水曜日, 5月 20, 2026
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《邑から日本を見る》74 安倍政治を検証する(4) 福島の汚染水と東海第2

【コラム・先﨑千尋】安倍政治検証の最後は原発問題だ。「フクシマについて、ご案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御(アンダーコントロール)されています」。2013年9月、アルゼンチンで開かれたIOC総会で安倍首相はそう演説した。帰国後、安倍氏は「汚染水の影響は、湾内の0.3平方キロの範囲で完全にブロックされている。汚染水処理は国が前面に出て、私が責任者として対応したい」と言った。

しかし7年たった今でも、汚染水の流出は1日平均で180トン。止まっていないのだ。この汚染水は多核種除去装置(ALPS)で浄化しているが、それでもトリチウム、セシウム、ストロンチウムなど63種類以上の放射性物質が溶け込んでいる。処理水を詰めたタンクはすでに1000基を超え、限界に近づいている。

この汚染水について、原子力規制委員会の田中前委員長、更田現委員長は、トリチウム濃度を告示濃度以下に薄めて海に流せ、と発言してきた。所管の経産省はこれまでに有識者会議や小委員会を開き、地層注入、海洋放出、コンクリート化して地下埋設、水蒸気にして放出、水素にして大気放出―の案を検討し、委員会はこの2月に「現実的な選択肢は海か大気への放出で、海洋放出の方が確実に実施できる」という報告書をまとめた。

地元ではこの問題をどう受け止めているだろうか。朝日新聞と福島放送が今年2月に行った世論調査では、汚染水を薄めて海に流すことに賛成が31%、反対が57%だった。福島県議会は丁寧な意見聴取や風評被害対策を求める意見書を採択し、郡山市、浪江町議会など13議会が反対、8市町村が慎重に検討するよう求める意見書を採択している。地元の大熊町と双葉町の町長は保管継続に反対の考えを表明。福島や茨城、宮城などの漁業団体などは強く反対している。

メルトダウンを起こした3基の原子炉内部には溶け落ちた燃料デブリがそのまま残され、廃炉の見通しは立っていない。安倍氏は世界に「アンダーコントロール」と見栄を切った。しかし安倍氏はフクシマの解決策を示さないまま逃げていく。

負の遺産だけを残し去った

東海第2原発の再稼働についても同じだ。本欄で何度も書いてきたように、東海村にある日本原電東海第2発電所は世界で最も危険な原子炉と言われている。それを20年延長して再稼働させるというのが国の方針だ。

東海第2の30キロ圏内には100万人近くの人が住んでいるし、日立製作所などの大工場が林立している。首都圏にも近い。国、原子力規制委員会、日本原電は「事故が絶対に起きない」とは言明していない。

マスコミ各社の世論調査や那珂市のアンケートでは、県民、市民のおおよそ3分の2が再稼働に反対だ。民意を無視する国の姿勢は沖縄でも見られるが、東海第2が再稼働し、事故を起こしたらどうなるか。影響は私たちだけでなく、首都圏が壊滅し、日本は沈没してしまう。そのとき誰が責任を取るのか。取れる訳がない。

コロナ以後の世界と日本の社会の仕組み、経済構造は、確実に変わる。エネルギーの使い方も大きく変わる。安倍氏は負の遺産だけを私たちに残し去っていった。私たちは、国が言うから「働き方改革」をするのではなく、自分自身の生き方、国と私たちとの関わり方などを考えるいいチャンスを与えられた、と考えたい。(元瓜連町長)

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地元県立高5校が魅力を紹介 24日「高校進学を考える集い」

つくばの市民団体が開催 つくば市と近隣の県立高校5校の校長が一堂に会し、学校の魅力を紹介する「第7回つくばの高校進学を考える市民の集い」が24日、つくば市役所コミュニティ棟で開催される。人口増加が続くつくば市で、県立高校が不足している問題を県などに訴えてきた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が主催する。 5校合同のいわゆる学校説明会で、昨年に続いて2回目の開催となる(25年5月15日付、同6月6日付)。昨年は市内の4校が登壇したが、今年は牛久栄進高校が新たに加わる。登壇するのは▽筑波高、永井信一校長▽つくばサイエンス高、石塚照美校長▽茎崎高、吉田真弘校長▽牛久栄進高、奈良由紀子校長▽竹園高、桜井良種校長。各校の説明後、質問も受け付ける。 昨年は約120人が参加した。一般市民や県議、市議、市職員などのほか、親子連れで熱心に聞き入る中学生や小学生などの姿が目立った。考える会によると、昨年は「説明を聞いて、勉強のスタートとなった」との感想を寄せられた母親もあったという。 集いは2部構成で、第1部は5校の校長がそれぞれの魅力を紹介する。第2部は、今年4月から私立高校生に月3万8100円の授業料が支援される私学の授業料無償化がスタートしたことや、県立高校志願者がさらに減少した問題など、今後の動きや課題を考える(26年3月8日付)。ほかに、元高校教員の片岡代表が、近年の県立高校入試の傾向を分析し、学習方法などを考える(同4月10日付)。 片岡代表は「つくばの生徒数が増加する中で県立高校の定員が不足しているという問題が構造的にある中で、私学の授業料無償化に伴って、地元の県立高校の魅力を十分に伝える必要性が高まっている。つくばエリアの県立高の定員不足問題だけではなく、中学・高校受験の問題を地域の問題として、また受験生への豊かな学びの応援として共に学び、語り合う機会になれば」と話し、参加を呼び掛けている。(鈴木宏子) ◆第7回つくばの高校進学を考える市民の集いは、24日(日)午前10時~午後0時30分、つくば市研究学園1-1-1、市役所コミュニティ棟1階会議室で開催。資料代300円、小中高校生は無料。詳しくは電話090-4591-8437(片岡代表)または電話029-852-4118(新日本婦人の会つくば支部)へ。