金曜日, 11月 7, 2025
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1人1台端末で実証授業開始 休校中のつくば市義務教育学校

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貸し出された1人1台のパソコンを同時接続して学習する実証授業の様子=22日、つくば市立みどりの学園義務教育学校

【鈴木宏子】休校中のつくば市立みどりの学園義務教育学校(同市みどりの中央、毛利靖校長)で、中学3年生に1人1台パソコン端末を貸し出し、学校と家庭を同時接続して学習する実証授業が22日始まった。

同市では21日から分散登校が始まったが、登校しない日は今後、午前8時15分から教員とクラスの生徒全員がパソコン上で顔を合わせ、朝の会を開いたり、一緒に学習問題を解いたりする。

分散登校が実施された22日、1人1台のパソコンを使って中学3年生による公開授業が実施された。生徒はまずウェブ会議アプリ「ズーム」を使ってそれぞれ自分の顔を写し、互いに健康に過ごしていることを確認し合った。

続いて表現・協働学習支援ツール「スタディノート10」を使って数学の復習をした。数学教員から、パソコン画面に表示された図形を見ながら角度を求める問題が出され、生徒たちはタッチペンを使ってパソコン上に線を引くなどして問題を解いていった。教員の画面には、生徒一人ひとりがどのように線を引いて問題を解いたかが写し出され、解き方を皆で確認し合うなどした。

一方、生徒たちはこの日初めて学習支援ツールを使ったことから、パソコン操作にとまどう生徒もいて、近くにいた教員が教える場面も見られた。

3年生の宮本瑚(ここ)さん(14)は「皆と考えを共有できてよかった。家でも緊張感をもってできると思う。(パソコン操作は)立ち上げ方が難しかったが慣れていけばできると思う」と話していた。

市総合教育研究所の中村めぐみ指導主事によると、これまで授業で使用していたシステムを家庭からでも接続できるようにした。児童・生徒に1人1台パソコンを配備してコンピューターを使った教育に積極的に取り組む文科省のGIGA(ギガ)スクール構想の先取りとしての位置づけとなる。

今後は他の学校にもパソコンを貸し出して実証授業をしていく。生徒一人ひとりの学習履歴がとれるように改良し、教育評価にも利用できるようにして、児童生徒一人ひとりに最適化した学習ができるようにしていくという。

一方、休校中、同校では4月から毎日、各学年3教科ずつ動画を配信している。児童・生徒は自宅で動画を見て、教員から出された課題に取り組んだり、復習ドリルをこなしたりしている。休校中の動画配信は続けるという。

6月8日学校再開へ 夏休みの3週間で授業

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茨城県庁

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染対策で、大井川和彦知事は22日、外出自粛と休業要請を25日からさらに一段階緩和すると発表した。25日以降さらに2週間、感染拡大が抑えられれば、規制を最も緩い段階に引き下げ、6月8日から学校を再開する。休校による授業時間数を確保するため、夏休みを半分に短縮し3週間程度、授業を行う。

県内の新規感染者数が16日間連続でゼロとなっているなど、6つの指標すべてで感染が抑えられているとして、25日から外出自粛と休業要請をさらに1段階緩める。ただし「新しい生活様式」といわれる感染防止対策を常にとることが前提となる

他県への観光も規制せず

外出自粛要請は、一般の人は夜間の自粛要請が解除され規制がなくなる。県外への移動についても東京など緊急事態宣言の対象地域以外は移動自粛を解除する。県外への移動自粛要請については都道府県によって対応が分かれているが、茨城県としては25日以降、他県への観光や帰省なども規制しないという。

ただし感染すると重症化するリスクが高い70歳以上の高齢者や基礎疾患がある人に対しては、あと2週間、外出自粛を要請する。

スポーツクラブ再開へ

休業要請は、スポーツクラブ、ヨガスタジオ、パチンコ店、ゲームセンターなどを休業対象からはずす。スポーツクラブなどに対しては県が感染防止ガイドラインを策定し、再開にあたって順守するよう要請する。あと2週間、休業要請を継続するのは、濃厚接触が避けられないライブハウスや、客同士の距離を1メートル以上確保できないカラオケボックスやスナック、バーなど一部に限定される。

イベント開催について大井川知事は、屋内なら100人以下の規模で収容定員の半分以下の参加人数とする、屋外は200人以下の規模で人と人との距離を2メートル確保できるなら自粛せず、開催してほしいとする。イベントについても県が感染防止ガイドラインを策定した。

学校再開後は毎朝検温、マスク

学校は25日から2週間は週3~5日の分散登校とする。ただし給食は提供されず、部活動も実施しない。

25日からさらに2週間、感染が抑えられた状況が続いた場合、県立高校は6月8日から再開する。小中学校も同様に対応するよう市町村に要請する。これにより3月に突然始まった臨時休校は6月7日までで一段落する。8日からは通常授業となり、給食も出され、部活動もできるようになる。

学校再開にあたって県として感染防止ガイドラインを策定した。毎朝検温する▽マスクを着用する▽こまめな手洗いをする▽教室は2方向の窓を常時開ける▽教材は使う前に消毒する▽給食は会話を控え対面を避ける▽部活動は接触を避けるーなどで、各学校に順守を求める。

夏休みの半分の3週間、授業を実施することについては、昨年度までに県内すべての公立小中学校、高校の普通教室にエアコンが整備されたため問題ないとした。

オンライン授業の取り組みは続ける。大井川知事は、第2波、第3波への備えも含め「これからの授業は、オンライン教育とリアル(な対面の授業)の組み合わせになる」との見通しを示した。

一方で第2波、第3波がきた場合、再び休校とするかについて知事は、10代の感染者が少なく、子供のクラスターの発生はほぼないというEUや中国の調査報告を紹介し「科学的な知見の蓄積をみながら、学校が一番脆弱かどうか、科学的知見に基づいて考えていかないといけない」との見解を示した。

東京圏への移動、6月18日まで自粛を

一方、国が25日、緊急事態宣言を全面解除し、移動やイベントなどのガイドラインを出したのを受けて、大井川知事は同日、県外への移動について国の方針に合わせるとし、31日まで県外の移動、特に東京圏への移動を自粛するよう要請した。

6月1日以降は、東京、千葉、埼玉、神奈川と北海道の5都道県に対して同18日まで引き続き移動自粛を要請し、それ以外の府県は全て移動可能とするという。6月18日以降は改めて判断する。

解体工事始まる 日本財団 軽症者病床計画のつくば研究所跡地

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18日から解体工事が始まった日本財団つくば研究所跡地=21日午後

【鈴木宏子】日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)は、つくば市南原、つくば研究所跡地(約5万7000平方メートル)で、研究施設などの解体・撤去工事を開始した。8月上旬まで工事を実施し、さら地にする。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、同財団は同跡地に9000床の軽症者向け病床を整備すると発表している。

同財団広報チームによると、解体工事は5月15日から準備を開始し、18日から具体的な作業に入った。敷地内には角水槽棟、回流水槽棟、重油タンク、管理棟などがあるが、すべて解体し、8月上旬までにさら地にする。工事は毎日、午前8時から午後6時まで予定し、日曜日は近隣への配慮のため、極力、音を出さない作業をするという。

当初計画(4月5日付)では、つくばで7月末から受け入れを開始するとしていた。同財団は、軽症者向け9000床の施設を整備する計画に変更はないが、整備時期などについては「茨城県は緊急事態宣言が解除されているため、開設時期については感染状況を勘案し、運営主体も含めて見極めていく」とし、今後の第2波、第3波の感染拡大状況を見て開設時期や運営主体などを決めていくが、準備は進めるという立場を示した。

一方、地元の五十嵐立青つくば市長は「市民から多くの不安の声が寄せられている」などとし「現在の計画は受け入れることはできない」と受け入れに難色を示している。これについて同財団は「つくば市長には直接、話を伺い、懸念については承知している」とし「地元への説明等については、今後の感染状況などを勘案し方針を見極めてから検討したい」とする。

船の科学館は病床設置始まる

軽症向け施設は東京都品川区の船の科学館に、先行して1200床を整備する計画。同科学館ではすでに工事が始まっており、5月中旬にパラアリーナに100床、下旬に駐車場に大型テント1張(60床)を整備し、6月末には敷地内に個室型のプレハブハウスを140室完成させる計画だ。同財団が全費用を負担して整備し、同科学館は東京都が運営主体となる。今後の都内の感染状況や病床の使用状況によって同科学館の増床を積極的に検討するという。

《宍塚の里山》63  いのち湧きいづる季節

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キアゲハ(上段)、アカボシゴマダラの幼虫(下段左)、ヘビの卵(下段中央) 、陸に上がりたてのアカガエルの子ども(下段右)

【コラム・及川ひろみ】目にまぶしい若葉。生き物にとっては食べごろな美味しい若葉。たくさんの種類のチョウやガの幼虫が若葉に食らいついているのが見られ、チョウやカミキリムシが花の蜜をちょうだいし、ときにはキリギリスの幼虫が花を食べるのが見られます。

しかし、植物は種類によっては若葉のときには葉の表面にふわふわの毛を持ち、昆虫はこの毛が邪魔で葉を食べることができません。また、植物はすべて毒があると言われるほど、やすやすとは食べられない仕組みになっていますが、爆発的に生き物が見られるのがこの季節です。

たくさんの生き物は野鳥にとっては格好な餌(えさ)。小鳥たちはこの豊かな生き物の季節に雛(ひな)を育てます。親がせっせと運ぶエサで育つ雛。ときには巣から早く出たいと焦るあまり、落ちることもしばしば。まだうまく飛べない雛。そんな雛を見つけても、かわいそうだと持ち帰ってはいけません。落ちた近くには母鳥が雛を見守っているのです。そして餌を運び、巣立を助けます。

アマガエルやシュレーゲルアオガエルがにぎやかに鳴く谷津の田んぼの畔(あぜ)や湿地の縁では、陸に上がったばかりの小さなアカガエルがぴょんぴょん、踏んでしまいそうなほどたくさん見られるのもこの季節です。

平穏そうなカエルたちですが、サギなどの仲間やヘビ、トカゲは虎視眈々(こしたんたん)と彼らを狙っています。そして、そのトカゲやカエル、ヘビを狙ってタカ、サシバが声高らかにピッィウィーと鳴きながら上空を飛んでいるのも見られます。彼らの子育てには欠くことができない生き物たちです。

里山の作業は3密と関係なくできます

今年は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、観察会や子ども探偵団など、会の行事は自粛していますが、親子で、夫婦で、カップルで、宍塚の里山にやって来る人が大勢います。子どもたちは釣りをしたり、虫取り網を振りまわしたり、ときには泥ケーキを作ったりと、実に楽しそうです。

草木が勢いよく育つこの季節。管理を怠れば散策路、堤防、田の畔(あぜ)、農園周りなど、日当たりのよいところならどこも、またたく間に草に覆われます。初めて宍塚を訪れた方が気持ちよく過ごせるようにと、散策路、堤防、里山内の広場、畦、どこも会員が草を刈り、場所によってはベンチ代わりに丸太を置くなど、毎週のように10名近い人が里山の管理作業を怠りなく行っています。作業は3密などとは関係なく行えます。(宍塚の自然と歴史の会代表)

つくば市が第2弾の緊急経済対策 家賃補助や商品券給付など9億円

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第2弾の緊急経済対策について説明する五十嵐つくば市長=21日、つくば市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大による第2弾の緊急経済対策などとして、つくば市は21日、計9億2430万円の支援策を実施すると発表した。最大月20万円の家賃補助▽18歳以下と70歳以上の市民に1人5000円の商品券給付▽ひとり親世帯などに3万円支給▽帰省を自粛している大学生などに3000円分の食料品詰め合わせ配布—など、中小企業と高齢者・子育て世帯などへの支援を盛り込む。

同日、市議会全員協議会を開いて説明した。28日、臨時議会を開き、補正予算案を提案する。総額1億6400万円の第1弾に続く支援策となる=4月21日付。財源として市の一般財源約5億8200万円と国の地方創生臨時交付金3億4230万円を充てる。

中小企業への支援として、現在検討されている国の家賃補助の対象とならない、売り上げ15~30%減の店舗や事務所などの家賃を最大で月額20万円、3カ月分の補助するテナント賃料助成事業を実施する。420件を想定し事業費2億3340万円を計上する。

景気が減速していることから、新型コロナウイルスの影響で失業したり、休業している市民を新規に雇用する市内の事業者に最大20万円を助成する。200人分を想定し、事業費2100万円を盛り込む。

市民生活を応援し、併せて物産事業者を支援することを目的に、実家に帰省せず市内にとどまっている県外出身の大学生と、つくば市出身で都内など県外にとどまっている大学生、さらに経済的に厳しく就学支援を受けている子育て世帯の先着計5000世帯に、地元の食料品3000円分を詰め合わせたセットを贈る(事業費2400万円)。詰め合わせする食料品の中身は今後、検討するという。

ほかに第1弾の支援策である、食事のテイクアウトを実施している飲食店に一律10万円を交付する事業の申し込み飲食店が当初予定の500件を超えたことから、290店分を増やし、事業費3000万円を追加計上する。感染収束後、市内の宿泊施設に泊まった人に1人2000円の食事券を交付する事業については1万人分の計2000万円を予算化する。

文化芸術の支援策として、文化施設などでの発表の機会を失ったアーティストに、オンライン上での活動の場を支援し、ポータルサイトを整備してアーティストが企画したワークショップの動画を掲載する文化芸術プラットフォーム創造事業(950万円)を実施する。

高齢者にマスク1人3枚配布も

高齢者や子育て世帯の支援事業は、70歳以上の高齢者約3万7000人と18歳以下の約4万6000人に、市内で使用できる5000円分の商品券(総額5億700万円、28日の臨時議会ではなく6月議会に提案)を配る。高齢者にはさらに、敬老大会中止の通知に同封して、不織布マスクを1人3枚郵送する(400万円)。

景気が悪化し、ひとり親世帯などから生活困窮の相談が寄せられているなどから、児童扶養手当や就学援助を受けている約1780世帯に、市独自に1世帯3万円を支給する。18歳以下の子供がいる子育て世帯の6%ほどが対象になるという。

学校が臨時休校になりオンラインによる学習動画配信などが各校で始まっている一方、市の4月の調査で、家庭にインターネット環境がない小中学生が約700人(約3%)いることが分かったことから、700人全員にインターネットが利用できるパソコンを1人1台、9カ月間貸し出す(2200万円)などの支援策にも取り組む。

「イーアス」1カ月半ぶり再開 つくばの日常少しずつ戻る

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入り口前に並び、開店と同時に次々に入店する来店客=21日午前10時、つくば市研究学園、イーアスつくば

【鈴木宏子】国の緊急事態宣言解除と県の休業要請緩和を受けて、つくば市研究学園駅前の大型商業施設「イーアスつくば」が21日、1カ月半ぶりに再開した。食料品を販売するカスミを除いて、4月9日から臨時休業していた。

新型コロナウイルスの感染防止対策をとりながらとなるが、1カ月半、立ち入りができなかった館内にようやくにぎわいが戻り、つくばの日常が少しずつ戻ってきた。当分の間、営業時間を短縮しての再開となる。

開店前、入り口には全員マスクをした来店客が列をつくり静かに再開を待った。午前10時に開店すると来店客は、入り口に置かれた消毒液を手にとり手指消毒をして入店し、お目当ての専門店などに向かう様子が見られた。入り口の一部には体温を測定するサーモグラフィーが置かれた。

1カ月半ぶりに再開すると知り、7歳と0歳の子供を連れて来店した市内に住む産休中の30代会社員女性は「駐車場にもう車がいっぱいなのでびっくりした」と話した。

3歳の子供と来店した市内の30代会社員女性は「子供専用の美容室がここにしかない。予約をとるため電話を掛けたがなかなかつながらないので、直接、予約を取りにきた。再開してよかった。うれしい」と語った。

大学生の息子とつくば市を訪れ、食事をしに寄ったという守谷市のパート50代女性は「再開してありがたい。ワクワクします」と話していた。

感染防止対策として店内には、客同士の間隔を空けたり、少人数による短時間の買い物を呼び掛けるポスターがあちこちに掲示された。

レジに透明なビニールカーテンが張られ、床に客同士、間隔を空けるよう促すシールが貼られた専門店もあった。

飲食できるフードコートは、テーブルやいすの数が少なくなり、客同士が対面して座らないよう呼び掛けるシールがテーブルに貼られた。ベビカーの貸し出しも当面の間、休止される。

◆当面の間の営業時間は、専門店などが午前10時から午後7時まで、レストラン街は午前11時から午後8時まで。

《くずかごの唄》61  精神安定剤としてコロナのお守り

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【コラム・奥井登美子】東京にいる娘が、ガラス製の赤い派手なペンダントをくれた。よく見ると、花のような、きれいな円が散らばっている。

「ウイルス模様のペンダント、装飾品を扱っている友達につくってもらったの」

「いわれてみるとウイルス模様だわ、5種類のウイルスがいる」

「ママは家にじっとしていない。飛び回っていて、コロナが心配なので、友達に頼んでコロナのお守りをつくってもらったの」

「これ、お守りなの?」

「そうよ。これを首にかけて,コロナの防災と真剣に向き合って下さい」

彼女は医療機関でアルバイトをしている。PCRコロナ検査のボランティアをやりたいといっていたくらいだから、ウイルスというものがどういうものかよく知っているはずである。「お守り」という江戸時代のようなクラシック発想がおかしくて、私は大笑いしてしまった。

お祭りにも「疫病退散」の願いが

1858年に「コレラ」が流行し、江戸だけで10万人の死者。1862年には「はしか」が流行し、はしか除けの「はしか絵」がよく売れたという。

疫病の歴史を考えると、疫病がはやるたびに、人々はどう対処していいかわからずに、神様に祈祷し、病気よけの「お札」「お守り」「まじない」などをしたりして、心の安定を図ってきた。地域のお祭りの中にも、最初は「疫病退散」を願ったものが多い。

コロナウイルス報道も、家にいてテレビばかり見ていると、心が滅入ってしまう。医者にかかるほどの不安ではないが、何かが怖い。目に見えないウイルスにおびえている。

こういうときは、気の合った友達と会食でもして、「あ、は、は」「お、ほ、ほ」、くだらないおしゃべりをすると、いつのまにか発散してしまうが、その会食もおしゃべりも禁止となると、どう発散したらいいのかわからない。精神安定剤としての「お守り」が現代にあってもいいかと思う。(薬剤師)

自粛緩和、街歩きはいかが 土浦の中城通りでご朱印頒布

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不動院と琴平神社入り口=土浦市中央、中条通り

【伊藤 悦子】江戸時代の建物が残る土浦市中央1丁目、中城通りにある不動院と琴平神社で、ご朱印の頒布を始めた。ご朱印を書いているのは、境内にある元社務所の「井戸端庵」で昨年4月から習字教室を開いている書道家の大関まことさん(42)だ。

中城通りでまちおこしに取り組む「土浦界隈まちづくり研究会」代表の伊藤春樹さん(67)は「新型コロナのことで疲れ、神仏にお参りしたくなる方も多いのでは。外出自粛が一部解除されたこともあり、気分転換や運動不足解消に参拝に来てほしい。城下町土浦の雰囲気をこの機会に味わって」と語る。

中城通りは旧水戸街道の宿場町で、土浦の商業の中心として栄えた。不動院と琴平神社は通りの一角に隣接して建立され、境内は江戸時代後期の地理学者、沼尻墨僊(ぼくせん)が寺子屋を開いた場所として知られる。通りは現在、土浦の歴史散策の観光拠点となっている。

ご朱印を書く大関さん

大関さんが井戸端庵で習字教室の指導中、参拝者から「ご朱印はある?」「どこに行ったらもらえるのか」と頻繁に聞かれるようになったことがきっかけ。毎回「わからない」と答えるのが忍びなく、「私になにかできることがあれば」と思い、同地区でまちおこしに取り組む伊藤さんに相談した。

ご朱印ブームということもあり、伊藤さんが不動院と琴平神社に話したところ、直接、対応するのは困難だが「委託という形なら」とOKが出た。そこで大関さんが2月27日からご朱印を担当することになった。

伊藤さんによると、不動院を管理する龍泉寺住職、琴平神社神主からは「ご朱印だけをもらって帰るというのではなく、不動院と琴平神社をしっかり参拝してから受け取ってほしい」と言付かっているという。不動院と琴平神社の由来を知ってもらうため、パンフレットも一緒に渡している。

大関さんが書道教室での指導中は対応できないので、あらかじめご朱印を書いておく「書き置き」という形で用意している。3種類の中から好きなものを選ぶことができる。頒布は、月曜と水曜の午前11時から午後1時までだが、毎月28日の不動院の縁日でも頒布している。

大関さんは「書道の文字を見ると気持ちが落ち着く。不動院と琴平神社に参拝し、ご朱印を記念にしていただければ」と話す。

同市では、コミュニティバス「キララちゃんバス」を運行するNPO法人「まちづくり活性化土浦」(同市中央)が2018年12月から市内の寺院を参拝してご朱印をもらえる「寺院巡り」を開催し評判を集めている。同NPOは、寺院巡りコースに不動院と琴平神社は入っていなかったが、今後検討したいという。

◆ご朱印は1枚300円。問い合わせは大関さん(電話029-899-8568)まで。

《ご飯は世界を救う》23 飯村牛の「いいむらや」のお弁当

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【コラム・川浪せつ子】茨城県は緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ自粛生活は続いています。そんな中、テイクアウトで、心も胃袋も、そしてお店の方も、ちょっと一息。

こちらの「いいむらや」さん(つくば市二の宮)は、平常時もテイクアウトをやっているお店です。私が行くときは、ほぼ店内で。お弁当(牛丼、ステーキ、ハンバーグなど)から、コロッケ、メンチといろいろ。それがすべて、「飯村牛」が入っているので、めっちゃ美味しいのです! 店内で食すときは、サラダバー、コーヒーが無料でいただけるのもうれしいです。

飯村牛はつくば山麓の幻の牛と言われて、850頭しか飼育されていないそうです。洞峰公園の横のマンションの1階にあるのですが、少し奥まっている場所で、あまり目立たず、気が付きにくいです。でも、口コミで、美味しさが広まっているみたい。私は、たまたまお店の前を通ったとき、ステキなミドルエイジの女性が入っていたので、勇気を出して行ってみました。大正解でした!

今回は、自粛生活ということで、テイクアウトしたものを描いてみました。そろそろ外食も?なんて思いますが…、まだもう少し、テイクアウトで楽しもうかなぁ。

友達と「絵でメール」交換日記

こんな自粛事態になり、いろいろな変化。「こんなになってる~」を、わたしの生活目線で。

▽新聞折り込み激減。スーパーの折り込みがなくなって、お店のレジ終わりに、目玉商品の広告をもらいました。

▽テレビ番組、再放送ばっかり。でも過去の番組が、けっこう面白かったり。番組はコロナばかり。今までCMのときはチャンネル変えていたのに、なぜかホッとして見てしまう。CMって案外面白いのね。

▽月1ぐらい、コレステロールの薬をもらいにかかりつけ医院に行っています。予約を取るのに電話したら、「少々お持ちください。電話診察、医師とつなげますので」。電話でいつものお薬の処方箋を出していただき、いつもの薬局に取りに行きました。

▽ウツウツとした気持ちが少しでも晴れるようにと、たまに散歩はしますが、今ほど庭のありがたさを感じたことはありません。植物の成長とお日様に癒されています。

▽絵のお友達と毎日「絵でメール」。交換日記みたいな。これが思いのほか楽しい。

巣ごもり生活。シンドイことも多々ありますが、その中でも小さな楽しみ、小さな幸せを見つけて、収束を願いながら暮らしています。(イラストレーター)

21日から分散登校 つくば市小中学校 1学級20人程度ずつ

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つくば市内の義務教育学校

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大による国の緊急事態宣言が解除され、県の外出自粛要請が1段階緩和されたのを受けて、つくば市内の公立小中学校は21日から、1クラス20人程度ずつ分散登校を開始する。

5月21~22日の間に1回、25~29日の間に週2回程度、6月からは週3~5日の分散登校を実施する。ただし午前中、3時間程度の登校とし給食は提供しない。正式な授業は実施せず、これまで出していた課題の説明などをするという。休校中の登校日という扱いで、欠席しても欠席扱いとしない。

一方県は、感染拡大が抑えられている今の状況が続けば、早くて6月8日から県立高校を再開するとしている。小中学校の通常登校をいつから開始するかは、県の判断をみて市として改めて決めるという。

休み時間ごとに手洗い

登校が始まっても、感染防止対策をとることが求められることから、市は15日に分散登校ガイドラインを策定した。ガイドラインに基づいて学校生活を行う。

子供たちは毎朝、自宅で検温し健康観察表に記入する。常にマスクを着用する。登校時は昇降口で手指の消毒をする。登下校時に昇降口に密集しないよう1メートル以上間隔を空ける、などだ。

教室での授業は1クラス20人程度で行い、机やいすの配置は1メートル以上間隔を空ける。換気のため常に対角線上の窓を開けておく。近距離で組み合ったり、接触する場面が多い運動や、狭い空間での歌唱指導、調理実習などは当面、見合わせる。

休み時間は、洗い場が密集しないようにして毎回必ず手洗いを行う。子供たち同士が近距離で会話したり、教室で大声を出すことも控えてもらう。

施設については、階段の手すりやドアノブなどは1日3回程度殺菌消毒するほか、トイレは通常の清掃のほか、電気のスイッチ、蛇口、ドアノブ、床を1日3回殺菌消毒し記録するなどとしている。

休校が解除となり学校再開となる場合、県は、通常授業を実施し、給食も提供するほか、部活動も再開するとし、22日に学校再開の考え方を示すとしている。通常登校に戻った場合の小中学校の感染防止対策について市は、改めて検討するとしている。

《法律かけこみ寺》18  特別法のある金曜日

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土浦市神龍寺(本文とは関係ありません)

【コラム・浦本弘海】今回は時事のニュースにからめ、ちょっとマジメな法律マメ知識を。法律相互間に矛盾するルールが定められている場合、どちらを適用すればよいのでしょうか?

この点に関し、今年5月15日に、検察OBが検察庁法改正案に反対する意見書を法務省に提出したというニュースがありました。

ことの発端は(法律的には)、

1.国家公務員法は、一定の要件のもとに国家公務員の定年延長を認めている(国家公務員法81条の3)。

2.検察庁法は、検事総長の定年を65歳、その他の検察官の定年を63歳と定めており(検察庁法22条)、定年延長の規定はない。

検察官の定年延長は、現行法上許されるかという問題です。

この問題について、制定法相互間の優劣に関する3つの原則

1.上位の法は下位の法を破る

2.特別法は一般法を破る

3.後法は前法を破る

―があります。

法律そのものに書かれているわけではありませんが、この原則を否定する法律家はいないと思います。以下、3つの原則について説明します。

特別法は一般法を破る

1.上位の法は下位の法を破る

法にはいわば「格」があって、格が上の法が優先的に適用されます。格付け的には、憲法>法律>政令>省令です。

具体例を挙げますと、

日本国憲法(昭和21年憲法)>児童福祉法(昭和22年法律第164号)>児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)>児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)です。したがって、たとえば憲法に反する児童福祉法の規定は適用されません。

2.特別法は一般法を破る

一般法とは、ある分野について適用対象がより広い法、特別法とはある分野について適用対象がより狭い法です。特別法の方がその分野に特化しているので、優先的に適用されます。

たとえば、

商法(明治32年法律第48号)>民法(明治29年法律第89号)です。民法は私人の関係について広く定めておりますが、商法は私人の関係でも特に商売に関して定めています。

検察OBが提出した意見書に「『特別法は一般法に優先する』との法理に従い、検察庁法に規定がないものについては通則としての国家公務員法が適用されるが、検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される」とあるのはこの点の指摘です。

意見書は、検察官の定年延長は現行法上許されないという立場です(そして、検察庁法の改正について「検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動き」として反対しています)。

3.後法は前法を破る

前にできた法と後にできた法では、後にできた法が優先されます。現状に即しているのは後にできた法なので、当然といえば当然かもしれません。

ちなみに後法ができると、前法は廃止されるか、削除、改正されますので、この原則については出番がほぼありません…。(弁護士)

筑波山観光再開 ホテルは休業続く

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1カ月ぶりに運転を再開した筑波山ケーブルカー=18日午後1時50分ごろ

【鈴木宏子】国の緊急事態宣言解除と県の休業要請緩和を受けて筑波山観光が18日再開した。一方、筑波山中腹の土産品店や飲食店約40店のうち、18日に再開した店は半数ほどにとどまり、観光ホテルや旅館は休業が続いている。

4月22日から閉鎖されていた中腹の市営駐車場4カ所(計470台)が18日、ほぼ1カ月ぶりに一斉に再開し、筑波山観光案内所も開館した。筑波山ケーブルカーとロープウェーも運行を再開し、筑波山つつじケ丘駐車場も利用ができるようになった。

一方、18日は雨模様の天候も重なり、筑波山神社周辺を歩く人の姿も、駐車場を利用する車もまばらだった。

再開したものの利用する車が少なかった筑波山市営駐車場=18日午後1時ごろ

ケーブルカーやロープウェーは、密集を避けるため乗車定員を6割減らし、車内の手すりなどを頻繁に消毒したり、走行中も窓を開けたままにして運行を再開した。運行する筑波観光鉄道によると、18日の利用客は例年の5月の平日と比べても少ないという。

登山道も再開された。つくば市の50代女性は「(緊急事態宣言の)前は、月2回くらい、筑波山や宝篋山、土浦の小町山に登っていたので、山登りは1カ月ぶり。今日はすれ違う登山客は少なかった。これから東京の緊急事態宣言が解除されて登山道が密になるのが心配」などと話していた。

筑波山神社前で、土産品店と飲食店を夫婦で経営する石浜豊子さんは「商売上はお客さんに来てほしいが、ゴールデンウイーク中、首都圏ナンバーの車を見掛けたので、来たら来たで心配もある」と複雑な心境を話した。

一方、首都圏からの利用が多いホテルや旅館は5月いっぱい休業を続ける。つくばグランドホテルを経営する東郷治久代表は6月以降について「6月、7月は(現時点で)予約がほとんどなく、あっても数件程度で、見通しが立たない状況」だという。ホテル青木屋は「東京の緊急事態宣言が解除されないとお客さんがこちらに来ることはない。先が見えない状況」だと語る。

半数ほどの土産品店がまだ休業したままで人影がまばらな筑波山神社周辺=18日午後1時過ぎ

【土浦建築探訪】㊦ 土浦小学校 街なかの景観にアクセント

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土浦小学校

【鴨志田隆之】土浦市は藩政時代から営まれてきた城下町や、商都としての趣を、近隣の地方都市ほどには残せなかった。それでも中城通りの蔵を活かした街並みには、明治草創のそば屋や天ぷら屋が軒を連ねる。土浦城址である亀城公園の存在も、土浦の歴史をとどめておく重要な要素となっている。

街には人のにぎわいや人のなりわいがある。建築はそれらの後ろ盾となって支えるもの。このような考え方から市内に造られた建物がある。

2014年に完成した土浦小学校(同市大手町)だ。校舎設計は水戸市に所在する横須賀満夫建築設計事務所が手がけた。横須賀満夫氏の建築に対する理念が、街と人、にぎわいとなりわいを創造する、あるいは維持継承するというもの。土浦小ではどのようにして設計コンセプトを描いたのか。

横須賀氏は「学校というのは子どもたちの集うにぎわいの場であり、同時に子どもたちを守る堅牢なたたずまいも求められる」とする。「土浦小学校周辺ではちょうど(道路の歴史景観を整備する)歴史の小径整備事業という街づくりも進められていた時期で、亀城公園や旧土浦城址の大手門跡といったキーワードがちりばめられていた」と振り返る。「街の歴史を受け継ぐ建物として、勾配屋根の連なりや昔ながらの生け垣、塀、門構えを配置して動線を誘導し、校舎自体は鉄筋コンクリートだけれど、木の風合いも取り入れている」と話す。

教室の窓の外に日よけや目隠しとして設置したルーバー(細長い板を隙間をあけて平行に組んだもの)には特に力を入れたという。同小近隣の建築にも縦格子をモチーフとしたルーバーが見られた。歴史の蓄積を重視しながらも、極端に土着的なデザインは避けたいと考え、同市の街なかの景観にアクセントを加えた。同校舎は、第28回茨城建築文化賞県知事賞、2015年まちづくりグリーンリボン賞、日本建築家協会優秀建築選2015といった賞を受けている。

横須賀氏は建築士という自身のなりわいを経て、あるとき「日本の街並みは単一の非連続的な建築が過密し、街の景観も地域性もだめにしていた。それは建築家の責任でもある」と気づいたという。

学校建築は、ある意味閉鎖された敷地の中に収められるため機能性重視で論じることができるが、土浦小学校は能動的に街との接点を見出した建築だ。そして「学び舎」というなりわいが、後世、大人になった卒業生たちに語り継がれ、その子どもたちが通い続ける。(終わり)

◆土浦小学校 土浦市大手町13-32。2014年2月リニューアル。敷地面積1万5840平方メートル。校舎は鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積8160平方メートル。

《吾妻カガミ》82 コロナ禍の仕事と生活

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今は閉鎖中の大学キャンパス(2018年秋撮影)

【コラム・坂本栄】新型コロナ禍で仕事も生活もスタイルの修正を迫られています。本サイトの運営については、コラム「わたしたちのテレワーク」(3月2日掲載)で、元々ネット上の作業なので影響はあまり受けない、週1の編集会議はできるだけ従来の形を維持したい―と述べましたが、この会議も4月半ばから「電話とメール」に切り替えました。でも、茨城も緊急事態が解除されましたので、そろそろ室に戻れそうです。

オンライン授業での誤算

本サイトの運営のほかに、私は県北の大学で講義も担当しています。当然、教室を使ったリアルな授業は見送られ、4月の始業から夏場までオンラインに移行しました。その際、事務方から①同時双方向型②オンデマンド型③課題研究型―のどれかを選ぶよう連絡がありました。

同時双方向型はパソコン画面を分割してやり取りする方式(テレビ番組が多用)、オンデマンド型は録画した講義を学生に視聴させる方式(学習塾などが採用)です。これらが望ましいことは言うまでもありません。しかし私は、両方ともパソコン故障や回線中断のリスクがあるとの理由で(本当は扱える自信がなくて)、課題研究型を選択しました。

課題型は大学ホームページ(HP)内の「リポート受付機能」を使う方式ですから、やり取り(先生の課題提示→学生の回答)はテキストだけになります。「〇〇について△△字以内に記せ」と課題を提示、HP内の指定箇所にリポートを添付させるやり方です。声がかれる講義はパスできますが、リポート(2クラス193人分!)を読むのは大仕事です。結果、「行きはよいよい帰りは怖い」になりました。

老犬に嫌われた散歩倍増

また、地域FMのニュース解説も担当しています。放送は、MC(司会者)との接触を避ける必要があると、スタジオから電話出演に切り替わりました。元々音声だけの世界ですから、進行上の問題はありません。残念なのは、音楽がかかっている間(マイクがオフの間)、若いMCと雑談できなくなったことです。こちらもそろそろスタジオ入りできる?

生活のスタイルも変わりました。大きいのは、スポーツクラブが閉鎖され、週2~3回通っていたジムで運動できなくなったことです。そこで、有酸素運動→筋肉トレーニング→ストレッチの穴を埋めるために、散歩を倍にして運動量を確保しています。以前は、毎朝柴犬を連れて40~50分歩いていましたが、夕方の散歩も加えました。これにはついて行けないと思ったのか、老犬はときどき抗(あらが)います。

家でも筋トレをと、アマゾンから5キロのダンベルを2本取り寄せました。使い方はジムと同じにして、回数は倍にしています。ダンベルを受け取るとき、配達の方から「これ何ですか? こんな重い荷物は初めてです」と怪しまれました。ジムが使えるようになりましたら、どなたかにお譲りします。(経済ジャーナリスト、大学経営学部講師)

「きれいになって待ってるよ」 18日、1カ月ぶり再開 つくばわんわんランド

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スタッフにシャンプーをしてもらい来園者を迎える準備をする犬たち=17日

【鈴木宏子】テーマパークなどに対する県の休業要請が18日から解除されるのを前に、筑波山の麓にある日本最大級の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田、東郷治久代表)では17日、翌日の再開に向けて、スタッフが犬をシャンプーするなど、来園者を迎える準備に追われた。

新型コロナウイルスの感染拡大による休業要請を受けて4月22日から休業しており、ほぼ1か月ぶりの再開となる。例年ならゴールデンウイーク期間中、約2万人の来園者があるが、約300匹の犬たちは今年、園内で静かに過ごした。

寺崎修司支配人によると、休業期間中は36人のスタッフのうち3分の1の約10人ずつが交代で出勤し、犬に食事を与えたり、犬舎の掃除をしたり、日中は屋外施設に移動させて遊ばせたりした。

犬は普段なら、日中は来園者と触れ合って体をなでてもらったりするが、今年は約1カ月間、かまってくれる人が少なかったため、人にかまってほしがっている様子だという。

休業中スタッフは、犬たちの動画や写真をホームぺージやSNSなどで積極的に発信してきた。開園を心待ちにしているリピーターからは、励ましの電話や、再開を望む声が数多く寄せられたという。

18日の再開に向けて、スタッフは16日から全員が出勤し、シャンプーをして犬をきれいにしたり、感染防止対策のため売店やチケット売り場にビニールシートを張ったり、テーブルや座席の間隔を広げたり、園内200カ所に手洗い消毒スプレーを設置するなどの作業に追われた。

ベンチとベンチの間隔を広げた、犬と触れ合うことができる「わんわんパーク」コーナー

感染防止対策としてはほかに、来園者に入園時のマスク着用や体温測定のほか、手洗いをひんぱんにするよう案内する。混雑した場合は入園を制限する場合もあるという。唯一の屋内施設である「ねこハウス」は引き続き入館できないが、屋外から猫たちの様子を見ることはできる。

園内200カ所に設置した消毒スプレーや手洗い場について説明する寺崎修司支配人

同園の酒井真希人さんは「犬たちもお客様と触れ合うのを楽しみにしている。動物と触れ合うと幸せを感じるホルモンが分泌されストレスを軽減するといわれているので、動物たちに癒されていただければ」としている。

【土浦建築探訪】㊥ 市役所旧庁舎 同じ街に二つ残す

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市役所開庁から1年半後、小松丘陵から見た旧庁舎

【鴨志田隆之】老朽化と狭あい化によって、土浦市役所旧本庁舎(同市下高津)の移転新築をどうするかという問題は、1990年代に候補地や財源をめぐって白熱の議論が繰り返された。

その後、バブル経済崩壊や2008年のリーマンショックにより景気低迷の時代を迎える。11年の東日本大震災の地震被害も重なり、旧庁舎は建築物としての利用が難しくなっていた。

13年2月、土浦駅前の再開発ビル「ウララ」から旧イトーヨーカドー土浦店が撤退。現在の市役所が移転してから久しい。

現在、旧庁舎は立ち入り禁止になっているが、映画やテレビのロケ地として活用されている。18年のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」の劇中に東美濃の地方都市にあるバスセンターとして建物外観が登場し、映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズ」では一部館内も映し出された。

自然の地形をシンボルに

旧庁舎とは、どんな建築だったのか。この建物は市民会館より5年早い1963年11月、市民会館と同じ佐藤武夫の設計によって完成した。建設地となった高台、藤塚山は豪族の塚の跡といわれ、庁舎以前に旧海軍の関係施設として使われていた場所だ。

佐藤と、この建物の図面を直接引いた弟子の宮本忠長(1927~2016年)は松や杉に囲まれ、市域(当時)のどこからでも、霞ケ浦の沖からさえ遠望できる立地環境を重視したと、当時の建築雑誌に宮本自身が手記を寄せている。

そこから考えられた庁舎は、計上された予算から鉄筋コンクリート造で4階から6階と考えられた。最大で海抜40メートルに達する建物頭頂部の案は、しかし回避され、藤塚山をできる限り維持し、むしろ自然の地形こそをシンボルへと描き直した。そうして誕生したのが、旧庁舎だった。

閉庁直後の旧庁舎

土浦市は現在、将来の公共施設運営規模を想定し、保有する公共施設の総延べ床面積のうち30%を縮減するスタンスだ。統廃合がそれにあたるが、旧庁舎自体は、仮に解体してもこの縮減率に貢献できない。ならば活用の道があるかというと、耐震基準を満たさず老朽化しておりそのままにもできない。

17年度に策定された市立地適正計画には、同敷地は転用または売却という基本方針が打ち出されているが、実際には手つかずだ。

ここで視点を変えて眺めてみると、1人の建築家が同じ街に心血を注いだ建築を二つ残しているというアングルが見えてくる。市民会館と旧庁舎を後世に残る名建築と呼ぶかどうかは、そこに住まう人々に委ねられる。

佐藤武夫は奇しくも、旧庁舎完成の年に、日光東照宮の火災で焼失した「鳴竜」を完全復元している。(続く)

◆土浦市役所旧庁舎=同市下高津1-2-35。1963年11月開所。敷地面積1万7820平方メートル。建物は鉄筋コンクリート造、地上3階地下2階建て、延べ床面積6880平方メートル。市役所が15年9月24日に土浦駅前に移転したのに伴い閉庁した。

《沃野一望》15 藤田小四郎の5 天狗党豪雪の峠越え

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藤田小四郎像=筑波山

【ノベル・広田文世】

灯火(ともしび)のもとに夜な夜な来たれ鬼

我(わが)ひめ歌の限りきかせむ  とて。

幕末の元治元年(1864)、藤田小四郎たち水戸藩改革派諸派連合の天狗党は、美濃国(現在の岐阜県)濃尾平野の北端、揖斐(いび)宿へ辿りついた。濃尾平野を横断すれば関ケ原。さらに進めば琵琶湖。湖岸を回りこめば、頼りとする一橋慶喜が政務する京へ、あとわずか。

天狗党は、これまでの行軍で遵守してきた規律にしたがい、行く手の通過予定領大垣藩へ使者をたてた。

「争いを起こす所存はありません。穏便に通してほしい」

対する大垣藩からの返答は、天狗党を震撼させた。

「水戸藩天狗党追討のために出陣された一橋慶喜様より、先陣を担うように命じられています。平野へ出陣されるとあれば、一戦を交えねばなりません」

京で天狗党の行動を監視していた慶喜は、「天狗接近」の報を得るや朝廷に、「天狗勢追討」の願書を自ら提出し、出陣の指揮をとっていた。天狗党にとっては驚愕至極。何という天変。頼りとしてきた慶喜様が追討の指揮とは…。これからいったいどう動けば…。どこを目指せば…。

混迷の軍議が繰り返された。たったひとつ確かな道理は、慶喜様の軍勢と戦端をひらくわけにはいかないという立脚点。とすれば、進むべき行く手は。

難行軍823名 慶喜に降伏

軍議を繰り返す中で天狗党は、尊攘を信奉し天狗党を側面から支援する地元医師棚橋衡平(たなはしこうへい)の勧めにしたがい、揖斐から北方の山岳地帯へ向かい、蠅帽子(はいぼうし)峠を越えて越前国(現在の福井県)への迂回路を選択した。慶喜と戦わずに京へ迫る。

季節は、厳冬へ向かう師走。名だたる豪雪地帯。地元民さえ通わない氷雪の峠越えへ天狗党は、かすかな活路をもとめた。深い峡谷沿いの崖をぬう狭い杣道が、鉛色に凍りついている。天狗党の隊員たちは、黙々と進んだ。

峠越えの途中で何人かの隊員が、前途に見切りをつけ脱走していった。また、凍った崖を踏み外し、谷底へ転落し絶命した隊員もいた。それでも天狗勢はついに、執念の鬼と化し亡霊のような雪まみれ姿で、蠅帽子峠を越えた。下った先は、越前大野藩領。

天狗来襲を聞きつけた大野藩は、行く先々の集落を焼き落とし、天狗党の行軍宿泊を側面から妨害した。それでも天狗党は、間道を抜け新保(しんぽ)宿へ入る。新保宿で天狗党は、間道前方の葉原(はばら)宿に、加賀藩軍が布陣していることを知る。

加賀藩兵は、琵琶湖岸へ出陣していた慶喜の命で動いていた。心情的に天狗党へ肩入れする加賀藩士永原甚七郎は、戦闘を避けるべく慶喜との仲介の労をとり、天狗党を説得する。

そしてついに藤田小四郎たち天狗党の一党は、慶喜に降伏状を提出し、加賀藩勢に捕らわれの身となる。ここまで難行軍をともにしてきた降伏者823名。筑波山挙兵以来9カ月目のこと。(作家)

【土浦建築探訪】㊤ 市民会館24日開館 建築音響工学の先駆者設計

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5月24日リニューアルオープンする土浦市民会館=土浦市東真鍋町

【鴨志田隆之】老朽化していた土浦市民会館(同市東真鍋町)の大規模改修工事が完了し24日オープンとなる。1182席あった大ホールはいすの幅を広げて客席を1019席に若干減らし、来場者が移動しやすいよう通路を設けるなど、耐震補強と共に安全で快適に利用できる施設へとリニューアルされた。

市民会館は1969年2月に開館した。近代の市保有公共施設として古株に属する。戦後、東京都内にも本格的なコンサートホールがなかった時代に、市民要望を元に市長公約として建設が実現していった。

当時の土地改良事業の一環として市民会館の建設地が定められ、華美に流れず、質索であっても堅実なものをという市民の声が反映された。大ホールは音響効果のよいクルミ材の化粧合板に不燃処理を施し、音響効果の優れた性能と木材のやわらかい感触を両立させるなどの工夫が凝らされた。

リニューアル後もクルミ材の壁はそのまま利用され、当時のままの内装や外装をできるだけ生かした改修となった。

近代日本建築のけん引役が設計

このような建築物を実現させたのは、近代日本建築のけん引者の一人である佐藤武夫(1899~1972年)。在籍した早稲田大学助教授時代に日光東照宮の本地堂で「鳴竜」現象の発生プロセスを科学的に解明し、建築音響工学を極めた建築家だ。

正確には、佐藤氏が主宰する佐藤武夫設計事務所(現・佐藤総合計画)において編成されたチームの設計だが、単純な劇場ではなく、想定されるすべての催事と、多数が集会でき活用する多目的ホールとして、それぞれの施設機能を分割あるいは総合一括利用できる建物が考えられた。

佐藤が手がけた建築は、早稲田大の大隈講堂に始まり、晩年の岩手県民会館まで文化会館や庁舎など全国各地で活躍したが、1960年代までの著名な建築が改築などで現存しなくなってきた。

機能や素材の更新を行いつつも、土浦市民会館は建設当時の市民の思いを形として残すに至ったことが、市民の共有財産として恵まれた存在だ。そして実は、土浦市にはこの会館と兄弟関係にある、佐藤の設計で生まれた公共建築がもうひとつ残されている。それは旧庁舎(2代目庁舎=下高津)だ。(続く)

◆土浦市民会館(クラフトシビックホール土浦 土浦市真鍋町2-6。1969年2月開館。リニューアルオープンは2020年5月24日。敷地面積1万6940平方メートル。建物は鉄筋コンクリート造り3階建て、延床面積5180平方メートル。

《続・気軽にSOS》61 プラスのストローク

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【コラム・浅井和幸】先日、懐かしいクライエントAさんから電話がありました。緊急事態宣言が出されている状況の中、今は大丈夫だけれど、この先、どうなるか分からない不安が大きくなった。仕事も生活も今は安定しているけれど、今後、いつ仕事がなくなるかもしれないし、誰ともつながりが無くなってしまった場合を考えると、どうしてよいか分からないと話してくれました。

ちょっとした世間話をして、私が現在している居住支援の話もしました。最悪、手持ち金も、つながりも、仕事もなくなったとしても、私の携帯番号さえ知っていれば何とかなりますよ。お世辞にも豪華とは言えないけれど、住む場所と腹いっぱいの食べ物を提供しますよと、私はお伝えしました。

Aさんは、相変わらず私が、つくばで、茨城で活動を続けていることだけで、とても勇気が出てありがたいと言ってくれました。もちろん私も、そのように言ってもらえて、とても嬉しくて、これからも頑張っていける、とても勇気づけられた―と感じました。

心地よい気分でいた方がよい

心理療法の理論の一つに、交流分析と呼ばれるものがあります。20世紀の中ごろに、精神科医のエリック・バーンによって提唱されました。その中に、プラスのストロークというものがあります。簡単に言うと、心地よいやり取りということです。

私たちはともすると、こんな嫌なことを言う私でも、受け入れて欲しいという願望を相手に押し付けてしまいがちです。自分の悪いところや、弱いところを受け入れてもらえることは、安心感につながります。それ自体は悪くはありませんが、それを多用してしまい、受け入れてもらえない場面で、不快感が大きくなり、相手を責めてしまいます。

また、相手の悪いところを指摘することで、その相手よりも自分が優秀であるという優越感に浸ることで、自分のコンプレックスを隠そうとします。それは、嫌な気分、嫌な関係となり、生活の中で大きく引きずって悪影響になっていきます。

いつも無理してポジティブでいることを勧めているのではありません。ネガティブな気持ちを共有することも大切ですからね。しかし、心地よい気分でいた方が何かとよいことが多いですよね。

人は、言葉や雰囲気に引きずられるものなのです。なぜかこのごろ、嫌な気分のことが多いなとか、自分は運が悪いと感じるときは、悪い言葉やコミュニケーションに偏っている可能性があります。

ネガティブな言葉と同じぐらい、ポジティブな言葉や表情を意識してみてください。空や道端の花がきれい、お茶が美味しい、笑顔であいさつ、少しだけ自分を褒めてみる、ネットで楽しい動画を見る、周りの人の素敵な言動を感じてみる―なんでもよいです。ささいなことでよいです。

そのちっぽけなことの積み重ねが好循環につながり、人生を豊かにしてくれることでしょう。(精神保健福祉士)

18日から外出自粛・休業要請を緩和 学校再開は早くて6月8日

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茨城県庁

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大対策で、茨城県が緊急事態宣言の対象から解除され、県独自の判断指標でも直近1週間の新規感染者数がゼロに抑えられていることなどを受けて、大井川和彦知事は15日、外出自粛と休業要請を18日から1段階緩和すると発表した。

18日以降も現在の状況が続けば、1週間後の25日からさらに一段階緩和するとした。

25日以降も引き続き感染が抑制された今の状態が続けば、学校再開は早くて6月8日になるとする見通しを示した。学校について22日に考え方を示すという。

飲食店の営業短縮すべて解除

18日からは、感染爆発・医療崩壊のリスクが高い現在のステージ4の対策段階から、感染が拡大しているステージ3の対策に一段階緩和する。

外出自粛は、一般の人は平日昼間に加え週末昼間の自粛要請を解除する。ただし夜間の外出自粛や東京圏への移動自粛要請はそのまま。感染すると重症化するリスクが高い高齢者は平日昼間も引き続き外出自粛を求める。

飲食店などに出していた営業時間短縮要請はすべて解除する。休業要請は、映画館、劇場、プラネタリウムなどの休業要請を解除。休業の対象はスポーツクラブ、パチンコ店、ライブハウス、スナックなど19業種に絞る。

ただし営業再開は感染防止対策をとることが前提だ。人と人の距離を2メートル以上空ける、マスクを着用する、手洗いを頻繁にすることのほか、飲食店の場合、隣の席を一つ空ける、対面せずに片側に座るなど定員の半分程度の人数にする、対面する場所にビニールカーテンを設置する、大皿での提供は避ける、テーブルに調味料や冷水ポットなどを置かない、飲み物はできるだけ使い捨ての紙コップを利用する、窓や扉は2方向以上開け1時間に2回以上換気することなどを求める。

18日から21日は一般の人に夜間の外出自粛を求めたまま、飲食店の営業短縮要請を解除することになるが、大井川知事は、感染拡大防止の準備期間という考え方だとした。

22日からさらに1段階、対策を緩和した場合は、一般の人の夜間の外出自粛要請が解除される。休業要請はスポーツクラブ、パチンコ店、ゲームセンターなどを解除し、スナック、バー、カラオケ店、ライブハウスなど10業種に限定する。

第2波に備えPCR検査強化

大井川知事は、第1波が収束に向かいつつあるこの時期に、第2波、第3波に備える必要性を強調。クラスター発生の3分の1は医療機関、高齢者施設、障害者施設だったとして、クラスター発生を抑えるため、国の検査対象者に加え、茨城では医療従事者、高齢者・障害者施設勤務者や新規の入院患者への検査体制を強化するとした。民間検査機関の活用のほか抗原検査などの活用も検討するという。

さらに高齢者や障害者施設の感染対策マニュアルを策定し、各施設で感染を持ち込まない、拡げないためシミュレーションやトレーニングを実施するよう求めた。