金曜日, 11月 7, 2025
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《ご飯は世界を救う》24  ハンバーガー店も再開

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【コラム・川浪せつ子】自粛生活も少しずつ解除されてきました。つくば市小野崎のショッピングセンター「ララガーデン」は、スーパー、薬局など以外は、4月半ばから閉鎖。それが5月20日くらいから、飲食店も徐々に再開されました。私の大好きな「フレッシュネスバーガー」さんに、開始日、すぐにテイクアウトに行きました。

そしてそれから2週間後には、店内でランチスケッチも。こちらの壁には、私が今まで描いたお店のハンバーガーなどのスケッチを、数点展示させてもらっています。初めて描いたのは、お茶に行ったとき。あまりにも描けなくて、へこんだことを覚えています。

それ以来、何十回通って描いたでしょうか。食べものだけでなく、レジの付近、ハロウィンなどの季節の飾りつけスケッチ。お陰様で、少し自信を取り戻せています。

そんな時間を過ごせたのは、店主さん始めスタッフさんの対応でした。そして、10年以上過ぎ、わたしの一番の憩いの場所になりました。店内は広く2階にあり、窓からは筑波山を、ハッキリ拝むことが出来ます。

地域の方にとってはもちろん、筑波山は信仰の山。いつ見ても美しく、長い歴史のある名山ですね。そんなお山を眺められるのですから、ここは、ビューポイントですね。

お茶とフィットネスの時間

また数年前から、このショッピングセンター内に、女性専用のフィットネスが入ったのも私にとっては、好都合でした。食料品のお買いもの、本屋さん、1人でお茶の充足時間、オマケに体を鍛えるという何ともぜいたくな場所です。

コロナの終焉がまだまだのようなので、「フレッシュネスバーガー」さんも、今は時短営業です。もともとテイクアウトがあり、持ち帰りの方も多いのです。これからも筑波山を見ながら、ステキなスタッフさんとの触れ合いを大切にして、美味しい食べ物と、よい時間を過ごすことが出来ますよう祈るばかりです。(イラストレーター)

湖上スクール再開、霞ケ浦で救助訓練 新型コロナで2カ月遅れ

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湖に落ちた落水者を船に引き上げる訓練をする参加者=17日、霞ケ浦土浦入り

【鈴木宏子】子供たちが霞ケ浦の湖上に出て水環境について体験しながら学ぶ今年度の「霞ケ浦湖上体験スクール」が11日から始まったのを受けて、17日、土浦市川口の土浦港と霞ケ浦の湖上で落水者の救助訓練と船上火災消火訓練が実施された。

毎年4月に訓練を実施しているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大による学校の休校や外出自粛要請を受けて、3月から5月まで湖上スクールがすべてキャンセルとなっていた。学校が再開し湖上スクールが4カ月ぶりに再開したのを受けて、例年より2カ月遅れの訓練実施となった。

湖上スクールの指導員と、遊覧船を運航するラクスマリーナ社員のほか、県霞ケ浦環境科学センター職員、土浦市消防本部、土浦警察署の署員など計53人が参加した。

救助訓練は、土浦港から沖合約1キロの湖上で実施された。湖上スクールに参加していた小学生が船から湖に落ちたと想定。ラクスマリーナの社員が浮き輪を投げて落水者を引き上げ、スクール指導員がデッキで心肺蘇生をした。さらに通報を受けた土浦市消防本部の消防艇が駆け付け、救急隊員が船に乗り込んでAED(自動体外式除細動器)を使った心肺蘇生などを実施した。

続く火災訓練は土浦港で実施された。船のデッキに置かれたごみ箱から出火したと想定。船上のスクール指導員が子供たちを落ち着かせて風上に移動させ、別の指導員が消火器を使って初期消火をする訓練を実施した。さらに通報を受けて駆けつけた市の消防艇とポンプ車による消火訓練が実施された。

消防艇で船に乗り込み遊覧船のデッキで落水者の心肺蘇生訓練をする土浦市消防本部の救急隊員=同

湖上体験スクールは県の森林湖沼環境税を活用した子供たちの体験学習で、遊覧船で沖合に出て、船上で霞ケ浦の水質調査をしたり、プランクトンを観察したり、霞ケ浦の広さや生き物、流域の様子を勉強する。毎年、流域の小学4、5年生などがクラス単位で参加し、年間約300回のスクールを開いているという。

一方今年度は、新型コロナウイルスによる休校の影響で、11日に石岡市内の小学4年生が実施したのが始まり。6月は例年なら50回ほど開催するが、今年は10分の1の5回だけという。

学校が再開しても、新型コロナウイルスの感染防止対策が求められることから、スクールでは、船上で子どもたちが3密になるのを防ぐため、船室内のテーブルを撤去して椅子と椅子の間隔を1メートル空けたり、デッキの床にペンキで印を付けて乗船者同士が1メートル距離をとれるようにしたり、水質調査を3班に分けて実施するなどしている。

ラクスマリーナの高野利夫専務は「湖上スクールや遊覧船運航を安全に実施したい」と話している。

《くずかごの唄》63 コロナ事件 医療の歴史的試み

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【コラム・奥井登美子】

「耳の後ろがかゆいのです。マスクのゴムのせいでしょうか?」

「暑い時のマスクは耳のところで汗かくから、アセモと同じ手当てをすればいいと思います」

「ゴムひもを取り換えてもダメですか?」

「かゆい所の汗を水でよく拭いてから、弱いステロイド軟膏を塗っておく」

「ウエットティッシュで拭いたら、よけい赤くなっちゃった」

「皮膚炎には、ウエットティッシュに少しだけ入っている防腐剤がよくないの。くたくたの洗いざらしたガーゼがあればいいんだけれど」

「値段の高いティシュにしたのに、なぜダメなんですか? くたくたのガーゼなんか、捨てちゃうからありません」

「困ったわね。家にいる時はマスク外してくださいね」

マスク皮膚炎、手指のアルコール皮膚炎、家のひきこもりに伴う軽いノイローゼなど、病気と言えないような軽い疾患が増えている。病院や医院に相談に行くほどでもないとあって、薬局の雑談まじりの相談電話は結構忙しい。

日本人の生活教育を見直すチャンス

言われたことをキチンと真面目に実行しているのにトラブルが起こってしまう。それにどう対処していいかわからない真面目過ぎる日本人がなんと多いことか…。

マスクのつけ方、マスクの用途、消毒薬の扱い方、ウエットティッシュの使い方など、医療以前の基本的な日常の生活術を知らない人たちがなんと多いことか…。コロナウイルス事件は日本人の生活教育を見直すチャンスではないかと思う。

私は薬史学会に入っているので、薬の歴史的な事件は一応学んだはずであったが、地域医療の地域が世界中に広がっての「医療のコロナ騒動」は、歴史的にみても初めての体験である。

町の薬剤師の1人として、この歴史的な体験をどう乗り切ればいいのか、日夜模索しながらお客様の電話に付き合っている。(随筆家、薬剤師)

19年度のサイクリスト9万3000人に つくば霞ケ浦りんりんロード 

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霞ケ浦湖岸を走るサイクリスト

【山崎実】県スポーツ推進課がまとめた自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の2019年度利用者は9万3000人で、前年度比約1.15倍の増加をみせた。18年度実績は8万1000人。

全長約180キロに及ぶりんりんロードが昨年「ナショナルサイクルルート」に指定され、土浦駅に「星野リゾートBEB5土浦」がオープン、同駅ビルが日本最大級のサイクリングリゾートに生まれ変わったことも加わり、茨城のサイクルツーリズム人口は確実に増加傾向にある。

県と沿線9市町村で構成するつくば霞ケ浦りんりんロード利活用推進協議会(会長・大井川和彦知事)が運営する広域レンタサイクルも、昨年度の利用台数が3115台と、18年度実績の2594台から約1.2倍増加した。

特に沿線11カ所の施設からどこでも自転車の貸出・返却が可能な広域レンタサイクルは、ナショナルサイクルルート指定後の昨年11月から今年3月までの利用台数が1134台と、前年同月の679台から約1.7倍に急増した。

県はさらにサイクルツーリズムを推進するため、傷んだ路面のリニューアルや、休憩所の改修、岩瀬駅と水郷潮来バス ターミナルに、りんりんロードの起点・終点を示す看板を設置するなどの取り組みを進めている。

また今後についても沿線のビュースポットの整備や周辺観光施設、観光地への案内板の設置を予定するなど、官民連携による地域活性化を目指していく。

一方、今年度は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、土浦駅ビル1階のサイクリング拠点「りんりんスクエア」が4月14日から5月17日まで休館、広域レンタサイクルも4月11日から5月17日まで休業し、いずれも5月18日に再開したばかり。首都圏との不要不急の移動は6月18日まで自粛が要請されており、厳しいスタートとなっている。

《法律かけこみ寺》19 とある会社の消滅時効

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土浦市神龍寺(本文とは関係ありません)

【コラム・浦本弘海】とある会社の一コマ。

先輩「この債権は商事債権じゃないし、時効は…10年だな。きちんと管理しないと」

後輩「先輩、改正民法が今年(2020年)4月1日から施行されてるんですよ、この債権ならいまは5年です」

先輩「な、なに~!」

民法が2017年に大改正されました。この大改正された民法(改正民法)が2020年4月1日から施行されています。ビジネスの現場でも改正民法が意識されはじめました。そこで今回は、主要な改正のひとつ、消滅時効の改正について取り上げます。

ところで、そもそも消滅時効というのは、権利者が一定期間、権利を行使しないと権利が行使できなくなる場合があるという、(権利者にとって)残念な制度です。根拠のひとつは「権利の上に眠るものは保護に値せず」というもの、キビシー。

それでは条文を(原則だけ取り上げていますので、例外にご注意ください)。

●改正前

第百六十七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

(以下略)

●改正後

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。 二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

(以下略)

というわけで、改正前の民法では消滅時効の期間は原則10年でしたが、「知った時から5年」が追加され短期化が図られました。

刑事ドラマの「時効」にも要注意

また、改正前の民法には職業別短期消滅時効というのがあり、宿泊料は1年だったり、弁護士報酬は2年だったり、各種資格試験の受験生を悩ませていたのですが、短期化の一方でこれらは廃止されました。

商行為によって発生した債権(商事債権)は、商事消滅時効(商法522条)によりもともと5年だったのですが、この規定も削除され改正民法が適用されます。

なお、とても細かい話ですが、改正民法施行日(2020年4月1日)前に債権が生じた場合は、原則として改正前の民法が適用されます(例外に不法行為に基づく損害賠償請求権)。

ところで、むかしの刑事ドラマなどで、たまに殺人罪の時効が15年(あるいは25年)というシーンが出てきます。

刑事A「ふう、これでようやく犯人を逮捕できるな」

刑事B「先輩、今日で事件から丸15年。時効です!」

刑事A「な、なに~!」

ここでの時効は公訴時効というもので、公訴時効の期間が経過すると被疑者を起訴することができなくなります。

ちなみに「むかしの刑事ドラマ」としたのは、公訴時効を定める刑事訴訟法もやはり2010年に改正され、人を死亡させた罪であって死刑に当たる罪(たとえば殺人罪)について公訴時効が廃止されています。

小説やドラマで法律ネタが出てきた場合、法律が改正されていることもあるので、鵜呑みにするのは要注意なのです。(弁護士)

障害者に感染が迫った時… 必要な支援受けられず不安 つくばの男性

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呼吸器を使いながらパソコンを操作する男性

【川端舞】新型コロナウイルス感染の危険性が身近に迫った時、障害者は公的な支援を受けられるのだろうか。つくば市在住の30代男性は、同居家族の職場で感染者が出た影響で、一時、介助サービスや訪問看護を中断されてしまった。

訪問看護とヘルパー派遣が中断

男性は全身の筋肉が次第に弱くなる難病があり、車いすで生活し、24時間呼吸器を使用している。現在、2つのヘルパー派遣事業所から週に平均22時間ヘルパーを派遣してもらい、トイレ介助や車いすへの移乗、痰(たん)の吸引、お腹に開けた穴から直接栄養を入れる経管栄養の介助などを受けながら、家族と同居している。また血中酸素濃度などの体調確認やマッサージのための訪問看護も、週1回受けている。

3月末、同居している母親の職場で新型コロナの感染者が出た。男性の母親は感染者と直接接触したことはなかったが、男性も感染する危険性があるとして、訪問看護が一時中断されてしまった。さらに訪問看護の中断を理由に、2つのうち1つのヘルパー事業所からの派遣も中断されてしまった。そのため、ヘルパーの介助を受けられる時間が普段の半分になり、その分、母親に介助の負担がいつも以上にかかってしまい、その影響で母親は2週間仕事を休まざるを得なかった。

職場での感染発覚の4日後に男性の母親はPCR検査を受け、同日陰性が確認されたが、訪問看護とヘルパー派遣は約3週間、中断された。

訪問看護が中断された間、往診の医師は普段通り来てくれたこともあり、問題はほとんど起きなかった。しかし、新しいヘルパーが男性の介助に入る時は、訪問看護の看護師に痰の吸引や経管栄養の方法を教えてもらう必要があるため、元通りに訪問看護を受けられるようになるのか心配だったと男性は語る。

「ヘルパー派遣だけでなく、体調維持に不可欠な訪問介護まで中断されてしまって不安だった」とAさんは振り返る。訪問看護の中断がもとで、ヘルパーの訪問も中断されてしまったこともあり、訪問看護に疑問を抱いてしまったという。

未曽有のコロナ禍で、訪問看護やヘルパー派遣の現場も対応に苦慮しているはずだ。日常的な支援が必要な重度障害者に新型コロナの感染が疑われた時、どうすれば支援者も利用者も安心して、支援を継続できるのか。今後、第2波の危険性がある中で喫緊の課題である。

《吾妻カガミ》84 いま、つくば市政が面白い

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】このサイトの編集では行政の監視が一つの柱になっています。今回のコラムでは、先の「つくば市のコロナ対応を点検」(5月4日掲載)でも少し触れた「市内事業者応援チケット事業」の問題点を取り上げます。秋の市長選挙を意識して急いだのでしょうか、五十嵐さんが打ち出した施策は「生煮えだった」という話です。

Cファンディングって何?

4月20日に公表されたチケット事業は、コロナ禍で売り上げが減っている事業者を助けるために、将来のサービスなどが約束されたチケットを、市内外の応援者(将来の利用者)に前倒しで買ってもらう―という仕組みです。一時あちこちで扱われたプレミアム商品券の業者救済型といえます。

支援策としては気の利いた内容ですが、問題もありました。応援者はチケット(モノやサービスの提供が約束された金券)を受け取るものの、入金先がクラウドファンディング(CF、寄付感覚もあるリスク承知の投資資金をネットで集める方法)の窓口であるために、チケットが紙クズになっても文句を言えない仕掛けになっていたからです。

つまり、応援のお礼が金券なのか、見返りを求めない寄付なのか、それとも株並みの投資なのか、応援者の理解(誤解?)に任せられていたのです。金融商品に例えると、元本が保証されている預貯金とも、全損もあり得る証券類とも理解できるような、変な制度設計でした。それを自治体が主導したわけですから、設計としては完全にアウトです。

業者応援で制度設計を修正

私のコラムでの指摘のほか、市民からも似たような声があったのでしょうか、 市はこの応援チケット事業の設計を内々に変えました。

10日ほど前、市の担当者に聞いたところ、おカネ集めにCFの機能は使うものの、投資の要素は限りなく排除し、原則として金券と位置づけ、寄付でもOKの人の応援はもちろん受け付ける―という運用原則に変更したそうです。具体的には、事業者が閉店してチケットが無効になったときは、市が払い戻しに応じるとのこと。また、外部委託を考えていた事務局の機能は、市の経済支援室が引き取ったそうです。

この結果、チケットとの理解で応援してくれる人が9割、寄付でも構わないと言う人が1割になると予想しています。事業設計としては、CFが持つリスキーな要素がなくなり、応援に対するリターンは安心な商品券でという形に落ち着きました。

この事業を4月に公表したとき、市はどうして「クラウドファンディング」を前面に押し出したのでしょうか? どうやら、いま流行(はやり)の仕掛けということで、採用されたようです。五十嵐さんはCFを制度設計の柱に据えましたが、詰めの作業で修正を迫られました。選挙が近づくと、面白いことが起きるものです。担当職員はお疲れ様でした。(経済ジャーナリスト)

9割の医療機関が減収 県保険医協会

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茨城県保険医協会=土浦市大町

【山崎実】県保険医協会(土浦市)が実施した新型コロナウイルスの影響に関する緊急アンケート調査で、外来患者の減少により、前年同期と比べ、約9割の医療機関で減収となっていることが分かった。

調査は5月7~12日に同協会会員の医科・歯科医師の1591医療機関を対象に行われ、554機関から回答があった(回答率35%)。

昨年4月と今年4月を比較したところ、まず外来患者数は「減った」が92.5%(医科90%、歯科95%)と全体の9割の医療機関で減少した。減少幅は30%未満が最も多かった。

特に歯科では、予約延期やキャンセルの依頼件数が8割の医療機関で「増えた」と回答した。

6月以降の経営に危機感

外来患者数の減少と平行して、減少傾向にあるのが保険診療の収入だ。昨年4月と比較すると今年4月は、全体で91.5%(医科88.9%、歯科94.2%)と9割超の医療機関が減収となった。

減収幅は、30%未満が全体で63.5%と6割を占めた。各医療機関からは「今後、職員給与の支払い、業者への支払いが大変」、「収入減少の中で、スタッフの雇用を維持することが厳しくなる」といった意見が寄せられ、少数だが従業員解雇も発生しているという。

保険診療収入は、2カ月後に支払われるので、4月の減収が反映されるのは6月下旬。このため6月以降の医院経営に影響が及ぶのではという危機感が強い。

減収補てんなど要望

今回の調査で、多くの医療機関が求めている支援策は、減収に伴う損失補てん、医院経営が厳しくなる中での人件費補助などだ。患者減や減収がさらに続けば、閉院を検討せざるを得ない医療機関も出かねない。

同協会では、最前線で感染症と闘う医療従事者に対する感染時補てんの充実を求めているが、会員からは「小規模診療所は1人医師が多く、感染したら休業を余儀なくされる。代診医派遣システムが必要」といった意見も寄せられている。

県医師会や県市長会なども、県、国に対し、医療機関への財政支援を強く求めている。

すきま時間で農業を シェアフルが県内農家の仕事紹介

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ハス田周辺の草刈りをする土浦市のレンコン農家、野口重典さん(シェアフル提供)

1日単位の仕事を紹介する「シェアフル」(東京都港区、大友潤社長)が、求職者に県内農家の仕事を紹介するマッチング支援を開始した。

同社は人材派遣などの総合人材サービス、パーソルグループで、短時間、短期間の仕事紹介に特化したマッチングサイトで知られる。

高齢化や人手不足に直面する農業の課題を解決しようと、農家が必要な時に必要な労働力を確保できる仕組みを提供する。一方これまで農業に携わる機会がなかった人が空き時間に作業することで、農業を身近に感じ就農人口の拡大を目指す。

具体的な作業内容として、草刈り、定植、収獲、仕分け、梱包、出荷などを予定している。

同社による農業のマッチング支援は山梨県、長野県に続いて全国3県目。

農業は、繁忙期には労働力が不足し、閑散期は人材が余るなど、繁閑の差が激しい業種といわれる。同社の強みである「短時間・短期間の仕事紹介」を生かそうと、農業分野に参入した。さらに新型コロナウイルスの感染拡大の中、農業は、休業ができないライフラインを担う産業であることから、農業を主力産業の一つとしている茨城県などで取り組みを開始した。

スタートに先立ち、トライアルとして5月25日から土浦市内のレンコン農家など2件に活用してもらった。そのうちの1件で同市のレンコン農家、野口重典さんは「土浦市はレンコン生産量日本一を誇るが、高齢の方や外国人技能実習生が多く就業している。土浦の未来、日本の農業の未来を考えていく上では若い方にも農業に参画してもらいたい。空いている時間だけでもいいので農作業に触れてもらい、農業を好きになってもらうきっかけをつくりたい。結果として長期的に就業してくれる方が増えていけば」などとコメントしている。

同社は「茨城県内で農業関係人口を創出し、県民の週末農家支援など柔軟な働き方ができるようバリエーションを拡大したい」などとし、さらに「就農者不足・後継者不足など全国の農業の問題を解決できるプラットフォームを目指し取り組みを続けていく」としている。

◆シェアフルの利用方法は、求職者は専用アプリから自分のスキマ時間を登録するとその日の仕事が表示される。企業はマイページから求人情報を掲載できる。詳しくはシェアフル

「父の日」に土浦の花を贈って 市長先頭に産地応援の呼びかけ

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展示コーナーでPRする安藤真理子土浦市長㊨と堤裕美主事=市役所ロビー(土浦市大和町)

【伊藤悦子】新型コロナウイルス感染拡大の影響から、出荷が大きく低迷した市内の花き農家を応援しようと、土浦市が安藤真理子市長を先頭に「父の日に土浦の花を送ろう」の呼び掛けを行っている。市役所1階ロビーには、市職員による手作りの展示コーナーが設けられ、市で栽培されたグラジオラス、アルストロメリアなど色とりどりの花が飾られている。

同市は北部の今泉地区などを中心に花き栽培がさかんで、グラジオラスは県の銘柄産地に、アルストロメリアは同銘柄推進産地に指定されているのをはじめ、ガーベラ、コギク、ヤナギ類などが生産されている。しかし、今季は卒業式や入学式、歓送迎会など多くのイベントが中止になったことから、花の需要が低迷、花き農家は大きな打撃を受けた。

アルストロメリアの出荷量は4月、前年同月の約21万本から約15万本に落ち込んだ。卸売価格も1本当たり27円が15円まで下落した。グラジオラスは昨年5月の出荷量が約28万本。今年はこれから出荷のピークを迎えるが、減少が予想される。卸売価格も105円から50円まで低下しているという。

このため、安藤市長は「新型コロナウイルスの影響で、市内の花き農家は大きな打撃を受けた。父の日にはぜひ地元の花を送ってほしい」と市民に呼びかけた。市長は15日、市のグラジオラスを持って県庁に出向き、大井川知事にも協力を要請する。

父の日とわかる飾り付け

今年の「父の日」は21日。花の展示は、市役所1階吹き抜けエスカレーター脇のスペースで24日ごろまで。花は毎週木曜日に入れ替えているが、予算の関係で台座や花瓶、看板などすべて職員の手作り。展示に使用しているワイシャツやネクタイ、靴などは市職員からの借りものだそうだ。

展示を担当した市産業部農林水産課振興係主事、堤裕美さんは「遠くからみても父の日とわかるように飾り付けた。梅雨の時期でもあり、少しでもさわやかな印象になるよう作った」と話している。

《茨城鉄道物語》2 まぼろしの筑波鉄道はいずこへ

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筑波線を走るディーゼル車両=「関東鉄道創立50周年記念」誌(1973年)表紙の一部

【コラム・塚本一也】私が小学生のころ(約45年前)、実家から最も近い繁華街は旧筑波町の北条であった。そこには旧大穂町の大曽根商店街よりもワンランク上の商店街が存在した。それはおもちゃ屋さんであったり、牛肉を販売する肉屋さんであったり、眼科などの専門医であったり、小学生には縁がなかったが接客の伴う飲食店であったりと、筑波山のお膝元ということもあって、生活必需品以上の品揃えの整った商店街が栄えていた。

中でも他の町村よりも際立っていたのは、鉄道が走っていたことであろう。県南の商都として発展した常磐線土浦駅と水戸線岩瀬駅を鉄路で結ぶ「筑波鉄道(1979年まで関東鉄道)筑波線」(営業キロ40.1キロ)が、1918年から1987年まで約70年間営業を続けていたのである。最盛期には常磐線や水戸線から直接客車が乗り入れて、筑波山観光に一役買っていたそうである。

その筑波線も1987年4月1日に国鉄分割民営化と共に、惜しまれながらもその歴史に幕を閉じることになったのである。世はバブル経済へ向かってひた走っている時代であり、ご当地の筑波線沿線地域も、つくば万博後の民間企業進出によって好景気時代を迎えていた。農家の庭先には父親のシーマ、息子のソアラ、お姉さんのプレリュードが所狭しと並んでおり、在京TV局が満杯の駐車場を備える天久保歓楽街に頻繁に取材に来ていたころである。「モータリゼーションの普及」の名のもとに、筑波鉄道筑波線は廃線の憂き目にあったのである。

残された観光資源の有効活用を

私は茨城県の県民性に「飽きっぽさ」を挙げることができると思っている。郷土の持つ豊かな自然環境と立地条件から、「いつでも何をしても食べていける」という考え方が根底にあるため、それまでの歴史や資産価値などにこだわらず、すぐに心変わりをしてしまうのである。それゆえに筑波線の存続もあっさりと諦めてしまったことは、他県の市電やローカル線が注目されている昨今では、本当に残念でならない。

しかし一方では、今から30年以上前のバブル経済初期に、誰が今日の環境問題や地方創生策を想定しただろうか、という思いもある。歴史に「たられば」は禁物だが、筑波線が残っていたのならば、つくばエクスプレス(TX)との接続やJR線との相互乗り入れなど、地域発展のための様々な選択肢が考えられたと思う。

昨年、筑波線の廃線跡地であるつくば霞ケ浦りんりんロードは、日本で3カ所しかないナショナルサイクルロードに指定された。筑波線開業から100年の時を経て、再び観光資源として脚光を浴びようとしているのである。今度こそ先見の明をもって、残された観光資源が有効に活用できるような未来を描くことが求められているのではないだろうか。(一級建築士)

学生と議員がコロナ禍の政策を討論 14日オンラインで

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今年1月に開催された議員・NPO交流会での議員と学生の討論の様子(ドットジェイピー茨城エリアつくば支部提供)

【岡本穂高】若者の投票率向上を目指し議員インターンシップなどを実施している学生団体、NPO法人ドットジェイピー茨城エリアつくば支部が14日、新型コロナウイルスの影響を受けた社会について討論する「議員交流会」を開催する。筑波大生ら26人と、つくば市など県南地域の市議会議員6人がビデオ会議アプリ、Zoom(ズーム)上で討論する。

「新型コロナウイルスによる教育の遅れ」「落ち込んだ経済をどう活性化させていくか」など、テーマごとに学生と議員が意見交換をし、国や地域がいかに対策を打つべきかを考える。さらに考えた政策をグループごとに発表し、実際に学生と議員が投票を行うことで、学生が選挙を身近に感じられるようにする。

ドットジェイピーは夏の議員インターンシップと併せて、現状の社会問題や背景を調べ、学生自身が政策を考える「未来国会」という政策立案コンテストを主催しており、議員交流会はその一環。例年、1カ所の会場に集まって開催しているが今年はビデオ会議形式で実施する。

今回の交流会は同コンテストの簡易版で、学生にとって身近な新型コロナウイルスの問題について意見を交わすことで、社会問題を考えるきっかけとする。つくば支部代表の筑波大2年の田邉渓太さんは「新型コロナウイルス感染拡大の影響がいまだ続く現在、若者の間でも政治への関心が高まっていると感じる。今回のイベントを通して学生が少しでも議員や政治を身近に感じてもらい、社会に問題提起を起こすきっかけになれば」と語る。

同支部は筑波大生を中心とした計13人で構成されており、年2回の議員・NPOインターンシップを運営している。交流会の様子は参加者のみに公開されるが、希望があればその様子を公開する予定。

《宍塚の里山》64 初夏の里山 「ぶらっと歩き」①

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宍塚の自然と歴史の会パンフ レット64

【コラム・及川ひろみ】今回は初夏の宍塚の里山の「ぶらっと歩き」です。出発は土浦学園線近くの「ふれあい農園」。農園近くには、親子で年間を通し活動をする「子ども田んぼ」、無農薬、無化学肥料、耕さない田んぼなど「自然農田んぼ塾の田んぼ」、そして農家の方が耕作する「宍塚米のオーナー制の田んぼ」と、3種類の田んぼが並んでいます。

田んぼの上空には里山の鷹「サシバ」が悠然と飛び、運がよければ田んぼのカエルを狙う姿が見られます。田んぼを過ぎると、若いアシが一面に広がるあるアシ原が広がります。アシ原ではオオヨシキリが「ぎょうぎょうし、ぎょうぎょうし」と、「仰々しい」の語源になったとされる賑やかなさえずりが聞かれます。

宍塚では、アシの上ではなく、近くの樹の枝で鳴いていることもしばしば。そんなときには、近くの木を仰ぎ見てください。オオヨシキリは一夫多妻(二妻)の鳥です。鳴いているのは雄、アシ原での子育ては複家族?

人の気配を感じると鳴き止んでしまうこともありますが、一時なりを潜めても間もなくまたけたたましく鳴き始めます。茶色で目立ちませんが、鳴いているときの口の中は真っ赤。驚くような赤さです。この赤色は仲間に元気であることを伝える手段といわれています。

カイツブリ、シジュウカラ、ヤマガラ…

ふれあい農園から小川沿いに歩き、最後少し坂を上がると、目の前に宍塚大池が広がります。大池ではカイツブリがキリッキリッ、キリリリと鋭く鳴き、雌雄が鳴きかわす声が池に響き渡っています。

そして、親の周りを泳ぐカイツブリの子どもも見られます。カイツブリの好物はアメリカザリガニ。今年、宍塚大池ではアメリカザリガニが大発生。ザリガニ好きのアオサギ、ゴイサギもよくみられます。

カイツブリ。何か異変を感じれば、ピッ、ピッと鋭い声で仲間に合図を送ることもしばしば。上空にはオオタカなどが小さな命を狙っています。生き延びることは大変。池のほとりの林では、キビタキが明るい声でピヨピ、 ピッピキ、ピピッピキピなどと、美しい鳴き声が聞かれます。

初夏の里山は木々が生い茂り、小鳥の姿を確かめることは難しいのですが、耳を澄ますと、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガなど、小鳥のさえずりをいろいろ聞くことができます。

新型コロナウイルス問題で遠くに出かけることがはばかられる昨今、親子、カップル、グループで里山歩きをされる方が増えています。身近なところにこんな素敵なところがあったと、大層驚かれる方もいます。じっくり里山をそぞろ歩きすると、日ごろ見落としていた小さな命、驚きの命にめぐり合えること請け合いです。(宍塚の自然と歴史の会代表)

障害学生の学習環境整備に緊急支援基金 筑波技術大学が募集

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筑波技術大学プロジェクトページの画面

【相澤冬樹】国内で唯一の聴覚障害者、視覚障害者のための大学、筑波技術大学(つくば市、石原保志学長)に緊急支援基金を求めるクラウドファンディングが11日立ちあがった。「障害学生へコロナで必要なサポートを」プロジェクトで、聴覚障害、視覚障害、盲ろうの学生に対して、遠隔授業を実施するための高度な情報保障(➡メモ)を伴う様々な設備環境の整備や、学生寄宿舎での生活維持のため、500万円をクラウドファンディングで募る。

新型コロナウイルスの感染拡大は、同大学で学ぶ学生たちへ大きな影響を与えており、新入生は学生寄宿舎への入居を見合わせている状況が続いている。5月末日現在、すべての授業を遠隔で実施しているが、通信の遅れによって手話がスムーズに動かないなど、コミュニュケーションが難しいケースも少なくないそう。さらに実習系の授業が行えないため、カリキュラムを予定通り進めていくことが大変になっているという。

不足500万円をクラウドファンディングで

大学ではすでに遠隔授業等で必要な通信機器の貸し出しや、学生寄宿舎の消毒作業などの支援を行い、筑波技術大学基金(「教育研究活動支援基金」「修学支援基金」)を通じて支援金を募っているが、基金全体予算1000万円のうち、なお500万円の財源が不足している。

このため国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」(レディーフォー)を運営するREADYFOR社(本社・東京都千代田区、米良はるか代表)との業務提携に基づき、第3の寄付金募集を開始した。これより先、READYFORの感染症拡大防止活動基金による助成が採択され、学生寄宿舎の消毒作業を業務委託、毎日消毒を行えるようになった。現在、学生寄宿舎には63人の聴覚・視覚障害学生が共同生活している。

今回のプロジェクトは、聴覚、視覚に障害がある学生に対して、①必要不可欠なコミュニケーションがとれる、双方向型の遠隔授業を実施するための学習環境整備②寄宿舎の学生に対する感染予防及び感染時に対応できるようにするため及び対面授業実施に向けた感染予防対策の備品購入―の資金に充当する。

大学によれば、今年度の授業開始に際して、学生には自宅の通信環境を整備すること、端末機器を用意することを要請したが、個々の経済的事情により、十分な環境を整備することができない学生もおり、まずは大学の備品(パソコン、タブレット、モバイルルータ等)を貸与した。ただ、双方向授業に適用可能なテレビ会議システムに対応する性能を有する機器を必要学生分用意することができず、一部学生においては授業で画像や音声に支障が生じる事態が発生しているということだ。

具体的な支援策としては、広角カメラ等の機材を用いた授業の検討、寄宿舎生活の健康管理や感染予防のための衛生用品や非接触型体温計の購入、アクリル板、フェイスシールドなど実験、演習等の対面授業に向けた感染予防対策品の購入などを想定している。

公開期間は11日から7月31日までの50日間。目標金額の達成の有無に関わらず、集まった寄付金を受け取ることができるALL-IN形式を採用。プロジェクトへの寄付は税制優遇の対象となる。

大学は11日、学長名で「聴覚、視覚に障害がある学生に対するオンライン授業では、双方向型のコミュニケーションが不可欠です。このための性能を有する機器を学生分、用意するための支援を皆さまにお願い申し上げる」とのコメントを発している。

➡プロジェクトページはこちら

  • 【メモ】情報保障 人間の「知る権利」を保障するもの。いつでも、誰も情報が伝わらない状況に陥る可能性がある。特に聴覚障害者は、音声によって提供される情報や会話を理解できないため、日常的に情報から疎外されてしまう。そのため、一般的に「情報保障」とは、聴覚障害者に対するコミュニケーション支援を指して用いられる。

近代俳人直筆の100点を展示 つくばで「色紙・短冊に見る俳句の世界」

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展示作品の一部。左から中村草田男、河東碧梧桐(2点)、水原秋櫻子、高浜虚子(3点)、高野素十(2点)

【池田充雄】つくば市吾妻の古書店ブックセンター・キャンパスで企画展「色紙・短冊に見る俳句の世界」が開催されている。6月末まで。入場無料。

代表の岡田富朗さん(84)が65年の古書店人生の中で集めた、75人約100点の短冊・色紙がショーケースに並ぶ。明治以降の主要な俳人はほぼ網羅しているそうで、「なるべくいろいろ見ていただこうと1作家1枚は必ず入れた。ほかにもご希望があれば出してお見せします」と岡田さん。

俳人の個性が書にも発露

いずれも作家の直筆で、人柄や作風が書にも表れている。例えば高浜虚子は筆の運びに疾走感があり、まさに俳壇の先導者らしい。茨城(取手市神住)生まれの高野素十は客観写生のお手本と言われ、書にも優等生的な素直さや真面目さがうかがえる。水原秋櫻子は繊細で鋭敏、中村草田男は伸びやかで力強い。ことさらに名は体を表すのが俳号といえる。

自由律の祖である河東碧梧桐は、書も奔放でけれん味がある。「赤い椿白い椿と落ちにけり」は代表作としてよく知られる。書を見ると紅白が絡み合った、いっそう鮮やかな光景が浮かんでくる。短冊の効果かもしれない。

店内には碧梧桐の色紙も飾っている「散る頃の桜となりのも咲きさそひ来る」 右は瀧井孝作(号は折柴)の句

小説家の作品もある。尾崎紅葉は美文家らしく書も流麗で、いかにも大先生にふさわしい。室生犀星は書体にも句にも素朴な温かみがあり、詩情を感じさせる。意外だったのは瀧井孝作。至極の恋愛小説とされる「無限抱擁」をこの字で書いたかと思うと驚かされるが、俳句は碧梧桐の弟子だったと知れば、少しは納得できる。

大学生らにも人気再燃

「短冊は句会などの折に即興的に書かれ、掛け軸ほど改まったものではないが、やはり人に見せることを意識している分、生原稿などと違って鑑賞のしがいがある」と岡田さん。筆文字の面白さがあり、向かい合った際の気分によっても、うれしいときや悲しいときで見え方が違うという。

「俳句は短い形式で、強烈な印象を残すところがすごいと思う。俳人以外の句もまた、流派や定型に縛られない魅力がある」とも話す。大学生ら若い人にも愛好者が増えており、特に種田山頭火や尾崎放哉ら自由律の作家に人気があるそうだ。

店内には近現代の俳人の句集や研究書も多く取り揃えている。素十では1947(昭和22)年発行の処女句集「初鴉(はつがらす)」もある。

  • ブックセンター・キャンパス つくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)午前10時~午後4時(火曜日定休)電話:029-851-8100

《映画探偵団》32 野口雨情作詞『爆弾三勇士』

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】雨情茨城民謡の謎を解くため、1930年代に作られた映画や1930年代を舞台にした映画を探して見ている。ある日、昭和初期を時代背景に作られた東映の任侠映画があったことに気が付いた。雨情と任侠映画はミスマッチであり盲点だった。

東映の任侠映画は『人生劇場 新飛車角』(1963)から始まる。TVの普及で斜陽となった日本映画界で観客を集め、『日本侠客伝』『昭和残侠伝』『緋牡丹博徒』などのシリーズ物を生みブームは約10年間続いた。だが当時の映画評論家や文化人からは毛嫌いされ、批判の的だった。

鶴田浩二主演『博奕打ち 総長賭博』

ところが、作家の三島由紀夫がある任侠映画を絶賛したところから潮目が変わる。お墨付きを得たからだ。「何という絶対的肯定の中にギリギリに仕組まれた悲劇であろう。しかも、その悲劇は何とすみずみまで、あたかも古典劇のように、人間的真実に叶っていることだろう」

三島が評価した作品とは、ギリシャ悲劇を参考にした笠原和夫脚本、様式美で描いた山下耕作監督の『博奕打ち 総長賭博』(1968)である。

昭和10年、東京江東地区に縄張りを持つ天竜一家の総長が脳溢血(いっけつ)で倒れ、跡目相続問題が起きる。一門の組長でそれぞれ兄弟盃(さかずき)を交わした、中井(鶴田浩二)、松田(若山富三郞)、石戸(名和宏)が総長候補である。

中井の妹は松田の妻、石戸の嫁は総長の娘という関係。さらに一門の叔父貴分の仙波(金子信雄)は、大陸進出の野望を秘め、何かと口を出す。そして総長は石戸に決まり、中井は様々なしがらみに縛られ、花会の準備を進める。

何度か見ていた作品だが、今回初めて気が付いたカットがあった。中井を差し置いて総長の座を受けた石戸に不満のある松田が、自分を狙った刺客は石戸の差しがねと思い込み、事務所に押しかける場面だ。

そこに「ビクターレコード 歌藤原義江 野口雨情作詞 中山晋平作曲」のポスターが貼ってあったのだ。残念ながら、曲名は柱の陰になってわからない。昭和10年は、雨情が日本民謡協会を再興し理事長に就任した年である。

上海事変 満州建国 団琢磨暗殺

その3年前、昭和7年(1932)1月28日に「上海事変」が起きる。3日後の1月31日、2月2日に、雨情は竜ケ崎のまちおこし民謡『今朝も別れか』(常陸竜ケ崎音頭)と『竜ケ崎小唄』を作詞している。2曲は、男と2人の女との別れと出逢いを描いた恋歌である。

2月9日には前蔵相、井上準之助暗殺。2月22日上海事変で肉弾三勇士の戦死を軍部が発表。3月1日満州国の建国宣言。3月5日三井合名理事長、団琢磨暗殺。

時代はテロと大陸進出とで騒然とした雰囲気だった。こうした中でまちおこし民謡をつくる雨情は、大陸での出来事をどう意識していたのだろうか。雨情は昭和7年、『幼年倶楽部』7月号に『爆弾三勇士』の詩を発表する。「上海事変」で爆弾抱えて突撃し亡くなった3人の男の詩だ。

くもの巣よりも なほしげく
縦横無尽に はられたる

鉄条網を うちながめ
にくや 小しゃくな 十九路軍

日本男児の この意気を
今こそ見せん 時は来ぬ
(以下略)

雨情茨城民謡は、日本とアジア大陸とのしがらみの中で読み直せば、いろんな映像が見えてくるのではないかと思っている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

福祉施設の商品買って! 県社協若手が応援キャンペーン

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茨城県社協のキャンペーンサイトから

【山崎実】茨城県社会福祉協議会(水戸市千波町)の若手職員有志による「新型コロナウイルスに負けない!『福祉施設の商品を買って応援!キャンペーン』」が展開されている。

感染拡大でイベントの中止や店舗営業の縮小が相次ぎ、障害者が福祉作業所などで作っている菓子やパン、弁当などを販売する機会が激減。商品が在庫となっているほか、工賃も減り、仕事と生きがいが失われていることを懸念し、若手職員らが「一助になれば」と立ち上がった。

具体的には、在庫商品などの販売に支障をきたしている県内の就労支援事業所が、県社協のホームぺージ(HP)に事業所名、商品名、販売方法などを掲載する(掲載料は無料)。

応募キャンペーは当面6月末日まで。購入希望者は直接、事業所に問い合わせる。県社協では販売しない。

掲載を希望する事業所は、商品掲載依頼申込書に、商品原稿を電子メールにより添付して提出する。

問い合わせは県社会福祉協議会CI会(シーアイ)、電話029-244-3755)

➡県社会福祉協議会「福祉施設の商品を買って応援!キャンペーン」のHPはこちら

【赤青白のサギの群れ】㊦ 「アマビエ」似? アオサギが街を飛ぶ

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「アマビエ似かは分からないけど…」アオサギの生態を解説する益子美由希さん=つくば・農研機構中央農研センター

【相澤冬樹】鷺山のある桜川は、学園大橋下流から土浦市の中心市街地を抜けて霞ケ浦に注ぐ。サギ類は市民生活と隣り合わせで暮らす身近な鳥となってきた。それでも市街地上空を飛翔していくアオサギのいかつい姿にはなかなか慣れることができず、いつもぎょっとさせられる。

体長が1メートルほど、翼を広げると長さ150―170センチにもなる大型の鳥。後頭に黒い羽毛が伸長(冠羽)し、繋がるように眉状の黒い筋模様(眉斑)が入る。アオサギは桜川の鷺山には加わらず、周辺の里山で樹上生活をしているが、木の上にじっとたたずむシルエットが、疫病退散の妖怪として話題の「アマビエ」に似ているというものまでいる。

農研機構中央農業研究センター(つくば市)の研究員、益子美由希さん(34)を訪ねた。コロニー(集団繁殖地)を作って暮らすサギ類の生態に詳しい。茨城県内のサギについては筑波大学の生命環境科学研究科が1980年代から、コロニーやねぐらの分布を調査してきた。益子さんは学生時代の2008年から、その調査を引き継ぎ、大学院を経て今の研究生活に至るまで、調査を継続している。

調査対象にはアオサギも含まれており、県内での増加傾向を定量的にとらえた。「サギ類にかかわらず近年、大型の鳥類が個体数を増やす傾向にある。サギ類でみると、小型のアマサギ、コサギが減っているなかで、ダイサギ、アオサギに増加傾向が見られる」と自作のグラフを見せてくれた。

茨城県周辺でのコロニー性サギ類6種の推定個体数の変化=出典:Mashiko & Toquenaga (2013) Forktail 29:71–77より改変(農研機構提供)

データは、フィールドワークで丹念に採取される。コロニー上空に小型ラジコンを飛ばし空撮を行い、緑地のなかで白い点に写った鳥の数をカウントする。地上からも飛び立つサギを種類ごとに数え、その比率からコロニーにおける6種の個体数を推定する。これを毎年、茨城県内で形成される約20カ所の営巣地で行った。

アオサギは6種中もっとも少ない個体数だったのが、近年チュウサギ、ゴイサギに次ぐ第3勢力に拡大した。論文発表済の2011年まで(2005年は空撮コロニー数が少ないため除外)をイラストグラフ化しているが、アオサギの増勢はその後も続いている。

動物食のサギに格好のえさ場

「以前は農薬散布が捕食動物の生息数の増減に影響を与えたが、今は農薬の影響は少ない。大型になるほど天敵が減って生態系のなかで優位に立つということではないか。えさ場の多い土浦周辺では増える要素が十分にある」と益子さん。

中央農研にはこの4月に移ったばかりだが、新型コロナウイルスの影響からフィールドワークに出にくく、研究者としては羽を休める日々が続いている。所属は鳥獣害グループ。今後は調査研究の対象をカモ類などにも広げたい意欲をもっている。

「サギは田んぼや畑で虫やカエル、ザリガニなどを食べて暮らす。基本は動物食なんです。土浦あたりに多いハス田は一年中水が張られ、えさが取りやすいから大好きなんだけど、植物のレンコンを食べることはない。農作物にとってはむしろ益鳥です」(益子さん)

しかし、これだけ市街地に近い場所に、サギ類のコロニーが作られるようになると、周辺の住民にふんや鳴き声、臭いなどの生活被害をもたらす懸念は小さくない。

現状、サギは鳥獣保護法により、許可なく捕獲したり、巣を落としたりすることが禁じられている。カラスやカルガモを駆除の対象とする土浦市・かすみがうら市鳥獣被害防止計画にも、アオサギをはじめとするサギ類の記載はない。この先もヒトはサギとの適切な距離感(ディスタンス)を保って、お隣付き合いを続けていけるだろうか。

【オンライン授業奮闘記】教育現場から考える(下) 『徒然草』の伝え

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必携となったフェースシールド

【田中めぐみ】土浦市内の小中学校、義務教育学校では今週から通常登校となった。土浦日本大学中等教育学校でもオンライン授業をひとまず終了し、通常登校が始まる。新しい学校生活様式はどのようになるのだろうか。

感染を防ぐ教室環境の整備

生徒も教職員も登校前に体温を測定し、登下校時や学校にいる間はマスクを必ず着用する。教職員にはフェースシールドの用意もある。昇降口や教室、職員室にはアルコールを置き、手指を消毒できるようにしている。手洗いの徹底、こまめな水分の補給も指導する。ドアの取っ手やスイッチ、階段の手すりなど生徒が手を触れる場所は教職員が1日1回以上消毒を行う。

さらに、教室はできるかぎり2方向の窓を同時に開けて換気しなければならない。しかし、これからの時期、雨風の強い日、蒸し暑い日は一体どうなるのだろう。マスクをしたままの活動は熱中症の危険もある。エアコンを適宜使用し、快適な教室環境を守りつつも感染を防ぐ配慮が必要となってくる。

制限される国語の活動

近距離で一斉に大きな声で話す活動はできない。国語の授業では全員一斉に大きな声で教科書を朗読したり、活用表を読み上げたりすることがある。今までは生徒たちに「もっと大きな声で言ってみよう」などと促していたが、このような音読活動はしばらく控えるべきだろう。

複数の生徒が近距離で話す活動も「密集」「密接」になるおそれがある。発表したり話合わせたりする活動は、これまでグループワークで行ってきたが、それも当面は見合わせることとなる。生徒が楽しみにし、毎年白熱する百人一首のかるたも現状ではできないだろう。

課題の提出・採点にオンライン利用

生徒同士が持ち物を共有したり、個人の持ち物に触れたりすることも良くない。これまでノートや課題などの回収を生徒に任せることがあったが、回収係の生徒を感染のリスクにさらすことになるかもしれない。回収用のボックスを作り、各自入れてもらうなどの工夫が必要だ。もしくはGoogle Classroom(グーグル・クラスルーム=課題のオンライン管理システム)を用いる。先月は作文の課題を配信した。

生徒は課題についての質問をチャット形式で教員に送ることができ、提出もオンラインでできる。採点結果やコメントもシステム内でフィードバックされるので感染の不安がない。

非常事態だからこそ学びを

兼好法師『徒然草』に「世に語り伝ふること」という段があり、高校2年生と読んでいる。冒頭に「世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言(そらごと)なり」とある。世の中で語り伝えられていることは嘘が多い、というのである。

また、こうもある。「よき人はあやしきことを語らず」―教養がある人は疑わしいことを語らない、と。『徒然草』の別の段には、発熱する疫病が流行しそれに伴って鬼を見たというデマが流れ、人々が騒然としたという記述もある。鎌倉時代に書かれたこの古典を、生徒らはどのように考えるだろうか。

テレビやインターネットに様々な情報があふれる今、子どもは放っておくとSNSや動画サイトなどで、特定の情報にばかりにアクセスしてしまう。不確かな情報が飛び交う中、必要以上に不安を煽(あお)られたり、反対に感染の危険性を軽視したりすることもあるだろう。

学校では様々な問題、課題に触れ、情報の扱い方について学んでいく。根拠を示した意見と感想の違い、一次情報と二次、三次情報の違いなど、様々な教科で考え、新たな視点を手に入れていく。自分を取り巻く状況について考え、問題を解決しようとする主体性を身に付ければ、フェイクニュースに躍らされることもない。また、もし身近に感染者が出てしまった場合、差別をしたり誹謗中傷をしたりすることは絶対にあってはならないことだが、正しい知識を持つことは偏見を防ぐことにもつながる。このような非常事態だからこそ、学ぶことには大きな意味がある。

今後、感染拡大の第2波、第3波の可能性もあるといわれている。オンラインの備えをしながら感染を防ぎ、より良い学校生活を送るにはどうすればよいのか。教材を通じて、生徒らと共に考えたいと思っている。

《続・平熱日記》63 我流養生訓

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【コラム・斉藤裕之】玄関から上がって「?」。何か踏んだな。よく見ると大きな犬の歯。フーちゃんの歯。

フーちゃんはこの家を建てた次の年の春にやってきた。だから満17歳。歯も何本か失ったが、今は目も耳もほとんど利かないのだろう。呼んでもあらぬ方向を見つめたり、帰宅しても気づかずに寝ていたりする。おむつもするようになった。

それでも、とにかく食欲は旺盛なのだが足腰が弱っているので、食べている間にだんだんと手足がハの字に開いていってしまう。しまいには全開脚して、すっかり這いつくばったまま、それでも食べ続ける。

ひょいと尻尾を持って引っ張り上げて、足が開かないように私の足を両の後ろ脚の外側に添えてやると、なんとか姿勢を保ちながら、えさの入った洗面器を空にする。

洗濯物干しスクワット

実は私も、今年になってどうも左の膝に違和感を覚える。余談だが、こういうときにちょっと人に聞いてみるのはよいとして、最近ではSNSで体調が悪いだの、病院に行きましたとか、家族がどうしたとか呟くのはどうかと思う。

どこの家にも、具合の悪いことは一つや二つあるものだ。世の中がそんな投稿で溢れてはかなわない。私の場合、これまでケガなどの経験は人より多いと思っていて、大概(たいがい)自分流に対処してきた。

しかし今回は違う。明らかに経年劣化。それから確実に運動不足。だからといって、ウォーキングやジムに通うのはどうも。本来は、水汲みや雑巾がけなど、日々の暮らしの中に肉体労働がバランスよく入っているのが理想なのだが、生憎(あいにく)そこまで不便な暮らしでもない。そこで、私が毎朝密かに始めたのが、名付けて「洗濯物干しスクワット」である。

洗濯はもう十数年来私の役目。娘たちがいたころとは違い、夫婦2人の洗濯物は実にシンプルで、下着や靴下は洗濯ばさみが十(とお)も付いた小さな物干しハンガーで十分だ。

そのハンガーは床から60センチほどの高さにぶら下げてある。まずはカミさんの下着を持ってゆっくりしゃがむ。足は肩幅。一番きついところでキープして、洗濯ばさみでとめる。ゆっくり立ち上がって次は私のパンツ。そして靴下…。都合10回ワンセット。ポイントは呼吸法と膝を締めて開かないこと。すぐそばで寝ているカミさんに気付かれないこと。これだけで意外に効く。ライバルは三浦雄一郎、目指すは千代の富士の肩というところか。

抜けた愛犬の歯と私の歯

それから、フーちゃんの抜けた歯は、いつか描くこともあろうかと集められたガラクタどもと一緒に、アトリエの机の上に置いた。その横には自然に抜けてしまった私の歯も並んでいる。まさかこれを描くことはないが、生え変わることを願って放り投げることもないし。

さて今年も定期検診に行ってきた。何も問題はなかった。気がかりなのはやはり膝だ。そこで、洗濯物干しスクワットに加えて、台所仕事にもひと工夫して下半身を鍛えようと思う。今日から夕飯は「中腰料理」である。コラーゲンの有無はともかくも、シェフの膝はプルプルである。(画家)