日曜日, 10月 25, 2020
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【土浦建築探訪】㊤ 市民会館24日開館 建築音響工学の先駆者設計

【鴨志田隆之】老朽化していた土浦市民会館(同市東真鍋町)の大規模改修工事が完了し24日オープンとなる。1182席あった大ホールはいすの幅を広げて客席を1019席に若干減らし、来場者が移動しやすいよう通路を設けるなど、耐震補強と共に安全で快適に利用できる施設へとリニューアルされた。

市民会館は1969年2月に開館した。近代の市保有公共施設として古株に属する。戦後、東京都内にも本格的なコンサートホールがなかった時代に、市民要望を元に市長公約として建設が実現していった。

当時の土地改良事業の一環として市民会館の建設地が定められ、華美に流れず、質索であっても堅実なものをという市民の声が反映された。大ホールは音響効果のよいクルミ材の化粧合板に不燃処理を施し、音響効果の優れた性能と木材のやわらかい感触を両立させるなどの工夫が凝らされた。

リニューアル後もクルミ材の壁はそのまま利用され、当時のままの内装や外装をできるだけ生かした改修となった。

近代日本建築のけん引役が設計

このような建築物を実現させたのは、近代日本建築のけん引者の一人である佐藤武夫(1899~1972年)。在籍した早稲田大学助教授時代に日光東照宮の本地堂で「鳴竜」現象の発生プロセスを科学的に解明し、建築音響工学を極めた建築家だ。

正確には、佐藤氏が主宰する佐藤武夫設計事務所(現・佐藤総合計画)において編成されたチームの設計だが、単純な劇場ではなく、想定されるすべての催事と、多数が集会でき活用する多目的ホールとして、それぞれの施設機能を分割あるいは総合一括利用できる建物が考えられた。

佐藤が手がけた建築は、早稲田大の大隈講堂に始まり、晩年の岩手県民会館まで文化会館や庁舎など全国各地で活躍したが、1960年代までの著名な建築が改築などで現存しなくなってきた。

機能や素材の更新を行いつつも、土浦市民会館は建設当時の市民の思いを形として残すに至ったことが、市民の共有財産として恵まれた存在だ。そして実は、土浦市にはこの会館と兄弟関係にある、佐藤の設計で生まれた公共建築がもうひとつ残されている。それは旧庁舎(2代目庁舎=下高津)だ。(続く)

◆土浦市民会館(クラフトシビックホール土浦 土浦市真鍋町2-6。1969年2月開館。リニューアルオープンは2020年5月24日。敷地面積1万6940平方メートル。建物は鉄筋コンクリート造り3階建て、延床面積5180平方メートル。

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