対する残業代未払いが2021年1月から24年3月までに同課に所属していた24人に対し3851時間860万6522円(6月20日付)②特殊勤務手当ての未払いは同期間で17人に19万1675円(3月6日付)③障害年金の申請に必要な診断書料の過支給は8件で6万2890円(24年7月20日付)④障害者加算の誤認定による過支給は27件1902万5721円⑤重度障害者加算の誤認定による過支給額は5件135万6870円⑥不適切な債権管理による国庫負担金の未算定は171件1758万8726円⑦生活保護費の不適切な現金取り扱いと県への虚偽報告は0円(3月17日付)ーの7件。 2014年度から23年度まで過去10年間に在職していた職員や管理職96人に聞き取りや書面による実態調査を実施し、原因を究明し、再発防止のための方策を検討したとしている。 残業代未払いついては、当時の課長から「(残業を申請すると)人事評価で低く評価せざるを得ない」「お前は能力が低いと思っていた」」など、残業をしないように促す発言があったなどとした。 障害者加算の誤認定については、2020年1月の会計検査時に調査官から誤認定を指摘されたにもかかわらず、翌日の係員会議で係長から「現時点で(誤認定の)加算を取り消すことなどはしなくてよい」などの発言があったことを明らかにしたほか、22年11月の内部会議で職員が誤認定を指摘した際は、当時の課長と課長補佐が県に確認するよう係長に指示し、県から誤認定だという回答を得たが、対応を行わなかったなどとした。 生活保護費の不適切な現金取り扱いと県への虚偽報告については「(当時の課長から)現金支給していることは外で言わないように、記録にも記載しないようにと指示を受けた。県監査での対応についても課長から口外しないよう注意された」などの証言が職員からあったことを明らかにした。 これに対し報告書には、なぜ管理職は誤った指示を出したのか、管理職が異動し交代してもなぜ誤った指示が続いたのかなどについての原因や背景に関する検証や分析の記載はない。 報告書について五十嵐立青市長は「徹底的な調査を指示し、管理職の対応や事務執行のさまざまな不適切な対応があり、極めて不正常な業務状況に陥っていたことが改めて明らかになった。このような事態に対し市民や関係機関に多大な迷惑をお掛けしたことを深くお詫びします」とし、「調査結果を踏まえ職員の処分を検討すると共に、市長が先頭に立ち、職員一丸となって生活保護行政の一層の改善を進め、一日でも早く市政に対する市民の信頼を回復できるよう取り組みます」などとするコメントを発表した。 一方、社会福祉課の元職員は「報告書はひじょうに不十分で不誠実。労務管理は不適切などではなく違法でありずさんだった。生活保護の問題も、ようやく職員から指摘があった事実が認められたが、なぜその時点で是正されなかったのかなどについて、いまだ説明が足りない。管理職は法令の正しい知識がないばかりか、自身の不適正な指導について『記憶がない』と逃げており、信じられない。調査方法についても、聞き取りまでされる職員とされない職員がいて不公平感を禁じ得ない。調査内容も偏りがあり、ひじょうに作為的で不信感を抱く。公平公正な第三者による調査が不可欠であると強く感じる」としている。(鈴木宏子)