水曜日, 11月 12, 2025
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養老孟司先生の講演を聴く《令和楽学ラボ》14

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養老孟司先生

【コラム・川上美智子】つくばのホテルグランド東雲で、東京大学名誉教授の養老孟司先生の講演を聴く機会がありました。養老先生は20数年前の現役時代に東大医学部の学生に解剖学実験を指導されていて、当時受講生だった娘が時々その様子を話してくれました。ホルマリンの臭いが充満する教室で、学生たちが人体解剖をしている傍らで、椅子に座ってじっと本を読んでおられたようです。

学生たちも大変ですが、先生にとっても厳しい時間なのではないかと、当時、思ったりしました。たとえ仕事であったとしても、医学の継承のため、若い学生を育てるため、人体を捧げる運命に至った人に最後まで傍らで寄り添い、畏敬の念を抱きつつも送り出さなければならない先生の気持ちを、本が和らげてくれていたのではと思います。

講演で先生は、「生老病死(しょうろうびょうし)」という言葉を黒板に書かれ、これが人の自然の姿だと言われました。最近、宗教学者の山折哲雄も、人生終焉に向かうテーマとして同名の本を出版しています。生老病死とは、人の人生には「生まれること、老いること、病むこと、死ぬこと」の四つの苦しみがあり、これを避けて通れないという仏教語(お釈迦様の言葉)だそうです。

つまり、人が生きること自体が思い通りにならない苦しいことであると、仏教は教えています。先生は、演題「今、私たちは何をすべきか」の中で、そうだからこそ、「生(しょう)」のスタート部分の子ども時代には、生きることの楽しさ、社会の明るさを教えてほしいと訴えました。

子ども時代の一定期間、田舎で過ごすのがよい

先生は今、理想の保育園を目指し、保育園の理事長の職に就いていらっしゃるとのこと。毎日、孫や曾孫のような子どもたちと、虫取り、魚獲りで自然に触れ、子どもたちを幸福にしたい、子どもたちに幸せな生活を送らせたい、という思いで過ごされているそうです。

子ども時代は人生にとって最も大事な時期であるのに、子どもたちに大人が真面に相手をしなくなったと話されました。大人は本来の子どもの育ちの目的を忘れ、(動物の親と対照的に)国がつくった教育のシステム維持に夢中になっている、ひたすら務めればよいわけではない、また、近代化の行き過ぎで子どもの育つ環境が自然から離れてしまった―と、嘆かれました。

子ども時代の一定期間、田舎で過ごすのも健康の上でよいことだと、茨城っ子にとってうれしい話もありました。

AI(人口知能)が道具になり、human enhancement(人間拡張)の方向で体の一部とするよい使い方もあるが、果たしてコンピューターが出す解答はすべて正しいか、コロナ予防のためにワクチンの形で細胞に遺伝子を導入することの可否など、この先やってみなければ答えが分からない時代に我々がいる―との警鐘もあり、示唆に満ちた講演でした。

「生老病死」を自分事として捉える年代になった私自身も、大学で教鞭(きょうべん)を執った後、最後にできるお役目として、つくばで保育園の園長をしていますが、先生の深い洞察力と、「子どもは自分で何も言えない」という言葉が胸に刺さりました。(みらいのもり保育園園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

今年のワカサギは大ぶり 霞ケ浦・北浦の解禁漁

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今年の解禁日の操業の様子(茨城県霞ケ浦北浦水産事務所提供)

霞ケ浦と北浦の夏の風物詩、ワカサギ漁が21日解禁された。今年は例年に比べ体長が約7センチと大ぶり。「身も大きさも消費者に喜んでもらえるのではないか」と、12月まで続くこれからの漁に期待が寄せられている。

解禁日当日の操業(出漁)船は、霞ケ浦・北浦併せて142隻(昨年は118隻)、平均漁獲量は霞ケ浦が29.6キロ(同45.6キロ)、北浦が1.7キロ(同10.5キロ)だった。

温暖な霞ケ浦・北浦はワカサギの成長が早く、全国でも珍しく夏にワカサギが捕れることから「ナツワカ」の愛称で知られ、フライなどのほか、様々なレシピで好まれている。

愛好者などからの引き合いも多く、土浦市内のスーパーや専門店などでは生や加工品のワカサギが販売されている。霞ケ浦水産研究会(霞ケ浦漁業協同組合内)は昨年から捕りたての夏のワカサギを多くの人に味わってもらおうと、産地直送通販サイト(https://poke-m.com/products/165223)で「わかさぎオンライン解禁市」を関東地方限定で実施している。

国内の昨年のワカサギ漁獲量は、青森県の365トンをトップに、北海道210トン、秋田県207トンと続き、茨城県は73トンで第4位だった。解禁日は秋田県の小川原湖が9月1日、北海道の網走湖が9月頃、秋田県の八郎湖は10月頃とまちまちで、「ナツワカ」は霞ケ浦・北浦だけだ。

霞ケ浦・北浦のワカサギ漁獲量で最も漁獲量が多かったのは1965年の2595トンで、現在全国トップの青森県の実に7倍以上の水揚げを誇っていた。(山崎実)

◆霞ケ浦・北浦の魚が購入できる土浦市内の店は、タイヨー土浦店(東真鍋)、田中屋川魚店(川口)、JA農産物直売所サンフレッシュはすの里(木田余)、出羽屋イオン土浦店(上高津)。佃屋(生田町)、小松屋食品(大和町)、箕輪名産店(大和町)、出羽屋ピアタウン店(真鍋新町)、常磐商店(沖宿町)

◆ワカサギ料理が食べられる土浦市内の飲食店は、ふぐ・あんこう喜作(神立中央)、天ぷら八起(大和町)▽つくば市内は、常陸乃圀もんどころ・つくばデイズタウン店(竹園)、
=いずれも霞ケ浦北浦水産振興協議会HPより引用

にんにく祭りとニンニク 《県南の食生活》27

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一の矢神社のお守り

【コラム・古家晴美】一の矢神社(つくば市玉取)の祇園祭(ぎおんさい)は、旧暦6月7日(今年は7月16日)に開催され、茨城県内の祇園祭の皮切りとされている。「にんにく祭り」としても有名だ。その後、順次、他の八坂神社が祭礼を執り行う。鉾田町には、全戸が参加する一の矢講を編成し、玉取まで参拝に来ていた地区もあったと言う。

潮来市や行方市でも「一の矢の天神様の祭り」として、うどんや餅を作って食べた地域があり、広い地域で知られた祭りであった。では、どうして「にんにく祭り」なのか。諸説あるが、ご祭神の素戔嗚尊(すさのおのみこと)が朝鮮から持ち帰ったニンニクを用い、江戸時代に流行した疫病退治のために、戸口につるしたことが始まりと言う。

実際には、遣隋使か遣唐使がもたらしたものと推測されている。『万葉集』には、醤酢(ひしおす)とともにニンニクをついてタイを食べたい、という歌がある。『医心方』には、かっけ、風邪、虫刺されに効く、と書かれている。『源氏物語』の「帚木(ははきぎ)」には、風邪のために薬草(ニンニク)を煎じて飲んだ、とある。

禅宗の山門には「不許葷辛酒肉入山門」とあるが、滋養強壮作用があることから、修行の妨げになるということで、葷食(くんしょく=ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、タマネギ)を禁じた。

また、室町から江戸時代にかけては、獣肉の調理や臭い消しに、すりおろしたニンニクが使用された。江戸から昭和にかけて、へき村では、節分の鬼やらいで、とげのある柊(ヒイラギ)、臭気があるイワシの頭とともに、さらに匂いが強いニンニクを門に挿しかける風習もあった。

また、コレラなどの悪疫の流行時に、児童にニンニク入りのお守りを持たせて、悪疫を防いだ。このほか、ニンニクは、腹痛、下痢、風邪の予防と治療に用いられた。

一の矢神社のニンニクは魔除け

では、一般庶民の間では、どのように扱われていたのであろうか。大正末期から昭和初期の食生活について聞き書き調査をした『日本の食生活全集』を見ると、全国的にニンニクの食用が南日本と北海道・東北地方に偏っているのがわかる。特に沖縄では、漬けものが目立つ。ニンニク玉を塩漬けの後に、黒砂糖と泡盛に漬けたり、魚や肉との煮物や炒め煮に用い、臭いを抑えた。

カツオのタタキで有名な高知では、そのまま薬味として食べる以外に、ニンニク玉を葉とともについて、ペースト状にしたものを刺身や、カシの餅などに付けて食べる。南部では肉食の臭い消し、東北ではなめ味噌と、多様な食べ方に圧倒される。

では茨城はどうか。ニンニクが大手を振って日常的に採用されるようになったのは、第2次世界大戦、高度経済成長期以降ではないかと推察している。ですから、一の矢神社のニンニクは、あくまでも魔除(まよ)けです。(筑波学院大学教授)

つくば、土浦市などに再び時短営業要請 感染拡大市町村に16市町

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

県南地域などで新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向にあるとして、茨城県は27日、つくば市や土浦市など16市町を、再び感染拡大市町村に指定すると発表した。期間は30日から8月12日までの2週間。対象市町のすべての飲食店に再び午後8時までの時短営業などが要請される。

県南、県西、鹿行地域を中心に県全体で、陽性者数が前の週と比べ163%増えているほか、経路不明者が178%増加しているなどから、県独自のコロナ対策判断指標を1段階強化し、「感染が拡大している状態」のステージ3に引き上げる。東京など1都3県で感染が急拡大していること、お盆休み前後に遠出や会食の機会が増えることが懸念されることなども考慮した。

この1週間の新規感染者を年齢別にみると、20~30代が44%と最も多く、40~50代が32%、20代未満が15%に対して、ワクチンを接種した割合が比較的高い60代は5%、70歳以上は4%となっている。24日現在の年齢別の入院患者は、40~50代が最も多く47%、次いで60代が15%、20~30代と70歳以上がいずれも14%、20歳未満が9%。

つくば、土浦両市はステージⅣ相当

その上で、この1週間の人口1万人当たりの新規陽性者数が1.5人以上の16市町を感染拡大市町村に指定する。この1週間の新規感染者数はつくば市が県内で最も多い84人、土浦市が42人。人口1万人当たりに換算すると、つくば市が3.38人、土浦市が3.05人で、両市とも国の指標で「爆発的な感染拡大が起き、医療提供体制が機能不全に陥ることを避けるための対策が必要」なステージⅣに相当する感染者数になっている。感染拡大が続く場合、期間が延長されることもあり得る。

感染拡大市町村は、すべての飲食店を対象に午後8時から午前5時までの営業自粛のほか、酒類の提供は午後7時までとすることを要請する。協力金として、中小企業の場合、1店舗当たり売上高に応じて1日2万5000円~7万5000円を支給する。今回は大企業に対しても協力金を支給するするほか、申請受付を早め、8月早期に開始する。

ほかに、不要不急の外出を自粛する、同居家族以外との会食はいつも近くにいる4人までとする、テレワークや時差出勤を活用し出勤者を削減する、イベント開催時は収容率を定員の50%以内とすることなどを要請する。

小中高校、大学の部活動については、県外の緊急事態宣言やまん延防止重点措置区域にある学校や、県内の感染拡大市町村にある学校との練習試合は自粛する、練習試合をする場合、自校を含め2チーム以内とする、練習試合の参加生徒は2週間前から健康管理を徹底するなどを要請する。

感染拡大市町村に指定された16市町は、つくば、土浦市のほか、阿見、稲敷、龍ケ崎、取手、牛久、守谷、つくばみらい、常総、古河、坂東、境、潮来、行方、大洗―の各市町。

五輪スイス選手団「サポートに感謝」 つくば事前キャンプ

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オンライン会見する(左から)ピーター・ハ―スさん、ヨナス・ラエス選手、アンジェリカ・モーザー選手=キャプチャー画面から作成

開催中の東京オリンピック出場のため、つくば市で事前キャンプを行っているスイス選手団は27日、市、筑波大学と共同でオンライン記者会見を開いた。選手たちは「市民との実際の接点は少ないが、すべての方に感謝を感じている」と語った。

選手団からは、事前キャンプ責任者ピーター・ハ―スさん、陸上競技チームリーダーのフィリップ・バンディさん、女子棒高跳びのアンジェリカ・モーザー選手、男子5000メートルのヨナス・ラエス選手が出席した。

ハ―スさんは、つくば市での事前キャンプについて「市民の皆さま、筑波大学、つくば市、滞在先のホテル、すべての人たちに多大なる感謝を伝えたい。素晴らしい環境のもとで事前キャンプを行うことが出来ている。感染対策も万全」と述べた。市の環境については「静かでクールな街だという印象を持った。どこかスイスを感じさせる環境で、安全に練習をすることが出来ている」という。

モーザー選手は「市民との接点がないのは悲しいが、世話役の皆さんがとても親切にフレンドリーに接してくれている。筑波大の練習場においても、接遇役の方たちがサポートのために見守ってくれている」と感謝した。

スイスチームの練習風景=筑波大学(つくば市提供)

「ホテルの窓から見る風景に触れたい」

筑波大学の練習環境について、ラエス選手は「新型コロナウイルスの感染拡大下、ここまでのサポートは受けられないと思っていた。多くの方たちが準備をしてくれ、練習が出来ている。すべての人たちをリスペクトしている」と話す。

新型コロナが無ければつくば市で何をしたかったかという質問に対して、ラエス選手は「市内をたくさん探検して回りたかった。ホテルの窓から外を眺めるとたくさんの美しい自然や建築物を見ることが出来る。そうした場所に行くことが叶わないことを残念に思っている」と答えた。

大会への意気込みについて、ラエス選手は「チームとしての目標は決勝まで残ること。自分自身としての目標は、ゴールラインを切った時に自分自身の頑張りを感じ切ることができるということ」だと話し、モーザー選手は「決勝まで進むことが自分の目標だ」と話した。

ひとり親の就労支援を強化 茨城労働局 全市町村に臨時相談窓口

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ハローワークなどが入る土浦労働総合庁舎=土浦市宍塚

厚労省茨城労働局は8月2日から31日の間、県内全44市町村に、ひとり親の就労支援を強化する、ハローワーク臨時相談窓口を設置する。出張相談による「ひとり親全力サポートキャンペーン」を実施する。

児童扶養手当受給中のひとり親が、市町村に「現況届」を提出する8月の時期に合わせて、2015年度から開設している。当初は県内19市のみだったが、2018年度からは全市町村で行うようになった。昨年度は新型コロナ感染拡大防止のため中止した。

臨時相談窓口ではハローワーク職員が、「現況届」提出に訪れたひとり親から職業相談を受けたり、職業紹介や求人情報の提供などをして、ひとり親の生活支援をバックアップする。

具体例としては、本人と中学生の子供、母親の3人暮らしで、コンビニ店員のパートとして週30時間働いていた。月収は10万円程度だったことから、子供の進学を見据え、キャンペーンを知り相談した。ハローワークの相談員と、フルタイム勤務を軸に就職先を一緒に探した結果、フルタイム契約社員の工場内梱包作業に応募し、採用され、給与も18万円になり、母親も安心した―などの成果があるという。

茨城労働局は「臨時相談窓口での相談をきっかけに、相談に応じる個別担当者を決め、プライバシーに配慮しながら、個々のニーズに応じたきめ細かな就労支援を受けることができる」とメリットを強調し、積極的な利活用を呼び掛けている。(山崎実)

▼臨時相談窓口設置日は次の通り
・土浦市=8月13日(金)、土浦市役所1階相談室
・つくば市=8月24日(火)、つくば市役所2階会議室
開設時間はいずれも午前9時30分~午後3時(正午から午後1時は除く)

ナラ枯れの脅威! 被害対策奮戦記(上) 《宍塚の里山》79

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ナラ枯れ調査の様子。左上写真はカシノナガキクイムシ成虫のメス(左)とオス

【コラム・佐々木哲美】ナラ枯れはコナラなどの樹木が集団で枯れてしまう病気です。2020年9月初め、森林総合研究所(つくば市松の里)に勤める会員から、つくば市内の数カ所でナラ枯れと疑われる症状がコナラに発生しており、宍塚の里山でも発生していないか、注意して見てほしいと連絡がありました。

ナラ枯れの正式名称は「ブナ科樹木萎凋(いちょう)病」といい、一般には「ナラ枯れ」とか「カシノナガキクイムシ被害」と呼ばれています。「ナラ枯れ」は、ナラ類、シイ・カシ類の樹木を枯らす病原菌と、その病原菌を媒介する昆虫による「樹木の伝染病」です。病原菌は「ナラ菌」と呼ばれる糸状菌(カビ)の仲間で、媒介昆虫は体長5ミリほどの甲虫(こうちゅう)、カシノナガキクイムシです。

このキクイムシのメスの背中(前胸背)には、菌のうという臓器器官があり、この菌のうにナラ菌を入れて、被害木から健全木へ運び、被害を拡大させます。当初、本州の日本海側を中心に被害が拡大、太平洋側に広がり、2020年、茨城県内で初めて、ナラ枯れが確認されました。

10月、会員から宍塚里山のコナラが写真のナラ枯れに酷似していると報告があり、森林総研に見ていただいたところ、ナラ枯れの疑いが濃いということでした。

対処する前にナラ枯れの見分け方と対処の仕方を学ぶ必要があります。今年1月、関係者に働きかけて現地調査を開催したところ、森林総研から主任研究員の升屋勇人さんら3名、県南農林事務所1名、県技術センター1名、樹木医1名、当会3名の参加がありました。観察路に沿って里山を一周したところ、ナラ枯れは13本確認できました。

「樹木の切断」「巻いて処置」「切株処置」

その後、升屋主任研究員に現地に来ていただき、対処方法を「樹木の切断」1本、「巻いて処置」6本、「切株処置」3本、「経過観察」3本―に仕分けていただきました。

まず、「巻いて処置」に区分した樹木の対策ですが、①木の根元をスコップで少し掘る、②立木と捕獲シートの隙間を作るために、シノ竹を7~8本周囲に立てて上下2か所を縛る、③捕獲シートの粘着面を立木に向けて張る、④養生用のビニールシートを2層になるよう周囲に巻く、⑤ガムテープで固定する、⑥根元のシートに土をかぶせて固定する―の手順で行います。切株も同様にスペースを作りながら、粘着テープを巻いてビニールシートで覆います。

この作業を3回に分けて実施し、「巻いて処置」6本、「切株処置」3本を、延べ7名の参加で行いました。試行錯誤をしながら試験的に行いましたが、思いのほかうまくいきました。これでナラ枯れの被害木の処置は一応終え、経過を見ることにしました。しかし、まだ「経過観察」3本の対処と新たな松枯れの被害調査をしなければなりません。(宍塚の自然と歴史の会副理事長)

常総学院届かず 鹿島学園に初の甲子園切符【高校野球’21】

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【鹿島学園-常総学院】9回裏2死一・三塁、秋本の適時打で常総学院が2点を返す=ノーブルホームスタジアム水戸

常総学院、及ばず。第103回全国高校野球選手権茨城大会は24日、ノーブルホームスタジアム水戸で決勝戦を行い、初回に3点を先制した鹿島学園が常総学院の反撃を9回の2点に抑え振り切った。鹿島学園は昨秋の県大会に続いて決勝で常総を破り、夏の大会初優勝。8月9日から阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する全国高等学校野球選手権に、県代表として出場する。

(鹿島学園は初優勝)

鹿島学園は3点リードをバックにエース藪野哲也が好投。追う常総は9回裏、1番からの好打順も2死となり、4番・田邊広大の左前打でようやく一・三塁の好機をつくった。

5番・秋本璃空の打席は初球ボール。2、3球目をファールで粘り、4球目はインコースへのストレート。「来た」と思って振り抜くと、打球は左翼フェンスへ達する長打。2点を返し、自らも二塁に至った。「変化球を狙っていたが、球威が落ちて甘いストレートが来た。次につなげてほっとした」と秋本。

1点差に迫り、島田直也監督は代打に青木良弘を送るものの、スイングアウトの三振。最後の打者になった青木は「みんながつないでくれて、絶対に甲子園に行きたいと打席に入ったが、ランナーを返せなかった」と悔やんだ。9回、反撃の足掛かりを作った伊藤琢磨も「このメンバーで最後の大会なので、9回全員で逆転しようと気持ちが入り2点返したが、勝ちきれなかったのが悔しい」と唇をかんだ。

先発投手として初回の3失点を喫した秋本は、「いつもよりアウトコースが厳しいことに気付かず、外で勝負をしすぎた。2回以降は打たせて取るピッチングに切り替えた」と振り返る。3四死球と2安打に加え、守備の乱れもあった。

肩を落とし引き揚げる常総ナイン=同

島田監督「早いうちに1点でも…」

「必ずチャンスは来るのであせらず、1点ずつ返していこうと言っていたが、取れないことが最後まで響いた。早いうちに1点でも返せていれば違っていた」と島田監督。相手の藪野投手については「自信のあるカットボールやスライダーで来ることは分かっていた。ゾーンを高くしながら対応していったが、打線がつながらなかった」と話した。

田邊主将は「スライダーにキレがあり、みんな思った以上に打たされた。自分も全然打てず、打ちたい気持ちでボール球に手を出したりしてしまった」と話す。9回のヒットについては「最後は気持ちで打った。無我夢中で球種は覚えていない」という。

5回途中から登板した大川慈英は「9回の2点で意地を見せたが、あと1点取れなかったのが悔しい。薮野投手は試合の転機が分かっていて、要所でしっかり腕が振れていた。自分は今後こういう思いをしない、絶対勝てるピッチャーになりたい」と決意を新たにした。(池田充雄・高橋浩一)

優勝した鹿島学園ナイン

百聞は一見に如かず 福島第1を視察 《邑から日本を見る》92

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東電福島第1原発1号機の現状 1号機建屋(東京電力提供)

【コラム・先﨑千尋】去る7月10日、私は村上達也前東海村長、海野徹前那珂市長ら「脱原発をめざす首長会議」のメンバー13人と東京電力福島第1原発の構内に入り、事故を起こした1号機から4号機を、100メートルの近距離からわが目で見た。

水素爆発やメルトダウンを起こした原発が目の前にある。1号機は特にひどい。建屋の屋根は吹き飛び、上半分の鉄骨がむき出しになり、天井クレーン、燃料クレーンが落下し、折り重なっている。使用済み核燃料は手つかずで、その真下にある。

海は建屋のすぐ向こうに見える。カモメがのんびり飛んでいる。土曜日だったので、4000人近く働いているという作業員の姿は少なかった。この光景を見て私は「百聞は一見に如かず」という言葉を思い浮かべた。世の中にはじかに見ないと分からないということがあるものだ。

視察見学は約3時間。東電社員が最初に事故概要や汚染水処理状況などを説明し、質疑のあと専用のバスで構内を回る。二重のチェックがあり、携帯やカメラは持ち込めない。事故を起こさなかった5・6号機や、汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理した水をためておくタンク群、浄化設備、廃棄物焼却設備などを、1時間以上かけて案内してくれる。

バスの中で、原発の事故がなければ、いや原発そのものがなければ、このような無駄なことをしなくて済むのに、と考えた。

東電の説明を聞く首長会議メンバー

膨大な量の汚染水

最初の質疑では、核燃料デブリ(燃料と構造物等が溶けて固まったもの)の現状、廃炉作業の今後などの質問が次々に出されたが、最も多かったのは汚染水の処理問題。現在までに125万立方メートルあり、現在でも1日に100~150立方メートル発生しており、来年秋ごろには貯蔵用タンクが満水になるという。

汚染水は、まず燃料デブリを冷却するための水が燃料デブリに触れて高濃度の放射性物質を含んだ汚染水になり、さらに建屋内に流れ込む地下水、雨水が混じり合うことで新たな汚染水が生じる。汚染水にはトリチウム、ストロンチウムなど分かっているだけで63種類の放射性物質が含まれている。この汚染水をALPSで浄化処理したものを東電では「処理水」と言っている。

この汚染水問題について、私は4月26日付の本欄「福島第1の汚染水、海洋放出へ」で問題点を指摘しておいた。この日の東電への質疑でも「東電は2015年に、関係者の了解なしにはいかなる処分も行わないと文書で約束している。約束違反ではないか。風評被害と政府、東電は言っているが実害ではないか。この10年、東電は被害者への賠償を十分に行ってこなかった。今回の海洋放出で、期間、地域、業種を限定せずに補償すると言っているが、信用できない」などと聞いた。それに対する東電の答えは、口調は丁寧だけれどもまともなものではなかった。

首長会議では翌日、北隣にある相馬市の松川浦を訪れ、漁師から現在の状況や汚染水問題をどう考えるかを聞き、その後「政府は汚染水の海洋放出を断念せよ」とする緊急声明を発表した。それらについては次回に報告する。(元瓜連町長)

関東鉄道、電気バスなどを40%以上に 2030年 SDG’s目標 

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4月から電気バスで運行のコミュニティーバス「みらい号」=常総線小絹駅(関東鉄道提供)

関東鉄道(松上英一郎社長、本社・土浦市真鍋)は、SDG’s(国連の持続可能な開発目標)の達成期限である2030年までに、電気バスなど電動車の保有率を全車両の40%以上にする目標を設定した。

同社の経営理念・行動指針「環境」に基づき、SDG’sの目標の一つである「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策を」などに貢献する。国の2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする)の実現に向けても取り組む。

災害時、電気バスは電源供給車としても活用するという。

関東鉄道によると、すでにつくばみらい市では、同社が運行を委託されているコミュニティーバス「みらい号」(小絹ルート)が今年4月1日から、県内初の電気バスを導入している。

同社はこれまで、省エネルギー・低公害なハイブリットバスなどの導入を進めてきた。今後はさらに環境に配慮し、電気バスの導入を進める。(山崎実)

理科の自由研究 どうしよう 《食う寝る宇宙》90

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【コラム・玉置晋】友人の宇宙ファミリー(コラム44参照)から「ウチの子の学校で、夏休みの宿題で理科の自由研究が必須になったのだけれど、よいテーマはないかなあ」と相談メールがきました。僕はすかさず、「じゃあ、宇宙天気について調べてみたら?」と、自分の研究仲間を増やすべく勧誘しています。

研究テーマの設定は、小中学生であろうと大学院生であろうと悩むものです。科学的な自由研究に取り組むコツを、気象学者の荒木健太郎先生が「科学的な自由研究とは?」と題してまとめてくださっています。参考にしてみてください。僕も先日、友人に教えてもらって、目から鱗(うろこ)が落ちました。

アクセス先はこちらです。「天気自由研究を大募集!『すごすぎる雲の研究』にチャレンジしよう!」

太陽の裏で大爆発

7月14日の夜中、人工衛星が太陽から広がるガスの様子を捉えました。ガスとは太陽の大気(プラズマ)で、これが宇宙空間に吹き飛ばされる現象を「コロナ質量放出(CME:Coronal Mass Ejection)」といいます。地球から、CMEは放射状に拡がって見えました。こういう場合は、地球方向に近づいているか、太陽の反対側に遠ざかっているか、どちらかです。

今回は、地球から見えている太陽面にはCMEの発生源は確認できませんでしたので、爆発は太陽の裏で発生した模様です。続いて、7月16日にも同じ方向に、7月17日には少し異なる方向にCMEが発生しました。このことから、活発な活動領域が少なくとも2カ所、太陽の裏にあることが推測されます。

この活発な活動がいつから続いていたのか、振り返ります。太陽は地球から見て約27日で自転しています。7月3日ごろに太陽面の北半球の西端に黒点ができ、Xクラスと呼ばれる最大規模の太陽フレアを起こしました。この時は強力な発光のみで、CMEが地球に飛んでくることはありませんでした。南半球にも1か所、今にも爆発を起こしそうな黒点がありました。あれから2週間が経ち、これら2カ所の黒点は太陽の真裏を通り過ぎたころのはずです。

これから、これらの黒点が地球から見える位置に回ってきます。活発な活動を維持しているようでしたら、僕は地球防衛のために休日返上で働くことになるでしょう。手伝ってくれる仲間がほしいです。というわけで、理科の自由研究をきっかけに、若手をスカウトしよう!というオチでした。(宇宙天気防災研究者)

決勝は常総学院vs鹿島学園【高校野球’21】

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【水城ー常総学院】常総、鹿田の適時打で宮原がホームイン

第103回全国高校野球選手権茨城大会は24日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われた。第1試合では常総学院が、好投手の樫村佳歩を擁する水城と対戦、ロースコアの接戦の末、2-1で競り勝った。第2試合は鹿島学園が石岡一を7ー1を下した。決勝は26日、同球場で常総学院と鹿島学園が甲子園出場を賭けて対戦する。

常総学院は先発の秋本璃空が7回まで1安打3三振の好投。唯一の失点は2回で、安打と犠打、内野ゴロで2死三塁から暴投で与えた。「2回の先頭打者には軽く投げてしまった。ちょっと抜くところが欠点で、それを治せば信頼できる。調子は良いときの彼に戻ってきた」と島田直也監督。

復調した秋本が次戦もカギを握るか

秋本自身は「変化球がよく低めに集まり、完投しようと思っていた」そうで、7回も自ら志願して行ったが、足がつったため1死で大川慈英に交代。「秋本が粘ってくれたので、自分は短いイニングで全力で集中して投げた。連投で疲れはあったが、打者に対し1球1球コースをイメージして、しっかり腕を振って投げられた」と大川。最速を更新する148キロを出したが「自分としては球速よりもキレ。出たな、という程度」の感想だそうだ。

攻撃では樫村に対し3回までノーヒット。3回は四死球がらみで1死一・二塁のチャンスを作るが鹿田優の二ゴロでダブルプレー。4回は1死一塁から三輪拓未が二盗を狙うが、田邊広大の三振と守備妨害でチェンジとなる。

だが5回は違った。2死から下位打線が粘りを発揮。7番 柴田将太郎と8番 宮原一綺が右翼への二塁打を2連続で放ち1点を返すと、9番 鳥山穣太郎が死球でチャンスを広げ、1番・鹿田の左前打で逆転に成功。「第2打席まではストレートを狙っていてチェンジアップで打たされていた。この打席では意識を切り替えた結果、ストレートを待ちながらチェンジアップにもうまく対応できた」

5回裏2死二塁、宮原が同点の適時二塁打を放つ

樫村攻略について島田監督は「1巡目は完璧に抑えられたが、その間にしっかり球を見極め、球数を投げさせたことで後半、少ないチャンスを生かすことができた」と話す。

鹿田は「相手が疲れてからが勝負。ボール球を打ってしまうと相手に流れが行くので、ゾーンに来た球だけ打っていこうと意識した」という。秋本も「樫村は乗ってきたら止められない、楽しく試合をするタイプ。打たれて気分よくさせないよう、彼の打席ではギアを上げて投げた」と、ピッチングでアシストしたそうだ。

5回裏2死一・二塁、鹿田が右翼へ逆転の適時打

いよいよ甲子園まであと1勝。島田監督は次戦に向けて、打線の奮起を期待する。「投手に負担がかかっているので、点を取れるときに取ってもらわないと。自分が就任して以来、センターへ強い打球を返すことを意識させているが、なかなかそれができていないので徹底させたい」(池田充雄・高橋浩一)

第2試合は鹿島学園が石岡一を突き放した。

TOKYO2020 善後策のプラチナメダル 《ひょうたんの眼》39

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【コラム・高橋恵一】いよいよオリンピックが始まった。東日本大震災の復興の証しとして、福島原発事故の終息の証しとして、安倍前首相がスーパーマリオに扮(ふん)し、原発の処理水も完全にコントロールしているとして、誘致したオリンピックである。最近の商業主義が色濃くなったオリンピック主催を躊躇(ちゅうちょ)する意見もあったが、じり貧の日本経済の回復を見込む動きが強く、2020東京開催が決まった。

大会が半年後に迫るとき、新型コロナウィルスによるパンデミックが起き、中止や2年延期の議論が起こる中で、前首相は「完全な形でのオリンピック」を目指し、1年延期を決断した。

完全な形のオリンピック。私は、1964年の東京オリンピックをイメージする。スポーツを通しての世界連帯、人種、国籍を超えた人々の交流。オリンピック期間中は戦争を中断した古代オリンピックに習う、平和のスポーツ祭典である。日本にとっては、平和国家としてアジア、世界に認めてもらうと共に、戦後社会経済の復興・発展を遂げ、欧米以外のアジア・アフリカ諸国の地位向上の先頭に立つイベントでもあった。

秋晴れの青空にブルーインパルスの飛行機雲が地球連帯を表す五輪マークを描いた開会式には、最大の参加国、最大の参加選手を迎え、新国立競技場を満員にした観衆が応援し、日本中に行き渡ったテレビが中継した。

日本人選手だけでなく、聞いたことのない国の選手やなじみの少ない種目の女子選手など、世界各国のあらゆる選手の活躍に感動し、応援した。各々の国旗の下に整列した開会式に高揚し、全ての競技で全力を尽くした最後の夜は、選手が国別ではなく、入り混じって、手をつなぎ、肩を組んで、満面の笑顔で入場し、互いの活躍を称えあったのだ。「完全な形」の平和のスポーツ祭典の閉会式だった。

全選手と関係者に「栄誉と感謝の気持ち」を

前首相の後を受けて、菅首相は「安心安全」の開催を公約した。本来、世界中で戦闘が止み、パンデミックも終息していてこそ、各国選手が安心して競技に臨め、安全安心で完全な形のオリンピックであろう。少なくとも、戦闘や感染が終息の方向に動いている必要があったが、現実は程遠かった。せめて、参加選手には、困難な事情を抱えながらも、開催地日本への入出国、日本での滞在、そして競技。日本のホストタウンをはじめ歓迎する人々との交流、多くの観客前での全力パフォーマンスなどが保障されるべきだった。

しかし、事前のワクチン接種も不十分。水際対策も検査体制も不十分。来日してから、感染やその疑いで競技できない選手も出てきたし、無観客なので、日本でオリンピックの選手として競技を誰にも見てもらえない選手もいるのではないか。

このままでは、選手や支えてきた関係者にとって、地球上のあらゆる地域から、遠いけど、美しい、おもてなしの日本に来た意味が無くなってしまうのではないか。

困難な状況下で日本に来てくれた選手に、全ての競技のテレビ放映を実施してほしい。参加選手全員に、金メダルあるいは特製のプラチナメダルを与えてほしい。日本国民から、平和とオリンピックを愛する全ての選手と縁の下から支えてくれた関係者への栄誉と感謝の気持ちとして、実現できないか。(地図好きの土浦人)

オオムラサキを見に行こう 《くずかごの唄》90

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【コラム・奧井登美子】私たちが「どんぐり山」と呼んでいる山がある。21年前の2000年、皆でどんぐりの実を持ち寄り、「どんぐりの里子作戦」と名づけて、かすみがうら市加茂の岡野静江さんの畑(1500坪)にまいたのが始まりである。

作戦には130人もが来てくれた。東京の台東区の子供たちや、廃校になった土浦の宍塚小学校の子供たちも参加して、草取り、苗植えなどなど、森づくり作業に喜んで参加してくれた。

どんぐりの苗よりも大きくなってしまった雑草を刈りとるのが一仕事。皆、蚊や蚋(ぶよ)に刺されて大変だった。現地の人たちは、草むしりの前に殺虫剤をまくことを提案してくれた。私たちは将来の昆虫の森を夢に見ていたので、殺虫剤だけはまかないでほしいと、「殺虫剤の勉強会」まで開催してその案を阻止した。

広い畑の下草刈りはあまりに重労働だったので、敷地の半分くらいに段ボールを敷き詰めて、「ペーパーマルチ」を実験してみた。段ボールが溶けてなくなるまでの2~3年間、その場所の雑草は生えずにどんぐりの木を守ってくれた。

雑草取りの手間が省けてとてもよかったと喜んだが、段ボールの下は冬でもかなり暖かいらしく、いつの間にか、ヤマカガシ君とマムシ君たちの別荘になってしまったらしい。

会いに行くことが楽しみ

「マムシが出た」と叫んだら、現地の石川さんのオジサンが素手で5匹もつかまえてくれた。2005年。とうとう、待ちに待ったあこがれのオオムラサキが出現した。さすが国蝶とあって、色といい、貫禄といい、申し分のない格調の高さである。

オオムラサキはエノキで育つ蝶である。近くにエノキがあるに違いない。岡野家の敷地の突き当りにある大きなエノキ。木の下には、春、秋、冬を通じて、かわいい顔をしたオオムラサキの幼虫に会うことができる。私は会いに行くことが楽しみだった。

ほぼ毎年、7月の土曜日に昆虫観察会を開くと、オオムラサキも毎年10羽以上来てくれるようになった。しかし、昨年はコロナで子供たちの参加を止めたら、オオムラサキも来てくれなかった。どうしたのだろうか? エノキは無事だろうか? 森の中にコロナはいないので、今年は昆虫観察会決行と決めた。(随筆家、薬剤師)

※ 昆虫観察会:7月31日(土)午前8時30分、霞ケ浦環境科学センター前集合。問い合わせは霞ヶ浦市民協会(電話029-821-0552)

常総学院、土浦日大の追い上げかわし準決勝へ【高校野球’21】

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【土浦日大ー常総学院】4回裏2死一・三塁、常総の重盗をホームで阻止。捕手・菅野

第103回全国高校野球選手権茨城大会は22日、準々決勝4試合が2球場で行われた。土浦・つくば勢は常総学院と土浦日大が対戦し、常総が6ー5で土浦日大の追い上げをかわしベスト4に進出した。準決勝は24日、常総学院と水城、石岡一と鹿島学園が対戦する。

ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合は、土浦日大と常総学院が対戦。常総が先行し日大が追い上げるという展開で、終盤までもつれたが6-5で常総が逃げ切った。試合を大きく左右したのは両チームの投手力だった。

常総は初回裏、日大の先発・河野智輝投手の立ち上がりを攻め立てた。先頭の鹿田優が内野ゴロで出塁し、3番 三輪の中越え二塁打で先制。6番 秋本の左中間二塁打で2点を追加。日大のエース小谷野奨大を早くも引っ張り出し、2回にも伊藤琢磨の左前打で1点を加えた。

1回裏常総学院2死一・二塁、秋本の適時打で2者が生還

日大の反撃は4回。2番 萩原康誠が内野ゴロ、3番 芹沢優仁主将が中前打、この2人が重盗を決めて1死二・三塁、5番 大島優太朗の三塁線を抜く二塁打で2点を返す。常総はこの回、先発の秋本を下げてエース大川慈英を登板させた。

6回には常総が追加点。連投の影響が残る小谷野を、三輪の中越え2点二塁打でノックアウト。日大は3人目の山田奏太をマウンドへ送った。

7回の日大は、その山田のバットが流れを引き寄せた。2死二塁の場面で右前適時打。続く武田優輝の内野安打は悪送球を招き1点追加、さらに萩原の左前適時打で、この回計3点をもぎ取った。

7回表2死二塁、山田の適時打で小菅が生還、沸く日大ベンチ

最後はがまん比べ。8回裏の常総の攻撃では、山田が2死球を与え2死一・二塁となるが、申告敬遠で塁を埋め、次打者を三振に切ってピンチを脱出。9回表の日大の攻撃では、大木の内野安打で1死一塁から、代走今西と代打吉次を送って起死回生を図るが、三振2つであえなくゲームセットとなった。

土浦日大「この経験を来季に生かす」

日大の小菅勲監督は常総の大川投手について「崩れそうでいて要所を抑えて投げきった。さすがいろんな経験をしている投手。彼を打ち崩せないと甲子園には招かれない。そのきっかけにしようと選手たちに言っていた」と話す。

日大の小谷野投手は、春前に傷めた肩をかばって病院に通いつつ、毎試合長いイニングを投げるという苦しさがあった。「本調子ではないが、試合になるとそんなことは言っていられない。アドレナリンが出て痛みも消えた。霞ケ浦戦までは自分のピッチングができたが、最後にそれができずとても悔しい」

山田投手は5四死球と苦しみつつも3三振を奪い無失点。前回登板からの成長を見せた。「軸足の流れを修正したことで体の開きが消え、アウトコースが引っかからなくなった。自分のピッチングで流れを引き寄せたかったが、先輩たちと甲子園へ行けなくなり悔しい。この経験を来季に生かしたい」

7回裏、常総打線を三者凡退に抑えベンチに戻る山田(右)

常総学院「しっかり修正しミスなくす」

常総の島田直也監督は勝利に安堵しながらも、7回の失点には「先の先のプレーをやろうと考えて、自分たちで苦しめてしまった。目の前のプレーを大事にしないと、このままでは全国でまた同じミスをしてしまう」と厳しい表情。

殊勲打の三輪も「次も接戦が続くと思うので、しっかり修正してミスをなくし、守備から流れを持ってくるようにしたい。バッティングでは今日のようにセンター返しを意識し、強い打球で必死にボールにくらいついていきたい」と次を見据えた。(池田充雄)

準々決勝、他3試合の結果と、24日の準決勝の組み合わせは以下の通り。


 

共に学ぶ教育への意識高まる 県障害者差別相談室が報告会

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2020年度の報告をする、県障害福祉課職員と差別相談室の相談員=水戸市赤塚、水戸市福祉ボランティア会館

県障害者権利条例に基づいて2015年に設置された県障害者差別相談室の2020年度実績報告会が、21日オンラインで開催された。教育に関する相談が増え、相談員は「(障害のある子どもと障害のない子が共に学ぶ)インクルーシブ教育に対する社会の意識が高くなり、普通学校での障害児の支援方法についての相談も来るようになった。幼い頃から障害のある人が身近にいるようになれば、障害への理解が広がるだろう」と話した。

相談室は、条例に基づき県が運営し、障害者や家族、支援者などから、障害者差別に関する相談を受け付けている。相談内容によっては、解決にむけた助言や情報提供、関係者間の調整などをおこなう。例年は水戸の会場で開催しているが、昨年に引き続き今年も、新型コロナの感染予防のため、オンラインで開催された。

報告会には県内の障害者や支援者など約15人が参加した。実績報告後の質疑応答では、参加した障害者などから多くの質問や意見が出され、相談室と障害者などが協力して、差別をなくそうとする姿勢が見られた。

発達障害に対する認識の甘さを反省

昨年度寄せられた相談は68件で、相談室が設置されて以降、最も少なかった。一方、内容別に見ると、教育に関する相談のみが過去2年と比較し件数が増えた。

報告会ではまず、昨年度寄せられた教育に関する相談事例が紹介された。発達障害を持つ子どもが通常の学校で適切な支援を受けられていないという母親からの相談では、相談員の同席の下で、学校や市教育委員会と協議の場を設けた。結果、学校は発達障害についての認識の甘さを反省し、特別支援学校などの専門機関から助言を受けながら、保護者と連携して対応していくことになった。

この事例を受け、報告会に参加した「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」共同代表で、自身も差別解消を推進する障害平等研修の講師として活動する八木郷太さんは「県内の小中学校では、障害者が講師となり、子どもたちと一緒に障害について考える障害平等研修が少しずつ行われている。協力して障害理解を広められたら」と、提案した。

事例集を改定、精神障害を追加

県は差別解消に向けた意識啓発のため、差別についての相談事例集を作成し、県内の福祉関係機関や教育機関に広く配布している。県は今年、事例集を改定した。

報告会では参加した障害者から、「差別されていても、差別に気づかない障害者もいる。事例集は、どのようなことが差別なのかを、障害者にも周囲の人にも知らせる役割がある」「事例集があることで当事者は相談しやすくなる」など、事例集の役割に期待する意見が出た。

一方、担当職員からは「個人情報に配慮したり、障害種に偏りがないように考えながら、事例を選んでいる。今までの事例集には、精神障害の事例が少なかったため、今回新しく掲載した」と、事例集に対する考えが話された。

その他にも、参加した複数の障害者から「一般のタクシー会社でも車いすのまま乗れるユニバーサルデザインタクシーが普及してきたが、運転手が車いすの乗車方法を十分に研修できていないなら、一緒に研修会をやりたい」「差別解消に関する取り組みを話し合う協議会のメンバーに障害者も入れてほしい」などの意見が聞かれ、差別をなくすための行動を県や相談室だけに任せるのではなく、自分たちも協力していこうという障害者らの意識が見られた。(川端舞)

アリとキリギリス 《続・平熱日記》90

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【コラム・斉藤裕之】生後10日を過ぎてやっと名前が決まった孫。乳もよく飲むし夜泣きもほとんどしない。我が子の場合と違って、目鼻や耳、頭の形や髪の毛など、双方の祖父母の顔まで思い浮かべて、何がどう遺伝しているのか、誰に似ているのか、大げさに言えば、大昔からつながる、そしてこの先つながっていく命の不思議をも感じてしまう始末で、まあいずれにしても、なかなかいい面構えをしていると、ひとりニヤける。

それから、今どきはよくできたもので、旦那さんも長い育休をとって、おむつを替えたり寝かしつけたりで、ここ1カ月はにぎやかに暮らしているのだが、カミさんと2人暮らしのときと比べて、飯の支度やら洗濯やらが意外に大変で、寝床につくときには冷蔵庫の中を思い出しながら明日の献立を考えたりする自分がいたり、梅雨時は洗濯物も乾かないので近所のコインランドリーに朝6時に出かけたら、何台もの乾燥機が回っていることに驚くやら。

そうこうしているうちにも、コロナの勢いは衰えるどころか、東京は緊急事態宣言下でどうやらオリンピックは開かれることとなり、何とも複雑な夏を迎えることとなった。

粭島での作品展は延期

それとは関係ない?関係なくもない?が、何かと家にいる時間が長くなった私を見て、「どこかで働いてきなさい」という指令がカミさんから下された。どこかでと言われても、いまさら雇ってくれるところもないのだが、カミさんの目論見としては、かねてからお誘いのあった草刈りのバイトに行けということらしい。

草を刈る場所は、高低差10メートル、幅数10メートルほどのノリ面。上り下りするだけでも大変だが、刈り取ったカヤやササの葉は滑りやすく、斜面で足を踏ん張りながらの作業。炎天下、汗の量も半端ではない。幸い雇い主が親しい友人ということに甘えて、「半日しかできないよ」と宣言して始めたが、朝8時から始めてお昼には限界が来る。おまけに刈り終えた斜面からまた順番に草が生えてきて、「終わらない夏」の予感。

肉体労働は汗をかいた分のお給金をもらえるので嫌いではない。「アリとキリギリス」という寓話を思い出す。お金が無くなると肉体労働をするしかなかった。そこはアリ的に生きてきたのだが、人から見れば、やはり絵描きはキリギリスなのかもしれない。つまり私は「アリギリス」? しかし、キリギリスとはギリシャっぽい和名で何とも面白い。

残念だが、この夏に予定していた故郷の粭島(すくもじま)での作品展は延期することにした。もう少しすっきりしないと、小さな島とはいえ、いや小さな島だからこそ人を呼び入れることははばかられる。日々変わる孫の顔が見られないのはちと寂しいが、またカミさんとの2人の暮らしに戻る。刈るのをためらったアザミが夏空に赤い花を咲かせている。(画家)

教員と市職員が新型コロナ つくば市

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つくば市役所

つくば市は21日、市立学校教員と市働く婦人の家の職員計2人が同日、新型コロナウイルスに感染していることが分かったと発表した。

教員が勤務する学校の濃厚接触者については現在、調査を実施している。学校はすでに消毒作業を実施した。夏休みに入ったため休校などは実施しない。

働く婦人の家は、施設内の濃厚接触者はいない。施設はすでに消毒作業を行い、通常通り業務を実施する。

夏休みだ!お勉強だ!クレオで科学実験 つくば駅前

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特別展示の仕上げを急ぐNIMSの新設コーナー=トナリエ クレオ3階

21日、夏休みが始まった。この日早くも宿題の仕上げよろしく突貫工事に励んでいたのは物質・材料研究機構(NIMS、つくば市並木)の面々。22日からトナリエクレオ(つくば市吾妻)に特別展示を開始するのを前に、コーナーの飾り付けに汗だくで取り組んだ。

クレオは22日、開業第2弾として家電量販のケーズデンキ、百均のダイソーなどがオープンする。3階の一画にNIMS特別展示も名を連ねる(7月10日)。

25日までの4連休中、「リアル実験ショー」と銘打って、1日に5回の公開実験を行う。通常、浮遊状態で見せる超電導実験を「逆さにしても落ちない」ユニークなスタイルで行ったり、手の熱で氷を切るダイヤモンド切断ショーなどを準備している。各回10~15分程度。NIMS特製「元素バッジ」がもらえるクイズなども行う。

実験イベントは4日間限定だが、展示自体は夏休みいっぱい継続の予定。NIMSが開発した白色LED、ジェット機に使われる超合金などの先端材料を目にすることができる。

クレオを運営する日本エスコン側から「駅前につくばらしい雰囲気を持ってきてほしい」との要請があり、出展を決めた。NIMSがつくばセンター地区に展示施設を置くのは初めてで、秋以降の継続についてもエスコン側と協議する構えでいる。(相澤冬樹)

ワクチン予約を一時停止 つくば市 再開の見通し立たず

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つくば市新型コロナウイルスワクチン接種対策室前に設置された受付窓口を訪れる市民(右)=つくば市役所コミュニティ棟1階

国からの新型コロナウイルスワクチンの供給が見通せないとして、つくば市は20日から、ワクチン接種の予約受け付けを一時停止した。いつ再開できるのか、市新型コロナウイルス接種対策室は、現時点で見通しが立たないとする。予約の一時停止は全国でも起こっている。

同市は、国の掛け声に呼応して接種のスピードを上げてきた。65歳以上の高齢者の優先予約に空きが出始めたのを見計らって、6月21日から65歳未満に順次、接種券を発送し、7月15日までに、16歳以上の計約15万2000人に発送を終えた。

しかし国のワクチン供給にブレーキがかかり、16歳から29歳の予約受け付けを開始したちょうど20日午前、まだ残っていた大規模接種会場のつくば市配分枠が埋まってしまい、同日、予約受け付けを停止した。

大規模接種会場は、県が産業技術総合研究所に開設し、モデルナ社製ワクチンを接種する。予約が埋まったつくば市枠は、10月1日までの2万5000人分(2回接種分)だった。

一方、市内102カ所の診療所など医療機関での接種予約は、ファイザー社製の供給が見通せず、すでに7月中旬から新規の予約受け付けを停止していたという。

8月末まで供給量と予約ほぼ同数

市接種対策室によると、20日までのワクチン接種率は、医療従事者が1回接種96%、2回接種90%。65歳以上は1回接種74%、2回接種49%。6月24日から順次予約受付が始まった65歳未満については、1回目を接種したのが1万1042人、2回接種は1795人とわずかだ。

国からのワクチン供給は7月上旬現在、2週間に1回、1万7550回分が届く。現在、2回目の接種を待っている65歳以上の高齢者は約1万2000人、65歳未満は約9000人おり、ほかに予約をとったばかりで1回目の接種を待っている人もいることから、8月いっぱいまでは予約数とワクチン供給量がほぼ同数だという。

市担当者は「2週間ごとに国からワクチンが届くが、在庫はそんなになく、届いたらすぐ配送するという状況が続いている」と話し、その上で「予約したのにワクチンが無くて接種できないという状況だけは絶対に避けなければならない」として、止むなく新規予約受け付けを停止したと説明する。

今のペースでは、9月以降の国からのワクチン供給量が確定するのは8月に入ってから。市は今後、市内の医療機関を対象に、9月から11月までの予約受け付け状況を調査する予定で、国の供給量の見通しが分かれば、できるだけ早く予約受け付けを再開したいとする。

すでに予約した人については、2回目接種のワクチンは確保されている。(鈴木宏子)