ウクライナ出身で東京都在住の民族楽器奏者、カテリーナさん(37)のコンサートが16日、ノバホール(つくば市吾妻)で開かれる。弦楽器の一種バンドゥーラを奏でるチャリティーコンサートで、収益と募金はウクライナ大使館や同国からの避難学生が学ぶ筑波大学、国境なき医師団に寄付する予定だという。
コンサートを主催するのは、つくば市上郷在住の尾崎秀子さん(75)。「ウクライナへの軍事侵攻がはじまり、これは他人事と思わずに、なぜこのような戦争が起こったのか、当たり前の普通の暮らしがいかに貴重であり、もろく崩れ去るのか、平和な状態をどのようにして維持できるかなどを考えてもらいたいと思った。それで、カテリーナさんの音楽の力をお借りしようと思い至った」と話す。
カテリーナさんは、日本各地でバンドゥーラの公演を行っている。ウクライナのブリビャチ生まれ。チェルノービリ原発から2.5キロの地点で生まれ、生後1カ月で原発事故により被災。自宅から強制退去となり、家族で首都キーウに避難した。被災した子供たちで構成された音楽団「チェルボナカリーナ」に所属し、世界各地に演奏旅行に赴く中、日本にも公演に訪れ、19歳の時に日本に活動の拠点を移した。
今年5月には生い立ちや音楽、戦争についてつづる「カテリーナの伝えたい5つのこと」(ナイデル)を出版した。福島の原発事故にも心を痛め、演奏活動を通じて支援を行っているという。
つくばでのチャリティーコンサートは昨年7月にも市民ホールとよさと(つくば市高野)で行い、2回目の開催となる。前回は425人が来場し、チケットの売り上げは経費を除いてウクライナ大使館に寄付した。尾崎さんがカテリーナさんのCDを初めて聞いたのは2010年頃のことで、友人からCDをもらったのがきっかけだった。2013年に兄と姉を3カ月の間に亡くし、その悲しみを慰めてくれたのがバンドゥーラの音色だったという。
「若い方々、学生さんたちには、自分の人生、何を大切にして生きて行くのか、考えてもらいたい。カテリーナさんの歌声とバンドゥ-ラの演奏から何かを感じ取って頂ければうれしい。きっと心に響くものを感じ取っていただけると思う」と来場を呼びかける。(田中めぐみ)
◆カテリーナ〝平和を祈る〟コンサート 16日(日)午後1時30分開場、午後2時開演。 会場はノバホール(同市吾妻) 入場料は大人2000円、18歳以下・学生・障害者1000円。チケット販売はノバホール。 定員800人。問い合わせは事務局(電話080-1118-0289)