【コラム・海老原信一】4月下旬~5月中旬の3度の裏磐梯通いが、今シーズンの高原探鳥の始まりになりました。昨冬は雪が少なめでしたが、今冬はそれ以上に少なめでした。例年なら、残雪が低木を地面に押し付け、暖かくなった陽射しで雪が緩み、木々が軽くなった雪を跳ね上げる。その「バサッ」という音で季節の変わり目を感じたものです。
ところが、今年は大分勝手が違っていました。森に残雪はなく、木々は早くも薄緑の葉を茂らせ、森の見通しは効かない―すでに初夏そのものです。そうなると、不安が頭をもたげます。これじゃ~鳥が見えない、少し距離をとっての観察ができない、葉の茂る中からひょいと現れたらレンズを向ける暇もない、と。
その上、「今シーズンの夏鳥の飛来が少ない気がするなあ」との鳥見仲間の声も聞こえてきて、不安が一層募ります。森の入り口に立つとキビタキのさえずりが響いてくるはずなのにそれもなかったし、コサメビタキなどの姿も見ない、アオジがやぶ中を歩き回る姿もなかったし、と。
肩にした機材を重く感じながら、両側の緑が濃くなりつつある森の中の野鳥を探して、定められた散策路をいつもの観察場所へと向かいます。そこは森の高台に近く、視界が開けて木々の中腹が視線の高さに近いので、野鳥たちを見上げないで観察できる「よい場所」なのです。
14年ぶりに会えたノジコ
さて、3度通った結果ですが、3度とも不安がそのままの結果となりました。今回ほど鳥たちの観察数が少なかった裏磐梯通いは、初体験です。さえずり声が聞こえないのは、「飛来数が少ないから縄張り争いが必要ないのだろうか」なんて考えました。
それでも、オオルリ、クロツグミ、コムクドリと、それぞれ一度だけですが会えました。それに、キビタキ、コサメビタキ、サンショウクイ、ゴジュウカラ、アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、ニュウナイスズメなども、数は少ないなりに観察できました。一方、ウグイスの元気さは別格です。あの「ホウー、ホケキョ」を聞くと元気が出ます。身を絞るようにしてさえずる様子は、生きるための必死さを感じます。
今回の裏磐梯行で最もうれしかったのは、14年ぶりに観察・撮影できた種に会えたことです。それはノジコ。アオジによく似た種で、降雪の比較的多い平地や山地の林に生息する種で、裏磐梯以外では奥日光で観察した記憶があります。「もう会えないだろう」と思っていただけに、うれしさは格別でした。(写真家)






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