月曜日, 10月 26, 2026
ホームつくば平家物語を語り奏でる琵琶演奏会 29日つくば ウクライナ出身のチェロ奏者 推し

平家物語を語り奏でる琵琶演奏会 29日つくば ウクライナ出身のチェロ奏者 推し

琵琶の演奏会「琵琶へのいざない~平家物語の無常観と哀れ」が29日、つくば市遠東、老人福祉センターとよさとで開かれる。大子町在住の琵琶奏者、谷田部晃功あきのりさん(47)が平家物語の演目「敦盛」と「能登殿最期・壇ノ浦」を披露する。つくば市在住の物理学者でオペラ演出家の大須賀ケネス鬨雄ときおさんによる講演も催される。

それほど感動したなら

音楽を通して世界の国と人々への関心を深めようと、つくばでさまざまな国の音楽講義や演奏会を開催しているボランティア団体「世界音楽の旅つくば発」(石井由美子代表)が主催する。

今回、琵琶の演奏会を発案したのは、代表の石井さん(63)が支援しているウクライナ出身のチェロ演奏家、トルマチョヴ・グリェブさんから琵琶奏者の谷田部さんについて聞いたことがきっかけ。グリェブさんはつくば市に住む妻の姉を頼り、昨年つくば市に避難してきた。来日後、谷田部さんの演奏を聞いて感動。石井さんに思いを伝えた。

石井さんは「考えてみると学校では西洋の音楽ばかり習ってきて、日本の音楽を知らないと気が付いた。グリェブさんがそれほど感動したのなら演奏会を開催したいと思い、谷田部さんにお願いした」と話す。石井さんも谷田部さんの演奏から琵琶の魅力を知り、日本の音楽について勉強している。

演奏会のちらし(同)

アニメ映画のレコーディングに参加

谷田部さんは2016年から正派薩摩琵琶の後藤幸浩さんに師事している。後藤さんは22年に米ゴールデン・グローブ賞にノミネートされたアニメ映画「犬王」や、テレビアニメ「平家物語」の琵琶監修、演奏を担当しており、谷田部さんも「犬王」のレコーディングに参加している。

都内で活動するエレクトリックベースの奏者だった谷田部さん。ロック、ジャズ、ソウルなどさまざまな音楽を聞いていた。特にアフリカにルーツを持つブラックミュージックに傾倒していく中で、「音楽の中にプレーする人のエネルギーやパワーを感じ、日本人としてのルーツは何か考えるようになった」と言う。日本人の精神を元につくられる音を奏でたいと現在、琵琶奏者として活動している。

平家の怨霊を鎮魂

鎌倉時代に成立した軍記物語「平家物語」は、盲目の琵琶法師が琵琶をかき鳴らし語り伝えられてきた。この語りの演奏様式は一説には12世紀末頃から始まったとされる。谷田部さんは、琵琶には死者の意をくみ、冥界とつながる力があると話す。「平家物語は武勇伝のようなものだと思いがちだが、そうではなく非業の死をとげた平家の怨霊への鎮魂の意味合いがあるとされている。慈悲と優しさの物語だからこれまで語り継がれてきた。一生懸命生きた人々に思いをはせながら演奏したい」と演目への思いを話す。

「世界音楽の旅つくば発」は、石井さんが2020年にがんを患ったことや世の中がコロナ禍に見舞われたことから、閉塞感を打ち砕きたいと、同年12月、世界の音楽についての講義を企画し、オンライン配信を始めた。インドネシア、ベネズエラ、ブータン、フィリピン、パプアニューギニアの音楽など、普段あまり耳にすることのない音楽について解説する配信が好評を博し、昨年からは外にも活動の場を広げて、市内の小中学校やまつりつくばなどで年10回ほど演奏会を開催している。(田中めぐみ)

NEWSつくばを見た中高生は500円

◆「和楽器の世界 琵琶へのいざない~平家物語の無常観と哀れ~」は6月29日(土)、つくば市遠東639-1、老人福祉センターとよさとで開催。第1回は午後1時から2時15分、第2回は午後3時から午後4時15分。受付は30分前から。入場料は中学生以上1000円。NEWSつくばを見た中高生は500円。申し込みはこちら。問い合わせは同会のメールまたは電話080-5089-0617(石井さん)へ。

当日は能登半島地震義援金募金箱を設置する。寄付金が1000円以上の人は花の苗を、2000円以上の人は花の苗と谷田部さんが特別栽培した奥久慈大子産「立神米」をプレゼントする。集まった寄付金はつくば市社会福祉協議会を通じて寄付する。

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