金曜日, 5月 15, 2026
ホームコラム《邑から日本を見る》74 安倍政治を検証する(4) 福島の汚染水と東海第2

《邑から日本を見る》74 安倍政治を検証する(4) 福島の汚染水と東海第2

【コラム・先﨑千尋】安倍政治検証の最後は原発問題だ。「フクシマについて、ご案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御(アンダーコントロール)されています」。2013年9月、アルゼンチンで開かれたIOC総会で安倍首相はそう演説した。帰国後、安倍氏は「汚染水の影響は、湾内の0.3平方キロの範囲で完全にブロックされている。汚染水処理は国が前面に出て、私が責任者として対応したい」と言った。

しかし7年たった今でも、汚染水の流出は1日平均で180トン。止まっていないのだ。この汚染水は多核種除去装置(ALPS)で浄化しているが、それでもトリチウム、セシウム、ストロンチウムなど63種類以上の放射性物質が溶け込んでいる。処理水を詰めたタンクはすでに1000基を超え、限界に近づいている。

この汚染水について、原子力規制委員会の田中前委員長、更田現委員長は、トリチウム濃度を告示濃度以下に薄めて海に流せ、と発言してきた。所管の経産省はこれまでに有識者会議や小委員会を開き、地層注入、海洋放出、コンクリート化して地下埋設、水蒸気にして放出、水素にして大気放出―の案を検討し、委員会はこの2月に「現実的な選択肢は海か大気への放出で、海洋放出の方が確実に実施できる」という報告書をまとめた。

地元ではこの問題をどう受け止めているだろうか。朝日新聞と福島放送が今年2月に行った世論調査では、汚染水を薄めて海に流すことに賛成が31%、反対が57%だった。福島県議会は丁寧な意見聴取や風評被害対策を求める意見書を採択し、郡山市、浪江町議会など13議会が反対、8市町村が慎重に検討するよう求める意見書を採択している。地元の大熊町と双葉町の町長は保管継続に反対の考えを表明。福島や茨城、宮城などの漁業団体などは強く反対している。

メルトダウンを起こした3基の原子炉内部には溶け落ちた燃料デブリがそのまま残され、廃炉の見通しは立っていない。安倍氏は世界に「アンダーコントロール」と見栄を切った。しかし安倍氏はフクシマの解決策を示さないまま逃げていく。

負の遺産だけを残し去った

東海第2原発の再稼働についても同じだ。本欄で何度も書いてきたように、東海村にある日本原電東海第2発電所は世界で最も危険な原子炉と言われている。それを20年延長して再稼働させるというのが国の方針だ。

東海第2の30キロ圏内には100万人近くの人が住んでいるし、日立製作所などの大工場が林立している。首都圏にも近い。国、原子力規制委員会、日本原電は「事故が絶対に起きない」とは言明していない。

マスコミ各社の世論調査や那珂市のアンケートでは、県民、市民のおおよそ3分の2が再稼働に反対だ。民意を無視する国の姿勢は沖縄でも見られるが、東海第2が再稼働し、事故を起こしたらどうなるか。影響は私たちだけでなく、首都圏が壊滅し、日本は沈没してしまう。そのとき誰が責任を取るのか。取れる訳がない。

コロナ以後の世界と日本の社会の仕組み、経済構造は、確実に変わる。エネルギーの使い方も大きく変わる。安倍氏は負の遺産だけを私たちに残し去っていった。私たちは、国が言うから「働き方改革」をするのではなく、自分自身の生き方、国と私たちとの関わり方などを考えるいいチャンスを与えられた、と考えたい。(元瓜連町長)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

つくばで7年ぶり復活、土浦は初開催へ 筑波山で二つの自転車レース

筑波山の峠を駆け上がる自転車レース、ヒルクライムが、筑波山南側のつくば市と土浦市でそれぞれ開催される。つくばはコロナ禍で休止して以来7年ぶりに復活し5月31日に開催される。土浦は6月14日に初めて開催される。 標高にちなみ877人募集 つくば つくばのレースは「ツール・ド・つくば2026」。同市平沢、平沢官衙遺跡から、筑波山の不動峠と風返し峠を抜け、中腹のつつじケ丘駐車場を目指す全長12キロ、高低差500メートルの本格的な登坂ルートを走る。参加予定人数は、筑波山の標高877メートルにちなんで877人に設定されている。 2009年、つくば青年会議所が主催し始まったが、コロナ禍で2019年大会を最後に休止となった。コロナが明けてからすぐに再開する意向だったが、青年会議所のメンバーが毎年変わるなどからノウハウの引き継ぎができなかった。 そんな中、同市北条の廃校にBMXレーシングコースがある自転車の拠点「サイクルパークつくば」が2023年にオープンしたことが追い風となり(23年10月31日付)、同拠点を管理運営する指定管理者で、弱虫ペダルサイクルチーム運営会社の「スペースプロジェクト」社員や、つくば青年会議所の現役メンバーとOB、市役所職員などで実行委員会を組織し再開する。 競技はロードバイク、マウンテンバイクの2部門あり、エントリーは年齢別、男女別などに分かれる。大会の拠点となる受付や開閉会式は「サイクルパークつくば」の体育館で行われ、当日は朝7時に競技がスタートする。5月31日はスタート地点から風返し峠・不動峠周辺までが全面通行止め、風返し峠からつつじヶ丘駐車場までが片側交互通行となり、交通規制が敷かれる。 スペースプロジェクトの笹谷悦明さんは「つくばと土浦はほぼ同時期に開催され、関連はないが、エントリーする人は重なっているようだ。つくばは7年ぶりの大会なので、多くの参加者に楽しんでもらいたい」と話す。 初挑戦を後押しする部門も 土浦 土浦市で初開催される「筑波山・朝日峠ヒルクライム2026」は、同市小野の交流施設、小町の館をスタート地点として、筑波山の朝日峠、筑波パープルラインを越え、つくば市と同じ中腹のつつじケ丘まで走り抜ける全長15.7キロ、高低差500メートルのコース。 本格的なヒルクライマーだけではなく、初挑戦の人を後押しする「のんびりエンジョイ」や「コスプレの部」など、誰もが楽しめるよう多様な参加カテゴリーを設ける。参加者それぞれのタイムに応じて「金のガマ、銀のガマ、銅のガマ」を全員に進呈するほか、コース序盤の「朝日峠」区間でトップタイムとなった選手に特別賞を贈るなど、特徴的な取り組みも企画する。一般男女の参加費6877円は、筑波山の標高877メートルにちなんで設定した。 ナショナルサイクルルート「つくば霞ケ浦りんりんロード」の拠点でもある土浦市では、オフロードレースのシクロクロスを始め、さまざまな自転車イベントが年間を通して開催されており、新たに本格的なヒルクライムレースが加わる。朝日峠など土浦市のヒルクライムコースの認知度を高め、「自転車のまち土浦」の新たな魅力発信を図る狙いがある。 大会当日の交通規制は、小町の館から風返し峠、不動峠周辺までが全面通行止め、風返し峠からつつじケ丘駐車場までが片側交互通行となる。 ◆「ツール・ド・つくば 2026」は5月31日(日)開催。コースは平沢官衙遺跡をスタート〜県道138号線〜不動峠〜県道236号線(表筑波スカイライン)〜風返し峠〜ゴールはつつじヶ丘駐車場。エントリー期間は5月17日(日)まで。参加費は一般男女(高校生以上)8000円、ジュニア(小学5年~中学生)7000円、下山サポートライダー無料。主催はツール・ド・つくば 2026実行委員会、問い合わせは電話029-883-0035(つくばサイクルパーク内、スペースプロジェクトの笹谷悦明さんへ。メールはBMX298@icloud.com、エントリーはこちら。 ◆「筑波山・朝日峠ヒルクライム2026」は6月14日(日)開催。コースは小町の館をスタート~朝日峠~筑波パープルライン~ゴールはつつじケ丘駐車場。参加予定人数は800人。エントリー期間は6月7日(日)まで。参加費は一般男女(高校生以上)6877円、小中学生2980円、小学3年生以下は「のんびりエンジョイ」部門の出場となり親の同伴が必要。主催は筑波山・朝日峠ヒルクライム実行委員会。問い合わせは電話090-1486-5770(南野道宏さん)、エントリー方法はこちら。

学生たちの「空への挑戦」 半世紀越し技術遺産に認定 人力飛行機「ストークB」

国立科学博物館が所蔵し、筑西市の科博廣澤航空博物館に展示されている人力飛行機「日大式ストークB」が4月16日、一般社団法人日本航空宇宙学会から「航空宇宙技術遺産」に認定された。ストークBは1975年から77年にかけて、日本大学理工学部の学生たちが卒業研究として開発した人力飛行機で、77年1月に2093.9メートルを飛行し、未公認ながら、当時の人力飛行世界記録を樹立した。今回の認定では、人力飛行を世界に広く認知させ、その成果が航空技術者の育成にも寄与したと当時の学生たちの挑戦が再評価された形だ。 世界記録打ち立てた35.9キロ ストークBの機体重量は35.9キロ。0.3から0.4馬力ほどの人力で飛行するため、和紙など日本独自の素材や技術を取り入れることで極限まで軽量化が図られている。現在は、筑西市のテーマパーク「ザ・ヒロサワ・シティ」内にある科博廣澤航空博物館で一般公開されている。展示では、飛行中を思わせるように天井から吊り下げられており、大きく広がる翼を見上げた来館者からは「これが本当に人力で飛ぶのか」と驚きの声も上がるという。 同博物館では、戦後初の国産旅客機「YS-11」量産初号機や、映画「南極物語」の題材にもなった、カラフト犬のタロとジロの生存発見・救出に活躍した実在の大型ヘリコプター「シコルスキーS-58」、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)など、日本の航空史に名を残す実機が約10点展示されている。そのうち7点が国立科学博物館によるものだ。展示品で同遺産に認定されたのは、YS-11、JAXA から提供された国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟に続き、3例目となる(24年2月1日付、同4月26日付)。 施設を運営する広沢商事の野口稔夫専務は「日本大学の学生の皆さんが、自分たちの手で作って空を飛んだ機体。当時の若い人たちが、本気で『空を飛びたい』と思い挑戦した。その思いが詰まっている」と語る。 認定後の大型連休には、「ストークを見に来ました」という来館者の姿も見られたとし、「写真や映像で見たことがあっても、本物を目の前で見ると迫力が違う。天井から吊り下げているので、本当に飛んでいるように見える。下から見上げると、翼の大きさや機体の軽さに驚かれる方が多い」。和紙で作られていることに驚く人も多く、「こんな素材で飛んだのか」と足を止める来館者もいるという。 実物が残るから、挑戦は伝わる ストークBを所有する国立科学博物館・産業技術史資料情報センターでセンター長を務める前島正裕さんは、今回の認定について「私たちが大切に残してきた資料の価値を、学会にも認めていただけたようでありがたい」と受け止める。国立科学博物館では航空機や実験装置、部品など、日本の科学技術の歩みを伝える資料を収集・保存している。ストークBは以前、東京・上野の国立科学博物館で展示されていたが、大型機体のため長く収蔵庫で保管されていた。前島さんは「ヒロサワ・シティの協力で、また多くの人に見てもらえるようになったことがうれしい」と笑顔を見せる。 さらに「機械や部品は、美術品のように見てすぐ価値が分かるものではないからこそ、この資料がどういう研究や挑戦に使われたのか、誰がどんな思いで作ったのかを伝えていく必要がある」とし、「実物が残っていなければ、その挑戦があった証拠も残らない」と、資料保存の意義を強調する。ストークについても「今は、テレビの『鳥人間コンテスト』などで人力飛行機を目にする機会があるけれど、最初に挑戦した人たちは、本当に飛べるのかも分からない中で挑戦していた。『こんなに大きな翼が必要なんだ』『こんなに軽いんだ』ということは、実物を見ると一瞬で伝わる。言葉よりも本物には力がある。是非、間近で見ていただきたい」とし、「ストークを作ったのは特別な誰かではなく、当時の大学生たち。今の子どもたちから見れば、少し年上の『先輩』ですよね。『こんな挑戦をした人たちがいたんだ』と感じてもらえたら」と語った。(柴田大輔)

児童扶養手当を過少に支給 つくば市 1165人に計153万円

ひとり親家庭などに支給される児童扶養手当について、つくば市は13日、4月分から全国消費者物価指数の上昇に応じて手当額が3.2%引き上げとなったにもかかわらず、引き上げ分を加算せず、本来の金額よりも過少に支給してしまったと発表した。 市こども政策課によると、支給対象保護者約1200人のうち1165人に対し、4月引き上げ分の合計153万8650円を加算せず過少に支給した。過少だった分は保護者1人当たり330円~2640円になるという。 3月と4月の2カ月分を5月11日に対象者に振り込んだところ、複数から市に問い合わせがあり分かった。市は4月分から支給額が変更になることについて4月下旬にあらかじめ対象者に通知を出していた、 同課によると、支給額を変更した上で対象者の口座に振り込む手続きをシステム上で行う際、担当者がシステム処理の手順を誤ったのが原因という。一方、新たに支給対象となった36人については、支給額を変更する操作を実施した後に振り込み手続きをしたため、誤りはなかった。 不足額について同課は、対象者1165人に謝罪の通知を出した上で、5月末までに不足額を振り込むとしている。 再発防止策として、制度の変更については部署内で細心の注意を払うと共に、管理職が必ず確認を行うことを徹底するとしている。

がんに対する構え、対処・治療方法《ハチドリ暮らし》61

【コラム・山口京子】がん関連の本をあれこれ読みつつ、書き手によって、がんに対するまなざしが随分違うと感じます。それによって、がんに対する構え、対処方法、治療方法などが変わってきます。どれが正解かはわかりません。参考にしつつ、そこから自分はどういう教訓を得ればいいのか考えます。 1人1人身体の状況も、がんの種類も進行度も異なります。それを無視して、一つの言説を信じ込んでしまったら、後で後悔することになるでしょう。がんと診断されて、治療するのか、しないのか。治療も標準治療なのか、それ以外の治療なのか。調べるほど選択肢が広がり、迷うことが多くなります。 がん治療には、3つの目的があると言われています。根治、延命、緩和です。標準治療(手術・放射線・抗がん剤)がスタンダードですが、それらは対処療法だという指摘があります。標準治療で時間稼ぎをしながら、自助努力し、自己免疫力を高め、体力・体重の維持を意識することが大事だという医師の言葉に出会いました。 どのみち、人生は有限です。自分のできることをして、あとは運にまかせる、開き直りもありだ、とも思います。 がんによる死亡というとき、がん自体で死亡するより、栄養失調、臓器機能不全、免疫機能不全による感染症などで死亡することが多いようです。進行の早い末期がんと診断された私の場合、治療をしないという選択をしたら、臓器の機能不全による腸閉塞や腹水などに苦しめられたでしょう。 生き抜くぞ! いつでも死ねるぞ! 対処療法と言われても、抗がん剤治療をしてよかった、と思います。それによって、がんの進行が抑制され、臓器の機能不全も抑えられ、体力が維持でき、日常生活ができ、延命にもつながっている、と。 ただ、抗がん剤もいずれ効かなくなる時期がきます。そのときにどうするのか。二番手、三番手の薬があるそうですが、効果はだんだん小さくなるようです。体力や副作用の程度を踏まえながら、治療の止め時を決めることになるでしょう。 がん患者本人がすることとして、心を定めること、食事を改めること、睡眠確保や運動習慣など、多くの本は生活全体の見直しを勧めていました。治療と並行して、生活全体の改善も行うことが、延命や緩和のヒントになるような…。ある本は「生き抜くぞ、いつでも死ねるぞ」という気持ちを持つことが大事と言っていました。そうかもしれませんが、どうなることやら…。(消費生活アドバイザー)