10年ごとに実験 日本初の実用免震ビル
40年前に建てられたビルを人工的に揺らし、免振装置の経年変化を調べる自由振動実験が28日、つくば市大砂の奥村組技術研究所で実施された。ビルは鉄筋コンクリート造4階建ての技術研究所管理棟で、日本初の実用免震ビルとして1986年に建てられた。竣工以来、約10年ごとに実験を続けており、今回が5回目。過去の測定結果と比較し、免震装置の性能が設計時予測範囲内の変化にとどまっていることを確認した。
実験では、建物を支える直径50センチの天然ゴム系積層ゴム25基の性能を検証した。エネルギーを吸収するための鋼棒製ダンパー12基を取り外し、総重量約2500トンの建物を積層ゴムだけで支える状態にした上で、油圧ジャッキ2基、200トンの圧力を使って建物を水平方向に10センチ押し込んだ。ジャッキの力を解放して建物を自由振動させ、揺れの周期や振幅などを測定、分析した。力が解放された瞬間、「ドン」という大きな音と共に足元から強い衝撃が伝わったが、それ以降、急速に揺れが小さくなった。

実用免震建物の歴史は約40年と比較的浅く、長期間使用した装置の性能変化を実際の建物で検証したデータは限られている。同社技術研究所の上寛樹所長は、「積層ゴムの性能が、経年によって40年以上にわたりどう変化するかは、実際の建物ではまだ十分に実証されていない。40年分のデータの傾向を分析することで、設計時の予測値が正しいかどうかを検証できる」と話す。

免震構造は、地面と建物の間に積層ゴムなどの装置を設け、地震の揺れが建物に伝わるのを抑える仕組みだ。積層ゴムは、薄いゴムと鋼板を交互に何十層も重ねたもので、建物の重さを支えながら、地震の際にはゴムが水平方向に変形することで、地面の揺れが建物に伝わりにくくする。ただし、石製ゴムだけでは揺れがなかなか収まらないため、エネルギーを吸収するダンパーを併用する。同管理棟では、鋼の棒が変形することで揺れを吸収する鋼棒ダンパーを使っている。
同社によると、過去の実験では、積層ゴムの硬さは設置から20年で約10%、30年で約11%増加。今回の40年目の実験では約12%となり、設計時の予測範囲内で推移していることを確認した。設計上は、120年後に最大30%硬くなっても安全性を確保できるようにしているという。

奥村社長は「30年目までの結果から大体の方向性は予想できていたが、40年目の実験で改めて確認できた。免震技術に対する社会の信頼性も高められたのではないか」と話した。今後も50年目、60年目と実験を続け、得られたデータを学会発表などを通じて業界全体で共有し、免震技術の信頼性向上に役立てるとともに、地震の多い日本で免震建物の普及を目指す考えだ。(柴田大輔)





