24日から 県内初、開館30周年記念
「第59回地図展2026つくば―常陸の先人から研究学園都市・つくばへ」が24日、つくば市北郷、国土地理院内にある地図と測量の科学館で始まった。今年、同館が開館30周年を迎えたことを記念し、茨城ゆかりの地図製作者たちの業績やつくばの変遷を、地図や空中写真など約200点の資料で紹介する。11月1日まで。
地図展は、地図を通して国土や地域への理解を深め、地図の利用を促進することを目的に、1967年に東京で始まった。地図展推進協議会と国土地理院が主催し、茨城県内での開催は初めて。
茨城ゆかりの先人の古地図を展示

2階の特別展示室では、江戸時代後期に全国を測量して日本地図を作った伊能忠敬の「伊能図」をはじめ、茨城ゆかりの人物が手掛けた国内外の地図の複製などを展示する。日本地図の先駆者で高萩出身の長久保赤水、樺太を探検した幕府の役人でつくばみらい出身の間宮林蔵、小笠原諸島の地図を作った笠間出身の小野友五郎、地図や地理書を収集・研究した古河藩家老の鷹見泉石らを紹介する。伊能が間宮に宛てた手紙などの関連資料も並び、地図製作に取り組んだ先人たちの仕事を知ることができる。
2階の廊下には、1883年から2019年までに作られた、現在のつくば市域を描いた8枚の地図を展示する。さらに床面には、国土地理院の測量用航空機「くにかぜⅢ」が2026年3月に撮影した、つくば市の大型空中写真が広がる。縦7メートル、横6メートルの写真は、上空約4800メートルから撮影されたもので、縮尺は3500分の1。担当者によると、身長170センチの人が4800メートル上空の飛行機の窓から目にする光景と同じ縮尺を再現した。

幻の城南電気鉄道谷田部線の資料も
1階の地図のギャラリーでは、「あの日のつくば、今のつくば、そしてこれからのつくば」をテーマに、主に1980年から現在までのつくば市の変遷を、地図や空中写真でたどる。1985年開催の「科学万博」に焦点を当てた展示では、万博会場があった谷田部地区や、万博開催に合わせて設けられた万博中央駅(現在のひたち野うしく駅)周辺などを取り上げ、建設前から現在までの街の変化を紹介する。このほか、土浦駅と岩瀬駅を結んだ筑波鉄道筑波線や、筑波山ケーブルカー・ロープウェイ、大正後期に建設計画が持ち上がった幻の常南電気鉄道谷田部線に関する地図、写真、パンフレットなども展示する。地域の交通の歴史を振り返ることができ、郷土史や鉄道に関心のある人も楽しめる内容となっている。

開会式で、地図展推進協議会の稲葉和雄会長は、地図展が地図への親しみを深め、利用を促すために始まったとし、「デジタル地図が身近になる一方、紙の地図からは地形や文化財の分布、地域の発展の歴史などを読み取ることができる。また、水害時には標高を示す地図が避難先や水の流れを考える手掛かりになる。展示では、それぞれの気に入ったコーナーを楽しんでいただけたら」と来場を呼び掛けた。
国土地理院の河瀬和重院長は、長久保赤水や間宮林蔵ら茨城ゆかりの先人と、国土地理院がつくばに立地することとのつながりに触れ、「つくばは歴史ある街並みや筑波山を擁する一方、研究機関が集積する科学技術の拠点として発展してきた。つくばの魅力や日本の国土への理解を深めていただけるものと期待している」と話した。
つくば市内の科学館を巡る「つくばの科学館JAXA衛星スタンプラリー」の一環で訪れた大阪府の木村真さん(30)は、「伊能忠敬より42年も前に地図を作った長久保赤水という人がいると初めて知った。実際に歩いたわけではなく、膨大な資料や天文学の知識を集めて作ったことにも感銘を受けた」と話した。(柴田大輔)

◆「第59回地図展2026つくば―常陸の先人から研究学園都市・つくばへ」は、つくば市北郷1、国土地理院内の地図と測量の科学館で、11月1日(日)まで。会期中は休館日なし。開館時間は、午前9時半から午後4時半まで。入館受付は午後4時まで。入場無料。来場者には記念地図が配布される。イベント詳細、問い合わせは一般社団法人日本地図センターのイベント公式サイトへ。
▽25日(日)午後1時半から1階ラウンジで講演会が開かれ、日本地図センターの初代地図大使を務めるタレントの石原良純さんが「地図と空を飛ぶ~眼下に広がる地図景色~」と題して講演する。同日午後3時からは1階オリエンテーションルームで、法政大学文学部の米家志乃布教授が「江戸の地図と出版文化」をテーマに講演する。それぞれ予約不要。入場無料。
▽25日(日)午前10時半、31日(土)午前10時半、午後1時半からは、小学生を対象としたワークショップ「手作り地球儀に挑戦しよう!」が開かれる。球体カプセルを使って小さな地球儀をつくる。各回15組(1組3人まで)。事前予約制。予約は公式サイトから。
▽11月1日(日)午前10時から午後4時まで、野外会場で、一定の歩幅を保つことで測量した伊能忠敬をモデルに、歩幅を測って歩測で距離を調べる「歩測チャレンジ」が開かれる。予約不要、雨天中止。





