火曜日, 12月 30, 2025
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土浦市のいじめ回答拒否 個人情報保護が盾《吾妻カガミ》168

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教育委員会が入る「ウララ2」ビル(左)と市役所が入る「ウララ」ビル

【コラム・坂本栄】土浦市立中学校でのいじめ問題に関する市教育委員会と市議会文教厚生委員会の対応に違和感を覚えています。教育委は本サイトの取材に回答を拒否してメールによるコメントで済ませ、文教厚生委はこの問題を取り上げないことを決めました。教育委の回答拒否と議会の審議回避の理由はなぜか同じであり、「関係生徒のプライバシー保護」でした。

不十分な教育委の対応

2019年春から22年春にかけて、車いすの生徒が受けたいじめがどんなものだったのか、学校と教育委は繰り返されるいじめにどう対応したのか―などは、保護者の証言に基づく記事「いじめをなぜ止められなかったのか 保護者が再調査求める…」(9月3日掲載)に詳しく出ています。

また、コラム166「高齢研究者と車いす生徒に冷たい土浦市」(9月4日掲載)では、教育委の市民にやさしくない対応に疑問を呈しました。

教育委がそれなりの対応をしたにもかかわらず、いじめが続いたということは、一連の生徒対応が不十分だったことを意味します。いじめられた生徒はすでに中学校を卒業しているのに、保護者が再調査を求めているのは、いじめた生徒への指導が不徹底だった原因を調べ、再発防止の教訓にしてほしいと思っているからです。

市議会も教育委に同調

この事案について本サイトの記者が取材を申し入れたところ、教育委はメールで「関係する生徒等の個人情報やプライバシーに関わることであり、回答を差し控えさせていただく」(指導課長)と、回答を拒否してきました。プライバシー保護を盾に、いじめの実態や教育委の対応などは話したくないということです。これでは、いじめの原因がわかりませんし、保護者が求めている教訓も得られません。

また、なぜ議会で取り上げないのか文教厚生委の某市議に聞いたところ、「決して無関心なわけではない。これは人権とプライバシーが絡むデリケートな内容であり、議会で取り上げると、話し合った内容が全て広く一般へ公開されることになる」といった返事でした。

教育委がプライバシー保護を理由に回答を拒否したのは、いじめた生徒に対する指導の詳細を知られたくないからでしょう。それはそれとして、教育行政のチェックを仕事にしているはずの文教厚生委は、結果として教育委のいじめ問題隠しに同調してしまっているのではないでしょうか。いじめた生徒は自分の行為を反省せずに大人になるでしょうから、教育委は児童生徒を正しく育てるという仕事を怠っていることになります。

個人の情報を守る方法

先の記事には、いじめられた生徒が誰なのか、いじめた複数生徒が誰なのか、固有名詞は書かれていません。それがこの種の記事作成の作法だからです。でも推測はできますから、いじめられた生徒と保護者はすでにある程度のプライバシーをさらしています。生徒と保護者はそういった覚悟を固めているということです。

文教厚生委がプライバシー保護を心配するのであれば、委員会を非公開の秘密会にし、固有名詞をA、B、C、D…にすればよいでしょう。

教育委と議会の逃げの姿勢を知った保護者は、いじめ問題に「無関心ではない」文教厚生委に対し、子ども生徒と連名で文書を提出し、審議を促すそうです。矢口勝雄(郁政会、委員長)、田中義法(新勇会、副委員長)、吉田千鶴子(公明党)、鈴木一彦(新勇会)、勝田達也(郁政会)、福田勝夫(共産党)、平岡房子(社民党)、根本法子(公明党)の各氏が市議の仕事をするのか、気になります。(経済ジャーナリスト)

常総学院 4年ぶり秋大会制覇

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優勝旗を受け取る常総学院の若林主将(撮影/高橋浩一)

第76回秋季関東地区高校野球県大会は1日、ひたちなか市民球場(同市新光町)で決勝戦が行われ、常総学院が8-0で鹿島学園に勝利し、4年ぶり10回目の優勝を決めた。両校は21日から栃木県で開催される関東大会に出場する。

第76回秋季関東地区高校野球茨城県大会(1日、ひたちなか市民球場)
常総学院 100005200 8
鹿島学園 000000000 0

1回表常総学院1死二塁、片岡が先制の適時二塁打を放つ(同)

常総学院は初回、2番の杉山陽大が内野安打と敵失で出塁、1死二塁から3番・片岡陸斗の右中間への二塁打で1点を先制。4球ともストレートのカウント2-2から、次はスライダーが来ると予想したが、投手の腕の振りからストレートが来ると瞬時に判断、外角真ん中の球を振り抜いた。「ここ最近で一番の手応え。思いきりの良さが出せた」と片岡。

投手陣は5回までに4人が投げたが、いずれも実戦経験の浅さからか計7つの四死球を与えてしまう。だが捕手・片岡のリードや声掛け、野手のカバーなどで失点はゼロ。2回には2死一・三塁からダブルスチールを仕掛けられるが、遊撃手・若林佑真の好返球で事なきを得た。

2回裏鹿島学園2死一・三塁、三走・鳥羽山の本盗は失敗(同)

「追加点を取って展開を楽にしたかったが、相手の守備も良く、いやな流れになっていた」と島田直也監督。5回終了後のクーリングタイムに「もう一度初回と同じ気持ちで、立ち上がりしっかり行こう」と選手たちに声を掛けた。

すると6回は1死の後、四番・武田勇哉から九番代打・森田大翔まで怒涛の6連打。いずれも単打をつないで一挙5点を追加した。「相手投手は変化球が増えていたので狙い目だった。練習通り、センターへの強い打球を意識していた」と、この回最初の適時打を放った若林主将の振り返り。

6回表常総学院1死満塁、右前へ2点適時打を放った池田翔吾(同)

常総学院は7回にも2点を追加した。投手は6回からエース・小林芯汰が登板、準決勝の疲れからかボールが先行する場面も多く、5安打を許したものの最後までホームは踏ませなかった。

「小林は予定より1イニング早かったがエースらしく投げてくれた。力を入れる場面と打たせてとる場面の使い分けを覚えてきた。打撃陣は地区大会では良くなかったが、県大会では本当に成長した。打撃は水物。小技もしっかりできた」と島田監督の評。地区予選の3試合はいずれも僅差での勝利だったが、県大会は1回戦から準決勝までの4試合をいずれもコールド勝ち。決勝も終わってみれば大差がついていた。

6回からマウンドに上がった常総のエース小林(同)

「本来は小技を使って1点ずつ取り、守り勝つチームだが、打撃の好調を維持してこのまま行きたい。まずは関東で2勝し、最終的に優勝することが目標。それに向けていい自信になった」と若林主将は笑顔をほころばせた。(池田充雄)

【訂正2日8時55分】見出しの常総学院「5年ぶり制覇」は「4年ぶり」の誤りです。訂正しました。

カエル姿で420人が駆け抜ける 4年ぶり 筑波山がまレース

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「がまクィーンの部」でスタートする出場者。先頭を走るのが4連覇した鷹崎晃子さん

鷹崎晃子さん クイーンの部で4連覇

第75回筑波山ガマまつりのメーンイベント「筑波山がまレース」が1日、中腹の筑波山神社近くで4年ぶりに催され、県内外から約420人の参加者がカエルのかぶり物をして門前通りを駆け抜けた。

筑波山ガマまつりは戦国時代、筑波山・中禅寺の住職で、ガマの油を作ったとされる光誉上人(こうよしょうにん)の供養と商売繁盛を祈願する祭りで、今年75回目。がまレースは2013年から始まり、コロナ禍で中止となった3年をはさんで今年で7回目となる。

保育園や幼稚園児らが150メートルを走る「おたまじゃくしの部」、小学生が3人1組になりおたまをもって各200メートルをリレーをする「筑波山がまアトラクションリレー」、カップルが二人三脚で250メートルを走る「ガップルの部」、中学生以上の女性が500メートルを走る「がまクイーンの部」、中学生以上の男女が500メートルを競う「がまキングの部」の7部門でレースが行われた。

「おたまじゃくしの部」で走る園児たち

このうち、ガップルの部で優勝したいずれもつくばみらい市に住む黒木章弘さん(28)と山田理紗子さん(26)は「参加は2回目。2人で息が合ったので優勝できた。とてもうれしい。もうすぐ結婚する予定。よいイベントだと思うので今後も続いてほしい」と話した。

がまクイーンの部で優勝した栃木県真岡市の鷹崎晃子さん(37)は2017年から4連覇を果たした。「楽しくレースをすることが出来た。普段からいろいろなレースに出て、それに向け練習をしている。今後も連覇を続けたい」と喜びを語った。がまキングの部は東京都日野市の井海雅之さん(23)が優勝した。「友達に誘われて参加した。今まで陸上競技をやっていたので、結果が出て満足。また出場したい」と語った。

レースではメーンスポンサーの外食チェーン、坂東太郎のゆるキャラ「ばんどう太郎」がスタート合図をしたり、司会者などスタッフがルパン三世のキャラクターにふんするなど、会場を盛り上げた。当日はレース以外にも、ガマや緑をテーマにしたコスプレイベントが開催された。

カエルと緑をテーマにコスプレし、門前通りの大御堂前で記念撮影をする参加者

筑波山ガマまつりは、がまレースで始まり、少年漫画「ケロロ軍曹」とタイアップした周遊企画や、グルメ企画などが11月30日まで催される。(榎田智司)

ノスタルジア「八つ墓のたたりじゃ〜!」《訪問医は見た!》4

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吹屋の街並み(筆者撮影)

【コラム・平野国美】岡山県の山間部に吹屋(ふきや)という地区(高梁市)があります。ベンガラ(酸化第二鉄)の街並みで有名なのですが、私は15年ほど前、よく調べずにここを訪れました。街の外れから歩き出したのですが、なぜかデジャヴ(既視感)があるのです。しかし、私には縁もゆかりもない場所のはずです。

そのとき、私の背後に老女が忍び寄り、耳元で突然叫んだのです。「たたりじゃ〜! 八つ墓のたたりじゃ〜!」と。そこで、すべてを悟りました(この部分は作り話です)。

当時、この地域は高齢化が進み、住人の多くが80代の方々でした。そんな街の古民家を利用した喫茶店で、土地の皆さんと話しているうちに、この街の概要がわかってきました。江戸時代は鉱山として、明治時代はベンガラ生産地として、繁栄した街だったのです。

ベンガラは、神社などの建築物に使われる赤い塗料で、腐食を防ぐ目的もあって塗られていました。吹屋の街並みは、壁はベンガラ色、屋根は山陰の石州瓦(これも朱色)で、独特の風景が見られます。

なぜ、私がこの風景に既視感を持ったのか? 喫茶店にいたおばちゃん達と話しているうちに、わかってきました。上で書いた「たたりじゃ〜っ!」は、あながちウソでもないのです。ここは1977年に公開された角川映画「八つ墓村」のロケ地で、この映画の風景が目の前に浮かんだのです。

消えてゆく日本を残したかった

ここがロケ地になったのは、特徴的な風景もあるでしょうが、原作者の横溝正史が岡山県に疎開したこともあり、岡山を舞台にした映画を作ることになったと思うのです。

彼は神戸で生まれ、一時就職した後に大阪で薬学を学び、実家の薬局を継ぎます。しかし、学生時代に応募した作品が認められ、江戸川乱歩の招きにより、東京の出版社に勤務。多くの探偵小説を手掛けますが、肺結核になり長野の病院に入院。結核薬ストレプトマイシンで生きながらえ、戦争中は母親の実家があった総社市(岡山県)に疎開。二度と探偵小説は書けないと失意に落ちます。

しかし彼は、岡山の生活の中で、村人たちと酒を酌み交わしながら、地元の伝統や因習について聞き出したのです。そこには、古い美しい日本がありました。横溝作品は小説も映画も怪奇的に捉えられますが、彼が書き残したかったのは、そこではなかったと思うのです。

「八つ墓村」監督の野村芳太郎も、あるインタビューの中で「化け物映画を作りたいのではなく、消えてゆく日本を残したかった」と言っていました。これらの作品の根底にはノスタルジアがあるのだと思います。(訪問診療医師)

「大学改革の旗手に」永田学長 筑波大が開学50周年記念式典

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「創基151年筑波大学開学50周年記念式典」で式辞を述べる永田恭介学長=つくば市竹園、つくば国際会議場

マハティール元首相が祝辞

筑波大学(つくば市天王台)が10月1日、開学50周年を迎えるのを記念した式典が30日、同市竹園、つくば国際会議場で催された。永田恭介学長は「世界中の大学との間で頭脳循環を加速させ、知の十字路としてのキャンパスを充実させていきたい。大学改革の旗手として、固定化された社会を再構築する原動力でありたい」などと、次の50年に向けた式辞を述べた。

祝辞を述べるマハティール元首相

式典には大学関係者のほか、つくば市長、県内選出の国会議員、協定などを締結している海外の大学学長など計約1200人が参加した。文科省の安江伸夫政務官のほか、マレーシアのマハティール元首相らが祝辞を述べた。

同大は来年10月、日本の大学で初めて日本の学位を授与する海外分校をマレーシアの首都クアラルンプールにあるマラヤ大学に開設する。2019年、安倍晋三首相とマハティール首相(当時)が取り決めをし海外分校を開設することから、今回来日に至ったという。

白川名誉教授が記念講演

記念講演するノーベル化学賞受賞者の白川英樹名誉教授

続いて2000年にノーベル化学賞を受賞した同大の白川英樹名誉教授が「私の研究とつくばー東京工業大学・ペンシルベニア大学・筑波大学」と題して記念講演した。開学間もない筑波大に着任した当時の思い出について「つくばの街は発展途上で、息抜きをしたり、くつろいだりできる喫茶店や赤ちょうちんの店も無くて、過ごしづらいと感じた人が多かったが、私は酒も飲まなし、喫茶店に入ってコーヒーを飲みくつろぐという経験をしたことがないので、かえってすっきりして、いい街だなあと思った」などユーモアを交えながら振り返った。

国立大学が直面している課題についても触れ「2004年の国立大学法人化以降、政府から交付される国立大学への運営交付金は毎年1割削減され、2022年は87%まで減少している。不足分を補うため企業との共同研究や技術移転などで寄付を仰いで研究費などを調達しなければならないが、いきおい大学で研究は短期的に成果が上がる、役に立つ研究ばかりが目立っている」などと話し、現在の国の政策に苦言を呈した。

学生に向けては「体育専門学群の学生が国内外の競技やオリンピックで輝かしい成果を上げて、メディアが大きく取り上げて、筑波大学の名声を高めているが、それ以外の大部分の学生は、社会に向けて何ができるか」と切り出し、自身の助手時代の体験を振り返って「一コマの講義を託され、教えるということは、裾を広く学ばなければ教えることはできないということを痛感し、教えることは学ぶことだということを学んだ」と述べ「時に教える機会をつくってほしい、そういうことによって学ぶことの意義ができてくる」などと話した。

記念式典のオープニングで、落合陽一准教授によるメディアアートを上映しながら学生歌「常陸野の」を演奏する筑波大学管弦楽団と混声合唱団

10月1日は大学で記念イベント

50周年記念イベントは10月1日も大学キャンパスで催され、2050年の生活と社会を考えるフォーラムや元Jリーガーがプレーするサッカーの記念試合など、さまざまなイベントが開催される。

筑波大学は1872(明治5)年に日本初の教員養成機関として創設された師範学校が始まり。1973年10月1日、東京教育大学を移転する形で筑波研究学園都市に開学した。同大は今年、開学50周年イヤーとして各種イベントを展開している。

朗読列車 今年は紅葉仕立てで運行 筑波山ケーブルカー

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今年は紅葉仕様で運行するケーブルカーの車内。車内では声優や劇団員が民話などを朗読する

山頂駅展望台に新アクティビティ

紅葉シーズンを前に、筑波山ケーブルカー(筑波観光鉄道運行)で10月1日から、車内に色付いたモミジやイチョウを飾り立て、声優らによる朗読劇が体験できる秋のイベント列車「ストーリーテラーズ・レールウェイ」が運行される。昨年に続いて2回目。

8分間の乗車時間の間に、つくばエリアで語り継がれる民話「しっぺいたろう」、宮沢賢治の「注文の多い料理店」、筑波山名物「ガマの油口上」を声優や劇団員らが朗読する。さらに今年から、標高約800メートルの御幸ケ原の筑波山頂駅隣りにあるレストランの展望台屋上に、絶景に浮かぶ的に向かってウォーターガンを発射させるアクティビティが導入される。「天空のガマスプラッシュ」と名付けられたストレス発散系アクティビティだ。

御幸ヶ原、コマ展望台での天空のガマスプラッシュ 展望台での新遊戯ウォーターガン 

企画会社の担当者は「今年は朗読に女性声優も参加するなど、昨年よりグレードアップした形となる。また新しいメニューを加え、筑波山観光をグレードアップさせたい」と語り、筑波観光鉄道営業本部の須藤淳さんは「昨年から朗読列車を運行し、大変評判が良く、乗客数も増した。今年は企画がバージョンアップしたので、乗客数がさらに増加することを期待したい」とし、「筑波山ロープウェイの方も、10月から土日祝日に夜間運行がはじまるので楽しみにしてほしい」と話す。

29日、メディア向け内覧会が開かれ、筑波観光鉄道の枝村誠社長、つくば市の飯野哲雄副市長、筑波山神社の上野貞茂宮司、つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道の渡辺良社長がそれぞれあいさつした。飯野副市長は「11月3日に筑波山ゲートウエイのオープンもあり筑波山を中心とした地域がさらに盛り上がることを期待したい」と話した。

朗読列車と並ぶ(後列左から)ガマ口上の筑波和弘さん、上野貞茂宮司、首都圏新都市鉄道の渡辺良社長、飯野哲雄副市長、筑波観光鉄道の枝村誠社長、(前列左から)菊池将司さん、水野谷泰我さん、上原悠希さん

3人の声優、上原悠希さん(22)、菊池将司さん(22)、水野谷泰我さん(22)も参加し、ケーブルカーの車内で上原さんが「しっぺいたろう」を朗読、山頂駅到着と同時に終わらせるという職人芸を見せた。この日、山頂駅近くの展望台の屋上では、強い風の中、筑波山ガマ向上保存会の筑波和弘さんが「ガマの油」のショートヴァージョンを披露したほか、3人の声優が「天空のガマスプラッシュ」のパフォーマンスをした。

筑波山ケーブルカーは筑波山頂駅と宮脇駅間の全長1634メートル、標高差495メートルを「もみじ号」と「わかば号」と名付けられた2つの車両が結ぶ。今回の企画は「もみじ号」の車両を朗読列車として使用する。(榎田智司)

◆朗読列車は10月1日(日)~29日(日)の土日祝日の午前11時台から午後2時台に出発する便で運行する。車内の装飾は12月3日(日)まで。乗車料金は往復で大人1070円▷「天空のガマスプラッシュ」は10月1日(日)~29日(日)の土日祝日の午前11時~午後3時。料金は1回700円▷山頂駅近くのコマ展望台レストランで10月1日(日)~12月3日(日)、名物の筑波山の形をした「つくば山カレー紅葉仕立て」(1100円)を販売する。

長者と金持ち《ひょうたんの眼》61

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谷川岳のトリカブト(筆者撮影)

【コラム・高橋恵一】岸田首相は就任以来、基本的な経済政策として、これまでの新自由主義的経済から、「新しい」資本主義を掲げ、「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」を目指すとし、新たな経済対策として、物価高対策、賃上げ、国内投資促進、人口減少対策、国民の安心・安全確保を掲げている。

首相に有言実行してほしいのは、賃上げだ。それも、教師と看護師、介護職員の賃上げと働く環境の改善だ。経営者にお願いしなくても、配置基準と給与額は、政府が決められる。下からの「トリクルアップ」で、非正規雇用と人手不足を解消できる。

バブル期に至る前の日本経済は、高度成長期。国全体の経済力の拡大とともに、個人所得も豊かになったが、まさにバブルの言葉通り、安易な浪費を行い、将来の高齢化社会に備えた社会保障の仕組みや産業基盤、安定的な生活基盤の整備をおろそかにしてしまった。

当時、高度成長は、西欧諸国も同じであり、特に北欧は、堅実に社会保障基盤を固め、ジェンダーフリーの条件を整え、女性の社会進出を実現した。日本は、それを横目で見ていたが、21世紀の今日、両翼飛行の北欧諸国の1人当りのGDPと1.5翼飛行の日本の1人当り所得には、大差がついてしまった。

バブル崩壊後の日本経済は、停滞し、アメリカを習って、新自由主義経済に傾倒した。いわゆる小泉改革であり、経済の効率化、極限のコストカットであった。

アベノミクスの失敗

人助けが巡り巡って自分を救うという落語の枕で、「長者」と「金持ち」の違いについて、長者は周りのみんなも豊かにする人、金持ちは自分だけが豊かになる人と仕分けした。時代の寵児(ちょうじ)の投機家が「お金を儲けることは悪いことですか?」と発言したとき、私と友人の陶芸家は、同時にテレビに向かって「悪い!」と叫んだことを覚えている。一方が得することは、他方から搾取することだ。

日本のコストカットは、人件費。職場での人員削減で、女性や外国人、再雇用の高齢(?)労働者などを、安月給の非正規職員として置き換えた。これらの雇用形態をより定着させたアベノミクス政策は、格差社会を拡大し、日本の個人消費を30年以上停滞させているのだ。さらに、年金の値切り、社会保険料の値上げなど、弱者の収入を抑制した。

政府は、企業経営者に賃上げを要請しているが、株主の最大利益の確保を使命とする企業経営者に賃上げはできない。ノーベル経済学賞のジョセフ・スティグリッツは、新自由主義経済を批判し、公共部門が人々の真の需要を満たすサービスの提供を担うべきと主張している。

スティグリッツは「子どもや親をケアすることは、私達の人生で最も大切なことだから、子どもや親の面倒を見る人々、教師や看護師に、労働に見合った賃金を支払うべきです」と言う。その公共が実施できる賃上げは、労働力の需給を通じて、賃金水準を引き上げ、格差解消にもつながる。

真に人々が求める需要、賃上げで労働力を確保すべき課題は、人権問題、地球環境の回復など多様であり、大多数の人々の幸福実現に対応する支出は、応能負担の税で賄う公共部門の役割であろう。(地図好きの土浦人)

つくば市役所敷地で初の譲渡会 愛護団体の保護猫約30匹

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保護部屋で子猫を抱くホーリーキャットのメンバー。(左から)村上由里子さん、重松聖子さん、藤井千恵子さん=つくば市栗原

つくば市の動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(重松聖子代表)が保護した猫の里親になってくれる人を探す譲渡会が10月1日、同市役所敷地内で開催される。

同会は6年前に発足。県南地域を中心に、捨てられたり、野良猫が出産するなど、飼育が困難な猫を保護して譲渡会を催したり、増え続ける野良猫を一時捕獲して不妊・去勢手術後に元の場所に戻す地域猫活動などを7人のメンバーがチームとなって続けている。

これまで、活動拠点のつくばでの譲渡会は借りられる場所が見つからず、牛久などで毎月2、3回の譲渡会を開催してきた。なんとかつくばで譲渡会が開けないかと、動物愛護の啓発や犬猫の不妊・去勢手術の補助事業を行っている、つくば市環境保全課との話し合いを重ねて初の譲渡会開催となる。同課の沼尻輝夫課長は「庁舎敷地内での譲渡会が犬猫の殺処分減少の第一歩になれば」と話す。

猫は春と秋が出産期といわれるが、栄養状態がよい、人工光も含め1日12時間以上明るいーなどの条件がそろえば一年中いつでも出産するといわれる。道端に生後間もない数匹が捨てられている、空き家で野良猫が出産したなどの連絡が入り、保護活動にはいとまがないそうだ。手の平に乗るほどの小さな命は同市栗原に同会が設けた保護部屋に収容し、ミルクボランティアの経験があるメンバー、村上由里子さんが猫用の粉ミルクを用いて人工哺乳で育てている。

保護猫を迎えるには条件がある。①責任と愛情を持って最期まで飼育する②脱走防止を常に心掛ける③災害時など避難の必要がある場合は同伴避難をするーなどだ。

譲渡費用必要

ほかに譲渡費用がかかる。譲渡費用は、譲渡までにかかった食費、避妊・去勢手術やワクチン、健康診断、病気の治療費などで、同会は一律2万5000円、体重が足りず避妊・去勢手術が済んでいない子猫は1万8000円と決めている。

民間の保護団体の多くが寄付金をメーンに運営しているが、寄付は保証のない不安定な収入で、譲渡会の運営や備品購入などの資金はギリギリだという。一方、保護猫に対する認知度は上がってきたものの譲渡数は少なく、里親を待っている猫が絶えないのが現状。保護活動でかかったお金を里親に譲渡費用として負担してもらうことで継続的な運営につなげたい考えだ。

保護猫の里親になるにはトライアル(保護猫と実際に暮らしてみるお試し期間)が必須で、後日ホーリーキャットのメンバーが里親宅まで選んだ猫を届ける。

そのため、譲渡会会場から猫を連れて帰ることはできない。また、飼えなくなった動物の引き取りは行わない。

重松さんは「留守にすることが多いから飼うのをためらうという声があるが、世話をしている私たちは留守番がストレスでない猫を紹介できる。留守番に限らず、ライフスタイルに添った猫を紹介できるのでお気軽にお立ち寄りください」と参加を呼びかける。(橋立多美)

◆譲渡会の日時は10月1日(日)正午から午後3時、会場はつくば市役所敷地内の庁舎西側ビルトインガレージ、案内看板あり。参加無料。駐車場はお客様駐車場1、2を無料で利用できる。譲渡会にお目見えする猫たちがホーリーキャットのブログで紹介されている。ブログはこちら

子どもの学びの現場から《令和楽学ラボ》25

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筑波大学の大学院生による5歳児のアート鑑賞活動

【コラム・川上美智子】子どもたちが秘めている力、伸びていこうとする力は無限である。また、観察力も大人が考えているより鋭く、繊細で感受性も豊かである。そのような子どもたちを100名もお預かりしている保育園の責任は重大である。

子どもたちが自ら伸びる力が発揮できるよう、保育園は多様な遊びや学びの環境を準備し、それに手をそっと差し伸べる人的環境を整えることが理想である。一人ひとりの子どもにとっては、毎日が経験を積む大事な一日である。しかし、保育者の一日は想像以上に過酷で忙しく、養護と保育に追われる毎日である。保育士の人員をもう少し増やせる国家的施策が必須である。

国は2017年に、保育所・保育園を、幼稚園、認定こども園と同等の子育ち環境を有する施設と位置づけて、「保育所保育指針」を全面改正した。その中で、保育内容の基本原則を示し、各園は子どもの最善の利益を考慮し創意工夫を図り、保育所の機能および質の向上に努めなければならないとした。

国も、保育所が、生涯にわたる人間形成にとり、極めて重要な時期を過ごす場であり、現在を最も良く生き、子どもの望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う場とした。

指針では、基本的な生活習慣や態度、人に対する愛情と信頼感、人権を大切にする心、自主・自立および協調の態度などの非認知能力の育み、生命・自然・社会の事象に興味や関心をもち、豊かな心情や思考力を育て、話す、聞く、相手の話を理解するなど言葉の豊かさを養い、豊かな感性や表現力、創造性を育むなどの認知能力の育みなど、てんこ盛りの役割を求めている。

すなわち、保育所には、保護者がいない日中の間、保育士などがそれに代わり、愛情豊かな受容の下で、生理的・心理的欲求を満たし、心地よく、楽しい生活ができるよう、また、健やかな発達・発育を促す環境を提供するよう指針は求める。保育者の数が少ない園ではとてもカバーできるものでない。

健やかな育ちのスタートを応援

みらいのもり保育園では、保育理念に「自分らしさと自ら伸びるチカラで未来を生きる自信と意欲を育てます」を掲げ、「子どものやりたいを引き出す」「非認知能力を育てる」「健やかな育ちのスタートを応援」「発達を促す環境構成を大切に」の目標を設定し、保育士の十分な確保や、研修による職員の質の向上に力を入れてきた。

また、ネイティブ講師による英語で遊ぼう、専門家による体操指導、リトミック、保小接続のためのワークによる学び、管理栄養士などによる食育、筑波大学と連携したアート鑑賞などのカリキュラムを導入して、幅広く力が伸ばせるよう努めてきた。また、希望者はヒップホップダンスやピアノの個人レッスンも受講ができるようにしている。

これだけ並べるととても忙しそうに聞こえるが、子どもたちは、どのプログラムにもとても楽しく参加して難なく力を付けていくのである。吸収できる適切な時期に体験や学びを積むことが、いかに大切かが確認できるすてきな場である。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園園長)

第16代つくば観光大使が表敬訪問

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第16代つくば観光大使の(左から)友部穂乃歌さん、仲条佑佳さん、宮本真里さん、吉澤綺音さん、井上魅空さん、宮崎絵美さん

つくば市の観光PRを担う「第16代つくば観光大使」6人が27日、五十嵐立青市長を表敬訪問し、市役所内で意気込みを語った。観光大使は今年新たに選ばれた3人と、15代から継続の3人の計6人になる。

つくば観光コンベンション協会が公募し、51人の応募があった。書類審査の後、32人が面接審査を実施し、3人が選ばれた。コロナ禍の影響で2年ぶりの公募になった。

新大使は、いずれもつくば市在住の友部穂乃歌さん(22)、宮本真里さん(31)、仲条祐佳さん(29)。継続は、つくば市の井上魅空さん(36)、宮崎絵美さん(40)と、牛久市の吉澤綺音さん(23)。

6人は市のイメージアップや観光客誘致を図るため、市内のイベントや県外での観光キャンペーン、メディア出演、SNSによる情報発信などを行い、市の魅力をPRする。

新たに選ばれた友部さんは「現在大学生だが、就職が決まり、来年社会人になる。学生時代はチアリーディングや乃木坂46のパフォーマンスなどを経験した。先輩大使を見習いながら、つくばの成長に携わりたい」と話す。宮本さんは「プロ野球のチアリーディングチームで5年間活動し、現在、市内のチアリーディングクラブでコーチをしている。踊れる大使として、つくばを元気にしたい」とし、仲条さんは「つくばチャレンジショップに参加して、カフェ店出店の経験があり、ビジネスにも興味を持っている。チャレンジショップでは吉沼の皆さまにお世話になった。これからはつくば市全体に貢献したい」とそれぞれ抱負を語った。

新大使の任期は9月から2025年8月末までの2年間。継続大使は来年8月末までのあと1年。今年度は10月1日の筑波山ガマまつり、来春の筑波山梅まつりなどに参加し観光PRに取り組む。

五十嵐市長は「今年は(ジオパーク拠点と自転車BMXコースがある)つくばゲートパークのオープンなどもあり、出番は多い。今後はイベントだけではなく、市の施策を紹介するなど、行動範囲を広げていただけたらありがたい」と述べた。(榎田智司)

幕末の水戸「日新塾」 今は廃墟に《写真だいすき》23

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かつての日新塾は、タケノコが天井を突き抜けたような廃墟となっていた。現在は取り壊され、整備された遺跡となっている

【コラム・オダギ秀】若者たちは、何を思い励んだのか、若かったボクは、若いなりに様々な思いを胸にした。訪れたその日、うっそうとした木立に囲まれたその敷地は、夏草が腰までも生い茂っていた。それをかき分け樹木をまたぎ、建物に近づくと、あたりの藪(やぶ)から気配に驚いた野鳥が、いきなり飛び立った。

水戸市郊外成沢町。幕末の私塾「日新塾」の跡である。現在は史跡として整備されているが、その時は、まぎれもない廃墟だった。

日新塾は、水戸藩の時代、加倉井砂山(カクライサザン、1805〜1855)がこの地に開いた私塾であった。門人数といい設備といい多彩な教育科目といい、水戸藩だけでなく関東一円を見渡してもこれに比肩すべきものは見出せないほどの、有数屈指の私塾であった。

砂山は、少年時代から遊学の志を強く抱いていた。しかし、豪農加倉井家の家督相続をせねばならず、その志は断念せざるを得なかった。そこで砂山は自分の夢を後進の教育に託し、ここ自宅に、日新塾を開いたのだった。教育者砂山の名声は高く、地元のみならず下野、奥州白川、会津、さらに越後など、はるばる訪ねて学ぶ門人も少なくなかった。

砂山の教育の方針は、門人各自の特性を伸ばすこと、とくに時代に即応した教育をすることであった。塾名を日新と言った所以(ゆえん)もそこにあったという。

若者たちは何を思い語りあったか

しかし、砂山の教育が時代を見据えたものであったればこそ、幕末という時代の疾風怒濤は、門人たちの生涯を、波乱のなかにもてあそんだようだ。門人たちは、日新塾に起居し学習を共にした縁で、身分の枠を越えた同志として固い絆に結ばれた者もあった。逆に、敵味方に別れて戦わねばならなくなった者もいたのである。彼らは命をかけてその時代に生き、その時代の中で生涯を終えた。

▽興野道甫 在塾20年、塾長を務める。幕軍により斬首。

▽光岡敬斎 日新塾塾長。維新後、大参事に任命される。

▽鯉渕要人 桜田門外の変に参加、八重洲河原で切腹。

▽香川敬三 維新後伯爵。枢密顧問官となる。

▽川崎守安 北海道開拓に従事。川崎財閥の基礎を固める。

▽飯田軍蔵 笠間の獄中で死去。

▽藤田小四郎 筑波山で挙兵。敦賀で処刑。などなど。

集いあったこれらの若者たちは、この木立のなかで、何を思い、何を語りあったのだろうか。

今は整備された小公園のような跡地となっているが、取材当時は、管理する者のない塾舎はすっかり朽ち果て、何本もの竹の子が、床から天井まで突き抜けている無残な廃屋だった。それを夢の跡と呼ぶには、あまりに切なかった。(写真家、日本写真家協会会員、土浦写真家協会会長)

事前審査は現職の安藤氏のみ 土浦市長選

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土浦市役所

任期満了に伴って10月15日告示、22日投開票で行われる土浦市長選の事前審査が26、27日の2日間行われた。8月29日の事前説明会も含め、事前審査を実施したのは現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)の陣営だけだった。

4年前は現職と新人の一騎打ちとなったが、今回は一転して無風状態で、安藤氏の無投票当選の公算が大きい。9月1日現在の同市の有権者数は11万8572人で4年前より約1700人増えている。

元県議の安藤氏は4年前、5選を目指した現職の中川清氏を4000票余りの差で破り初当選した。「暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる土浦市政」を目指し、公約で掲げた家庭用ごみ袋の値下げ、公共交通不便地域でのコミュニティバス実証運行、高校生までの医療費助成の所得制限撤廃、土浦幼稚園の認定こども園としての存続、常磐道スマートインターチェンジの整備推進、新治運動公園多目的グラウンドの人工芝化などを実施し、今年10月からはさらに小中学校の給食費無償化にも取り組む。

昨年11月の土浦全国花火競技大会は、事故による途中打ち切りやコロナ禍による中止に見舞われていた大会を、5年ぶりに成功させた。県によるつくばエクスプレス県内延伸構想では今年6月、延伸先が土浦駅に決まるなど勢いに乗る。

2期目に向けては今年6月議会で一般質問に答え「引き続き市長としてまちづくりの先頭に立ってさらなる市の発展に向けて全力で傾注したい」「これから生まれてくる子供たちが安心して人生のスタートを切り、このまちに生まれてよかったと思えるよう、夢のある、元気のある土浦市の実現に向けて最後までやり遂げることこそが使命だ」などと表明していた。現在、県内唯一の女性市長。

土浦初の回遊型演劇イベント 10月28、29日に9団体そろい踏み 

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長須美浦子「よませてヨマセテ」の舞台の一場面(公演者提供)

街に出て演劇を楽しもう、と企画された土浦初の回遊型演劇イベント「つち浦々まちなか演劇めぐり」は10月28-29日の公演日程が固まり、1日からチケット販売が始まる。同市内の小劇場などで公演を重ねてきた演劇関係者が中心となって立ち上げた実行委員会(久保庭尚子委員長)によるイベント(1月1日付)で、会場となる市内の飲食店や呉服店、お寺など、まちなかの8つの店舗や社寺などの協力と、演じる劇団9団体の参加を得て、旗揚げ公演の全容が決まった。

実行委員会では「歩いて各会場を回ってもらうことで、土浦のまちなかの魅力再発見にもつなげられたら」と意欲をみせている。

公演プログラムは次の通り(時間は開演時刻)。

演劇事務所’99「風のこえ」(28日10:30/13:00/16:30、29日10:30/13:00/17:00)会場:古民家ほんのり(大手町)
水戸を拠点に活動する劇団による朗読上演。歴史小説を中心に、いくつかの作品をチョイスした。なにを読むのか、会場に行ってのお楽しみ。人が奏でる「こえ」に耳を傾けてほしいそう。

パフォーマンス集団OMT-JAPAN(28日11:00/13:30/15:00、29日11:00/12:30/14:30)会場:亀城公園(中央1丁目)※大道芸体験会(不定期開催)各日11:30~15:00
ジャグリングやマジック、ギター漫談など盛りだくさんの野外パフォーマンス!パフォーマンスタイム以外に、皿回しやカップの大道芸体験が出来ちゃう!?

長須美浦子「よませてヨマセテ」(28日昼11:00~随時、29日昼11:00~随時、同夜20:00)会場:昼=がばんクリエイティブルーム(中央1丁目)、夜=サケクラすのっぶ(川口1丁目土浦名店街)
公園そばの小さな部屋で、道行く人にめがけて絵本を読む。大型絵本をたくさん持っての参上。小さいお客様にはお菓子をプレゼント。夜はライブハウスで、お酒片手に小説を朗読。

アトリエほんまるプロデュース(28日11:30A/15:30B、29日11:30B/16:00A)会場:呉服の前野(中央2丁目)
A「別に帰ってこなくていいよ」ほとんど忘れてしまったけどあの女がこのまちに帰ってきているらしい。ある家族とそのまちのできごとをめぐる話。
B「彼らが非常のベルを鳴らす時?」それはこの家にはずっと前からあったが、誰も使わなかった。使ったらどうなるのか誰も知らなかったし、別に何も困らなかった。

TEAM・C2シンドローム×VOLUMEZERO「ウサギはほのおのなかへ」(28日18:30、29日14:00)会場:高翁寺(中央2丁目)
猟奇的な殺人事件に巻き込まれた友人の行方を探すべく、ある女に会いに寺を訪れた。女は支離滅裂な言葉を列べていて真相は闇の中。女は呟く「ウサギはほのおのなかへ…」それの意味するものとは?友人の行方は?

TEAM虹色の箱舟「遺言」(28日12:30/14:30/16:30、29日12:30/15:00/17:00)会場:城藤茶店(中央2丁目)
祖父の通夜。通夜のあと遺族が集まっていると、そこに弁護士が現れる。弁護士によると6億5000万円の遺産があることが分かった。そして遺言には祖父の作ったゲームで取り分を決めると…(自己批判ショーと、2団体連続で鑑賞できる)

TEAM虹色の箱舟「遺言」の舞台の一場面(同)


自己批判ショー「自己批判ショーのむっちんムラムラ大作戦」(28日12:30/14:30/16:30、29日12:30/15:00/17:00)会場:城藤茶店(中央2丁目)
つち浦々をむっちんムラムラに彩る自己批判ショーのコントステージ。(TEAM虹色の箱舟と、2団体連続で鑑賞できる)

劇団√6体験型演劇(28日10:30/14:30/17:30、29日10:30/13:00/15:00)会場:福来軒(中央1丁目)
28日「町内会長の決断」、29日「ご来店ゾンビ」。来場の皆様もアトラクション感覚(?)で演劇を体感できる。ガイドが付くので安心。

沙座「ウィリアムの森-SHAKESPEARE IN THE FOREST」(28日14:00/19:30、29日15:00/18:30)会場:百景社アトリエ(真鍋3丁目)
アーデン、マンチュア、アセンズ、ウィンザー、そしてバーナム……シェークスピアの作品における森とは家、逃亡先、迷路、眠りと再生の場。今、黒衣の女2人が3人目と落ち合うために樹海に入る。マクベスの通過に間に合うのだろうか?

演劇しょく堂(28日11:30/16:30、29日※5:00/11:30)会場:東光寺(大手町)
演目は、当日御品書きにて発表。仲谷オーナーが今回招集したシェフは、想像力を創造するアートユニットQoiQoiと韓国の女優・舞踊家のペ・ミヒャン。29日朝5時の回は、満月にあわせた「月見会」となり演目が異なる。(相澤冬樹)

◆開催は28日と29日の週末2日間。市内の飲食店や呉服店、お寺などが会場となる。チケットは、各日に上演される全演目をどれでも鑑賞できる1日フリーパス券で3000円(消費税含む)。1日から、こちらのページで販売される。定員を超えて入場できない会場に備え、確実に鑑賞できる予約も受け付ける。日程的に観劇には行けないが、企画を応援したいという人向けに「応援チケット」も3000円(同)で販売し、運営資金として活用する。詳細はこちら。問い合わせ電話029-896-3099(実行委員会)

次世代型家庭菜園「ハルファーム」《菜園の輪》14

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「ハルファーム」の種まき講習会

【コラム・古家晴美】つくば市のTX研究学園駅から車で10分弱の場所で、次世代型家庭菜園「ハルファーム」が開設を待っている。「ハル」は、How to/方法、 Agriculture/農業、 Rich time/豊かな時間、 Utopia/理想郷の頭文字。新しい菜園は「土と心を耕す自然共生型貸し農園」と銘打たれている。

1区画10平方メートルの畑を250区画開設する予定だ。農機具を貸し出すので、手ぶらで来園できる。農作業後も、ロッカールーム・シャワールーム・トイレを完備したクラブハウスでくつろいでほしいという。育苗用のビニールハウス、収穫した食材でのバーベキュー施設や、ピザ用の石窯も併設される予定だ。まさに、かゆいところに手が届く施設が整えられつつある。

施設自体は、まだ建設許可申請中だが、先行してすでに様々なイベントが開催され、これからも続く。コンサートやキッチンカーを動員した農園のキャンペーン、種まき講習会、収穫や料理講習会(予定)などだ。

この農園の仕掛人、中野一秀さん(74)は、3年前にこの事業に取り組みたいと思い、準備を始めた。実家はこの土地に代々住む農家で、コメ、野菜、養蚕に取り組んできた。子どものころに手伝った記憶はあるが、ご自身は長年、フリーのプログラマーを本業とし、農業にはそれほど深く関わってはこなかった。

しかし、現代における農業見直しの流れが、中野さん自身を大きく突き動かした。自然との触れ合いが少ない都市民に照準を絞り、野菜作りを通して自然との関わり、また人との関わりを回復するために、自分が何かできることはないかと考えるに至る。

畑を管理するアプリも開発

その後の氏の行動力には目を見張る。初めに既存の民間の市民農園に複数個所参加し、そこで改善すべき点を洗い出し作業に手を付ける。その後、様々な団体から補助金や援助金を引き出し、それを資金源としてイベントや活動を展開している。具体的な活動には、企画や広報のプロの手も借りた。

また、本業を生かして、畑を管理するアプリを開発。農作業記録を入力し、次回、どのような作業をいつ行えばよいかわかるように助言してくれるものだ。農園からのお知らせなども共有できる。

このようなタイプの市民農園の需要は、これからますます増大していくのではないかと言う。自分で作った安全で新鮮な野菜を求め、かつ利便性を追求した農業だ。残念ながら、読者の関心が最も高いであろう利用料金については、まだ公示されていない。

食と農の距離をどのように取り、それを暮らしの中でどのように位置づけるか(作業時間、コストパフォーマンス)など、様々な課題はあるが、新たなライフスタイルとして注目される。(筑波学院大学教授)

上下水道料金を3290件に重複請求 つくば市

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つくば市役所

つくば市は26日、上下水道料金をクレジットカードで支払っている利用者3290件に、9月分(2カ月間の利用分)の料金計3163万3343円分を重複請求してしまったと発表した。

同日午前、クレジットカード会社から引き落としメールが重複して通知されていることに気付いた利用者から、市に問い合わせがあり発覚した。同日午後、市が決済システム会社に取り消し処理を依頼したところ、料金を引き落とす前だったことから、実際の重複納付はないという。

市上下水道業務課によると、9月分の請求にあたって、担当課がカード決済システム会社に請求データを送信した際、送信が完了していないと勘違いし、21日と25日に計3回、請求データを再送信してしまったのが原因。データが送信されたことを確認する仕組みが担当課内で共有されていなかったため、誤認が生じたという。

再発防止策として同課は、請求データを作成した後、決済システム会社にデータを送信するまでの作業手順を見直すと共に、作業手順やチェックシートに基づき、チェック体制を強化するとしている。

重複請求した3290人に対しては、手紙を出して説明し、お詫びするとしている。

子どもたちがお金とものの大切さ学ぶ つくばリサイクルマーケット

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つくばリサイクルマーケットでカードの販売をする荘司愛衣さん(中央右)=つくば市吾妻、中央公園水の広場

地域で開催されるフリーマーケットなど蚤(のみ)の市を活用して、子どもたちに経済活動を知る体験をさせたいと考える親が増えている。子どもたちは、10円から数百円といった価格帯の商品を売ったり買ったりし、楽しみながらお金のやり取りをすることで、物の価値や、コミュニケーションの仕方、お金の使い方を学んでいる。

24日、つくばリサイクルマーケットがつくば市吾妻の中央公園水の広場で開催され、牛久市から親子で出店した中学3年の荘司愛衣さん(15)がゲームキャラクターのトレーディングカードを販売した。朝10時、開店と同時に小学生や幼児が次々と荘司さんの店に来店した。

つくば市内に住む小学5年の男子児童2人は、今年5月の開催時に初めて同リサイクルマーケットを訪れ、今回は2回目の来訪。自分のお小遣いで好きなものを買いたいと、会場を回り、カードに目を付けた。「見せてもらってもいいですか」と声を掛け、好みのカードを数枚選んでいく。カードの値段は1枚10円から50円。荘司さんが考えて決めた。「こういうカードもあります。おまけも付けられますよ」と接客し、「値下げもいいですよ」と価格交渉にも応じる。

買い物が終わると互いに「ありがとうございました」とあいさつ。小学生もよい買い物ができたと満足げだ。自分の財布を持ち親に付き添われて訪れる幼児もおり、荘司さんの店には最後まで子どもたちの客足が途絶えることがなかった。カードは50枚以上が売れ、約1600円の売り上げとなった。荘司さんは「カードを集めて遊んでいたが、遊ぶ時間が無くなり、やらなくなったので売ろうと思った。いろんなお客さんと話せてよかった。次回も出店したい」と話した。

土浦市から参加した20代の女性は、ゲームセンターのクレーンゲームで獲得した景品のぬいぐるみなど約10点を販売した。1つ数百円ほどに値段を付けた30センチほどのぬいぐるみは幼児に人気で、開店1時間で売り切れた。「初めての出店。不用品がたまったので売りに来た。同じ子が3回も買いに来てきてくれてかわいい。また不用品がたまったら参加したい」と話す。

小学生の子どもを連れてきた親は「何も言わなくても買う時に自然とあいさつや交渉ができていて普段と違ってびっくり。よい勉強になったと思う。こういう場を利用して礼儀やコミュニケーションを学ばせたい」と話す。

大勢の出店者や買い物客でにぎわうつくばリサイクルマーケット

「つくばリサイクルマーケット」は使わなくなったものをリサイクルすることを目的としたマーケットで、市民団体「リサイクルを推進する会」(高野正子代表)が主催している。3月、5月、9月、11月の年4回開催。1994年から始まり、29年間市民に親しまれている。24日は127回目で、市内や近隣の市から約160人が82区画に出店し、不要になった衣料品や靴、おもちゃ、本、食器、雑貨などを販売、多くの買い物客でにぎわった。「つくばのごみを宝の山に!」を合言葉にした長年の活動が評価され、今年2月にはつくば市が開催したつくばSDGsフォーラムで「つくばSDGsアワード大賞」を受賞し表彰された。(田中めぐみ)

◆次回11月26日(日)のリサイクルマーケットは午前10時から午後1時まで。雨天中止。出店希望者は「つくばリサイクルマーケット」ホームページから申し込みが必要。参加費は1区画(1.8メートル×1.8メートル)500円。

夏場の巣箱作り《続・平熱日記》142

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写真は筆者

【コラム・斉藤裕之】弟の作業場には、建築現場で出る端材や解体作業で出た古材が無造作に積んである。春にはそれらを使ってポストをいくつか作った。シンプルな色を塗って、ヨーロッパで郵便のシンボルマークとしてよく使われるホルンを描いた。義妹のユキちゃんは家の壁に二つばかりポストを取り付けた。「郵便屋も戸惑うだろうに」と思ったが、一つは回覧板用だとかでまんざらでもなさそうだった。

この夏は巣箱を作ることにした。特に鳥が大好きというわけではない。巣箱が好きなのだ。巣箱を作り始めてかれこれ20数年になるが、多分、百個以上の巣箱を作った。

特に図面もなく、スライドソーでカットしてネジでとめていく。穴は大き過ぎず小さすぎず、シジュウカラぐらいの鳥が入る3センチほどの大きさにした。小1時間でいくつかが完成。屋根に色を塗って乾かした。作ったものは持ち帰らずに置いて帰ることにした。

なにしろ弟の家は緑に囲まれた山の中にあって、巣箱を架ける木には事欠かない。すでに、母家の前のヒノキの上にはリンゴ箱ほどの立派なのがある。フクロウを呼ぼうと弟が架けた巣箱だという。確かに、遠くの方でホーホーという声が聞こえる。

ロクジュウカラが入る小屋

さて、この巣箱を並べた写真をSNSに上げたら、欲しいという方がいたので茨城に帰ってもう少し作ることにした。作業場の前に、ちょうどいい板が野ざらしになっていたのでもらって帰ることにした。

ものの本を調べてみたら、寸法や穴の大きさ、架ける高さや位置など、巣箱を鳥に気に入ってもらうためのポイントがいくつかあるらしい。だが、私の経験では割と気紛れに鳥は入居している気がする。自然界のことを考えると、巣箱にはあまり色を塗らない方がいいような気がするが、好き勝手な色を塗った巣箱にも鳥は入る。

茨城の家に帰ってきたが、今年の夏の暑さはかなりしつこい。ある朝、思い立って残暑に立ち向かうように巣箱を作り始めた。今回持ち帰った板は古い民家の畳の下に敷いてあった松の野地板で、洗って干したら古材独特の味がある。地のままで十分にいい感じだったので、屋根にだけ色を施した。

いろんな形と色のものが10ばかりできたので並べてみた。なんだかとてもいい風景に見えた。先日、山口に書き残してきた今度建てる小屋のラフスケッチを思い出した。その絵と作った巣箱は似ていると思った。巣箱にはシジュウカラが入るが、小屋にはロクジュウカラが入る予定である。(画家)

つくば市への無償譲渡は妥当 県議会調査特別委が結論 洞峰公園

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第3回県議会県有施設・県出資団体調査特別委員会の様子=25日、県議会議事堂

県議会の第3回県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)が25日開かれ、前回、審査継続となっていた(8月30日付)県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針について審査が行われ、無償譲渡の方針は妥当とする決定が全会一致で出された。

妥当と結論を出した理由については、洞峰公園は①筑波研究学園都市開発に合わせて県が設置管理を行ってきた経緯があるが、公園の本来の位置づけが主として一つの市町村の区域内の利用者を見込んだ総合公園である②無償譲渡は将来の維持管理費の負担を県から市に変えるという性格をもち、経費の前払いとも考えられる③公園移管によるつくば市の財政面の影響についても大きな問題はなく、市からの理解も得られている④すでに市と十分協議の上、調整が進んでおり、市へ影響なども考慮する必要があるーなど8点を挙げた。

その上で田山委員長は、洞峰公園をめぐる一連の経緯について「本来(公園の管理運営方法など)方針を変えるごとに慎重な議論や説明が求められるところ、パークPFI事業のみが先行し、県民や市民、議会への説明が置き去りにされてきた」と指摘し、「二元代表制において議会と知事は車の両輪であることを改めて認識いただき事業を進めていただきたい」などと苦言を呈した。

さらに「今回の案件に関しては方針通りに進めていただきたいが、執行部に対しては現行の仕組みで欠落している部分、例えば譲与に関する条例や取扱基準の見直し、議会への報告の義務付けなど、今後きちんと議会として関与していけるよう早期に具体的な仕組みづくりの検討を進め、随時、委員会への報告に努め、委員会においても検討していきたい」などと指摘した。

公園の更新費40億円、施設は8割の32億円を想定

決定に先立つ審査では、新都市記念館や体育館など公園施設の今後の維持・管理費について江尻加那県議(共産)から質問が出た。つくば市が示した年平均約3500万円の修繕費用について大塚秀二県都市整備課長は「詳しい中身までつくば市から説明を受けた訳ではないが、考え方の基本として、予防的修繕を行うにあたって15~20年のサイクルを考えて(修繕に)かかるお金を年平均に直した場合、3500万円ほどと算出されていると聞いている。施設の更新費はこれからかかってくる。施設の更新費は、耐用年数80年を考えると、20年の外側になってくるので、更新費は入ってないという解釈になる」とした。

「県の公園として長寿命化した場合、いくらかかると県は試算していたのか」との質問に対して大塚課長は「2016年に健全度調査を行い、その際は40億円ほどこれからかかると算定していた。国の基準にのっとって、例えば建物は耐用年数50年程度を目安にしていた。実際に年数を重ねれば更新もあるし、いろいろなお金がかかってくるのは当たり前のこと。それをどれだけ平準化して予防保全を行うことで寿命を延ばしていくかがかぎになる。そういった意味でもうちょっと年平均で縮減していく。40億円のうち8割の32億円が建物分。それくらいの規模でやっているので、これからつくば市に移管した場合は、市の方で見直したり、適宜、市の意向で考えていくのかなと思っている」と話した。

県営公園の今後の在り方についてこの日、県から「社会経済情勢の変化、公園の規模や利用実態、市町村の意向などから、市町村の管理が望ましい公園については、市町村と協議の上、移管を進めていくべきと考えている」との考え方が示されたことについて、星田弘司県議(いばらき自民党)から、筑波研究学園都市の開発時に洞峰公園と一体的に整備された赤塚公園について質問が出た。大塚課長は「(赤塚公園は洞峰公園から)ペデストリアンデッキで歩行者や自転車で気軽に行けるような工夫がなされていて、一体的に使われていることは十分認識している。これから洞峰公園が市に移管されて、赤塚公園がどういう形が望ましいかは、つくば市の方で設置する協議会でいろいろなご意見を賜りながら検討していきたい」と述べるにとどまった。

県議会の決定を受け、今後のスケジュールについて県都市整備課は「現時点で明確にできるスケジュールはない」とし、つくば市公園・施設課は「今後、市民アンケートを実施する。スケジュールについては県と協議していきたい」などとしている。(鈴木宏子)

「イモ博士」井上浩さんを偲ぶ《邑から日本を見る》144

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井上浩さんの著作など

【コラム・先﨑千尋】日本におけるサツマイモ文化史研究の第一人者であり、イモに関する「生き字引」だった埼玉県川越市の井上浩さんが去る7月に92歳で亡くなった。その死を惜しんで、9月13日に同市の「いも膳」で偲(しの)ぶ会が催され、関係者らが井上さんの思い出を語り合った。

井上さんは東京教育大(現筑波大)で農業経済史を学び、浦和高校や松山高校で社会科の教師を務め、地元の物産史を研究。その範囲は、埼玉県内の麦、養蚕、柿、川越イモ、入間ゴボウ、サトイモなどのほか、織物の川越唐桟の復活や民俗芸能にも及んだ。

井上さんは、1960年代から川越イモの歴史文化の研究を始め、川越市制60周年の時(1982)には「川越いもの歴史展」を、翌年には「第1回川越いも祭」を企画開催した。さらに84年には、市内の熱心な“いも仲間”を集め、「川越いも友の会」を発足させ、サツマイモ復権運動のさきがけとなった。

同時に、『川越いもの歴史』『昭和甘藷百珍』『さつまいもの話』などを次々に世に出した。公民館主催の「さつまいもトータル学」の講師も務めた。この時期にサツマイモ調査団を組織し、鹿児島や中国を訪問し、それぞれの産地を巡り、現地の研究者たちと交流し、情報を集めている。

82年に神山正久さんが開いた「いも膳」のいも懐石料理にもアドバイスをされ、神山さんは井上さんらの意を汲んで自費で民営の「サツマイモ資料館」を敷地内に開設。井上さんが定年退職したあと、16年間館長を務められた。

この資料館にはサツマイモに関する資料や加工品、文献などが集められ、いも煎餅などのいも菓子類が購入でき、ここに来ればサツマイモのことなら何でも分かるというものだった。この種の資料館、博物館は他にはなかったので、全国のサツマイモ産地から関係者が次々に訪れ、情報の交流の場、サツマイモ活動の拠点にもなった。

井上さんも全国各地を回り、網の目のようなネットワークを構築している。さつまいものことなら何でも分かる「生き字引」のゆえんだ。

人に会い、話を聞き、記録する

井上さんの研究スタイルは、人に会い、話を聞く。それをノートに記録する。また数多くの文献を集め、原典にさかのぼる。発表される文章は一般の人に分かりやすく、肩ひじの張らないものだった。同時に、井上さんがイモを語る時の柔和な顔とやさしい語り口が多くの人を魅了してきた。

サツマイモ資料館の初代館長で「川越いも友の会」事務局長の山田英次さんによれば、「井上さんのサツマイモに関する代表的な研究は、川越いもの歴史の解明、江戸・東京における焼き芋文化史、紅赤(サツマイモの品種の一つ)の発見と歴史、戦争中の代表的なサツマイモの沖縄百号の変遷史など」だ。

井上さんは日本いも類研究会の会長を長く務められ、いも類振興会が発行した『サツマイモ事典』『焼き芋事典』『干し芋事典』の企画、執筆に携わってきた。晩年には『川越地方のサツマイモ文化史』の執筆を続け、関係者の話では、原稿は九分通り完成しており、一周忌には発刊できるという。(元瓜連町長)

県内最古の土浦幼稚園 認定こども園として10月開園

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10月に開園する市立認定こども園土浦幼稚園。天然芝が敷き詰められた園庭では、開園式に参加した子供たちが遊具などで元気に遊ぶ姿が見られた=土浦市文京町

県内で最初の公立幼稚園として138年前の1885(明治18)年に創設された市立土浦幼稚園(土浦市文京町)が、幼保連携型の認定こども園に生まれ変わり、「認定こども園土浦幼稚園」(塚本由美子園長)として10月2日に開園する。開園を前に24日、同園で開園式が催され、10月から同園に通う園児らが安藤真理子市長らとテープカットをしたほか、歌を歌ったり、父母らと園内を見学した。幼稚園と保育所の機能をもつ公立の認定こども園は同市で初めて。

土浦幼稚園は、市立東崎保育所(同市東崎町)と統合し認定こども園として再編するため、2022年3月に閉園した。老朽化していた園舎の改修工事が同年10月から実施され、今年8月に完成した。

開園式で土浦幼稚園の園歌を歌う園児たち

同園は敷地面積約2300平方メートル、園舎は鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積約1100平方メートル。1階は0歳~2歳児の教室のほか、子育て支援センター、一時預かり室、給食室などが配置され、2階は3~5歳児の教室のほか、ホール、共用空間のキッズスペースが配置される。

各階に段差は無く、エレベーターや多目的トイレを設置しバリアフリーに配慮している。園舎は明るく開放的なつくりで、内装は、木の温かみと園児の健康を考慮し、木材や自然素材を使用している。外観は、変化のあるフレームや色で楽しさや明るさを表現している。園庭は土浦幼稚園と同じ天然芝を敷き詰めている。設計・工事費は計約4億5000万円。

4歳児の教室になる2階の「ひまわり」

定員は0~5歳の110人。10月からは、9月末まで東崎保育所に通う1~5歳児56人が通園する。来年4月以降は0歳児も受け入れる。保護者に所用ができた時などに子どもを一時的に預けることができる一時預かり室や、子育ての相談に乗ったり親子で遊んだり情報交換などができる子育て支援センターを併設する。

開園式には、安藤市長や3~5歳児クラスの園児と保護者が参加した。安藤市長は「県内で最も歴史ある土浦幼稚園を生まれ変わらせることができてうれしい」と述べ、「先生の言うことをよく聞いて、元気いっぱい遊んでください」など園児らに話しかけた。

開園式でテープカットをする安藤市長(左端)と園児ら

少子化の進行により、同市の公立幼稚園は土浦幼稚園を含め当初、22年3月までにすべて廃止される予定(2019年10月31日付)だったが、4年前の市長選で初当選した安藤市長が土浦幼稚園の存続支援を公約の一つに掲げた。当選後、市立幼稚園再編計画を見直し、土浦幼稚園を東崎保育所と統合し、認定こども園として残した経緯がある。

塚本園長は「土浦幼稚園の歴史と東崎保育所の伝統を継承し、新しい認定こども園としての役割と市内の子育て支援の拠点としての役割を果たしていきたい。地域の皆さんと共に、子供たちが元気で楽しく過ごしてくれたら」と話し「土浦幼稚園の特徴だった外国人講師を招いた英語教育や体操教師を招いた体操教室のほか、『自転車のまち土浦』として新たに、自転車の乗り方教室なども開きたい」と話す。(鈴木宏子)