火曜日, 1月 20, 2026
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市職員の残業代と特殊勤務手当を未払い つくば市長、副市長10%減給へ

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つくば市役所

できるだけ申請しないよう管理職が指導

つくば市は9日、市社会福祉課職員の残業代(時間外勤務手当て)と特殊勤務手当てに未払いがあったとして、未払い分が請求できる過去3年間にさかのぼって今後、支給すると発表した。未払いの人数や金額が全体でどのくらいになるかは現時点で不明。残業代未払いが発生した要因は、できるだけ申請しないよう管理職が不適切な指導を行っていたため、職員が申請しにくい状況になっていたとしている。

不適切な指導をした管理職に対しては今後、規定に基づいて処分を実施する。一方、監督責任を重く受け止め、五十嵐立青市長が給料を2カ月間10%減給とするほか、飯野哲雄、松本玲子副市長2人が1カ月間10%減給するとし、近く議会に提案する。さらに今後、同様の未払いがないか全庁的に調査するとしている。

残業代については昨年9月、特殊勤務手当については今年2月、いずれも同課職員から未払いがあるとの指摘があり判明した。

市社会福祉課によると、残業代未払いについては職員の指摘を受けて同課で調査、ヒヤリングを実施し、各職員に申請するよう促した。現在、申請に基づきコンピュータシステムへのログイン状況などから突合作業を実施しているが、未払いの人数と金額は調査中で、確定次第、公表するとしている。

一方、未払いの特殊勤務手当は、生活保護の業務に従事した職員に1日275円支給する手当。指摘を受け、今年3月、同課で調査を実施したところ、同業務についての解釈が各職員で異なっていたことが分かった。法令に基づき支給基準を明確化した上で同課職員に過去3年分の未申請分を申請するよう促したところ、今年5月、人数と金額が判明。2020年度(21年1~3月のみ)は12人に1万5950円、21年度は14人に9万6250円、22年度は15人に16万2525円、23年度は16人に9万5700円が未払いで、3年間で延べ57人、37万425円になる。年度によって支給対象職員の7割から9割近くに未払いがあった。

原因は、2020年4月に市職員特殊勤務手当条例の改正があり、改正前は支払い対象職員に定額の手当てが支給されていたが、改正後は、日割りで申請する方式に変更になったことにより、管理職によって判断が違ってしまったとしている。手当を支給する対象業務を明文化した文書などは作成されていなかった。

市人事課は、未払い分についてはいずれも内容の精査が終わり次第、速やかに追加支給をするとしているが、支払い時期は現時点で分からないとしている。

未払いについて五十嵐立青市長は同日「これまでも全庁的に時間外勤務については必ず申請すること、管理職には部下に時間外勤務をさせる場合は必ず事前に業務命令を行った上で、内容について状況を監督すること等、繰り返し指導してきたが、このような事案を発生させてしまったことを反省しています」とし、「今後このようなことが決して無いよう適切な労務管理体制を確立すべく改善に向け取り組みます」などとするコメントを発表した。

【訂正10日午後1時45分】6段落目、特殊勤務手当未払の原因に関して「2020年4月に社会福祉法の改正があり」は「…市職員特殊勤務手当条例の改正…」の誤りです。訂正しました。

一人ひとりの物語残したい つくばの尾曾さん 日系ブラジル人の語りを動画に

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現地でインタビューする尾曾菜穂子さん(左端)=本人提供

日系ブラジル人の歴史と今の姿を知ってもらいたいと、つくば市の尾曾菜穂子さん(25)が動画制作に取り組んでいる。「当事者の語りを動画に残し、日系人が生きた足跡を後世に伝えたい」と語る。

今年3月ブラジルに渡り、2週間にわたって取材した。当初は10人ほどに証言してもらう予定だったが、協力者が増えて35人の日系人から話を聞くことができた。完成したインタビューは「ブラジル日系人の歴史と今の記憶」と題して15分程度の番組にし、随時動画共有サイトで無料配信する予定だ。

すでに公開している初回の動画には、福島県出身の夫婦が登場する。戦後、農業の担い手となる「コチア青年」としてブラジルに渡った夫(91)と、「花嫁移民」として移住した妻(88)の会話から2人が歩んできた道のりをたどる。当時の苦労を口にしつつも夫は「今の生活は天国」と話す。ブラジルで出会い結婚したとばかり思っていた妻に対し、実は夫は、日本にいた時に花婿の候補だったがブラジル行きが決定していたため結婚を断った経緯があったことをインタビューで初めて明かし、2人の運命的な関係に妻が感激する場面もあった。

配信された1回目の動画。ポルトガル語と英語訳も表記している

尾曾さんは「100分のインタビューを15分にまとめる作業が大変だった。どこを切り取るか迷ったが、できるだけ視聴者が共感しやすいエピソードを盛り込んだ。日系人の歴史に初めて触れる人にも分かりやすい内容を心掛けた」と話す。

取材は日本語とポルトガル語の両方の言語で書いた質問状を用意し、移住の経緯や家族構成、仕事内容、将来の夢などを質問した。過去を思い出して言葉に詰まったり沈黙したりする人もいたが、無理に言葉を引き出すことはしなかった。「初対面の日本人の私に人生を打ち明けてくれる。ありがたいこと。移住当初は似たような境遇でも、それぞれ考え方や現状が異なり多様な人生に触れることができた」と語る。

若者の生きるヒントになれば

つくば市で育ち古河市の小学校に入学した尾曾さんは、学校という小さなコミュニティーの中に居心地の悪さを感じ早く抜け出したいと思っていた。中学で英語に出合い、それまで生きてきた世界とは異なる文化があることに改めて気付いた。海外への憧れが募り、留学を後押ししてくれる県外の高校に進学。ブラジルに留学した先輩の体験談を聞き興味が湧き、大学に進学する前の1カ月間ブラジルを旅した。折しもカーニバルの時期で町はにぎやか。耳に入るポルトガル語の響きも心地よかった。外国人の自分に現地の人は「どこの国から来たの」ではなく「どこに住んでいるの」と聞いてくれた。国籍ではなく個人として見てくれたことがうれしかった。人々の懐の深さに触れ、一気にブラジルという国にのめり込んでいった。

大学卒業後の2022年から1年間、ブラジル日本交流協会の研修生としてサンパウロ州ピラール・ド・スールの語学学校で日本語を教えた。学校の敷地内にはさまざまな年代の日系人が集う場所があり、そこに通う人たちと親しくなった。その中の一人に、60年ほど前の16歳の時に家族と共に生活の糧を求めて鳥取県から移住した男性がいた。学校の勉強が好きではなかったという男性は、日本の社会科の教科書に載っていた大型のトラクターの迫力に釘付けになった。将来は農業をやるとの思いを強くし、その夢を持ってブラジルへ渡り希望を現実にした。

「大変な苦労があったと思うが、その人の言葉でいつも明るく前向きな気持ちにさせてもらった」。文化が異なる異国でたくましく暮らす男性の生きた言葉に勇気づけられ、自分も同じように大きな夢を持ち、その実現のために行動したいと思ったという。

現地で多くの日系人の人生に触れ、個々のライフストーリーこそが日系人の歴史そのものだと痛感した。「ポジティブに人生を切り開いた人の言葉は、前向きに生きるヒントがつまっている。かつての自分と同じように生きづらさを感じている若者の背中を押すきっかけになれば」と制作への思いを語る。

現在、尾曾さんは奈良県の種苗会社のインターンシップに参加している。働きながら見識を広げ、日系ブラジル人のストーリーを広める活動を展開している。「日本に滞在するブラジル人にもインタビューしたい」。誰かが記録しなければ消えてしまう一人ひとりの物語を残したいという。

動画は1本あたり15分程度。写真や資料を交えながら日系1~3世のインタビュー動画をユーチューブチャンネル「OSO NAOKO」で紹介する。4月から来年7月までに15本配信する予定。現在2話が公開されている。

ブラジルへの集団移住は1908年に始まり、主に農工業に従事した。外務省によると現在約270万人の日系ブラジル人が現地で暮らしており、海外で暮らす日系人数の半数以上を占める。(泉水真紀)

追悼 戸田広さん 霞ケ浦帆引き網漁の保存活動に尽力

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戸田広さん(霞ケ浦帆引き船・帆引き網漁法保存会提供)

霞ケ浦の伝統的な漁法である帆引き網漁を観光資源として継承し、後世に残したいと保存活動を続けていた戸田広さんが、4月15日に亡くなった。89歳だった。2001年から操船技術の継承と観光帆引き船の運航、PRなどに尽力してきた。帆引き網漁の技術は18年、県内初の国選択無形民俗文化財に指定された。告別式は5月11日に行われる。

戸田さんは、つくだ煮を製造・販売する出羽屋(かすみがうら市)の社長で、「霞ケ浦帆引き船・帆引き網漁法保存会」の会長を務めた。出羽屋で霞ケ浦の漁業者と取引していたことから、帆引き船の操業技術を継承する人材を育成する活動を続けた。

同保存会は2014年に設立。前身は「霞ケ浦帆引き船まつり実行委員会」で、かすみがうら市を盛り上げようと01年に発足した。同年にPRのため「帆引き船フォトコンテスト」を企画して以来、毎年継続し、昨年も県内外から400点以上の応募がある人気コンテストとなっている。観光帆引き船は現在、土浦、かすみがうら、行方の3市により毎年夏から秋に運航されている。

戸田さんは観光としてだけではなく、100年後も生業となる帆引き網漁を残したいとし、亡くなる直前まで精力的に活動した。同保存会事務局長の武田芳樹さん(74)は「何を提案しても『いいよ』と言って受け止めてくれる人だった。いつも前向きで、いろいろなアイデアを持っていた」と、大らかな人柄をしのぶ。帆引き網漁で捕獲した魚のブランド化も発案。引く力が強く、魚を網に押し込んでしまうトロール漁とは異なり、帆引き網漁は風の力を使って柔らかく網を引くため、魚に傷が付かないことから、帆引き網漁で捕れた魚に新たな商品価値を見出していた。保存会では戸田さんの遺志を継ぎ、帆引き船漁法の操船継承を推進する活動を続けていくという。

かすみがうら市歴史博物館に展示されている帆引き船。右は同保存会の坂本栄一さん

白く大きな帆を張り、横滑りしながら漁をする帆引き船は、夏から秋にかけて霞ヶ浦の風物詩となっている。1880年(明治13年)、漁師の折本良平氏によってシラウオ漁を目的に考案されたと言われ、約90年間、霞ケ浦のシラウオやワカサギ漁の主役として操業した。帆の大きさは高さ9メートル、幅16メートルにもなる。霞ケ浦の周囲には遮る山などがなく、四季を通して風が吹くため、風の力を利用する大きな帆の船が考え出され、独特の操業法が継承されてきた。

1963年に常陸川水門(逆水門)が完成し、漁獲量減少を心配していた漁業者への補償として、67年にトロール漁が解禁されると、帆引き船はいったん姿を消した。しかし復活を願う人々の声を受け71年、出島村(現かすみがうら市)が観光帆引き船として復活させた。現在はかすみがうら、土浦、行方3市の各保存会により帆引き網漁の継承が図られ6隻が運航している。(田中めぐみ)

◆通夜は10日(金)午後6時から、告別式は11日(土)午後1時から、いずれもかすみがうら市加茂5319-6 トモエホールで行われる。

香取市の「伊能忠敬記念館」《日本一の湖のほとりにある街の話》23

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】初めての実測による日本地図「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)」、通称「伊能図」を作った香取市の偉人・伊能忠敬(いのう ただたか)。今回は、忠敬の人生の結晶である伊能図のほか、測量で用いられた様々な器具や記録などを紹介している「伊能忠敬記念館」のご紹介です。同館学芸員の石井さんに、忠敬の人生と展示についてお話を伺いました。

入館するとまず目に入るのが、一定時間で2つの日本地図が切り替わって表示されている縦3.5メートル×横約4.5メートルの巨大なモニター。表示されているのは伊能図と現代のランドサットによる衛星写真であり、それらはほとんど重なり合っています。伊能図が200年以上前の江戸時代に作製されたということに、驚嘆の念を禁じえません。

次に驚くのが、忠敬が地図作りに取り組み始めた年齢です。もともと天文学や算術に強い興味を抱いていた忠敬でしたが、婿養子入りした伊能家を経営しなければなりませんでした。その商才で財産を築き家督を譲り隠居した後、測量に取り組み始めましたが、その時、なんと御年実に55歳!

ところで、伊能忠敬というと「初めて日本地図を作った人」というイメージがありますが、最初から日本地図を作ったのではないそうです。その測量人生の最初の目的は、正確な暦を知るために子午線一度の距離を求め、地球の大きさを知ること。この際は江戸から蝦夷(当時の北海道)までを測量しました。

酒を飲まないが測量隊の条件

その後、71歳に至るまで10回にわたり全国を巡ることになりますが、測量は「導線法(どうせんほう)」という技術を基本とし、地図の補正や測点の位置の確認、地図上の山や島などの位置の特定する「交会法(こうかいほう)」という技術もあわせて用いました。それらに加え「象限儀(しょうげんぎ)」で測った星の高度から緯度を求め精度を高めたそうですが、これは地図作製の分野で忠敬が初めて採用した技術だったそうです。

展示されている様々な測量器具も人気とのことで、代表的なものに測量の際の目印となる「梵天(ぼんてん)」、距離を測る「鉄鎖(てっさ)」などがあります。また、忠敬が最も用いた方位を測る「杖先方位盤(わんからしん)」は、常に水平が測れるよう真ちゅう製の万能関節を用い、軸受けには水晶が使われるなど、当時の最先端技術の粋を集めた特別製とのこと。

並べられた数々の資料からも、忠敬の几帳面(きちょうめん)さと厳格さはうかがい知れるところですが、象限儀での天体観測においても、その性質が発揮されているのだそうです。測量中は晴れの晩に正確な観測を行う必要があるため、「酒を飲まないこと」を測量隊の条件としていたにもかかわらず、ある時その禁を破り飲酒騒動を起こした者たちがいました。すると忠敬は、その弟子たちを2名破門、3名謹慎にしたそうです。

人生、何か始めるのに遅いはない

最後に、石井さんに注目すべき点について伺うと、当時としては大変珍しい真鍮を用いた測量器具を用い精度を高めた点や、現代では見られない、星の高度を用いて測量しているという点に、歴史的価値を感じてほしいとのことです。また、ともすれば忠敬個人の才能が語られがちですが、測量隊をまとめる手腕もまた、全国測量を成し遂げるための優れた資質であった点に注目すると、より展示への理解が深まるとのアドバイスをいただきました。

生涯に歩いた距離は実に4万キロ、地球1周分にも及ぶとされる、情熱と信念の人・伊能忠敬。その業績を見るにつけ、人生、何かを始めるのに遅いということはないと、勇気づけられる思いがします。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

➡これまで紹介した場所はこちら

消費生活センターに関わって3年《ハチドリ暮らし》37

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写真は筆者

【コラム・山口京子】消費生活センターと関わるようになって3年近くたちます。ここは、消費生活全般についての問い合わせや苦情を扱う行政を支援する窓口です。消費者トラブルが起きた場合、事業者と消費者の情報や交渉力の格差を踏まえ、情報提供や交渉に当たって助言などを行います。

他にも、消費者教育、食品ロス削減、エコを意識した暮らし方など、消費者市民社会の構築に取り組んでいます。

消費者とは、生活のほぼ全般について、商品やサービスを購入する者というイメージでしょうか? 以前は「消費者」という言葉を意識することなく、そもそも商品を購入するとはどういうことかも、暮らしについても、しっかり考えたことがありませんでした。

しかし最近になって、「今の暮らし方、ライフスタイルを当たり前だととらえるのは危険かもしれない」と思うようになりました。今の便利な暮らしは、どういう仕組み・前提・条件で成り立っているのか? それらが変更されたり、機能しなくなったときにはどうなるのか? これからの変化は、どういったことが予想されそうか? … 心配性なので不安が募ります。

「根っこ」にある三つの依存症

そして、今の暮らしの「根っこ」には三つの依存症があると感じるようになりました。石油依存、お金依存、電化依存です。

石油に代表される化石燃料に依存して、簡単で便利な社会になったけれど、それらがもたらす副作用というか、外部不経済というか、環境汚染というか―生態系や人体にどう影響を及ぼすのでしょうか?

今はスイッチ一つで電気もガスも水道も至れり尽くせりですが、60年前はそうではありませんでした。自動車運転免許を取得してから、走行した距離と消費したガソリンと排出した二酸化炭素の量はどれくらいなのか? 車を1台作るのに、どのような資源とエネルギーと技術がいるのか? 思いを寄せたこともありませんでした。

これから晴耕雨読でいけたらと…

大半の消費者は働いてお金を得て、そのお金で商品を購入して、生活をやりくりします。実質賃金が下がっている状況で暮らしぶりが厳しくなり、投資やお金もうけの宣伝が目立ちます。経済の金融化が進行する中、製造業や農林水産業など、暮らしの足元を支える産業が危なくなっているのは、大きな問題だと思うのですが…。

暮らしを便利にする電気の力はすごいと感嘆するばかりです。道具が電気やコンピューターとつながって、自動の仕組みがハイスピードで広がり続けています。インターネットがない暮らしは想像できなくなっています。電化とテクノロジーの進化は何にをもたらすのでしょう。

自分のこれからの暮らしは、晴耕雨読でいけたらと願うのですが…。(消費生活アドバイザー)

円安・ドル高と日本銀行《雑記録》59

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チューリップ花壇(写真は筆者)

【コラム・瀧田薫】ここ1年、 極端な円安が続いている。4月29日、ドル・円相場は1ドル=158円をつけた。2023年4月ごろには130円だったから、1年間で30円近い円安・ドル高になったことになる。

この円安、アベノミクスによる円安誘導(日銀による異次元金融緩和)がもたらした結果であることは明らかで、円安自体について驚きはない。ただ世界銀行算定の購買力平価ベースのレートでは、1米ドルはおよそ100円だから、それと比べれば5割以上の行き過ぎた円安であり、国民生活の観点からすれば、到底容認できるものではない。

ところで、日銀はこの3月、黒田元総裁の後を継いだ植田新総裁がマイナス金利政策から離脱し、安倍元首相と黒田氏が主導してきた異次元金融緩和政策に終止符を打った。実に11年ぶりのことである。

ところが、4月26日、この大きな政策変更に付箋が付く。植田氏は記者会見で「足元の円安進行が物価上昇率に大きな影響は与えていない」と言い、「将来無視できない影響が出れば政策判断の材料とする」とした。つまり、異次元金融緩和策からの離脱に際し、急ハンドルは切らない、あるいは切れないという宣言である。

これは事実上、緩和的な金融環境を当面持続するということになるから、投機筋がこれをチャンスとみることは必定である。だが、植田氏はあえてこのリスクを受け入れた。円安是正のためには利上げが必要なことは分かっていても、利上げできない理由がある。

積極的な情報発信を期待

利上げが住宅ローンにどう跳ね返るか、また、長期金利の上昇を抑えるために購入してきた大量の国債にどう影響するか、予断を許さない。つまり、黒田元総裁から受け継いだ負の遺産から離脱する際に伴う、副作用への警戒を優先してのことである。そうなると、円安対策としては為替介入ぐらいしかなくなることになる。

もちろん、為替介入の効果が続くのはごく短期間でしかないし、異常な円安を是正する抜本的な対策からはほど遠いが、投機筋に対して何もしないわけにもいかないということだろう。

とにかく、異次元金融緩和の後始末だけでも大変なのに、超低金利に慣れ切った政府与党は裏金問題で迷走し、首相はほとんどレームダック化している。そんな状況下、植田新総裁には貧乏くじを引いたと後悔している表情はないし愚痴もない。現実を見据え、出来ること、出来ないことをはっきり区別するリアリズムに徹する、芯の強い人物なのだろう。

植田新総裁の就任によって、漂流を続けてきた日銀そして日本経済の先行きにようやく指針めいたものが設定されつつある。今後の日銀には、市場との丁寧な対話や日銀の外から寄せられる提言に対応した積極的な情報発信を期待したい。

それにしても、「異次元緩和の教訓は、金融政策だけで経済を復活させることは難しいという事実だ」という日本経済新聞の社説(3月9日付)が掲載されるまでに、10年以上の年月が必要だったことになる。(茨城キリスト教大学名誉教授)

常総学院が2連覇 春季高校野球県大会

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2回表1死一・三塁、常総学院 丸山のスクイズで杉山が生還(撮影/高橋浩一)

第76回春季関東地区高校野球県大会は6日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で決勝戦が行われ、常総学院が2年連続の優勝を果たした。決勝の相手は昨年の秋季大会と同じ鹿島学園。常総学院は投手4人の継投により相手の追撃をかわし逃げ切った。両校は18日から群馬県で開催される関東大会に出場する。

第76回春季関東地区高校野球茨城県大会 決勝
(6日、J:COMスタジアム土浦)
常総 102010000 4
鹿島 100000200 3

1回表2死一塁、武田の先制打(同)

常総は初回、3番・池田翔吾の中前打と、4番・武田勇哉の左翼線二塁打で1点を先制。その裏に同点とされるが、2回に8番・杉山陽大の左翼線二塁打と1番・丸山隼人のセーフティスクイズで2点を勝ち越した。4回には丸山がバントヒットで出塁後、牽制悪送球で二進し、三盗を仕掛けたところで相手投手が暴投。労せず1点を追加した。

「小技をからめて相手にダメージを与えるという、自分たちの目指す野球ができた。特に1回2死から得点できたことは大きい」と島田直也監督。勝ち越しの殊勲打を放った杉山は「相手の左投手のインコースへの直球を狙っていた。なかなか来なかったが追い込まれてもファールで粘り、来た球を一発で仕留めることができた」と振り返った。

2回表1死一塁、杉山の勝ち越し打(同)

投手陣は先発の平隼磨が2回1/3を投げて4安打1失点、3回に死球2つを出して満塁となったところで降板。「追い込んでからの投球ができなかった。自分の力を出しきれず悔しい」と反省の弁。その後は2番手の鍛冶壮志が6回までを3安打無失点で抑えた。「ピンチの場面でしっかりコースに投げきることができた。自分はストライク率の高さが武器。ただし4、5回は厳しくいこうとして狙いすぎ、球が荒れてしまった」と鍛冶の振り返り。

3回途中から6回まで投げた鍛冶(同)

7回は3番手の大川慧が投げて3安打2失点。8、9回は小林芯汰が無安打で締めた。「5回以降は相手の粘りの野球が厳しかったが、しっかり守りきることができた。小林の投球は想定通りだったが、それに続く投手の活躍を求めている。夏に向けて調整したい」と島田監督。

関東大会で常総は19日の初戦、千葉県2位の中央学院と対戦する。「相手は選抜大会でベスト4に勝ち進んだ実力あるチーム。だが自分たちだってちょっとの間に成長を続けている。良い相手に思い切りぶつかって、しっかりと勝ちに行く」と若林佑真主将は意気込む。(池田充雄)

優勝旗を手にする若林主将(同)


  

ロボッツ来季もB1で 今季最終戦を終える

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この日、両チーム通じて最多の17得点を挙げた茨城ロボッツのルーク・メイ(青いユニフォーム)=撮影/高橋浩一

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは4日と5日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで宇都宮ブレックスと対戦、4日は59-100、5日は64-88で連敗を喫した。茨城の最終成績は12勝48敗で東地区8位。B2降格をまぬがれ、来季もB1で戦うことが決まった。

2023-24 B1リーグ戦(5月5日、アダストリアみとアリーナ)
茨城ロボッツ 64-88 宇都宮ブレックス
茨 城|21|11|13|19|=64
宇都宮|17|26|21|24|=88

鶴巻啓太(右端)は攻守に奮闘、最後は5ファウルで退場となった=同

「今季最後のホームゲームであり、選手のためにもブースターの皆さんのためにも、どうしても勝ちたい試合だった。だが宇都宮は本当に素晴らしいチームで、思うような結果を出すことはできなかった」と、茨城のリチャード・グレスマンヘッドコーチ(HC)。

昨日の大敗を受け、この日はアウトサイドで勝負をかけた。「相手は中へ収縮する守備をしてくる。そこで今日は積極的に3点シュートを打っていこうと考えた。守備のときも、相手にとにかく3点シュートを打たせることがわれわれのポイントだった」とグレスマンHC。試合の立ち上がりはこれがうまくいった。相手が3本のシュートを外す間に、茨城はルーク・メイが2本、中村功平が1本の3点シュートを決め、9-0の大差を付けてゲームをスタートさせることができた。

鶴巻、中村と共に中大トリオの一角を担う大庭圭太郎(中央)=同

だが驚くべきは宇都宮の修正力だった。その後は3点シュートを精度よく決められ、第2クオーター半ばに逆転。逆に茨城は、思うように得点が伸びなくなる。「宇都宮はヘルプの寄りが速いので、寄ったところでキックアウトして、外のノーマークの選手がシュートを打つという作戦だった。だが相手の速くて洗練された守備に、ノーマークにさせてもらえなかった」と中村功平はいう。

前半は両チームともハーフコートで、じっくりとパスを回す攻撃が多く、後半は状況を打開するべく、茨城が乱戦を仕掛けた。だがこれは宇都宮の思うつぼだった。ビッグラインナップではインサイドをしっかりと固め、スモールラインナップでは鋭いドライブで得点を重ねる相手に、ますます茨城は身動きがとれなくなっていった。

6得点のほかリバウンドやアシストでも活躍したチェハーレス・タプスコット(中央)=同

こうして連敗で今季を終えた茨城だが、他地区のチームがさらに成績下位だったため(信州ブレイブウォリアーズ=10勝50敗、富山グラウジーズ=4勝56敗)、B2降格は免れることができた。

「昨年12月に私がHCとして復帰したときチームは2勝28敗で、いつあきらめてしまっても仕方のないような状況だった。それでも選手たちが本当に頑張って、B1継続という目標を成し遂げることができた。二度とこのようなシーズンを送らないためにも、ここから多くのことを学び、ロボッツのスタンダードを上げる必要があると思う」とグレスマンHC。

Bプレミアの要件達成見込み

この日の入場者数は5055人で、立見席まで人が鈴なりとなった。この結果、今季のホームゲーム平均入場者数は4619人を達成。2026年から始まる新リーグ「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」参入要件の一つ、平均入場者数4000人以上を、大きく上回ることができた。

試合後のホームゲーム最終戦セレモニーの様子=同

残る2つの要件は、売上高12億円以上と、ホームアリーナ基準の充足。このうち売上高については、詳細は6月の今季決算を待つことになるが、ほぼ達成されそうな見込みという。施設基準についても、アリーナ改修予算が水戸市議会で議決されたため一定の目処がついた。このため早ければ今年12月のBリーグ理事会で、Bプレミア参入が決定する可能性がある。

西村大介代表は「皆さんにはご心配をおかけしたが、最後は無事B1継続を達成することができ、胸を撫で下ろすシーズンとなった。来季はロボッツ10周年という節目の年でもあり、あと2年で始まるBプレミアを見据え、更なる進化をするシーズンにしなくてはならない」と話している。(池田充雄)

オッペンハイマーとサム・アルトマン 【吾妻カガミ】182

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ツツジの生け垣(写真は筆者)

【コラム・坂本栄】何かと話題になっている映画「オッペンハイマー」を見てきました。主筋は、米国の原爆開発を主導した理論物理学者オッペンハイマーが水爆開発には反対、ソ連のスパイの疑いまでかけられ、戦後には冷たい扱いを受けるという史実ですが、当時の米政府の情報管理や学者間の確執もふんだんに盛り込まれており、面白い映画でした。

ナチスとの原爆開発競争

実験成功後に彼を講堂に迎え、関係者と家族たちが足を鳴らして成功を祝う場面では、これで日本を降伏に追い込めるという米国民の高揚感が伝わってきます。真逆の場面=トルーマンが大統領執務室でオッペンハイマーと会ったとき、彼が水爆開発には消極的と知り、退室後に「あの泣き虫には二度と会いたくない」とこき下ろす場面=もあり、このコントラストは秀逸でした。

米国の原爆開発は、ナチス・ドイツの原爆開発に負けてはならないと始まったものでした。ところが、ドイツが早めに降伏したため、対日戦を終わらせる決定兵器になります。また、米国は戦後の仮想敵国としてソ連を想定するようになり、開発情報の対ソ漏えいを極度に警戒します。こういった米国の政略・戦略の変化も描かれています。

原爆開発を引き受けた動機が「ヒットラー憎し」であったオッペンハイマーは、国際政治に翻弄(ほんろう)されるだけでなく、ソ連のスパイ組織と見られていた米共産党との関係にも翻弄されます。これらに原爆開発を主導したという倫理上の自責の念が加わり、見応えある長尺3時間の映画に仕上がりました。

私は、165「酷暑日に核廃絶と核抑止について考えた」(2023年8月21日掲載)の中で、対日原爆投下を決断した米政府・軍部の心中を、①その破壊力を日本に実感させて降伏に持ち込みたい、②巨額の開発費を使った原爆の力を確認してみたい、③大戦後に敵国になるソ連の諸活動を抑制したい―と整理しました。

戦後、原爆は戦争を抑止する装置として使われるようになり、オッペンハイマーは国際政治の枠組みに大きな影響を与えました。

人工知能は世界を滅ぼす?

「オッペンハイマー」を見ながら、頭の中ではサム・アルトマンの顔がチラついていました。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」の開発を主導した「米オープンAI」の最高経営責任者(CEO)です。AIは原水爆に匹敵するような影響を人類に及ぼすのではないか…と。

チャットGPTについては、156「大乗仏教の空と相対性理論の空の関係」(23年5月1日掲載)の中で、「ネット上に格納された情報を超速で探し出し、それらを取捨選択、整理整頓し、文法的に正しい回答を作文してくれる」ツールと私なりに定義しました。扱い方を間違えると人間に思考の放棄を促し、破壊の恐怖=原水爆を上回る力を持つでしょう。人類支配力(破壊力?)としてはAIの方が大きくなるかもしれません。

「米オープンAI」の倫理派役員たちは、商業開発に突っ走るアルトマンを一度追放したものの、同法人に巨額の資金を提供している米マイクロソフトがこの人事に介入し、アルトマンをCEOに復帰させました。この経緯を報じた米ウォ―ル・ストリート・ジャーナル紙(23年11月24日付)は、倫理派役員の考え方(思想運動)を「Effective Altruism(効果的利他主義)」と呼び、以下のように伝えています。

「この運動では、AIが人間としての正しい価値観を植え付けられて注意深く作り上げられれば黄金時代を生み出すが、そうしたものにならなければ世界の終わりのような結果を招く恐れがあると信じられている」 (経済ジャーナリスト、戦史研究者)

投網や釣り体験で交流 川守養成プログラム始まる 桜川

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鈴木組合長(右端)から投網の投げ方を教わり何度も練習する中学生ら

桜川に親しみ、川の環境を見守る人を養成する「桜川川守(かわもり)養成プログラム」(4月22日付)の第1回が5日、つくば市松塚、桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)の拠点広場で開催され、市内外から7組22人が参加した。中国やインド出身の参加者も訪れて投網や釣りを体験し、国籍や世代を超えて交流を深めた。

同プログラムは川の水質や生態系を見守る担い手を育てようと、川守養成プログラム実行委員会が企画した。桜川漁協や市民グループ「桜川ナマズプロジェクト」が協力し、NEWSつくばが後援している。

鈴木清次組合長(81)は参加者に、シジミやウナギなど多様な生き物が生息し、澄んだ流れだったという桜川の記憶や、近年アユやワカサギ、オイカワなど在来魚が急激に減少していることについて話した。桜川で伝統的に使われている漁具についても実物を見せながら紹介した。その後、参加者に投網の投げ方を教え、参加者は川沿いの広場で投網を何度も投げて練習した。桜川では遊漁者が投網を行うことは禁じられているが、漁協の組合員になれば投網を使用することができる。組合員によると、投網を正しく丸く広げられるようになるには10年の経験が必要だという。

漁具について説明する鈴木組合長

投網体験のほか釣りの体験も行われ、体長60センチほどのアメリカナマズが次々と釣り上げられて歓声が上がった。15匹が釣れ、市外から参加した女子高校生が慣れた手つきでナマズをしめてさばいた。昼食時には市内の四川料理店「麻辣十食」(同市天久保)が、霞ケ浦のアメリカナマズを使ったメニュー2種類を提供し参加者が試食した。四川料理「ラーズーナマズ」は今年2月から同店でレギュラーメニュー化した一品(2月28日付)。市外から参加した中学生は「今日はアメリカナマズを釣り上げた。試食したナマズはすごくおいしい。人気になると思う」と話した。釣り体験で釣れたナマズは、その場でしめ、食用や骨格標本制作用として参加者がそれぞれ持ち帰った。昼食時には、鈴木組合長による投網の実演が行われ、外来魚のダントウボウやアメリカナマズ、オイカワなどが網にかかり、参加者から拍手が起こっていた。

在来魚が減少し、特定外来魚であるアメリカナマズが急激に増加するなど、近年桜川の生態系は大きく変化している。桜川はつくば市の水源である霞ケ浦に流れ込んでおり、川の水環境は市民の生活に密接に関係している。70年前、澄んだ水だった桜川で泳いで遊んだという鈴木清次組合長や組合員の鈴木孝之さん(81)は、当時の記憶を話し、かつての清らかな水質を取り戻したいと市民に向け発信を続けている。

市内在住の30代の男性は「NEWSつくばを見て、投網をやってみたいと思い参加した。子どもの時から桜川で釣りをして遊んできたので、桜川が好き。長く見ているので、桜川で釣れるものが変わってきたのを感じている」と変化についての実感を話した。同じく市内在住で北海道出身の30代男性は「桜川には観光としての魅力がある」と観光資源としての可能性を話した。

鈴木組合長は「いつでも遊びに来てください。楽しみながら川のことを知ってほしい。清らかな桜川を取り戻すのが私の願い」と参加者に話した。川の生態系の現状を知ってもらい、川を見守る担い手を増やしたい思いだ。

同プログラムは年5回実施の予定。4回以上プログラムに参加した人は、養成プログラム実行委員会が桜川の「川守」(桜川を見守るサポーター)に認定し、川の清掃活動などの情報を配信する。プログラムは1回のみの参加も可能で、来年度も実施を予定している。(田中めぐみ)

◆次回、第2回プログラムは6月9日(日)開催の予定。NEWSつくばページで5月11日より参加を募集する。

産んでも男の子は兵士になって死ぬんでしょ《ひょうたんの眼》68

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新緑(写真は筆者)

【コラム・高橋惠一】私は、毎年5月3日には日本国憲法を読むことにしている。国際社会は2度の世界大戦の人類絶滅危機を恐れ、日本は310万人もの犠牲者を出しながら、加害責任を追及される結果を踏まえ、国と国民が共有する決まりとして制定した憲法である。

「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」として、無知と偏見が、人種、性、言語または宗教上の差別を可能にし、愚かな戦争に至らしめていると警告する「ユネスコ憲章」と、国民主権を人類普遍の原理とうたい、人権尊重と戦争放棄を決意することによって国際社会に名誉ある地位を占めたいと宣言する「日本国憲法前文」を、座右の銘と思っている。

統一教会との癒着や、不正な裏金によって確保した議席の多数によって、民主主義をねじ曲げ、挙げ句は、平和憲法の「改悪」をはばからない現政権に嫌悪感を持たざるを得ない。その与党に何を期待するのか、すり寄る一部「野党」や一部「マスメディア」にも落胆している。裏金問題の改革は、企業団体献金の禁止しかないのに、何を躊躇(ちゅうちょ)しているのだろう。

防衛費負担は従来の2倍に

日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かれ世界4位に転落した。さらに3年後にはインドに抜かれる見通しだ。1人当たりのGDPは21位で、世界第2位を誇った30年前の見る影もない。経済政策の失態なのだが、特に近年の「アベノミクス」という理念の無い経済政策の結果であり、だらだらと現在も続いている。

アベノミクスでは、企業業績の拡大を最優先に据え、円安に進んだ。また、経済活動の効率化を図るとしながら、その手段をコスト抑制に求め、具体には人件費=賃金の抑制と、原材料調達費=下請け企業の収益削減に負担を押し付けた。

少子高齢化の進行や災害復興の財政需要の拡大は、元々予定されるところだが、財源不足を国債に求め、デフレ状況下でも好調な輸出部門やIT関連企業からの税負担は採用せず、むしろ内部留保への特別措置など、大企業優遇が続いている。

そこに安全保障環境の悪化によるとする、防衛費についてGDPの2%負担を首相が国際会議の場で約束してしまった。1%増やすだけではなくて、従来の2倍にするということだ。世界第4位の軍事費大国になるということだ。

安倍政権に次いで、現政権も国会で議論せず、与党だけで調整し閣議決定で通してしまう。まさに国会という主権者の判断を仰ぐ機会を無視しているのだ。

子育て支援などと言うが

滅茶苦茶な国政の運営も、要約すると、大企業が今後の稼ぎ頭にしたい防衛産業を拡大するために、社会保障や格差解消のための財源を削って、大企業優先の財政運営をする。子育て支援などと言うが、今日のコラムの見出しは、2人の子育て中の若い女性の言葉である。日本という国に、何の期待もできないのだ。(地歴好きな土浦人)

70歳からの正しいわがまま《看取り医者は見た!》18

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自分を撮ってもらいました

【コラム・平野国美】先日、つくば市内で開かれた市民団体の講演会に呼ばれました。演題は拙著のタイトル「70歳からの正しいわがまま」です。私の仕事「訪問診療」で出会った患者さんとのやり取りなどに、私なりの解釈などを加えて話しました。

今、回収されたアンケートを読んでいるところです。22年間もこの仕事をしていると、変わるもの、変わらないものがあります。病名はほとんど変わりません。新型コロナが増えたぐらいです。変わっているのは、患者さんを取り巻く環境です。

いずれ詳しく書きたいと思いますが、今、患者さんに寄り添うのは御家族であることが少なくなってきました。独居と思いきや、そこに現れるのは同級生だったりします。内縁や不倫の関係者も現れます。また、ペットの犬や猫が家族以上の関係になっています。

講演会場に来られた良識の塊のような紳士淑女の方々には、内縁や不倫を絡めた話は抵抗があるかと思ったのですが、多くの方は「うらやましい」と受け入れていたようです。同じ日本人であっても、時代が変わり、世代が変わると、常識や価値観が変わるものです。

患者さんと話をしていると、そこに気がつくのです。例えば、日本を代表するアニメ「サザエさん」の家族状況を今の子供が理解できるでしょうか? 家の間取り、卓袱(ちゃぶ)台、家族関係などは理解不能でしょう。今、昔のドラマの再放送がされていますが、時代劇や古典劇を見ているような気がします。

変わる、病や死に対する考え

小学校の頃に見た「俺たちの旅」では、やたらタバコを吸いますし、殴り合いになります。学生運動をしていたことが発覚して就職できなくなることなど、今の大学生には理解できないでしょう。

患者さんの御宅で親子げんかをしているのを眺めていると、どちらも間違ってはいない、価値観の違いであろうと思うのです。戦前に生まれた親の世代からすれば「家や墓は守るもの」なのに、息子の世代は「いらない」になります。この価値観の変遷に気が付かないと、けんかは終わりません。

同じように、病や死に対する概念も変わっていくのです。このコラムでは、これまで「消えてゆく街並み」を書いてきましたが、これからは私の仕事を通して患者さんから学んだことも書きたいと思います。少し斜に構えれば、「庶民的な死生観」となるでしょう。(訪問診療医師)

「私たちは憲法の前でボーっとしてるんじゃないか」 つくばでデモ行進と集会

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デモ行進では「不安定」の文字が掲げられた

憲法記念日の3日、「憲法はボーっとしてんじゃねぇよメーデー」(主催:茨城アンダークラスメーデー実行委員会)と題して、市民団体がつくば駅周辺でデモ行進と憲法について考える集会を開催した。デモには県内外から16人が参加し、「アルバイトでも派遣でも生きていける社会を」「不当解雇するな」などと訴え、駅周辺を約1時間行進した。

ゴールデンウィークでにぎわうつくばセンター広場を行進する

集会では3人の話題提供者が、「地域に暮らす外国人の子どもの権利」、「思想・良心、学問の自由」、「憲法前文」などについて憲法をもとに問題意識を挙げると、来場者からは、職業や性差別、学歴、労働環境、在日外国人が置かれている環境など、日常の中で接する課題について意見が出され議論が交わされた。

デモと集会に参加した、東京・山谷で労働者を支援する向井宏一郎さんは「それぞれの地域には必ず厳しい環境で働く人がいる。(集会やデモをきかっけに)地元の支援団体が、労働問題を地域の生活問題として捉え、地域住民と関わることは重要」だと指摘する。

集会で配布された憲法前文のコピー

主催団体の加藤匡通さん(55)は「私たちは憲法の前でボーっとしてるんじゃないのか」と言い、「憲法は基本的人権と法の下の平等を規定し、職業選択の自由と勤労の権利と義務を記し、勤労者の団結権を保障している。しかし、それは紙の上だけのことではないのか。私たちはこれら憲法に書かれていることを、自らのものとしているのか」と疑問を投げかける。「人権が尊重されない職場で辞めることもできずに働き続ける人がいる。憲法が謳う基本的人権が空文化している。憲法に書かれている権利に対して、誰かがやってくれるだろうと思っていてはダメ。憲法を自分のこととして主体的に考えていかなければいけない」と、憲法記念日にメーデーをテーマとしたイベントを開催した意義を語った。(柴田大輔)

娘と父と、それから戦車《ことばのおはなし》69

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】最近、どういうわけか、夜な夜な娘と戦車のプラモデルを作っている。

一時期、戦車のアニメにはまっていた娘のために、妻が気まぐれで買ってきたのだ。しかし、箱を開けてみると接着剤が必要なタイプのプラモデルである。デフォルメされているといっても部品が結構細かい。

私はプラモデルは全く作らないのだが、私の父がその道に大変造詣が深いため、小さい頃からその手のモノたちに囲まれて育った。特に戦車のプラモデルが多かった気がする。関心はないのに育まれるもの、というのが世の中にはいろいろとあって、親の趣味というのもこれに該当する。

見ればわかるだろう、ということで、おもちゃ屋に行って、見覚えはあるのに名も知らぬ、しかし使い方は知っている道具たちを一式買って手伝うこととなった。あれだけの環境で育ったのにも関わらず自分の趣味にはならなかった戦車のプラモデルを、自分の娘と突然作ることになるのだから人生は相変わらずよくわからない。

こういう時間を大切にする

手伝うと言っても、半分以上の工程は私が作っている。一緒に説明書を読んで、該当する部品を探して、ニッパーで部品を切り離していく。最初は早く完成させたがっていた娘も、最近は落ち着いて作業を進めるようになってきた。見ているだけでも案外楽しいらしい。

そういえば、小さい頃に私も、こうして父に手伝ってもらいながらプラモデルを作ったことがあったな、とふと懐かしい気持ちになる。

自分の手を動かしてやったことというのは、案外よく覚えているものだ。「親と一緒に」というならなおさらだ。娘もそうなるかはわからないが、少なくとも私は「娘と一緒に」作ったことは忘れないだろう。だから、こういう時間は大切にしないといけない。

それにしても、実際に作っていると、もう少し良い道具が欲しいとか、塗装ってやっぱりやったほうがいいのか、などと雑念がわいてくる。凝りだすと大変なのは、よくよくわかっているはずなのだが。(言語研究者)

最近知った「うれしい変化」《医療通訳のつぶやき》8

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写真は筆者

【コラム・松永悠】最近SNSで偶然、ある投稿を目にしました。投稿者がどこかのアウトレットで買い物をしていると、3人の中国人男性客が、持参したお酒とおつまみを取り出してプチ宴会を始めたそうです。

どうやら買い物中の奥様を待っている感じで、しばらくすると戻ってきた奥さんと合流しました。「ゴミをそのままにするだろうなぁ」と思っていたら、3人がバッグからゴミ袋を取り出して、全部片付けただけでなく、さらにウェットティッシュでテーブルを拭いて、きれいにしてから帰っていったそうです。

「これまで自分の中では中国人観光客=マナーの悪い人と決めつけていた」と投稿が続き、また「どの国にもマナーの良い人、悪い人がいると改めて思った」とも。偶然目にしたこの投稿を読んで、素直にうれしく思いました。

「マネーありマナーなし」は昔の話

医療通訳の仕事柄、日本在住中国人、治療目的で来日する中国人と一緒にいる時間が長いです。私からすると、マナーに関しては年々よくなっています。今でもはっきり覚えているエピソードがあります。10年くらい前に担当した人間ドックのクライアントが院内のゴミ箱の中に直接痰(たん)を吐き出したのです。あまりに突然のことで阻止できず、私も病院の方も仰天しました。

このクライアントは田舎から出てきたお婆(ばあ)さんです。話を聞くと、娘さんがビジネスに成功した方で、親孝行の一環としてお母さんを日本に連れてきて、観光と人間ドックをプレゼントしたそうです。恐らく「ちゃんとゴミ箱の中に吐いたでしょ、何がダメなの?」くらいの感覚です。

他にも、平気で予約時間に大幅に遅刻するとか、病院内で電話するとか、いわゆる「マネーありマナーなし」の人がいました。

しかし状況がどんどん変わってきています。今では丁寧にごあいさつしたり、常に病院に迷惑をかけないように心がけたり、感謝を繰り返したりと、病院も医師も私もみんなにとってありがたいクライアントがほとんどです。

いびきを気にして個室を希望

今年に入ってからあるクライアントを担当するようになりました。心臓病を患っていて、さまざまな検査を経て今週入院して来週開胸手術を受けることになります。かなり大掛かりの手術で、入院も1カ月かかると言われています。

外国でこんな大きい手術を受けるなんて、心配や不安がいっぱいだと思います。しかしこの患者さんは全くそれを出さず、いつも「先生のご判断を信頼していますし、しっかり治療してくれると信じていますので、ご迷惑になるようなことはしません。できることは何でも協力します」とおっしゃいます。

検査入院した時も、自分のいびきが他の患者にとって迷惑になるかもしれないので、個室希望と自ら申し出て、それを聞いた看護師さんたちが大変感動しました。

医師・患者である前に、みんなそれぞれ一人ひとりの人間です。温かみのある言葉でコミュニケーションを取れば、国が違っても心が通じると信じています。そんなお手伝いをするのは医療通訳なのです。素敵(すてき)な仕事だと思いませんか。(医療通訳)

<参考> 医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。

誰もが安心して暮らせる社会の実現を つくばでメーデー集会 

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メッセージを書き込んだ手製の鯉のぼりを掲げるパレード参加者

メーデーの1日、TXつくば駅前の中央公園で、第95回つくば中央メーデー集会(同実行委員会主催)が開かれた。つくば市をはじめ県南、県西地域の研究機関、民間企業、自治体の労働組合など14団体、148人が集まり、「働くものたちの権利を守り、労働環境の改善、市民生活の向上、安心して暮らせる街づくり」を目指すとのメーデー宣言を採択した。

降雨のため予定より1時間縮小しての開催となった。集会後には50人余りがつくば駅周辺をパレードし、賃上げの実現や介護職員の待遇改善などを訴えた。

メーデー宣言を読み上げる前田啓つくば中央メーデー実行委員長

雨足が激しくなる中、予定より15分繰り上げて9時15分に集会が始まった。冒頭で、主催団体のつくば中央メーデー実行委員会の前田啓委員長(39)がメーデー宣言を読み上げた。

宣言では、物価高騰などを背景に労働者の実質賃金の低迷が続くとし、増加する税金や社会保障費の負担、拡大する格差と貧困を前に、安定した雇用環境の実現、労働者への大幅賃上げを求めた。また、先進国最下位である日本のジェンダーギャップ指数や増加する性暴力(DV)被害を背景にジェンダー平等の実現、能登や台湾での地震とコロナ禍を踏まえて、命と暮らしを守るための体制強化や関係者の処遇改善のほか、研究者の待遇改善を求めることが盛り込まれた。

さらに、原発に依存しない持続可能なエネルギーや社会の実現、東海第2原発の再稼働反対、憲法と民主主義を守り全ての人々の自由と命と暮らしが守られる平和な世界の実現を目指すとし、「働く者の団結で希望の持てる社会を次世代に繋ぐ」と決意が述べられた。

参加団体からは、低下し続ける実質賃金に対する物価高騰に見合った適切な生活保障の確立や、悪化する労働条件の改善と人員の適正配置、不均衡化する研究費の公平な再分配などが求められた。

雨の中をパレード

集会後、約50人がつくば駅周辺をパレードした

集会後は約30分にわたりパレードした。筑西市から参加した新井慶治さん(24)は「職場の先輩に誘われて初めて参加した。メーデーの意味について知るきっかけにもなったし、これから職場の環境をより良いものにしていきたい」と思いを語った。

パレードの先頭で掛け声を上げた憲法9条の会つくば共同代表の石上俊雄さん(65)は「強い雨の中だったが、やってよかった。若い方の参加もあった。『何をやっても社会は変わらない』と思いがちだが、あきらめてはいけない。厳しい時代だが、市民が声を上げることがより重要になる」と語った。(柴田大輔)

つくば市の過剰な管理職数の問題を考える《投稿》

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つくば市役所

現市政下で職員数と人件費が急増

【投稿・酒井泉】自治体の給与・定員管理などについては、総務省が示した統一の様式で公表されています。つくば市の場合は2013(平成25年)から22年(令和4年)までの数字が公表されています。以下、前市長時代と現市長下の職員数と人件費のデータを比較してみました。

▽市原市長時代(2013年→17年)
・人口: 1万1071人増(+5%)
・歳出額: 128億4千万円増(+19%)
・職員数: 11人減(-1%)
・人件費: 2億6千万円増(+2%)

▽五十嵐市長になってから(2017年→22年)
・人口: 1万9414人増(+8%)
・歳出額: 192億8千万円増(+24%)
・職員数: 206人増(+13%)
・人件費:+30億3千万円増(+20%)

市原市政下では、人口と歳出額が増えても職員数と人件費は増えていません。ところが五十嵐市政下では、人口増を上回る割合で職員数と人件費が増えています。

ちなみに、24年度予算では、人件費は22年に比べ26億円増え(+14%)、人件費の総額は212億円に達しています。この数字は、市民1人当たり8.3万円になります。16年は7.1万円ですから、五十嵐市政下で17%も増えたことになります。

係長級以上が一般行政職員の半分

22年の一般行政職員数は926人です。その内訳は、部長14人、次長29人、課長88人、課長補佐124人、係長級236人、一般職員435人―となっています。つまり、係長級以上の役職は491人になり、一般行政職員の53%も占めています。半数以上が係長級以上ということですから、民間企業で働いている市民はその多さに驚くでしょう。

組織の単位は何人ぐらいが最適か?

1人の人間が一般的に管理できる人数は、様々な研究から、おおむね5~8人、最大でも10人程度と言われています。2人以下の議論では偏った結論になりやすく、仕事のチームが10人を超えると急激にパフォーマンスが下がるという研究もあります(J.リチャード・ハックマン)。

近年、アマゾンの最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏は、「チームの最適な人数は2枚のピザを分け合える程度の5~8人である」という『2枚のピザ理論』を提唱しているそうです。

こういった研究結果から、多くの会社や組織では5人前後を最小の単位の「係」とし、その上に「課」や「部」などの上部組織を配置するピラミッド型の人事組織を採用しています。

つくば市の管理職は「望ましい組織」の2倍

組織単位を最低の5人とした場合、4人の係員に1人の係長、4人の係長に1人の課長、4人の課長に1人の部長となり、1つの部の総数は85人になります。そこで、「1つの部の人数を85人。部長1、課長4、係長16、係員64」を望ましい組織と考えて、人員構成の健全度を測る物差しにします。

これで組織作りをすると、22年のつくば市の一般行政職員数は926人なので、85人の部を11部設定したとすると、望ましい管理職構成は、部長11、課長44、係長176、一般職員695になり、管理職総数は231となります。

これに対し、同年の管理職数は、部長と次長が43人(物差しの3.9倍)、課長と課長補佐が212人(同4.8倍)、係長級が236人(同1.3倍)ですから、係長級より上の管理職総数は491人(同2.1倍)となります。つくば市の管理職数は明らかに過剰です。

市民とのコミュニケーションが不足

つくば市の場合、係長の下に一般職員が2人くらいしかおらず、市役所内の情報の共有と相談・協力体制が十分ではありません。このため、市の職員は市民と情報を共有して議論することができません。

「人事規律」を無視して職員を処遇するために管理職を増やすと、組織が細分化されたタテ割りの身分制となり、市民と市役所の間のコミュニケーション(民主主義の基本)が機能しなくなります。これは深刻な問題です。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)

問題解決と評価《続・気軽にSOS》149

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【コラム・浅井和幸】日々、問題の解決や改善を繰り返していると、人とのやり取りの中で「まどろっこしいなぁ」と感じることが多々あります。心理相談の時は相手のペースに合わせるのであまり感じないのですが、事業や生活での従業員や家族とのやり取りでは「しょっちゅう」という感じです。

そこで、「話が進まないこの違和感はどこに原因があるのだろうか?」という疑問が湧いてきます。それをつかめれば、コミュニケーションを改善でき、話を前に進めやすく、物事の改善がスピーディーにできますから。

133「人のせいするという生き方」(5月20日掲載)にも書いたように、人には「自分は悪くない。他の人や状況が悪いのだ」という考えがあります。これは、物事を改善するには悪いところを無くす必要がある、だから悪い状況や悪い人が変わればよい、悪いことをしていない自分は何も変えない―という考えにつながります。

変えることは悪いやつだと認めることになり、善人である自分は変える必要がない、と確信しているからです。

ほめる、たたえる、感動する、感謝する

より良くしていくという考えは、悪いことを良くするだけでなく、良い今よりもさらに良くするということも含まれます。この考えを持つことがかなり難しいということが一つの気付きでした。そして、そこには過去と今の評価を気にする、悪い評価を避けたいという心理が改善を妨げているということがあります。

未来を変えるには、今からの言動を変えていく必要があります。そして、どのように変えるかは、現状をより正確に把握する方がより効率がよいのです。ですが、人は質問攻めをされると、悪い評価を得るとか怒られるという不安に駆られるものです。人からだけでなく、自問自答を繰り返すと、気分が悪くなる人は多いのではないでしょうか。

ドラマの警察の取り調べのように質問を繰り返すと、回答しにくい状況になっていきます。なので、質問に対する回答があったら、ほめる、たたえる、感動する、感謝する言葉を相槌(あいづち)に混ぜ、「あなたを悪く評価していませんよ。高く評価しているよ」という気持ちを伝えることが大切なのです。

こちらからの質問に、「じゃあ、どうすればよかったんですか?」「私が悪いというのですか?」「何回も答えているじゃないですか」というような回答が出てきたら要注意です。現状把握をしたいだけで、責めているわけではないのに、そのような回答をもらいやすい人は、改善に対する考えが前のめりすぎる「せっかちなタイプ」かもしれません。(精神保健福祉士)

「竹」でイッポン! 並木中等6年生 保水性舗装研究引っ提げ米国へ

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自家製の竹繊維を手のひらに乗せて見せる野末紗良さん=並木中等教育学校

高校生たちが自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC2023(第21回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」で上位入賞した県立並木中等教育学校(つくば市並木、柴﨑孝浩校長)の野末紗良さんが5月、米国 ロサンゼルスで開かれる世界大会「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に日本代表として挑む。竹材から取った繊維を舗装材に使うことで保水性を高め、都市部で気温が上がるヒートアイランド現象の対策に活用できる可能性を示した。

野末さんは高校の3年生にあたる同校6年次生。昨年行われたJSEC2023に「竹繊維保水性舗装によるヒートアイランド現象への挑戦」をテーマに研究を発表した。全国174校の634人から、過去最多の343件の応募があり、審査でJFEスチール賞を受賞した。副賞として協賛社から学校に、100万円相当の位相差顕微鏡が贈られている。

理数系のコンテストに数多く参加し県内きっての実績を誇る同校だが、野末さんは科学部所属ではなく、中学入学時から剣道部員という異色の理系女子だ。母親が民間企業の研究職という家庭で育ったが、夏休みの自由研究などに熱中し、ずっと独力で取り組んできた。

剣道を始めて、竹刀を通じて素材としての竹に興味を持った。木刀と違って竹刀は打たれてもそんなに痛くない。竹がしなって衝撃を吸収するのは保水性のためと知った。入学しての3年間は素材研究に取り組み、竹を繊維化すると吸水性が向上し、繰り返し吸水できることを調べた。

5年次になって、保水性を生かした竹繊維の実用化研究に取り組んだ。舗装のすき間に吸水・保水性のある注入材を使う「保水性舗装」は、路面温度の上昇を抑える機能が注目され近年施工例を増やしている。水分の蒸発時に気化熱を奪って温度を下げる効果、いわゆる「打ち水」の原理に通じる。

コンクリートはセメントに砕石や水を加えて作るが、保水性舗装には吸水ポリマーやゼオライトなどの保水材を混ぜている。この材料を竹繊維に代えてサンプルを作り、吸水試験による他の吸水材との比較、経年劣化試験による耐候性及び疑似舗装を使った効果の検証を行った。

水酸化ナトリウム水溶液で竹繊維を作り、電子顕微鏡で観察するなどの研究は学校の実験室で行い、ホームセンターで購入した材料でサンプルのコンクリートを作って自宅で実験を繰り返した。その結果、通常のコンクリートに比べ路面温度が約5℃低くなる効果を確認できたという。

竹は周辺の竹林の孟宗竹、真竹を利用した。野末さんは「地域では(放置竹林が周囲に侵入、拡大する)竹害が深刻化している。竹繊維の利用を進めることでヒートアイランド以外の環境対策にもつながると思う」と語る。

5月12日から18日まで開催のISEFへは、JSEC2023で上位入賞した10研究が派遣される。並木中等科学部の粉川雄一郎教諭によれば、同校からは9年ぶり2人目の参加となる。現地では審査員を前に2分間のスピーチを含む15分間のプレゼンテーションを行う。発表やポスター展示の資料はすべてが英語だが、これらも準備作業を終えた。

「剣道では目立った成績は上げられなかったが、竹について真剣に5年間取り組めたのはよかった。アメリカでは竹への関心があまりないみたいなので、どんな反応が返ってくるか楽しみ」と野末さん。将来は「新素材・新材料の研究者になりたい」そうだ。(相澤冬樹)

ソメイヨシノとヤマザクラが同時に満開 気象と開花の謎

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つくば市神郡のヤマザクラ=4月7日撮影

【コラム・榎田智司】地球温暖化の影響なのか、今年も季節が早く進んでいる感じがする。筑波山麓では今春、ソメイヨシノとヤマザクラの開花と満開の時期がほぼ同時だった。

筑波山麓で活動するつくば環境フォーラムの理事、大塚太郎(54)さんは「今年はソメイヨシノとヤマザクラ、さらには桃までが、同時に咲いた印象がある。フキノトウ、タラノメなども一気に大きくなり、いきなり収穫という感じになった。近年の温暖化傾向はずっと続いており、今後の対策として12月に収穫するコメを作る計画をしている」と述べる。

北条大池公園の桜=4月9日撮影

ヤマザクラで有名な桜川市役所観光課に問い合わせると「毎年ヤマザクラはソメイヨシノよりも1週間ほど遅く開花していたが、今年はほぼ同時だった。暖冬傾向の中で3月上旬の気温が低かったためではないか」という。

水戸地方気象台の発表ではソメイヨシノの開花は3月31日、満開は4月8日。県内の開花は平年通りだったが、近年の温暖化傾向の中では、遅い桜とも感じた。一方、九州地方から東北地方南部までの開花の差が3日ほどしかなかった。

つくば市臼井地区の桃=4月7日撮影

振り返ると2024年の年明けは比較的温暖で、2月中旬には春を思わせる気温となり、このまま暖かくなるかなと思ったら、3月上旬は気温が下がり雪が降ったこともあった。ソメイヨシノは2月1日からの最高気温の積算が600度に達すると開花するという法則があるといわれるが、今年の開花時は積算が768度になっており、62年ぶりに予想が外れたといわれる。テレビでは気象予報士の森田正光さんが、これも暖冬の影響で、冬の間に十分な寒さがないと「休眠打破」が出来ずに開花が遅れたのではないかと推測していた。

一般に、ヤマザクラの開花は関西ではソメイヨシノより早く、関東では遅いと言われる。仮説としてあげられるのは、ソメイヨシノは1本の木から生まれたクローンだが、山桜には多様な種類があるために起こる現象ではないかとも言われているそうだ。開花と気候をめぐる謎は深まるばかりだ。(NEWSつくばライター)