土曜日, 11月 15, 2025
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国保改革めぐり、つくばの乱 議会が意見書可決 「他市町村分も負担」

【鈴木宏子】国民健康保険(国保)の運営が今年4月、市町村から県に移行する制度改革をめぐって、県が昨年11月に市町村に示した保険料などの仮算定の数値が波紋を広げている。「(県が示した数値は)到底市民の理解が得られない」などとして、つくば市議会は11日、見直しを求める意見書を全会一致で可決した。

仮算定でつくば市は、2018年度に必要な保険料総額(国保の全体事業費)が一人当たりに換算して3117円増加し、一人当たりの年間額が県内一高い13万191円になるという数値が示されたことを受けた動きだ。

意見書は市議会文教福祉委員会の橋本佳子委員長が提案した。市民が払う国保税を現行のままと推計した場合、一般会計からの繰り入れの著しい増加が見込まれるなどとして、県に対し、積算根拠を明確に説明すること、保険税の引き上げとならないよう財政措置を講じることなどを求めている。議会では「つくば市が他市町村分を負担している」などと仮算定を批判する意見も出た。市も議会と足並みをそろえ、見直しを求める要望書を共に15日に県に提出するという。

一方、市民が実際に支払う国保税がいくらになるかはまだ決まっておらず市は3月議会に提案するとしている。

新制度への移行に向けて、県は昨年3月、県国民健康保険制度移行準備委員会(委員長・兪和茨城大教授)を設置し、市町村代表も加わって、保険料や運営をどうするかについて検討を続けてきた。保険料は県内統一でなく市町村ごとに算定していくことが決まり、昨年11月28日の第4回会合で各市町村の保険料を仮算定した数値が示された。

2018年度に必要な保険料総額が17年度より増加する市町村はつくばのほか龍ケ崎、常陸太田、那珂、牛久の5市で、39市町村は減少する。一方、一人当たりに換算すると保険料が増加するのが33市町村、減少するのは11市町村となる。つくば市は保険料増加額も県内で最も大きい約9632万円となる。

ただしあくまでも仮算定で、今後、1月下旬までに本算定が示され、各市町村は一般会計からいくら繰り入れるかを決めて国保税を算出する。

2018年度国民健康保険料総額の仮算定の数値
市町村 一人当たりの必要保険料総額(円) 前年度と比較した18年度の増減額(円)
1 つくば 130,191 3,117
2 八千代 130,005 ▲4,074
3 守谷 128,813 ▲3,885
4 境町 128,570 2,110
5 かすみがうら 126,011 ▲1,291
6 坂東 125,508 3,005
7 稲敷 124,694 ▲14,049
8 大洗 124,339 2,977
9 行方 122,994 ▲6,841
10 神栖 121,989 1,495
11 筑西 121,636 2,912
12 美浦 121,397 ▲6,107
13 古河 121,075 2,899
14 下妻 120,572 2,887
15 鉾田 120,062 356
16 茨城 119,515 2,861
17 東海 119,429 2,859
18 小美玉 119,008 ▲4,510
19 水戸 118,977 2,849
20 常総 118,605 2,839
21 土浦 117,540 2,814
22 桜川 117,523 2,814
23 五霞 117,509 2,813
24 ひたちなか 116,841 2,798
25 那珂 116,371 2,786
26 結城 113,885 2,726
27 北茨城 113,401 ▲1,861
28 鹿嶋 112,733 1,354
29 笠間 111,682 1,649
30 石岡 111,278 2,664
31 日立 111,262 ▲28
32 常陸大宮 111,171 559
33 つくばみらい 110,143 2,637
34 潮来 109,948 2,632
35 阿見 109,128 2,612
36 高萩 108,574 2,600
37 河内 108,186 ▲21,369
38 常陸太田 107,175 2,566
39 大子 106,596 ▲11,536
40 龍ケ崎 106,002 2,538
41 利根 101,519 2,430
42 取手 99,263 2,377
43 牛久 98,851 2,366
44 城里 97,311 2,330
県平均 116,719 1,304
※激変緩和措置実施済み
※第4回茨城県国民健康保険制度移行準備委員会資料より作成

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緊急消防援助隊が合同訓練 1都9県の隊員ら1400人が集結 

県内で20年ぶり 大規模災害発生時に全国各地に駆け付ける緊急消防援助隊 関東ブロックの合同訓練が12日、土浦市小高にある採石場、塚田陶管柳沢工場の敷地内で実施された。1都9県(東京、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、静岡、福島)の緊急消防援助隊による合同訓練の一環で、県内での開催は20年ぶりとなる。 12日と13日の2日間、土浦市のほか、ひたちなか、神栖、鉾田、鹿嶋、水戸市の13会場で、1都9県の緊急消防援助隊員や関連機関など約1400人が参加し、倒壊建物救助訓練、多数負傷者救助訓練、石油コンビナート火災対応訓練などのほか、宿営地設置・運営など後方支援訓練や、指揮本部運営訓練なども実施されている。 土浦の集落が孤立したと想定 訓練は、連日の大雨により河川氾濫や土砂災害が発生している中で、茨城県沖を震源とする震度6強の地震が発生したという想定で行われた。津波や大規模火災などが県内各地で発生し、多数の負傷者や孤立者が出た複合災害の状況を想定した。 土浦市の会場では、東京、埼玉、栃木の3都県の緊急消防援助隊210人と、茨城県内の消防広域応援隊14部隊60人が参加。同市東城寺地区の集落が土砂崩れにより孤立したと想定し、消防隊員らが専用重機で道路の障害物を除去したり、崩れた土砂に埋もれた車両や倒壊した家屋の中からの救助、ヘリコプターによる上空からの救助などの訓練が実施され、部隊同士や関係機関との連携、指揮系統の確認などが行われた。 ほかに自衛隊、国土交通省、茨城DMAT(災害派遣医療チーム)なども加わり、がれきが散乱して通行が困難な場所でも走行できる救助車両や消防ヘリコプター、照明車など約80台が救助訓練に当たった。 鬼怒川水害では支援受け入れ 緊急消防援助隊は、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに創設され、大規模災害時に消防庁長官の要請などにより、他の都道府県から派遣される。2011年の東日本大震災や24年の能登半島地震でも活躍した。県内では、15年の関東・東北豪雨による鬼怒川水害の際に支援を受けている。 緊急消防援助隊ブロック合同訓練は、1996年から全国を6ブロック(北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州)に分け、各ブロック内の都道府県が持ち回りで実施してきた。茨城での開催は2005年以来となる。 茨城県消防安全課は今回の訓練について「県内での大規模災害の発生を想定し、近隣都県の緊急消防援助隊の応援を受け入れ、多くの関係機関とともに実施する今回の訓練は、受援体制の強化に大きく寄与する大変意義深いもの。本訓練を通じて、本県の受援体制の見直しを図り、茨城県緊急消防援助隊受援計画へ反映させていきたい」と話している。(柴田大輔) https://youtu.be/OkVy1R0cUdQ