土曜日, 10月 10, 2026
ホーム土浦高校生の思いが本に 土浦一高哲学部が「放課後の哲学」出版記念イベント 

高校生の思いが本に 土浦一高哲学部が「放課後の哲学」出版記念イベント 

土浦一高哲学部がNEWSつくばで3月から4月にかけて連載したコラム「放課後の哲学」が、あっぷる出版社から書籍として刊行された(8月20日付)。これを記念する出版記念イベント「『放課後の哲学』ができるまで」が13日、土浦市のがばんクリエイティブルーム(同市中央)で開かれた。執筆を担った哲学部員や卒業生、顧問教諭ら9人が登壇し、書籍が生まれるまでの道のりや部の活動、それぞれが哲学や対話に寄せる思いを語った。会場には20人余りの参加者が集まり、耳を傾けた。

土浦一高哲学部は、もともと同校の文芸・弁論部内の一班「哲学班」として始まり、2025年に独立した部として成立した。哲学カフェを中心に、哲学書の読書会や哲学史の勉強会に取り組んでいる。2024年からは、がばんクリエイティブルームを会場に、市民も交えた哲学カフェ「語るカフェ」を開催。企画・運営はすべて生徒自身が担い、これまでに6回を数える。

書籍には、2026年3月から4月にかけてNEWSつくばに掲載された哲学部員9人と顧問教諭によるリレーコラム全10本のうち8本を収録。これに新たに執筆を希望した部員や卒業生らによる書き下ろしを含む22本を収録した。部員たちは8月、つくば、土浦市内の書店を実際に訪ね、自らの手で本をPRして回った。9月7日から全国の書店への配本が始まった。

閉会のあいさつをする1年生部員たち(撮影:岡田陽菜さん 哲学部2年)

一人で考えていたこと

文芸部でも活動する2年の岡田陽菜さんが手がけたコラムは「なぜ私はフィクションを求めるのか」。普段から小説を書いているという岡田さんは、執筆のきっかけについて「自分がなぜ小説を書くのか、きちんと考えてみたかった」と話す。「まさか本になるとは思っていなかった。現物が8月の終わり頃に届いて手に取った時に重みを感じた。頑張って書いてよかった」と振り返った。

「友だちを定義できるか」を書いた2年生の入江春香さんは、小学生の頃から「クラスメートって本当に友達なんだろうか」という疑問を抱いてきた。「自分一人で考えていたことを文章にするのはとても大変だった。それが人に読まれることに緊張や怖さもあったが、今はうれしい気持ちもある。哲学部に入ってよかった」と語った。

問いを共有する

文芸部の活動に哲学を取り入れるきっかけをつくったのは、卒業生で、現在大学3年の石田彩恵さんだった。中学生の頃、校外の哲学カフェに参加した経験が原点だという。高校入学後、飯島教諭に哲学カフェの開催を持ちかけたことで文芸部内に哲学班が生まれ、校内での哲学カフェが始まった。石田さんは「高校生はもやもやを抱えても、それを発散できないことがある。私自身も個人的な感情をうまく処理できず、内面的な問いも増えていた。疑問を声に出し、みんなで問いを共有する。言葉にならないような問いも取り入れていけたことが、哲学カフェの意義になった」と話した。

哲学班の活動を校内に広めた、大学2年の松間夕華さんは「大きな悩みだった人間関係について、対話することで自分が救われる場に哲学班はなっていた。友達や趣味のつながりとは違う形で人とつながれる場所。在学中は活動を知ってもらいたくて、自分でフライヤーを作って各クラスを回るなど、がむしゃらに動いていた」と当時を語った。

市民向けの「語るカフェ」を始めるきっかけを作った大学1年の神谷和奏さんは、哲学カフェの魅力について「相手のことを否定しないというルールがあること。討論とは違うし、意見の優劣を決めるものでもない。ここなら自分について素直に話すことができる」とし、「精神的につながれる場所が高校生の時にあったことは、自分にとって本当にありがたかった」と振り返った。

「語るカフェ」の会場となっているがばんクリエイティブルームを立ち上げた葛西紘子さんは、神谷さんとの出会いが哲学カフェにつながった経緯を紹介した。「日常の中に、自分を表現できる自由な場所があるといいと思って始めたのが、がばんクリエイティブルーム。ここで開いた別のイベントに遊びに来てくれた神谷さんとの出会いが、『語るカフェ』が始まるきっかけになった。これからも面白い企画をしてもらえたら」と語った。

活動を説明する部長の大和田哲汰さん

高校生だからこそ感じる視点

書籍化を実現したあっぷる出版社の渡辺さんは、NEWSつくばに掲載されたコラムを読んだことが出版のきっかけになったとし、「コラムを見て、これは本にできるんじゃないかと思った。偉い人や、たくさん経験を積んだ人だけでなく、若い人にもどんどん本を出してほしいと思っていた。今後、この本がどう広まっていくのか、すごく楽しみ。より多くの読者に届けていきたい」と話した。

顧問の飯島一也教諭は、哲学カフェを続ける中で「哲学は個人の作業ではなく、共同作業だということに気づいた」と語る。「『対話』という対等な関係性だからこそ促進されるのが、哲学カフェ。哲学部の活動は、哲学と対話に基づく関係性を学校内外に広めていくことを主な目標としている。生徒と一緒に歩む中で、活動の焦点が定まっていった」と話した。今回の書籍については「哲学カフェのライブ感や、生徒一人一人の問題意識の切実さを描いている」と評した。

哲学部部長で2年生の大和田哲汰さんは、自身が執筆したコラムについて「深夜までかかって書き上げたが、自分の言葉になりきれずに何度も見つめ直し、書き直した。自分が書いた原稿が本になることに驚いている」と話した。8月に書店を訪れた際には「本の前で立ち止まった方が手に取ってくれたのを見た」といい、「迷いながら書いた中で、友人から感想をもらえたこともうれしかった」と振り返る。「生徒が向き合う切実な問題を取り上げている。高校生だからこそ感じる視点が盛り込まれているところに独自性があると思っている。多くの方に新しい考え方や気づきを与えられたら、とてもうれしい」と締めくくった。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最新記事

駅名板やヘッドマークなどお宝40点 土浦まちかど蔵で「筑波鉄道展」

1987年に廃線になった筑波鉄道の歴史と、現在の自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」のつながりを紹介する「筑波鉄道展」が9日から、土浦市中央の観光拠点、土浦まちかど蔵「大徳」で開かれている。駅名板、ヘッドマーク、切符などお宝約40点が展示されている。 鉄道愛好家でもある土浦市観光協会の浅川善信さんが、筑波鉄道を運行していた関東鉄道の倉庫に眠る鉄道資料の中から、選りすぐって展示した。関東鉄道、JR土浦駅などの協力を得て同市観光協会が主催する。 展示されている駅名板は、筑波山観光の玄関口として当時、観光客でにぎわった「筑波駅」(つくば市沼田)と、旧新治村の「常陸藤沢駅」の2点。 ヘッドマークは、臨時列車「つくば」、急行「つくばね」の車両の先頭に取り付けられていたものなど3点。臨時列車のヘッドマークは、かつて筑波山の観光シーズンなどに、国鉄上野駅から臨時列車を運行していた記録でもあるという。急行は、1960(昭和35)年ごろ、土浦ー筑波駅間をノンストップで運行していた急行に取り付けられていた。ほかに、廃線間際の車両に取り付けられた「さようなら 筑波鉄道 ありがとうございました」と書かれたヘッドマークも展示されている。 さらに、土浦駅の隣の新土浦駅で実際に使われていた、列車の運行を監視したり制御するためのスイッチが収められた制御盤や、1983(昭和58)年に田土部駅に掲示されていた旅客運賃表なども展示されている。制御板は、右上に国道踏切、右下に六号国道踏切とある。当時、筑波鉄道が土浦市内の国道6号を横切った際、住民は踏切で長く待たされた。浅川さんは「土浦市民にとっては懐かしい思い出として記憶に残る踏切なので、こういうふうに踏切を制御していたんだと分かる制御盤」だと話す。 旅客運賃表には、田土駅から土浦駅までの運賃が当時340円だったことのほか、上野駅や横浜駅、宇都宮駅までの運賃も書かれており、当時、国鉄への乗り換えが多かったことがわかる。 ほかに、1896(明治29)年に製造されイギリスから輸入されたレールを切断してつくった文鎮、客車をけん引していたディーゼル機関車のブレーキハンドル、レールを固定するために打ち込んだ犬の頭部の形に似た犬釘など珍しい資料も展示されている。 浅川さんは「サイクリストには、りんりんロードに鉄道の歴史があったことを知ってもらうと同時に、鉄道ファンには現在も現地に残る筑波鉄道の遺構を自転車で巡ってもらえれば」と話し、「折に触れて、その場所にあった筑波鉄道に思いを馳せていただければ」としている。 筑波鉄道は1918(大正7)年に開業した土浦駅と岩瀬駅を結ぶ40.1キロの鉄道で、開業当初は蒸気機関車が黒い煙を吐きながら、客車2両と手荷物車、郵便車の計4両を引っ張り1日6往復した。1925(大正14)年に筑波山ケーブルカーが開業してからは、筑波山観光に大きな役割を果たすようになった。一方1970年代以降の道路整備や車社会の普及により沿線住民や観光客の鉄道離れが進み、1987(昭和62)年に廃線となり70年の歴史を閉じた、廃線後、線路跡地を茨城県が買収し、2002年に自転車道「つくばりんりんロード」を整備、2016年には霞ケ浦自転車道と統合され、ナショナルサイクルルート「つくば霞ケ浦りんりんロード」になった。駅のホームには現在、サイクリストのための休憩所などが整備されている。(鈴木宏子) ◆「筑波鉄道展」は19日(日)まで。入場無料。開館時間は午前9時~5時。18日(日)午前11時からと午後1時からの2回、筑波鉄道に関する鉄道ビデオを会場で上映するほか、同日午後2時から、鉄道関連グッズが当たる抽選会を開催する。詳しくは土浦市観光協会のホームページへ。

カフェ&ラボ テラッツァ《ご飯は世界を救う》75

【コラム・川浪せつ子】公益財団法人つくば文化振興財団が運営する「つくばカピオ」(つくば市竹園1丁目)では、室内アリーナ、会議室、和室などの施設を借りることができます。ここでは、バスケットリーグ、大相撲つくば場所などのスポーツイベント、音楽リサイタルなどの文化プログラムが開かれています。 その西側に、ガラス張りのステキな平屋の建物があります。以前は、障害者関係の方々が飲食店をやっていました。ところが閉店していまい、今年6月、「Cafe&Labo TERRAZZA(カフェ&ラボ テラッツァ)」という名前のイタリア料理店がオープンしました。 私は月1回、つくばカピオの小会議室を借りて、水彩画教室をやっています。教室が終わってから、皆さんとTERRAZZAにご一緒しました。外観だけでなく内部もオシャレで、都会的ないい雰囲気。お店の方も親切です。隣には、展示などができるフリースペース(有料)もあります。 アナタのお子さんは大丈夫 記憶がややあいまいですが、かつてこのコーナーは社会福祉法人の相談所でした。私はわんぱく息子に手を焼き、2回ほど児童相談に行きました。担当の元小学校の校長先生は「アナタのお子さんは大丈夫です」と言ってくださり、特別なアドバイスはありませんでした。 ですが、その言葉で私の気持ちは落ち着き、ホッとして帰宅したことを覚えています。数年後、元校長先生にお礼をと思いましたら、相談所はすでに閉鎖。社会福祉法人に問い合わせたら、その方は亡くなられたとのことでした。 その後、子育ては山あり谷ありでしたが、今でも時々思い出します。男の子は、母親に理解できないことが多い「未知の生命体」ですね。今、息子たちは「チョッピリ親思い」の大人になりました。(イラストレーター)

5カ国の19人を歓迎 日本つくば国際語学院で秋の入学式

つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東東郷治久理事長兼校長)の2026年度10月生歓迎会(秋の入学式)が8日、同市小野崎の同校に隣接する料亭、つくば山水亭で開かれた。5カ国から来日した19人が、鮮やかな民族衣装などに身を包み、新たな一歩を踏み出した。 新入生はミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、中国出身で、ミャンマー出身者が9人と最多。これから1年半、日本語を学ぶ。 歓迎会では、19人のうち、出席した18人全員がそれぞれ、習いたての日本語で、出身国、年齢、日本でやりたいこと、趣味などを自己紹介し「日本語学校で学びながら専門学校に進みたい」「卒業後は日本で仕事先を見つけたい」「音楽とサッカーが趣味」「読書や旅行が好き」「好きな日本の食べ物はすしとラーメン」などと話した。 在校生を代表してバングラデシュ出身のイスラム・サイフルさんが歓迎のあいさつをし、「最初、日本語があまりわからず、電車に乗った時はどこに行くのかもわからなかった。先生たちは優しく教えてくれたので安心して勉強することができた。皆さんも故郷を思い寂しくなることもあると思うが、学びながら日本の生活を楽しんでください」と新入生にエールを送った。 東郷理事長は「遠い国から、このつくばの地に来てくれてありがとう。日本語を学びながら、日本の文化や社会も学んでほしい。つまずくことがあるかもしれないが、つまずきは大きな経験。明るく前向きにチャレンジして成長してほしい」と語った。 歓迎会には在校生も参加し、この日は新入生を含め200人を超える生徒が会場にあふれた。在校生を対象に日本語能力試験の表彰も行われ、5段階評価のうち最も難しいN1に合格した1人、日常的な日本語を理解できるN2合格の2人、N3合格の21人、N4合格の26人が表彰された。N1は日本人でも合格するのが難しいという。 その後、新入生、在校生、教職員全員で記念撮影が行われた。最後は歓迎パーティーとなり、在校生がキーボードやギターを弾きながら歌ったり、ミャンマー出身の生徒が伝統舞踊を披露するなどした。 東郷理事長は「入学した学生を見ていると、向上心があり明るい、日本人の失ったものをもっているような気がする」などと話した。(榎田智司)

国スポ出場の5選手が決意 関彰商事で壮行会

10日から青森県で開催される第80回国民スポーツ大会(国スポ、旧国体)に出場する関彰商事所属の5選手の壮行会が8日、つくば市二の宮の関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)つくばオフィスで開かれた。 5選手は、男子砲丸投げに兵庫県代表として出場する森下大地選手(32)、女子やり投げに宮城県代表として出場する兵藤秋穂選手(27)、男子柔道に茨城県代表として出場する戸高淳之介選手(24)のいずれも筑波大出身の3人と、6月に行われた第80回国民スポーツ大会軟式野球競技茨城県大会で優勝した常陽銀行の補強選手として、関彰商事から選出された松本航輝選手(27)、矢萩陽一郎選手(26)の2人。 壮行会には関社長のほか、役員や社員など約100人が参加した。関社長は「それぞれのふるさとを代表して、思う存分、力を出し切って活躍していただきたい」とエールを送った。 男子砲丸投げの森下選手は「中学生の時に友達に誘われて始めた。今シーズン最後の試合なので最後は優勝で締めくくれるように頑張りたい」と決意を述べた。 女子やり投げの兵藤選手は「高校1年の時に、やり投げを専門にしていた顧問の先生から誘っていただいたのがきっかけで始めた。自己ベスト(57メートル56センチ)を更新することを最低目標とし、強い気持ちを持って、勝負よりも記録を重視してやっていき、攻めの姿勢で投げ抜き、今シーズン最後を納得のいく形で締めくくりたい」と話した。 男子柔道の戸高選手は「両親と兄が柔道をやっていて、それに自分も付いていった形で5歳の時から始めた。4年に1回の全都道府県が出られる年なので、1日目に二つ勝って、前年度優勝の東京と対等に戦い、それを乗り越え、関彰商事、茨城の名に恥じないような結果を出したい」とそれぞれ意気込みを語った。 軟式野球の松本選出は「関彰商事として3年連続の出場がかなわなかったのを大変悔しく思っているが、今回常陽銀行からリベンジの機会を与えられたので精一杯頑張る」と雪辱を誓った。矢萩選出も「茨城県代表として精一杯頑張る」と抱負を語った。 国スポ「青の煌(きら)めきあおもり」は、10日から20日まで開催され、砲丸投げ、やり投げなどの陸上競技は青森市のカクヒログループアスレチックスタジアム、軟式野球は青森市の青森県営野球場、柔道はつがる市の伊藤鉱業アリーナつがるで開催される。(高橋浩一)