月曜日, 12月 8, 2025
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海外サイトで県が販路開拓 技術の粋集めた県産品10点

【山崎実】茨城県は20日から、米国EC(電子商取引)サイトを活用した県産品の販売を開始する。コロナ禍で世界的に市場規模が拡大している海外のECサイトを活用し、県産品を生産する県内事業者の海外販路開拓を支援する。

販売商品は公募の中から10商品を選んだ。いずれも日用品、装飾品などだが、技術の粋を集めた県産品の海外販売だけに、県も意欲的に取り組み、成果を期待している。

販売するECサイトは、米国小売りEC市場の売上シェア4割を占める最大手の「アマゾン」と、売上シェア3位で衣料品から伝統工芸品まで幅広い商品を掲載している「イーベイ(eBay)」。

現地での検索サイト広告や、SNS・動画サイトで、一般ユーザーの投稿と同形式で広告を掲載するなど、販売プロモーションを行う。

米国ECで現地販売する県産品は次の通り。価格はいずれも消費税込み。

▽ハンドメイドによる高級囲碁・将棋盤「囲碁盤」(茨城木工、神栖市、国内価格5万7200~11万5500円)=囲碁・将棋盤の国内シェア8割以上を占める信頼のメーカーによる新カヤの無垢材を使用した高級碁盤
▽風鈴にヒントを得た銅合金製オリジナル打楽器「ミニ凛1オクターブ8音セット」(大塚製作所、水戸市、3万3000円)=精密機械加工技術で銅合金を鐘に加工、シンプルで小さく独特な澄んだきれいな音色と長く続く余韻が特徴
▽世界で唯一の金属製蝶ネクタイ「Metal Butterfly(メタル・バタフライ)」(日青工業、河内町、2万7500円)=精密板金加工の技術をファッションアイテムに応用、実在のチョウをモチーフに1枚のアルミ板から製造
▽Eスポーツ向け本格マウスパッド「ステンレス製マウスパット」(稲見精密、筑西市、1万3000~5万2000円)=特殊表面加工により摩擦を軽減、高級感あるステンレス鋼を使用し耐久性や耐摩耗性がある
▽洗濯洗剤を不要にするマグネシウム製品「洗濯マグちゃん」(宮本製作所、古河市、7590円)=マグネシウムと水の反応を利用し洗濯機に入れるだけで洗剤を使わず洗濯ができる、洗濯槽やホースの美化にも効果あり
▽はすの花をイメージした綿100%風呂敷「風呂敷Lotus(ロータス)・フラミンゴピンク」(プラネッツ、常陸大宮市、3575円)=「風呂敷デザインコンペ2009」で大賞を受賞した呉服店による風呂敷
▽ブラシ専門製造者によるこだわり製造のブラシ「タワシブラシ」(橋本ブラシ製作所、美浦村、2000円)=ねじりブラシ専門製造業者として熟練職人の手と技術で作られた、密度と洗浄効果が高いブラシ
▽広げても折り紙の形に戻る形状記憶レンズクリーナー「PetiPeto(プッチペット)」(南海プリーツ、牛久市、1760円)=折り紙をモチーフにした眼鏡やスマートフォン用ポリエステル製クリーナー、プリーツ加工のため広げても元の折り紙の形に戻る
▽オーガニック100%のこんにゃくで作られた肌ケア用スポンジ「つるりんころりん」(袋田食品、大子町、800円)=コンニャクを素材とし細やかな編み目のためとても滑らかな使い心地
▽世界で唯一のパイプクリーナー機能も持つ洗剤「環境配慮型洗剤 緑の魔女ランドリー」(エーベル・バイオクリーン、龍ケ崎市、大667円、小391円)=環境や健康に配慮、バイオの力でパイプをきれいにする効果もある

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6年ぶりに常陸大宮で農村歌舞伎《邑から日本を見る》189

【コラム・先﨑千尋】少し古い話題だが、常陸大宮市で10月25日に行われた「西塩子(にししおご)の回り舞台」を紹介する。 西塩子地区は常陸大宮市にある山間部の小さな里山集落で、戸数は50戸ほど。戸数は減り、高齢化も進む。ここで、江戸時代から地域の娯楽として農閑期の田んぼなどで農村歌舞伎が演じられ、住民らに親しまれてきた。しかし1945年を最後に行われなくなり、道具類は地域の倉などに納められていた。 1991年、当時の大宮町歴史民俗資料館の石井聖子さんらが調査に入り、同地区の組立式舞台が江戸時代後期の文政年間のものと判明した。現存する日本最古の組立式農村歌舞伎舞台で、回り舞台もある本格的な舞台だ。現在は県の有形民俗文化財に指定されている。 舞台は公演後には解体されてしまう。94年に回り舞台保存会が結成された。97年に隣県の歌舞伎伝承者らに指導を仰ぎながら、半世紀ぶりに公演を復活させ、原則3年おきに公演が行われてきた。これまで、定期公演の他に「ふるさと歌舞伎フェスティバル」など多くの催しに出演し、「サントリー地域文化賞」などを受賞している。 前回の公演は2019年。その後、新型コロナウイルスの拡大が活動を直撃した。さらに保存会メンバーの高齢化による担い手不足や資金集めなど課題が重くのしかかり、延期が続いた。 伝統の灯は消えなかった しかし、地域文化の伝統の灯は消えなかった。「ふるさとの伝統文化をなんとか残さなくては」と、有志の市民や茨城大学の学生らでつくるNPO法人が支援の輪を広げ、6年ぶりの公演再開が決まった。昨年10月には再開を支援するためのシンポジウムも開かれた。クラウドファンディングも実施された。 真竹や木材約500本で組み立てられる舞台は、間口、奥行き20メートル、高さ7メートルで、壮麗なアーチ型が大きな特徴。地元の竹林から竹を切り出し、屋根は「いぼ結び」という独特の結び方を駆使して作られる。今回は、高齢化や人手不足により、建設業者やとび職人の手を借りて約1カ月かけて作られた。学生たちも竹の伐り出しや桟敷席の設営などの手伝いをした。 そうして迎えた公演当日。あいにくの小雨模様だったが、客席は満員。午前10時半から子ども歌舞伎を地元の大宮北小の3~4年生が、常磐津「子宝三番叟」と「白波五人男」の稲瀬川勢揃いの場面を演じた。午後は、友好関係にある栃木県那須烏山市の山あげ保存会芸能部会が歌舞伎舞踊「蛇姫様」を演じ、続いて、市内の常磐津伝承教室で小学生が学んだ常磐津「将門」を披露した。 トリを務めたのは、西塩子地区の若手住民と大宮北小の児童らでつくる地芝居一座「西若座」で、「太功記十段目 尼ヶ崎閑居の場」を演じた。観客から拍手や喝さいが沸き起こり、「おひねり」も飛びかった。 保存会の大貫孝夫会長は「高齢化が進み、復活へなかなかやる気が起きてこなかったが、多くの方々に後押しされ、歩み出せた。地域の宝を残すために今後も続けていきたい」と話している。この取り組みはNHKテレビの「小さな旅」でも、11月30日に「常陸大宮市〝西塩子の回り舞台〞復活に向け奮闘する人々の物語」として全国放映された。(元瓜連町長)

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