つくばの千勝神社
つくば市泊崎の千勝神社が、お盆の恒例行事である打ち上げ花火の継続に向け、クラウドファンディングで支援を呼び掛けている。神社の禰宜(ねぎ)松本哲弥さんは「花火は30年続く慰霊の行事。お盆の文化・行事の大切さを次世代に伝えるためにも、ぜひご協力をお願いできれば」と呼び掛ける。

千勝神社は、谷田川と西谷田川に挟まれた牛久沼に突き出る半島状の場所に位置し、関東では珍しい三つの社殿が横一列に並ぶ「三殿並立」の社殿や、高さ10メートルの木造大鳥居がある。西暦502年に現在の下妻市で創建された約1500年の歴史を持つ古社で、現在の場所に移ったのは1964年。下妻市には現在も元宮がある。正月三が日には全国から約5万人が、夏祭りには1000人余りが参拝に訪れるという。お盆の夏祭りは1993年から続いており、中でも、祭りの終盤に打ち上げられる約400発の花火は毎年の目玉となっている。
材料費高騰 200万円不足
しかし昨今の物価高騰により火薬の原材料価格が値上がり、花火開催の継続を脅かしている。火薬は多くを輸入に頼っており、ロシアのウクライナ侵攻による供給不安や円安が価格上昇に拍車をかけている。今回のクラウドファンディングでは、材料費高騰によって不足が予想される花火打ち上げにかかる費用200万円の協力を募っている。目標金額に達成しなくても、集まった支援金はすべてプロジェクト実行者が受け取ることができる。

松本さんは「今年の費用を見積もると、従来の予算ではまかなうことが難しいことがわかった。神社単独の負担では花火の継続は困難と判断し、クラウドファンディングで支援を募ることにした」と説明する。また「夏祭りは地元の方々のみならず、全国から訪れる崇敬者(信者)にとっても親しまれてきた行事。特に帰省中の家族連れが楽しみにしている恒例の場でもあり、地域とのつながりの場としても貴重な役割を果たしてきた。お盆のお祭りは、ご先祖さまと共に楽しむという意味がある。慰霊の場として、(お盆の風物詩の)文化を継承するためにもご支援をお願いしたい」と協力を呼び掛ける。(柴田大輔)
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