水曜日, 11月 12, 2025
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土浦の子育てをアプリでフルサポート 「つちまるKids」導入

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記者会見をする安藤真理子市長=10日、土浦市役所

土浦市、安藤真理子市長の定例会見が10日、同市役所で開かれた。安藤市長は、スマートフォンを活用した子育てアプリ「つちまるKids(キッズ)」を同日から導入すると発表した。

携帯電話向けモバイルコンテンツ配信会社、エムティーアイ(東京都新宿区)が開発、運営している母子手帳アプリ「母子モ(ボシモ)」を土浦市版として提供する。

市に住む子育て中の両親を妊娠中からサポートする。市の子育て支援施設や公園などでのイベント情報、補助金や子育て支援制度、災害時の緊急情報など育児に必要な情報を配信する。

妊婦や赤ちゃんの体重を自動でグラフ化することもでき、変化に応じ医師監修のメッセージが表示される。子どもの誕生日に応じた予防注射のスケジュールを自動調整し、接種日をプッシュ機能で知らせる。

妊娠中の思い出や赤ちゃんの成長記録、記念日などの写真もコメント付きで保存できる。離れて暮らす祖父母らと共有も可能だ。

既存の母子手帳を、アプリの機能を利用して補完するもので、県内市町村で導入するのは13番目。利用料金は無料。

日本語のほかに、英語、中国語、スペイン語、韓国語、ポルトガル語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ロシア語、ネパール語の12言語に対応している。

初の土浦現代美術作家展を開催

会見ではほかに「土浦現代美術作家展」が6月3日から、市民ギャラリー(同市大和町)で開催されると発表があった。1947年に始まった県内で最も歴史のある市民公募展「土浦市美術展」で奨励賞を3回以上授与され、鑑査なしで同展に出品できるなど、市内外で活躍している作家ら81名による初めての展覧会となる。

会期は2期に分けられる。第1会期は6月3~13日で、日本画、美術工芸、書が42点、第2会期は6月17~27日で、洋画、彫刻、写真が43点展示される。(伊藤 悦子)

災害時に備え保管も 医療的ケア児相談窓口を開設 つくば市

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医療的ケア児者に特化した災害時対応ガイドブック

つくば市は「医療的ケア児等相談窓口」を今年3月開設した。人工呼吸器や痰(たん)吸引など医療的ケアが日常的に必要な子どもと家族を対象に、生活する上で受けられる公的サービスの紹介や、就園・就学の際に必要な支援をスムーズに受けられるように相談に応じる。

相談窓口を一元化

つくば市に住む18歳未満の医療的ケア児は、市が把握しているだけで36人。今まで医療的ケア児について相談したいときは、医療の相談は病院や保健センター、福祉サービスの相談は障害福祉課など、相談窓口が分かれていた。今回、新しく相談窓口が開設されたことで、窓口を一元化することができ、ここに相談すれば、医療機関や保育園、福祉サービスなどにつながることができるようになった。

新しい相談窓口について、市内の医療的ケア児の親の会「かけはしねっと」代表の根本希美子さん(43)は「医療的ケアが必要な子どもでも、身体的機能の障害は軽い場合もあり、制度の枠で考えるとどこに相談すればいいか迷う家庭もある。医療的ケア児に特化した相談窓口はありがたい」と話す。

災害時に自宅や避難所にお届け

相談窓口では、痰吸引に必要なチューブや胃ろう等の経管用栄養剤など医療的ケア用品を、1家庭に付き約1日分、市役所で事前に預かり、災害時に自宅や避難所まで可能な限り届ける事業も開始した。災害時に備えて消耗品の予備を保管している家庭も多いが、家庭と市役所で分散して保管することで、外出先で災害に遭った場合にも医療的ケア用品を入手しやすくなる。

また、医療的ケア児者に特化した災害時対応ガイドブック・ノートを作成し、相談窓口やホームページで配布している。ガイドブックには一般的な防災知識のほか、停電時の電源確保の方法など、災害時も医療的ケアを続けるために必要な情報を掲載している。ノートには普段の医療的ケアの情報を書き込めるようになっていて、初めて本人に接する医療者でもノートを見れば対応できる。

5月6日時点で、具体的な相談を受け付けたケースはまだないが、2家族が医療的ケア用品を預けに来て、災害時対応ガイドブック等を受け取った。相談の受付は原則18歳以下の子どもと家族が対象だが、医療的ケア用品保管事業と災害時対応ガイドブック等は、医療的ケアの必要な成人も利用できる。

「かけはしねっと」の根本さんも、息子の医療的ケア用品を市役所に預けた。「息子は決まった時間に胃ろうから栄養注入をする必要があるが、災害発生時にデイサービスなど家族と離れた場所にいた場合、すぐに息子がいる場所に駆け付けられるか分からない。市役所からも必要な用品を届けてもらうことができるのは安心」と根本さんは話す。(川端舞)

➡医療的ケアに関する過去記事はこちら(2020年3月10日付

ほんとうに海に流してしまっていいのですか 《邑から日本を見る》87

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エネルギーの地産地消を目指す飯舘電力

【コラム・先﨑千尋】表題を福島県いわき市で発行されている「日々の新聞」4月30日号から借用した。同紙はこの号で「汚染水の海洋放出」を特集しており、12ページの紙面のうち実に11ページを使っている。発行者の安竜昌弘さんはいわき市で地方紙の記者をしていたが、そのあり方に疑問を持ち、2003年に「日々の新聞」を創刊した。現在は大越章子記者と2人で紙面をつくっている。

タブーのない、個の思いが詰まった新聞づくりをしていて、毎号届くのが楽しみだ。紙面の下には「海洋放出反対の理由」、「放射能汚染水で海を汚さないで」など、他の新聞にはほとんど見ることのない意見広告も載っている。

同紙は1面で「ほんとうに海に流してしまっていいのですか」と読者に問いかけ、2面で「海洋放出の反対はいささかも変わらない」と主張。これまでの経過をたどり、トリチウムなどを含む汚染水の説明、いわき市漁協の江川章組合長ら4人の話を載せている。

このほか、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道さんの「トリチウムの海洋放出は人間の遺伝子組み換えによる殺人行為」という寄稿文があり、『被曝インフォデミック』という西尾さんの本を紹介している。

それによると、「トリチウムは原発から近いほど濃度が高く、生態系の食物連鎖の過程で生物濃縮する。トリチウムは人のDNAを構成している塩基の化学構造式まで変えてしまう。(これは)人間の遺伝子組み換えを行っていること。処理コストが安いからといって海洋放出することは、人類に対する緩慢な殺人行為」と警告している。

これらを受けて、安竜さんは最後に「一番は、海に流される液体の正体をきちんと知ることだ。これで引き下がっていいのか。他人事ではない」と訴えている。

国は水俣病の経験をなぜ活かせないのか

生体濃縮の怖さを指摘したのは水俣病患者たちだ。東京電力福島第1原発の処理水を海に流す政府の方針に対し、熊本、新潟両県の水俣病患者9団体などでつくる「水俣病被害者・支援者連絡会」は4月19日に反対声明を発表した。水銀を含む工場排水の海や川への放出が水俣病の原因になったことを踏まえ、国と東電は「同じ過ちを繰り返そうとしている」と抗議し、国に白紙撤回を求める要請書を提出した。

声明では、政府が放射性物質のトリチウムを含む水を希釈して海洋放出する方針を示していることについて、「希釈しても(トリチウムの)総量が減るわけではない。(食物連鎖によって濃縮する)生体濃縮でメチル水銀が人体に影響を及ぼした事実を私たちは水俣で経験した。(トリチウムなどの)人体への影響が明確になっていない段階での放出は許されない」と訴えた。

トリチウム汚染水をどれだけ薄めても、総量は変わらないという水俣病患者たちの指摘に注目したい。

水俣病はチッソ水俣工場が海へ流した工場排水に含まれるメチル水銀によって引き起こされた。1956年に公式に水俣病の発生が確認されたが、チッソは「八代海への排出に伴い、水銀は海中で希釈される」と主張していた。65年には昭和電工鹿瀬工場(新潟県)の廃水を原因とする新潟水俣病も確認されている。国は水俣病の経験をどうして活かせないのか。(元瓜連町長)

ロボッツ、B1昇格へ王手 プレーオフで佐賀に連勝

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第1Q、トラソリーニのシュートが決まる(撮影/高橋浩一)

男子プロバスケットボールB2リーグのプレーオフ準々決勝、東地区2位の茨城ロボッツは、西地区3位の佐賀バルーナーズと、ホームのアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町)で対戦。8日の第1戦は101-93、9日の第2戦は86-79で連勝し、準決勝へ勝ち進んだ。いよいよあと2勝で、悲願のB1昇格が決まる。

2020-21 B2リーグプレーオフ準々決勝(9日、アダストリアみとアリーナ)
茨城 86-79 佐賀
茨 城 |21|14|26|25|=86
佐 賀 |16|16|17|30|=79

第4Q、得点に喜ぶ茨城ベンチの遥天翼ら(同)

前日のハイスコアゲームから一転、互いに厳しい守備が光る緊迫した展開。茨城のリチャード・グレスマンヘッドコーチ(HC)は「今日は相手を80点以下に抑え、リバウンドでは13本も上回ることができた。良いディフェンスができた証拠であり、ここまでできれば間違いなく勝てる」と自信を見せた。

先発メンバーの中でも特にアブドゥーラ・クウソーと鶴巻啓太が素晴らしい守備でインパクトをもたらし、また短い時間で次々と選手が入れ替わりながら、各人がそれぞれにチームにエネルギーを与え、序盤からゲームの流れを引き寄せることに成功した。「レギュラーシーズンよりも、より相手とのマッチアップを考えながら起用した。多くの選手を起用することには難しさもあるが、個々の能力の素晴らしさと層の厚さは、他のチームにない我々の強みだと思う」とグレスマンHC。

第2Q、平尾が相手陣内に切り込む(同)

第1クオーター(Q)で茨城は早くも7点差をつけたが、負けたら後がない佐賀もしつこく食い下がる。フリースローや3点シュートなどで次第に差を詰められ、第2Q後半から第3Qにかけては競り合う展開。特に厳しかったのがガルシアの体を張ったインサイドアタックで、これにディフェンスファウルを取られてバスケットカウントを許してしまう。

その後茨城は、同様な場面をクリーンな対応でしのげるようになり、第3Q終盤には福澤晃平と小林大祐の3点シュートを含む4連続得点で一気に点差を12まで広げる。第4Qには佐賀の激しい追い上げに遭うが、点差を縮めるには至らず、茨城が勝利を手にした。主な個人スコアはマーク・トラソリーニの25得点10リバウンド、福澤と平尾充庸の18得点、小寺ハミルトンゲイリーの13リバウンドなど。

第2Q、福澤が相手DFと渡り合う(同)

準決勝はホームで仙台と

次の準決勝戦、相手はワイルドカードから西地区1位の西宮ストークスを倒して勝ち上がった仙台89ersと決まった。このため日程は15日から、会場は再びアダストリアみとアリーナ。平尾主将は「仙台はリバウンドが強く、中を起点に外のシュートもあるバランスのとれたチーム。相手のビッグマンに簡単にボールを持たせないよう細かいところを大事にしていきたい」と警戒しながら、「お客さんがいい空気を作ってくれるので、後は自分たちが勝つだけ。皆さんの記憶に残るゲームにしたい」と、ホームでの昇格を全力で勝ち取ることを誓った。(池田充雄)

コーヒーのこと 《続・平熱日記》85

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【コラム・斉藤裕之】母は当時では珍しく料理学校に通っていて、先生の「お免状」のようなものを持っていた。覚えているのは地方テレビの料理番組に出演したことだ。何を作ったのかは覚えていないが、幼かった私は出来上がったものを食べて、カメラに向かって「おいしい」と言う役であった記憶がある。祖母をはじめ親戚のおばちゃんがおめかしして放送局にはせ参じていたのも覚えている。

そんな母が作る高校生の時の弁当の話。なぜか私の卵焼きは茶色い。腐っているのか? いや味は悪くない。不思議に思いながら、それほど気にもしなかった。しかしある時、謎は解けた。母が卵焼きを作るときに使う、砂糖の缶に入っているスプーン。そのスプーンの先には茶色いものが…。

その正体は、なんとインスタントコーヒー。おそらく母は同じスプーンでコーヒーも砂糖もすくってマゼマゼしていたせいで、卵焼きがコーヒー色に染まっていたというわけだ。なんともずぼらな母に、その時は腹も立ったが、後にはある意味での母のおおらかさとして思い出に残る逸話となった。

それから、一番長くやったアルバイトはコーヒー屋さん。20歳そこそこのころ、所は新宿。予備校に近いという理由だった。場所柄、今風に言えばジェンダーレスなお兄さんやお姉さんも常連で、時代に先駆けてダイバーシティを学ばせていただいた? そういえば、当時常連のお客さんにプロレス関係のお偉いさんがいて、やたら誘われたのを思い出した。

「サイトウコーヒー」は20周年

そして、火曜日の朝出かけるのは「サイトウコーヒー」。よく親戚ですかと聞かれるが、親戚以上に付き合いのある他人だ。

奥から2つ目のカウンターに座る。そうすると、ミルクのちょっと入ったコーヒーが出てきて、それをすすっていると、おなじみさんがひとり、ふたりとカウンターに。話しかけるときもあればそうでないときもある。このお店がこの5月で20周年を迎えるという。

ギャラリーを併設したカフェを始めると聞いて、「文化はカフェで生まれるんだよ」なんて、当時フランス帰りの私としては、サンジェルマン・デ・プレのカフェに集った文化人の話でもしたような気がするが…。

男気あふれるマスターは信頼厚く、こだわりの自家焙煎珈琲屋としてはもちろん、牛久の文化発信基地として知る人ぞ知る店となった。かくいう私も、「平熱日記展」をはじめ、仲間とTシャツ展を開かせてもらったり、ここはいろんな人や作品と出会って刺激を受ける場となった。

というわけで、風薫る吉日にささやかな記念イベントを催したいと言うので、記念の手ぬぐいを作ってさしあげた。いろいろ考えたが、カッパたちが遊園地のコーヒーカップに乗って楽しんでいる絵を描いた。それから、ずいぶんと久しぶりになるが、買ったばかりの軽トラにヘーベル窯を積んで、お店の駐車場でピザを焼いてあげることにした。

なにせ、ここの娘が「一番おいしいピザ!」と言ってくれるそうだから、焼きに行くしかあんめえ。(画家)

自然死の介護体験 《くずかごの唄》85

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】わが家の愛犬「ミミ」、外へ行きたくなると鎖を引きちぎって脱走する。散歩が大好きで、朝早く、ワンワンほえて散歩の催促をする。平成15年(2003)3月3日生まれの雌の野犬。18歳(人間にすると100歳に近い)なのに、昨年末まですこぶる元気がよかった。

今年の1月半ば、後ろ足がおかしくなって歩けなってしまったが、前足をひっかいて結構移動する。歩けなくなって一番困るのがウンチとオシッコ。それまでは犬の紙おむつというものが世の中に存在するのさえ知らなかった。ペットショップコーナーへ行ってみて驚いた。尻尾の大きさによって大中小の穴の開いた紙おむつが、たくさん並んでいる。

庭の犬小屋は寒いので家の中に連れてくる。おむつがぬれたり、ウンチがついたりすると気持ちが悪いらしく、ほえるのですぐわかる。鎖をやめても、2メートルくらい前足で移動してしまう。元の位置に戻すと怒る。

よく食べるのに体は骨と皮。肉がほとんどない。肉がないのに移動するせいか、褥瘡(じょくそう)が方々にできてしまった。中には化膿(かのう)した褥瘡もあり、よく洗って拭いて、抗生物質の軟こう、亜鉛華軟こうなど、いろいろ塗ってみる。人間と違って、犬は毛が生えているので、膿(うみ)を拭き取ったりするのに人間より時間がかかる。3月末に褥瘡は8か所になってしまった。

愛犬ミミちゃんありがとう

食べ物もペット用の介護食。固体、半固体、流動食、いろいろな種類のものが売っている。材料も鶏肉入り、豚肉いり、チーズ入りなどと凝ったものもある。値段もかなり高価だ。

犬は鼻がいい。その日食べたくなる餌の好みの匂いが問題だ。何種類も買ってきて用意し、その日食べてくれるものを口に押し込む。歯は健在でかむ力は最後までかなり強かったので、食べさせながら自分の手の指を何回もかまれてしまった。立てなくなってからは水が飲めないので、水は注射ポンプの太いもので口の中に入れてあげる。

4月。目も真っ白。白内障でほとんど見えなくなってしまった。「ミミちゃん」呼ぶと反応したのに、反応しなくなる。4月末、ほえなくなる。5月2日、とうとうご臨終を迎える。私の腕の中で、満足そうな顔をしながら少しずつ冷たくなっていくミミちゃん。

自然死というものはどういうものか。介護体験をしながら、いろいろ考えさせられた。「ミミちゃんありがとう」。(随筆家、薬剤師)

水面に浮かぶシャクヤク8000輪 つくば牡丹園 会期後半のハイライトへ

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花が水面を埋めた昨年のシャクヤク池=つくば牡丹園提供

花季がボタンからシャクヤクに移った「つくば牡丹園」(つくば市若栗、関浩一園長)に8日、ファン待望のシャクヤク池がお目見えする。6万平方メートルを超す敷地にボタン、シャクヤク合わせて約800種、6万株を栽培する同園、今シーズンは4月17日オープンし、5月23日まで開園している。

花季のほぼ1カ月間だけ開園する会期中、後半のハイライトとなるのが、水面に約8000輪のシャクヤクを浮かべる企画だ。8、9日を皮切りに、15、16日、22、23日の毎週末行われる。

花は、稲敷市のシャクヤク農家で育てられたもので、市場への出荷時期を過ぎた分を譲り受けている。市場へは通常、つぼみの状態で出荷されるが、咲いてしまった分は翌年に備えて花摘みを行う。その作業を牡丹園スタッフが手伝い、園に持ち帰って企画に用いる。

池には竹で組んだかごに花を盛って花いかだを作り、全部で15かごほどを池に流し浮かべる。2018年に3000輪ほどで試行的に行い、翌年は5000輪と数を増やし、昨年は1万輪にまで数を増やした。

コロナ禍に見舞われた昨季は特に4月中、全国的な緊急事態宣言が発出されたことから例年の3割ほどに客足がダウンした。それでもシャクヤク池を待望するファンたちが足を運んでくれたことで、「後半の持ち直しを支えた」(関園長)という。

赤、白、黄の花々に彩られた園内(7日撮影)

7日には夕刻、シャクヤクが届き、閉園前に花いかだを組む予定で、雨模様にも関わらず入園のシーズンパスを持つ常連客らが顔をのぞかせた。筑西市の櫻井郁夫さん(65)は「今シーズンはまだ7回しか来ていない。来るたびに同じ場所でも雰囲気が変わるのがだいご味だ」という。

同園の大人入園料は1000円だが、シーズンパスは1800円(ともに税込み)で何回でも利用できる。「昨年の利用は99人だったが、今年は200人を超えた」と関園長。熱心なファンが世界最大級というボタン、シャクヤクの庭園を支える。(相澤冬樹)

問い合わせ電話029-876-3660(つくば牡丹園)ホームページはこちら

トランポリンで宇宙へ 《食う寝る宇宙》85

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【コラム・玉置晋】仕事から帰ってくると、6畳の僕の作業部屋兼寝室に、直径1メートル、高さ20センチメートルくらいのトランポリンが置いてありました。寝る場所がないぞ。

「最近さ、運動不足だからヨガでも習いに行こう」と、ウチの奥さんに提案されたのが3月上旬。行きつけの床屋でその話をしたところ、マスターから、「ヨガ教室は女性ばかりなので、そこに男性が入っていくのはなかなか勇気がいるよ」と妙な圧を受けて、おじけづいた僕。

奥さんに「いや、女性ばかりのところにおっさんが入っていくのは、ちょっと」と抵抗してみたものの、奥さんに「大丈夫、大丈夫」と押し返されて、市のヨガ教室に応募したのが3月下旬。しかし、コロナ禍のせいか、4月上旬、生徒が集まらず中止になりましたと通知があり、少しほっとしていました。

そしたら奥さん、次の手を打って、トランポリンがやってきたというわけです。インターネットで調べてみると、トランポリン・ダイエットがはやっているらしく、きっかけは、どうやら、NASA(米航空宇宙局)が宇宙飛行士の訓練にトランポリンを取り入れたことのようです。

トランポリン・ダイエットの成果は?

トランポリンと宇宙の関わりといえば、2014年、ウクライナ情勢が悪化した時のこと。米国がロシアへのハイテク製品の輸出禁止措置を強化した際に、ロシアの副首相が「我が国の宇宙産業に対する制裁の影響を検討した結果、トランポリンを使って宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に送ることを米国に提案する」と言いました。

当時、米国のスペースシャトルは退役していて、ISSに宇宙飛行士を送る手段がありませんでした。宇宙であれ医療であれ、自国に技術とそれを運用する基盤がなければ世界では弱い立場になります。

その後、2020年に米国のスペースX社が宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げを成功させた際には、スペースXのイーロン・マスク氏はジム・ブライデンスタインNASA局長(当時)との記者会見で、「トランポリンがうまくいった」と、トランポリンがネタとして使われています。

トランポリン・ダイエットの成果は如何ほどか? 半年後の僕の姿で立証できるでしょう。そうそう、市のヨガ教室は秋に再び募集をかけるそうです。こちらも注目です。(宇宙天気防災研究者)

市立学校教員が新型コロナ つくば市

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つくば市役所

つくば市は6日、市立学校教員1人が新型コロナウイルスに感染したことが分かったと発表した。

市教育局学び推進課によると、学校でのこの教員との濃厚接触者はいないという。

この教員は大型連休が始まった4月29日から出勤しておらず、学校は休校措置などは実施しないとしている。

つなぐ打撃で常総学院、春制覇 高校野球県大会

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1回裏1死一・二塁、田邊が左前へ先制の二塁打を放つ(撮影/池田充雄)

第73回春季関東地区高等学校野球茨城県大会の決勝が6日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で開催。常総学院が18-6と常磐大を圧倒して優勝した。島田直也監督にとって、初のタイトル獲得となった。

常総学院は1回、4番・田邊広大の中前適時打を皮切りに、打者13人の猛攻で8点を先制し、上々の立ち上がり。2回表には先発・秋本璃空が4被安打と2四球で4点を失うがダブルプレーで切り抜け、その裏には9番・中村蒼の中越え三塁打で2点を加えた。

2回表、1死満塁のピンチをダブルプレーで切り抜ける(撮影/高橋浩一)

「先制して気を抜いてしまうのがうちの悪いところ。点差があっても関係ない、つないでいこうと活を入れた」と島田監督。秋本は選抜大会の反省から制球に磨きをかけたが、この日は体調の不安もありストレートが決まらない。3、4回は変化球主体の投球で打たせて取り、5回途中から2番手の石川大翔にマウンドを引き継いだ。

「緊張したが、マウンドに立てば信頼する先輩が守ってくれる。しっかりと腕を振って自分のピッチングを心掛けた」と石川は4回を投げて無失点。マスクをかぶる田邊は「淡々と投げて動じない、メンタルの強さを出してくれた」と評した。

5回途中から登板した常総学院2番手の石川(撮影/池田充雄)

5回裏の常総学院は、中村の2点適時打などで4点を追加。7回には三輪拓未のソロ本塁打、8回にも3連打で3点を加え、順調に相手を突き放した。「1番・鹿田優や2番・田中隼人ら、入れ替えた選手が仕事をし、チームを勢いづけてくれた。今大会は田邊と三輪の2本のホームランが出たが、これもつなぐ意識の延長。打力・体力の向上の表れだと思う」と島田監督。

この日3安打の鹿田は「中軸につなぐために強いゴロを意識したのが良かった。1番は思い切って打てるし足も使えるのでやりやすい。関東大会では守備から入り、ヒットでつないでチームに貢献したい」と次に意識を向けた。

優勝旗と共に集合写真(撮影/高橋浩一)

決勝進出の両校は15日から山梨県で開幕する関東大会へ出場。常総学院の初戦は16日、富士吉田市の富士北麓公園野球場で群馬2位の東農大二と対戦する。秋本は「夏につなげるためにも関東は勝ちたい。東農大二は自分たちが勝てなかった健大高崎に勝ったチーム。簡単ではないがそこを倒し、流れに乗って優勝したい」と決意を語った。(池田充雄)

共用し交流する仕事・勉強の部屋 6月1日、つくばにオープン

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ROOMSの玄関に立つ滝波さん=滝波さん提供

利用者間の交流を重視した共用の仕事・勉強の空間、コワーキングスペース「ROOMS(ルームス)」が6月1日、つくば市苅間にオープンする。サービスを立ち上げるのは筑波大学大学院1年の滝波俊平さんと、つくば市で民泊を営む神脇和宜さん(つくば市在住)の2人。経営母体は同所で生活支援サービスを行っている東医ケアーセンターで、他にプライベート個室のレンタルサービスも行い、社会人のテレワークや学生のオンライン授業にかかわる需要の取り込みを狙う。

サービス着想のきっかけは、新型コロナの感染拡大だった。昨年、感染対策による自粛が始まるなか、家で過ごす時間が大きく増えた。滝波さんは「家にいる時間がとても多くなり、隣の部屋の騒音などが気になり始め、過ごしづらいと感じるようになった」。そこで、当時住んでいたアパートから引っ越すことを決めた。そして、引っ越した先が筑波大学近くにある民泊施設の春日ハウス(つくば市春日)だった。

そこで滝波さんはオーナーの神脇さんと出会った。春日ハウスで暮らす中で、滝波さんは孤独に陥りがちなコロナ禍における「共同空間の必要性」についての認識を神脇さんと共有し、意気投合した。その後、神脇さんから「ちょうど空いている物件があるから、そこでレンタルスペースを始めてみたい」と持ち掛けられ、今回のサービス立ち上げへとつながった。

学生なら1時間200円

サービス名の「ROOMS」は、英語で部屋を意味するroomの複数形だ。コワーキングスペースやレンタル個室は、神脇さんが所有する一軒家を改装する形で作っているが、「ROOMS」というサービス名はそこから来ている。「一軒家の『部屋』をそれぞれコワーキングスペースにしたり、プライベート個室として貸し出したりする。そういう意味では『部屋』の集合体としてROOMSがあるというイメージ」と滝波さんは話す。

レンタルスペース内の様子。市の中心街に近いが田園風景が広がるのどかな場所だ=滝波さん提供

コワーキングスペースは全8席で、1時間の利用につき学生が200円、一般が250円。Webカメラやサブモニターの貸し出しも行い、テレワークやオンライン授業の需要を取り込む。プライベート個室は1時間の利用につき400円で、より静かな環境でテレワークなどを行いたいユーザーの利用を見込む。(料金は税込み)

「今後はコワーキングスペースやプライベート個室だけではなく、ボードゲームカフェや育児をしながらテレワークをできるスペースなどの設置も検討している。空いている『部屋』がまだあるので、それらを有効活用していく。ぜひ多くの人に足を運んでほしい」と滝波さんは語る。

◆正式なオープンは6月1日だが、今月17日からプレオープンを行う。詳しくは「ROOMS」のホームページ公式ツイッター、電話: 029-856-4155。

憲法記念日に思ったこと 《つくば法律日記》16

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堀越さんの事務所があるつくばセンタービル

【コラム・堀越智也】コロナ禍という非常事態の下では、どちらかと言えば、憲法に関する議論は活発でなくなってしまうようです。なぜなら、憲法は国家権力を抑制するためにつくられたものですが、非常事態では、国家権力の発動により事態の解決を期待する方向にベクトルが向きやすいからです。

もちろん、菅首相がコメントしていたように、非常事態では憲法による国家権力への抑制を緩める議論は、コロナ禍で活発になります。しかし、せっかくの憲法記念日なので、コロナ禍であるために脇に置かれてしまった憲法の問題をゆっくりと思い起こす時間にしなければと思って過ごしました。

例えば、仮に楽観的に考えて、ワクチン効果が手伝って、コロナがある程度落ち着いたとすると、憲法に関する問題は山積みのはずです。

安倍前首相は、結局実現しなかったものの、憲法改正を積極的に進めようとしました。憲法改正には、国会の議決に加え、国民投票という厳しい要件があるので、簡単にはいかないにしても、油断しているうちに改正されてしまうのではないかと、心配になった時期もありました。

対中関係で9条の議論が再燃

米国の大統領にバイデン氏が就き、米中関係の影響を受けて、憲法9条の議論が再燃する可能性が大いにあります。現在のアジアでの中国の軍力と米国の軍力を比較すると、圧倒的に中国が勝っています。米国が日本に、今以上のことを求めてくることを想定しなければなりません。

これまで、憲法9条ないし自衛隊の活動範囲の問題は、中東やカンボジアなど、日本の国境から離れた地域の問題をめぐって議論されていましたが、お隣の中国との関係をめぐって議論がなされるとなると、それなりの恐怖感があります。

かつては巨大なマスメディアが君臨し、国民1人1人の政治的意見は届けにくかったのが、インターネットによりSNSの利用が広がり、国民が政治的意見を表現しやすい世の中になりました。その結果、国家権力の表現の自由に対する規制のモチベーションが高くなることに注意しなければなりません。

一方で、SNSを利用して誹謗(ひぼう)中傷される少数者を守るには、国民の表現の自由を一歩後退させざるを得ません。

コロナ禍であるがために、脇に置かれていた憲法問題を挙げればきりがなく、どれも重要な問題です。立ち止まって考える時間を与えてくれる憲法記念日の意義を、改めて痛感する令和3年の5月連休でした。(弁護士)

生き残りへ 弁当配達部門を新設 中国家庭料理「百香亭」つくば

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出来上がったワンコイン弁当を配達する準備をする統括マネジャーの許さん=百香亭筑波大学店

中国家庭料理の店として長年つくば市民に親しまれている百香亭(ひゃっこうてい、本店・つくば市東平塚)が4月、社内にデリバリー部門を新設し、本店と筑波大学店(同市天久保)の2店で弁当の配達に力を入れている。

統括マネジャーの許徳生さんによると、コロナ禍で昨年は売り上げが8店舗全体で半分に落ちた。特に筑波大生の利用が多く広い宴会場がある筑波大学店2階の宴会場は、昨年4月の緊急事態宣言以来、一度も使われていない。大学近くの「千草華味(せんこうはなび)」は昨年10月に閉店を余儀なくされた。

現在売り上げは回復しつつあるが、まだコロナ前の7割ほどにとどまっているという。新サービスのデリバリーを強化し、生き残りを図りたい狙いがある。

これまではチラシを配布し電話で注文を受けていたが、デリバリー部門を新設した4月からは、LINEやインターネットなどからも注文を受けられるようにした。専用の配達車も用意し、特に500円のワンコイン弁当などをPRしている。

弁当を積み筑波大学店を出発する配達専用車=同

弁当の注文は現在、1日平均50食ほど。市内の研究機関や病院、事務所などから注文がくるようになった。

許統括マネジャーは「コロナ禍が1年を超え、デリバリー部門をつくった。外出を控えている年配の人たちも多いと思うので、つくば市民たちにおいしい中国料理を届けたい」と話す。

百香亭は、医食同源をコンセプトに、本場、中国の料理人がつくる家庭料理の店として20年以上、つくば市民に親しまれている。つくば本店、筑波大学店のほか、牛久、龍ケ崎、守谷、千葉県野田、成田市に計7店舗を構える。

◆500円(消費税込み)のワンコイン弁当は、揚げ豚肩ロースチャーハン弁当、鶏マヨチャーハン弁当、エビチリチャーハン弁当など10種類ある。つくば市内の事業所のほか一般家庭にも配達する。詳しくは電話029-858-4360(百香亭筑波大学店)またはホームページへ。

本当のこと、美しいもの 《ことばのおはなし》33

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【コラム・山口絹記】少し迷ったが、今回は本当のことについて書こうと思う。我ながら、思わせぶりな書き出しだ。何かについての本当のことを語るのではない。「本当のこと」そのものついて話してみよう。

多くの人々が共通の事物に関して本当のことを知りたいと思うとき、というのが、この世界では時折訪れる。多くの人々が求めるということは、すなわちその答えに需要があるということであり、需要があるということは価値があるということだ。

これが一般的な工業製品などであれば、製造には限界があり、対象の製品が品切れや生産中止になれば価値はうなぎのぼりになったりする。

しかし、本当のことは工場で作れるものではない。ざっくり言ってしまえば、私にもあなたにも、いくらでも作ることができる「ことば」だ。規格すら存在しない。需要があり、気軽に作れるからこそ、本当のことは氾濫する。

本当のこととはなんだろうか? 真実、事実、正しい解説、正確な情報? いくらでも言い換えはできるが、この手のことばを目にしたり聞いたときには、私は一歩引いてみることにしている。なぜなら、本当のこと、だとか、真実などというものは、世の中にたくさんあるからだ。求める人が多ければ多いほど、真実が一つになる可能性は低くなる。

私にとっての本当が、あなたにとっての本当であることもあるかもしれないが、そうでないことのほうが多い。この100年ぽっちの歴史を振り返って見ても、多くの人々が信じる本当が、時がたつにつれて当人たちにとっての本当ではなくなってしまったことなど、いくらでもある。

養われる審美眼が必要

つまるところ、本当のことというのは、自分にとって都合がよいことであり、いくらでも存在し、変容するからだろう。別に批判するつもりはない、そういうものなのだから。それでも、よく目にしたり、多くの人々が本当のことを大きな声で語っているときは注意しなければならないと感じている。

ならば、どうしたらいいのか、と言われてしまうかもしれない。ほら、どうしたらいいのかという問いに対する答えもまた、「本当のこと」だ。ここで私が何かしらの答えを提示してしまったら、それはまたひとつ、この世に本当のことを作ってしまうだろう。とはいえ、答えなどない、と投げ出すのも無責任なので、ここはひとつ、私のやり方を紹介しよう。

それは、「美しいものを探す」ことだ。本当でも、正しいでもなく、美しいもの。美しいと感じるものは自分で決めなければならない。美しいものを感じるためには、審美眼が必要だ。そして、審美眼というのは養われるものなのだ。それは、知識や経験、疑い調べ学び続ける意思に裏打ちされた直観だ。

そして、見つけた美しいものは、自分だけの大切なものとして胸の内にとどめておくことも、穏やかに日々を過ごすためのちょっとしたコツなのだ。(言語研究者)

つくば市などに時短営業再要請 6日から感染拡大市町村に追加

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの感染が拡大しているとして大井川和彦知事は3日、つくば市など5市町を感染拡大市町村に追加指定した。つくば市内すべての飲食店に再び時短営業が要請される。期間は6日から19日まで。

つくば市の4月27日から5月3日までの人口1万人当たりの新規感染者数は1.66人と、前の週より増加し、国の指標でステージ3相当となった。感染者数の急増や医療提供体制への大きな支障を避けるための対策が必要な段階だ。

一方、3日時点の県全体の感染状況や病床稼働率は、4月末と比べ少し改善している。大井川知事は、大型連休に入って検査数自体が減っており、連休明けに大きな変化が起きる可能性があるとし、「警戒の手を緩めないでいきたい」と強調した。

4月29日にすでに感染拡大市町村に指定された土浦市の人口1万人当たりの新規感染者数は1.16人で、指定時と比べ改善している。土浦市の指定は12日まで。

感染拡大市町村に対しては、飲食店の午後8時から午前5時までの営業自粛のほか、イベントは収容人数を50%以下とし最大でも5000人とする、不要不急の外出を自粛する、家族以外との会食はいつも一緒にいる4人までとする、テレワークや時差出勤を積極活用するーなどが要請される。時短営業に対する協力金として売上高に応じて、1店舗1日当たり2万5000円から7万5000円が支給される。

県内の感染拡大市町村(6日時点で17市町村になる)

▽4月22日指定の6市町
 水戸市、古河市、大洗町→5月12日まで1週間延長
 かすみがうら市、阿見町、城里町→6日以降解除

▽4月29日指定の9市町村、期間は5月12日まで
 土浦市、石岡市、下妻市、常総市、潮来市、守谷市、筑西市、茨城町、五霞町

▽5月6日指定の5市町村、期間は5月19日まで
 つくば市、結城市、龍ケ崎市、八千代町、利根町

100日目の米バイデン政権 《雑記録》23

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【コラム・瀧田薫】バイデン米大統領は、就任99日目の4月28日、上下両院合同会議で就任後初の議会演説に臨んだ。これは異例の遅さである。しかし、演説は、この短期間内に上げた成果を自画自賛し、さらなる目標の迅速な達成を予告する、自信にあふれたものであった。

バイデン氏が大統領選に勝利した直後、新政権の先行きを危ぶむ声が専門家の間で大勢を占めていた。しかし、100日目現在、新政権への評価は総じて高い。バイデン政権4月時点の支持率は59%(ピュー・リサーチ・センター)と、歴代大統領と比較すると高い方には入らない。しかし、トランプ氏の39%を大きく上回った。トランプ政権末期にあらわになった米社会の分断、分裂現象が依然として吹き荒れている中にしては上出来と言えよう。

さて、演説について筆者が注目するのは、バイデン氏が「世界に背を向けた前政権の姿勢とは決別し、同盟国との国際協調路線をとる」とし、同時に、「国外でのあらゆる活動は、米国の労働者(中間層)を念頭に置いて行う。外交と国内政策の間に、もはや鮮明な線引きはない」と宣言した部分である。

実は、この宣言は、数年前に発表された「報告書」が下敷きになっている。ヒラリー・クリントン氏が2016年の大統領選でトランプ氏に敗北した後、バイデン氏が主導して敗因を分析し、「中間層のための外交政策の見直し」と題する報告書を発表。それには、「外交エリートが支配する外交政策を国民の利益の観点から見直し、衰退する中間層に対する配慮を盛り込む」ことが強調されていた。

中間層のための外交政策の見直し

つまり、バイデン氏は、中間層支援策(国内政策)と外交政策を一つに組み込んだ政策パッケージを早くから用意し、大統領就任と同時に満を持して打ち出したのである。

トランプ氏によって取り込まれた米中間層の支持を民主党に取り戻さなければならない。同時に、中国というライバルやコロナウィルスや地球温暖化という誰も経験したことのない外部要因にも立ち向かって、トランプ政権との違いを際立たせたい。この「中間層のための外交政策の見直し」という、一見ちぐはぐに見える政策パッケージは、多正面作戦を強いられた政権のいわば「苦肉の策」なのかもしれない。

いずれにしても、バイデン政権は時間に追われている。来年の米中間選挙において、復権を狙うトランプ氏と共和党に対し、この政策パッケージが切り札になるだろうか。そうならなければ、現在バイデン与党(民主党)が辛うじて維持している上下両院における多数が崩れ、バイデン政権は一気に「レイムダック」に転落する。

ところで、菅首相とバイデン氏の首脳会談の内容はどのようなものだったのだろうか。その中身の詳細は追々明らかになってくると思われるが、それとともに、両政府の対応能力、特にスピードの違いが目立ってくるものと予想される。(茨城キリスト教大学名誉教授)

町歩き5万人を案内 創立20周年の土浦市観光ボランティアガイド協会

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協会会長の金丸興治さん(左)と顧問の篠崎修一郎さん=まちかど蔵「大徳」(土浦市中央)

観光客はじめ土浦を訪れた人たちに、市内の名所旧跡を案内する土浦市観光ボランティアガイド協会(同市中央1丁目)が創立20周年を迎える。5月20日にはクラフトシビックホール土浦(同市東真鍋町)に関係者を招き、20周年記念式典が開催される。

協会の発足は2001年、市観光協会の「歴史が好きな人」の呼び掛けで集まったのは10人。現在は30人のガイドが在籍している。案内した観光客は当初、年間400人程度だったが徐々に増え2019年には約8000人に上った。

20年間で案内した人数は約5万人に上る。現在はコロナ禍で減っているが、東京や千葉、埼玉のほか九州、青森からも訪れるという。

「とにかく土浦愛」のガイドたち

30人のガイドの年齢層は、50代から80代でメーンは70代。毎月一度はまちかど蔵「野村」(同市中央)で会議を行う。

案内時は最低でも2時間は歩くため、体力のある元気な人ばかりだという。元公務員や元会社員、自営業や主婦などさまざまな人がいるが、共通点は「とにかく土浦を愛していること」だ。

顧問の篠崎修一郎さん(87)は協会設立当初から在籍する。2018年金丸興治さん(80)に引き継ぐまで、会長職には15年以上携わった。「お客さんに土浦の魅力を知っていただききたいという思いで続けてきた。案内してもらってよかった、というお客さんの一言に20年支えられてきた」と話す。

会長の金丸さんは「ガイドは単に建物の歴史を話すだけではない」という。「土浦城主だった土屋家はどういうきっかけで城主になったのか。まちかど蔵の建物に使用されている木材は何か。大徳ではどのような着物を売っていたのかなど、インターネットだけで調べただけでは分からないことを、広く深く伝えることで喜んでもらえる」と語る。

22日に記念のぶらり歩き

発足当初はまちかど蔵「大徳」「野村」についての案内だけだった。しかし観光客からの要望に応えていくうちに、中城通り周辺や亀城公園、市立博物館、さらに同市大手町の東光寺や等覚寺、同市文京にある神龍寺まで範囲が広がっていったという。

ここ数年は小町の里(同市小野)や上高津貝塚ふるさと歴史の広場(同市上高津)、荒川沖まで案内することもあるそうだ。

毎週土日と祝日は、まちかど蔵野村にガイドが1人常駐、観光客の要望があれば案内をする。平日は事前予約があった団体客(3人以上)や市の公民館講座などで案内を行っている。

ボランティアガイドが土日、祝日常駐するまちかど蔵「野村」(同市中央)

また土浦全国花火競技大会やかすみがうらマラソン、桜祭りやひな祭りなどイベント時に観光客の案内も行う。

金丸さんは「土浦は城下町であり水戸街道の宿場町でもある。市全体が歴史の町。ニーズがあれば市内どこでも案内する」とし「20周年以降も土浦の歴史や魅力を伝えていきたい」と意気込みを語った。(伊藤悦子)

◆土浦市観光ボランティアガイド協会創立20周年記念「街中ぶらり歩きをしましょう」 5月22日午前9時30分、まちかど蔵「野村」集合で開催。「城下町と商家」「土浦城と寺社」の2コースをボランティアガイドの案内で歩く。申し込み・問い合わせは電話029-824-2810(土浦市観光協会)、詳細はこちら(市観光協会ホームページ内)

つくば市長の名誉毀損提訴 近く裁判開始《吾妻カガミ》105

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市長の五十嵐さんがミニ新聞の記事に名誉を毀損(きそん)されたと裁判に持ち込んだ件については、本欄でも2度ほど取り上げました。その審理が5月半ばから水戸地裁土浦支部で始まるそうです。今回は、訴状で名誉を傷付けられたと主張している22箇所のうち、「総合運動公園用地返還交渉の回数」と「市職員増=人件費増の読み方」について検証します。

原告・市長の主張は「言い訳」

先のコラム「名誉毀損提訴を笑う」(3月1日掲載)と「名誉毀損提訴を検証する」(4月5日掲載)では、記事と訴状を読み込んで、▼総合運動公園用地返還「公約」は、返還の実現(記事)VS単なる返還交渉(訴状)、▼谷田部給食センター建設「補助金なし」は、当初からの計画(記事)VS県との交渉不調の結果(訴状)―と整理しました。その詳細と私の「判定」については、青字でリンクを張った上記コラムをご覧ください。

ざっくり言うと、いずれも、五十嵐さん側の論述は「言い訳」に終始しているということです。ミニ紙の市政批判記事を「フェイク(虚偽)」と主張するこの提訴、五十嵐市政にプラスではなく、マイナスに作用するかもしれません。

「返還交渉」は「アリバイ作り」?

▼検証「運動公園用地返還交渉の回数」:ミニ紙が「(公約では都市再生機構=URと用地を返還する交渉をすると大見えを切ったのに)わずか1度交渉しただけで(返還を)断念した」と書いたのに対し、訴状で「複数回の交渉を行っている」と反論している箇所です。原告の主張は、複数回交渉しているのだから、交渉は1度だけという記事は間違いであり、市長としての名誉を毀損された―という組み立てになっています。

複数回とは何回なのか? 市が議会に提出した資料(今年2月19日付)によると、たった2回だったそうです。市長がUR首都圏ニュータウン本部を訪ね、「市の意向を伝えた」のが1回目、「文書による回答を求めた」のが2回目。市長選挙時の熱い返還キャンペーンを思い起こすと、やる気に欠ける「アリバイ作り」のような交渉でした。それに、1回も2回も「わずか」ですから、裁判でその回数を争うのは「喜劇」ではないでしょうか。

市人件費の著増は「ファクト」

▼検証「市職員増=人件費増の読み方」:ミニ紙が「(五十嵐市政3年目の人件費は前市長時代の人件費に比べて年間)7億6500万円も増えており、(前市長時代の)努力が水泡と消えてしまいます」と、行革の後戻りを批判。これに対し訴状で「あたかも原告の施策により市の税金を無駄に使っているかのように誘導するもの」と論述している箇所です。

この記事は「市総務部人事課資料」を使って書かれており、4年前に比べ、正規職員が195人、非正規職員が326人増え、その結果、人件費が年7億数千万円増えたことを示すデータも掲載されています。問題はこの数字をどう読むかですが、五十嵐市政の行革の「緩さ」は否定しようがありません。ミニ紙の筆が走ったとしても、記事の数字は「ファクト(事実)」であり、フェイクではありません。(経済ジャーナリスト)

日本で幸せに暮らすために 3カ国語でハンドブック「架け橋」

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筑波大4年のメレシオ・ジャン・コリンさん

「外国から日本に来る誰もが幸せに暮らせるように」。そんな思いを込め作られたハンドブック「Briging the gap ( ブリッジング・ザ・ギャップ、邦題:架け橋)」が完成した。外国人が日本で暮らす上で必要な多岐にわたる情報が盛り込まれている。制作は、フィリピン出身の法廷通訳士、島田ビトゥインさん(69)らが発起人となり、筑波大学生のメレシオ・ジャン・コリンさん(22)ら、フィリピンにルーツを持つ若者たちが作業の中心を担った。英語、タガログ語、日本語、各言語をウェブサイトから無料でダウンロードできる。

「これまでになかったハンドブック」

フィリピン人の両親を持つ筑波大4年のメレシオさんは、日系企業のエンジニアとして働く父の仕事の都合で1歳のときに来日した。その後、日本とフィリピンを行き来しつつ中学校から現在は、日本での生活が続いている。

メレシオさんは、今回作成したハンドブックは「これまでになかったタイプ」だと話す。

「日本での生活が長いフィリピン人の目線で作られたことがとても大切です。同じ事柄でも、日本人とは伝え方が変わってきます。規則など明文化された『ダメ』な事柄をあげるだけでなく、慣習による曖昧な判断が必要な場面も解説しました。日本人協力者のチェックも入っているので、誤解のない表現を選ぶことができたと思います」

メレシオさんは幼い頃、両親にかわって自宅に届く書類に目を通していた。保険や年金、ゴミ出しの規則など、わかりにくいことが多かった。大学ではフィリピンからの留学生とともに学園祭や地域イベントで文化紹介をするなど積極的に2つの文化の「架け橋」として活動している。

若者たちが制作の中心となった(写真提供:野口和恵)

ハンドブックで特におすすめの箇所を聞くと、法律関係をあげた。

「ビザや在留カード、その他、万が一疑われたり、法律に引っかかったりしてしまうと、日本人でもアドバイスできる人は多くありません。ハンドブックには、相談機関や対処法が書かれています。自分の身を守るためにも必要な知識だと思います」

また生活に欠かせない就業に関する事柄も充実させた。知っておくべき雇用契約内容、仕事の探し方、失業後の補償と手続きなど。

日常生活に必要な事柄もまとまっている。習慣、マナー、冠婚葬祭の服装にお金のやりとり、地域社会の一員としての自治会参加、児童館の利用方法など多岐にわたる。

また、「日本に来る前の確認事項」というチェックリストもあり、訪日前にウェブサイトからダウンロードすることで、事前に準備することができる。さらに情報を得たい場合、各項目に記載されたQRコードから詳細情報にアクセスできる。

若者のエンパワーメントの機会に

ハンドブック制作の発起人である島田ビトゥインさんは「外国人が日本で10年、20年生きていくために必要なことをまとめました」と話す。

10年以上、法廷通訳をして感じていたことがある。10代前半でフィリピンから来日する若者が、本人が望まない形で犯罪に関わってしまう姿を何度も目の当たりにした。その背景に、家や学校に居場所を作れないことがあった。そんな若者の多くが、日本語が理解できず、相談先もわからず、日本社会との間に軋轢を抱えざるを得ない状況があるという。

島田ビトゥインさん(写真右端)(写真提供:野口和恵)

島田さんはなんとかしたいと思っていた。周囲の仲間に声をかけ出し合ったアイデアが、ハンドブック作成になった。日本とフィリピンを結ぶ「架け橋」と名付けたこの活動は、2017年にスタートした。まず、フィリピンから来た人たちが抱える問題を知るため各地のフィリピン人コミュニティーを訪ねインタビューを繰り返した。より広い意見を得られるようウェブアンケートでも意見を募った。

そこで見えたのは、日本に来るための準備が不足していることだった。必要な情報を当事者目線で提供しようと考えた。

本の中には、エッセイとして個人のライフストーリーも複数掲載している。

「個人の物語は、辛い時にどう乗り越えたのか、どんな支援を得ていたのか具体的な事例が盛り込まれているので、そこを見て欲しいです」

ハンドブック作成には、フィリピンにルーツを持つ多くの若者が参加し、デザイン、執筆、翻訳などを担った。書籍版の印刷は、フィリピン人が経営する印刷会社によるものだ。

専用ウェブサイトから各言語ダウンロードができる

「このプロジェクトは、若者たちのエンパワーメントの場にもなりました。この経験を次の世代に引き継いで、将来の子どもたちのための活動につながればうれしい。フィリピン人だけでなく、あらゆる移民に応用できる内容です。是非、日本人にも読んでもらいたいと思い日本語版も作成しました」

総務省によると日本に暮らす外国人は2020年6月の時点で288万5904人。茨城には約7万人が暮らし、その内、土浦市とつくば市には1万5000人余りが暮らしている。両市の人口の4%あまり。全国平均の約2倍となっている。

ハンドブック「Briging the gap」はこちらから無料ダウンロードできる。(柴田大輔)

障害ある児童への養育支援 《介護教育の現場から》6

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福祉専門校の学習風景(今回コラムとは関係ありません)

【コラム・岩松珠美】東京都港区南青山に4月1日、児童相談所などが入る複合施設「港区子ども家庭総合支援センター」がオープンした。ここは、子育て中の人を支援する「子ども家庭支援センター」、専門性の高い職員が児童虐待や非行などに対応する「児童相談所」、子どもの養育に支援が必要な母子が入る「母子生活支援施設」から成っている。

この施建設をめぐっては、地元の一部住民が「南青山のブランドイメージにふさわしくない」などと反対したことがあり、その報道を覚えている方もいると思う。コロナ禍で、児童虐待の相談受理数が増加。子どもへの支援とともに、子育て力が乏しい保護者も支援する必要があり、これら3施設の開所は時宜を得たものといえる。

出産や子育て環境が整わない生活環境下で、妊娠から出産、出生した子どもの養育に継続的に寄り添うシェルターの整備が地方でも進んでいる。生まれてくる子どもに最善の生活環境を提供するには、既存の乳児院や児童養護施設だけではなく、里親制度や特別養子縁組制度のような、家庭に近い養育を受けられる制度の整備が進んでいる。

「あすなろの郷」「つくし学園」

最近の傾向として、これらの施設や制度に託される子どもたちには、重度の疾患や障害を持って生まれてきたことで、わが子として受け入れることができず、家庭から離されるケースが増加している。こういった子どもたちには、重度心身障害児入所施設のような場所は少ない。水戸市の「あすなろの郷」でも、医療型障害児入所施設・療養介護事業所としては定員40名ほど。

親元で養育されている障害を持つ子どもたちは、土浦市の「つくし学園」のように療育センターで支援を受けながら、義務教育期間は特別支援学校などで教育と療育を受けられる。これらの制度の多くは18歳までの支援体制である。その後、数少ない障害者の通所デイサービスか、通所作業所を見つけるのが大変で、地域社会での受け皿がとても不足している。(つくばアジア福祉専門学校校長)