応援、本当にありがたい
―もう新保選手が抽選前から引き当てることが決まっていたかのようなサイドストーリーですね。野球部員とブラスバンド部、チアリーディング部は交流があるのでしょうか。
高橋 うちは文化祭でも3つのクラブがコラボして応援メドレーっていうのを必ず発表しているので、3つの交流はよくやっています。一般生徒は終業式が終わったら応援に来てくれますが、吹奏楽とチア部は1試合目から来てくれます。今年は制限がかからないこれまで通りの応援ができるということで、今回の選手宣誓の文言にもきっちり盛り込まれているけど、やっぱり学校応援があって、普通の方々が来てくれると言うことは気持ちの高まりも違うし、本当にありがたいですよね。
費用負担抜きでは語れない
―公立高校で話題になっている部活動問題について、高橋監督の見解をお聞かせください。
高橋 どこかから聞いた話ですが、日本の部活動制度っていうのは、外国のどこにもない、学校に行っていれば貧富の差がなく平等に部活動の機会を得られるんですよね。他国は地域スポーツだっていわゆるアカデミーみたいなのを立ち上げてっていうとそこにはお金が必要で、お金を払ってチームに入れる。そういう制度になると、貧富の差で受けられなくなる可能性がある。日本の部活動というシステムはそういう側面では優れていたんだと思います。ところが、アカデミーになるとみんな平等に受けられていたことが受けられなくなる。中学も高校も、部活動の指導がしたくて教員になっている人がいっぱいいて、その先生達がやる分には問題ないと思うんだけど、やりたくない先生だっている。先生の働き方改革のためには、別の指導者を雇わなくてはならない。生徒の部活動の機会の確保と併せて費用負担抜きでは語れない問題ですね。
「こういうところを見習おうよ」
―WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は全試合ご覧になりましたか。
高橋 全試合見ました。映画(「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」)も見ましたよ。1週間前に部員全員を連れてレイトショーを見てきました。選手たちも感動して良かったって言っていたみたいです。映画は特に勉強になりましたね。まだまだ試合が終わってないんだから泣いちゃダメだろうとか、同点に追い付いた後に勝ち越されて、その瞬間にベンチの中が静まりかえった。その時に大谷翔平選手が「大丈夫、大丈夫、大丈夫」って、ベンチ内を大声で練り歩くの。あれ見た瞬間、こんなやついるんだって驚きましたね。静まり返ったベンチが息を吹き返す。プレーだけじゃない。こういうところを見習おうよって、君たちにもできるよってミーテイングで話しました。
―最後の質問です。大会に向けての意気込みを語っていただきたいと思います。
高橋 今までの経験上、勝ちたい勝ちたいと思っていない方が勝てているように思います。チームは完璧に力のある仕上がりにはなってはいませんが、かと言ってエース級が何人かいても上手くいくとは限らない。そこが難しいところですね。甲子園という素晴らし場所にいけるように選手達は頑張ってきたんだから、優勝したいねって話をしています。なんとか甲子園に出て校歌を歌えるようになれれば良いですね。
―戦いぶりを楽しみにしています。ありがとうございました。
(聞き手・伊達康)