月曜日, 2月 2, 2026
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《邑から日本を見る》74 安倍政治を検証する(4) 福島の汚染水と東海第2

【コラム・先﨑千尋】安倍政治検証の最後は原発問題だ。「フクシマについて、ご案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御(アンダーコントロール)されています」。2013年9月、アルゼンチンで開かれたIOC総会で安倍首相はそう演説した。帰国後、安倍氏は「汚染水の影響は、湾内の0.3平方キロの範囲で完全にブロックされている。汚染水処理は国が前面に出て、私が責任者として対応したい」と言った。

しかし7年たった今でも、汚染水の流出は1日平均で180トン。止まっていないのだ。この汚染水は多核種除去装置(ALPS)で浄化しているが、それでもトリチウム、セシウム、ストロンチウムなど63種類以上の放射性物質が溶け込んでいる。処理水を詰めたタンクはすでに1000基を超え、限界に近づいている。

この汚染水について、原子力規制委員会の田中前委員長、更田現委員長は、トリチウム濃度を告示濃度以下に薄めて海に流せ、と発言してきた。所管の経産省はこれまでに有識者会議や小委員会を開き、地層注入、海洋放出、コンクリート化して地下埋設、水蒸気にして放出、水素にして大気放出―の案を検討し、委員会はこの2月に「現実的な選択肢は海か大気への放出で、海洋放出の方が確実に実施できる」という報告書をまとめた。

地元ではこの問題をどう受け止めているだろうか。朝日新聞と福島放送が今年2月に行った世論調査では、汚染水を薄めて海に流すことに賛成が31%、反対が57%だった。福島県議会は丁寧な意見聴取や風評被害対策を求める意見書を採択し、郡山市、浪江町議会など13議会が反対、8市町村が慎重に検討するよう求める意見書を採択している。地元の大熊町と双葉町の町長は保管継続に反対の考えを表明。福島や茨城、宮城などの漁業団体などは強く反対している。

メルトダウンを起こした3基の原子炉内部には溶け落ちた燃料デブリがそのまま残され、廃炉の見通しは立っていない。安倍氏は世界に「アンダーコントロール」と見栄を切った。しかし安倍氏はフクシマの解決策を示さないまま逃げていく。

負の遺産だけを残し去った

東海第2原発の再稼働についても同じだ。本欄で何度も書いてきたように、東海村にある日本原電東海第2発電所は世界で最も危険な原子炉と言われている。それを20年延長して再稼働させるというのが国の方針だ。

東海第2の30キロ圏内には100万人近くの人が住んでいるし、日立製作所などの大工場が林立している。首都圏にも近い。国、原子力規制委員会、日本原電は「事故が絶対に起きない」とは言明していない。

マスコミ各社の世論調査や那珂市のアンケートでは、県民、市民のおおよそ3分の2が再稼働に反対だ。民意を無視する国の姿勢は沖縄でも見られるが、東海第2が再稼働し、事故を起こしたらどうなるか。影響は私たちだけでなく、首都圏が壊滅し、日本は沈没してしまう。そのとき誰が責任を取るのか。取れる訳がない。

コロナ以後の世界と日本の社会の仕組み、経済構造は、確実に変わる。エネルギーの使い方も大きく変わる。安倍氏は負の遺産だけを私たちに残し去っていった。私たちは、国が言うから「働き方改革」をするのではなく、自分自身の生き方、国と私たちとの関わり方などを考えるいいチャンスを与えられた、と考えたい。(元瓜連町長)

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市長賞に羽成純さん 25年度「日本一のれんこんグランプリ」 土浦

消費者から「買いたいレンコン」などに選ばれた土浦市の生産者を表彰する2025年度「日本一のれんこんグランプリ」(土浦市など主催)の表彰式が29日、同市役所で催された。市長賞に羽成純さん、組合長賞に福田信一さん、協議会長賞に倉持亮太さんがそれぞれ選ばれ、安藤真理子市長らから表彰を受けた。 同グランプリは、日本一のレンコン産地である土浦のレンコンの魅力を広く発信することが目的。昨年11月22日に開催された土浦カレーフェステバル会場で投票が行われ、出品された33本の中から、総投票数563票のうち、羽成さんのレンコンは144票、福田さんは86票、倉持さんは38票を獲得した。今年度はさらに、出荷団体のJA水郷つくばやレンコン問屋など流通団体代表者がレンコンの形状などを審査し、糖度計で糖度を測定した上で選定した。 市長賞の羽成さんのレンコンは、全体のバランスと節ごとの大きさがそろっており、糖度が8.4あったことが評価された。組合長賞の福田さんは、バランスの良さと肌の白さが評価された。糖度は8.1だった。協議会長賞の倉持さんは、糖度が8.5と高く、形状とバランスが整っていることなどが評価された。 安藤市長は「レンコン日本一の名前に甘んじることなく、これからももっとPRして消費拡大、品質の向上に一生懸命取り組んでいく。生産者の皆様には引き続きさまざまなご協力をいただきたい。今回も本当に素晴らしいレンコンだった」と話した。 JA水郷つくばの池田正組合長は「日本一のレンコン産地で一番ということは日本一の中の一番だ。レンコンというくくりをつければ、ギネスにも挑戦できると思っている。『世界一のレンコンになる』、そのくらいの夢をもって将来に向けていいものを作ってもらいたい。日本に、そして世界に誇れるものを作ってほしい」と述べた。 市長賞に選ばれた羽成純さん(43)は「大変誇らしいし光栄。本当にいいレンコンを作っている地元の先輩農家はたくさんいる。満足せず、もっと質のいいレンコンを作っていけるように頑張りたい。糖度の高さが評価されたが、柴沼醬油(土浦市)の大豆かすと月の井酒造店(大洗町)の酒かすを肥料にしており、成果があったのかもしれない。手探りだがいろいろなことを試しながらやっていきたい」とし「妻の実家はもともとレンコン農家。良質なレンコンを作れるハス田を残してくれた先祖にも感謝したい。一緒に現場でやってくれている妻にも感謝している」と喜びを語った。 協議会長賞の倉持亮太さん(26)は「本当にうれしく思っている。これからもっと精進していきたい。運営の方や支えてくれている家族に感謝したい」と話した。組合長賞の福田さんは欠席した。 夫婦で二人三脚 霞ケ浦沿いの同市沖宿にある羽成さんのハス田は約1.7ヘクタール。繁忙期は手伝いを頼むが、基本は妻の智美さん(42)と2人でレンコンを作っている。羽成さんは朝5時半から、智美さんは小学生の子どもを学校に送った後、7時半からハス田で作業する。収穫後のレンコンの水洗いなども2人で行っている。 妻の智美さんは「冬の作業は寒いが2人で頑張っている。自宅ではレンコンのさまざまなレシピを楽しんでいる。天ぷらやサラダ、豚汁、カレーにも入れたり、すりおろしてハンバーグに入れたりする」と語る。羽成さんは「今回出品したレンコンは、朝2、3カ所のハス田を回って、悩みつつ、やっぱりこれだというのを持っていた。評価されてよかった」とし「地域を見渡せば若手がいるものの、辞めていく農家さんもいる。作付け面積は今後拡大されるので受け手になれる農家になりたい。今後は規模を拡大して、人も雇えるようになればと考えている」と抱負を語った。(伊藤悦子)