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《ひょうたんの眼》33 今の唯一のコロナ対策

【コラム・高橋恵一】日本の役人やサラリーマンの悪い癖は、「やらない理由」を探すことだ。求められる仕事が、正当で必要なことであっても、やらない。バリアの除去を躊躇(ちゅうちょ)するだけでなく、さらなるバリアを見つけ出して、できない理由を強化することもいとわない。

なぜか? 前例がない、予算と計画がない、結果がよくない場合の責任を取れない、他人に指摘されてからやるのは嫌だ―などなど。新型コロナ対策の現状を見ると、小学生に判断してもらった方がよいのではないかと思われるほど、適切な対策の選択ができない。

第3波が来て、緊急事態宣言が出ても、感染者を救うための医療体制も用意できず、治療も受けられないまま、死亡する人もいる。この日本で、だ。

まず、PCR検査を最大化して、今からでも悉皆(しっかい)検査をして、無症状の感染者からの感染拡大を止め、無感染者の行動を開放すべきだ。検査を受けてないために、自分や接触者が感染しているかどうかが分からない。医療従事者、介護施設、学校、保育施設、その他の福祉施設などの従事者や関係者は、検査が陰性なら感染させる心配をせずに従事できるし、児童生徒や利用者は、安心して通学・通園、利用ができる。

医療体制が間に合わないので、検査数を抑えているという情報があるが、本末転倒も甚だしい。医者が多いと病人が増えて、医療費が増えるというのは、日本の厚生行政が堅持している基本姿勢だが、この事態に至って、人命軽視の非情な結末が明らかになっているのだ。

1年前、新型コロナ感染が起こったとき、中国の武漢やヨーロッパ各国では、臨時の大規模病院を設置して、感染者を収容する態勢をつくった。日本でも、帰国者の待機期間を受け入れた千葉県のホテルの英断があったし、オリンピック選手村を利用したり、つくば市にある某財団の広大な敷地を臨時施設用地として提供する提案もあった。

大量に感染者が出た場合、既存の医療機関だけでは、施設としても、スタッフの面でも足りなくなるのは明らかだったし、悲劇的なケースが大量に生じることも充分に予測できるはずだ。ノーベル賞受賞者の有志からも提案されている。臨時の大規模病院を設置して、基本的に自宅待機、自宅療養は避けるべきだ。

感染者と非感染者を区分せよ

PCR検査の検査方法についても、唾液を使った検査や検体数をまとめて検査するプール方式の検査も、早い時期から提案されている。感染拡大初期に、フランス政府が日本製の自動検査機を使って多数の検査が効率的にできたと感謝されたとの報道もあった。中国や韓国でも、検査を大量に実施している報道がされている。多くの情報があるのに、効率的な検査を実施できないのは、誰かが拒んでいるのか。

大量に、効果的に検査を実施し、感染者と非感染者の区分ができれば、外出制限や飲食店の営業を制限しなくても済むようになる。病院や老人ホームでの家族面接もできるようになる。台湾のように、ほぼ日常生活が復元できるようにすることも可能ではないか? 検査で陽性だった人へのワクチン投与は、後回しにできる。

大きな期待がかかっているワクチン投与についてだが、マイナンバーの利用を検討しているという。ワクチンの供給、移送、冷凍保存などのインフラ整備をしたうえで、投与の実施は市町村に任せるのがよい。多分、住民基本台帳を基に、淡々と投与できるであろう。

取得者が20%弱のマイナンバーカードを組み入れたり、投与事業のシステム設計を外部業者に委託したりしない方がよい。二兎を追うものは一兎を得ず。緊急の時こそ、堅実な方策を採ることが一番早いことは、多くの歴史が教えるところだ。

いずれにしても、ワクチンの投与が国民全体に行き渡るのは、次の秋の感染拡大に間に合うかどうかであろう。先ず、現在の感染の事態を、確実に抑え込むことだ。経済活動の復旧には、それが早道である。(地図好きの土浦人)

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