水曜日, 11月 4, 2026
ホームつくばバス減便 運転手不足深刻【公共交通を考える】1

バス減便 運転手不足深刻【公共交通を考える】1

深刻なバス運転手不足により関東鉄道(本社・土浦市)は今月20日のダイヤ改正に合わせて、つくば、土浦などでバスの減便を実施した(11月24日付)。「2024年問題」といわれるバス運転手などの時間外労働の規制によりつくば市では来年4月からコミュニティーバス「つくバス」の減便が予定されている(11月8日付)。現場で何が起こっているのか、公共交通はどうなるのか。バス事業者、利用者、行政の現場を5回にわたって取材した。

5年半で68人減「苦渋の選択」

県南地域などで路線バスを運行し、市町村からコミュニティーバスの運行を受託している関東鉄道 自動車部の白鳥賢部長(49)は今月20日から実施した減便について「(減便前のダイヤで)運行するにはバス運転手が600人必要だがすでに60人不足し、休日出勤や時間延長でまかなっている。来年4月からの基準を守ると、さらに20人足りなくなる。このままでは立ち行かない。秋以降、観光需要が増えることもあり、前倒しで12月に減便することにした。苦渋の選択だった」と理解を求める。

ここ10年間の同社のバス運転手は、2015年から18年まで600人前後で推移。18年3月時点の601人を境に減少に転じ、20年3月は567人、22年3月は551人、今年10月末時点で533人と減少が続いている。

白鳥部長は「入社して25年経つが、業界として人が足りたことはない。ここ数年は深刻化している。入社する人が減っているのに、退職する人は変わらず一定の人数いる」と説明する。当社のバス運転手の平均年齢は現在52歳。バス業界では平均年齢が50歳を超えると高齢化が進んでいるという指標になっており、「若い世代の入社が減り、運転手が高齢化している」という。

新型コロナの影響もある。同社は路線バスやコミュニティーバスなどのほか、高速バスを運行している。路線バスの赤字は自治体などからの補助金のほか、高速バスの収益で補てんし維持していた。会社全体の営業収益の6、7割を占めるのがバス事業で、そのうちの4割を高速バスが占める。

20年4月に新型コロナの緊急事態宣言が出された。高速バスの乗客はコロナ禍前の6、7割まで落ち込み、運行本数を通常の5割まで減便した。コロナ前の19年度、約71億円を計上したバス部門の営業収益は、20年度は約45億円までダウンした。「コロナ禍で収益の柱を失った。コロナ禍の間に退職した運転手もいる」と白鳥部長。コロナ禍により20年は収益が底を打ったが、今年はコロナ前の19年と比較して8割ほど回復している。「お客さんも戻ってきた」と語る。

(左から)関東鉄道自動車部の白鳥賢さんと総務部の森田玲泉さん

積極採用、次世代の実験も

深刻な運転手不足に対し、同社は数年前から運転手の採用活動に力を入れる。バス運転手になるために必要な大型2種免許の取得費用を会社が負担するなどしてPRする。白鳥部長は「ここ数カ月、募集広告の宣伝効果が出て前年度に比べて採用ができている」というが、ほとんどが40代か50代で、長年バス運転手をやりたいと思っていた人が入社していて、20、30代の入社は年に数人。高卒者も年に1人か多い年で2人という状況だと明かす。

次世代の公共交通として期待される「MaaS(マース)」と呼ばれる新たな移動サービスにも挑戦。情報通信技術を使って複数の移動手段を最適に組み合わせる実証実験を2021年から地元土浦市と連携して実施しており、スマホなどで予約を受け付けAI(人工知能)を活用して効率的に運行するAIバスや、住宅地で時速20キロ未満の電気自動車を走らせ路線バスや鉄道など複数の公共交通と最適につなぐ取り組みなども積極的に行っている。ただし、AIバスや自動運転バスなどの「実用化はまだ先」だとし、現時点では、解決策にはなっていない。

すみわけ、再編し「最適化したい」

では今後どうすればよいのか。白鳥部長は「運転手がいない、お客さんがいないからと(便数を)どんどん減らすと、減らした直後は収支に効果が出るが、全体としてお客さんが減少し会社の将来はない。地域の足を確保することもままならなくなって負のスパイラルに陥る。これは意味がない」と認識する。

その上で、運転手不足に対する今後の対策としては「交通の最適化が求められる」とし、「例えば、現在つくバスの北部シャトルと当社の路線バスが競合している。限られた人数しかいない運転手を2人使うのはもったいない。民間の路線バス、自治体のコミュニティーバス、デマンドタクシー、企業の貸し切りバスなどが連携し、各地域で一回、公共交通を整理してすみ分けし、運転手を無駄なく使うなどの再編をしないと維持できない。1社ではできないので関係者に声掛けして検討していきたい」と話す。

「今回の減便は運転手不足に起因する減便なので、運転手が確保できれば便を復活することを視野に入れている。そういう努力はしていきたい」という。

続く

➡「公共交通を考える」の過去記事はこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

筑波大学附属図書館 特別展を訪ねて《ふるほんや見聞記》22

【コラム・岡田富朗】筑波大学附属図書館の貴重書展示室では、11月20日まで、特別展「戦いのものがたり―語りと記録がつくるイメージ」が開催されています。 絵巻、軍記物語、合戦図 本展では、同館所蔵の絵巻や軍記物語、合戦図など計36点の古典籍を通して、人々が戦いをどのように語り、描き、後世へと伝えてきたのかをたどります。世界各地で戦争や紛争が続く今だからこそ、過去の戦いの歴史に触れ、その記憶や伝承のあり方について改めて考えることができる貴重な機会となっています。 筑波大の歴史は、1872(明治5)年、東京・湯島聖堂内に日本初の教員養成機関として発足した師範学校にさかのぼります。大学の歴史とともに附属図書館に受け継がれてきた資料は、2026年3月時点で、貴重書は1万2407冊、和装古書は約17万8000冊にのぼります。 特別展は1995(平成7)年に始まり、今年で35回目を迎えます。約1年に一度、秋の学園祭の時期に合わせて開催されてきました。普段はなかなか目にすることのできない古典籍資料を、学生や研究者だけでなく、一般の方も無料で鑑賞することができます。 本展では、「蒙古襲来絵巻」をはじめ、古代・中世の戦いや事件を描いた絵巻の模本や軍記物語などが一堂に公開されています。なかでも、国宝「伴大納言絵巻」(出光美術館所蔵)の写本と考えられる筑波大学本「伴善男物語」は、虫喰いや破損が激しく、長らく公開が難しかった資料です。2024年から約2年をかけて修復され、今回、初めて公開されました。 貴重書などをデジタル化 同館では、貴重書や和装古書のデジタル公開も進められており、インターネットを通じて資料を閲覧することができます。 デジタル公開は資料の保存と活用を両立するうえでも大きな意義があり、世界的にも図書館が所蔵資料をデジタル化し、より多くの人が利用できるようにする動きが広がっています。一方で、貴重な資料を実際に間近で鑑賞することの意義も、高まっているように感じます。本展の展示資料はすべて実物で、紙の質感や色彩、筆跡など、デジタル画像だけでは伝わりにくい魅力に触れることができます。 10月28日には、芸術系准教授 水野裕史さんによる「古典を描き、写し、学ぶ―江戸時代後期の絵巻受容」、人文社会系助教 菊池そのみさんによる「『伴善男物語』修復後初公開によせて―物語と記録」、図書館情報メディア系教授 白井哲哉さんによる「戦を物語る絵図―布陣図・合戦図」の特別講演会も開催されました。 貴重書展示室では、特別展の開催期間以外は常設展示が行われています。「古典籍のインターフェース」をテーマに、本のかたちや構成、写本・製版本・活字本についてなど、同館所蔵の資料を通して紹介しています。また、常設展・特別展ともに展示図録が制作されており、研究者からも高い評価を得ています。(ブックセンター・キャンパス店主)

バイシクル・ダイアリーズ ⑺《ことばのおはなし》97

【コラム・山口絹記】前回記事では、ツール・ド・つくばを完走し、次の目的地を佐賀県に決めたところまで書いた。 大会後、オーバーホールに出していた自転車が帰ってきた。チェーンやワイヤーなどが交換され、すっかりきれいになっている。店長さんから整備内容の説明を受けたあと、私は切り出した。 「今度、佐賀に行くんですけど、このバイクを連れていきたいんです」 「飛行機輪行ですか?」 輪行というのは、自転車を分解して袋などに収納し、公共交通機関で運ぶことだ。飛行機の場合、運搬中に破損する危険もあるため、店長さんはあまりお勧めしないという。 「ちなみに出発はいつですか?」 「今月末です」 数秒の沈黙。 「ツール・ド・つくばもですけど、また時間がないですね」 なんかすいません。 それから出発まで、何度も自転車屋さんへ通うことになった。輪行袋に入れるために前輪やペダルを外し、ブレーキを保護し、さらにリアディレイラーという変速機まで取り外す練習をする。飛行機のサイズ制限に収めるため、シートポストまで切った。 家でも、ひたすら分解と組み立てを繰り返し、翌日、また店長さんに見てもらう。店の前で作業していると、来店したお客さんに店員と間違えられた。最初は訂正していたのだが、面倒になったので「受付は店内でやっています」と案内することにした。もういいや。 「茨城から、自転車で?」 そして出発当日。朝からバタバタしてしまい、成田空港に着いたのはチェックイン締め切りの9分前。自転車と荷物を抱えて空港を走り回り、なんとか3分前に手続きを終えた。 福岡空港に着くと土砂降りである。空港の外で自転車を組み立て、レインウェアを着て出発。まずは「牧のうどん」で腹ごしらえをした。甘い味付けが好みの私には、九州のうどんが実にうまい。 店員さんに「どちらから?」と聞かれ、「茨城です」と答える。 「自転車で?」 さすがに、そこまで冒険野郎ではない。 その後、雨の中を30キロほど走って博多駅へ。ここで高校時代の友人と、約10年ぶりに再会した。焼鳥屋で昔話をしながら、今回、九州に来た本当の目的や、自転車に乗り始めた理由についても話した。 10年ぶりだというのに、不思議と昨日も会っていたような気がする。17歳だった私たちが、20年後にこんな話をしているとは思わなかった。夜、友人にホテルまで送ってもらい、部屋に入ったところで力尽きた。 翌朝目を覚ますと、レインウェアを着たまま、靴も脱がずに寝ていた。お湯を注いだカップ麺は、すっかり伸びきっている。(言語研究者)

つくば駅前でトラクターデモ 令和の百姓一揆いばらき 県内8農協も参集

「令和の百姓一揆」ののぼり旗を掲げたトラクターと軽トラック計28台が1日、「日本の食と農を守ろう」などと訴え、つくば駅周辺をデモ行進した。令和の百姓一揆いばらき実行委員会(共同代表 秋山豊日本の種子を守る会会長など)が県内で初めて実施した。県内の農家や消費者など約350人が集まり、「農家に補償を」「国産守ろう」などと声を上げながらトラクターに続いて、つくば駅前の土浦学園線、東大通り、西大通りなど約3キロをデモ行進した。 県内17農協のうち、地元のJAつくば市、JAつくば市谷田部、隣接のJA水郷つくば(本店土浦市)のほか、 JA常陸(常陸太田市)、JA日立市多賀(日立市)、JA水戸(水戸市)、JA北つくば(筑西市)、JAやさと(石岡市)の8農協が参集した。農民運動茨城県連合会(農民連)、県生活協同組合連合会なども参加し、農家と消費者が一緒に声を上げた。 デモに先立って、同市竹園の大清水公園で集会が催され、共同代表の一人、涌井義郎 鯉渕学園農業栄養専門学校元教員は「日本の農業と食を取り巻く環境は厳しさを増す一方。茨城でも農家が毎年3000人減り、過去5年間で25%減った。これは大変な危機。なぜこんなに減ったのかといえば、暮らしていける所得を稼げないから」と話し「こんな状態でいいんでしょうか。この国の子供たち、孫たちが、国産の食料をずっと食べ続けられるためには農家の所得が安定しなければならない。所得補償を訴えていこう」などと話した。 県内の農協に参加を呼び掛けた共同代表の一人でJA常陸の組合長でもある秋山会長は「JAもついに立ち上がった。党派を超えて、現場のエネルギーを訴えようということになった」と話し「我々農民が自ら食料をつくって子供たちに食べさせる、そういう意志がないとこの国はだめになる。我々農民は何が何でも日本の農業を守って、食料を守る」と語った。 地元JAつくば市の関喜幸組合長は「今の農業情勢では農家が食べていけない。農業の所得補償が一番。消費者にも農家の実態を把握してもらいたい」などと話し、JAやさとの広沢和善組合長は「今年、JAやさとは(組合員の農家から60キロ当たり)1万3000円でコメを買い上げた。そしたら農業者の皆さんから『安くてやっていけない』とお叱りを受けている。去年は3万4000円で買った。そしたら消費者の皆さんからおコメが高いと叱られた。日本の主食であるコメが安い高いを繰り返すのは競争原理に原因がある。主食なので、国が値決めをしていくことにもっていかないと将来は厳しい」などと訴えた。 共同代表の一人で、農民連の岡野忠常任執行委員は「今日ここに、さまざまな立場の人たちが国民の食料、農業を守るために集まることができた。画期的なこと。『国民を飢えさせるな』と、政府に大きな声を上げていこう」などと呼び掛けた。 トラクターデモでは、「米作って 飯食えない」と書かれたむしろ旗を掲げたトラクターや、「外米輸入拡大反対」と書かれた横断幕を貼り付けた軽トラックがつくば駅前をゆっくり走り、沿道では、スマートフォンでトラクターの写真を撮る若者の姿も見られた。病害虫の侵入を防ぐため現在輸入を禁止している生鮮ジャガイモの輸入解禁に向けて米国と協議が進められている状況を受けて、手作りのジャガイモの張りぼてを頭にかぶり、「国産ジャガイモを守れ」と訴えながら歩く男性や、「いつまでもあると思うな食と農」と書かれたむしろ旗を持って歩く女性の姿もあった。(鈴木宏子)

「わんわんランド」で学園祭 つくば国際ペット専門学校

パートナードッグと成果を披露  つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、東郷治久理事長)の学園祭「第16回犬友祭(けんゆうさい)」が、隣接する犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」を1日貸し切りにして31日催された。動物看護師、犬の訓練士や美容師などを目指す学生たちがさまざまな企画を用意し、普段の勉強の成果を披露した。 卒業生や家族など約1500人ほどが集まった。卒業生が久しぶりに友人たちに会う機会にもなった。 犬や猫のトリミング、トレーニング、ブリーディングなどペットビジネスの知識と技能を総合的に学ぶ「ペットケア総合コース」2年生は、「同じタイプのわんちゃんとふれあう」という企画を実施。人の性格診断を用意して犬との相性を確認し、来場者に合った犬を選定するという催しを実施した。 会場にはグルメコンテスト「OKAWARI(おかわり)」と称し、生徒たちが出店したハンバーガーやおでん、ラーメンなどの模擬店が並んだ。 フィナレーレを飾ったのは、ドッグトレーナーコース2年生26人による「ドッグ・パフォーマンス・ショー」。入学直後から毎日一緒に過ごしているそれぞれのパートナードッグ(伴侶犬)と1年半向き合った成果として、犬の障害物レースや曲芸を披露した。時折、犬が言うことを聞かない場面もあったが、成功すると会場から大きな拍手が湧き上がった。 横浜市からラブラドール・レトリバーの愛犬と共に来場した卒業生の西塚芽衣さん(23)は「久しぶりに母校に来られて良かった。年前卒業して、今は犬の訓練士をしている。ここで学んだことが役に立ち、犬が好きだから毎日が楽しい。これからもマイペースでやっていきたい」と話した。 つくばわんわんランドは今年30周年を迎え、つくばペット専門学校は来年、30周年になるという。(榎田智司)