金曜日, 11月 7, 2025
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学校再開 ただし距離保ち、触れ合わず 土浦小訪問記

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向かい合わず、全員が前を向いて給食を食べる5年生の児童=土浦市大手町、市立土浦小

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月から休校となっていた学校が8日再開し、3カ月ぶりに児童、生徒全員が通常登校した。ただし友達同士、手をつないだり、肩を組んだり、大声でしゃべったりせず、マスクを着けて、互いに距離を保ちながらの新しい学校生活がスタートした。

県内では5月6日から新規感染者ゼロが続き、感染が抑制できているとして、8日から、外出自粛や休業要請がすべて解除となるステージ1に移行したのに併せて、学校も通常登校となった。

このうち土浦市大手町、市立土浦小学校(小島勝則校長、児童数622人)では8日、全校児童がそろって登校した。5月27日からクラスを半分に分けて分散登校が始まったが、全校児童がそろったのは3カ月ぶり。

子供たちは朝、登校するとまず、昇降口で熱がないことを報告。教室に着くと手を洗い、自宅で測ってきた体温を記入した「検温カード」を担任教員に見せた。

教室では、机と机の間隔を約1メートル空けて座り、マスクをしたまま授業を受けた。換気を良くするため、外側の窓を開けっ放しにし、廊下側の後ろのドアを取りはずした。

休み時間は、校庭で遊べる時間帯を学年ごとに割り振り、外遊びも密にならないようにした。さらに休み時間ごとに手を洗ったり、水を飲んで水分を補給。マスク着用による熱中症が心配されていることから、水分補給には特に注意しているという。

3カ月ぶりに給食が出されたが給食風景も大きく変わった。当番の児童が配膳するのを止め、担任教員が一人ひとりにおかずを配膳。グループごとに向かい合って食べていたのを止め、全員が前を向き黙々と食べた。

体育は、子供たち同士が接触する球技などは避け、当面、接触し合わない、かけっこなどをするという。

教員はさらに1日2回、教室やトイレのドアノブなどの消毒を実施。子供たちが帰宅した後は、児童全員の机といすの消毒などを毎日実施する。校庭の遊具なども毎日消毒する。

小島校長は「教員皆、今日の日を待ち望んでいた。子供たちも全員に会える日を心待ちにしていたと思う」と語り、「学校は多くの人が集うところなので密になることは避けられないが、3つの密が重ならないように、皆が協力して健康で安全に学校生活を送っていけたら」と話した。

学校再開初日の8日、子供たちの表情は休校前と変わらず明るく、加えて、コロナ禍の新しい生活様式として求められている「節度ある生活をしてくれている」と小島校長はいう。

宿泊割引支援、キャンプ場情報発信 県補正予算

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茨城県庁

【山崎実】県議会6月議会が8日から23日まで開かれる。公表された補正予算案によると、需要の冷え込みが著しい県内観光の回復、支援策として、旅館やホテルへの宿泊促進事業、家族連れにも人気の高いキャンプ場の情報発信などに乗り出す。

宿泊促進事業は、県内の旅館やホテルなどの事業者を対象に、旅行宿泊料金の割り引びを行った相当額分を支援する。

支援額は、宿泊料金(税込み)が1万円以上の場合は1人1泊当たり5000円、6000円以上1万円未満の場合は同3000円となる。

県は約2万人の利用を想定し、9900万円の予算を計上する。議会の承認が得られ次第、スタートさせる。

一方、キャンプ場については、県版キャンプ場のポータルサイトを立ち上げる。国内最大級のキャンプ場予約サイトとも連携し情報発信を強化する。民間を含め県内に100カ所以上あるキャンプ場への誘客対策を進める。

感染防止へ医療支援

6月議会に提案する補正予算総額は50億800万円。新型コロナウイルスにかかわる感染拡大防止と医療体制の整備では、地域外来・検査センターの拡大のほか、PCR検査機購入補助、医療機関の受け入れ病床確保に対する補助、防護服など医療用資機材の確保、軽症者・無症状者を受け入れる宿泊療養施設の借り上げなどを含め、30億8400万円を計上する。

県立高のオンライン環境整備

ほかに教育関係では、県立高校のオンライン学習用いるタブレット端末を整備、貸与するなど、通信環境、遠隔学習環境の整備事業などが盛り込まれている。

《邑から日本を見る》65 いいね、「黒川杯」検察庁前麻雀大会

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【コラム・先﨑千尋】先月30日の夕方のテレビで、表題のニュースを見た。前東京高検検事長の黒川弘務氏が新聞記者と賭け麻雀をしていたことが「週刊文春」で報道され辞任したが、訓告処分を受けただけで辞職したことがことの発端。

ことのいきさつはこれまでに伝えられているので、簡単に。安倍首相が「余人をもって代えがたい」と惚れ込み、1月に法律をねじ曲げて同氏の定年延長を決めた。さらに、そのことを後付けで正当化しようとする検察庁法改正案が衆議院を通過する寸前に問題が発覚し、黒川氏は辞めざるを得なくなったということだ。

問題はそれにとどまらず、長い間新聞記者と賭け麻雀をしてきたのに、賭博罪にあたらないと懲戒処分を受けず、訓告にとどまったということだ。閣議ではこれらについてどのような議論があったのだろうか。

定年延長を認めていない検察庁法を、国家公務員法という別の法律を使って、時の政権の意向次第で変えてしまう。明らかに違法行為である。さらに、賭け麻雀は刑法の賭博罪にあたる。しかも黒川氏の場合は常習犯のようだ。過去に、自衛隊員が同じ行為をして懲戒処分にあっている。

人事院の懲戒処分指針では、「賭博をした職員は減給または戒告、常習的に賭博をした職員は停職」となっている。黒川氏は次期検事総長待ちで定年延長になった。それだけ高いポストにいたわけだ。潔白でいるべき人が、不要不急の外出を自粛すべきという緊急事態宣言下に、新聞記者の自宅マンションで賭け麻雀をしていた。

権力とメディアの「持ちつ持たれつ」の関係

法律はおろか憲法まで勝手に解釈を変えてしまう安倍首相だから、人事院の指針などくそ食らえなのだろうが、彼らに賭博罪を適用するかどうかは検察と裁判所が決めることだ。すでに、市民グループや弁護士から告発状が東京地検に出されているが、内閣は「テンピン」という黒川氏らのレートが賭博罪にはあたらないと判断している。

検察が起訴すれば、裁判所が改めて賭博罪の成否や量刑を判断するが、黒川氏が起訴されない、または無罪とされれば、刑法はザル法になる。賭け麻雀が合法化されるということだ。

第1回「黒川杯」の主催者らは、警察官によって検察庁前から日比谷公園に追い払われたが、そのねらいは、「黒川氏や記者らに対してきちんと捜査を行い、彼らのレートだと賭博罪で罪を問われるのか否かをはっきりさせろ」ということだと思われる。

今回のことでもう一つ問題にしたいのは、検察幹部とメディアのズブズブな関係があからさまにされたということだ。しかも、安倍政権の評価で対極にあると考えられていた朝日新聞と産経新聞の記者が仲間だということに驚いている。「朝日よ、お前もか」だ。

新聞などは書かない(書けないだろう)が、この「賭け麻雀事件」の根源は、日本特有の記者クラブ制度にあると考えている。記者クラブ制度は1890年に帝国議会が開かれた時からあるようだが、会員以外は記者会見場から締め出す排他性が指摘され、記者会見も慣れあいで進められる。同時に、この制度によって権力とメディアの緊張関係が失われ、「持ちつ持たれつ」の関係になる。この制度がなくならない限り、同じようなことが繰り返される。(元瓜連町長)

【赤青白のサギの群れ】㊤ 繁殖の地、土浦・桜川にアカガシラ1羽きり

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やぶから飛び立つアカガシラサギ、右上にアマサギ、右下にゴイサギが見える=5月末、土浦・桜川で荒井知行さん撮影

【相澤冬樹】新緑から深緑に向かう今の季節は、鳥たちの動きが活発になる。サギ類が大規模なコロニー(営巣地)を作ることで知られる土浦・桜川の大曲付近には、1000羽を超す各種のサギが集まって巣を作り、子育てを始めた。これを待ちかねたように「鷺山(さぎやま)」と呼ばれる営巣地のわきの学園大橋には、側道に数人の愛鳥写真家が陣取って、超望遠レンズの放列を敷く。カメラがこぞって狙うのはアカガシラサギという希少種だ。

河川敷のコロニーには5種のサギが集まってくる。一般に白サギとくくられるが体躯の大きい順にダイサギ、チュウサギ、コサギの別があり、冬場は白一色だが夏羽になると頭から胸、背中にかけて橙色(亜麻色)となるアマサギもいる。さらに暗灰色の羽毛を背負うゴイサギが混じっている。

ダイサギ、コサギは留鳥だが、チュウサギとアマサギは渡り鳥で、暖かくなるとフィリピンなどの越冬地から日本に渡り、「お彼岸からお彼岸まで」の間、営巣地を作って子育てをする。今の時期だと求愛活動や抱卵の姿も見られ、にぎやかになっている。ふ化から巣立ちまで、ひと夏を過ごす。

研究者によれば、県内には15~20カ所のコロニーがあり、土浦・桜川の鷺山は最大級の規模といえるそうだ。子供が生まれると個体数は2000羽から3000羽になるという。

ここに集まってくる愛鳥写真家は毎日5、6人。ほぼ同じ顔触れ。足繁く通う土浦市の荒井知行さん(76)によると「アングルが絶好。鳥は樹上にいるものだけど、ここなら見下ろすように撮れるのがいい」と学園大橋の側道に陣取る。

カメラの放列を敷く愛鳥写真家とサギの群れ=土浦・学園大橋

荒井さんが狙うのは、6種めのアカガシラサギ。全長50センチ弱の小型のサギ。特徴的な頭から首にかけての赤褐色の色彩が名前の由来になっている。絶滅危惧種に指定されている鳥ではないが、全国的にも希少種で、荒井さんは4年ほど前から撮影に来ている。写真仲間によれば7、8年前から見られるようになったという。

ところが、なぜかこのサギの飛来は毎年1羽だけ。繁殖のための営巣地なのに番(つが)う相手がいないのだ。雌雄同色なので、姿形からオスメスの判定が付かないが、「本能なのでしょうかね。他のサギの子供にエサを与えているのを見たことがある」と荒井さん。

アカガシラサギは小型種のうえ普段はやぶの奥に隠れるように生活しているから、粘らないとなかなか撮れない。荒井さんは今季の飛来を確認し、5月末に撮影に成功。早速自身のインスタグラムやフェイスブックにアップした。

赤褐色の頭部の羽毛と背側の紫褐色の羽のコントラストが目を引く。夏羽といわれる季節特有の羽毛で、婚姻色とみられる。お色直しして恋の相手を待ち続ける風だが、今年の飛来も1羽だけのようだ。毎年同じ個体かの確認はできていない。

実は、アカガシラサギのメスとコサギのオスとがつがいとなり、雑種とみられる1羽のヒナの巣立ちが観察されたことがある。土浦の鷺山とは別の場所だが、茨城県内で2010年に見られた。同じサギ科ながら異なる属間での繁殖行動、しかも野外での雑種形成の確認は世界で3例目という。

この報告をしたのが当時、筑波大学大学院生命環境科学研究科の博士課程にいた益子美由希さん。この4月から農研機構中央農業研究センター(つくば市)に籍を移して鳥獣害研究に携わっている。(つづく)

《霞月楼コレクション》1 大川一男 国芳派の流れを汲んだ美人画

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【池田充雄】長い間、土浦には美術館がないと指摘されていた。美術品を収集・展示する公共空間だ。アルカス土浦内に市民ギャラリーが2017年開館し、展示の機能は備わったが、収集による文化の保全・継承面は十分といえない。かつての土浦では、市民がそうした文化をよく担ってきた。その代表的存在が料亭・霞月楼(土浦市中央、堀越恒夫代表)。本シリーズでは霞月楼に残された地域ゆかりの名品に目を向けていく。

  • 霞月楼 1889(明治22)年創業、130年の歴史を誇る土浦きっての老舗料亭。各時代の政治家、軍人、文化人ら、土浦に降り立つあまたの著名人をもてなした。2代当主の堀越正雄はかつて東京・麹町(現永田町)の星岡茶寮に在籍し、その草創期を支えた名料理人だったという。

往時の土浦の風情を漂わせる

「わかさぎ焼」1938年 絹本彩色 177×237cm 霞月楼所蔵

「わかさぎ焼」は土浦出身の日本画家、大川一男が1938(昭和13)年に描いた作品だ。当時の川口町(現川口1丁目)あたりは、霞ケ浦から揚がった新鮮なワカサギを焼き売りにする店が川筋沿いに立ち並び、あぶられた魚の香ばしい匂いが街中に漂っていたという。土浦小唄にある「焼かれながらも二本差し」の風情のまさにそのままだ。

この絵は当初、町内にあったさる薬局の依頼により屏風として描かれたが、一男が戦後になって訪ねてみると薬局はすでになく、尋ね歩くうちに絵だけが霞月楼に保存されていることが分かった。モデルになった女性も後年に霞月楼を訪れており、絵姿は姉さん被りの手ぬぐいのひょうたんの柄まで、当時のものをそのまま写し取っていると話したという。

図案工を経て深水に弟子入り

大川一男

大川一男は1914(大正3)年、新治郡上大津村(現土浦市田村町)に400年以上続く豪農の長男として生まれた。上大津東尋常高等小学校を卒業後、農業の道に入るも画家への夢は捨てがたく、母校の恩師のとりなしで京都図案協会の研究生となり、西陣織の図案工として才能を発揮し始める。

1930(昭和5)年、京都で開催された帝展を見て、伊東深水の作品に心酔。手紙を送り内弟子となることが許され、東京・大井町の深水画塾で日本画の基礎技術を学ぶ。浮世絵の歌川国芳から月岡芳年、水野年方、鏑木清方、伊東深水と続く系譜を「玄冶店(げんやだな)派」と呼ぶが、一男もその末流に名を連ねたことになる。

1935(昭和10)年、茨城会館開館記念美術展に大川朝勢の画号で「朝霧」を発表し3等賞。これが公募展への初出品で初入選にもなった。

戦後の土浦で農業と絵を両立

戦時には2度にわたる招集を受け、中国戦線を転戦中に終戦を迎えた。1946(昭和21)年6月に復員したが、実家を支えた弟たちはいずれも戦死し、両親や親族の強い要望により家業を継ぐことになる。

一方で絵への情熱も絶やさず、1948(昭和23)年土浦に県南美術協会が発足するといち早く作品を発表。当時土浦近郊に疎開していた浦田正夫の下に通い、小林巣居人や永田春水の知遇も得る。ここに養父清直、鈴木草牛、根本正、片岡巳代子ら地域作家の面々が加わり、巣居人が再興した新興美術院や県展などを舞台に、互いに競い合い精進を重ねていく。

1980(昭和55)年に新興美術院理事、県芸術祭美術展委員、県文化団体連合常任理事に就任。1994(平成6)年には県つくば美術館で画業60年記念展を開催。2001(平成13)年に88歳で亡くなった。

「枝垂桜」1983年 第33回新興展出品 175×366cm

現代美人画、風景画にも名作

「踊り子」1988年 第38回新興展出品 181.2×122cm 土浦市民ギャラリー所蔵

一男の作品は、最初の師である伊東深水の薫陶よろしい、伝統的で気品漂う美人画に定評がある。一方で、あでやかな洋装の中に現代女性らしい精神性を感じさせる作品群もあり、広く人気を集めている。

深水からは「過去の様式をなぞった単なる美人画ではなく、自分なりの発見に基づき、個性を大切にした人物画を描くように」という主旨の教えを受け、その後の創作活動の大きな刺激になったという。

戦後は花鳥や風景にも画題を広げた。その代表作が奥入瀬渓谷を描いた「流奏」で、1982(昭和57)年の第32回新興展で文部大臣奨励賞を受賞した。風景画では師と仰ぐ人はなく「農村に暮らし、自然に触発され、気の赴くまま、型にはまらずに描いている」と話している。(文中敬称略)

  • 取材協力・参考資料 ▽茨城県近代美術館▽常陽芸文センター▽大川家▽画集「画業60年記念大川一男展作品集」1994年▽リーフレット「大川一男展」(1996年、芸文ギャラリー)▽1994年9月20日付茨城新聞▽1996年1月14日付産経新聞

《つくば法律日記》8 ネット上の誹謗中傷について考える

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堀越さんの事務所があるつくばセンタービル

【コラム・堀越智也】毎日SNSを見るようになったのは、2006年だったと明確に覚えている。妹にミクシィ(mixi)やってみなと言われて始めた。まだ司法試験の受験生で、家に閉じこもっている僕を不憫(ふびん)に思ったのかもしれない。妹の思惑が当たったのか、僕は、SNSという文字通り新たな社会の一員になった。

自分のことについて投稿するだけでなく、コミュニティーといわれる特定のグループに書き込みをしたりと、家に閉じこもりながら、新たな社会で活発に活動するようになった。やがてtwitterやFacebookが主流になり、SNSの中での引っ越しも成し遂げた。

こうして僕は、かつては試験の答案くらいしか機会がなかったアウトプットが、気軽にできる社会になっていることに気づく。

法律家は、法律の勉強を始めたてのころから、幾度となく、表現の自由は、表現を通じて人格を形成・発展させ、かつ政治的意思決定に関与するための重要な価値があると習う。

そんな原点がありながら、表現の自由が憲法上保障されていても、巨大なマスメディアが存在したことで、効果的にアウトプットできるのはマスメディアだけではないか、だから表現の自由を再構成して、知る権利が保障されるべきだと言われ始めて久しい。知る権利は、中学生の公民の教科書にも書かれていた。

そんなマスメディアがアウトプットを独占する世の中が、SNSが台頭することで、マスメディアでなくても自由にアウトプットできる世の中に変わった。表現の自由の重要な価値が実現しやすくなった点で、とても素晴らしいことだと思ってきたし、SNSを通じて多くの人と知り合ったり、遠くにいる友人と情報交換したり、仕事の幅を広げることもできた。

表現の自由の再々構成が必要

しかし、新しく便利なものには負の側面も付き物で、気軽に人を誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)できるようにもなった。しかもSNSは、現実の社会と同じく集団化する。匿名で、自分の身分を明かさずにアウトプットすることもできる。自分の姿も相手の姿も見えにくいため、人を傷つけている感覚が鈍り、逆にアウトプットされる言葉は鋭い凶器になる。

そこで、ネットでの誹謗中傷の防止について国会が協議することになった。ネットでの誹謗中傷による社会のマイナスは、わざわざ人の命であったり、人生というレベルで語らなくても甚大なものがある。

一方で、今の時代でも、言論が弾圧され、自由な表現ができない国もある。表現の自由は、結構な最近まで僕らのご先祖様が血を流しながら、やっと手に入れたものだ。SNS上の表現の規制も慎重にしなければ、せっかく広がった人格を形成・発展させ、かつ政治的意思決定に関与する機会が、再び狭められてしまう。

日本国憲法の表現の自由を語るとき、政治的な表現からSNS上のつぶやきのような表現まで、様々であるにもかかわらず、「表現の自由」と一括りにされることが多い。そろそろ、気軽にアウトプットできるようになった時代の表現の自由を、改めて慎重にではあってほしいが、再々構成した方がいいのではないかと願う令和2年6月。(弁護士)

犬猫の餌や薬代支援を ひと月休園の「つくばわんわんランド」

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犬と触れ合う来園者ら(つくばわんわんランド提供)

筑波山の麓にある日本最大級の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田)が、3日からクラウドファンディングを開始し、約500匹の犬や猫の餌代や薬代の支援を呼び掛けている。

新型コロナウイルス感染拡大防止の休業要請を受けて、ゴールデンウイークをはさむ4月22日から5月17日まで約1カ月間休園し、5月18日に再開したばかり。例年ならゴールデンウイークは数万人の来園者があり、大きなダメージを受けた。

昨年10月は台風19号の被害を受け園内が冠水、1週間休園した。一部の電気製品などが壊れ、復旧にとりかかっている最中での休園だった。

一方、同園には約500匹の犬と約30匹の猫がおり、毎月、一定の餌代がかかる。1996年に開園して24年経つことから、現役を引退した老犬や老猫もおり薬代もかかる。

クラウドファンディングは支援金額500万円を目標にする。餌代や薬代のほか、感染拡大防止対策をとりながら来園者に安全に楽しんでもらうための施設改修などの費用にも充てたいという。

園内で犬の散歩をする(同園提供)

同園の田口弘樹園長(33)は「開園して24年経つので、現役でお客様と触れ合っている犬たち以外に、歳をとって引退し老後を過ごしている犬たちがいる。現役時代に私たちを笑顔にし癒しを与えてくれたおじいちゃん犬、おばあちゃん犬たちが、穏やかに安心して過ごしてもらうためなどに、ご支援いただいた金額を使いたい」などと話す。

スタートから3日目の5日時点ですでに300人を超える人から目標金額の半分を超える支援が集まっており、スタッフたちを大いに元気づけている。田口園長は「こんなに多くの方々からご支援をいただけて感謝しかない」と語る。

5月18日の再開から約3週間経つ。人が大好きな犬たちばかりのため、再開直後の数日間はかまってもらいたいと、来園者に猛烈アピールを展開したという。現在の犬たちの様子は「普段通りに戻りつつある」と田口園長。

➡同園のクラウドファンディングはこちら

《続・気軽にSOS》62 職と住まいを失ったある男性

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【コラム・浅井和幸】男性は孤独で生きてきた。家族との連絡も途絶え、友人もいない。アルバイトをして暮らしていたが、真面目に働き、貯金はなくとも、ぜいたくをしない彼にとっては不自由ない暮らしだった。もうすぐ30歳になることを考え、正社員として働きたいと考えるようになった。たまたま、ある職人の下で働ける機会を得た。

真面目に働いて貯金もしていくぞと意気込んだが、2回ほど働いた後、職人の携帯に連絡してもつながらなくなった。下請けのまた下請けのようなところで、新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなったのかもと考えた。訴えて時間を使うより、これからを考えて動こうと思った。

収入がなくなり、仕方なく原付きスクーターとわずかばかりの荷物で、ほぼホームレスの状態になった。少しだけ手元にあったお金で、ネットカフェでシャワーを浴びることもあったが、ほとんどは野外で寝泊まりした。体力に自信があったので、この状況が絶望するほどの苦しみではないが、このままではいけないので何か方法はないか考えた。

ネット検索をして、たまたま居住支援法人という住まいを相談するところを見つけた。人にだまされることが多い人生だったが、その取材記事のようなネットのページを見て大丈夫だと思って電話をかけてみた。

住む場所が決まり 新生活が始まった

穏やかな口調で電話に出た居住支援法人の男は、こちらの状況を聞き、対処法をいろいろと考えているようだった。「今日は金曜日で17時をかなり過ぎている。近くの行政窓口に行けるのは月曜日になってしまうね」と言ったその居住支援法人の男は、「いますぐ動くことは可能ではあるけれど、明日まで今の状況でも生きていられる?」と聞いてきた。

何かを値踏みしているような質問だったが、勘ぐってもしょうがない。「大丈夫です。何とかなります。問題ありません」と正直に答えた。居住支援法人の男は「分かった。明日の朝9時に、つくば市二の宮の事務所に来られるかな?」と聞いたので、「行きます。よろしくお願いします」と答えた。

居住支援法人の男は「了解。何とか明日の9時までは、頑張って生きてください。約束ですよ。そこまで生きていられたら何とかなります。いや、何とかしますから」と言って電話を切った。

何かにつながれた。そんな気がした。次の朝、事務所に向かい、ビルの2階に案内され、相談が始まった。いくつかの物件を見て回った。いくつかの物件オーナーに、居住支援法人の男は電話をかけていた。

居住支援法人の男は「心配して力になってくれた友人に、早めに電話をかけて安心させるんだよ」と言った。相談時に、1人だけつながっているネット上での友人の話を覚えていたのだ。「はい。そうするつもりです」と答えた。

住める場所が決まり、新しい生活が始まった。市役所やハローワークなどの手続きもした。何とかなる。そんな気がしてきた。(精神保健福祉士)

※これは、いくつかのケースを混ぜ、一部変更して書いたフィクションです。

廃止を公約の退職金22円に つくば市長

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記者会見する五十嵐立青市長=5日、つくば市役所

【鈴木宏子】1期4年ごとに約2000万円が支給されるつくば市長の退職金について、五十嵐立青市長は5日の定例記者会見で、公約に基づいて22円にすると発表した。

退職金は任期満了の今年11月16日を基準日に支給される。五十嵐市長は初当選した2016年11月の選挙戦で「市長特権の退職金廃止」を公約の一つに掲げていた。

一方、退職金を廃止することについては、県内44市町村で組織する県市町村総合事務組合が事務処理を行っており、制度上、受け取りを辞退しゼロにすることが困難だという。

市長退職金の算定方法は、任期満了日の給与月額に22を掛けた額になる。現在の月額約92万7000円だと約2000万円になるが、任期満了日の給料を1円にして22円にする。

手続きとしてはさらに市長給与特例条例の改正が必要になるが、条例改正案を議会に提案する時期は現時点で未定。

五十嵐市長は「2000万円というのは市民感覚から離れているので公約に掲げた。新型コロナで市民は大変な状態にあり、痛みを分かち合いながら約束を守っていく」と話した。

退職金の原資として、市は同事務組合に負担金を支出しているが、返還されないという。

議会から指摘も

市長退職金をめぐっては今年3月議会一般質問で議員から「(就任から)3年が経過しても(廃止するか否かの)結論が出ない。実現できないとなれば公約実現ができないことにつながるのでしっかりと進めていただきたい」などの指摘が出ていた。

これに対し五十嵐市長は、退職金を廃止するためには県内全市町村長の同意が必要となるなどの課題があるとして「廃止に向けた検討を進めている」などと答弁していた。

【オンライン授業奮闘記】教育現場から考える(中)生徒の意外な一面

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授業配信前の教室の様子。分散登校に備え教卓前には感染防止のためのビニールが下げられた=土浦市小松ケ丘町、土浦日本大学中等教育学校

【田中めぐみ】授業で使用しているウェブ会議アプリにはチャット機能がある。チャットは、生徒自身の発信内容を教員にしか見えない設定にするか、生徒全員に見える設定にするか生徒側から選択できる。問題の答えや質問、意見を書いて送ってもらうこともできる。

この機能がとても良い。教室では普段あまり話さない生徒がこの機能を使って質問をしてきたり、驚くような良い答えを書いてきたりする。無口な生徒が気さくにあいさつしてくれることもある。教室の授業では見えなかった生徒の一面をオンライン授業で垣間見るようになった。

また、問題を解いていく際、設問ごとにチャットで答えを送ってもらうことでクラス全体の正答率が見え、どういった傾向の問題に弱いか、どこまで知識が定着しているかといったことも分かるようになった。理解度に合わせて問いかけや解説も変えることができるので便利な機能だ。教室での授業に戻ったとしてもオンラインの長所は利用し、並行して取り入れていく価値があると感じている。

友達と話したい

アプリには少人数のグループに分けることのできる機能もあり、話し合わせたり、互いに発表をさせたりする授業も行った。

中学1年生は、学校で一度も授業を受けていない状態でグループセッション機能を使い、クラスメイトと顔を合わせた。授業の最後に感想を求めたところ、「友達と話せて楽しい」「もっとやりたい」という声が多く上がった。授業中に生徒が個々でチャットをすることは許可しない設定にしているため、友達同士のコミュニケーションに飢えているのだろう。

近くの席の友達同士で目を合わせたり、先生の言ったことにリアクションし合ったり、通常の学校生活が送れていれば当たり前に享受できたような些細なコミュニケーションが休校で一切無くなってしまっている。

一瞬で見渡すことできない

1クラスに30人以上の生徒がいる場合は、全ての生徒の様子をカメラで瞬時に把握するのは難しい。教室では一瞬で全体を見渡すことができるが、ディスプレイから個々を確認するのには時間がかかってしまう。できればせいぜい10人~15人ほどの小人数でやりたいというのが本音だ。

途中で生徒の接続が切れてしまうこともある。通信環境が良くなったとは言え、それぞれの状況によっては.カメラが消えたり、音声がとぎれとぎれになったりすることもあるようだ。頻繁にあるわけではないので許容範囲内だが、すべての生徒に平等、均一で安定的な学習の機会が与えられているとは言いにくい。高速大容量の5Gが普及すればこういった問題も解決するのだろうか。

デジタルストレス心配

デジタルストレスによる健康面も心配になる。勤務校では生徒の健康を考慮し、1コマ50分、1日4コマの授業を実施しているが、私自身2コマ連続で授業をやるだけでもかなりの目の疲れを感じる。

画面で共有するファイルの文字に注視しながら、カメラに映る生徒たちの様子に集中していると授業後は目がかすんでしまい、休み時間はしばらく目をつむっていることもある。授業以外の時間も準備でPC作業が長いせいもあるだろう。やはり紙の教科書やノートが目に優しいと改めて思う。

生徒たちの目も心配になり、読み上げて書かせるなどして、できるだけ画面ばかり見る授業にしない配慮をするようになった。数年前研修で聞いた、ICT先進校がデジタル黒板を取り入れた事例で、6時間目には生徒たちの目が疲れて授業にならないという話を聞いたことがあったが、それを今実感している。

依然として課題も多いが、非常時に学びの機会を無くさないこと、授業を止めず生徒と関わり続けることの価値を感じている。

(続く)

《食う寝る宇宙》63 かっこいい宇宙船の打上げ!

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【コラム・玉置晋】2020年5月31日の早朝、僕は宇宙オタクの皆さんによるTweet合戦をニヤつきながら眺めていました。この日は宇宙開発にとって記念すべき日となりました。アメリカの民間宇宙企業「Space X」により、NASAの支援の元で開発された新型宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」が2人の宇宙飛行士を乗せて、国際宇宙ステーションに向けて打上げられました。

この新型宇宙船はデザインが近未来的で、とにかくカッコいい。スペースシャトルのコックピットには多数の機械式スイッチ類がありましたが、Crew Dragonには、ほとんど見当たりません。3つの大きなタッチスクリーンに、リアルタイムの飛行状況や船内環境などが映し出されます。宇宙服もSF映画さながらです。

昨年3月、「Crew Dragon Demo-1」という無人テスト飛行(宇宙服を着たダミー人形を搭載)が行われて、国際宇宙ステーションにドッキング・分離後、無事に地球に帰還しました。

今回は、「Crew Dragon Demo-2」として、有人による最終テストを行っています。基本的に、Crew Dragonは国際宇宙ステーションとのドッキングまで自動運行で、地上のミッションコントロールセンターが飛行状況をモニターしますが、今回は、緊急時のテストとして宇宙飛行士による手動操作も行われました。

そして、約19時間の飛行を経て、国際宇宙ステーションにドッキングしました。2人の宇宙飛行士は、数週間、国際宇宙ステーションに滞在の後、Crew Dragonと共に地球に帰還します。Crew Dragon Demo-2が無事に成功したら、Crew Dragonはいよいよ実運用が開始されます。

今年の8月末、最初のミッション「USCV-1(US Crew Vehicle-1)」が予定されています。第64/65次長期滞在クルーを国際宇宙ステーションに運搬します。そのクルーの1人が野口聡一宇宙飛行士です。

僕は太陽活動をモニター

僕はCrew Dragonの打上げを見守るのと同時に、太陽活動もモニターしていました。ミッション中に太陽フレアが起きて、大量の放射線が降り注ぐ事態になれば、地球への緊急帰還ということもあり得るわけです。

国際宇宙ステーションは地球を約1時間半で周回しており、1時間弱で昼と夜を繰り返していますが、Crew Dragonのドッキングは地球の夜側で行われます。夜側、すなわち地球の影にいる間に重要なミッションを実施するのは、太陽フレアによる放射線を回避する時間をかせぐことも理由の一つです。

打上げ2日前の5月29日、「Mクラス」と呼ばれる中規模の太陽フレアが発生しました。この規模の太陽フレアは、実に2年半ぶりでした。幸いなことに、今回は大事には至らず、ミッションは継続されています。(宇宙天気防災研究者)

【オンライン授業奮闘記】教育現場から考える(上)伝え方を模索

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在宅で授業を配信する際のデスクまわり

【田中めぐみ】新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校により、勤務する中高一貫校で4月からオンラインでのリアルタイム授業が始まった。

学習用端末の普及で実現

土浦市の土浦日本大学中等教育学校で高校生に古文を教えている。文科省のGIGAスクール構想に先駆けて、本校では以前より生徒1人に1台ノートパソコンを支給し授業で活用していたことや、スマートフォンなどの普及で自宅でも情報端末に困らない環境にあることが後押しとなった。

通信ネットワークの問題はどうか。総務省の要請により、4月からドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯キャリアは容量超過後も50GBまで無料、テザリング=メモ=オプションも追加無料となった。自宅にインターネット回線がなくても容量超過を気にすることなく授業が受けられるようになり、こちらもクリアできた。

教材や課題はデジタルデータ化し、学校ホームページやクラウドにアップして共有する。生徒らは自宅のプリンターで印刷して準備し授業に臨む。中にはプリンターを持っていないという生徒もいるが、画面上で教材データを見てノートで解いている。

国語の教科ではどうしても大量の文字を読まなければならない。スマホから接続している生徒も多いため、最初は文字が小さくて見えないのではないかという懸念があり、「見えますか?」という問いかけを頻繁にしていたが、ピンチアウト(画面を拡大する操作)を使い慣れている生徒たちに特に心配はいらなかった。

教材をデジタル化

黒板やホワイトボードに書いたものを映すのでは見えにくいため、今まで板書して説明していたものをデジタル化する必要がある。教材の文章をOCR(印刷された文字をスキャナーやデジタルカメラによって読みとりデジタルデータ化する技術)でデータ化し、文を引用しながら要点を解説するスライドを作った。

だが、スライドではアドリブがきかない。生徒の様子を見ながら説明する順序を変えたり補足したりするのに、板書の方が良い部分もある。

スライドやPDFファイルにそのまま書き込む方法を考え、10年ほど前に買ったペンタブレットを出してきた。書き込みながら説明ができるように設定し、なんとなくの授業スタイルができあがった。

準備に長時間

教科指導におけるICT(情報通信技術)の活用ということが現実味を帯びて議論され始めたのは10年ほど前からではないだろうか。15年前はスマートフォンも普及しておらず、スキャナーやOCRなど電子テキストデータ化の技術も実用に足るレベルではなかった。当時はうまく認識しないソフトや周辺機器と格闘し、一晩費やしたことも一度や二度ではない。

それが今や一瞬だ。スマートフォンの進化にも比例する技術発達の恩恵をひしひしと感じる。新型コロナウイルスの感染拡大がもし15年前に起きていたとしたら、休校になっても泣き寝入りするしかなかったに違いない。

しかし、技術の進歩はあっても授業の準備にはかなり時間がかかる。プリントを印刷する時間が一切無くなったのは良い点だが、体感的に教室で行う授業準備の3~5倍の時間を費やしている。それでいてたくさんの情報を伝えようとすると難しい。通常の授業と同様の内容で一度はスライドを作ったものの、情報量が多くなりすぎていると感じてスライドの枚数を間引くこともあった。

生徒、教師、双方とも慣れていないせいもあるが、現段階ではリアルの教室よりも伝えられることが少なくなっているように感じる。

(続く)

※メモ
【テザリング】モバイルデータ通信ができる端末を利用してPC、タブレットなどをインターネットに接続すること。

《ことばのおはなし》22 私のおはなし⑪

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【コラム・山口絹記】入院3日目。

病室には相変わらず理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が代わる代わる訪れ、バランス感覚を調べたり、普段の生活サイクルや仕事などに関する質問に答えられるかを検査した。右半身が思ったように動かなかったり、前を見ずに横見をすると転んでしまったりといった症状はあったが、一度失語になってから、短期間でここまで話せるようになることは珍しいらしい。

話せると言っても、頭の中では一度英語で考えたことを日本語に翻訳して話しているような感覚が強く、読解力も大幅に低下していた。そもそも読解力とは何かという話だが、私は、文章を読みながら、どれだけの内容を留保できるか、ということだと思っている。

前の文章を踏まえて次の文章を予測、理解するということ。長い文章、例えば論文や小説ならば、前の段落、全体を踏まえながら読み進めなければならない。もっと言えば、今まで読んだあらゆる文章を踏まえて、目の前の文章に対する理解を深められるかが問題なのだ。

どうやら、頭の中でことばを一時的に記憶、処理しておくような能力が著しく衰えているらしく、自分で文章を書いていても、読み返してみると誤字脱字が異常に多い(救急を急救、脱字を肌字と書いていたり、送り仮名や助詞の誤りが極端に多い。単語に関しては2文字の漢字で構成されるものに誤りが多かった。“癲癇”や“鬱”などの漢字が書ける一方で、“肌”、“脳”、“臓”などの同じ部首の漢字に混同が多く見られた)。

午後には、担当医より脳血管造影検査の説明がされた。私の脳内の影の正体を探るため、腕か脚の動脈からカテーテルを入れ、脳の血管を流れる造影剤を撮影して皆で観よう、ということらしい。つまり脳版バリウム検査。シンプルな発想かつ物騒な話である。

脳動静脈奇形という血管の病気

翌日。

暗い手術室のような部屋で頭だけ固定され、右手首に麻酔を打たれる。10名以上の医師が私からは見えない位置にあるモニターを見上げる中、太めのビーフンのようなプルプルした管が腕の動脈に差し込まれていく。肩のあたりでビーフンがつかえているのを感じた。「いくよー」医師の声とともに、左アゴ、耳、左頭頂部にかけて温もりが広がった。いや、結構熱い。4回程の造影剤注射のたびに医師たちから歓声があがる。楽しんでもらえたようで何よりだが、せっかくの機会、私も一緒に観たかった。

入院5日目。

血管造影検査の結果は、左の頭頂葉にいく動脈と脳表の静脈が正常と異なる形で連絡しており、脳動静脈奇形(AVM)という血管の病気が最も疑われ、これが原因で出血を起こしたと考えられる、とのことだった。治療に関して、ざっくりと説明して欲しいと頼むと、「頭蓋骨を大きめにパカッと開き、出血している部分が外はサクッと中はジューシーな状態になり次第、取り除いてしまったほうが良い」とのことだった。もうここで治療を受けようと決めたのだ。

「やりましょう。あと、造影検査のときの写真ください」。私は答えた。-次回に続く-(言語研究者)

支援の「蚤の市」緊急開催 窮地の出店事業者つくばに集う

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出店区画となるキャンプサイトを案内する飯島丸子マネージャー=つくば市フォンテーヌの森

【相澤冬樹】 近年のフリーマーケットは、実店舗を持たない個人事業者たちが各地に出店する形でにぎわいを創出してきた。雑貨や骨とう、手作り衣料などの取り扱いを生業とする専業の事業主たちだが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、三密回避や移動制限から軒並み開催が中止となり、事業者の多くがほぼ2カ月間、収入を断たれた。その窮状を救おうという蚤(のみ)の市が5日、つくば市内で緊急開催される。

5日、フォンテーヌの森に10店舗

第1回となる「つくのみ~森のなかの小さな蚤の市」は5日午前10時からつくば市吉瀬のキャンプ場「フォンテーヌの森」で開催、アンティーク雑貨、植物、婦人服、クラフト作品など取り扱う10店の出店が決まっている。午後4時まで、荒天中止。

主催はイベント企画運営のKAKAYA MARKET(カカヤ・マーケット、本社・栃木県佐野市、小関広記代表)で、稲敷市の「こもれび森のイバライド」で開くフリーマーケットには従来150以上のショップを集めてきた。同キャンプ場内では古物販売買取の店「家貨屋kakaya」を運営している。

店舗マネージャー、飯島丸子さん(39)によれば、同店がオープンしたのが4月4日、新型コロナで緊急事態宣言が出されたのが同7日で、キャンプ場も閉鎖となったため、いきなりの長期休業に追い込まれた。各地のフリーマーケットが活況を呈するゴールデンウイーク中のイベント企画もできず、ネット販売で糊口(ここう)をしのぐ日々が続いた。

県内の緊急事態宣言が解除となった5月14日以降、店の再開準備を進めるなか、KAKAYA MARKETで提携する出店事業者らからの窮状も聞き、キャンプ場を会場に小規模な蚤の市を開催する線で話がまとまった。

やはり書き入れ時のゴールデンウイークに休業を余儀なくされたキャンプ場は再開以降、週末の宿泊客を中心に客足を戻し、夏休みの予約も順調に入っており、開催を積極支援する。

6月以降、週1回ペースでの開催も計画されたが、「まずは平日開催で様子見」と飯島マネージャー。林間のキャンプサイトに1店舗あたり3×3メートルの区画を用意し、客同士が濃厚接触しないよう配慮する。拡大が可能なら、毎週の開催で出店数も増やしたい考えだ。

当日は、インスタグラム(Instagram)を使って生放送ができる「インスタライブ」機能を使ったイベント生ライブ配信を予定しており、開催終了後に動画サイトYoutubeでの販売も行う計画だ。問い合わせ:電話080-4407-8512 

HP https://market.ka-ka-ya.com/
FB https://www.facebook.com/Kakaya.Market/
インスタグラム https://www.instagram.com/kakaya_market/

《くずかごの唄》62 新型コロナの消毒薬

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【コラム・奥井登美子】「可愛いでしょう。私が作ったマスクなの、使ってみてください」「隣の小母さんが、私に作ってくれたマスクなの、どう似合うでしょう」

マスク不足を逆手にとって、手作りのマスクがいつの間にか、流行の一端、ファッションに昇格してしまった。ファッションショーで、目のきれいな女優さんが着けて歩いたら、面白い風景になる。プレゼント用としても、けっこう珍重されている。

ファッションの一部にもならないのがコロナ消毒薬。インフルエンザなどの感染症が流行るたびに、薬剤師会での勉強会は、消毒薬に関する法律と、その使い方だった。ウイルスの関わる感染症は、それぞれ実に個性的で、消毒薬も取り扱い方も千差万別なのだ。今回は研修会も全部取り止めになってしまったので、よくわからないままに、アルコール系のものがいいといわれている。

「簡易エタノール検知器」

私が今年、庭の薔薇(ばら)の手入れを後回しにしたのは、薔薇の棘(とげ)などが手に刺さったものなら、アルコール系の消毒薬は飛び上がるほど痛くて、怖くて、使えなくなってしまうからだ。

消毒用エタノールはアルコール70%液なのだが,それで手を消毒すると、皮膚に浸(し)みて痛い。アルコールはRNA(リボ核酸)の蛋白(たんぱく)質を溶かすといわれているが、手の皮の蛋白質にも影響があるのではないかと思う。

市販の消毒薬は50種類くらいあって、その中でアルコール系も20種くらいある。今、どこのお店でも入り口に消毒用の液体が置いてある。消毒薬の中にどのくらいのアルコールが入っているか。70%、50%、20%、手の浸み具合でわかる。私の手はいつの間にか、「簡易エタノール検知器」になってしまっていた。(随筆家、薬剤師)

みどりの南小の予定地を移転 小中併設校へ つくば市

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みどりの南小中学校の新しい建設予定地=つくば市みどりの南

【鈴木宏子】つくば市が、人口が急増するつくばエクスプレス(TX)みどりの地区に新設予定のみどりの南小学校(仮称)の建設予定地を約600メートル南に移転し、小中学校の併設校を建設することが分かった。もともとの南小予定地には学校用の屋内プールを建設する。

南小は、みどりの義務教育学校の児童・生徒数が増加し、校舎を増築しても足りなくなることから、同義務教育学校から分離新設する。開校は2024年4月の予定。

もともとの予定地は同義務教育学校から1キロほど南の約2.5ヘクタールの県有地だった。今年度当初予算で用地購入費約8億5000万円などが計上され、3月議会で可決されていた。中学校はさらに南に600メートルほど離れた別の場所に新設する予定だった。

市教育局教育施設課によると、小中一貫の義務教育学校から分離新設して学校を新設することから、小学校と中学校を別々に建設すると学習環境が大きく変わってしまい子供たちの負担が大きくなるとして、学習環境を大きく変えないため、南小の予定地を中学校の予定地に移転し、小中学校併設校とする。

新しい予定地は、常磐道とゴルフ場(つくばみらい市)などにはさまれた県有地で、準工業用地。小中併設のため面積を拡張し計約6.1ヘクタールとする。規模は特別支援学級を含め、小学校が6学年で40学級、中学校は3学年で10学級を予定している。開校時期に変更はない。土地購入費は約18億7000万円。9日開会の6月議会に提案する。

プールは市民にも開放、会議室併設

一方、もともとの予定地2.5ヘクタールは、市が予定通り県から用地を購入し、屋内プールを建設する。みどりの南小中学校のほか、近く開校しプールが設置されない香取台小学校(仮称)、研究学園小中学校(仮称)など他校の児童生徒も利用する。学校の利用がない夜間や土・日曜などは一般市民に開放する。会議室なども設置される予定で、市民が利用できるという。

プールも、みどりの南小中学校と同じ24年4月までのオープンを目指す。

屋内プール建設予定地。もともとはみどりの南小学校建設予定地だった

産廃施設近く議会から懸念

南小のもともとの予定地は、つくばエクスプレスの線路をはさんでつくばみどりの工業団地に隣接している。産業廃棄物処理施設が近くに立地しており、予算を審議した市議会3月議会では「小学校用地は産廃施設が目の前にあること、高圧電線の下に位置する場所であるため、地元からは教育環境として問題があるのではという心配の声が上がっている」などとして、環境調査や有害物質の有無についての検査を実施し、地元住民が安心して子供たちを学校に通わせられる教育環境を整備するよう求める意見が一部議員から出ていた。

すでに立地している産廃処理施設の近くに学校を新設する場合、規制はない。一方、県廃棄物処理施設設置の事前審査要領では、今回とは逆の廃棄物処理施設を後から設置する場合、住民説明会の開催や敷地境界から300メートル以内の土地所有者の同意などが必要とされている。

もともとの南小予定地が産廃施設に近いことについて市は、今回の移転とは関係ないとしている。

ナダレンジャーが動画で防災教室 ウェブ学習に活用を

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実験で雪崩の動きを再現するDr.ナダレンジャーこと納口さん(左)と、助手のナダレンコさん

【池田充雄】防災科学技術研究所(つくば市天王台)が子ども向けの教育用動画を制作、1日から同所のウェブサイトやYouTubeチャンネルで公開が始まった。新型コロナウイルスの影響で利用が広がるウェブ学習に教材を提供し、防災について広く一般に考えてもらう契機としている。

科学おもちゃで仕組みを紹介

動画は「Dr.(ドクター)ナダレンジャーの防災科学教室」と題する3本。同所の納口恭明博士(67)が地震の揺れ、液状化、雪崩という3つの現象を、手作りの科学おもちゃを使って分かりやすく説明している。例えば雪崩では、容器に水とプラスチックの細粒を入れたものを用意。容器を傾けると細粒が雪崩の動きを再現し、大規模な雪崩ほど速く襲来することなども確認できる。

想定対象は小学4年生~中学3年生。理科や社会科の学習内容とリンクさせたが、大人が見ても興味深い。おもちゃの材料にはペットボトルなど身近にあるものを主に使い、家庭で作って遊びながら理科の実験ができる。放映時間はいずれも6~8分程度。

子ども向け初公開

同所が子ども向けに動画を公開するのは初めて。災害の仕組みをだれもが楽しく学べるものにしようと、サイエンスショーなどで経験豊富な納口さんがカメラの前に立った。納口さんはDr.ナダレンジャーとして1997年から全国の学校、科学館、公共イベントなどでこれまで4000回以上もの活動実績がある。

「今はコロナの方に気を取られがちだが、災害はどんな時でも待ってくれない。多くの人の命を奪う怖いものであり、だからといって単に怖がっているだけでもいけない。この動画が災害に対して理解を深め、防災のあり方について考えるきっかけになってくれるといい」と納口さん。

災害に強い社会へ

防災の基礎は「知る、備える、行動する」だという。社会に暮らす私たち一人ひとりが災害について正しく知り、備える意識を持ち、発生時には適切な行動をとれるようにすることが、防災教育の目標とされている。

同所では災害の予測・予防に加え、災害発生時の応急対応や、被災後の回復まで含めた総合力として防災をとらえ、特に災害から素早くしなやかに立ち直る力を「レジリエンス」と呼んで重視している。

「あらゆる種類の自然災害を対象に、予測・予防・対応・回復の全段階で総合的な研究開発を行い、人々の命と暮らしを支えることが当所の使命。外部との連携や協働を推し進め、一人ひとりが基礎的な防災力を持ち、レジリエンスを備えた社会を実現させていく」と、企画部広報・ブランディング推進課の川嶋一浩調査役は話す。

➡Dr.ナダレンジャーの防災科学教室はこちら

《雑記録》12 「壺から金平糖」 日本経済はどうなる?

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【コラム・瀧田薫】壺から金平糖(こんぺいとう)を取り出そうとして、手が抜けなくなって困った話。最近、この話をよく思い出す。

筆者の記憶では、主人公は名代の因業爺(いんごうじじい)。村の寄り合いで壺に入った金平糖を振る舞われ、壺に手を入れると、どうしたものか手が抜けない。引っ張りだそうと血管が膨れあがるほど頑張ってみるが、抜けない。最初は大笑いしていた周囲の衆も、だんだん心配になり、壺を押したり引いたり、ああしろ、こうしろと指図もしてみるが、壺はびくともしない。とうとう、爺様は泣き出す始末。

見かねた家の主、大事な壺だが爺様の手にはかえられぬと、煙管(きせる)で壺を叩き割ると、金平糖をぎっちり握りしめた爺様の大きな拳が出てきた。話はそこまでで、この話をどう解釈するかは、それぞれに任されているようだ。

さて、昨夜(5月26日)のことだが、偶然、NHKスペシャル「苦境の世界経済・日本再建の道は」(再)を視聴した。番組に招かれたゲストは、経済再生担当大臣・西村康稔氏、コロンビア大学教授・伊藤隆敏氏、そして三菱経済研究センター長・武田洋子氏のお三方であった。

正直、三者の話は噛み合わず、特に西村氏は浮いていたが、筆者なりに番組の内容をまとめると、今後生き残る企業の条件として、①変化への対応力②AIの活用力③長期的ビジョンを備え、持続可能な企業たることに重きを置く経営方針が必要ということだった。

いわゆる新自由主義の影響で、企業経営が「株主の利益と短期利益の優先」に流れていたとの批判は目新しいものではないが、新型コロナウィルスの影響でこうした企業経営の見直し論が力を増してくることは十分考えられる。

政府は新たな流れを邪魔するな

面白いと思ったのは、新時代の経営を目指す企業のモデルとして、SONY社の名前が挙げられたことだ。長い低迷からの復調ぶりは聞いていたが、改めてこの会社の今後の動きを追いかけてみたい。

次に、伊藤氏と武田氏の視点から出てきた「ニューノーマル」という言葉が目立った。コロナウィルスの影響で人々の暮らし方が変わりつつあり、それが今後の日本社会の「ニューノーマル」(日常性?)として定着するとの見方である。加えて、社会的距離(対人距離?)の取り方、テレワークの普及、地域分権の拡大、デジタル化の進行などが予想されるということだ。

番組の最後に司会者から「伊藤さん、これからの日本経済について、政府に何を期待されますか」との問いが投げかけられた。すると、伊藤氏から、口調はとても穏やかだったが、間髪をいれず、「政府には新たな流れを邪魔しないでほしいと思います」という答えが返ってきた。番組はこの言葉で閉じられた。

伊藤氏は、現政府が金平糖(既得権、旧技術、過去の成功体験など)を手放せるとは思っていない、と筆者は理解した。政治と大きな船、簡単に方向を変えられないものだが、現政府が手を抜けないまま、壺(日本経済)を叩き割ってしまう事態、それだけは勘弁してほしいと思う。(茨城キリスト教大学名誉教授)

法務局が遺言書保管 7月10日から開始

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水戸地方法務局土浦支局=土浦市下高津1丁目

【山崎実】高齢化社会の進展に伴い、「終活」をめぐる様々な問題が持ち上がっているが、法務局は7月10日から自筆証書遺言書を保管する「自筆証書遺言書保管制度」を開始する。

「終活」の中でも特に大切な問題と位置付けられているのが、相続トラブルを防止するための遺言書の作成だ。

遺言書の形式には、公正証書遺言、自筆証書遺言などがあるが、自筆証書遺言は本人のみで作成することができ、自由度は高いものの、作成後、自宅で保管することが多く、紛失するなどの事例が多かった。

これらの問題を解消するため、新たに導入されるのが今回の自筆証書遺言書の保管制度だ。利用者は保管申請を法務局、及び支局に行う。制度の「Q&A」によると、保管申請の手数料は、その後の保管年数に関係なく、申請時に定額(遺言集1通に付き3900円)を納めることになる。

新制度の導入について水戸地方法務局は「この制度を利用される以外にも、これまで通り、自ら保管することはもちろん、公正証書遺言制度を利用することも可能なので、それぞれの特徴を踏まえ(利用方法を)判断してほしい」としている。

保管制度に関する詳しい問い合わせは水戸地方法務局(供託課、電話029-227-9917)。

《吾妻カガミ》83 つくばの市長選まで5カ月

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】コロナ禍の緊急事態宣言が解除され、用心しながら通常の仕事や生活に戻ろうということで、まちにも活気が戻ってきました。コロナの心配もあり、つくば市長選挙(10月25日)絡みの動きはこれまで水面下でしたが、こちらもそろそろ表に出て来そうです。

コロナ対応で力む現職

もっとも、早々と2期目出馬を表明した五十嵐市長にとっては、コロナ対応そのものが選挙を意識したものであったようです。現職にとっては日々の仕事が次の選挙の通信簿になりますから当然です。早めの出馬宣言(2月27日掲載)も、コロナの広がりを意識したものだったのかも知れません。

コロナ対応で点を稼ごうと思ったのか、拙速(せっそく)な判断もいくつか見られました。例えば、首相が学校を休校にするよう要請したのを受け、3月上旬、小中を休みにしながらも、自主(自習)登校は認めたことです。父母の困惑を読んで、気配りをしたのでしょうが、「密を避ける」というコロナ対応の基本に照らすと、これは真逆(まぎゃく)でした(後で取り下げ)。

市内事業者への配慮も含め、市長のフライングについては、本コラム「善政? つくば市のコロナ対応」(4月6日掲載)、「つくば市のコロナ対応を点検」(5月4日掲載)で取り上げました。詳細はそちらをご覧ください。

初期段階だけでなく、5月下旬にも「おやっ」と思う対応がありました。5億の税金を使って、70歳以上と18歳以下の市民に5000円の商品券をばらまくという善政です。第1波コロナの収束をにらんで、駆け込んだのでしょう。実にホットな対応です。その内容は「つくば市が第2弾の緊急経済対策」(5月21日掲載)でリポートされています。

挑戦者は着々出馬準備

前回の市長選は、五十嵐さん、保守系前市議、革新系元衆院議員の戦いになり、総合運動公園計画が住民投票で「否決」されるという前市長の失政に乗じ、市民運動を繰り広げた五十嵐さんが勝ちました。

今秋の選挙に名乗りを上げているのは、今のところ現市長だけですが、保守系の現職県議が着々と準備を進めています。市民の心がコロナで占められているとき、選挙は優先度が低いと考え、出馬表明は控えているそうです。「密を避ける」が求められているのに、会合は控えなければなりませんから、実にクールな判断といえます。でも、そろそろ正式表明するのではないでしょうか。

前回選挙での五十嵐さん勝利の主因は、総合運動公園反対で盛り上がった市民運動の流れを加速させたことです。選挙戦術としては見事でした。

今回選挙の争点の一つとして、挑戦者は、この運動公園問題の「あと処理の不手際」を突くようです。①用地を買い戻させる公約が反古(ほご)になった②用地処分が議会の反対で宙に浮いている―と。つまり、現市長は公約を守れないばかりか、それによって生じた問題を処理する能力もない、と。

現市長にとって、前回は追い風に作用したテーマが、今回は逆風になるわけです。選挙とは面白いものです。挑戦者は、現職の仕事の検証だけでなく、自分の学園活性化プラン(運動公園問題処理の対案も含め)も提起してください。発信力で有利な現職に比べると、コロナ禍で活動が制約されるという、ハンディキャップを負ってはいますが。(経済ジャーナリスト)