土曜日, 6月 21, 2025
ホームコラム今、那珂市瓜連地域はてんやわんや《邑から日本を見る》154

今、那珂市瓜連地域はてんやわんや《邑から日本を見る》154

【コラム・先﨑千尋】「瓜連(うりづら)のシンボル、旧役場庁舎がなくなるんだって?」。昨年暮れから那珂市瓜連地区ではこの話でもちきりだ。発端は、昨年12月に那珂市が「瓜連支所の組織配置再編に関する基本方針(案)」を市議会に示し、1月に入ってからネットで公表。この方針に意見があれば出してほしいと、パブリックコメントを募ったからだ。

市が示した方針案の骨子は「財政の効率化と施設の有効利用を行うために、現在市役所本庁の隣にある中央公民館を改修し、瓜連支所庁舎にある上下水道部と教育委員会の行政事務室を移設する。瓜連支所窓口は『総合センターらぽーる』に移設する。支所庁舎は取り壊しも視野に入れて検討する」というもの。5年後に移設を完了するスケジュールも示されている。

いきり立った瓜連地区の住民は市に説明するよう求め、先月28日、同地区まちづくり委員会が主催する形で説明会が開かれた。この説明会には先﨑光市長らが出席し、住民も約250人が参加した。市の説明のあと、約2時間にわたって住民から質問や意見が出され、執行部の姿勢を追及する激しいやり取りもあった。

住民の反発は、基本方針案に「支所庁舎の取り壊しも視野に入れて検討する」という文言があったからだ。

説明会では「取り壊しの方針を示すのはいきなり過ぎる」「住民の声を聞かず、市役所内部で十分な検討もせずにパブリックコメント(パブコメ)を募集するのは手続として瑕疵(かし)がある。提案を撤回すべきだ」「パブコメはガス抜きではないか」などの発言があり、「維持費がかかると言うが、まだ築40年足らずだ。今後の改装費や維持費の見通しを示さなければ判断できない」という意見も出された。

旧町役場庁舎は地域のシンボル

この説明会のあと、同地区まちづくり委員会は、独自に100通にのぼる住民の意見を集約し、今月6日に市に意見書を出した。その要望の主なものは「旧町役場庁舎は地域のシンボル的な建物なので残してほしい。庁舎内にある郵便局や社会福祉協議会を残してほしい」など。

そして19日には、「瓜連・歴史を学ぶ会」と「根本正顕彰会」が「瓜連庁舎に歴史民俗資料館の拡張・利活用を求める要望書」を出した。同市には歴史民俗資料館があるが、展示や保管のスペースが手狭になり、立地環境も悪いので、瓜連庁舎に移設してほしい、という内容だ。

さらに、瓜連出身の故岩上二郎氏が参議院議員時代に立法化した「公文書館法」があるにもかかわらず、同市は公文書館が未設置であり、歴史民俗資料館の移設と併せて公文書館の設置も求めている。

市では今後、パブコメで出た意見やまちづくり委員会などの要望をまとめた上で、改めて市の方針を示すようだが、住民感情を考慮せずに、経費削減などの財政的な理由だけで住民の日常の暮らしに直接関わる庁舎を取り壊すことになれば、行政運営上も今後に禍根を残すことになる。

まず、地区住民の声を聞き、今後どうするのかも一緒に考えていくなど、慎重な対応が求められよう。(元瓜連町長)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

4 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

4 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

未払い残業代3851時間 860万円に つくば市社会福祉課 3年間で24人

生活保護業務などを担当するつくば市社会福祉課で昨年5月、市職員の残業代(時間外勤務手当て)などの未払いが明るみに出た問題で(24年5月9日付)、未払いだった残業時間は、請求権がある2021年1月から24年3月分まで3年3カ月間で、職員24人に対し計3851時間あり、未払い金額は計860万6522円だったことが分かった。5月9日までにすでに支払われたという。 3年3カ月間の平均は一人当たり160時間だった。24人についてはいずれも申請額と同額が支払われたが、昨年5月の発表から支払いを終えるまでちょうど1年かかった。 同市は長時間労働是正のため、残業時間の上限を月45時間、年360時間と定めている。未払いがあった職員24人のうち、最も多かった未払い残業時間について市人事課は、個人情報なので答えられないとし、市が定める上限を超えて残業を実施した職員がいたかどうかについては、規定通り支払われた残業代もあり、未払い分と足し合わせてないので分からないとしている。 残業代の未払いが発生した理由について市は昨年5月、できるだけ申請しないよう管理職が不適切な指導を行っていたため、職員が申請しにくい状況になっていたと説明し、不適切な指導をした管理職に対しては今後、処分を実施するとしていた。市によると2021年1月から24年3月まで社会福祉課の課長を務めた管理職は3人。 未払いに対しては監督責任を重く受け止めるとして昨年、五十嵐立青市長が給料を2カ月間10%減給し、飯野哲雄(当時)、松本玲子副市長2人が1カ月間10%の減給を実施した。一方、管理職の処分の検討はこれからになる。 社会福祉課以外の5課でも残業代の未払いがあることが分かったことから(25年3月12日付)、市は今後、5課の職員に対しても未払い分を支払う予定だ。 一方、昨年5月に明るみに出た市社会福祉課の残業代などの未払い問題は、同市の生活保護行政における一連の不適正業務が表面化する始まりになり、生活保護費の過払い(24年7月20日付)や不適正な不納欠損処理(同8月21日付)、県の監査に対する虚偽報告(25年3月13日付)などが次々に明らかになった。市福祉部は、一連の不適正業務がなぜ発生したのかなどを検証した報告書を6月中にまとめ発表するとしている。(鈴木宏子)

自家用車送迎や県外も 交付対象を拡大 高校生の通学支援金 つくば市

自転車も一律年3万円に つくば市が市内に住む高校生を対象に、2024年度から実施している遠距離通学支援金について(24年2月1日付)、同市は今年度から、交通手段と学校所在地の要件をいずれも撤廃すると発表した。家族の自家用車送迎を受けて通学する生徒や、県外の高校に通学する生徒なども交付対象になる。交付金額は昨年度は自転車通学は年間1万円、バスや鉄道は3万円だったが、今年度からは自転車通学も含め年間一律3万円とする。 つくば市は人口が増加している一方、県立高校が少なく、市外の高校に通学している生徒が多いことから、保護者らの要望を受けて、片道6キロ以上離れた高校に通う生徒を対象に市が昨年度から支援を始めた。通学距離が片道6キロ以上という要件は昨年度と変わらない。 通学手段についてはこれまで、鉄道、バス、スクールバスなど公共交通機関で通学している高校生のうち年間の通学定期代が10万円以上の生徒を対象に年3万円を交付していた。今年度からは公共交通の定期券を購入していなくても、家族の自家用車送迎を受けていたり、自転車などで通学している生徒も一律年3万円を交付する。 学校所在地についてはこれまで、県南地域やつくば市に隣接する18市町村に立地する高校に通学する生徒を対象としていたが、今年度からは学校の所在地要件を無くし、県外の高校に通学している生徒も年3万円を交付する。 市教育局教育総務課によると、片道だけバスで通学し、片道は家族の自家用車送迎を受けて通学している生徒の保護者などから、定期券ではなくバスの回数券を購入して通学しているので支援制度を利用できないなどの意見が出ていた。制度を利用できなかった保護者らの意見を聞き、要件の見直しを実施した。 通学支援金は、初年度の2024年度は2832人から申請があり、2740人が支援金を受けた。交付金額は年6260万円だった。二つの要件撤廃により2025度は利用者が約2000人増えて約4800人となり、交付額は総額1億4400万円になると想定されている。 2025年度の交付申請は7月1日から来年1月末まで、市ホームページなどから受け付ける。 つくば市に県立高校が不足している問題に取り組んでいる市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表は「これまでは自家用車での送迎などが支援対象にならず、制度が始まった当初からいろいろな声が出ていたので(今年度の要件撤廃は)前進だと思う」と話している。(鈴木宏子)

ノバホールで初の演奏会へ つくば市立並木中吹奏楽部

7月5日 つくば市立並木中学校(つくば市並木、渡辺聡校長)の吹奏楽部が7月5日、つくば駅前の音楽ホール、ノバホールで「サマーコンサート」を開催する。学校の外に出て単独コンサートを開くのは初めて。市内の市立中学校でも珍しいという。 「サマーコンサート」は同吹奏楽部の定期演奏会にあたる。これまでは学校の体育館で開催していた。昨年は6月30日に開催、会場に入りきれないほどの300人以上の観客が来場し盛況だったが、エアコンが無い中で熱中症などの心配もあった。初の試みとしてノバホールに会場を移すことになった。部活動の地域移行の在り方が模索される中、地域に開かれた部活動の一つの形となることを期待している。 演奏曲目は3年生を中心に選曲を行っているが、今回は多くの世代に楽しんでもらおうと、時代劇のテーマ曲なども用意する。 県大会で銀賞 吹奏楽部は1979年の並木中開校と同時に発足した伝統ある部活動で、昨年は吹奏楽コンクール茨城県大会中学Bの部で銀賞、TBS子ども音楽コンクール土浦地区大会で優秀賞を受賞した実績がある。 部員は3年生14人、2年生14人、1年生6人の計34人。木管・金管楽器、パーカッションなどそれぞれ担当楽器を持ち、週4日程度、放課後などに活動を行っている。練習は音楽室のほか、パートに分かれて練習する時は空き教室なども利用し、校内に音を響かせながら活動に励んでいる。 活動は新入生歓迎コンサートやコンクール出場のほか、「並木まつり」など地域イベントで演奏し、地域でも幅広く活動している。 顧問は音楽担当の三井健嗣教諭(60)、副顧問は伊藤梨瑚教諭が務める。音楽室には、バッハやモーツァルトなどクラシックの巨匠たちの肖像画のほか、ピアニストの辻井伸行氏やピアニストで指揮者の反田恭平など現在活躍中の若手音楽家の写真や、近年行われたコンサートのポスターが貼られており、音楽に親しむ環境になっている。 記者が顧問の三井教諭が指導する音楽室を訪ねると、メロディーライン、音色、リズムなどを的確につかみ、パートごとの細かい指導を繰り返していた。 吹奏楽部の部長で3年の金昭廷さんは「先生は優しくて、的確な指導をしてくれる。演奏会は体力をつけないといけないので、頑張って廷習していきたい。時代劇の音楽は知らない生徒がほとんどだが、リズムが面白く斬新。楽しみながら全力で演奏したい。当日は温かい目で見守って欲しい」と話す。3年の山口隼平さんは「トランペットを担当している。当日演奏するクラシック曲は難しいが、当日までにしっかりと練習していきたい」と語る。 三井教諭は「ノバホールを借りることができてとても喜んでいる。公立学校の場合は無料で借りられるのでせっかくの機会を大いに利用したい。生徒たちにはこの体験を生かし充実したものにしてもらいたい」と述べる。(榎田智司) ◆並木中学校吹奏楽部第5回サマーコンサートは7月5日(土)、つくば市吾妻1-10-1 ノバホールで開催。開演は午後1時30分。演奏曲目はフィエスタ、恋、A列車、エル・クンバンチェロなど。入場無料。未就学児も入場可。問い合わせは電話029-851-7100(同中)へ。

仕事の能率が上がる服装《地方創生を考える》30

【コラム・中尾隆友】私が就職した30年前、日本の会社員の仕事着は「スーツにネクタイ」だった。しかし、私が20代のころにいた企業では、セクションの大半がアメリカ人、イングランド人、オーストラリア人などの外国人であり、彼らはいつもTシャツとジーパンで仕事をしていた。 当時の外国人メンバーに気付かされたのは、職務に当たる上で服装がその能率や成果に関係しているということだ。ネクタイを締めたスーツ姿と動きやすい私服では、明らかに後者の方がリラックスして集中できる上、疲労の蓄積も軽減できる。 そもそも、ワイシャツやネクタイで首周りに圧力をかけることは、仕事の能率を下げる可能性が高い。人が集中して何かをしようとする時、頭に血液の量を増加させる必要があるが、服装による圧力がその血液の流れを幾分でも妨げかねないのだ。 私は起業した20年前から、いつもリラックスできる服装で仕事をしてきた。春は長袖Tシャツにチノパン、夏はTシャツに短パン、秋は長袖Tシャツにチノパン、冬はパーカーにチノパンといった組み合わせが主流だ。 合理的に考え能率を重視する 今ではIT企業やベンチャー企業などでも、働きやすい服装で仕事をするのが一般的となった。また、近年では大手企業の中にも、服装が自由になる会社が少しずつ増えてきている。日本人の働き方にとって、徐々にではあるものの前進しているように感じる。 それでも首都圏の会社員の通勤時の服装をみれば、いまだ大多数の会社員の仕事着はスーツにネクタイだ。極めて合理的なのは、外部のビジネスマンと会う時以外スーツを着ないという考え方だ。ぜひ、多くの会社に検討の上、実践してほしいと思う。 今の日本の若者は過去の慣習にとらわれず、合理的に物事を考え、能率を重視する人が多い。そういった意味では、私が実践してきた「朝型集中の働き方」(前回コラム参照)や「能率が上がる服装」については、賛同してくれる若者が多いのではなかろうか。(経営アドバイザー)