金曜日, 1月 2, 2026
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キャンパスの風景変える開放系のファサード【つくば建築散歩】2

筑波大学 総合研究棟D

2000年代初頭、筑波大では部分的なキャンパスリニューアルを進め、次世代研究や授業の拠点となる施設を新築した。中でも、従前の大学施設に見られる茶褐色系の落ちついた意匠から離れ、メタル系の外装とガラスカーテンウオールを駆使した斬新な建物として2004年に完成したのが総合研究棟Dだ。本連載のコメンテーターである筑波大学名誉教授の鵜沢隆さんの設計作品でもある。

視点の移動で表情が変化

【鵜沢名誉教授コメント】「学内を環状に循環するループ幹線道路の南端の敷地に、新たな大学院教育・研究施設を設計するにあたり、道路に沿って湾曲した建築のボリューム計画が、その必然的なスタートラインであった。それに対して大学施設部からは、他の大学施設との連続性から、キュービックなボリュームの建築が強く求められたが、最終的にはデザインに対する全面的な理解と支持を獲得して実現した。

総合研究棟D(同)

主要な設計意図は、緩くカーブする開放的で、柔らかな外観の表現と、連続的に変化する道路からの視点に応じて表情が変化する、建築の外観の実現にあった。

そこで採用されたファサード(正面の外観)の素材が、開放的なガラスとFRP(繊維強化プラスチック)のグレーチング(格子状の構造材)であった。FRPのグレーチングは、視点の移動による表情の変化が意図されただけでなく、直射日光や西日のコントロールのためにも採用された素材であった。その結果、教育・研究施設としての開放的な空間を実現したばかりか、筑波大学の新しい建築のシンボルとして学内外から受け入れられることにもなった。

建築の外観のみならず、各階のインテリアには様々なデザイン的仕掛けが施されているが、教員や学生たちには、それらのデザインはすでに日常的な風景となっているようだ」

総合研究棟Dの内部。各階のインテリアには様々なデザイン的仕掛けが施されている(同)

次世代のイメージを実現

【建築散歩】この建築プロジェクトで、名誉教授で建築家の鵜沢隆さんと出会った。

当時、芸術学系教授であった鵜沢さんは、学生が通って快適さを感じる開放的な建物を提案した。建物はキャンパス内をループする周回道路沿いの建設敷地で、周回道路に沿った外観を特徴とするような配置計画を描き、実際の研究棟も道路側ではけやき通りからかえで通りに連なる道の、アールに寄り添うような曲面で建設されている。

このファザードが、今ではスタンダードとなった金属製ルーバー(細長い板を平行に複数並べたもの)による意匠表現を与えられ、研究棟本体がコンクリートの塊である様子を感じさせない。ルーバーの内側はサッシュ(窓枠)を含めたガラスのカーテンウオールが見え隠れしており、質実剛健な印象を与えた他の総合研究棟に対して、並木道と融合した次世代のキャンパスイメージを実現させた。

設計は、東京ビッグサイトの設計で有名な佐藤総合計画が協力している。佐藤総合計画は、土浦市役所旧庁舎(2020年5月17日付)や改修以前の土浦市民会館(20年5月16日付)を手がけた佐藤武夫建築設計事務所が前身だ。(鴨志田隆之)

筑波大学大学会館にある、もう一つの鵜沢隆名誉教授設計の「総合交流会館」夕景。開学30周年記念として2006年に竣工した。鵜沢名誉教授は「学内外の交流と大学の情報発信の象徴的な拠点として、大学会館の閉鎖的な空間とは対照的に、開放的な『ガラスボックス』を大学会館に貫入させる意匠となった。この施設の実現によって、学外からの車による直截的なアクセスが視覚化された」とコメントしている(同)

続く

➡つくば建築散歩1 槇文彦、筑波大学大学会館はこちら  
➡つくば建築散歩3 坂倉建築研究所、つくば国際会議場はこちら 
➡つくば建築散歩4 谷口吉生、つくばカピオはこちら 
➡つくば建築散歩5 伊東豊雄、南3駐車場はこちら 
➡つくば建築散歩6 妹島和世、ひたち野リフレはこちら 
➡つくば建築散歩7 磯崎新、つくばセンタービルはこちら (敬称略)

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あけましておめでとうございます【吾妻カガミ】214

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不適切な事務 新たに4点 つくば市生活保護行政 県監査で指摘

生活保護行政をめぐり茨城県福祉部が今年度実施した一般監査で、つくば市に対し、新たに4点の不適切な事務を指摘し、市に改善を求めていたことが情報開示請求で分かった。 つくば市の生活保護行政をめぐっては、誤認定や過支給など不適正な事務処理が2024年度に相次いで明らかになり、市は今年6月、実態調査の結果と再発防止策を記した報告書をまとめたばかり。報告書の調査は十分だったのかが問われる。 県の監査結果は今年8月に市に通知され、市福祉部は9月に改善報告書を県に提出した。市は4点の指摘事項をいずれも認め、県に改善に向けた取り組みを報告している。 問われる再発防止策の実効性 不適切だと指摘を受けた4点のうちの一つは、2024年度に発覚した障害者加算の誤認定の後処理をめぐるもの。県の監査で「自立更生費の検討過程について記録が不十分な事例」があり不適切だなどと指摘された。 市は、誤認定により生じた過支給分の返還を生活保護受給者に求めるにあたり、一部の受給者について、過支給分から「自立更生費」を差し引いた上で返還を求めた。自立更生費とは、受給者が就労や健康回復など日常生活や社会生活上の自立を目指すために必要な費用で、家電の買い替え、資格取得の学費、就労に必要な衣服の購入費、住宅の修繕費などが認められる。 6月の報告書で市福祉部は、誤認定をめぐる再発防止策として「今後の誤認定を防止するため、法令を再確認し、チェックリスト、フローチャートの作成を行い」「法令と根拠資料を突合し、要件の確認を徹底していく」など、自ら再発防止策を掲げていたにもかかわらず、県から指摘を受けた。 県の指摘に対し市は「ケース診断会議で自立更生費の詳細な検討は行っていたものの、記録についての認識不足により検討過程の記録が不十分だった」と県に回答しており、6月の報告書で自らまとめた再発防止策の実効性が問われた形だ。 自立更生費に清涼飲料水121万円 一方、市が誤認定の後処理をするにあたり、具体的に何を自立更生費と認め、返還金から控除したかが、情報公開された資料で一部明らかになった。返還に関する資料に自立更生費として「清涼飲料水代121万750円」「電動自転車12万円」「貸し倉庫利用料10万6244円」などが記されており、生活保護に詳しい関係者によると、通常は認められることが難しい内容だという。 自立更生費として控除したのは最大で過去5年分という。詳細は明らかにされてないが、121万円の清涼飲料水の場合、仮に1本150円と計算すると8071本分、1日当たり4.4本に相当し、5年間にわたって毎日、150円の清涼飲料水を4.4本を飲み続けた額に相当する。この点について市社会福祉課は、医師に病状調査し決定したなどとし、対象者の生活状況や病状によって必要かどうか個別に検討した結果であり、適正だったとする。 不適切な診断料500件超 監査での県の指摘事項はほかに①生活保護受給申請者の親、きょうだい、配偶者などに経済的に援助する力がないかを調査する扶養能力調査が適正に実施されていない事例があった、②受給者の収入の課税調査について、遅くとも8月分の保護費に反映するとされているにもかかわらず、課税調査の完了が9月となっている事例があった、③障害年金の受給を申請する際に必要となる診断書料の支給手順について、本来、市が検診命令を出し、医療機関からの請求を受けて、市が医療機関に支払うべきところ、申請者が医療機関に診断書料を払い、市が申請者に支給していたなど、国の通知に基づかない不適切な診断書料の支給が2019年度から5年間で500件を超過していたことが新たに認められたーなど。 ③500件を超える不適切な診断書料の支給について市社会福祉課は「県には以前から運用誤りの報告をしていた」などとして、県に監査結果通知の訂正を求めていたが、県は「見解は変わらない」としている。市によると、不適切な診断書料の支給は550件225万1350円分で、国に返還する必要はないとしている。(鈴木宏子)