桜川で増えている外来魚アメリカナマズを食べて活用できないかと、新たな模索が始まっている。4月上旬、「東京ディープチャイナ研究会」に所属するつくば市在住の医療通訳士、松永悠さん(49)が中心となり、アメリカナマズを使った本格的な中華料理を試食する会を開いた。
集まったのは同会代表で、「ガチ中華」を発掘するメディアサイトを運営する「東京ディープチャイナ」編集長の中村正人さんや、インバウンド・地方創生に関するメディアで編集に携わる大坊比呂志さんなど、本格中華に興味を持つ30代から50代10人と、中華料理のシェフ1人。都内からつくば市松塚の桜川漁協拠点を訪れてナマズ釣りを体験し、中華料理2品を試食した。
「ガチ中華」は、日本で暮らす中国語圏の人が好む、日本人向けのアレンジをしない本格的な中華料理だ。中国語圏のオーナーが経営する「ガチ中華」の店は、新宿、池袋、新橋、上野などを中心に都内で急増しており、都内近郊にも広がっている。顧客は主に日本で暮らす中国人だが、近年は海外旅行気分を味わいたいと訪れる日本人ファンも増えているという。本格中華にはナマズを使った伝統料理がいくつかあり、中でも四川省の麻辣(マーラー)を使った料理が有名だ。
ナマズと聞いて「ガチ中華」ファンの食指が動いた。中村正人編集長は「麻辣中華と結びつけることで新しい地域の可能性が見つかったらおもしろい」と話す。

参加者らは朝9時頃から釣りを開始。すぐには釣れず、途中漁協の組合員2人も手伝いに加わった。午前11時過ぎ、釣りは初めてという石坂みずきさんの竿(さお)にナマズがヒットし、見事に釣り上げた。その後、3匹釣り上げ、計4匹を参加者らが絞めて、田悦良さんがその場で料理した。田さんは北京出身だが四川料理も手掛け、都内のいくつかの中華料理店を掛け持ちするシェフ。麻辣鍋とトマト鍋2種類の鍋を作り、参加者らと桜川漁協の鈴木清次組合長が試食した。
参加者の一人、中村征太郎さんは「ナマズは初めてだったので泥臭いのかなと不安があったがそんなことはなく、シンプルな白身魚のような淡泊な食感と味わい。麻辣鍋の方はご飯がほしくなるようなパンチがあり、お酒のつまみにもぴったり。トマトベースの方は野菜スープやミートソースのような印象で、こちらはパスタと組み合わせたり、子ども向けにもいい」と好印象。ナマズを最初に釣り上げた石坂さんも「麻辣もトマトもどちらもとてもおいしい。ナマズの骨で出汁を取った麻辣鍋のスープがなんとも癖になるおいしさ。米麺を入れるのもよいかも」と話した。
ナマズフェスや返礼品の提案も
鈴木組合長とナマズ料理を囲みながら、ナマズをどう利用するかについてもアイデアが出た。中村征太郎さんは、つくば駅周辺の公園で「ナマズフェス」を開催し、食べたことのない人にナマズ料理を振る舞ってつくばが産地だとアピールすることを提案。イベントにはつくばにゆかりがあるタレントやアーティストを招待して集客力、告知力アップにつなげてはどうかと話した。また、フェスのTシャツを毎年異なるデザインで作成、販売すれば、コレクションしたいと参加する人が増えるのではと考えを話した。

大坊さんは「麻辣ナマズ鍋セット」を商品開発し、つくば市の特産品としてふるさと納税の返礼品にすることを提案。寄付金は桜川の河川環境の整備、ナマズ養殖などに使用することもできるのではと言う。「地域課題を解決していくには、民・官の連携が不可欠だが、日本が誇る学園都市つくばなので『学』との連携も視野に入れてみては」とアイデアを出した。
試食会を企画した松永さんは「まずはつくば市内の中華料理の店と連携して実験的に使ってもらおうと考えている。生態系の保全など環境問題に貢献できたら」と話す。現在、食べるためにアメリカナマズを捕る漁業者はいない。(田中めぐみ)
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