水曜日, 5月 13, 2026
ホームコラム《邑から日本を見る》74 安倍政治を検証する(4) 福島の汚染水と東海第2

《邑から日本を見る》74 安倍政治を検証する(4) 福島の汚染水と東海第2

【コラム・先﨑千尋】安倍政治検証の最後は原発問題だ。「フクシマについて、ご案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御(アンダーコントロール)されています」。2013年9月、アルゼンチンで開かれたIOC総会で安倍首相はそう演説した。帰国後、安倍氏は「汚染水の影響は、湾内の0.3平方キロの範囲で完全にブロックされている。汚染水処理は国が前面に出て、私が責任者として対応したい」と言った。

しかし7年たった今でも、汚染水の流出は1日平均で180トン。止まっていないのだ。この汚染水は多核種除去装置(ALPS)で浄化しているが、それでもトリチウム、セシウム、ストロンチウムなど63種類以上の放射性物質が溶け込んでいる。処理水を詰めたタンクはすでに1000基を超え、限界に近づいている。

この汚染水について、原子力規制委員会の田中前委員長、更田現委員長は、トリチウム濃度を告示濃度以下に薄めて海に流せ、と発言してきた。所管の経産省はこれまでに有識者会議や小委員会を開き、地層注入、海洋放出、コンクリート化して地下埋設、水蒸気にして放出、水素にして大気放出―の案を検討し、委員会はこの2月に「現実的な選択肢は海か大気への放出で、海洋放出の方が確実に実施できる」という報告書をまとめた。

地元ではこの問題をどう受け止めているだろうか。朝日新聞と福島放送が今年2月に行った世論調査では、汚染水を薄めて海に流すことに賛成が31%、反対が57%だった。福島県議会は丁寧な意見聴取や風評被害対策を求める意見書を採択し、郡山市、浪江町議会など13議会が反対、8市町村が慎重に検討するよう求める意見書を採択している。地元の大熊町と双葉町の町長は保管継続に反対の考えを表明。福島や茨城、宮城などの漁業団体などは強く反対している。

メルトダウンを起こした3基の原子炉内部には溶け落ちた燃料デブリがそのまま残され、廃炉の見通しは立っていない。安倍氏は世界に「アンダーコントロール」と見栄を切った。しかし安倍氏はフクシマの解決策を示さないまま逃げていく。

負の遺産だけを残し去った

東海第2原発の再稼働についても同じだ。本欄で何度も書いてきたように、東海村にある日本原電東海第2発電所は世界で最も危険な原子炉と言われている。それを20年延長して再稼働させるというのが国の方針だ。

東海第2の30キロ圏内には100万人近くの人が住んでいるし、日立製作所などの大工場が林立している。首都圏にも近い。国、原子力規制委員会、日本原電は「事故が絶対に起きない」とは言明していない。

マスコミ各社の世論調査や那珂市のアンケートでは、県民、市民のおおよそ3分の2が再稼働に反対だ。民意を無視する国の姿勢は沖縄でも見られるが、東海第2が再稼働し、事故を起こしたらどうなるか。影響は私たちだけでなく、首都圏が壊滅し、日本は沈没してしまう。そのとき誰が責任を取るのか。取れる訳がない。

コロナ以後の世界と日本の社会の仕組み、経済構造は、確実に変わる。エネルギーの使い方も大きく変わる。安倍氏は負の遺産だけを私たちに残し去っていった。私たちは、国が言うから「働き方改革」をするのではなく、自分自身の生き方、国と私たちとの関わり方などを考えるいいチャンスを与えられた、と考えたい。(元瓜連町長)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

がんに対する構え、対処・治療方法《ハチドリ暮らし》61

【コラム・山口京子】がん関連の本をあれこれ読みつつ、書き手によって、がんに対するまなざしが随分違うと感じます。それによって、がんに対する構え、対処方法、治療方法などが変わってきます。どれが正解かはわかりません。参考にしつつ、そこから自分はどういう教訓を得ればいいのか考えます。 1人1人身体の状況も、がんの種類も進行度も異なります。それを無視して、一つの言説を信じ込んでしまったら、後で後悔することになるでしょう。がんと診断されて、治療するのか、しないのか。治療も標準治療なのか、それ以外の治療なのか。調べるほど選択肢が広がり、迷うことが多くなります。 がん治療には、3つの目的があると言われています。根治、延命、緩和です。標準治療(手術・放射線・抗がん剤)がスタンダードですが、それらは対処療法だという指摘があります。標準治療で時間稼ぎをしながら、自助努力し、自己免疫力を高め、体力・体重の維持を意識することが大事だという医師の言葉に出会いました。 どのみち、人生は有限です。自分のできることをして、あとは運にまかせる、開き直りもありだ、とも思います。 がんによる死亡というとき、がん自体で死亡するより、栄養失調、臓器機能不全、免疫機能不全による感染症などで死亡することが多いようです。進行の早い末期がんと診断された私の場合、治療をしないという選択をしたら、臓器の機能不全による腸閉塞や腹水などに苦しめられたでしょう。 生き抜くぞ! いつでも死ねるぞ! 対処療法と言われても、抗がん剤治療をしてよかった、と思います。それによって、がんの進行が抑制され、臓器の機能不全も抑えられ、体力が維持でき、日常生活ができ、延命にもつながっている、と。 ただ、抗がん剤もいずれ効かなくなる時期がきます。そのときにどうするのか。二番手、三番手の薬があるそうですが、効果はだんだん小さくなるようです。体力や副作用の程度を踏まえながら、治療の止め時を決めることになるでしょう。 がん患者本人がすることとして、心を定めること、食事を改めること、睡眠確保や運動習慣など、多くの本は生活全体の見直しを勧めていました。治療と並行して、生活全体の改善も行うことが、延命や緩和のヒントになるような…。ある本は「生き抜くぞ、いつでも死ねるぞ」という気持ちを持つことが大事と言っていました。そうかもしれませんが、どうなることやら…。(消費生活アドバイザー)

過去最高益に 筑波銀行26年3月期決算

筑波銀行(本店・土浦市、生田雅彦頭取)は12日、2026年3月期(25年4月-26年3月)決算を発表した。金利の上昇や貸し倒れに備える与信関係費用の減少などから、当期純利益は単体で過去最高の65億円(前期比25億円、62.4%増)となった。 売上高に当たる経常収益は単体で前期比91億円(22.2%)増の500億円と、こちらも過去最高の増収となった。経常利益は同比29億円(66.6%)増の73億円。 銀行の本業によって得られる業務粗利益は、国内債券の損切り実施に伴い国債などの債権売却損が増加した一方、金利の上昇や与信関係費用の減少などにより単体で前期比2億円減の278億円となり、本業で稼いだ利益のコア業務純利益は前期比30億円増と過去最高の99億円となった。 貸出金の状況は、前年度末比911億円増の2兆2071億円で、住宅ローンなど個人ローンや中小企業への貸出が増加したことが主な要因となった。生田頭取は住宅ローンの増加について「TX沿線を中心に、東京に比べ、地価が安く購入しやすい価格帯にあり、比較的伸びている」とし、中小企業については「県南を中心に資金需要があり、『とことん支援』をうたい、ひざ詰めできめ細かく対応している」成果だと強調した。 預金・預かり資産の状況については、投資信託や生命保険などの預かり資産が増加したのに対し、預金は、茨城県が最も高い金利を提示した金融機関に定期預金などを預け入れる入札制を導入したなどから、公金預金が減少し、預金・預かり資産の合計は2兆9803億円になった。 一方、地域経済については、ホルムズ海峡封鎖など中東情勢の地域経済への影響について生田頭取は「足元では影響はほぼ出てないに等しいが、今後影響が出るであろうと思っている経営者の方たち結構な比率でいる。不安を抱えているお客様はいらっしゃるので、これについてはさまざまな支援を用意している」と話し、「心配ごとは中東情勢だけではない。そもそもモノが高くなり、人繰りで人がいなくて仕事が行きつかないなどがある。我々もいろいろな情報をキャッチしながら、ひざ詰めでやりたい」と話した。(鈴木宏子)

イチジクなんちゅうのは…《続・平熱日記》192

【コラム・斉藤裕之】毎年のように描いているもの。ナツツバキ、ドクダミ、クズの花、お茶の花…、そしてイチジク。「イチジクなんちゅうのは、家の周りのどこにでもあって、買ってまで食べるもんじゃない…」というのが私の正直なイチジク観。ところがカミさんはイチジクが好物で季節になると買ってくる。好きなものに文句も言えず、私はイチジクを描くことはあっても一度も口にすることがなかった。 夏のある日、近所の方から大変立派なイチジクをもらった。半分に割ったら鮮やかな赤い色が見えて、まずは絵を描いた。そしてガブリといってみた。とてもおいしかった。なぜ今までこれを食べなかったのか。 そんなことを知ってか知らずか、次女がイチジクの苗を買ってきた。イチジクが果物の中で一番好きだと言う。へー、初耳。しかし困った。次女は想像だにしていないだろう。イチジクがどれだけ奔放に枝葉を延ばすことかを。我が家のような住宅地では地植えは諦めるしかない。 とりあえず、大きめの鉢に植えて様子を見ることにしたが、春が近づくとイチジクにきれいな緑の葉が生え始めた。結局、山口の弟の家の敷地に植えることにした。 ロンドンの美術館は無料 春、山口滞在中に、ロンドンに赴任している姪(めい)夫婦が一時帰国した。母親はおいしい料理を作り、父親は異国の土産話を肴(さかな)に酒を飲む。「最近、絵を習い始めたんです…」と話すのは、休職して姪に帯同している義理の甥(おい)。美術とは全く無縁だった彼が最近絵を描き始めたと言う。きっかけは美術館なんだと。 なんと、ロンドンの美術館は誰でも無料で入れると言う。今や日本の美術館博物館には稼ぐノルマが課せられている。なんでもコスパ? そもそも芸術はその対極にあるものなのに…。文化の裾野を広げるには北風と太陽どっちが良策? 散歩がてら幾度も美術館に赴くうちに絵に興味が湧いてきて、とうとうデッサンの講座に通い始めたとのこと。描き始めたデッサンの画像を見せてくれたが、悪くない。その夜は彼とデッサンのことや好きな画家、ヨーロッパの美術館などについて楽しく語らった。 大きな実をつけますように さて、イチジクは漢字で無花果と書くが、花は実の中にあるらしい。つまり私が描いたり食べたりしているあの赤いツブツブの正体は花。自らの内に花を咲かせるなんて、ちょっと粋なイチジクだが、アダムとイブが最初に身に着けたのがイチジクの葉だったり、西洋ではさまざまな逸話に登場する象徴的な果実で、豊かさや知識の象徴とされることもある。 そういえば、南仏の山間で道端に生えているイチジクをもいで食べさせられたな。日本のものより青く小さかったが、見た目と違って甘く柔らかだったのを思い出した。 桜の咲くころ「大きな実をつけますように」と、いい場所を選んでイチジクの苗を地植えにした。何年かたって次女が忘れたころに、このイチジクの実を食べさせてやろう。あとは「弟が草刈り機で雑草と一緒に刈り取ってしまいませんように…」(画家)

U-23日本代表の大岩監督 つくばのサッカー少年を激励

つくば市スポーツ少年団サッカー部が主催するU-10(小学4年以下)世代の少年サッカー大会「セキショウチャレンジシリーズJC(ジュニアチャレンジ)カップU-10サッカー大会2026」が10日、つくば市山木のセキショウ・チャレンジスタジアムで開かれ、市内のクラブチーム、レジスタレッドが優勝した。表彰式ではU-23サッカー日本代表監督の大岩剛さんがプレゼンターを務め、つくばのサッカー少年たちを激励した。 セキショウチャレンジシリーズJCカップU-10サッカー大会2026 決勝レジスタレッド 2-1 レジスタネイビー前半 0-0後半 2-1 今大会には20チームが参加、決勝戦には同じFCレジスタつくばから、レッドとネイビーの2チームが勝ち上がった。「同じクラブの仲間であり学年も同じ4年生。互いに負けられない気持ちで決勝に臨んだ」とレッドの杉山亮太監督。 前半は一歩も引かない戦いぶりで両者とも無得点。試合が動いたのは後半1分、レッドの佐藤劉佑さんのミドルシュートだ。ゴール前の混戦からバックパスを受け、「ワンタッチでうまくコントロールし、強いシュートを打つことができた」と佐藤さんの振り返り。「ふかさず、抑えの利いた良いシュートだった」と杉山監督。 ネイビーも負けてはいない。後半2分、柏崎蒼さんがレッド守備陣の横パスをカットしてゴール。ゲームは1-1の振り出しに戻った。すると後半3分、今度はレッドの秀島綾汰さんがパスを奪ってゴールを決めた。「落ち着いてきれいに流し込んだ。DFだが球際でファイトするスタイルが前線で生きた」と杉山監督。 その後はレッドが攻勢を強めるが、ネイビーのGK山本透璃さんが好セーブを連発、互いに追加点を許さないまま試合終了。「優勝を狙っていたので勝ててうれしい。予選からずっと無失点を続けてきたが、最後に1失点してしまった。もっと頑張れたと思う。今日できなかったことを今後に生かしたい」とレッドの坂野一心主将のコメント。 選手である前に素晴らしい人に 表彰式では、2年後のロサンゼルスオリンピックを目指すサッカーU-23日本代表監督の大岩剛さんが、優勝チームおよび各チームの優秀選手に賞品を授与し、「みんなも将来、Jリーグの選手や日本代表を目指すなら、選手である前に素晴らしい人であってください。あいさつができる、感謝の気持ちが持てる、自分のことは自分でできるなど。4年生なら自己紹介もできるようになってほしい。サッカーは自分の得意なことや、相手の嫌がることなど、プレーを通じて自己表現するスポーツ。いい選手になるにはそういうことも考えてください」とアドバイスした。 同大会は、試合出場の機会が限られるU-10世代にチャレンジ精神を発揮し勝利を目指してもらおうと開催されている。関彰商事は2017年から大会に協賛し、大岩さんが同社のスポーツアドバイザーを務めている縁から、子どもたちとの交流の機会が設けられている。(池田充雄)