火曜日, 1月 20, 2026
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「勇気を持って次の大きな目標へ」170人巣立つ つくば国際ペット専門学校

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記念写真に笑顔を送る卒業生たち=つくば国際会議場

つくば国際ペット専門学校(同市沼田、東郷治久理事長)の卒業式が9日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で行われた。170人の卒業生を前に高橋仁校長は「今日みなさんは憧れの職業へのスタートラインに立った。勇気を持って次の大きな目標へと立ち向かってほしい」とエールを送った。

同校は1997年にトリミングスクールとしてスタートし、県内初の動物分野の専門学校として2006年に開校した。現在は「ドッグトリマー」「ドッグトレーナー」「ペットケア総合」「愛玩動物看護師」「動物看護福祉」の5コースと、22年4月に開設した日本初となる通信制コース「通信制ペット学科(3年制)」に約450人が在籍している。生徒1人に1頭の子犬がつく「パートナードッグシステム」や、隣接のグループ企業による犬のテーマパーク「つくばワンワンランド」(同市沼田)で実習を積める-などが特色だ。

挨拶に立った東郷理事長は「(在学中に)実際に動物にふれあいながら動物への愛情と根気を身につけられたと思う。胸を張って社会へ巣立ってほしい」と卒業生に祝辞を述べた。

答辞を述べる卒業生代表の沼田美里さん

卒業生代表としてペットケア総合コースの沼田美里さんは答辞で、学校生活を「一瞬のように感じたが、充実していた」と振り返った。「新型コロナの5類移行で、これまで規制されていたイベントが通常通りに行われ、楽しみながら学校生活を送ることができた。入学前の高校生活の大分がコロナ禍によって妨げられ、思うようにいかない生活を送ってきたが、その困難な状況を突破し再び学校という場で学べたことは、未来へ向けて力強く進むことの大切さと、今まで当たり前だと思ってきたことが当たり前ではないことを再確認するきっかけになった。多くの方の支えがあって今日を迎えることができた。私たちに真摯(しんし)に向き合ってくれた方たちに感謝を伝えたい」と力強く語った。

式典では、文部科学省後援によるビジネス能力検定3級と共に、日本国内におけるイヌの品種の認定、血統書の発行とともに、公認トリマー、公認ハンドラー、公認訓練士などの公認資格試験の実施と公認資格発行などを行っている一般社団法人ジャパンケネルクラブの別所訓理事長らから、同法人によるトリマーB、C級、ハンドラーC級、愛犬飼育管理士の合格者へのライセンス授与が行われた。式典の最後には、在学中の思い出を振り返る映像が流され、参加した保護者らからも卒業生に向けて拍手が起こった。

妖しい輝き、密林の宝石を紹介 実験植物園で「つくば蘭展」

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色や形もさまざまなジュエルオーキッド(宝石ラン)約30種の寄せ植え

10日から 500点を実物展示

約3000種の貴重な野生ランを栽培し、世界有数の保全施設として知られる国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)で10日から「つくば蘭(らん)展」が開催される。同園のコレクションから開花中の野生種約200点に、協力団体が育てた園芸品種など約300点を加え、約500点を実物展示する。また今展の目玉として、熱帯雨林の奥で妖しい輝きを放つ「ジュエルオーキッド」について紹介する。

ジュエルオーキッド(宝石ラン)は、葉がきらめいて見える珍しいランの総称。シュスランの仲間を中心に約800種が知られている。漆器装飾の沈金のように葉脈が際立って見えるものや、ビロードのように葉全体が鈍く輝くもの、斑点や市松模様のようなパターンが浮かび上がるものなど、多様な姿がある。

ジュエルオーキッドのパネル展示。拡大写真が、花に吸い寄せられる虫になった気分にさせてくれる

輝いて見えるのは、葉の表面にレンズ状の構造があり、そこで光が乱反射するからだという。だが、何のために輝くかは明らかになっていない。仮説はいくつかある。森の奥に射し込むわずかな光を効率的に利用して光合成をするため、強い光から葉の細胞を守るため、葉を擬態させて動物や昆虫などの食害から身を守るためーなどだ。網目状のものはクモの巣や落ち葉を模したと言われており、斑点状のものは傷んだ葉に見せかけたという説もある。

「ランの魅力の一つは多様性。世界中のさまざまな環境で暮らしており、生き様によって花の色や形、匂いなどもそれぞれ違う。一つ一つの個性を味わってほしい」と、担当研究員で植物研究部多様性解析・保全グループ長の遊川知久さん。今回ジュエルオーキッドを取り上げた狙いについては「何かにフォーカスすることで、今まで気付かなかった面白さが見えてくる。花とは違って、じっくりと眺めながら微妙な違いを楽しんでもらえると思う」と話す。

遊川さん(左)と鈴木さん

ジュエルオーキッドの展示は、正門を入ってすぐの教育棟が会場。特に約30種を集めた寄せ植えは、ラン科の栽培を担当する技能補佐員、鈴木和浩さんの労作だ。「花でも葉でもきちんとした姿を、この時季に良いコンディションでお見せするのが一番重要なこと。小さいものも大きいものも、よく見るとそれぞれに美しい。その多様性を体感してほしい」と呼び掛けている。(池田充雄)

◆「つくば蘭展」は3月10日(日)~17日(日)、つくば市天久保4-1-1、筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時~午後4時30分(入場は4時まで)。会期中無休。入場料は一般320円、高校生以下と65歳以上は無料。障害者手帳所持者とその介護者1人無料。問い合わせは電話029-851-5159(同園)。

展示に先立ち、植物園ボランティアに解説する遊川さん(右端)

阿見町の茨城大学農学部《日本一の湖のほとりにある街の話》21

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】人はパンのみにて生くるものにあらず。しかれども、パン無かりせばそも生くること能わず。

我々生き物に必要不可欠な食物。阿見町にある茨城大学農学部では、食料の生産・品質の向上改善のための様々な研究がなされています。今回、同大国際フィールド農学センターの小松﨑将一教授に、土浦市・美浦村・阿見町―3市町村連携による、生ごみリサイクルによる地域環境改善と食物生産向上の研究について、お話を伺いました。

地球温暖化対策ならびに廃棄物の抑制は、現代における喫緊(きっきん)の課題となっています。そうした中、土浦市の日立セメントでは、生ごみの発酵処理によるメタンガスなどのエネルギー生産と、発酵残滓(ざんし、残りかす)による堆肥生産を行っています。しかし、この堆肥は栄養成分バランスの偏りという問題がありました。

一方、JRAトレーニングセンターを擁する美浦村では、連日大量の馬糞(ふん)が発生し、この成分の地中への溶脱による水質低下などが問題視されていました。

生ごみ発酵残滓に糞を混ぜる

ここで、阿見町・小松﨑教授の出番です。教授は日立セメントの発酵残滓に、鶏糞・牛糞・馬糞をそれぞれ混合し、その育成効果の研究を行いました。その結果、残滓に対し50%の馬糞を混ぜることにより、コマツナの育成実験において、5.9倍の生育向上という目覚ましい成果を確認したのだそうです。

もともとの発酵残滓は、さらに2次発酵をさせれば肥料としての性能は向上するものの、そのためには新たな設備を追加せねばならず、割高なものになってしまいます。それに対し同研究は、発酵残滓に馬糞という地域資源を混ぜるだけで劇的に肥料効果を高めるという、簡便かつ地域が連携して問題を解決していくという、実に素晴らしい内容です。

実学の極みたる農学のお話は、伺いつつワクワクが止まらない、素晴しいひと時でした。余談ですが、つねづね定年退職したら、改めて大学で勉強し直したいと思っています。芸術をやり直す、経営を学ぶなど考えていましたが、農学も素敵だな…と、新たな悩ましい選択肢が浮かぶ取材となりました。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

→これまで紹介した場所はこちら

13カ国49人が巣立つ 日本つくば国際語学院で卒業式

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卒業証書を手に笑顔の卒業生ら(後列)=山水亭

つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長)の卒業式が8日催された。13カ国49人の卒業生が出身国の民族衣装などの上に青いガウンをまとい、学士帽をかぶって笑顔で式典に臨んだ。

卒業生の出身国は中国、ネパール、スリランカ、ウズベキスタン、ミャンマー、韓国、イラン、ガーナなど13カ国。卒業式は同校に隣接する料亭、山水亭(つくば市小野崎)で催され、恩師、在校生、関係者らが見守った。卒業後はそれぞれ大学、専門学校、就職とそれぞれの専門分野に進む。

式典では、精勤賞、皆勤賞の表彰に加えて、筑波大学大学院システム情報工学研究群に進む中国出身のウェイ・マンマンさん(24)が難関大学合格者として表彰された。ウェイさんは2年前に来日、市内の産業技術総合研究所で働きながら同校に通い日本語を勉強した。

筑波大学大学院に進む中国出身のウェイ・マンマンさん

日本語でスピーチしたウェイさんは「学校生活は最初、日本語が分からなくて辛かったが、次第にたくさんの国の方と知り合えて良かった。異なる文化を理解し、多様性を認め、異文化に対するお互いの驚きを語り合ったりするのは、文化の成り立ちなどを理解する上で大変良かった」と語り、「現在産総研で人工知能の研究をしている。大学院でもしっかりと勉強したい。将来、日本で仕事をするか中国で仕事をするかは決めていない」と付け加えた。

東郷理事長は「昨年までは(新型コロナによる)水際対策の影響もあり卒業生が6人だったが、今年は49人とにぎやかになった。来年度はすでに71人の入学が決まっており、日本語学校の需要は拡大している。国際化する社会に役立ちたい」と述べた。(榎田智司)

V奪還へ、春季キャンプ始動 アストロプラネッツ 

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ノックを受ける投手陣

プロ野球独立リーグ、ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツ(本拠地・笠間市、フレンドリータウン・土浦市など)が7日、笠間市民球場で春季キャンプを開始し今シーズンに向けてスタートを切った。

2022年に南地区で優勝を果たしたが、昨年は22勝43敗1分けと最下位に終わった。チームの再建を託されたのは22年から投手兼任コーチとして在籍する巽慎悟(たつみ・しんご)監督(37)だ。「昨年は若い選手が多く、開幕当初から苦戦した。特に栃木にはなかなか勝てず、苦手な球団をつくってしまった。今年は昨年からの若い選手プラス新たな新戦力が加わったので、上手く機能すれば昨年の最下位からの巻き返しを図り、優勝を狙える」と話す。「チーム自体もすごく明るいので不安はあまりなく楽しみ」という。

選手の輪に入りミーティングする巽監督

さらに「ファンの皆さんには開幕からシーズン終了、ドラフトまで1年間楽しめる野球、分かりやすい野球、速い球を投げ、遠くに飛ばすスケールの大きな野球を見せていきたい。見に来てくれた子供たちに『独立リーグってすごい』と思わせる野球をしたい」と語った。

巽監督は08年から8年間福岡ソフトバンクホークスでプレーし24試合に登板、その後はBCリーグの栃木ゴールデンブレーブス投手コーチを経て、現在、茨城の選手兼任コーチ。今シーズンも投手兼任としてマウンドに立つ。

選手に指示をしながらノックをする巽監督

キャンプ初日は海外調整組を除く25人が参加した。ミーティング、ウオーミングアップの後に、投手と野手に分かれて練習し、続いて巽監督が自らバットを持ち実践を想定したシートノックを行った。

巽監督は、キャンプでは練習試合を多く入れたいとする。「実戦の中で自分の力をどう使うか、練習試合の中でチャレンジして、成功するところや失敗するところを何回もトライしてもらうのが目的」だ。

ブルペンで投げ込む浅野投手

昨年チーム最多となる44試合に登板した浅野森羅投手(25)は「昨年はいろんな経験をさせてもらった。右打者に対してインコースを責めきれず打たれることが多かったので、今年は真っすぐのスピードと、右にも左にも強気にインコースに攻めていきたい。自分のピッチングで打撃陣に勢いが付き、火が付くような流れをもってこられるようなピッチングをしていきたい」と抱負を語った。

昨シーズン途中からキャプテンとしてチームを引っ張り全試合に出場した坂東市出身(守谷高校)の滝上晶太外野手(22)は「全てにおいて昨年以上の成績を残し優勝してNPB(プロ野球)入りを目指したい」と意気込みを話した。

打撃練習をする滝上選手

今年のスローガンは「奪取 DASH」。 優勝しドラフト指名を目指し駆け抜ける意味が込められている。

笠間でのキャンプは4月1日まで。翌3、4日は遠征し練習試合を行う。開幕戦は4月6日、埼玉県のレジデンシャルスタジアム大宮で埼玉武蔵ヒートベアーズと対戦する。ホーム開幕戦は翌7日、ノーブルホームスタジアム水戸で、神奈川フューチャードリームスと対戦する。(高橋浩一)

集合写真(海外調整組は不在)

63カ所にミモザ彩る 国際女性デーに関彰商事

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黄色いミモザとラナンキュラスのアレンジメントを前に笑顔を見せる同社総務部の斉藤弘美主任=つくば市二の宮、関彰商事つくば本社1階受付

ジェンダー平等社会の実現願い

3月8日は国連が定める「国際女性デー」。各地で女性の生き方や地位向上について考えるイベントが催される。ジェンダー平等社会の実現を願って関彰商事(本社・筑西市、つくば市、関正樹社長)は同日、県内外63カ所の拠点や店舗に、黄色いミモザの生花を使ったフラワーアレンジメントを飾っている。ミモザは国際女性デーのシンボルとして親しまれている。

国際女性デーの趣旨に賛同し2021年からスタートした。ミモザの装飾は今回で4回目になる。飾っているのはつくば本社(同市二の宮)、東京事務所(千代田区)など9拠点と、グループ会社の自動車販売店「メルセデス・ベンツつくば」(同市研究学園)、「ポルシェセンターつくば」(同市学園の森」のほか、ガソリンスタンドや携帯電話ショップなど54店舗。

総務部の斉藤弘美主任は「彩り豊かなミモザの姿を通して、女性の活躍を願う人が増えるとうれしい。花がある空間は社員同士の会話のきっかけにもつながる」と話す。

同社は女性活躍推進の一環として、女性の積極採用や職域の拡大、管理職登用などを行っており、現在女性役員が2人、女性管理職が21人いる。このほか、子どもの授業参観や体調不良のため年3回の特別有給休暇や有給取得推奨日を設けて社員の有給取得を促すなど福利厚生の拡充も図る。女性社員の育児休業取得率、休業後の復職率はいずれも100%で、女性全員が復職する一方、女性に比べると男性の取得率は少ないという。

斉藤主任は男性の育児休暇の取得率の向上を目標に掲げ「男性社員の取得率の増加が女性の子育ての負担軽減と働きやすさにつながり、おのずとジェンダー平等社会の実現に結び付くと思う」と期待する。 

国際女性デーは1904年、米国で女性労働者が婦人参政権を求めてデモを起こしたことが起源とされており、75年に国連が制定した社会参画と地位向上を願う記念日。イタリアでは女性へ感謝の意を込めてミモザの花を贈る習慣があることから「ミモザの日」とも呼ばれている。(泉水真紀)

マルハラと言葉の豊かさ《遊民通信》84

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【コラム・田口哲郎】

前略

昨今、マルハラなる言葉が世間に流通しています。若者がLINEなどで、文末に句点の「。」をつけるのをためらい、つけられて送られてくると威圧感を感じるというもの。たとえば、やりとりの中で「わかりました。」と送ると、キッパリと言っているように思われて、怒ってるのかな?と心配されることのようです。マルハラと受け取られないように、「わかりました〜」とか「わかりました(^^)」などとソフトな印象を与える必要があるようです。

でも、文末につける絵文字に気をつけて、顔文字を並べすぎないようにしないと、おじさん構文と言われます。「おっけー!!わかったよ〜(^^)(^^)(^^)/」などとついつい過剰に飾り立ててしまうと、若者に揶揄(やゆ)されるのです。オジサンなので、末尾をデコってユルい雰囲気をかもし出したくなる気持ちはよくわかるのです。

あまりに素っ気ないとハラスメントと言われ、マルハラを回避すべく無理してテンションを上げるとオジサンぽいと言われる。どうすればよいのだという気持ちになります。

これは、日本人の繊細さが引き起こすものだとか、若者のナイーブさはいつの時代も変わらないとか、オジサン、オバサンを茶化(ちゃか)す文化は今に始まったことではない(たとえばオバタリアンの強烈なキャラクターやサラリーマン川柳の自虐のセンス)とか、理由はさまざま考えられるし、言おうと思えばなんとでも言える気がします。そしてマルハラについて何を言おうと言い古されていることの繰り返しになるでしょう。

効率化がまねく、文章の簡素化

ひとつこうした現象について思うのは、いくらコミュニケーションツールが変わっても、人間同士の意思疎通の基本は変わらないのだなということ。そして、意思疎通の表現が簡素化されて言わば貧弱になっているということです。

文末に「。」をつけるかつけないか、というミニマリズムが極まるまでに、効率化が進行しているのではないでしょうか。飾り立てることはできても、これ以上は削れないレベルで選択を迫られる。他人と関わることを省エネするために言葉を簡単にしてしまったら、最後に句点の有無にまできてしまった。

紙の手紙ならば、文末につける決まり文句は多彩です。たとえば「時節柄、どうぞご自愛くださいませ」。手紙のやりとりではよく書きますが、LINEの了解伝達ではなかなか書かない文句です。できるだけ用件のみを伝えようというのではなく、相手を思いやる気持ちが定型ながら込められています。

そうすると、「。」で締めくくられていても、マルハラだ!とはならない。心の栄養みたいなものをきちんとつけてあげれば、ひもじくはない。人間の気持ちはカンタンに済まそうとしても思い通りにはならないようにできているようですね。

ごきげんよう。

(散歩好きの文明批評家)

茨城空港の利用客、コロナ前水準に戻る【筑波総研リポート】

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茨城空港の旅客実績

筑波銀行グループの筑波総研が7日まとめた「茨城県経済の現状と展望」によると、コロナ禍の深刻期(2020~21年)に落ち込んだ県内の観光客が緩やかに回復している。

茨城空港を利用した旅客数は、20年春にほぼゼロに落ち込んだが、22年前半に急回復し、23年には月6万人前後と、コロナ前の水準に戻った。国際線が運航されるようになったことも回復に寄与した。

宿泊人数は月45万人泊に回復

コロナ前に月40万人泊前後だった県内宿泊延べ人数は、コロナの影響で20年半ばに月15万人泊近くまで減少したが、昨年11月には45万人泊までに回復した。

筑波総研は旅客数回復について、コロナの終息のほか、県が観光振興策として昨秋から開始した「茨城デスティネーションキャンペーン(DC)」効果を挙げている。県や市町村と観光業者、JRグループが連携して進めているDCが利いているようだ。

住宅着工はコロナ需要の反動で減

県内の住宅着工は減少している。23年の新築住宅着工数は、22年に比べ10.7%減り、1万6345戸にとどまった。コロナ対策で東京のオフィスにリモート業務が導入され、20~21年にはTX沿線に住宅を求める動きが目立ったが、そういった転居需要が一巡したようだ。

筑波総研は「コロナ禍需要の反動減に加え、資材高と人件費高騰による住宅価格高騰が、消費者の持家の購買意欲に影響した」と分析している。

茨城県 住宅着工件数

空き家の活用・除去が今後の課題

今後の住宅需要について、筑波総研は「中長期的には縮小していく」と予想。その理由として、①人口減に伴い世帯数が減少する、②高齢者の単独世帯化が進む―などを挙げ、今後「世帯数と住宅総数の乖離(かいり)が進み、空き家、空き室が増える」と指摘。空き家の活用・除去がこれからの課題になるとしている。(岩田大志)

学食メニューにCO₂排出量を見える化 筑波大

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筑波大学大学会館「筑波デミ」のカーボンフットプリントプロジェクトの学食の様子(筑波大提供)

筑波大学(つくば市天王台)は学生食堂のメニューに2月末から期間限定で、二酸化炭素(CO₂)排出量を表示し提供している。カーボンフットプリント(CFP)という取り組みで、食材を調達し、食事として提供されるまでに排出された二酸化炭素を数値化する。二酸化炭素排出量を可視化し、学生らが地球環境負荷を理解することで、排出量削減につなげる狙いがある。

CFPは、商品やサービスがつくられてから捨てられるまで、生産、加工、流通、消費、廃棄の各過程で排出された温室効果ガスを追跡し二酸化炭素に換算して、表示すること。

地球規模課題の解決や持続可能な未来に向けて学問領域を超えて探索する同大デザイン・ザ・フューチャー(DESIGN THE FUTURE)機構と、学生、学食提供会社などが連携し、大学会館レストラン「筑波デミ」を含む3つの食堂で2月26日から3月8日まで実施している。

同大で学食メニューにCFPを表示する取り組みは、昨年10月開催された同大創立50周年記念イベントのランチパーティーで実施して以来のことで、今回は、同大食堂を訪れる学生や教職員らに向けて、初めて期間を設けて実施する。

CFP表示されるメニューは、日替わり32種と定番10種に及び、3つの食堂で1日3種類程度の日替わり定食や丼ぶりものにCFPが表示されて提供されるほか、医学食堂や1A棟食堂ではそばやうどん、ラーメンなどの定番メニューも対象だ。

CFPの低い学食をランキング形式にして紹介するなど、学生が二酸化炭素排出量を考慮してメニューを選択することもできる。

デザイン・ザ・フューチャー機構長で同大副学長の西尾チヅル教授は「二酸化炭素排出量削減に向けては、脱炭素に関する研究など技術的に進化している一方で、消費者が食料と二酸化炭素排出量を結びつけて考える機会はなかなかない」と話す。

そこで学生が地球環境について考える場を設けるため、まずは身近な学食に目を付け、CFPを表示するプロジェクトが昨年4月から企画され始動した。

西尾教授は「将来的には、消費者によりわかりやすい表示法の模索や、継続的に、期間を設けて運用し、二酸化炭素削減につながる暮らし方の提案ができれば」と話した。

同プロジェクトには学生も参加し、ポスターのデザインや、食堂のテーブルに設置されたポップ案内の作成、CFP表示に併せてカロリーや三大栄養素表示の提案を行うなどしている。

学食メニューのCFP表示は、今年1月に東京大学で期間限定で実施された。海外では、米国、ドイツ、フィンランドなどで環境負荷の低いメニューが提供されている事例などがある。(上田侑子)

◆筑波大の学食メニューにCFPを表示する取り組みは3月8日(金)まで、大学会館レストラン「筑波デミ」、医学食堂、1A棟食堂「TSUKUBA TABLE」で実施。営業時間は午前11時〜午後1時30分まで(月〜金、現在短縮営業中)、医学食堂のみ午後2時まで営業。

病院でも増える外国人の患者《医療通訳のつぶやき》6

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写真は筆者

【コラム・松永悠】ここ1年くらい、電車に乗れば必ずと言っていいくらい、外国人観光客の姿が目に入ります。コロナによる制限がなくなって、さらに円安も手伝って、来日する海外の方が急速に増えていると実感しているのは私だけじゃないはずです。

実は、病院の中でも同じように、コロナ禍前よりも外国人患者が増えています。観光と違って、病気の治療は一刻を争うものです。がんや難病と診断された中国人患者が、藁(わら)にもすがる思いで日本の病院に来ています。

日本の医療機関で中国人患者がどんな治療を受けているかというと、例えば先端医療である陽子線治療、重粒子治療、手術支援ロボットダヴィンチなどを使って行う高度な手術などです。どれも医療機器が最先端だったり、熟練な技が必須だったりするものばかりで、今の中国では同じレベルの治療が難しいのが現状です。

医療通訳という仕事柄、私は日頃から日本の医師と中国の患者に接していて、どちらの気持ちも感想も最前線で見て、感じています。たくさんの不安を抱えながら、日本の医師にていねいに診察・治療をしてもらって、元気になって帰っていく患者もいれば、なかなか見ないケースに奮闘して、一生懸命治療法を考える医師もいます。

私の父が内科の医師でしたので、小さい頃から父からいろんな病気の話を聞いて育ちました。医師というのは人の命を救うのがもちろん仕事ですが、医学への探究心から難病や難しいケースと出会ったとき、絶対助けてあげるという仁の心と、研究したい、経験を積みたいという気持ちもたくさんあると言います。

観光地が混む、マナーが悪いと言ったインバウンドビジネスに対するマイナス意見も出ている中、病院内まで外国人が入って来たら嫌だ!という声も聞こえてきます。正直に言うと、このような意見を耳にするとき、いつも複雑な気持ちになります。

外国人患者がありがたくなる日

医療通訳を介して診察するため、どうしても診療時間がかかってしまうのは事実です。そのため医師が通常通りの診察ができず、日本人患者に割り当てられる時間が減ってしまい、一定の影響があるのは否定できません。

しかし一方で、少子高齢化が進む今、今後、患者の数も減っていくと容易に想像できます。そうなると、病院の経営も厳しくなりますし、病例の数も減っていきます。若手の医師になかなかチャンスが回って来ず、件数をこなさないと上達できない検査や手術もいっぱいあります。そうなってしまうと、医療水準が低下してしまうリスクも出てくるのではないでしょうか。

ここで考え方を変えて、しっかり外国人患者の受け入れ体制を作って、医療通訳もたくさん養成すれば、人を救いながら医師も成長して、さらに病院の経営にも一役を担うと言う流れができたら、外国人患者はありがたい存在になる日も来るかもしれません。

少なくとも、私は養成講師として、これからも良い人材を見つけて、良い医療通訳を送り出したいと思っている今日この頃です。(医療通訳)

<参考> 医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。

シクロクロス全日本王者3選手、つくば市長を表敬

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表敬訪問する(左から)織田聖選手、小林あか里選手、山田駿太郎選手

第29回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス(1月15日、宇都宮ろまんちっく村で開催)で優勝した、つくば市ゆかりの選手3人が5日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問した。3人は勝利の喜びや来季の抱負などを語った。

3人のうち、男子エリートの部優勝の織田聖選手(25)と、女子エリートの部優勝の小林あか里選手(22)は、市と連携協定を締結している「弱虫ペダルサイクリングチーム」に所属。男子17歳未満の部で優勝した山田駿太郎選手(15)は市立谷田部東中学校の3年生だ。

織田選手は2016年に弱虫ペダルサイクリングチームに加入。同年からつくば市内にある同チームの寮で生活し、筑波山周辺を拠点に練習活動に励んできた。全日本シクロクロスではジュニアの部やU23の部でも優勝経験があり、エリートの部では昨季に続き2連覇を達成した。

ヨーロッパ遠征から帰国した直後で疲れが取れず、ストレスで睡眠の質が悪かった中で臨んだ大会だったが、2週目でトップに立つと、2位に1分40秒の大差を付けてゴール。「連覇できて正直ほっとした。取れてよかったという安心感のほうが強い」との感想。次の目標は全日本3連覇と、ロードレースでも日本タイトルを獲得すること。

小林選手は2022年にチーム加入。夏季は実家のある長野県安曇野市、冬季はつくば市を拠点に活動している。今季はシクロクロスとマウンテンバイクでトップカテゴリー優勝、ロードレースはU23の部で優勝し、3冠を達成した。

「シクロクロスでは今まで一度も勝ててなく、万年2位と呼ばれていた。ここまで来たら後はメンタルの問題、ここで勝つために練習してきたんだという思いで臨み、勝ててめちゃくちゃうれしかった。これからは追われる立場になるが、自信を持って一つ一つのレースを大切に走り、毎回トップで帰ってこられるようにしたい。ロードレースだけはU23のタイトルだったので、来季はトップカテゴリーで優勝し、五輪代表選手にも勝ちたい」

山田選手は4歳からシクロクロスを中心にレースを開始。小5から長野県富士見町を拠点とするマウンテンバイククラブチーム「TEAM GRM」に参加、夏は月1回のペースで長野に通い、地元では小貝川リバーサイドパーク(取手市)や筑波山周辺で練習に励んでいる。「つくば周辺は平地ばかりで登坂の練習ができないが、筑波山はパワー系を鍛えられる貴重な場所」という。

今回、全日本の大舞台で初めてのタイトル獲得には「信じられない気持ちが強かった。レース中に一度ミスして後退してしまったが、自分は粘りが強み。あきらめずに走り、最後にまくって勝つことができた」

今季についてはカテゴリーが一つ上がるので、我慢の1年になることを覚悟しているという。「しっかりと経験を積み、その先の世界を目指したい」

シクロクロスは激しい坂、林間、砂場など変化に富んだコースを走行する自転車競技。県内では土浦、取手、大洗などでレースが開催されている。

弱虫ペダルサイクリングチームは、自転車漫画「弱虫ペダル」のオフィシャルチームとして2014年にシクロクロスチームを発足。2016年からはロードレースを含む総合的なサイクリングチームとして活動する。本拠地つくば市。(池田充雄)

人の幸せを語れるほどの力はありませんが…《続・気軽にSOS》147

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【コラム・浅井和幸】心理相談、居住支援、不登校・ひきこもり相談などなど、様々な相談や支援をしていると、クライアントの役に立てているのかを考えることが多々あります。

役に立つとは何か? その人の希望や目的に近づくサポートをする、苦しみや悩みを軽くする関わりをするということでしょうか。少しでも幸せに近づけるような接し方をするということでしょうか。

幸せとは何でしょうか? 何かを楽しめることや生きる余裕があることでしょうか。それとも今が楽しいことでしょうか。あるいは、死ぬ前に良い人生だったと感じられることでしょうか。

幸せになることは権利でしょうか、義務でしょうか。そして、不幸にはなってはいけないものでしょうか。

まだまだ未熟な私には答えが出ません。迷っているときは、とりあえずの今の人生観で接するしかないと考えています。今の楽しみをあまり損なわないように、それでも、もっと長い目で良かったと思えるように関わりたいと。

幸せが何かということも、何となく生活に余裕があって、ささいなことでも喜べることかなぐらいとしか考えられていません。例えば、空を見上げてきれいだなと感じられるとか、水を飲んでのどの渇きが潤ったとかが、ささいなことで喜べるということです。

人は不幸になる権利もある

繰り返してしまいますが、幸せになることは権利でしょうか、義務でしょうか? 不幸になってはいけないものなのでしょうか。どこまで他人である私が関わってよいものでしょうか。今の段階での私の答えは次のものです。

人は幸せになる権利もあるし、不幸になる権利もある。だから、ある人が不幸になりたいと考えているのに、浅井がそれを邪魔してはいけない。

結果、「浅井には、他人の幸と不幸を判断できるほどの立派な力があるわけではないけれど、自分自身も幸せに近づくだろうなと考えられる方向性は、依頼があれば出来る限りサポートする。だけど、不幸になりたいという人の権利はできるだけ邪魔をしないしようと努力するけれど、手伝うことは避ける」というのが、今の段階での私の答えです。

そこで、周りの人や環境への悪口、暴力、正義や愛の押し付け、人を悲しませたり苦しませたりすること、仕返し、自傷他害…。短期的な喜びを得たいという感覚に振り回された、中長期的な不幸を自分に呼び込む権利を行使していないでしょうか。

老婆心ながら、勝手に心配をしております。皆さんが、支えあい、苦しみや楽しみを共有し、少しでもより良い生活を送ることができることを願っています。(精神保健福祉士)

つくば、満州 地域の歴史をつなぐ写真展 土浦

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写真家の藤村健一朗さん

土浦市中央、公園ビル内のギャラリー「がばんクリエイティブルーム」で、つくば市の写真家・藤村健一朗さん(56)による写真展「ビヨンド・ザ・ウィンドウ(窓の向こう)」が3日から始まった。著しく変化する、近年のつくばの風景を独自の目線で記録する。ギャラリーがある公園ビルは戦後、旧満州からの引き揚げ者が暮らした建物で、空間からも地域の「新・旧」を体感できる場をつくっている。カラー、モノクロ21点が展示されている。

つくばの公務員宿舎を記録する

ギシギシギシ…。すり減る年季の入った踏み板を鳴らして会場の木製階段を2階へ上がると、踊り場の壁に並ぶ、つくばの街並みを写したカラー写真が目に入る。打ち付けられた板で窓がふさがれたり、建物が草木に覆われたりする無人の公務員宿舎や、取り壊された宿舎跡地に建つ真新しい住宅などだ。隣の和室にあるモノクロ写真は、歪んだ鉄骨がむき出しになっていたり、崩れた建物に鉄製の階段が引っ掛かるように残っていたりする解体途中の宿舎が写る。画面の中央には、崩れた外壁に残されたガラスと枠が外れた窓が、こちらを見つめている「目」のようにも感じられる。

以前は居住スペースだった2階和室にはつくばの写真が並ぶ

藤村さんは2020年から、新たな開発が進む筑波研究学園都市の風景を撮り進めてきた。国家プロジェクトとして誕生したこの街には、1980年までに計7755戸の公務員宿舎が建てられ、移住してきた研究者らの暮らしの場となった。今は、空き家が増えて老朽化が進むことから、全体の約7割が解体または解体の途上にある。その跡地には、真新しいマンションや住宅が次々に建てられている。県は、つくばエクスプレス沿線を「新・つくば」と名付け、沿線地域の開発とさらなる移住者の呼び込みに力を入れている。街の景観は大きく変わっている。

日米、戦後の都市開発とのつながり

藤村さんがつくばの風景に関心を持ったのは、妻と千葉県からつくば市に移住して間もない2010年のころだった。夫婦で近所を散歩していると、街のあちこちにある独特の形をした公務員宿舎に興味を引かれた。以前から、建築物や都市の風景を写真に収めてきた藤村さんは、間もなく次々に壊され始める姿を目の当たりにし「今の変化を写真で記録したい」と思ったという。

2階に展示されている公務員宿舎のカラー写真

筑波研究学園都市の成り立ちを調べると、戦後日本の住宅政策との重なりに気がついた。「戦後の日本で不足する住宅を供給したのが『住宅公団』。学園都市をつくったのも同じだった。つくばの成り立ちは、戦後日本の住宅政策とつながっている」と指摘する。

第2次大戦の戦災で多くの都市が焼失した日本は戦後、600万人を超える外地からの引き揚げ者とその後のベビーブームによる人口急増で、深刻な住宅不足に直面した。これに対して1955年に国がつくったのが日本住宅公団だった。各地に大規模な団地やニュータウンを開発し、後に筑波研究学園都市の開発を一手に担うことになる。

藤村さんはさらに、戦後の都市開発と米国の住宅政策の繋がりに行き当たる。米国では1930年代、「郊外」と位置付けられた都市の外側に、大量生産され均質化された家屋が立ち並ぶ大規模ニュータウンがつくられ始める。米国の写真史を学んだ藤村さんは、郊外の人工風景を記録する米国の写真家に引かれていく。今回の作品は、人口増加の過程で、国外でも起きていた「郊外」を巡る歴史に、現在のつくばを位置付け直す試みでもある。

旧満州引き揚げ者が残す

地域史の「新・旧」を知ることができる今回の展示では、会場も大きな役目を果たしている。その理由が、同ギャラリーが入る「公園ビル」の歴史にある。

旧満州からの引揚者がつくった「公園ビル」

同ビルは、亀城公園に隣接する長さ100メートルほどの3階建ての建物で、1階が店舗、2、3階部分が商店主の居住スペースとなり、20軒ほどが連なっている。さながら「長屋」のような空間だ。ギャラリーがある店舗には以前菓子店が入っていて、2、3階に店主が家族で暮らしていた。

公園ビルの前身は、1947年に旧満州からの引き揚げ者らが建てた「急造バラック長屋」だったと、公園ビル商業協同組合の冊子「公園ビル四十五年の歩み」にある。同誌によると、家屋は亀城公園のお堀から霞ケ浦へと続く水路(川口川、現在は暗渠)上に杭をうち建て、杉皮で屋根をふいたものだった。その後、住民が協力してお堀でスワンボートの貸し出しなどの事業を開き、50年には「公園マーケット」として同地にアーケードをつくり、翌年それを組合化、53年4月の桜まつりに合わせて、現在まで続く鉄筋コンクリート3階建ての大きな「長屋」が完成した。

「窓」の先にある自分だけの風景  

今回の展示のテーマは「窓」だと藤村さんはいう。「窓は、外の世界に目を向けるものである一方で、ガラスに反射する自分を映す鏡にもなる」。

それは、外界への視線と自己表現という、写真が持つ二つの性格との重なりでもあるという。展示は室内の1、2階を利用した2部構成。1階では、藤村さん自身の歴史につながる、家族がきっかけとなった「窓」の作品が展示され、2階には、千葉から移住した藤村さんが新しく繋がるつくばの歴史を見つめる写真だ。藤村さん自身が抱く2つの視線を、歴史ある公園ビルの建物が包み込む。

「街には成り立ちがある。人の暮らしがあって、今がある。どうしても『今』を追いがちだけど、歴史を紐解くことで、当たり前の風景の背景を知ることができる」

入り口を入って1枚目の写真に、記者は釘付けになった。それはベージュの額に収められた藤村さん宅の突き出し窓。外の光にガラスが白く輝いているため、屋外の風景を窓越しに見ることはできない。ただ、その光をじっと見ていると、突然壁に空いた異空間への入り口のようにも感じ、吸い込まれそうな不思議な感覚を覚えた。

「窓の先の景色は人それぞれ。普段見ている景色もそれぞれ異なる。ささやかですが、自分の景色に気づくきっかけになれば」と藤村さんはいう。(柴田大輔)

◆写真家・藤村健一朗さんの個展「BIYONDO THE WINDOW」は10日(日)まで。開場は午前10時~午後6時(最終日は午後4時まで)。入場無料。水曜日は定休。がばんクリエイティブルームは、土浦市中央1-13-52公園ビル。詳しくはホームページまで。

半導体戦争の主戦場、台湾から日本へ《雑記帳》57

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菜の花

【コラム・瀧田薫】2021年秋、台湾積体電路製造(TSMC)が、日本の熊本県に新工場を建設するとの報道発表があった。近年、「半導体」は石油をしのぐ重要戦略物資と化し、同時に米中技術覇権争いの最大・最高の焦点にもなっている。「半導体を制するものは世界を制する」といった言葉さえ耳にする。

そのなかで、TSMCの存在感は急上昇し、すでに世界最大かつ世界最先端の半導体受託製造会社である。そのTSMCがなぜ日本への進出を決めたのか。背景にあるのは、「地政学的要因・経済安保」の問題と「半導体関連技術のトレンド変化」である。

米バイデン政権は22年10月に「BIS(商務省産業安全保障局)輸出管理規則」を打ち出し、最先端半導体はもとより、半導体製造装置などの開発・製造に関連する物品の対中輸出を規制した。同時に、NATO加盟国、日本、韓国、そして台湾に、米国の対中政策への同調を求めた。

一方、これに先立つ20年5月、TSMCは米アリゾナ州に工場を建設することを決定したが、経済紙などは米国の圧力に対するTSMC側の苦渋の決断であると論評した。米中どちらとも友好関係を保ちたいのがTSMCの本音であった。ちなみにTSMCはその後、アリゾナで労働者の確保や地元労働組合との関係に苦しみ、アリゾナ工場での生産の開始は25年前半にずれ込むとのプレス発表である。

TSMCの日本進出については、もちろん「経済安保」も台湾有事に対する備えの問題もあるが、TSMCの側が日本進出に乗り気であった点、米国とは事情が異なる。TSMC側に半導体製造技術面で日本に対する期待があるからだ。

TSMC熊本工場建設に巨額補助金

日本国内の半導体事業はこれまで低迷続きだったのだが、半導体の製造技術にパラダイム変化が起きており、これが日本再浮上のきっかけになりそうなのだ。これまで、半導体の性能は、回路の微細化・精密化の技術に支えられて倍々ゲームで伸びてきた。しかし、このトレンドには物理的にも経済効率的にも限界が見えてきている。

これを突破する方法として浮上してきたのが「半導体材料や製造装置関連の技術革新」であるが、これはもともと日本の得意分野なのである。 

TSMCは22年6月、つくば市の産業技術総合研究所つくばセンター内に「TSMCジャパン3DIC研究開発センター」を開所した。この研究所は、3次元パッケージ技術の量産を可能にする技術開発を、日本の材料メーカーや装置メーカー、研究機関との共同研究で推進する。これを成功させて、日本の半導体事業を再生できれば素晴らしい。

問題はこの寄り合い所帯の運営をどう賄うかだ。もちろん、TSMCもただで日本に進出するわけではない。日本政府はTSMC熊本工場の建設に巨額の補助金を支出した。しかし、維持費の補助も必要になるかもしれない。防衛予算、子育て支援、福祉・介護予算、教育・研究支援、災害復興など、今後予想される財政負担は目白押しである。それらとの折り合いをどうするか、政府による説明はない。

裏金作りばかり上手な政治家にこの難問が解けるだろうか。日本の産業、経済の将来が派閥領袖の支配下にある永田町次第ということでは危う過ぎると思う。(茨城キリスト教大学名誉教授)

土浦一高・附属中校長 ヨゲンドラ氏の試み《吾妻カガミ》178

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プラニク・ヨゲンドラ土浦一高・附属中校長

【コラム・坂本栄】茨城県立高校の校長公募で採用されたプラニク・ヨゲンドラ氏が土浦一高・附属中学の校長に就任してからそろそろ1年、副校長時のインタビュー記事「キーパーソン」で紹介してから2年近くになります。2月下旬、所用で土浦一高に行った際、いま何に取り組んでいるのか聞いてきました。

国際性育成と外国留学

「キーパーソン」でも書いたように、インド出身のヨギさん(ヨゲンドラ氏の愛称)が知事と県教育委員会から与えられたミッションは、生徒の国際性育成と外国留学、それから学校改革の3つでした。

国際性育成では、この1年の間に、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、インドネシアの学生に来校してもらい、それぞれ1~3日の交流が実現。また、国内のインド人学校を生徒が訪問、台湾の学生とはオンラインで交流したそうです。「外国の学生は自己肯定感が高いことがよく理解できたと思う」と、生徒には刺激になったとの評価でした。

外国留学(1年~半年)は、校長就任2年目の来年度に6人が予定されているそうです。留学先は、欧米のほか、オーストラリア、ニュージーランド。「海外経験をすると世界を見る目が変わる。これらの結果を見ながら今後も出していきたい」と、人数と留学先を広げることに意欲的でした。

ITシステムで進路指導

ヨギさんは日本に来てから金融系企業で仕事をしていたこともあり、学校改革には意欲的です。

「学校はいろいろな情報がすべてペーパーの世界。生徒の進路情報や教員の残業状況などが別々の書類になっており、まとまった形で見られない。この生徒はどの時期に成績が落ちたのか、そのとき学校側がどう対応したのか、などの関連が分からない。各種の情報を一覧できるような管理システムが必要だ」

「土浦一高は進学校であり、毎年(少なくとも)東大に20人、医学部に20人ぐらい入れるには(これが一番のミッション?)、ペーパー文化では結果を出せない。今の進路情報管理では、どの生徒が東大に行ける資質を持っているかよく分からないし、適切な進路指導もできない」

ヨギさんによると、昨年秋、生徒・教員情報のIT化を目指し、県教育委に青写真を提出したそうです。教育委もその必要性を分かっているようですから、早晩、土浦一高が導入する新システムが全県立高に広まるのではないでしょうか。

高1は内進と高入を分離

ヨギさんの話を聞いていて、「えっ」と思ったことがありました。附属中の1期生がこの4月に高校1年に上がりますが、その内進生(2クラス)は、高校1年で今春入学する高入生(4クラス)と「混ぜない」というのです。

内進生と高入生の分離は県教育委の指示によるもので、高1年は別々にし、高2・3年になってから「混ぜる」そうです。こういったクラス分けは土浦一高と水戸一高だけに適用され、附属中を持つ他の県立高は高1年時から「混ぜる」ということでした。

どうして内進生と高入生を分離するのか? 内進生は高1で学ぶ数学を中3で学んでおり、繰り返しを避けるというのがヨギさんの説明でした。県教育委は、土浦一高と水戸一高に絞って、附属中から入った優秀な生徒を特別に鍛える方針と言ってよいでしょう。

「起業家精神を育てたい」

ヨギさんの試みで面白いのは探求学習の重視です。具体的には「弁当工場を立ち上げ弁当を販売するといった事例研究をさせて起業家精神を育てたい」といった内容ですが、国際感覚や起業意欲が将来の仕事に必要というだけでなく、こういったセンス・マインドが生徒の進学意欲も高めると考えているようです。(経済ジャーナリスト)

<参考>

土浦一高&附属中の学校案内2024に掲載されていた3表にリンクを張りました。

出身小学校別生徒数

出身中学校別生徒数

進学先大学名まとめ

地域情報アプリ「つくばinfo」始動 市内に特化

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筑波大生のアルバイトスタッフと代表の山根和仁さん(右)=つくばローカルコミュニティ(同市天久保)

つくば市内の店や企業と、学生ら地域の人をつなぎ、双方向で広告を出したり、働く人材をマッチングさせたりする地域密着型の地域情報アプリ「つくばinfo」がプレリリースされている。4月から正式にスタートする。

合同会社ろーこみ(つくば市天久保、山根和仁CEO)が企画し運営する。インストールの必要がないウェブアプリで、市内住民に対象を絞ることで拡散しがちなネット上の情報をまとめ、ユーザー同士の新たなつながりをつくることを目指している。

すでに筑波学院大学(同市吾妻、4月から日本国際学園大学)、学園中央自動車学校(同市刈間)、NPOリサイクルを推進する会(同市吾妻、高野正子代表)などが登録している。今後さらに登録団体を増やし、発信する情報を増やしていく予定だ。サブスクリプション(定額)の有料サービス。イベントなどの情報も告知していく。

写真付きでイベント情報や求人情報などを掲載できるほか、飲食店などの活用を想定し、15分から120分で自動的に消去される短時間の「今だけクーポン」を配信する機能を設ける。客の予約が突然キャンセルとなった際や、悪天候で客足が伸びない時、閉店間近で売れ残りを割り引きしたい場合などの集客にスポット的に活用できるという。

筑波学院大はオープンキャンパスや入試などの情報を掲載する。同自動車学校は教習所で技能教習を受ける際のキャンセル待ちなどの情報を発信する。リサイクルを推進する会は、年に4回開催しているリサイクルマーケットの告知や、スタッフ募集、活動のPRなどを行っていく予定だという。

筑波大生向けにリサイクル品など販売

同アプリを運営する山根さんは、筑波大生向けにリサイクル品の販売や、エアコン、家電のリースなどのサービスを提供する店「つくばローカルコミュニティ」(同市天久保)の代表。筑波大生物資源学類の出身で、学生だった1995年に大学内でリサイクル市を開催したことをきっかけに、2001年、同店を設立した。20年以上にわたり、後輩である筑波大生たちの生活に寄り添う中で、学内で完結してしまいがちな学生の世界を広げ、外とつなげたいと考えるようになった。

大手SNSや各社ホームページで配信される情報は散逸してしまいやすいが、つくばに対象を絞って地域情報を集約し、地域の情報インフラを整備したいと構想を練ってきた。「情報がめぐることでこれまで接点のなかった人とお店、団体をつなぎ、多くの人やお店が交わることでおもしろいつくばをつくりたい」と話す。年内のアプリユーザー数2500人を目標に掲げる。(田中めぐみ)

◆「つくばinfo」の初期登録料は1650円(税込)。月額利用料は一般サークルと非営利団体は275円(税込)、飲食店は660円(税込)、飲食店以外は770円(税込)。

湖沼市民会議で霞ケ浦と宍道湖の住民が交流《くずかごの唄》136

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】茨城県主催のシンポジウム「いばらき湖沼市民会議―宍道湖・中海と市民活動について」が2月17日、 宍道湖漁業協同組合の桑原正樹氏も出席して県環境科学センター(土浦市沖宿町)で開かれた。宍道湖・中海住民と霞ケ浦住民の交流は奥が深い。40年前、両方の住民がアオコ問題を提起し、「水の時代」を開いたのである。

1983年に京都で開かれた第1回世界湖沼環境会議プレ会議で、私は地域住民が始めた霞ケ浦流入河川56本の水質調査の報告をした。そして翌年、本会議が大津で開催され、佐賀純一さん(土浦市の医師)が「アオコ河童からの提言」という題で、霞ケ浦のアオコの実情を発表した。

子育て中だった当時の私には、世界中の人たちにアオコを見てもらうだけでなく、匂いをかいでほしいという強い願望があった。その日採取した霞ケ浦のアオコの水を瓶に入れて会場で披露したら、世界湖沼会議全体がアオコの匂いで騒然となった。

宍道湖・中海からも漁民がたくさん参加していたが、湖を淡水化したら水がアオコだらけになってしまい、魚が採れなくなってしまうのではないかという危機感が高まり、漁民を核にした住民運動「宍道湖中海の淡水化に反対する住民連絡会」は、2カ月間で28万人の署名を集めた。

湖の水質保全と漁業の変化

当時の友末洋治茨城県知事に依頼され、霞ケ浦の水を最初に分析したのは義兄の奥井誠一である。当時、彼は東大の「衛生裁判化学」の助教授をしていた。国鉄総裁轢死(れきし)体をめぐる下山(定則)事件、森永乳業の砒素(ひそ)ミルク事件の分析にもかかわった毒物のプロである。

兄と雑談していたとき、「僕は心配しているんだ。アオコがこれだけたくさん発生してしまうと、アオコの毒性について本気になって調査しておかないと、後で大変なことになってしまうんじゃないかと…」。

あれから40年。アオコの発生は抑えられているが、霞ケ浦名物だったワカサギは取れなくなってしまった。今回のシンポジウムでの宍道湖・中海の漁民・住民との新しいつながりが、地球全体の気候の変化に対応した湖の水質保全と漁業の変化に対応できるかどうか、双方の住民に問われている。(随筆家、薬剤師)

パリジャンと私《ことばのおはなし》67

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】昔から朝が得意ではない。はて、私はなぜ「得意ではない」などと迂遠(うえん)な言い回しをしたのだろう。人様に見られると思って文章を書いていると、無意識にええカッコをしようとしてしまっていけない。ハッキリ書き直そう。

私は朝が憎い。朝なんて来なければいいと常々思っている。ここまで書くと意味が変わってしまうか。とにかく私は朝が苦手だ。毎日この世の終わりみたいな顔をして起き上がる。早く寝れば早く起きられるなんていうのは迷信だと思っているし、朝起きられないのは心が弱いからだなどとのたまう人間とは一生わかりあえないだろう。

ちまたにあふれる朝気持ちよく目覚める方法なんて、この四半世紀の間に全部試してきた。そのすべてが当然無駄だったのだ。しかし、憎さもいくところまでいくと、妙な憧れのような気持ちが芽生えてくる。

私には小さい頃からやってみたいことがある。朝早く起きて、大きな紙袋いっぱいにパンを買ってきて朝食をとってみたいのだ。そう、紙袋からフランスパンが突き出しているアレである。パリジャンになりたいのだ。パリの人々が毎朝パンを買いに出かけているかどうかは知らないが、そんなことはどうだっていい。とにかくやってみたい。あわよくば、毎朝そんな生活がしてみたい。

今日は保育園休み?

しかし現実は厳しい。私と生活をともにしたことがある人なら口をそろえて言うだろう。まぁ、無理でしょ、と。そんなことは自分でもわかっている。自覚はあるから言わなくてよろしい。

家族にブーイングを浴びせかけられながら、いくつもの目覚まし時計をかけ、鉛のような身体にムチを打って起き上がればできないこともないだろうが、そういうことがしたいんじゃない。小鳥のさえずりに目を覚まし、無駄にさわやかなアニメのオープニングのように、真っ白なカーテンを開いて家を飛び出したいのだ。まぁ、無理か。ああいうのはフィクションだし。そもそも朝から食欲なんてないし。

先日、年に1回あるかないかの、ふと早い時間に私が目を覚ましてしまう事象が発生した。エスプレッソとスクランブルエッグを作って鼻歌交じりにパンを焼いていると、もうすぐ3歳の息子が「保育園休み?」と妻に聞いた。小学生の娘はいつになく慌てて学校に行く支度を始める。

私が変な(世間一般に普通の)時間に起きてくるものだから、調子が狂ったのだろう。我が家の朝はそんな感じである。これからもたぶん、そんな感じなのだろう。(言語研究者)

10月20日告示、27日投開票 つくば市長選・市議選

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つくば市役所

つくば市選挙管理委員会が1日開かれ、11月16日任期満了のつくば市長選と同29日任期満了の同市議選(定数28)について、10月20日告示、27日投開票の同日選挙で実施することを決めた。

同市の1日時点の有権者数は19万7773人で、前回の選挙時点より1万2569人増えている。4年前の投票率は51.60%だった。

市長選には先月27日、現職の五十嵐立青氏(45)が3期目を目指し立候補を表明したばかり。現時点でほかに表立った動きはない。

民間2園、4月の新規入園受付を断念 保育士確保できず つくば市

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つくば市が発行した2024年度保育所の入所案内

待機児童を無くそうと毎年、民間保育園などの施設数と定員数を増やしているつくば市で、保育士が確保できず、4月からの新規入園申し込みを受け付けなかった民間保育園が2園あることが分かった。新年度の新規入園受付を実施しない保育園があったのは、同市で初めてという。

同市では今年4月、民間保育園が4園、小規模保育事業所が1施設増える。民営化により3月末で閉園する市立上境保育所の定員数を差し引いても、利用定員は前年4月より312人増える計画だった。既存の民間保育園2園が4月の新規受付を実施しなかったことで、市の計画定員数が確保できなかったことになる。

新規入園受付を実施しなかったのは、同じ社会福祉法人が運営する青い丘保育園つくば(同市小野崎、定員120人)と、青い丘保育園二の宮(同市二の宮、同60人)の2カ所。現在在籍している園児は受け入れを続ける。

市は24年度の入園に向けて、昨年11月から1次募集、その後2月中旬まで2次募集の受付を実施した。青い丘つくばと同二の宮の2園は1次募集、2次募集いずれも実施しなかった。新規受付を実施なかったことにより青い丘つくばは利用定員数で40人、同二の宮は20人、計60人分の入園枠が減ることになる。

青い丘つくばが2月1日付で保護者に示した資料などによると、同園では3月末に常勤保育士9人のうち6人と、非常勤保育士5人、職員2人が退職する。同園の金秀司園長は取材に対し、保育士らの退職理由について「一身上の都合や、家庭の事情、結婚する人、給料の問題もある、新しい保育園ができて移る人もおり、一つの理由ではない」と説明する。新たな保育士が確保できていないことについては「いろいろな媒体を使ったり、ハローワークで保育士を募集してきた。現在も募集している。引き続き募集を続ける」と話す。新規の入園受付を実施しなかったことに対しては「子供を一人でも多く預かって運営すべきだと思うし、努力している。4月からの運営に関しては保護者説明会も開いた。これからも頑張っていきたい」としている。

保育士の給与 園により2.2倍の開き

退職理由の一つとされる保育士の給料については、県が2021年度分から市町村別に各園ごとの常勤保育士の年間給与をホームページで公表している。保育士の待遇は早急に改善されるべき課題であること、保育士の人件費の大部分は公費であり透明性の確保が重要であることなどが公表の理由だ。

21年度分の公表資料によると、つくば市内の公表対象57園のうち、最も高かった保育園の常勤保育士一人当たりの年間給与は527万円(平均勤続年数15.2年)だったのに対し、最も低い保育園は238万円(同5.29年)で、どの園に勤務するかにより2.2倍の開きがあった。保育士が確保できていない青い丘つくばは市内ワースト2位。市内57園の平均は326万円(同9.19年)だった。

保育士確保は各園の務め

一方、市幼児保育課によると、青い丘保育園からは昨年秋ごろ「退職する保育士がいて、保育士の確保が難しい」などの相談があった。市は同園に対し、さまざまな募集手段や方法を紹介するなどして保育士の確保に努めるよう要請したとし、「市として保育士に月3万円の処遇改善助成金を交付するなどしており、各保育所での保育士の確保は各施設の務めになる」という立場だ。

今回、新規入園受付を実施しない保育園があったことについては「市としては、保育需要が高まっている中で毎年のように保育所を増やしており、利用定員数を預かってほしいとお願いしている。保育士の確保に努めていただき、必要としている保護者さんたちに対応してほしかった」とし、青い丘つくばに対して「保育士確保に向けて話を聞きたい」とする。一方で「4月に新規開所する保育施設はすでに保育士を確保できている」とし、市全体で保育士を確保できない事態が生じているわけではないという認識だ。

子供の数が増えている同市では毎年、民間保育園の数を増やしている。18年4月に56園だった民間保育所は、23年4月は71園と1.2倍に増えている。認定こども園、小規模保育事業所を加えると認可保育施設の数は18年4月が68カ所だったのに対し、23年4月は1.5倍の104カ所になっている。認可保育施設の0~3歳の利用定員は18年4月が6657人、23年4月は1.3倍の8851人になっている。

保育士確保や離職防止のため市は、17年度から民間保育所に勤務する常勤の保育士に1人当たり月額3万円の助成金を交付し、24年度は984人に計3億5424万円の助成金を交付する見通しだ。ほかに24年度の新規事業として、国の1歳児の配置基準より手厚く保育士を配置した民間施設に新たに補助金を交付する計画で、保育園42園、認定こども園6園、小規模保育事業所19施設に計8486万円の予算を計上している。(鈴木宏子)